(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子制御部は、前記第2発光モードにおいて、前記紫色光と前記緑色光とを発光させるように、前記紫色発光素子と前記緑色発光素子とを制御することを特徴とする請求項1または3記載の内視鏡システム。
前記発光素子制御部は、前記第1発光モードにおいて、前記紫色光と前記青色光と前記赤色光とを発光させるように、前記紫色発光素子と前記青色発光素子と前記赤色発光素子とを制御することを特徴とする請求項3記載の内視鏡システム。
前記発光素子制御部は、前記第1発光モードにおいて、前記紫色光を光量PV1で発光させ、前記青色光を光量PB1で発光させ、前記緑色光を光量PG1で発光させ、前記赤色光を光量PR1で発光させ、且つ前記第2発光モードにおいて、前記紫色光を光量PV2で発光させ、前記青色光を光量PB2で発光させ、前記緑色光を光量PG2で発光させ、前記赤色光を光量PR2で発光させ、
前記第1発光モードの場合、前記光量PB1を前記光量PB2よりも大きくし、前記光量PR1を前記光量PR2よりも大きくし、前記光量PV1を前記光量PV2よりも小さくし、前記光量PG1を前記光量PG2よりも小さくし、
前記第2発光モードの場合、前記光量PV2を前記光量PV1よりも大きくし、前記光量PG2を前記光量PG1よりも大きくし、前記光量PB2を前記光量PB1よりも小さくし、前記光量PR2を前記光量PR1よりも小さくするように、前記紫色発光素子と前記青色発光素子と前記緑色発光素子と前記赤色発光素子とを制御することを特徴とする請求項1または3記載の内視鏡システム。
前記発光素子制御部は、前記第1発光モードにおいて、前記紫色光を光量PV1で発光させ、前記青色光を光量PB1で発光させ、前記緑色光を光量PG1で発光させ、前記赤色光を光量PR1で発光させ、且つ前記第2発光モードにおいて、前記紫色光を光量PV2で発光させ、前記青色光を光量PB2で発光させ、前記緑色光を光量PG2で発光させ、前記赤色光を光量PR2で発光させ、
前記第1発光モードの場合、前記光量PV1を前記光量PV2よりも大きくし、前記光量PB1を前記光量PB2よりも大きくし、前記光量PR1を前記光量PR2よりも大きくし、前記光量PG1を前記光量PG2よりも小さくし、
前記第2発光モードの場合、前記光量PG2を前記光量PG1よりも大きくし、前記光量PV2を前記光量PV1より小さくし、前記光量PB2を前記光量PB1よりも小さくし、前記光量PR2を前記光量PR1よりも小さくするように、前記紫色発光素子と前記青色発光素子と前記緑色発光素子と前記赤色発光素子とを制御することを特徴とする請求項1または3記載の内視鏡システム。
前記第1発光モードで出力された画像信号と前記第2発光モードで出力された画像信号とのうち、同じ色の光で照明された被検体を撮像して出力された画像信号間の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、
前記位置ずれ量に基づいて、前記第1発光モードで出力された画像信号と前記第2発光モードで出力された画像信号との間の位置合わせを行う位置合わせ部とを備えることを特徴とする請求項9または10記載の内視鏡システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、波長帯域が互いに隣接する複数色の光を同時に発光させた場合にカラー撮像素子で撮像を行うと、1色の画素が2色以上の光を受光し、いわゆる混色が発生してしまう。例えば、波長帯域が互いに隣接する青色光及び緑色光を同時に発光した場合、緑色画素は、青色光と緑色光との両方の光を受光し、混色が発生する。このため、緑色画素からは、青色光の情報と緑色光の情報とが混在した緑色画像信号が生成される。このような混色が発生すると、モニタに表示する画像の色の再現性が悪化することが問題である。
【0007】
この問題に関して、特許文献1〜3のうちの特許文献3には、画像信号の混色状態を補正する混色補正処理を行うことによって、画像信号の混色状態を補正することが記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の混色補正処理は、混色が発生した状態で出力された画像信号(つまり、混色の影響を受けた画像信号)に対して演算を行うものであり、混色の発生を根本的に防止するものではない。
【0008】
本発明は、複数色の光が同時照射された被検体内をカラー撮像素子で撮像する場合であっても、混色の発生を防止することができる内視鏡システム、内視鏡システムの作動方法、光源装置、光源装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、
紫色光を発する紫色発光素子と、青色光を発する青色発光素子と、赤色光を発する赤色発光素子と、広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、
紫色光、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで
紫色発光素子と青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部と、青色光と
紫色光とに感度を有する青色画素と、赤色光に感度を有する赤色画素と、緑色光に感度を有し、更に青色光及び赤色光のうち少なくともいずれかの光に感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子と、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力する撮像制御部と、画像信号から特定画像を生成する画像処理部とを備える。
また、本発明の内視鏡システムは、青色光を発する青色発光素子と、赤色光を発する赤色発光素子と、広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部と、青色光とに感度を有する青色画素と、赤色光に感度を有する赤色画素と、緑色光に感度を有し、更に青色光及び赤色光のうち少なくともいずれかの光に感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子と、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力する撮像制御部と、画像信号から特定画像を生成する画像処理部とを備え、青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタを有する。
また、本発明の内視鏡システムは、紫色光を発する紫色発光素子と、青色光を発する青色発光素子と、広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、紫色光及び青色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで紫色発光素子と青色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部と、青色光と紫色光とに感度を有する青色画素と、緑色光と青色光とに感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子と、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力する撮像制御部と、画像信号から特定画像を生成する画像処理部とを備える。
また、本発明の内視鏡システムは、青色光を発する青色発光素子と、広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、青色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで青色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部と、青色光に感度を有する青色画素と、緑色光と青色光とに感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子と、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力する撮像制御部と、画像信号から特定画像を生成する画像処理部とを備え、青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタを有する。
【0010】
本発明の内視鏡システムの作動方法は、
紫色発光素子が、紫色光を発するステップと、青色発光素子が、青色光を発するステップと、赤色発光素子が、赤色光を発するステップと、緑色発光素子が、広帯域の緑色光を発するステップと、発光素子制御部が、
紫色光、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで
紫色発光素子と青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替えるステップと、撮像制御部が、青色光と
紫色光とに感度を有する青色画素と、赤色光に感度を有する赤色画素と、緑色光に感度を有し、更に青色光及び赤色光のうち少なくともいずれかの光に感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を制御することで、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力するステップと、画像処理部が、画像信号から特定画像を生成するステップとを備える。
また、本発明の内視鏡システムの作動方法は、青色発光素子が、青色光を発するステップと、赤色発光素子が、赤色光を発するステップと、緑色発光素子が、広帯域の緑色光を発するステップと、発光素子制御部が、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替えるステップと、撮像制御部が、青色光とに感度を有する青色画素と、赤色光に感度を有する赤色画素と、緑色光に感度を有し、更に青色光及び赤色光のうち少なくともいずれかの光に感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を制御することで、第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力するステップと、画像処理部が、画像信号から特定画像を生成するステップとを備え、青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタが設けられている。
【0011】
本発明の光源装置は、青色画素と赤色画素と緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を有する内視鏡に対して、光を供給する内視鏡用の光源装置において、
青色画素に対して感度を有する紫色光を発する紫色発光素子と、青色画素に対して感度を有する青色光を発する青色発光素子と、赤色画素に対して感度を有する赤色光を発する赤色発光素子と、緑色画素に対して感度を有し、更に青色画素及び赤色画素のうち少なくともいずれかの画素に対して感度を有する広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、
紫色光、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで
紫色発光素子と青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部とを備える。
また、本発明の光源装置は、青色画素と赤色画素と緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を有する内視鏡に対して、光を供給する内視鏡用の光源装置において、青色画素に対して感度を有する青色光を発する青色発光素子と、赤色画素に対して感度を有する赤色光を発する赤色発光素子と、緑色画素に対して感度を有し、更に青色画素及び赤色画素のうち少なくともいずれかの画素に対して感度を有する広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部とを備え、青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタを有する。
【0012】
本発明の光源装置の作動方法は、青色画素と赤色画素と緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を有する内視鏡に対して、光を供給する内視鏡用の光源装置の作動方法において、
紫色発光素子が、青色画素に対して感度を有する紫色光を発するステップと、青色発光素子が、青色画素に対して感度を有する青色光を発するステップと、赤色発光素子が、赤色画素に対して感度を有する赤色光を発するステップと、緑色発光素子が、緑色画素に対して感度を有し、更に青色画素及び赤色画素のうち少なくともいずれかの画素に対して感度を有する広帯域の緑色光を発するステップと、発光素子制御部が、
紫色光、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで
紫色光発光素子と青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替えるステップとを備える。
また、本発明の光源装置の作動方法は、青色画素と赤色画素と緑色画素とが設けられたカラー撮像素子を有する内視鏡に対して、光を供給する内視鏡用の光源装置の作動方法において、青色発光素子が、青色画素に対して感度を有する青色光を発するステップと、赤色発光素子が、赤色画素に対して感度を有する赤色光を発するステップと、緑色発光素子が、緑色画素に対して感度を有し、更に青色画素及び赤色画素のうち少なくともいずれかの画素に対して感度を有する広帯域の緑色光を発するステップと、発光素子制御部が、青色光及び赤色光を発光させる第1発光モードと、緑色光を発光させる第2発光モードとで青色発光素子と赤色発光素子と緑色発光素子とを制御し、第1発光モードと第2発光モードとを切り替えるステップとを備え、青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタが設けられている。
【0013】
紫色光を発する紫色発光素子を更に有し、青色画素は、青色光と紫色光に感度を有することが好ましい。
【0014】
発光素子制御部は、第2発光モードにおいて、紫色光と緑色光とを発光させるように、紫色発光素子と緑色発光素子とを制御しても良い。
【0015】
撮像制御部は、各色画素に対応した画像信号を出力し、画像処理部は、第1発光モードで青色画素から出力された第1青色画像信号と、第2発光モードで青色画素から出力された第2青色画像信号とを重み付けして加算した加算青色画像信号を求める信号加算部と、加算青色画像信号と、第1発光モードで赤色画素から出力された第1赤色画像信号と、第2発光モードで緑色画素から出力された第2緑色画像信号とから特定画像を生成する画像生成部とを備えることが好ましい。また、信号加算部は、第2青色画像信号の重み付けを、第1青色画像信号の重み付けよりも大きくすることが好ましい。
【0016】
発光素子制御部は、第1発光モードにおいて、紫色光と青色光と赤色光とを発光させるように、紫色発光素子と青色発光素子と赤色発光素子とを制御してもよい。
【0017】
撮像制御部は、各色画素に対応した画像信号を出力し、画像処理部は、第1発光モードで青色画素から出力された第1青色画像信号と、第1発光モードで赤色画素から出力された第1赤色画像信号と、第2発光モードで緑色画素から出力された第2緑色画像信号とから、特定画像を生成する画像生成部を備えることが好ましい。
【0018】
発光素子制御部は、第1発光モードにおいて、紫色光を光量PV1で発光させ、青色光を光量PB1で発光させ、緑色光を光量PG1で発光させ、赤色光を光量PR1で発光させ、且つ第2発光モードにおいて、紫色光を光量PV2で発光させ、青色光を光量PB2で発光させ、緑色光を光量PG2で発光させ、赤色光を光量PR2で発光させ、第1発光モードの場合、光量PB1を光量PB2よりも大きくし、光量PR1を光量PR2よりも大きくし、光量PV1を光量PV2よりも小さくし、光量PG1を光量PG2よりも小さくし、第2発光モードの場合、光量PV2を光量PV1よりも大きくし、光量PG2を光量PG1よりも大きくし、光量PB2を光量PB1よりも小さくし、光量PR2を光量PR1よりも小さくするように、紫色発光素子と青色発光素子と緑色発光素子と赤色発光素子とを制御しても良い。
【0019】
発光素子制御部は、第1発光モードにおいて、紫色光を光量PV1で発光させ、青色光を光量PB1で発光させ、緑色光を光量PG1で発光させ、赤色光を光量PR1で発光させ、且つ第2発光モードにおいて、紫色光を光量PV2で発光させ、青色光を光量PB2で発光させ、緑色光を光量PG2で発光させ、赤色光を光量PR2で発光させ、第1発光モードの場合、光量PV1を光量PV2よりも大きくし、光量PB1を光量PB2よりも大きくし、光量PR1を光量PR2よりも大きくし、光量PG1を光量PG2よりも小さくし、第2発光モードの場合、光量PG2を光量PG1よりも大きくし、光量PV2を光量PV1より小さくし、光量PB2を光量PB1よりも小さくし、光量PR2を光量PR1よりも小さくするように、紫色発光素子と青色発光素子と緑色発光素子と赤色発光素子とを制御しても良い。
【0020】
第1発光モードで出力された画像信号と第2発光モードで出力された画像信号とのうち、同じ色の光で照明された被検体を撮像して出力された画像信号間の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、位置ずれ量に基づいて、第1発光モードで出力された画像信号と第2発光モードで出力された画像信号との間の位置合わせを行う位置合わせ部とを備えることが好ましい。
【0021】
青色発光素子の光路上に、460nm〜500nmの範囲内の特定波長の光を減衰する減衰フィルタを有することが好ましい。
【0022】
発光素子制御部は、第1発光モード、第2発光モード内において、各色発光素子から光を順次に発光させても良い。また、発光素子制御部は、各色発光素子から光を同時に発光させても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、波長帯域が互いに離間した青色光と赤色光とを発光する第1発光モードで照明中の被検体をカラー撮像素子で撮像し、且つ緑色光を発光する第2発光モードで照明中の被検体をカラー撮像素子で撮像して画像信号を出力することにより、混色の発生を防止することができる内視鏡システム、内視鏡システムの作動方法、光源装置、光源装置の作動方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16と、モニタ18と、コンソール19とを有する。内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続されるとともに、プロセッサ装置16と電気的に接続される。内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けられた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けられた湾曲部12c及び先端部12dとを有している。操作部12bのアングルノブ12eを操作することにより、湾曲部12cは湾曲動作する。この湾曲動作によって、先端部12dが所望の方向に向けられる。
【0026】
また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、モード切り替えスイッチ(以下、モード切替SWという)13が設けられている。モード切替SW13は、観察モードの切り替え操作に用いられる。内視鏡システム10は、観察モードとして通常モードと高画質モードとを有している。通常モードは、白色光の戻り光を撮像して得た自然な色合いの画像(以下、通常画像という)をモニタ18に表示する。高画質モードは、通常画像よりも高画質な高画質画像(特定画像)をモニタ18に表示する。
【0027】
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール19と電気的に接続される。モニタ18は、各観察モードの画像や、画像に付帯する画像情報等を表示する。コンソール19は、機能設定等の入力操作を受け付けるユーザインタフェースとして機能する。なお、プロセッサ装置16には、画像や画像情報等を記録する外付けの記録部(図示省略)を接続してもよい。
【0028】
図2に示すように、光源装置14は、観察対象に照射する照明光を発生させる光源部20と、特定波長の光を減衰する減衰フィルタ21と、光源部20の駆動を制御する発光素子制御部22と、光源部20及び減衰フィルタ21によって生成される光の光路を結合する光路結合部23とを備えている。
【0029】
光源部20は、V−LED(Violet Light Emitting Diode)20a、B−LED(Blue Light Emitting Diode)20b、G−LED(Green Light Emitting Diode)20c、及びR−LED(Red Light Emitting Diode)20dの4色のLEDを有する。
【0030】
図3に示すように、V−LED20aは、中心波長405nm、波長帯域380nm〜420nmの紫色光LVを発光する紫色発光素子である。B−LED20bは、中心波長460nm、波長帯域420nm〜500nmの青色光LBを発光する青色発光素子である。G−LED20cは、波長帯域が480nm〜600nmに及ぶ広帯域の緑色光LGを発光する緑色発光素子である。R−LED20dは、中心波長620nm〜630nmで、波長帯域が600nm〜650nmに及び赤色光LRを発光する赤色発光素子である。なお、V−LED20aとB−LED20bの中心波長は、±5nmから±10nm程度の幅を有する。
【0031】
紫色光LV及び青色光LBは、生体組織表層のヘモグロビンでの吸収が大きく、且つ血管周辺の生体組織内では殆ど拡散せずに反射される光である。緑色光LGは、紫色光LV及び青色光LBよりも生体組織内に深く拡散し、且つヘモグロビンによる吸収も大きい光である。
【0032】
ここで、
図4に示すように、光は、その色(波長)によって観察対象24への深達度が変化し、長波長であるほど深達度が深い。深達度とは、観察対象24の粘膜から、深さ方向に光が到達する度合いを示したものである。そして、粘膜からの深さによって、表層、中層、及び深層と称し、表層のなかでも特に浅く粘膜に近い部分を極表層と称する。血管は、粘膜にも存在するが、表層(及び極表層)以下の深さに多く存在する。粘膜に対して深い位置に存在するほど、太い血管が観察される傾向にある。例えば、極表層〜表層に分布する極表層血管25は最も径が細く、表層付近に分布する表層血管26は極表層血管25よりも径が太く、中層付近に分布する中層血管27はさらに径が太い。血管が太くなる程、血液量が多くなるため、ヘモグロビンが多く含まれる。
【0033】
また、例えば、紫色光LV、青色光LB、及び緑色光LGを観察対象24に照射した場合には、紫色光LVは極表層から表層程度まで到達し、青色光LBは表層程度まで到達し、緑色光LGは中層程度まで到達する。したがって、紫色光LVの戻り光には主に粘膜と極表層血管の情報が含まれ、青色光LBの戻り光には主に粘膜、極表層血管、及び表層血管の情報が含まれ、緑色光LGの戻り光には主に粘膜と中層血管の情報が含まれる。
【0034】
図5に示すように、減衰フィルタ21は、B−LED20bの光路上に設けられ、B−LED20bが発する青色光LBのうち、短波長側の波長帯域(波長帯域が460nm未満)の光を透過し、長波長側の波長帯域(波長帯域が460nm〜500nmの範囲内)の光を減衰する。すなわち、減衰フィルタ21は、青色光LBを特定の波長に帯域制限した青色光(以下、青色制限光という)LBsを生成する。それは、減衰フィルタ21によって青色光LBから青色制限光LBsを生成することで、血管のコントラストが良くなるということが分かっているからである。
【0035】
また、減衰フィルタ21は、模式的に波長460nmで青色光LBを減衰しているが、実際の減衰特性は波長5nm〜10nm程度の幅を持つ。このため、減衰フィルタ21は、波長460nm以上の光を減衰するために、波長450nm付近から透過率が減衰する特性を有する。
【0036】
発光素子制御部22は、各LED20a〜20dの点灯/消灯、及び点灯時の光量を独立に制御することにより、各色光の発光タイミング、発光期間、光量、及び分光スペクトルを調節する。
【0037】
具体的には、
図6に示すように、通常モードでは、V−LED20a、B−LED20b、G−LED20c、及びR−LED20dを全て点灯させることにより、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRを同時に発光させる。これにより、通常モードでは、紫色光LVと青色制限光LBsと緑色光LGと赤色光LRとが光路結合部23によって結合され、観察対象24に照射される。紫色光LVと青色制限光LBsと緑色光LGと赤色光LRとからなる通常光は、それぞれ予め定められた特定の光量に制御され、ほぼ白色とされている。
【0038】
また、キセノンランプ等の白色光源との演色性を維持するためには、観察対象24に照射する紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRの分光スペクトルに離散的な波長帯域がないことが好ましい。このため、減衰フィルタ21の減衰特性は、キセノンランプ等との演色性が維持可能な程度に波長460nm以上の波長帯域の光を低減する特性を有する。
【0039】
一方、発光素子制御部22は、高画質モード時に、第1発光モードと第2発光モードとを切り替える制御を行う。
【0040】
第1発光モードでは、B−LED20b及びR−LED20dを点灯させ、V−LED20a及びG−LED20cを消灯させることにより、青色光LBと赤色光LRを同時に発光させる。青色光LBに関しては、減衰フィルタ21によって青色制限光LBsとされる。これにより、第1発光モードでは、
図7に示すように、青色制限光LBsと赤色光LRとが光路結合部23によって結合され、観察対象24に照射される。
【0041】
第2発光モードでは、V−LED20a及びG−LED20cを点灯させ、B−LED20b及びR−LED20dを消灯させることにより、紫色光LVと緑色光LGを同時に発光させる。これにより、第2発光モードでは、
図8に示すように、紫色光LVと緑色光LGとが光路結合部23によって結合され、観察対象24に照射される。
【0042】
上記のように各LED20a〜20dが発光する各色光は、光路結合部23を介して、挿入部12a内に挿通されたライトガイド29に入射される。ライトガイド29は、内視鏡12及びユニバーサルコード(内視鏡12、光源装置14、及びプロセッサ装置16を接続するコード)内に内蔵されており、光路結合部23からの各色光を内視鏡12に供給することにより、各色光を先端部12dまで伝搬する。なお、ライトガイド29としては、マルチモードファイバを使用することができる。一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3mm〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用することができる。
【0043】
内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bが設けられている。照明光学系30aは照明レンズ32を有している。ライトガイド29からの光は、照明レンズ32を介して、観察対象24に照射される。撮像光学系30bは、対物レンズ34及び撮像素子36を有している。観察対象24からの戻り光は、対物レンズ34に入射し、この対物レンズ34によって撮像素子36の撮像面36aに結像される。
【0044】
撮像素子36は、単板カラー方式のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のカラー撮像素子であり、観察対象24からの戻り光を撮像して画像信号を出力する。撮像素子36の撮像面36aには、光電変換により画素信号を生成する複数の画素が形成されている。
【0045】
図9に示すように、撮像面36aには、カラーフィルタアレイ38が設けられている。カラーフィルタアレイ38は、青色(B)フィルタ38aと、緑色(G)フィルタ38bと、赤色(R)フィルタ38cとで構成されている。各色フィルタ38a,38b,38cは、1つの画素に対応して、その光入射側(つまり、対物レンズ34側)に配置されている。カラーフィルタアレイ38の色配列は、ベイヤー配列と呼ばれるものである。さらに、カラーフィルタアレイ38上には、各画素に対応してマイクロレンズ(図示せず)が設けられている。
【0046】
図10に示すように、Bフィルタ38aは380nm〜560nmの分光透過率を有しており、Gフィルタ38bは450nm〜630nmの分光透過率を有しており、Rフィルタ38cは580nm〜760nmの分光透過率を有している。Bフィルタ38aが設けられた画素(以下、青色画素という)は、青色光LB(及び青色制限光LBs)及び紫色光LVに感度を有し、青色光LB(及び青色制限光LBs)及び紫色光LVの各戻り光を受光して、青色画像信号を出力する。Gフィルタ38bが設けられた画素(以下、緑色画素という)は、緑色光LGに感度を有し、緑色光LGの戻り光を受光して、緑色画像信号を出力する。Rフィルタ38cが設けられた画素(以下、赤色画素という)は、赤色光LRに感度を有し、赤色光LRの戻り光を受光して、赤色画像信号を出力する。しかし、上記分光透過率は一例であり、赤色画素であっても青色光LBに多少感度を有するものや、青色画素であっても赤色光LRに多少感度を有する撮像素子も存在する。
【0047】
なお、緑色画素に関しては、緑色光LGに感度を有するだけでなく、緑色光LGの波長帯域と隣接した波長帯域を有する青色光LB及び赤色光LRのうち少なくともいずれかにも感度を有する。このため、緑色光LGと同時に青色光LBや赤色光LRが照射された場合、緑色画素は、緑色光LGの戻り光のみならず青色光LBや赤色光LRの各戻り光を受光してしまい、混色が発生する。
【0048】
撮像素子36から出力される画像信号は、CDS(Correlated Double Sampling)/AGC(Automatic Gain Control)回路40に送信される。CDS/AGC回路40は、アナログ信号である画像信号に対して、相関二重サンプリング(CDS)や自動利得制御(AGC)を行う。CDS/AGC回路40を経た画像信号は、A(Analog)/D(Digital)コンバータ42により、デジタル画像信号に変換される。そして、A/Dコンバータ42からのデジタル画像信号は、プロセッサ装置16に入力される。
【0049】
プロセッサ装置16は、撮像制御部44と、受信部46と、DSP(Digital Signal Processor)48と、ノイズ除去部50と、画像処理切替部52と、通常画像生成部54と、高画質画像生成部56(画像処理部)と、映像信号生成部58とを備えている。
【0050】
撮像制御部44は、発光素子制御部22から同期信号を受け(あるいは発光素子制御部22に同期信号を入力することにより)、発光素子制御部22の発光タイミングと撮像素子36の撮像フレームとの同期や、撮像素子36からの画像信号の出力の制御を行う。
【0051】
表1に示すように、通常モードの場合、観察対象24に対して通常光が照射されるため、撮像素子36は、1フレーム毎に、通常光のうち、紫色光LVと青色制限光LBsの各戻り光を青色画素で受光して青色画像信号を出力し、緑色光LGの戻り光を緑色画素で受光して緑色画像信号を出力し、赤色光LRの戻り光を赤色画素で受光して赤色画像信号を出力する。この撮像制御は、通常モードに設定されている間、繰り返し行なわれる。
【0053】
一方、高画質モードの場合、表2に示すように、第1発光モード時には観察対象24に対して青色制限光LBs及び赤色光LRが照射されるので、撮像素子36は、第1フレームで、青色制限光LBs及び赤色光LRのうち、青色制限光LBsの戻り光を青色画素で受光して第1青色画像信号を出力し、赤色光LRの戻り光を赤色画素で受光して第1赤色画像信号を出力する。なお、第1発光モード時にも緑色画素から第1緑色画像信号を出力する。
【0055】
表3に示すように、第2発光モード時には観察対象24に対して紫色光LV及び緑色光LGが照射されるので、撮像素子36は、第2フレームで、紫色光LV及び緑色光LGのうち、紫色光LVの戻り光を青色画素で受光して第2青色画像信号を出力し、緑色光LGの戻り光を緑色画素で受光して第2緑色画像信号を出力する。なお、第2発光モード時にも赤色画素から第2赤色画像信号を出力する。
【0057】
第1発光モード時に照射される青色制限光LBsと赤色光LRとは、波長帯域が互いに離間している(
図7参照)。これにより、青色画素は、青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光し、赤色光LRで観察対象24を照明した際の戻り光は受光しないため、青色制限光LBsと赤色光LRとの混色が発生しない。このため、青色画素からは、青色制限光LBsの戻り光を撮像した第1青色画像信号が出力される。このように、第1青色画像信号は、青色制限光LBsと赤色光LRとの混色の影響を受けていない。
【0058】
また、赤色画素は、赤色光LRで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光し、青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の戻り光は受光しないため、青色制限光LBsと赤色光LRとの混色が発生しない。このため、赤色画素からは、赤色光LRの戻り光を撮像した第1赤色画像信号が出力される。このように、第1赤色画像信号は、青色制限光LBsと赤色光LRとの混色の影響を受けていない。
【0059】
一方、第2発光モード時の紫色光LVと緑色光LGとは、波長帯域が互いに離間している(
図8参照)。これにより、青色画素は、紫色光LVで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光し、緑色光LGで観察対象24を照明した際の戻り光は受光しないため、紫色光LVと緑色光LGとの混色が発生しない。このため、青色画素からは、紫色光LVの戻り光を撮像した第2青色画像信号が出力される。このように、第2青色画像信号は、紫色光LVと緑色光LGとの混色の影響を受けていない。
【0060】
また、緑色画素は、緑色光LGで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光し、紫色光LVで観察対象24を照明した際の戻り光は受光しないため、紫色光LVと緑色光LGとの混色が発生しない。このため、緑色画素からは、緑色光LGの戻り光を撮像した第2緑色画像信号が出力される。このように、第2緑色画像信号は、紫色光LVと緑色光LGとの混色の影響を受けていない。
【0061】
このように、第1フレームと第2フレームとの2フレーム分の撮像制御は、高画質モードに設定されている間、繰り返し行なわれる。また、高画質モードでは、第1フレームで出力された第1青色画像信号、及び第1赤色画像信号と、第2フレームで出力された第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号とを利用して、高画質画像の生成が行われる。上述したように第1青色画像信号、第1赤色画像信号、第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号は、混色の影響を受けていないため、高画質モードでは、色の再現性が良い高画質画像が生成される。
【0062】
また、青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の戻り光には表層血管の情報が含まれているため、第1フレームで出力された第1青色画像信号は、表層血管の情報を有する。これに対し、紫色光LVで観察対象24を照明した際の戻り光には極表層血管の情報が含まれているため、第2フレームで出力された第2青色画像信号は、極表層血管の情報を有する。
【0063】
受信部46は、内視鏡12からデジタルの画像信号を受信する。DSP48は、受信した画像信号に対して、画素補間処理、ガンマ補正、色補正処理等の信号処理を施す。ノイズ除去部50は、DSP48で各種信号処理が施された画像信号に対してノイズ除去処理(例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等)を施すことによって、画像信号からノイズを除去する。ノイズが除去された画像信号は、画像処理切替部52に送信される。
【0064】
画像処理切替部52は、モード切替SW13によって通常モードに設定されている場合には、通常モード時に得られる各色画像信号を通常画像生成部54に送信する。また、モード切替SW13によって高画質モードに設定されている場合には、高画質モード時に得られる各色画像信号を高画質画像生成部56に送信する。
【0065】
通常画像生成部54は、通常モードに設定されている場合に作動し、青色画像信号、緑色画像信号、赤色画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行い、通常画像を生成する。色変換処理は、各色画像信号に対して、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(Look Up Table)処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理は、色変換処理済みの各色画像信号に対して行われる。構造強調処理は、色彩強調処理済みの各色画像信号に対して行われ、例えば、表層付近の血管やピットパターン等の観察対象24の構造を強調する。そして、構造強調処理済みの青色画像信号、緑色画像信号、赤色画像信号を用いて通常画像を生成する。生成された通常画像は、映像信号生成部58に順次送信される。
【0066】
高画質画像生成部56は、高画質モードに設定されている場合に作動し、各色画像信号のうち、第1青色画像信号、第1赤色画像信号、第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号を利用して、高画質画像を生成する。高画質画像生成部56は、信号加算部60と、画像生成部62とを備える。なお、高画質画像生成部56は、通常画像生成部54と同様に、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行っても良い。
【0067】
信号加算部60は、第1青色画像信号、第1赤色画像信号、第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号のうち、第1青色画像信号と第2青色画像信号とを画素毎に加算して、加算青色画像信号を求める。
【0068】
図11に示すように、信号加算部60は、加算青色画像信号を生成する場合、第1青色画像信号と第2青色画像信号とのそれぞれに予め設定された重み付けをして加算する。例えば、第1青色画像信号の重み付けを「a」とし、第2青色画像信号の重み付けを「b」とした場合、「a<b」の関係を満たすようにする(すなわち、第2青色画像信号の重み付けを、第1青色画像信号の重み付けよりも大きくする)。具体的には、第1青色画像信号と第2青色画像信号とを、「1:2」の比率で重み付けをして加算する。これにより、加算青色画像信号は、表層血管の情報よりも極表層血管の情報を多く含むようになる。このような加算は、全ての画素について行われる。
【0069】
画像生成部62は、加算青色画像信号、第1赤色画像信号、及び第2緑色画像信号から、高画質画像を生成する。加算青色画像信号には極表層血管の情報が多く含まれているため、高画質画像は、通常画像のような色合いや明るさを保ちつつ極表層血管の走行パターンやピットパターン等が強調される。画像生成部62で生成された高画質画像は、映像信号生成部58に順次送信される。
【0070】
映像信号生成部58は、通常画像生成部54から受信した通常画像、または、高画質画像生成部56から受信した高画質画像を、モニタ18で表示可能な画像として表示するための映像信号に変換し、モニタ18に順次出力する。これにより、モニタ18には、通常画像が入力された場合は通常画像を表示し、高画質画像が入力された場合は高画質画像を表示する。
【0071】
次に、本発明の作用について、
図12に示すフローチャートに沿って説明する。まず、通常モードにおいて、スクリーニングを行う(S10)。このスクリーニング時に、ブラウニッシュエリアや発赤など、病変の可能性がある部位(以下、病変可能性部位という)を検出したときには(S11)、モード切替SW13を操作して、観察モードを高画質モードに切り替える(S12)。
【0072】
観察モードが高画質モードに切り替えられると、発光素子制御部22は、第1発光モードで光源部20を制御し、青色制限光LBsと赤色光LRとを観察対象24に照射させる(S13)。撮像素子36は、第1フレームで、青色制限光LBsと赤色光LRの観察対象24からの各戻り光を撮像し、第1青色画像信号、第1緑色画像信号、及び第1赤色画像信号を出力する(S14)。
【0073】
その後、発光素子制御部22は、発光モードを自動的に切り替え、第2発光モードで光源部20を制御し、紫色光LVと緑色光LGとを観察対象24に照射させる(S15)。撮像素子36は、第2フレームで、紫色光LVと緑色光LGの観察対象24からの各戻り光を撮像し、第2青色画像信号、第2緑色画像信号、及び第2赤色画像信号を出力する(S16)。
【0074】
高画質画像生成部56では、信号加算部60が、第1青色画像信号と第2青色画像信号とを重み付けして加算することにより、加算青色画像信号を算出する(S17)。そして、画像生成部62が、加算青色画像信号、第1赤色画像信号、及び第2緑色画像信号から、高画質画像を生成する(S18)。上記のように生成された高画質画像は、映像信号生成部58で映像信号に変換され、モニタ18に表示される(S19)。高画質モードは、通常モードに切り替えられるか(S20)、診断終了(S21)まで繰り返し行われる。
【0075】
以上のように、本発明は、高画質モードにおいて、波長帯域が互いに離間した青色制限光LBs及び赤色光LRを発光する第1発光モードと、波長帯域が互いに離間した紫色光LV及び緑色光LGを発光する第2発光モードとが交互に切り替えられることにより、各色画素が、それぞれに対応した色の戻り光のみ受光するため、混色の発生を防止することができる。
【0076】
また、高画質画像を生成する際に、第2青色画像信号の重み付けを第1青色画像信号の重み付けよりも大きくした加算青色画像信号を用いることより、表層血管よりも極表層血管が強調された高画質画像が得られる。
【0077】
[第2実施形態]
第1実施形態では、第1発光モード時に青色制限光LBsと赤色光LRとの2色の光を照射し、第2発光モード時に紫色光LVと緑色光LGとの2色の光を照射しているが、第2実施形態では、第1発光モード時に紫色光LVと青色制限光LBsと赤色光LRとの3色の光を照射し、第2発光モード時に緑色光LGのみを照射する。なお、通常モードについては、第1実施形態と同様なので説明を省略し、以下では、高画質モードの場合について説明を行う。
【0078】
紫色光LV及び青色制限光LBsは、両方とも狭帯域の光である。スクリーニングのように遠景観察では、より明るい照明光が用いられることが好ましい。そこで、紫色光LV及び青色制限光LBsを同時に照射し、より明るい照明光とすることによって、青色画像信号の情報が確実に得られるようにする。
【0079】
発光素子制御部22は、第1発光モードでは、V−LED20a、B−LED20b、及びR−LED20dを点灯させて、G−LED20cを消灯させることにより、紫色光LV、青色制限光LBs、及び赤色光LRを同時に発光させる。これにより、第1発光モードでは、
図13に示すように、紫色光LVと青色制限光LBsと赤色光LRとが光路結合部23によって結合され、観察対象24に照射される。
【0080】
表4に示すように、撮像素子36は、第1フレームで、紫色光LV、青色制限光LBs、及び赤色光LRのうち、紫色光LV及び青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の各戻り光を青色画素で受光して第1青色画像信号を出力し、赤色光LRで観察対象24を照明した際の戻り光を赤色画素で受光して第1赤色画像信号を出力する。なお、第1フレームでも緑色画素から第1緑色画像信号を出力する。
【0082】
一方、第2発光モードでは、G−LED20cのみを点灯させて、V−LED20a、B−LED20b、及びR−LED20dを消灯させることにより、緑色光LGのみを発光させる。これにより、第2発光モードでは、
図14に示すように、緑色光LGのみが光路結合部23を介して、観察対象24に照射される。
【0083】
表5に示すように、撮像素子36は、第2フレームで、緑色光LGで観察対象24を照明した際の戻り光を緑色画素で受光して第2緑色画像信号を出力する。なお、第2フレームでも青色画素から第2青色画像信号を出力し、赤色画素から第2赤色画像信号を出力する。
【0085】
第1発光モード時に照射される光のうち、紫色光LV及び青色制限光LBsの波長帯域と、赤色光LRの波長帯域とは互いに離間している。これにより、青色画素は、紫色光LV及び青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の各戻り光を受光し、赤色光LRで観察対象24を照明した際の戻り光は受光しないため、紫色光LV及び青色制限光LBsと、赤色光LRとの間で混色が発生しない。このため、青色画素からは、紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を撮像した第1青色画像信号が出力される。このように、第1青色画像信号は、紫色光LV及び青色制限光LBsと、赤色光LRとの混色の影響を受けていない。
【0086】
また、赤色画素は、赤色光LRで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光し、紫色光LV及び青色制限光LBsで観察対象24を照明した際の各戻り光は受光しないため、赤色光LRと、紫色光LV及び青色制限光LBsとの間で混色が発生しない。このため、赤色画素からは、赤色光LRの戻り光を撮像した第1赤色画像信号が出力される。このように、第1赤色画像信号は、赤色光LRと、紫色光LV及び青色制限光LBsとの混色の影響を受けていない。
【0087】
一方、第2発光モード時には緑色光LGのみが照射される。これにより、緑色画素は、緑色光LGで観察対象24を照明した際の戻り光のみ受光するため、混色が発生しない。このため、緑色画素からは、緑色光LGの戻り光を撮像した第2緑色画像信号が出力される。このように、第2緑色画像信号は、混色の影響を受けていない。
【0088】
なお、第2実施形態では、高画質画像の生成を行う際に、第1青色画像信号と第2青色画像信号との加算が行われない。このため、高画質画像生成部56には、信号加算部60が設けられていない。そして、画像生成部62では、第1青色画像信号、第1赤色画像信号、及び第2緑色画像信号から、色の再現性が良い高画質画像が生成される。
【0089】
以上のように、第2実施形態では、高画質モードにおいて、紫色光LV、青色制限光LBs及び赤色光LRを発光する第1発光モードと、緑色光LGのみを発光する第2発光モードとが交互に切り替えられることにより、紫色光LV及び青色制限光LBsと、赤色光LRと、緑色光LGとの間で混色の発生を防止することができる。また、第1青色画像信号には極表層血管と表層血管との両方の情報が含まれているため、高画質画像は、極表層血管と表層血管との両方が強調される。
【0090】
[第3実施形態]
第1、第2実施形態では、高画質モードにおいて、一部のLEDを点灯させ、その他のLEDを消灯させているが、第3実施形態では、全てのLEDを点灯させ、且つ第1発光モードと第2発光モードとの間で各LEDから発光させる光の光量を異ならせる。
【0091】
発光素子制御部22は、第1、第2発光モード時に、V−LED20a、B−LED20b、G−LED20c、及びR−LED20dの全てを点灯させることにより、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG及び赤色光LRの4色の光を発光させる。
【0092】
また、発光素子制御部22は、第1発光モードに切り替えられた場合、
図15に示すように、紫色光LVの光量を光量PV1に設定し、青色制限光LBsの光量を光量PBs1に設定し、緑色光LGの光量を光量PG1に設定し、赤色光LRの光量を光量PR1に設定する。なお、青色制限光LBsの光量PBs1は、青色光LBの光量を光量PB1に制御することによって設定される。
【0093】
一方、第2発光モードに切り替えられた場合、
図16に示すように、紫色光LVの光量を光量PV2に設定し、青色制限光LBsの光量を光量PBs2に設定し、緑色光LGの光量を光量PG2に設定し、赤色光LRの光量を光量PR2に設定する。なお、青色制限光LBsの光量PBs2は、青色光LBの光量を光量PB2に制御することによって設定される。
【0094】
発光素子制御部22は、第1発光モードと第2発光モードとの間で、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRの各光量を異ならせるように、各LED20a〜20dを制御する。
【0095】
具体的には、紫色光LVの光量に関しては、光量PV1と光量PV2とがPV1<PV2の関係を満たすように、第1発光モードと第2発光モードとでV−LED20aを制御する。例えば、光量PV1は、光量PV2の1/10の光量とする。
【0096】
青色制限光LBsの光量に関しては、光量PBs1と光量PBs2とがPBs1>PBs2の関係を満たすように、第1発光モードと第2発光モードとでB−LED20bを制御する。例えば、光量PBs2は、光量PBs1の1/10の光量とする。
【0097】
緑色光LGの光量に関しては、光量PG1と光量PG2とがPG1<PG2の関係を満たすように、第1発光モードと第2発光モードとでG−LED20cを制御する。例えば、光量PG1は、光量PG2の1/10の光量とする。
【0098】
赤色光LRの光量に関しては、光量PR1と光量PR2とがPR1>PR2の関係を満たすように、第1発光モードと第2発光モードとでR−LED20dを制御する。例えば、光量PR2は、光量PR1の1/10の光量とする。
【0099】
これにより、第1発光モードでは、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRが同時に発光するが、青色制限光LBsの光量PBs1と赤色光LRの光量PR1については、第2発光モード時の青色制限光LBsの光量PBs2と赤色光LRの光量PR2よりもそれぞれ大きくされた分光スペクトルとなる。これに対して、紫色光LVの光量PV1と緑色光LGの光量PG1については、第2発光モード時の紫色光LVの光量PV2と緑色光LGの光量PG2よりもそれぞれ小さくされた分光スペクトルとなる。
【0100】
一方、第2発光モードでは、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRが同時に発光するが、紫色光LVの光量PV2と緑色光LGの光量PG2については、第1発光モード時の紫色光LVの光量PV1と緑色光LGの光量PG1よりもそれぞれ大きくされた分光スペクトルとなる。これに対して、青色制限光LBsの光量PBs2と赤色光LRの光量PR2については、第1発光モード時の青色制限光LBsの光量PBs1と赤色光LRの光量PR1よりもそれぞれ小さくされた分光スペクトルとなる。
【0101】
表6に示すように、第1発光モードでは、撮像素子36は、第1フレームで、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRのうち、紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を青色画素で受光して第1青色画像信号を出力し、緑色光LGの戻り光を緑色画素で受光して第1緑色画像信号を出力し、赤色光LRの戻り光を赤色画素で受光して第1赤色画像信号を出力する。
【0103】
表7に示すように、第2発光モードでは、撮像素子36は、第2フレームで、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRのうち、紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を青色画素で受光して第2青色画像信号を出力し、緑色光LGの戻り光を緑色画素で受光して第2緑色画像信号を出力し、赤色光LRの戻り光を赤色画素で受光して第2赤色画像信号を出力する。
【0105】
第1発光モード時に照射される光のうち、青色制限光LBsの波長帯域と、紫色光LVの波長帯域及び緑色光LGの波長帯域とは互いに隣接しているものの、紫色光LVの光量PV1及び緑色光LGの光量PG1は、青色制限光LBsの光量PBs1よりも小さく設定されている。これにより、青色画素は、紫色光LV及び緑色光LGの各戻り光よりも青色制限光LBsの戻り光を多く受光するので、青色制限光LBsと、紫色光LV及び緑色光LGとの間で混色の発生が抑制される。なお、青色制限光LBsと赤色光LRとは、波長帯域が互いに離間しているため、混色が発生しない。このため、青色画素からは、青色制限光LBsの戻り光を多く撮像した第1青色画像信号が出力される。このように、第1青色画像信号は、青色制限光LBsと、紫色光LV及び緑色光LGとの混色の影響が抑制されている。
【0106】
また、第1発光モード時に照射される光のうち、赤色光LRの波長帯域と、緑色光LGの波長帯域とは互いに隣接しているものの、緑色光LGの光量PG1は、赤色光LRの光量PR1よりも小さく設定されている。これにより、赤色画素は、緑色光LGの戻り光よりも赤色光LRの戻り光を多く受光するので、赤色光LRと緑色光LGとの間で混色の発生が抑制される。このため、赤色画素からは、赤色光LRの戻り光を多く撮像した第1赤色画像信号が出力される。このように、第1赤色画像信号は、赤色光LRと緑色光LGとの混色の影響が抑制されている。
【0107】
一方、第2発光モード時に照射される光のうち、紫色光LVの波長帯域と青色制限光LBsの波長帯域とは互いに隣接しているものの、青色制限光LBsの光量PBs2は、紫色光LVの光量PV2よりも小さく設定されている。これにより、青色画素は、青色制限光LBsの戻り光よりも紫色光LVの戻り光を多く受光するので、紫色光LVと青色制限光LBsとの間で混色の発生が抑制される。なお、紫色光LVは、緑色光LG及び赤色光LRとは、波長帯域が互いに離間しているため、混色が発生しない。このため、青色画素からは、紫色光LVの戻り光を多く撮像した第2青色画像信号が出力される。このように、第2青色画像信号は、紫色光LVと青色制限光LBsとの混色の影響が抑制されている。
【0108】
また、第2発光モード時に照射される光のうち、緑色光LGの波長帯域と、青色制限光LBsの波長帯域及び赤色光LRの波長帯域とは互いに隣接しているものの、青色制限光LBsの光量PBs2及び赤色光LRの光量PR2は、緑色光LGの光量PG2よりも小さく設定されている。これにより、緑色画素は、青色制限光LBs及び赤色光LRの各戻り光よりも緑色光LGの戻り光を多く受光するので、緑色光LGと、青色制限光LBs及び赤色光LRとの間で混色の発生が抑制される。このため、緑色画素からは、緑色光LGの戻り光を多く撮像した第2緑色画像信号が出力される。このように、第2緑色画像信号は、緑色光LGと、青色制限光LBs及び赤色光LRとの混色の影響が抑制されている。
【0109】
また、第3実施形態では、第1、第2実施形態の高画質画像生成部56に代えて、
図17に示すように、高画質画像生成部70が設けられている。高画質画像生成部70には、位置ずれ補正部72が設けられている。位置ずれ補正部72は、第1フレームで出力された画像信号と、第2フレームで出力された画像信号との2フレーム間の位置合わせを行う。
【0110】
図18に示すように、位置ずれ補正部72は、位置ずれ量算出部74と、位置合わせ部76とを備えている。位置ずれ量算出部74は、第1フレームと第2フレームとで出力された各色画像信号のうち、同じ色の光で照明された観察対象24からの戻り光を撮像して出力された画像信号間の位置ずれ量を算出する。例えば、緑色光LGで照明された観察対象24からの戻り光を撮像して出力された第1、第2緑色画像信号の全画素について、第1、第2緑色画像信号の比較演算を行うことにより、X方向の位置ずれ量とY方向の位置ずれ量を求める。これらX方向及びY方向の位置ずれ量が、第1フレームと第2フレームとの2フレーム間の位置ずれ量に相当する。
【0111】
なお、位置ずれ量を算出するために第1、第2緑色画像信号を用いる理由は、第1、第2青色画像信号、又は第1、第2赤色画像信号を用いる場合と比較して、位置ずれ量を正確に求められるからである。位置ずれ量を正確に求めるためには、第1フレームで出力される画像信号と第2フレームで出力される画像信号とのそれぞれから得られる画像に、同じ構造が写っていることが好ましい。ここで、第1、第2青色画像信号の生成に必要な紫色光LVと青色制限光LBsとは、第1フレームと第2フレームとで分光スペクトルが大きく異なっているため(
図15、
図16参照)、第1、第2青色画像信号のそれぞれから得られる画像に写っている構造が異なっている。具体的には、第1青色画像信号から得られる画像には極表層血管の構造よりも表層血管の構造が多く写っており、第2青色画像信号から得られる画像には表層血管の構造よりも極表層血管の構造が多く写っている。また、第1、第2赤色画像信号の生成に必要な赤色光LRは、観察対象で吸収することなく大部分が反射することから、第1、第2赤色画像信号には血管などの構造がほとんど写っていない。
【0112】
これに対して、第1、第2緑色画像信号の生成に必要な緑色光LGは、第1フレームと第2フレームとで分光スペクトルがそれほど大きく変わらないため(
図15、
図16参照)、第1、第2緑色画像信号のそれぞれから得られる画像に写っている構造はほぼ同じである。そのため、第1、第2緑色画像信号からは、位置ずれ量を正確に求めることができる。
【0113】
位置合わせ部76は、位置ずれ量算出部74で求めた位置ずれ量を用いて、第1フレームで出力された画像信号と、第2フレームで出力された画像信号との間の位置合わせを行う。具体的には、高画質画像を生成する際に利用する第1青色画像信号及び第1赤色画像信号と、第2青色画像信号及び第2緑色画像信号との間で位置合わせを行う。位置合わせを行う際は、第1フレームで出力された画像信号を、位置ずれ量の分だけフレーム間の位置ずれを打ち消す方向に移動させる。これにより、第1フレームで出力された画像信号の位置が、第2フレームで出力された画像信号の位置に合わせられ、これら2フレーム間の位置ずれが解消される。なお、これとは反対に、第2フレームで出力された画像信号を移動させて第1フレームで出力された画像信号に合わせてもよい。また、高画質画像を生成する際に利用する画像信号だけでなく、第1フレームで出力された全画像信号と、第2フレームで出力された全画像信号との間で位置合わせを行っても良い。
【0114】
高画質画像生成部70では、位置合わせが行われた第1青色画像信号、第1赤色画像信号、第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号に対して、上記第1実施形態と同様に、加算青色画像信号の算出等の各種処理が施された後、高画質画像が生成される。
【0115】
以上のように、第3実施形態では、高画質モードにおいて高画質画像を生成する際に、混色の影響が抑制された第1青色画像信号、第1赤色画像信号、第2青色画像信号、及び第2緑色画像信号が用いられるため、通常画像よりも色の再現性が良い高画質画像が得られる。また、同じ色の光から得られる2フレーム間の画像信号を用いて位置ずれが補正されるため、より鮮明な高画質画像となる。
【0116】
さらに、各LED20a〜20dが常時点灯されているため、第1発光モードと第2発光モードとを切り替えるたびに各LED20a〜20dの点灯/消灯を繰り返す場合と比較して、各色光の光量が予め設定された特定の光量になるまでの時間(いわゆる、立ち上がり時間)が短縮される。このような立ち上がり時間の短縮により、予め設定された特定の光量で撮像が行われる時間が長く得られるため、高画質画像の明るさを向上させることができる。
【0117】
[第4実施形態]
第4実施形態では、第3実施形態と同様に、高画質モードにおいて、全てのLEDを点灯させ、第1発光モードと第2発光モードとの間で各LEDから発光させる光の光量を異ならせるが、各LEDから発光させる光の光量のパターンが第3実施形態とは異なっている。
【0118】
図19に示すように、発光素子制御部22は、第1発光モードでは、紫色光LVの光量を光量PV1に設定し、青色制限光LBsの光量を光量PBs1に設定し、緑色光LGの光量を光量PG1に設定し、赤色光LRの光量を光量PR1に設定する。
【0119】
図20に示すように、第2発光モードでは、紫色光LVの光量を光量PV2に設定し、青色制限光LBsの光量を光量PBs2に設定し、緑色光LGの光量を光量PG2に設定し、赤色光LRの光量を光量PR2に設定する。
【0120】
このように、高画質モードの場合、紫色光LV、青色制限光LBs、赤色光LR、及び緑色光LGが同時に発光するが、第1発光モードでは、紫色光LVの光量PV1、青色制限光LBsの光量PBs1、及び赤色光LRの光量PR1については、第2発光モード時の紫色光LVの光量PV2、青色制限光LBsの光量PBs2、及び赤色光LRの光量PR2よりもそれぞれ大きくされた分光スペクトルとなる。これに対して、緑色光LGの光量PG1については、第2発光モード時の緑色光LGの光量PG2よりも小さくされた分光スペクトルとなる。
【0121】
一方、第2発光モードでは、緑色光LGの光量PG2については、第1発光モード時の緑色光LGの光量PG1よりも大きくされた分光スペクトルとなる。これに対して、紫色光LVの光量PV2、青色制限光LBsの光量PBs2、及び赤色光LRの光量PR2については、第1発光モード時の紫色光LVの光量PV1、青色制限光LBsの光量PBs1、及び赤色光LRの光量PR1よりもそれぞれ小さくされた分光スペクトルとなる。
【0122】
第1発光モード時に照射される光のうち、紫色光LV及び青色制限光LBsの波長帯域と、緑色光LGの波長帯域とは互いに隣接しているものの、緑色光LGの光量PG1は、紫色光LVの光量PV1及び青色制限光LBsの光量PBs1よりも小さく設定されている。これにより、青色画素は、緑色光LGの戻り光よりも紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を多く受光するので、紫色光LV及び青色制限光LBsと、緑色光LGとの間で混色の発生が抑制される。なお、紫色光LV及び青色制限光LBsと、赤色光LRとは、波長帯域が互いに離間しているため、混色が発生しない。このため、青色画素からは、紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を多く撮像した第1青色画像信号が出力される。このように、第1青色画像信号は、紫色光LV及び青色制限光LBsと、緑色光LGとの混色の影響が抑制されている。
【0123】
また、第1発光モード時に照射される光のうち、赤色光LRの波長帯域と、緑色光LGの波長帯域とは互いに隣接しているものの、緑色光LGの光量PG1は、赤色光LRの光量PR1よりも小さく設定されている。これにより、赤色画素は、緑色光LGの戻り光よりも赤色光LRの戻り光を多く受光するので、赤色光LRと緑色光LGとの間で混色の発生が抑制される。このため、赤色画素からは、赤色光LRの戻り光を多く撮像した第1赤色画像信号が出力される。このように、第1赤色画像信号は、赤色光LRと緑色光LGとの混色の影響が抑制されている。
【0124】
一方、第2発光モード時に照射される光のうち、緑色光LGの波長帯域と、青色制限光LBsの波長帯域及び赤色光LRの波長帯域とは互いに隣接しているものの、青色制限光LBsの光量PBs2及び赤色光LRの光量PR2は、緑色光LGの光量PG2よりも小さく設定されている。これにより、緑色画素は、青色制限光LBs及び赤色光LRの各戻り光よりも緑色光LGの戻り光を多く受光するので、緑色光LGと、青色制限光LBs及び赤色光LRとの間で混色の発生が抑制される。なお、緑色光LGと紫色光LVとは、波長帯域が互いに離間しているため、混色が発生しない。このため、緑色画素からは、緑色光LGの戻り光を多く撮像した第2緑色画像信号が出力される。このように、第2緑色画像信号は、緑色光LGと、青色制限光LBs及び赤色光LRとの混色の影響が抑制されている。
【0125】
第4実施形態の位置合わせ部76は、
図21に示すように、位置ずれ量算出部74で求めたフレーム間の位置ずれ量を用いて、高画質画像の生成に利用される第1青色画像信号及び第1赤色画像信号と、第2緑色画像信号との間の位置合わせを行う。この2フレーム間の位置合わせについては、第3実施形態と同様である。
【0126】
高画質画像生成部70では、位置合わせが行われた第1青色画像信号、第1赤色画像信号、及び第2緑色画像信号に対して、上記第2実施形態と同様に、各種画像処理が施され、高画質画像が生成される。
【0127】
以上のように、第4実施形態では、高画質モードにおいて高画質画像を生成する際に、混色の影響が抑制された第1青色画像信号、第1赤色画像信号、及び第2緑色画像信号が用いられるため、通常画像よりも色の再現性が良い高画質画像が得られる。また、同じ色の光から得られる2フレーム間の画像信号を用いて位置ずれが補正されるため、より鮮明な高画質画像となる。
【0128】
さらに、各LED20a〜20dが常時点灯されているため、第3実施形態と同様に、各LED20a〜20dの立ち上がり時間の短縮により、所定の光量で撮像が行われる時間が長く得られ、高画質画像の明るさを向上させることができる。
【0129】
なお、発光素子制御部22は、第2実施形態の第1発光モードと、第1実施形態の第2発光モードとを切り替える制御を行うことができる。つまり、発光素子制御部22は、第1発光モード時に紫色光LVと青色制限光LBsと赤色光LRとの3色の光を照射させ(
図13参照)、第2発光モード時に紫色光LVと緑色光LGとの2色の光を照射させる(
図8参照)。
【0130】
この場合、撮像素子36は、第1発光モードにおいて、第1フレームで、紫色光LV及び青色制限光LBsの各戻り光を青色画素で受光して第1青色画像信号を出力し、赤色光LRの戻り光を赤色画素で受光して第1赤色画像信号を出力する。一方、第2発光モードにおいて、第2フレームで、紫色光LVの戻り光を青色画素で受光して第2青色画像信号を出力し、緑色光LGの戻り光を緑色画素で受光して第2緑色画像信号を出力する。
【0131】
また、第1発光モードと第2発光モードとの両方で紫色光LVが照射されるため、位置ずれ補正部72により、第1青色画像信号と第2青色画像信号とを用いて位置合わせを行っても良い。さらに、信号加算部60により、第1青色画像信号と第2青色画像信号とを加算して、加算青色画像信号を算出しても良い。
【0132】
なお、第1〜第4実施形態では、第1発光モード時に発光させる複数色の光を第1フレームの期間内で同時に発光させているが、これら複数色の光を第1フレームの期間内で順次に発光させても良い。同様に、第2発光モード時に発光させる複数色の光を第2フレームの期間内で順次に発光させても良い。このように、第1発光モード、及び第2発光モード内で複数色の光を順次に発光させた場合でも、上記第1〜第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0133】
第1〜第4実施形態では、通常モードの場合、V−LED20aを点灯させることにより、紫色光LV、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRの4色の光を観察対象24に照射させているが、V−LED20aを消灯させ、青色制限光LBs、緑色光LG、及び赤色光LRの3色の光を観察対象24に照射させても良い。
【0134】
また、信号加算部60によって加算青色画像信号を生成する場合、第2青色画像信号の重み付けを、第1青色画像信号の重み付けよりも大きくしているが、第1青色画像信号の重み付けを、第2青色画像信号の重み付けよりも大きくしても良い。このようにした場合、加算青色画像信号は、極表層血管の情報よりも表層血管の情報を多く含むようになる。このように、第1青色画像信号と第2青色画像信号との重み付けは適宜設定可能である。
【0135】
本発明において、第1発光モードで照明中の観察対象24を撮像して画像信号を出力し、第2発光モードで照明中の観察対象24を撮像して画像信号を出力するようにしているが、それに留まらず、
図22に示すように、第1発光モードで照明中の観察対象24を撮像し、第2発光モードで照明中の観察対象24を撮像して、画像信号を出力してもよい。その場合、撮像素子36は、画素単位で蓄積時間を制御できることが好ましい。蓄積時間は、発光素子の発光期間と同期していることが好ましい。
【0136】
具体例として、第1発光モードで青色制限光LBs及び赤色光LRが照射され、第2発光モードで緑色光LGが照射される場合について説明を行う。発光素子制御部22は、B−LED20b、G−LED20c、及びR−LED20dを制御して、青色制限光LBs、赤色光LR、及び緑色光LGのうち、青色制限光LBsの光量PBs1を最も大きく設定し(
図22では、「光量:大」と表記)、赤色光LRの光量PR1を最も小さく設定する(
図22では、「光量:小」と表記)。緑色光LGの光量PG2は、光量PBs1よりも小さく、且つ光量PR1よりも大きく設定する(
図22では、「光量:中」と表記)。
【0137】
また、発光素子制御部22は、各色光を発光させる発光期間を制御する。青色制限光LBsの発光期間は、発光モードが第1発光モードに切り替えられてから時間T1が経過するまでとし、赤色光LRの発光期間は、発光モードが第1発光モードに切り替えられてから時間T2が経過するまでとし、緑色光LGの発光期間は、発光モードが第2発光モードに切り替えられてから時間T3が経過するまでとする。これら時間T1、T2、及びT3は、T3>T1、T2の関係を満たす。このため、赤色光LRの発光期間は長くされ(
図22では、「期間:長」と表記)、青色制限光LBsの発光期間及び緑色光LGの発光期間は、赤色光LRの発光期間よりも短くされている(
図22では、「期間:短」と表記)。このように、光量の大きさと発光期間の長さを制御することにより、高画質画像の明るさや色合いが制御される。特に、上記のような光量及び発光期間に設定することによって、各色光の総光量が一定に保持され、白色光のような色合いや明るさが保たれる。
【0138】
撮像制御部44は、各色光の発光期間に同期して撮像素子36の蓄積時間を制御する蓄積制御を行う。蓄積時間は、画素が受光した戻り光を、その光量に応じた信号電荷に変換して蓄積する時間である。第1発光モードでは第1蓄積制御が行われ、第2発光モードでは第2蓄積制御が行われる。第1蓄積制御では、青色画素は、青色制限光LBsの発光期間に、青色制限光LBsが発光する時間T1と同じ時間だけ青色制限光LBsの戻り光を信号電荷として蓄積する。また、赤色画素は、赤色光LRの発光期間に、赤色光LRが発光する時間T2と同じ時間だけ赤色光LRの戻り光を信号電荷として蓄積する。一方、第2蓄積制御では、緑色画素は、緑色光LGの発光期間に、緑色光LGが発光する時間T3と同じ時間だけ緑色光LGの戻り光を信号電荷として蓄積する。
【0139】
また、撮像素子36は、第1蓄積制御と第2蓄積制御が行われた際に、各色画素から信号電荷の読出しが行われ、この信号電荷を画像信号に変換して出力する。具体的には、青色画素から信号電荷の読出しを行い、この信号電荷を第1青色画像信号及び第2青色画像信号に変換して出力する。同様に、緑色画素から信号電荷の読出しを行い、この信号電荷を第1緑色画像信号及び第2緑色画像信号に変換して出力する。赤色画素から信号電荷の読出しを行い、この信号電荷を第1赤色画像信号及び第2赤色画像信号に変換して出力する。
【0140】
また、本発明は、後述する付記項に示す構成要素を有する内視鏡システムとして構成した場合でも、本発明の課題を解決することができる。
【0141】
[付記項1]
青色光を発する青色発光素子と、
赤色光を発する赤色発光素子と、
広帯域の緑色光を発する緑色発光素子と、
紫色光を発する紫色発光素子と、
前記青色光と前記赤色光と前記紫色光とを発光させ、且つ前記青色光の光量と前記紫色光の光量とが特定の光量比にされた第1発光モードと、前記緑色光を発光させる第2発光モードとで前記青色発光素子と前記赤色発光素子と前記緑色発光素子と前記紫色発光素子とを制御し、前記第1発光モードと前記第2発光モードとを切り替える制御を行う発光素子制御部と、
前記青色光と前記紫色光に感度を有する青色画素と、前記赤色光に感度を有する赤色画素と、前記緑色光に感度を有し、更に前記青色光と前記紫色光と前記赤色光とのうち少なくともいずれかの光に感度を有する緑色画素とが設けられたカラー撮像素子と、
前記第1発光モードで照明中の被検体を撮像し、且つ前記第2発光モードで照明中の被検体を撮像して画像信号を出力する撮像制御部と、
前記画像信号から特定画像を生成する画像処理部とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【0142】
[付記項2]
前記発光素子制御部は、前記紫色光の光量を、前記青色光の光量よりも大きくすることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡システム。
【0143】
付記項2に係る内視鏡システムによれば、極表層血管の情報が多く含まれた紫色光の光量を、表層血管の情報が多く含まれた青色光の光量よりも大きくすることにより、表層血管よりも極表層血管が強調された特定画像が生成される。
【0144】
[付記項3]
前記発光素子制御部は、前記青色光の光量を、前記紫色光の光量よりも大きくすることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡システム。
【0145】
付記項3に係る内視鏡システムによれば、表層血管の情報が多く含まれた青色光の光量を、極表層血管の情報が多く含まれた紫色光の光量よりも大きくすることにより、極表層血管よりも表層血管が強調された特定画像が生成される。