特許第6247246号(P6247246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

特許6247246画像検査方法及び装置、プログラム、並びにインクジェット印刷装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247246
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画像検査方法及び装置、プログラム、並びにインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   B41J2/01 207
   B41J2/01 209
【請求項の数】17
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-73594(P2015-73594)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-193504(P2016-193504A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】浮島 正之
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−083320(JP,A)
【文献】 特開2014−069499(JP,A)
【文献】 特開2002−133396(JP,A)
【文献】 特開2002−133397(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0182571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得工程と、
画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、前記ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させて前記ラインヘッドにより前記媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより前記検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成工程と、
前記検査画像又は前記検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、前記第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、前記走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出工程と、
を含む画像検査方法。
【請求項2】
基準画像を予め作成しておき、かつ、
前記少なくとも一つの前記非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により前記基準画像を平滑化した第1の平滑化後基準画像を作成しておき、
前記検査画像と、前記第1の平滑化後検査画像と、前記基準画像と、前記第1の平滑化後基準画像と、を少なくとも用いて、前記スジ欠陥を検出する請求項1に記載の画像検査方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの前記非走査方向直線構造要素のそれぞれと、前記走査方向の直線構造要素である少なくとも一つの走査方向直線構造要素とを合わせた直線構造要素群に含まれる直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により前記検査画像を平滑化した前記第2の平滑化後検査画像を作成する第2の平滑化後検査画像作成工程を有し、
前記第1の平滑化後検査画像と、前記第2の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、前記スジ欠陥を検出する請求項1に記載の画像検査方法。
【請求項4】
基準画像を予め作成しておき、かつ、
前記少なくとも一つの前記非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により前記基準画像を平滑化した第1の平滑化後基準画像と、
前記少なくとも一つの前記非走査方向直線構造要素のそれぞれと、前記走査方向の直線構造要素である少なくとも一つの走査方向直線構造要素とを合わせた直線構造要素群に含まれる直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により前記基準画像を平滑化した第2の平滑化後基準画像と、を作成しておき、
前記第1の平滑化後検査画像と、前記第2の平滑化後検査画像と、前記第1の平滑化後基準画像と、前記第2の平滑化後基準画像と、を少なくとも用いて、前記スジ欠陥を検出する請求項3に記載の画像検査方法。
【請求項5】
前記検査画像について前記モルフォロジー処理を行う前に、前記検査画像に対して第1の前処理が行われ、前記第1の前処理を経た後の前記検査画像に前記モルフォロジー処理が行われる請求項1から4のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項6】
前記基準画像について前記モルフォロジー処理を行う前に、前記基準画像に対して第2の前処理が行われ、前記第2の前処理を経た後の前記基準画像に前記モルフォロジー処理が行われる請求項2又は4に記載の画像検査方法。
【請求項7】
前記検査画像について前記モルフォロジー処理を行う前に、前記検査画像に対して第1の前処理が行われ、前記第1の前処理を経た後の前記検査画像に前記モルフォロジー処理が行われる請求項6に記載の画像検査方法。
【請求項8】
前記基準画像は、前記印刷物を前記インクジェット印刷装置によって印刷する際に用いる画像データを元に作成される請求項2、4、6及び7のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項9】
前記基準画像は、前記スジ欠陥の無い印刷画像を撮像して得られる基準読取画像である請求項2、4、6及び7のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項10】
前記検査画像がカラー画像の場合は、色信号のチャネルごとに、前記第1の平滑化後検査画像が作成される請求項1から9のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項11】
前記非走査方向直線構造要素の数は、前記検出の精度と、前記検出の処理に要する処理時間との少なくとも一方の条件に応じて定められる請求項1から10のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項12】
前記直線構造要素のそれぞれのフィルタサイズは、検出の対象とする前記スジ欠陥の太さと、前記撮像手段の解像度に応じて調整される請求項1から11のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項13】
前記走査方向と非平行な方向であって、かつ、前記走査方向との成す角が予め定めた規定角度よりも小さい方向の直線構造要素を前記走査方向の直線構造要素と見なして、前記非走査方向直線構造要素の対象外とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項14】
前記モルフォロジー処理は、
オープニング処理及びクロージング処理のうちいずれか一方の処理を含み、かつ、
前記一方の処理を経て得られた処理後の画像群から画素ごとにそれぞれの最大値を採用した最大値画像を作成する最大値画像作成処理、又は前記一方の処理を経て得られた処理後の画像群から画素ごとにそれぞれの最小値を採用した最小値画像を作成する最小値画像作成処理のいずれかを含む請求項1から13のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項15】
ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得手段と、
画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、前記ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させて前記ラインヘッドにより前記媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより前記検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成手段と、
前記検査画像又は前記検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、前記第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、前記走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出手段と、
を備える画像検査装置。
【請求項16】
コンピュータに、
ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得工程と、
画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、前記ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させて前記ラインヘッドにより前記媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより前記検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成工程と、
前記検査画像又は前記検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、前記第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、前記走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
インクジェット方式でインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有するラインヘッドと、
前記ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させる相対移動手段と、
前記ラインヘッドから吐出した前記インクを前記媒体に付着させることにより印刷された印刷物を撮像して検査画像を得る撮像手段と、
画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、前記ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させて前記ラインヘッドにより前記媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより前記検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成手段と、
前記検査画像又は前記検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、前記第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、前記走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出手段と、
を備えるインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像検査方法及び装置、プログラム、並びにインクジェット印刷装置に係り、特にラインヘッドを用いたインクジェット印刷装置によって印刷された画像の欠陥を検出する画像検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物における印刷欠陥を検査する方法の一つとして、特許文献1に開示された方法が知られている。特許文献1には、印刷物をカラーカメラで撮像して得られた検査画像から抽出されたエッジ画像と、予め作成された基準画像から抽出されたエッジ画像とを比較し、検査画像のみに含まれるエッジ情報を印刷物上の欠陥として検出する方法が開示されている。特許文献1によれば、エッジ画像は、ラプラシアンフィルタなどに代表される一般的なエッジ強調フィルタを用いて空間フィルタリングすることにより作成されている(特許文献1の段落0027及び図4)。
【0003】
特許文献1に示された方法は、印刷欠陥が空間周波数領域で高周波成分を有していることが多いことを利用した検出方法であり、特に印刷物上に孤立している点状欠陥を検出する際に好適な方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4141082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラインヘッドを搭載したシングルパス印字方式のインクジェット印刷装置では、ラインヘッドと媒体の相対的な移動により実施される1回の走査で画像記録を行う。このため、ラインヘッドのノズルが何らかの理由で不良化して不吐出ノズルや吐出曲がりが発生すると、その不良化した該当ノズルが印字を担当する部位において印刷画像上にスジ欠陥が発生する。スジ欠陥は、ラインヘッドを媒体に対して相対的に走査するにあたり、その走査方向に伸びるスジとして発生する。なお、ラインヘッドに対して媒体を搬送することによってラインヘッドを媒体に対して相対的に走査する場合の走査方向とは、媒体の搬送方向と平行な方向である。
【0006】
このようなスジ欠陥に対して、特許文献1に記載の方法を適用する場合には、次のような問題が発生する。
【0007】
[1]エッジ強調フィルタによって得られる「エッジ情報」と、スジ欠陥に対応する「スジ情報」は完全には一致せず、検査画像からエッジ情報を抽出した際に、検査画像が本来有するスジ情報を劣化させてしまい、検出精度を悪化させてしまう。
【0008】
[2]また、エッジ情報を抽出する際に、画像の輪郭成分や「スジに似た」線状の成分も抽出してしまうため、これらが誤検出の原因になりやすい。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、スジ欠陥を高精度に検出することができる画像検査方法及び装置、プログラム、並びにインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するために、次の発明態様を提供する。
【0011】
第1態様の画像検査方法は、ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得工程と、画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させてラインヘッドにより媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成工程と、検査画像又は検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出工程と、を含む画像検査方法である。
【0012】
第1態様によれば、従来の方法に比べて、検査画像に含まれる走査方向に伸びるスジの情報の劣化を抑制することができ、精度良くスジ情報を抽出することができる。また、画像の輪郭成分など、誤検出の要因となる成分を除去して、検査画像から走査方向に伸びるスジの情報を精度良く抽出することができる。これにより、スジ欠陥の検出の精度を高めることができる。
【0013】
第2態様として、第1態様の画像検査方法において、基準画像を予め作成しておき、かつ、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により基準画像を平滑化した第1の平滑化後基準画像を作成しておき、検査画像と、第1の平滑化後検査画像と、基準画像と、第1の平滑化後基準画像と、を少なくとも用いて、スジ欠陥を検出する構成とすることができる。
【0014】
第2態様によれば、基準画像に含まれる走査方向に伸びる画像の輪郭成分をノイズとして除去することができる。これにより、一層精度よくスジ情報を抽出することができる。
【0015】
第3態様として、第1態様の画像検査方法において、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素のそれぞれと、走査方向の直線構造要素である少なくとも一つの走査方向直線構造要素とを合わせた直線構造要素群に含まれる直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により検査画像を平滑化した第2の平滑化後検査画像を作成する第2の平滑化後検査画像作成工程を有し、第1の平滑化後検査画像と、第2の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、スジ欠陥を検出する構成とすることができる。
【0016】
第3態様によれば、検査画像において、走査方向、或いは、走査方向と非平行の方向のいずれの方向にも伸びていない点状の画像成分である孤立点の成分を除去することができ、孤立点除去後の画像を基に、スジ欠陥の検出することができる。
【0017】
第4態様として、第3態様の画像検査方法において、基準画像を予め作成しておき、かつ、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により基準画像を平滑化した第1の平滑化後基準画像と、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素のそれぞれと、走査方向の直線構造要素である少なくとも一つの走査方向直線構造要素とを合わせた直線構造要素群に含まれる直線構造要素をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理により基準画像を平滑化した第2の平滑化後基準画像と、を作成しておき、第1の平滑化後検査画像と、第2の平滑化後検査画像と、第1の平滑化後基準画像と、第2の平滑化後基準画像と、を少なくとも用いて、スジ欠陥を検出する構成とすることができる。
【0018】
第4態様によれば、基準画像に対しても孤立点の成分を除去し、基準画像に含まれる走査方向に伸びる画像の輪郭成分をノイズとして除去することができる。
【0019】
第5態様として、第1態様から第4態様のいずれか一態様の画像検査方法において、検査画像についてモルフォロジー処理を行う前に、検査画像に対して第1の前処理が行われ、第1の前処理を経た後の検査画像にモルフォロジー処理が行われる構成とすることができる。
【0020】
第6態様として、第2態様又は第4態様の画像検査方法において、基準画像についてモルフォロジー処理を行う前に、基準画像に対して第2の前処理が行われ、第2の前処理を経た後の基準画像にモルフォロジー処理が行われる構成とすることができる。
【0021】
第7態様として、第6態様の画像検査方法において、検査画像についてモルフォロジー処理を行う前に、検査画像に対して第1の前処理が行われ、第1の前処理を経た後の検査画像にモルフォロジー処理が行われる構成とすることができる。
【0022】
第8態様として、第2態様、第4態様、第6態様及び第7態様のいずれか一態様の画像検査方法において、基準画像は、印刷物をインクジェット印刷装置によって印刷する際に用いる画像データを元に作成される構成とすることができる。
【0023】
第9態様として、第2態様、第4態様、第6態様及び第7態様のいずれか一態様の画像検査方法において、基準画像は、スジ欠陥の無い印刷画像を撮像して得られる基準読取画像である構成とすることができる。
【0024】
第10態様として、第1態様から第9態様のいずれか一態様の画像検査方法において、検査画像がカラー画像の場合は、色信号のチャネルごとに、第1の平滑化後検査画像が作成される構成とすることができる。
【0025】
第11態様として、第1態様から第10態様のいずれか一態様の画像検査方法において、非走査方向直線構造要素の数は、検出の精度と、検出の処理に要する処理時間との少なくとも一方の条件に応じて定められる構成とすることができる。
【0026】
第12態様として、第1態様から第11態様のいずれか一態様の画像検査方法において、直線構造要素のそれぞれのフィルタサイズは、検出の対象とするスジ欠陥の太さと、撮像手段の解像度に応じて調整される構成とすることができる。
【0027】
第13態様として、第1態様から第12態様のいずれか一態様の画像検査方法において、走査方向と非平行な方向であって、かつ、走査方向との成す角が予め定めた規定角度よりも小さい方向の直線構造要素を走査方向の直線構造要素と見なして、非走査方向直線構造要素の対象外とする構成とすることができる。
【0028】
第14態様として、第1態様から第13態様のいずれか一態様の画像検査方法において、モルフォロジー処理は、オープニング処理及びクロージング処理のうちいずれか一方の処理を含み、かつ、一方の処理を経て得られた処理後の画像群から画素ごとにそれぞれの最大値を採用した最大値画像を作成する最大値画像作成処理、又は一方の処理を経て得られた処理後の画像群から画素ごとにそれぞれの最小値を採用した最小値画像を作成する最小値画像作成処理のいずれかを含む構成とすることができる。
【0029】
第15態様の画像検査装置は、ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得手段と、画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させてラインヘッドにより媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成手段と、検査画像又は検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出手段と、を備える画像検査装置である。
【0030】
第15態様において、第2態様から第14態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像検査方法において特定される処理や動作の工程(ステップ)の要素は、これに対応する処理や動作の機能を担う手段の要素として把握することができる。
【0031】
第16態様のプログラムは、コンピュータに、ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像して得られる検査画像を取得する検査画像取得工程と、画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させてラインヘッドにより媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成工程と、検査画像又は検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出工程と、を実行させるためのプログラムである。
【0032】
第16態様において、第2態様から第14態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像検査方法において特定される処理や動作の工程(ステップ)の要素は、これに対応する処理や動作の機能を実現すためのプログラムの要素として把握することができる。
【0033】
第17態様のインクジェット印刷装置は、インクジェット方式でインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有するラインヘッドと、ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させる相対移動手段と、ラインヘッドから吐出したインクを媒体に付着させることにより印刷された印刷物を撮像して検査画像を得る撮像手段と、画像の構造要素として定められた少なくとも一つの直線構造要素であって、ラインヘッドに対して相対的に媒体を移動させてラインヘッドにより媒体を走査する際の走査方向と非平行の方向の直線構造要素である非走査方向直線構造をそれぞれ用いて、濃淡画像のモルフォロジー処理を行うことにより検査画像を平滑化した第1の平滑化後検査画像を作成する第1の平滑化後検査画像作成手段と、検査画像又は検査画像を元に作成される第2の平滑化後検査画像のいずれかと、第1の平滑化後検査画像と、を少なくとも用いて、走査方向に伸びるスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出手段と、を備えるインクジェット印刷装置である。
【0034】
第17態様において、第2態様から第14態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像検査方法において特定される処理や動作の工程(ステップ)の要素は、これに対応する処理や動作の機能を担う手段の要素として把握することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、走査方向に伸びるスジ欠陥を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1はラインヘッド型インクジェット印刷装置における不良ノズルに起因するスジ欠陥を説明するための模式図である。
図2図2は第1実施形態に係る画像欠陥検出方法による処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3はスジ情報抽出処理の内容を示したフローチャートである。
図4図4(a)から図4(g)は走査方向以外の方向の直線構造要素の例を示す図である。
図5図5は走査方向の直線構造要素の例を示す図である。
図6図6に検査画像の具体例を示す図である。
図7図7図6の検査画像に対してスジ情報抽出処理を実施して得られる処理結果の画像の例を示す図である。
図8図8は比較例を示す図であり、図6の検査画像に対してラプラシアンフィルタを用いてエッジ強調した画像の例を示す図である。
図9図9はエッジ強調の処理に用いたラプラシアンフィルタの例を示す図である。
図10図10は基準画像から抽出された成分であるノイズを取り除いた画像の例を示す図である。
図11図11は第2実施形態に係る画像検査方法のフローチャートである。
図12図12は第3実施形態による黒スジを検出する場合のフローチャートである。
図13図13は第4実施形態において孤立点の除去のために作成されるトップハット変換処理後の画像の例を示す図である。
図14図14図6の検査画像を元にして作成される孤立点除去後の画像の例を示す図である。
図15図15は第4実施形態に係る画像検査方法の処理内容を示すフローチャートである。
図16図16図6の検査画像から孤立点除去とノイズ成分除去を実施して作成される画像の例を示す図である。
図17図17は第5実施形態に係る画像検査処理方法の処理内容を示すフローチャートである。
図18図18は第1実施形態に係る画像検査装置の構成を示すブロック図である。
図19図19は第2実施形態に係る画像検査装置の構成を示すブロック図である。
図20図20は第4実施形態に係る画像検査装置の構成を示すブロック図である。
図21図21は第5実施形態に係る画像検査装置の構成を示すブロック図である。
図22図22は実施形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示す側面図である。
図23図23はインクジェット印刷装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0038】
図1はラインヘッド型インクジェット印刷装置における不良ノズルに起因するスジ欠陥を説明するための模式図である。ラインヘッド型インクジェット印刷装置とは、ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置を指す。ここでは、説明を簡単にするために、モノクロ濃淡画像を例に説明する。カラー画像の場合は、色ごとの各チャネルに対して同様の処理を実施すればよい。例えば、印刷物を撮像して得られる検査画像が赤(R)、緑(G)、及び青(B)の各色の濃淡画像信号を含むRGB画像である場合、Rチャネル、Gチャネル、及びBチャネルのそれぞれの色信号のチャネルについて、モノクロ濃淡画像の場合で説明する処理と同様の処理を実施すればよい。
【0039】
ラインヘッド10は、インクジェット方式でインクを吐出する複数個のノズル12が並んだノズル列14を有するインクジェットヘッドである。ラインヘッド10に対して媒体20を搬送し、かつ、ノズル12からインクの液滴を吐出することにより、媒体20上にインクの液滴が付着してドット22が記録される。
【0040】
ラインヘッド10に対して媒体20を搬送する方向である媒体搬送方向をY方向とし、Y方向に直交する媒体20の幅方向である媒体幅方向をX方向とする。ラインヘッド10の複数個のノズル12はX方向が並んでおり、各ノズル12は媒体20のX方向の異なる位置の記録を担う。ノズル12の並び方向であるX方向をノズル列方向と呼ぶ場合がある。
【0041】
媒体搬送方向(Y方向)は、ラインヘッド10を媒体20に対して相対的に走査する方向であり、「走査方向」に相当する。なお、ここではラインヘッド10に対して媒体20を搬送することにより、両者の相対的な移動を行っているが、媒体20に対してラインヘッド10を移動させることにより、ラインヘッド10と媒体20とを相対的に移動させる構成を採用してもよい。
【0042】
図1では10個のノズル12が並んだノズル列14を例示している。不良ノズルの例として、図1の左から3番目の第3番ノズルNz3が不吐出ノズルとなっている。また、左から8番目の第8番ノズルNz8に吐出曲がりが発生している例が示されている。不吐出ノズルは、インクの吐出が不能なノズルである。吐出曲がりとは、液滴の吐出方向が逸れ、ドットが形成されるべき理想的位置に対して実際にドットが形成される位置がずれる現象である。ドットが形成されるべき理想的位置は、設計上の目標位置であり、正常なノズルが液滴を吐出した場合に想定されるドット形成位置を指す。
【0043】
図1に示した状況の場合、不良ノズルである第3番ノズルNz3の位置に対応する媒体20の位置(図1において符号Aで示す位置)にY方向に伸びるスジ欠陥が発生する。また、不良ノズルである第8番ノズルNz8の位置に対応する媒体20の位置(図1において符号Bで示す位置)にY方向に伸びるスジ欠陥が発生する。スジ欠陥とは、スジ状の画像欠陥を指す。スジ欠陥には、連続的なスジの他、断続的なスジも含まれる。
【0044】
ラインヘッド10に対して相対的に媒体20を移動させ、1回の走査で規定の記録解像度の画像の記録を完成させる行うシングルパス印字方式のインクジェット印刷装置では、不良ノズルによって印刷画像上に走査方向に伸びるスジ欠陥が発生する。
【0045】
本実施形態では、このようなラインヘッド型インクジェット印刷装置の特性を利用して印刷画像から精度良くスジ情報を抽出する。具体的には、走査方向以外の方向の直線構造を利用したモルフォロジー処理によりスジ情報の抽出を行う。
【0046】
<第1実施形態>
図2は第1実施形態に係る画像検査方法による処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す画像検査処理の各工程は、画像検査装置に組み込まれる制御プログラム、若しくは画信号処理回路、又はこれらの組み合わせによって実行される。
【0047】
図2に示す画像欠陥検出処理は、検査画像を取得する検査画像取得工程(ステップS10)と、取得した検査画像からスジ情報を抽出するスジ情報抽出工程(ステップS12)と、抽出されたスジ情報を基にスジ欠陥を検出するスジ欠陥検出工程(ステップS14)と、を含む。
【0048】
検査画像取得工程(ステップS10)は、検査の対象となる検査画像を取り込む工程である。検査画像は、ラインヘッド型インクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像することによって得られる。
【0049】
撮像手段は、CCD(charge-coupled device)センサやCMOS(complementary mental-oxide semiconductor device)センサに代表される撮像デバイスを用いて、光学像を電子画像データに変換する装置である。撮像デバイスは、2次元イメージセンサであってもよいし、ラインセンサであってもよい。また、カラー撮像デバイスを採用してもよいし、モノクロ撮像デバイスを採用してもよく、これらを組み合わせた構成でもよい。
【0050】
撮像手段の一形態としてカメラを用いることができる。また、撮像手段の一形態として、スキャナを用いることができる。スキャナは、フラットベット型のオフラインスキャナであってもよいし、インクジェット印刷装置の媒体搬送経路に設置されたインラインセンサであってもよい。撮像手段という用語は、印刷物を読み取る画像読取手段と同義に理解される。
【0051】
ここでは、撮像手段として、カメラを用い、印刷物をカメラで撮像して(読み取って)モノクロ濃淡画像である検査画像を取得するものとして説明する。
【0052】
検査画像の取得形態には、撮像手段から直接的に取得する形態の他、撮像手段によって得られている検査画像のデータを有線又は無線の通信インターフェースを介して取得する形態、メモリカードその他の可搬型記憶媒体に記憶されている検査画像のデータを可搬型記憶媒体からメディアインターフェースを介して取得する形態などがあり得る。
【0053】
図3はスジ情報抽出工程(ステップS12)において実施されるスジ情報抽出処理の内容を示したフローチャートである。スジ情報抽出処理は、検査画像から画像欠陥であるスジの情報を抽出する処理であり画像欠陥検出処理と理解することもできる。
【0054】
スジ情報抽出処理は、走査方向以外の方向の直線構造要素によるオープニング処理(ステップS22)と、最大値画像作成処理(ステップS24)と、差分処理(ステップS26)と、を含む。この第1実施形態では、オープニング処理(ステップS22)から最大値画像作成処理(ステップS24)までをモルフォロジー処理と呼ぶ。
【0055】
まず、取得された検査画像に対して、走査方向以外の方向の直線構造要素によるオープニング処理(ステップS22)を行う。オープニング処理(ステップS22)を実施するにあたり、予め画像の構造要素として、走査方向以外の方向の直線構造要素を少なくとも一つ定めておく。
【0056】
図4(a)から図4(g)は走査方向以外の方向の直線構造要素の例を示す図である。図5は走査方向の直線構造要素の例を示す図である。なお、図5は参考のために示したものであり、第1実施形態におけるオープニング処理(ステップS22)には使われない。
【0057】
直線構造要素とは、画像の直線構造に対応した構造要素の空間フィルタを指す。直線構造要素は、定められたフィルタサイズの画素範囲において概ね直線状の構造を示していればよい。図4(a)、図4(c)、図4(e)及び図4(g)についても画素の分解能の範囲で直線構造として把握される。走査方向以外の方向とは、走査方向と非平行の方向を意味する。走査方向以外の方向の直線構造要素を「非走査方向直線構造要素」と呼ぶ。
【0058】
図4(a)から図4(g)では7種類の非走査方向直線構造要素を示している。発明の実施に際して、非走査方向直線構造要素は、少なくとも一つ定められる。すなわち、非走査方向直線構造要素の数は1以上の任意の数とすることができる。検査の精度を上げるためには、複数の非走査方向直線構造要素を定めることが好ましい。また、構造要素のフィルタサイズは、図面に例示の11×11画素のサイズに限らない。構造要素のフィルタサイズは3×3画素以上の任意のサイズとすることができる。
【0059】
図4(a)から図4(g)に示されるような、少なくとも1つの非走査方向直線構造要素を用いて、モルフォロジー処理の一つである濃淡画像のオープニング処理(ステップS22)を実施する。濃淡画像とは、多値の連続調画像を指し、例えば、256階調で表される8ビット画像などが該当する。もちろん、濃淡画像の階調は8ビットに限らず、14ビットなどでもよい。
【0060】
ある特定方向の直線構造要素を用いてオープニング処理を実施すると、その特定方向の直線構造を保存した状態で画像の平滑化が行われる。オープニング処理は、膨張(dilation)の処理と収縮(erosion)の処理を組み合わせた処理である。
【0061】
画像信号fの構造要素gによるオープニング処理は、次の式1で定義される。なお、説明を簡単にするため、一次元で表す。
【0062】
【数1】
【0063】
式1中のFは信号fの定義域である。Gは構造要素gの定義域である。gsはgの対称集合であることを示す。gsはgの左右上下を反転させたものとして定義される。
【0064】
予め定められた少なくとも1つの非走査方向直線構造要素の各々について、オープニング処理を実施する。図4(a)から図4(g)の例では、7種類の非走査方向直線構造要素が定義されているため、これら7種類の非走査方向直線構造要素の各々によるオープニング処理が実施され、各々のオープニング処理からそれぞれオープニング処理後画像が得られ、合計で7種類のオープニング処理後画像が得られる。
【0065】
次に、最大値画像作成処理(図3のステップS24)が行われる。最大値画像作成処理(ステップS24)では、オープニング処理後の画像群を画素ごとに比較し、それぞれの画素位置の最大値を採用した最大値画像を作成する。最大値画像作成処理(ステップS24)は、式2で表される。
【0066】
【数2】
【0067】
式2におけるMは構造要素の数を表す整数である。iは構造要素を区別するためのインデックである。最大値画像作成処理(ステップS24)により作成される最大値画像は、走査方向の直線構造は平滑化され、その他の直線構造は平滑化されていないものとなる。
【0068】
最大値画像作成処理(ステップS24)により作成される最大値画像は、「第1の平滑化後検査画像」に相当する。オープニング処理(ステップS22)と最大値画像作成処理(ステップS24)とを組み合わせたモルフォロジー処理の工程が「第1の平滑化後検査画像作成工程」の一形態に相当する。
【0069】
次に、差分処理(ステップS26)に進む。差分処理(ステップS26)では、ステップS14で作成された最大値画像を、元の検査画像から差し引いた差分画像を作成する。最大値画像を元の検査画像から引いて差分画像を得る処理は、トップハット変換と呼ばれる。差分処理(ステップS26)は、トップハット変換処理ということができる。
【0070】
差分処理(ステップS26)、すなわちトップハット変換処理は、式3で表される。
【0071】
【数3】
【0072】
差分処理(ステップS26)の結果、元の検査画像から、走査方向の直線構造のみ平滑化された最大値画像を差し引くことになり、スジ欠陥のような、走査方向に伸びる直線的な成分を抽出することができる。
【0073】
[検査画像内の孤立点について]
本実施形態の画像検査処理では、走査方向に伸びる直線的な成分以外に、どの方向にも伸びていない孤立した点(以下、孤立点という。)も抽出される。スジ欠陥には孤立点が走査方向に並んだ断続的なスジが存在する場合があるため、本処理では孤立点を残すようにしている。なお、特許文献1でいう点状欠陥は、孤立点に該当する。
【0074】
[処理結果の具体例]
図6に検査画像の具体例を示す。図6の縦方向がY方向であり、「走査方向」に相当する。図6の横軸に付した数字はX方向の画素の番号を示している。図6の縦軸に付した数字はY方向の画素の番号を示している。図6の例では検査画像の中央部右寄りの位置(X方向の画素番号600付近)に縦方向に伸びるスジ欠陥が存在している例を示した。
【0075】
図7図6に示した検査画像に対して、図3で説明したスジ情報抽出処理を実施して得られる処理結果の画像を示している。図7は式3で説明した差分画像の一例である。
【0076】
図7に示したように、縦方向に伸びるスジ欠陥が明部として鮮明に把握される差分画像が得られている。また、図7では印刷画像の絵柄に含まれている画像の輪郭線の大部分は暗部となっている。
【0077】
図8は比較例を示している。図8図6に示した検査画像に対してラプラシアンフィルタを用いてエッジ強調した画像である。図9はエッジ強調の処理に用いたラプラシアンフィルタである。図8は、図7と比べて、スジ欠陥の情報が劣化している。さらに、図8では、画像の輪郭線も明部に現れており、これら画像の輪郭線がノイズ成分となり得る。
【0078】
[スジ欠陥の判定方法]
図7のような差分画像が得られたら、図2のステップS14で説明したスジ欠陥検出工程に進む。図7に示した差分画像を用いて、スジ欠陥の検出を行う方法には、様々な方法が考えられる。ここでは、一例として、以下の方法を紹介する。すなわち、図7に示した差分画像に対して、演算処理の対象領域とする複数の区画を設定し、各々の区画内で画像の画素値を縦方向(走査方向)に積算し、又は平均値化し、1次元プロファイルを得る。1次元プロファイル上で信号値が、予め定められた閾値を越えた場合にスジ欠陥があると判定する。
【0079】
スジ欠陥検出工程(図2のステップS14)では、上述のようにして差分画像から1次元プロファイルを作成するなどして、スジ欠陥の有無を判定するスジ欠陥検出処理を行う。なお、図7にはスジ欠陥に寄与しない孤立点が存在するが、小さい孤立点信号は、画素値を縦方向に積算する段階で信号値が弱められ、スジと誤判定されにくくなる。
【0080】
図7に示したスジ情報の抽出結果は、図8と比較して十分綺麗にスジ情報を抽出できており、精度の高いスジ欠陥の検出が可能である。
【0081】
<第2実施形態>
第1実施形態で説明した方法は、印刷画像の絵柄に走査方向に伸びる直線構造成分が含まれていた場合に、この絵柄の直線構造成分を「スジ」として抽出してしまい、これが誤検出の要因になり得ることも想定される。
【0082】
図7に示した例では画像の左側に存在する缶に記載されている文字画像や模様の中に、走査方向に伸びる直線構造成分が含まれており、図7においてこの走査方向直線構造成分が抽出されてしまっていることが見て取れる。
【0083】
そこで、第2実施形態では、更なる検出精度向上のため、基準画像を利用し、基準画像に含まれている走査方向直線構造成分をスジ情報から除外する処理を加える。
【0084】
具体的には、基準画像に対しても、図3で説明した処理と同様の一連のモルフォロジー処理を施し、抽出された成分をノイズとして、図7の成分から取り除くことを行う。
【0085】
基準画像をr(x,y)とし、基準画像に対してモルフォロジー処理を行って得られた最大値画像を、rの文字の上にオーバーラインを付けた表記でrg(x,y)とすると(式4における右辺の第4項が最大値画像である)、ノイズ除去後画像s(x,y)は、例えば次の式4の演算で取得できる。
【0086】
【数4】
【0087】
基準画像に対してモルフォロジー処理を行って得られた最大値画像は「第1の平滑化後基準画像」の一形態に相当する。基準画像から第1の平滑化後基準画像を作成する工程は第1の平滑化後基準画像作成工程と理解することができる。
【0088】
図10は基準画像から抽出された成分であるノイズを取り除いた画像の例を示す。図7と比較すると分かるように、図10では、基準画像に含まれていた走査方向直線構造成分が除去されている。図10のようなノイズ除去後画像を用いることにより、より一層精度良くスジ欠陥を検出することができる。なお、図10の例はノイズ除去後画像のマイナス成分をゼロにクリッピングしている。
【0089】
図11は第2実施形態に係る画像検査方法のフローチャートである。図11に示す画像検査処理は、検査画像取得工程(ステップS30)にて取得した検査画像に対して、モルフォロジー処理(ステップS32)と、差分処理(ステップS34)と、ノイズ除去処理(ステップS36)とを行い、ノイズ除去後の画像を基にスジ欠陥の検出を行う(ステップS38)を実施する。検査画像取得工程(ステップS30)は図2で説明したステップS10と同等である。
【0090】
図11のモルフォロジー処理(ステップS32)は図3で説明したステップS22とステップS24の内容と同様である。図11の差分処理(ステップS34)は図3で説明したステップS26の内容と同様である。
【0091】
図11のノイズ除去処理(ステップS36)は、差分処理(ステップS34)で得られる差分画像から、基準画像に含まれている走査方向直線構造成分を除去する処理である。ノイズ除去処理(ステップS36)は式4で説明した処理に相当する。ノイズ除去処理(ステップS36)を実施するにあたり、予め基準画像60を用意し、基準画像60に対して図3のステップS22及びステップS24で説明したモルフォロジー処理(ステップS42)を実施して、モルフォロジー処理結果画像62を作成しておく。
【0092】
図11のフローチャートでは、基準画像取得工程(ステップS40)にて取得した基準画像60にモルフォロジー処理(ステップS42)を実施して、処理結果の画像データであるモルフォロジー処理結果画像62を得る流れが示されている。
【0093】
基準画像60は、例えば、インクジェット印刷装置に入力する印刷用の画像データを元に作成することができる。基準画像60として、入力画像データそのものを用いてもよいし、入力画像データに対して検査画像と比較しやすくするための何らかの画像処理(解像度変換、ガンマ変換、色変換、幾何学変換、空間フィルタリングなどの各種基本画像処理のいずれか若しくは組み合わせの処理)を実施したものを用いてもよい。なお、入力画像データはハーフトーン処理前のものであってもよいし、ハーフトーン処理後のものであってもよい。また、基準画像60は、実際の印刷物においてスジ欠陥が発生しなかった良品の印刷画像を読み取って得られる基準読取画像を用いることもできる。入力画像データを元に基準画像を作成する処理や、スジ欠陥の無い印刷物を読み取って基準読取画像を作成する処理は、基準画像作成処理として把握することができる。
【0094】
基準画像取得工程(ステップS40)は、基準画像作成処理によって基準画像を作成することで基準画像を取得すると理解してもよいし、基準画像作成処理で作成された基準画像のデータを、有線又は無線の信号伝達手段や可搬型記憶媒体を通じて取得すると理解してもよい。
【0095】
モルフォロジー処理(ステップS42)は、図3のステップS22及びステップS24の内容と同様である。モルフォロジー処理結果画像62は、「第1の平滑化後基準画像」に相当する。
【0096】
ノイズ除去処理(ステップS36)は、基準画像60とモルフォロジー処理結果画像62を用いて、式4で説明したように、差分画像からノイズ除去を行う。
【0097】
スジ欠陥検出工程(ステップS38)は、ノイズ除去処理(ステップS36)によって得られたノイズ除去後画像からスジ欠陥の検出を行う。スジ欠陥検出工程(ステップS38)は図2のステップS14の内容と同様である。
【0098】
なお、図11では、ノイズ除去処理(ステップS36)に対して、基準画像60と、基準画像60のモルフォロジー処理結果画像62とを提供しているが、式4が示しているように、元の基準画像60からモルフォロジー処理結果画像62を差し引いた差分画像を提供してもよい。この場合は、モルフォロジー処理(ステップS42)の後、図3のステップS26と同様に差分処理(トップハット変換処理)を行い、差分画像である基準差分画像を作成しておく。この基準差分画像を予め用意しておき、ノイズ除去処理(ステップS36)に活用する形態とすることができる。
【0099】
第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、より一層精度よくスジ欠陥の検出が可能である。
【0100】
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態の変形例として、検査画像と基準画像の差分画像である第1の差分画像と、検査画像に対するモルフォロジー処理(ステップS32)によって作成される第1の平滑化後検査画像と基準画像に対するモルフォロジー処理(ステップS42)によって作成される第1の平滑化後基準画像の差分画像である第2の差分画像とを作成し、第1の差分画像と第2の差分画像の差分から、図10と同等のノイズ除去処理後画像を得ることも可能である。つまり、検査画像、第1の平滑化後検査画像、基準画像、及び第1の平滑化後基準画像を用いて、ノイズ除去処理後画像を得ることができる。
【0101】
第2実施形態で述べた基準画像を用いたノイズ除去処理は、スジ情報の抽出の精度を高める上で有益な手段である。ただし、このノイズ除去処理については、場合によって不要であることがある。例えば、ラインヘッド型インクジェット印刷装置では、ラインヘッドのノズルの状態を調べるノズル検査用として「平網画像」を印刷し、スジが発生しないことを確認するというような利用形態がある。この場合、基準画像である「平網画像」には走査方向に伸びる直線構造成分が含まれないことが予め分かっている。したがって、このような場合、第2実施形態で説明したようなノイズ除去処理は不要である。
【0102】
[非走査方向直線構造要素の数について]
図4(a)〜(g)に示した例では合計7つの直線構造要素を示しているが、走査方向に対して、より細かく角度を振った直線構造要素を追加してもよい。直線構造要素の数を増やすことにより、計算時間が増大するが、スジ情報の抽出精度は良化する。もちろん、直線構造要素の数を7つよりも少ない数に減らしても良い。この場合、抽出精度は低下するが、計算時間が減少する。計算時間は、検出の処理に要する処理時間に反映される。
【0103】
モルフォロジー処理に用いる非走査方向直線構造要素の数は、要求される検出の精度と、検出の処理に要する処理時間との少なくとも一方の条件に応じて、適切な数に定められる。要求される条件に応じて、モルフォロジー処理に用いる非走査方向直線構造要素の数を適応的に増減調整することができる構成とすることが好ましい。
【0104】
[構造要素のフィルタサイズについて]
図4(a)〜図4(g)及び図5に示した例では、各構造要素のフィルタサイズは11×11画素となっているが、フィルタサイズは変更可能である。フィルタサイズは、検出の対象とするスジ欠陥の太さと撮像手段の解像度に応じて適宜調整することが好ましい。また、各構造要素のフィルタサイズは同一である必要もない。なお、構造要素のフィルタサイズは、スジの太さに対して十分長いことが望ましい。
【0105】
[走査方向の直線構造要素の定義について]
上述の説明では、図4(a)〜図4(g)を走査方向以外の方向の直線構造要素とし、図5を走査方向の直線構造要素としているが、撮像手段による画像読取の状態によっては、スジ欠陥が傾いて検査画像が取得される場合がある。そこで、例えば、図4(a)と図4(g)のような走査方向に近い方向の直線構造要素を「走査方向の直線構造要素」と見なしてオープニング処理から外すことで、傾いたスジ欠陥を除去しないようにしてもよい。具体的には、走査方向と非平行な方向であって、かつ、走査方向との成す角が予め定めた規定角度よりも小さい方向の直線構造要素を「走査方向の直線構造要素」と見なして、非走査方向直線構造要素の対象外とする。予め定めた規定角度は、走査方向に近い方向として取り扱う角度範囲を規定する値である。
【0106】
このような取り扱いにより、傾いたスジ欠陥を検出することが可能になる。ただし、そのドローバックとして、ノイズ成分が残りやすくなる。
【0107】
[オープニング処理とクロージング処理の関係]
第1実施形態及び第2実施形態では、オープニング処理(ステップS22)を説明したが、代表的なモルフォロジー演算には「クロージング処理」というものもある。クロージング処理は、次の式5で定義される。
【0108】
【数5】
【0109】
画像の信号fを白黒反転してクロージング処理し、得られた結果をもう一度白黒反転した場合、それは信号fをオープニング処理した結果と一致する。すなわち、信号fの値域を[0 - 1]とした場合、白黒反転は(1 − f)という操作をすることに相当し、次の式6が成り立つ。
【0110】
【数6】
【0111】
よって、第1実施形態及び第2実施形態で説明した処理はオープニング処理を用いる処理には限定されず、式6の関係を利用してクロージング処理を用いてもよい。
【0112】
[検出したい欠陥対象が黒スジの場合]
第1実施形態及び第2実施形態の説明は、主に白スジ、すなわち、非欠陥部と比べ検査画像における信号値が大きいスジを検出するのに好適な手法となっているが、黒スジ、すなわち、非欠陥部と比べ信号値が小さいスジを検出したい場合には、[1]オープニング処理の代わりにクロージング処理を用い、更に、[2]最大値画像作成の代わりに最小値画像作成を行うことで実現できる。
【0113】
黒スジの発生要因としては、例えば、白スジに対して何らかの補償処理(例えば、不良ノズルを不吐出化して,近傍ノズルの吐出量を増加させて白スジを見えにくくする処理など)を実施した際に、補償処理の精度によっては黒スジが発生することが考えられる。一例として、不吐出化した不良ノズルの近傍ノズルの吐出量を増加しすぎた場合などに黒スジが発生することが考えられる。なお、補償処理の精度によっては白スジが発生する場合も勿論考えられる。例えば、不吐出化した不良ノズルの近傍ノズルの吐出量の増加量が足りなかった場合などに白スジが発生することが考えられる。
【0114】
<第3実施形態>
図12は黒スジを検出する場合のスジ情報抽出処理の内容を示したフローチャートである。黒スジの検出を行う場合には、図3のフローチャートに代えて図12のフローチャートが適用される。図12に示したスジ情報抽出処理は、走査方向以外の方向の直線構造要素によるクロージング処理(ステップS52)と、最小値画像作成処理(ステップS54)と、差分処理(ステップS56)と、を含む。この第3実施形では、クロージング処理(ステップS52)から最小値画像作成処理(ステップS54)までをモルフォロジー処理と呼ぶ。
【0115】
まず、取得された検査画像に対して、走査方向以外の方向の直線構造要素によるクロージング処理(ステップS52)を行う。クロージング処理(ステップS52)に用いる直線構造要素には、図3で説明したオープニング処理(ステップS22)と同様に、図4(a)〜図4(g)で例示した非走査方向直線構造要素を用いることができる。
【0116】
非走査方向直線構造要素の各々を用いたクロージング処理からそれぞれクロージング処理後画像が得られる。
【0117】
次に、最小値画像作成処理(図12のステップS54)が行われる。最小値画像作成処理(ステップS54)では、クロージング処理後の画像群を画素ごとに比較し、それぞれの画素位置の最小値を採用した最小値画像を作成する。検査画像を元にしてステップS54にて得られる最小値画像は「第1の平滑化後検査画像」の一形態に相当する。
【0118】
差分処理(ステップS56)では、ステップS54で作成された最小値画像を、元の検査画像から差し引いた差分画像を作成する。差分処理(ステップS56)は、図3のステップS26と同様の処理である。図12に示すフローチャートによって、黒スジのスジ情報を抽出することができる。
【0119】
なお、黒スジの検出に関しても、式5及び式6で既に説明した内容と同様に、白黒反転処理を伴うことでクロージング処理をオープニング処理に置き換えることが可能である。
【0120】
また、図11で説明したフローチャートに関しても、モルフォロジー処理の部分に、図12のフローチャートで説明したモルフォロジー処理を適用することが可能である。
【0121】
[孤立点を削除したい場合の対処]
第1実施形態から第3実施形態では、孤立点が走査方向に並んだ断続的なスジを取りこぼすことのないように、検査画像におけるスジ情報の抽出に際して、孤立点を残すようにしている。しかしながら、このような断続的なスジが発生しないことが予め保証されている場合には、孤立点を除去することを行ってもよい。
【0122】
<第4実施形態>
孤立点を除去する方法としては以下の方法がある。まず、走査方向を含む全方向の直線構造要素群をそれぞれ用いて、モルフォロジー処理を実施する。全方向の直線構造要素群とは、例えば、図4(a)〜(g)と図5を合わせた直線構造要素の集合を指す。「全方向」とは、便宜的な表現であり、少なくとも一つの走査方向以外の方向と、走査方向と、を含むことを意味している。モルフォロジー処理は「オープニング処理と最大値画像作成処理の組み合わせ」、又は、「クロージング処理と最小値画像作成処理の組み合わせ」である。ここでは、モルフォロジー処理が「オープニング処理と最大値画像作成処理の組み合わせ」である場合を説明する。
【0123】
全方向の直線構造要素のそれぞれを用いたモルフォロジー処理後のモルフォロジー処理結果画像を第2の平滑化後検査画像と呼ぶ。第2の平滑化後検査画像を、fの文字の上にオーバーラインを付けた表記でfh(x,y)とすると(式7における右辺の第2項)、差分処理(トップハット変換処理)後の画像は次の式7で表される。
【0124】
【数7】
【0125】
図13図6の検査画像を基にして式7で示されるトップハット変換処理によって得られるトップハット変換処理後の画像の例を示している。式7で示されるトップハット変換処理後の画像は、図13に示されるような孤立点のみが残された画像となる。
【0126】
第2の平滑化後検査画像(式7の右辺の第2項に相当)を用いることで、第1実施形態で説明したスジ情報抽出処理の結果画像の孤立点成分を除去することができる。
【0127】
孤立点除去後の画像をΔfgh(x,y)とすると、式8に示す関係となる。
【0128】
【数8】
【0129】
式8から明らかなように、式2で示した最大値画像(第1の平滑化後検査画像に相当)と、第2の平滑化後検査画像のみから、孤立点除去後の画像Δfgh(x,y)を作成することができる。
【0130】
図6の検査画像を基にして作成される孤立点除去後の画像Δfgh(x,y)の例を図14に示す。図14図7と比較して、孤立点が除去されていることが見て取れる。
【0131】
図15は孤立点の除去を行う第4実施形態に係る画像検査方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0132】
図15に示す画像検査処理は、検査画像取得工程(ステップS70)と、第1のモルフォロジー処理(ステップS72)と、第2のモルフォロジー処理(ステップS74)と、差分処理(ステップS76)と、スジ欠陥検出工程(ステップS78)との各工程を含む。検査画像取得工程(ステップS70)は、図2で説明したステップS10と同等である。
【0133】
第1のモルフォロジー処理(ステップS72)は、図3で説明したモルフォロジー処理と同等である。第1のモルフォロジー処理(ステップS72)は、図4(a)〜図4(g)で例示したような予め定められた少なくとも一つの非走査方向直線構造要素のそれぞれを用いるモルフォロジー処理である。第1のモルフォロジー処理(ステップS72)によって第1の平滑化後検査画像54が作成される。第1のモルフォロジー処理(ステップS72)の工程は「第1の平滑化後検査画像作成工程」の一形態に相当する。
【0134】
第2のモルフォロジー処理(ステップS74)は、第1のモルフォロジー処理(ステップS72)に用いられる非走査方向直線構造要素群に、走査方向の直線構造要素を加えた直線構造要素群のそれぞれを用いるモルフォロジー処理である。なお、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素群に、走査方向の直線構造要素を加えた直線構造要素群を「全方向の直線構造要素群」と簡易表記する。全方向の直線構造要素群のそれぞれを用いた第2のモルフォロジー処理(ステップS74)によって第2の平滑化後検査画像56が作成される。第2のモルフォロジー処理(ステップS74)の工程は「第2の平滑化後検査画像作成工程」の一形態に相当する。
【0135】
図15では、第1のモルフォロジー処理(ステップS72)と第2のモルフォロジー処理(ステップS74)とを並列に記載したが、これらの処理を順次に実施してもよく、また処理順の前後は問わない。また、第2のモルフォロジー処理(ステップS74)における、非走査方向直線構造要素群のそれぞれのオープニング処理(或いはクロージング処理)は、第1のモルフォロジー処理(ステップS72)でも計算されるため、これらを再計算せずに流用してもよい。
【0136】
差分処理(ステップS76)は第2の平滑化後検査画像56から第1の平滑化後検査画像54を差し引いて差分画像を作成する処理である。差分処理(ステップS76)によって作成される差分画像は、式8で説明した孤立点除去後の画像に相当する。差分処理(ステップS76)によって作成される差分画像を「孤立点除去後画像」と呼ぶ。
【0137】
スジ欠陥検出工程(ステップS78)は、差分処理(ステップS76)によって得られた差分画像である孤立点除去後画像からスジ欠陥の検出を行う。スジ欠陥検出工程(ステップS78)における具体的な検出処理の方法は、図2のステップS14の内容と同様である。
【0138】
<第5実施形態>
第2実施形態で説明した基準画像60に対しても、第4実施形態と同様の孤立点除去までを実施して、第2実施形態で説明したように、検査画像から基準画像に含まれる走査方向の直線構造成分(ノイズ成分)の除去を行う形態も可能である。
【0139】
基準画像r(x,y)に全方向の直線構造要素群を用いてモルフォロジー処理を実施して得られる画像(「第2の平滑化後基準画像」に相当)を、rの文字の上にオーバーラインを付けた表記でrh(x,y)とすると(式9における右辺の第3項)、ノイズ成分除去後の画像Sgh(x,y)は、式9のように表すことができる。
【0140】
【数9】
【0141】
図16はノイズ成分除去後の画像Sgh(x,y)の例である。図16は、図14と比較して、画像の輪郭成分が除去されていることが見て取れる。
【0142】
図17は第5実施形態に係る画像検査処理方法の処理内容を示すフローチャートである。図17において図15で説明した処理と同一又は類似の工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0143】
図17に示した画像検査処理は、基準画像取得工程(ステップS80)と、基準画像に対して実施される第1のモルフォロジー処理(ステップS82)、第2のモルフォロジー処理(ステップS84)、及び差分処理(ステップS86)の各工程を有する。
【0144】
基準画像取得工程(ステップS80)は、図11のステップS40と同等である。基準画像に対して実施される第1のモルフォロジー処理(ステップS82)の処理内容は、検査画像に対して実施される第1のモルフォロジー処理(ステップS72)と同様である。
基準画像に対して第1のモルフォロジー処理(ステップS82)を行うことにより、第1の平滑化後基準画像64が作成される。第1の平滑化後基準画像64は、図11で説明したモルフォロジー処理結果画像62に相当するものである。
【0145】
基準画像に対して実施される第2のモルフォロジー処理(ステップS84)の処理内容は、検査画像に対して実施される第2のモルフォロジー処理(ステップS74)と同様である。基準画像に対して第2のモルフォロジー処理(ステップS84)を行うことにより、第2の平滑化後基準画像66が作成される。第2のモルフォロジー処理(ステップS84)の工程は第2の平滑化後基準画像作成工程と把握することができる。
【0146】
差分処理(ステップS86)は、第2の平滑化後基準画像66から第1の平滑化後基準画像64を差し引いて差分画像を作成する処理である。差分処理(ステップS86)によって差分画像は孤立点が除去された画像となっている。差分処理(ステップS86)で作成される差分画像を「孤立点除去後基準差分画像」と呼ぶ。
【0147】
ノイズ除去処理(ステップS77)では、ステップS76の差分処理によって作成される孤立点除去後画像から、ステップS86の差分処理によって作成される孤立点除去後基準差分画像を差し引いて、基準画像に含まれる走査方向直線構造成分をノイズ成分として除去した画像を作成する。ノイズ除去処理(ステップS77)は式9で説明したノイズ成分除去後の画像を作成する。ノイズ除去処理(ステップS77)によって作成されるノイズ成分除去後の画像を「ノイズ除去後画像」と呼ぶ。
【0148】
なお、式9から明らかなように、ノイズ除去後画像は、第1の平滑化後検査画像54と、第2の平滑化後検査画像56と、第1の平滑化後基準画像64と、第2の平滑化後基準画像66とを用いて作成することができるため、図17のステップS76とステップS86で示したそれぞれの差分処理を省略する形態も可能である。すなわち、ノイズ除去処理(ステップS77)の工程にて、第1の平滑化後検査画像54と、第2の平滑化後検査画像56と、第1の平滑化後基準画像64と、第2の平滑化後基準画像66とを取り込み、これらを基に、式9にしたがって、ノイズ除去後画像を作成することができる。この場合のノイズ除去処理(ステップS77)は、実質的にステップS76の差分処理とステップS86の差分処理とを演算に含んでいる。
【0149】
スジ欠陥検出工程(ステップS78)は、ノイズ除去処理(ステップS77)によって得られたノイズ除去後画像からスジ欠陥の検出を行う。スジ欠陥検出工程(ステップS78)における具体的な検出処理の方法は、図2のステップS14の内容と同様である。
【0150】
[検査画像と基準画像の前処理について]
検査画像と基準画像のそれぞれは、第1実施形態から第5実施形態の各実施形態におけるモルフォロジー処理を行う前に、前に何らかの加工、すなわち前処理を行ってもよい。前処理として、例えば、(1)検査画像と基準画像とを比較しやすくするための何らかの画像処理(解像度変換、ガンマ変換、色変換、幾何学変換、空間フィルタリング、検査画像と基準画像間の位置合わせなどの各種画像処理)、(2)予め視覚特性フィルタ(VTF: Visual Transfer Function)などを用いて平滑化する処理、(3)各実施形態で適用するモルフォロジー処理とは別のモルフォロジー処理でノイズ発生因子を予め取り除く処理、などの各種画像処理のうちいずれか一つ又は複数の処理を行ってもよい。
【0151】
検査画像に対する前処理を第1の前処理といい、基準画像に対する前処理を第2の前処理という。検査画像に対する第1の前処理工程は、図2で示した検査画像取得工程(ステップS10)の後、かつ、スジ情報抽出工程(ステップS12)の前に実施される。基準画像に対する第2の前処理工程は、図11で説明した基準画像取得工程(ステップS40)の後、かつステップS42のモルフォロジー処理工程の前に実施される。
【0152】
図15及び図17に示したそれぞれの実施形態の場合の検査画像に対する第1の前処理工程は、検査画像取得工程(ステップS70)の後、かつステップS72の第1のモルフォロジー処理工程の前、かつステップS74の第2のモルフォロジー処理工程の前に実施される。
【0153】
図17に示した実施形態の場合の基準画像に対する第2の前処理工程は、基準画像取得工程(ステップS80)の後、かつステップS82の第1のモルフォロジー処理工程の前、かつステップS82の第2のモルフォロジー処理工程の前に実施される。
【0154】
[第1実施形態に係る画像検査装置の構成]
次に上述した各実施形態の画像検査方法を実施する画像検査装置の構成について説明する。図18は第1実施形態に係る画像検査装置100の構成を示すブロック図である。画像検査装置100の各部の機能は、コンピュータのハードウエア及びソフトウエアの組み合わせによって実現することができる。ソフトウエアはプログラムと同義である。
【0155】
画像検査装置100は、検査画像取得部102と、モルフォロジー処理部104と、直線構造要素格納部106と、差分処理部108と、スジ欠陥検出部110と、情報出力部112と、を備える。検査画像取得部102は、装置の外部又は装置内の他の回路から検査画像50のデータを取り込むインターフェースである。
【0156】
検査画像50は、図示しないラインヘッド型インクジェット印刷装置によって印刷された印刷物120をカメラ122で撮像することによって得られる濃淡画像データである。カメラ122は撮像手段の一形態に相当する。画像検査装置100は、カメラ122を含む構成であってもよいし、カメラ122を含まない構成であってもよい。
【0157】
モルフォロジー処理部104は、オープニング処理部124と、最大値画像作成部126と、を含む。なお、オープニング処理部124に代えて、又は、これと併せて、クロージング処理部を備え、最大値画像作成部126に代えて、又は、これと併せて、最小値画像作成部を備える構成とすることができる。
【0158】
直線構造要素格納部106には、少なくとも一つの非走査方向直線構造要素gi(i=1,2,3,…M)が格納される。ただし、Mは構造要素の数を表し、1以上の整数を示す。M個の非走査方向直線構造要素の集合を非走査方向直線構造要素群と呼ぶ。
【0159】
オープニング処理部124は図3のステップS22の処理を行う。最大値画像作成部126は図3のステップS24の処理を行う。差分処理部108は、最大値画像作成部126により生成される第1の平滑化後検査画像54と、検査画像50と用いて、図3のステップS26で説明したトップハット変換処理を行う。
【0160】
スジ欠陥検出部110は、差分処理部108にて作成された差分画像であるスジ抽出画像58を基に、図2のステップS14で説明したスジ欠陥の検出処理を行う。
【0161】
情報出力部112は、スジ欠陥検出部110によって検出されたスジ欠陥検出情報を出力する出力インターフェースである。
【0162】
検査画像取得部102は「検査画像取得手段」の一形態に相当する。モルフォロジー処理部104は「第1の平滑化後検査画像作成手段」の一形態に相当する。スジ欠陥検出部110は「スジ欠陥検出手段」の一形態に相当する。
【0163】
[第2実施形態に係る画像検査装置の構成]
図19は第2実施形態に係る画像検査装置140の構成を示すブロック図である。図19において図18に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、図19では、記載の簡略化のために、図11に示した直線構造要素格納部106の図示を省略した。
【0164】
図19に示した第2実施形態に係る画像検査装置140は、基準画像格納部142と、ノイズ除去処理部144とを備えている。基準画像格納部142には、予め用意された基準画像60と、第1の平滑化後基準画像64とが格納されている。第1の平滑化後基準画像64は、図11のステップS42によって得られるモルフォロジー処理結果画像62に相当するものである。
【0165】
ノイズ除去処理部144は、差分処理部108にて作成されるスジ抽出画像58に対して、基準画像60と第1の平滑化後基準画像64とを用いて、式4で説明したノイズ除去の処理を行う。スジ欠陥検出部110は、ノイズ除去処理部144によるノイズ除去処理を実施して得られるノイズ除去後画像に基づきスジ欠陥の有無を判定する。
【0166】
なお、式4から明らかなように、第1の平滑化後基準画像64から基準画像60を差し引いた差分処理(トップハット変換処理)後の差分画像である基準差分画像のデータを予め用意しておき、この基準差分画像を使ってノイズ除去処理を実施してもよい。基準画像格納部142には、基準画像60と第1の平滑化後基準画像64とに代えて、又は、これらと併せて、基準差分画像を格納しておくことができる。
【0167】
[第3実施形態に係る画像検査装置の構成]
図18及び図19の各図に示したオープニング処理部124に代えてクロージング処理部を採用し、かつ、最大値画像作成部126に代えて最小値画像作成部を採用する構成とすることができる。
【0168】
[第4実施形態に係る画像検査装置の構成]
図20は第4実施形態に係る画像検査装置150の構成を示すブロック図である。図20において図18に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図20に示した第4実施形態に係る画像検査装置150は、第1のモルフォロジー処理部104Aと、第2のモルフォロジー処理部104Bと、差分処理部152と、を備えている。
【0169】
直線構造要素格納部106には、予め定められた少なくとも一つの非走査方向直線構造要素と、走査方向直線構造要素とが記憶されている。図20において一点鎖線で囲んだ非走査方向直線構造要素gi(i=1,2…M)の集合が非走査方向直線構造要素群を示しており、走査方向直線構造要素を「g0」と記載した。なお、走査方向に近い方向を走査方向と見なして扱う場合には、複数の走査方向直線構造要素を定めておくことができる。予め定められた少なくとも一つの走査方向直線構造要素を走査方向直線構造要素群と呼ぶ。
【0170】
第1のモルフォロジー処理部104Aは、図18のモルフォロジー処理部104と同等の処理を行う。図20の第1のモルフォロジー処理部104Aは、オープニング処理部124Aと最大値画像作成部126Aとを備え、オープニング処理部124Aと最大値画像作成部126Aのそれぞれは、図18で説明したオープニング処理部124と最大値画像作成部126のそれぞれと同等である。第1のモルフォロジー処理部104Aのオープニング処理部124Aは非走査方向直線構造要素の各々を用いてオープニング処理を行う。第1のモルフォロジー処理部104Aによって第1の平滑化後検査画像54が作成される。
【0171】
第2のモルフォロジー処理部104Bは、オープニング処理部124Bと最大値画像作成部126Bとを備え、濃淡画像のモルフォロジー処理を行う。第2のモルフォロジー処理部104Bのオープニング処理部124Bは、非走査方向直線構造要素群と走査方向直線構造要素群とを合わせた全方向の直線構造要素の各々を用いてオープニング処理を行う。最大値画像作成部126Bは、オープニング処理部124Bで得られる各々のオープニング処理後画像を元に最大値画像を作成する。第2のモルフォロジー処理部104Bによって第2の平滑化後検査画像56が作成される。
【0172】
差分処理部152は、第1のモルフォロジー処理部104Aによって作成される第1の平滑化後検査画像54と、第2のモルフォロジー処理部104Bによって作成される第2の平滑化後検査画像56とを用いて、第2の平滑化後検査画像56から第1の平滑化後検査画像54を差し引いた差分画像を作成する。差分処理部152は式8で説明した処理を行う。
【0173】
スジ欠陥検出部110は、差分処理部152によって作成された差分画像である孤立点除去後画像を基にスジ欠陥の有無を判定する。
【0174】
第1のモルフォロジー処理部104Aは第1の平滑化後検査画像作成手段として把握することができる。第2のモルフォロジー処理部104Bは第2の平滑化後検査画像作成手段として把握することができる。
【0175】
[第5実施形態に係る画像検査装置の構成]
図21は第5実施形態に係る画像検査装置160の構成を示すブロック図である。図21において図18から図20に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、図21では図示の簡略化のために、図18に示した印刷物120とカメラ122の図示を省略した。
【0176】
図21に示す第5実施形態に係る画像検査装置160の基準画像格納部142には、基準画像60から作成された第1の平滑化後基準画像64と、第2の平滑化後基準画像66とが格納されている。第1の平滑化後基準画像64は、図17のステップS82で説明した第1のモルフォロジー処理によって作成される。第2の平滑化後基準画像66は、図17のステップS84で説明した第2のモルフォロジー処理によって作成される。
【0177】
ノイズ除去処理部144は、差分処理部152によって作成される孤立点除去後画像から、基準画像60に含まれる走査方向の直線構造成分をノイズ成分として除去する処理を行う。ノイズ除去処理部144は、基準画像格納部142に格納されている第1の平滑化後基準画像64と第2の平滑化後基準画像66を用いて式9で説明したノイズ除去処理を行い、ノイズ除去後画像を作成する。すなわち、ノイズ除去処理部144は図17のステップS77で説明したノイズ除去処理を行う。
【0178】
スジ欠陥検出部110は、ノイズ除去処理部144によって作成されたノイズ除去後画像を基にスジ欠陥の有無を判定する。
【0179】
なお、式9から明らかなように、第2の平滑化後基準画像66から第1の平滑化後基準画像64を差し引いた差分画像である孤立点除去後基準差分画像のデータを予め用意しておき、この孤立点除去後基準差分画像を使ってノイズ除去処理を実施してもよい。基準画像格納部142には、基準画像60と第1の平滑化後基準画像64及び第2の平滑化後基準画像66に代えて、又は、これらと併せて、孤立点除去後基準差分画像を格納しておくことができる。
【0180】
また、差分処理部152を省略し、ノイズ除去処理部144にて、第1の平滑化後検査画像54と、第2の平滑化後検査画像56と、第1の平滑化後基準画像64と、第2の平滑化後基準画像66とを用いて、式9にしたがいノイズ除去後画像を作成する形態も可能である。
【0181】
基準画像60から第1の平滑化後基準画像64を作成する処理を行う処理部は第1の平滑化後基準画像作成手段として把握することができる。基準画像60から第2の平滑化後基準画像66を作成する処理を行う処理部は第2の平滑化後基準画像作成手段として把握することができる。
【0182】
[インクジェット印刷装置の構成例]
図22は実施形態に係るインクジェット印刷装置201の構成を示す側面図である。なお、「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置などの用語と同義である。
【0183】
インクジェット印刷装置201は、ラインヘッドによって枚葉の用紙Pにカラー画像を印刷する枚葉式のラインヘッド型インクジェット印刷装置である。インクジェット印刷装置201は、給紙部210と、処理液塗布部220と、処理液乾燥部230と、描画部240と、インク乾燥部250と、集積部260と、を備える。
【0184】
給紙部210は、用紙Pを1枚ずつ自動で給紙する。給紙部210は、給紙装置212と、フィーダボード214と、給紙ドラム216と、を備える。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする印刷用紙を用いることができる。用紙Pは、画像が記録される媒体の一形態に相当する。用紙Pは、多数枚が積層された束の状態で給紙台212Aに載置される。
【0185】
給紙装置212は、給紙台212Aにセットされた束の状態の用紙Pを上から順に1枚ずつ取り出して、フィーダボード214に給紙する。フィーダボード214は、給紙装置212から受け取った用紙Pを給紙ドラム216へと移送する。
【0186】
給紙ドラム216は、フィーダボード214から給紙される用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液塗布部220へと移送する。
【0187】
処理液塗布部220は、用紙Pに処理液を塗布する。処理液は、インク中の色材成分を凝集、不溶化ないし増粘させる機能を備えた液体である。処理液塗布部220は、処理液塗布ドラム222と、処理液塗布装置224と、を備える。
【0188】
処理液塗布ドラム222は、給紙ドラム216から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液乾燥部230へと移送する。処理液塗布ドラム222は、周面にグリッパ223を備え、そのグリッパ223で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
【0189】
処理液塗布装置224は、処理液塗布ドラム222によって搬送される用紙Pに処理液を塗布する。処理液はローラで塗布される。
【0190】
処理液乾燥部230は、処理液が塗布された用紙Pを乾燥処理する。処理液乾燥部230は、処理液乾燥ドラム232と、温風送風機234と、を備える。処理液乾燥ドラム232は、処理液塗布ドラム222から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを描画部240へと移送する。処理液乾燥ドラム232は、周面にグリッパ233を備える。処理液乾燥ドラム232は、グリッパ233で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを搬送する。
【0191】
温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232の内部に設置される。温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てて、処理液を乾燥させる。
【0192】
描画部240は、描画ドラム242と、ヘッドユニット244と、インラインセンサ248と、を備える。描画ドラム242は、処理液乾燥ドラム232から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをインク乾燥部250へと移送する。描画ドラム242は、周面にグリッパ243を備え、グリッパ243で用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。描画ドラム242は、図示しない吸着機構を備え、周面に巻き付けられた用紙Pを周面に吸着させて搬送する。吸着には、負圧が利用される。描画ドラム242は、周面に多数の吸着穴を備え、この吸着穴を介して内部から吸引することにより、用紙Pを周面に吸着させる。
【0193】
ヘッドユニット244は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kを備える。インクジェットヘッド246C、シアン(C)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Mは、マゼンタ(M)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Yは、イエロー(Y)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Kは、ブラック(K)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれには、対応する色のインク供給源である不図示のインクタンクから不図示の配管経路を介して、インクが供給される。
【0194】
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、各々のノズル面が描画ドラム242の周面に対向して配置される。ここでいう用紙幅は、用紙Pの搬送方向と直交する方向の用紙幅を指す。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kは、描画ドラム242による用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
【0195】
図には示さないが、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々のノズル面には、インクの吐出口である複数個のノズルが二次元配列されている。「ノズル面」とは、ノズルが形成されている吐出面をいい、「インク吐出面」或いは「ノズル形成面」などの用語と同義である。二次元配列された複数個のノズルのノズル配列を「二次元ノズル配列」という。
【0196】
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、複数個のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に関して用紙Pの全記録領域を1回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドである。フルライン型の記録ヘッドはページワイドヘッドとも呼ばれる。規定の記録解像度とは、インクジェット印刷装置201によって予め定められた記録解像度であってもよいし、ユーザの選択により、若しくは、印刷モードに応じたプログラムによる自動選択により設定される記録解像度であってもよい。記録解像度として、例えば、1200dpiとすることができる。dpi(dot per inch)は、1インチ当りのドット数を表す単位表記である。用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向をラインヘッドのノズル列方向と呼び、用紙Pの搬送方向をノズル列垂直方向と呼ぶ場合がある。
【0197】
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。「概ね等間隔」とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差や着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列(「実質的なノズル列」ともいう。)を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
【0198】
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
【0199】
描画ドラム242によって搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が記録される。
【0200】
描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kと用紙Pとを相対移動させる手段として機能している。描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kに対して用紙Pを相対的に移動させ、相対移動手段の一形態に相当する。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出タイミングは、描画ドラム242に設置されたロータリエンコーダ(図1中不図示、図23の符号382として記載)から得られるロータリエンコーダ信号に同期させる。吐出タイミングとは、インクの液滴を吐出するタイミングであり、打滴タイミングと同義である。
【0201】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特色インクなどを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インク(淡インク)を吐出するインクジェットヘッドを追加する構成や、緑色やオレンジ色などの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0202】
インラインセンサ248は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kによって用紙Pに記録された画像を読み取る画像読取部である。インラインセンサ248は、例えば、CCD(charge-coupled device)ラインセンサを用いたラインスキャナで構成される。インラインセンサ248は、撮像手段の一形態に相当する。インラインセンサ248は、図18で説明したカメラ122の役割を果たすことができる。
【0203】
インラインセンサ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、印刷物のスジ欠陥の検出が行われる。また、インラインセンサ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、画像の濃度やインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの吐出不良などの情報が得られる。
【0204】
なお、図には示さないが、インクジェット印刷装置201において、インラインセンサ248とは別に、カメラ122を設置する構成を採用してもよい。インラインセンサ248とカメラ122を併用する場合、カメラ122の設置場所は、インラインセンサ248よりも媒体搬送方向の下流に設置することが望ましい。例えば、カメラ122は、インク乾燥部250による乾燥処理を終えた後の印刷物を撮像する位置に設置される。
【0205】
インク乾燥部250は、描画部240で画像が記録された用紙Pを乾燥処理する。インク乾燥部250は、チェーンデリバリ310と、用紙ガイド320と、温風送風ユニット330と、を備える。
【0206】
チェーンデリバリ310は、描画ドラム242から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを集積部260へと移送する。チェーンデリバリ310は、規定の走行経路を走行する一対の無端状のチェーン312を備え、その一対のチェーン312に備えられたグリッパ314で用紙Pの先端部を把持して、用紙Pを規定の搬送経路に沿って搬送する。グリッパ314は、チェーン312に一定の間隔で複数備えられる。
【0207】
用紙ガイド320は、チェーンデリバリ310による用紙Pの搬送をガイドする部材である。用紙ガイド320は、第1用紙ガイド322と第2用紙ガイド324で構成される。第1用紙ガイド322はチェーンデリバリ310の第1搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。第2用紙ガイド324は、第1搬送区間の後段の第2搬送区間を搬送される用紙をガイドする。温風送風ユニット330は、チェーンデリバリ310によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。
【0208】
集積部260は、チェーンデリバリ310によってインク乾燥部250から搬送されてくる用紙Pを受け取り、集積する集積装置262を備える。
【0209】
チェーンデリバリ310は、所定の集積位置で用紙Pをリリースする。集積装置262は、集積トレイ262Aを備え、チェーンデリバリ310からリリースされた用紙Pを受け取り、集積トレイ262Aの上に束状に集積する。集積部260は排紙部に相当する。
【0210】
図23はインクジェット印刷装置201の制御系の要部構成を示すブロック図である。図23に示したように、インクジェット印刷装置201は、システムコントローラ350と、通信部352と、表示部354と、入力装置356と、画像処理部358と、画像検査装置360と、搬送制御部362と、画像記録制御部364と、を備える。これらの各部の要素は、1台又は複数台のコンピュータによって実現することが可能である。
【0211】
システムコントローラ350は、インクジェット印刷装置201の各部を統括制御する制御手段として機能し、かつ、各種演算処理を行う演算手段として機能する。システムコントローラ350は、中央処理装置(CPU; Central Processing Unit)370と、リードオンリーメモリ(ROM;read-only memory)372と、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)374と、を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROM372には、システムコントローラ350が実行するプログラム、及び、制御に必要な各種データが格納される。
【0212】
通信部352は、所要の通信インターフェースを備える。インクジェット印刷装置201は、通信部352を介して図示せぬホストコンピュータと接続され、ホストコンピュータとの間でデータの送受信を行うことができる。ここでいう「接続」には、有線接続、無線接続、又はこれらの組み合わせが含まれる。通信部352には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。
【0213】
通信部352は、印刷対象の画像を表す画像データを取得するための画像入力インターフェース部としての役割を果たす。
【0214】
表示部354と入力装置356によってユーザーインターフェースが構成される。入力装置356には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボールなど、各種の入力装置を採用することができ、これらの適宜の組み合わせであってもよい。なお、表示部354の画面上にタッチパネルを配置した構成のように、表示部354と入力装置356とが一体的に構成されている形態も可能である。
【0215】
オペレータは、表示部354の画面に表示される内容を見ながら入力装置356を使って印刷条件の入力や、画質モードの選択、故障判定機能の無効化の設定、その他の設定事項の入力、付属情報の入力/編集、情報の検索など各種情報の入力を行うことができる。また、オペレータは、入力内容その他の各種情報を表示部354の表示を通じて確認することができる。表示部354は、エラー情報を報知するエラー情報報知手段として機能する。例えば、印刷物からスジ欠陥が検出された場合に、表示部354の画面にスジ欠陥の検出情報を示すスジ欠陥検出情報が表示される。
【0216】
画像処理部358は、印刷対象の画像データに対する各種の変換処理や補正処理、並びにハーフトーン処理を行う。変換処理には、画素数変換、階調変換、色変換などが含まれる。補正処理には、濃度補正や、不吐出ノズルによる画像欠陥の視認性を抑制するための不吐補正などが含まれる。画像処理部358は、インラインセンサ248から得られる読取画像を基に補正処理を行う。
【0217】
画像検査装置360は、第1実施形態から第5実施形態の各実施形態で説明した画像検査装置のうち、いずれかの装置構成と同等の構成を採用することができる。例えば、画像検査装置360は、図18で説明した画像検査装置100と同等の構成を採用することができる。ただし、図23の構成では、インラインセンサ248が図18におけるカメラ122の役割を果たす。
【0218】
また、画像検査装置360として、図19で説明した画像検査装置140と同等の構成を採用してもよいし、図20で説明した画像検査装置150と同等の構成を採用してもよく、又は図21で説明した画像検査装置160と同等の構成を採用してもよい。
【0219】
なお、画像検査装置360は、システムコントローラ350を含んだ制御装置とは別のコンピュータで構成してもよいし、システムコントローラ350を含んだ制御装置の中の機能ブロックとして内包する構成としてもよい。
【0220】
搬送制御部362は、媒体搬送機構380を制御する。媒体搬送機構380は、図22で説明した給紙部210から集積部260までの用紙Pの搬送に関わる用紙搬送部の機構の全体を含んでいる。媒体搬送機構380には、図22で説明した給紙ドラム216、処理液塗布ドラム222、処理液乾燥ドラム232、描画ドラム242、チェーンデリバリ310などが含まれる。また、媒体搬送機構380には、図示せぬ動力源としてのモータ及びモータ駆動回路などの駆動部が含まれる。
【0221】
搬送制御部362は、システムコントローラ350からの指令に応じて、媒体搬送機構380を制御し、給紙部210から集積部260まで滞りなく用紙Pが搬送されるように制御する。
【0222】
インクジェット印刷装置201は、媒体搬送機構380における描画ドラム242(図22参照)の回転角度を検出する手段としてのロータリエンコーダ382を備えている。
【0223】
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれは、ロータリエンコーダ382が出力するロータリエンコーダ信号から生成される吐出タイミング信号にしたがって吐出タイミングが制御される。
【0224】
画像記録制御部364は、システムコントローラ350からの指令に応じてインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの駆動を制御する。画像記録制御部364は、画像処理部358のハーフトーン処理を経て生成された各インク色のドットデータに基づき、描画ドラム242により搬送される用紙Pに所定の画像を記録するように、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出動作を制御する。
【0225】
<コンピュータを画像検査装置として機能させるプログラムについて>
上述の各実施形態で説明した画像検査装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムをCD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)や磁気ディスクその他のコンピュータ可読媒体(有体物たる非一時的な情報記憶媒体)に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。
【0226】
また、このような情報記憶媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの通信ネットワークを利用してプログラムのデータをダウンロードサービスとして提供することも可能である。
【0227】
このプログラムをコンピュータに組み込むことにより、コンピュータに画像検査装置の機能を実現させることができる。また、本実施形態で説明した画像検査処理の機能を含む印刷制御を実現するためのプログラムの一部又は全部をホストコンピュータなどの上位制御装置に組み込む態様や、インクジェット印刷装置の中央処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用することも可能である。
【0228】
[実施形態の利点]
(1)上述した各実施形態によれば、走査方向以外の方向の直線構造要素を用いて、濃淡画像に対するモルフォロジー処理を実施することにより、検査画像からスジ情報を精度良く抽出することができる。
【0229】
(2)本発明の実施形態は、一般的なエッジ強調による空間フィルタリングを用いる方法に比べ、検査画像が有する走査方向に伸びるスジ情報を大きく劣化させることなく、スジ情報を抽出することができる。
【0230】
(3)また、本発明の実施形態は、スジ欠陥の検出の際の誤検出の原因になりやすい、画像の輪郭成分や走査方向以外の直線成分を除去することができる。このため、スジ欠陥の検出の精度を高めることができる。
【0231】
<実施形態の変形例>
[用紙の搬送手段について]
媒体を搬送する搬送手段は、図22で例示したドラム搬送方式に限らず、ベルト搬送方式、ニップ搬送方式、チェーン搬送方式、パレット搬送方式など、各種形態を採用することができ、これら方式を適宜組み合わせることができる。
【0232】
[画像形成用の媒体について]
画像の記録に用いられる「媒体」という用語は、用紙、記録用紙、印刷用紙、印刷媒体、印字媒体、記録媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの総称である。用紙の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。枚葉の用紙は、予め規定のサイズに整えられたカット紙に限らず、連続用紙から随時、規定のサイズに裁断して得られるものであってもよい。
【0233】
「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、その他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。「画像の記録」は、画像の形成、印刷、印字、描画、プリントなどの用語の概念を含む。
【0234】
[吐出方式について]
インクジェットヘッドのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。液体吐出ヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
【0235】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0236】
10…ラインヘッド、12…ノズル、14…ノズル列、20…媒体、22…ドット、50…検査画像、54…第1の平滑化後検査画像、56…第2の平滑化後検査画像、60…基準画像、64…第1の平滑化後基準画像、66…第2の平滑化後基準画像、100…画像検査装置、102…検査画像取得部、104…モルフォロジー処理部、106…直線構造要素格納部、108…差分処理部、110…スジ欠陥検出部、120…印刷物、122…カメラ、140…画像検査装置、142…基準画像格納部、144…ノイズ除去処理部、150…画像検査装置、201…インクジェット印刷装置、242…描画ドラム、246C,246M,246Y,246K…インクジェットヘッド、248…インラインセンサ、350…システムコントローラ、360…画像検査装置、380…媒体搬送機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23