特許第6247766号(P6247766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247766
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】パウチ型二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20171204BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
   H01M2/06 K
   H01M2/08 K
   H01M10/04 W
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-536636(P2016-536636)
(86)(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公表番号】特表2016-539478(P2016-539478A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】KR2015010069
(87)【国際公開番号】WO2016064099
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0141739
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヒュン
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−507208(JP,A)
【文献】 特表2009−532843(JP,A)
【文献】 特開2008−052932(JP,A)
【文献】 特表2012−533858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/06
H01M 2/14
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ型二次電池であって、
セル及び電極を備えた電極組立体と、前記電極組立体を収容する収容空間とを備えてなり、
前記電極組立体の上下部の板面をそれぞれ覆う上部シート及び下部シートを備えたパウチと、及び
前記収容空間中の前記電極組立体が占める空間以外の空の空間であるテラスを覆う前記上部シート及び前記下部シートを厚さ方向に圧着させた、前記上部シート及び前記下部シートが接して形成されたテラスシーリングとを備えてなり、
前記上部シート及び前記下部シートのうち少なくとも一つ以上を厚さ方向に貫通して形成された少なくとも一つ以上のシート貫通孔を備えてなり、
前記シート貫通孔が、前記テラスシーリングと重畳する位置にある、パウチ型二次電池。
【請求項2】
前記テラスシーリングは、前記シートの厚さ方向と交差する平面上の断面が円形、多角形、及び無定形のうちいずれか一つである、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項3】
前記テラスシーリングの断面は、前記電極組立体と接する部分に空の空間が発生しないように電極組立体に沿って形成された線を有する、請求項2に記載のパウチ型二次電池。
【請求項4】
前記電極組立体の板面が多角形である場合、前記テラスシーリングが、多角形状の電極組立体の各コーナー部のうち少なくとも一つ以上に形成されたものである、請求項1〜3の何れか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項5】
前記電極組立体の電極と電気的に連結され、前記パウチの外部に一端部が露出する電極リードをさらに備えてなり、
前記パウチが、前記上部シート及び前記下部シートの外郭領域に沿って接合されたものであり、前記電極組立体を密封する外郭密封領域を備えてなり、
前記テラスシーリングが、前記外郭密封領域、前記電極組立体、及び前記電極リードによって取り囲まれて形成されたものである、請求項1〜4の何れか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項6】
前記テラスシーリングは、前記シートの厚さ方向と交差する方向の断面が前記外郭密封領域、前記電極組立体、及び前記電極リードに全て接する形状である、請求項5に記載のパウチ型二次電池。
【請求項7】
前記テラスの一つに、複数のテラスシーリングを備えてなり、
前記テラスシーリングの一つに、複数の貫通孔を備えてなり、及び/又は、
前記シート貫通孔の断面形状が、前記テラスシーリングの断面形状と同一又は異なる形状であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項8】
パウチ型二次電池の製造方法であって、
前記パウチ型二次電池が、セル及び電極を備えた電極組立体と、前記電極組立体を収容する収容空間とを備えてなり、
前記電極組立体の上下部の板面をそれぞれ覆う上部シート及び下部シートを含むパウチを設ける段階と、
前記電極組立体を前記パウチの収容空間に収納する段階と、
前記収容空間中の前記電極組立体が占める空間以外の空の空間であるテラスを覆う前記上部シート及び前記下部シートを厚さ方向に圧着して接合し、テラスシーリングを形成する段階と、及び
前記テラスシーリングを形成する前または前記テラスシーリングを形成した後に、前記上部シート及び前記下部シートを厚さ方向に貫通するシート貫通孔を形成する段階とを含んでなり、
前記シート貫通孔が、前記テラスシーリングと重畳する位置に形成することを特徴とする、パウチ型二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記テラスシーリングを形成する段階において、前記シートの厚さ方向と交差する平面での前記テラスシーリングの断面が円形、多角形、及び無定形のうちいずれか一つに形成してなる、請求項8に記載のパウチ型二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記テラスシーリングの断面は、前記電極組立体と接する部分に空の空間が発生しないように電極組立体に沿って形成された線を有してなる、請求項9に記載のパウチ型二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記電極組立体の板面が長方形である場合、前記テラスシーリングを形成する段階は、長方形状の電極組立体の各コーナー部のうち少なくとも一つ以上に前記テラスシーリングを形成するものである、請求項8〜10の何れか一項に記載のパウチ型二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ型二次電池及びその製造方法に関し、より具体的には、電極組立体を安定的に固定し、内部短絡を防止できるパウチ型二次電池及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加すると共に、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、その結果、多様な要求に応えることができる電池に対する多くの研究が行われている。
【0003】
代表的に、電池の形状面では、薄い厚さで携帯電話などの各製品に適用できる角形二次電池とパウチ型二次電池に対する需要が高く、材料面では高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性のリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0004】
そして、図1は、一般的なパウチ型二次電池を示した分解斜視図で、パウチ型二次電池100は、電極組立体20と、電極組立体20から延長されている電極タブ21と、電極タブ21に溶接されている電極リード23、24と、電極組立体20を収容するパウチ30とを含んで構成される。
【0005】
ここで、電極組立体20は、分離膜が介在した状態で正極と負極が順次積層されている発電素子であって、スタック型またはスタック/フォールディング型構造からなり、電極タブ21は電極組立体20の各極板から延長形成される。
【0006】
また、電極リード23、24は、各極板から延長された複数の電極タブ21と溶接によってそれぞれ電気的に連結されており、パウチ30の外部に一部が露出する。このとき、電極リード23、24の上下面の一部には、パウチ30との密封度を高めると同時に、電気的絶縁状態を確保するために絶縁フィルム(図示せず)が付着する。
そして、パウチ30は、アルミニウムラミネートシートからなっており、電極組立体20を収容できる空間を提供する。
【0007】
パウチ型二次電池は、電極組立体20と電極リード23、24がパウチ30のシーリング部位に固定されることによって固定力が弱く、電極組立体20がパウチ30の内部で流動するという問題を有していた。
【0008】
一方、図2は、パウチに電極組立体が載せられるとき、電極タブと電極リードが配置されることを示す概念図であって、電極組立体20の正極集電体21aから突出している多数の正極タブ21は溶接によって正極リード23と一体に連結される。
【0009】
そのような正極リード23は、正極タブ溶着部が連結されている対向端部23aが露出した状態でパウチ30によって密封され、多数の正極タブ21が一体に結合されて溶着部を形成することによって、パウチ30の内部上端は、電極組立体20の上端面から一定の距離だけ離隔しており、溶着部の各正極タブ21は、延長方向と交差する方向に折り曲げられている。図2に示したように、電極タブと電極リードとの結合部位は、V字状と類似する形状に結合され、V―フォーミング(V―forming)部位と称することもある。このような電極タブと電極リードとの結合部位により、図1に示したように、パウチ30の内部空間で電極組立体20及び電極リード23、24が占めていない空の空間であるテラス(terrace)40が形成される。
【0010】
従来のパウチ型二次電池は、落下または振動によって衝撃を受けると、空の空間であるテラス40によって電極組立体20が電池ケースとの界面に沿って容易に移動する。
【0011】
特に、パウチ30の内部に注入されるリチウム塩含有電解液は、電極組立体20とパウチ30との界面で一種の潤滑油として作用し、電極組立体20の移動をさらに促進するだけでなく、電極組立体20の移動はV―フォーミング部位で互いに異なる各電極の接触による内部短絡の原因となり、究極的に電池の安全性を低下させるので、パウチ型電池を製造するにおいて安全性を確保できる方案が必要な実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10―0884945号
【特許文献2】日本国特許公開公報第2005―038613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであって、電極組立体を収納するパウチに形成されたテラスを密封するテラスシーリングを備えたパウチ型二次電池を提供することができる。
【0014】
また、テラスシーリングに貫通孔を形成し、電池の製造時に発生するガスを排出しながらも貫通孔をテラスシーリングを通じて密封できるパウチ型二次電池を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るパウチ型二次電池は、セル及び電極を含む電極組立体;電極組立体を収容する収容空間を備えており、電極組立体の上下部の板面をそれぞれ覆う上部及び下部シートを含むパウチ;及び収容空間中の電極組立体が占める空間以外の空の空間であるテラスを覆う上部及び下部シートを厚さ方向に圧着し、上部及び下部シートが接して形成されるテラスシーリング;を含む。
【0016】
本発明に係るパウチ型二次電池において、テラスシーリングは、シートの厚さ方向と交差する平面上の断面が円形、多角形、及び無定形のうちいずれか一つに形成されることが好ましい。
【0017】
本発明に係るパウチ型二次電池において、テラスシーリングの断面は、電極組立体と接する部分に空の空間が発生しないように電極組立体に沿って形成された線を有することが好ましい。
【0018】
本発明に係るパウチ型二次電池において、電極組立体の板面が多角形である場合、テラスシーリングは、多角形状の電極組立体の各コーナー部のうち少なくとも一つ以上に形成されることが好ましい。
【0019】
本発明に係るパウチ型二次電池において、電極組立体の電極と電気的に連結され、パウチの外部に一端部が露出する電極リードをさらに備えている。そして、パウチは、上部及び下部シートの外郭領域に沿って接合して電極組立体を密封する外郭密封領域を備えている。また、テラスシーリングは、外郭密封領域、電極組立体及び電極リードによって取り囲まれて形成されることが好ましい。
【0020】
本発明に係るパウチ型二次電池において、テラスシーリングは、シートの厚さ方向と交差する方向の断面が外郭密封領域、電極組立体及び電極リードに全て接する形状に形成されることが好ましい。
【0021】
本発明に係るパウチ型二次電池において、上部及び下部シートのうち少なくとも一つ以上を厚さ方向に貫通して形成される少なくとも一つ以上のシート貫通孔を含み、シート貫通孔は、テラスシーリングと重畳する位置に形成されることが好ましい。
【0022】
本発明に係るパウチ型二次電池の製造方法は、セル及び電極を含む電極組立体と、電極組立体を収容する収容空間を備えており、電極組立体の上下部の板面をそれぞれ覆う上部及び下部シートを含むパウチとを設ける段階;電極組立体をパウチの収容空間に収納する段階;及び収容空間中の電極組立体が占める空間以外の空の空間であるテラスを覆う上部及び下部シートを厚さ方向に圧着して接合させ、テラスシーリングを形成する段階;を含む。
【0023】
本発明に係るパウチ型二次電池の製造方法において、テラスシーリングを形成する段階は、シートの厚さ方向と交差する平面でのテラスシーリングの断面が円形、多角形、及び無定形のうちいずれか一つに形成されることが好ましい。
【0024】
本発明に係るパウチ型二次電池の製造方法において、テラスシーリングの断面は、電極組立体と接する部分に空の空間が発生しないように電極組立体に沿って形成された線を有することが好ましい。
【0025】
本発明に係るパウチ型二次電池の製造方法において、電極組立体の板面が長方形である場合、テラスシーリングを形成する段階は、長方形状の電極組立体の各コーナー部のうち少なくとも一つ以上にテラスシーリングを形成することが好ましい。
【0026】
本発明に係るパウチ型二次電池の製造方法において、テラスシーリングを形成する前またはテラスシーリングを形成した後に、上部及び下部シートを厚さ方向に貫通するシート貫通孔を形成する段階をさらに含み、シート貫通孔は、テラスシーリングと重畳する位置に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の各実施例によると、電極組立体を収納するパウチのテラスを遮断する上下部のシートにシート貫通孔を選択的に形成し、製造時に発生するガスを排出しながらも前記シート貫通孔をテラスシーリングを通じて密封し、電極組立体を安定的に固定するだけでなく、内部短絡を防止することができ、究極的には優れた安全性を確保できる二次電池を提供することができる。また、製造工程で貫通孔を介してパウチ内部のガスを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、一般的なパウチ型二次電池を示した分解斜視図である。
図2図2は、パウチに電極組立体が載せられるときに電極タブと電極リードが配置されることを示す概念図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を示した斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を概略的に示す平面図である。
図5図5は、図3のV―V線断面図である。
図6図6a〜dは、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池のテラスシーリングの各変形例を示す平面図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を複数連続的に整列したことを示す概念図である。
図8図8は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を製造する方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
10 パウチ型二次電池 20 電極組立体
21 正極タブ 22 負極タブ
23 正極リード 24 負極リード
30 パウチ 31 上部シート
32 下部シート 33 密封領域
40 テラス 50 テラスシーリング
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例に対して添付の図面を参考にして詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。明細書全体にわたって類似する部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0031】
また、明細書全体において、所定の部分が所定の構成要素を「含む」としたとき、これは、特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書全体において、「〜上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味するのではない。
【0032】
図3は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を示した斜視図で、図4は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を概略的に示す平面図で、図5は、図3のV―V線断面図である。
図3及び図4を参照すると、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池10は、電極組立体20;パウチ30;及びテラスシーリング50;を含んで構成される。
【0033】
電極組立体20は、単位セルの組立体からなる。単位セルは、正極活物質がコーティングされた正極板を含む正極、負極活物質がコーティングされた負極板を含む負極、及び正極と負極とを電気的に分離する分離膜を含んで構成される。
【0034】
正極は、正極板上に正極活物質、導電剤及び結着剤の混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要に応じては、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0035】
正極板には、主にアルミニウム(Al)材質を用いるが、ステンレススチール、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、焼成炭素(C)またはアルミニウム(Al)や、ステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀(Ag)などで表面処理したものを使用することができ、二次電池に化学的変化をもたらさないと共に、高い導電性を有する材質であれば、これに制限されずに使用可能である。
負極は、負極板上に負極活物質を塗布、乾燥して製作され、必要に応じて上述した各成分がさらに含まれることもある。
【0036】
負極板には、主に銅(Cu)材質を用いるが、ステンレススチール、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、焼成炭素(C)、銅や、ステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものやアルミニウム―カドミウム合金などを使用することができる。負極板は、前記正極板のように表面に微細な凹凸構造を形成し、活物質の結合力が強化されるように構成することができ、フィルム、シート、ホイル、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に具現することができる。
【0037】
分離膜は、正極と負極との間で前記各電極を絶縁させる分離膜であって、通常知られているポリオレフィン系分離膜や、オレフィン系基材に有無機複合層が形成された複合分離膜などを全て使用することができ、特別に限定されることはない。
【0038】
また、隣接する各単位セルの間には電気的絶縁のための分離膜が介在する。このとき、単位セルは、最外郭電極の極性が同一のバイセル構造または最外郭電極の極性が互いに反対のフルセル構造で形成することができる。
【0039】
そして、電極組立体20は、単位セルの積層方式によって多様な構造に形成可能である。すなわち、電極組立体20は、単純スタック構造、スタック/フォールディング型構造、ゼリー―ロール構造などに形成することができる。
【0040】
単純スタック構造は、複数の単位セルを順次積層させた構造を示し、スタック/フォールディング型構造は、複数の単位セルを帯状の分離膜上に一定の間隔で配置させた後、いずれか一側方向に巻いて、フォールディングされた各分離膜の間に単位セルが挿入された構造を示し、ゼリー―ロール構造は、帯状に単位セルを作り、単位セルを一定の方向に巻いた構造を示した。
【0041】
電極組立体20には、それぞれの極板から延長された互いに異なる極性を有する電極タブ21、22が装着される。電極タブ21、22は、極板と同一の材質で形成されると共に、同一の極性を有する電極リード23、24と溶接を通じて結合される。すなわち、電極タブ21、22においては、正極に該当する正極タブ21は正極リード23と結合され、負極に該当する負極タブ22は負極リード24と結合される。
電極リード23、24は、このように電極組立体20の電極と電気的に連結され、パウチ30の外部に一端部が露出し得る。
【0042】
本実施例では、電極組立体20の板面が長方形に形成され、以下では、このような形状に構成された電極組立体20を説明するが、本発明の実施形態がこれに限定されることはない。
【0043】
電極組立体20を収納するパウチ30は、電極組立体20を収容する収容空間を備えており、前記電極組立体20の上下部の板面をそれぞれ覆う上部及び下部シート31、32を含む。
【0044】
上部及び下部シート31、32は、それぞれに電極組立体20を収容できる空間を備えており(図1参照)、上部及び下部シート31、32の電極組立体20が収容される空間はプレス(press)加工などを通じて陥没形成することができる。
【0045】
上部及び下部シート31、32は、絶縁役割をする絶縁膜と、絶縁膜上に配置され、加熱圧着するときに溶けて密封できるようにする熱接着膜と、絶縁膜と熱接着膜との間への水分浸透を防止するために金属からなる金属膜とが積層された形態に構成することができる。
【0046】
絶縁膜は、外部から電池を保護する役割をするので、機械的強度に優れたナイロン、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)などからなり、通常、金属膜はアルミニウムで形成することができる。熱接着膜は、熱接着特性を有して接着剤としての役割をし、ポリオレフィン系樹脂層、C―PP(Casted Polypropylene)などからなり得る。
【0047】
下部シート32の収容空間に電極組立体20を載せると、収容空間中の電極組立体20が占める空間以外の空の空間であるテラス40:41、42、43、44が発生する。電極組立体20の上部に上部シート31の収容空間を位置させ、下部シート32に上部シート31を接合することによって電極組立体20を密封するが、上部及び下部シート31、32は、加熱圧着方式によって接合し、パウチ30の収容空間を密封するようになる。上部及び下部シート31、32の外郭領域に沿って形成された外郭密封領域33を接合し、収容空間を密封することができる。
【0048】
パウチ30の収容空間を密封するとき、テラス40に対応する部分の上部及び下部シート31、32を厚さ方向(z軸方向)に圧着すると、上部及び下部シート31、32が接するようになるが、ここで、上部及び下部シート31、32が接する領域がテラスシーリング50である。また、テラスシーリング50は、外郭密封領域33、電極組立体20及び電極リード23、24によって取り囲まれて形成された領域であり得る。
【0049】
電極組立体20の板面が多角形である場合、テラスシーリング50は、多角形状の電極組立体の各コーナー部のうち少なくとも一つ以上に形成することができる。図4に示したように、電極組立体20の板面が長方形であると、四つのコーナーにそれぞれテラス41、42、43、44を形成することができる。図4では、四つのコーナーの全てにテラスシーリング50が形成されたことを例示したが、四つのコーナーのうちいずれか一つにのみテラスシーリング50が形成されてもよい。そして、このときのテラスシーリング50は、略直方体形状に形成されるが、パウチ30と電極組立体20の構造によってその形状が変わり得ることを明らかにする。
【0050】
テラスシーリング50形成工程を通じて製造工程で発生するガスを外部に排出し、テラス40の内部に装着される電極組立体20をより堅固に固定及び支持することができる。
【0051】
図6a〜図6dは、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池のテラスシーリングの各変形例を示す平面図である。
【0052】
テラスシーリング50の形状は、シートの厚さ方向と交差する平面(x―y平面)の断面が円形、多角形、及び無定形のうちいずれか一つに形成され、図6a〜図6dに示したように多様な形状から選択可能である。
【0053】
テラスシーリング50の断面は、図6aに示したように円形に形成されてもよく、図6bに示したように、一つのテラスに二つのテラスシーリング50が形成されてもよい。
【0054】
そして、シートの厚さ方向と交差する平面(x―y平面)上のテラスシーリング50の断面は、外郭密封領域33、電極組立体20及び電極リード23、24に全て接する形状であることが好ましい。例示として、テラスシーリング50が図6dに示したように星状に形成されると、星の各頂点が外郭密封領域33、電極組立体20及び電極リード23、24に全て接するように形成される。
【0055】
また、テラスシーリング50の断面は、電極組立体20と接する部分に空の空間が発生しないように電極組立体に沿って形成された線50aを有することが好ましい(図4参照)。
【0056】
シート貫通孔38は、上部及び下部シート31、32のうち少なくとも一つ以上を厚さ方向に貫通して形成されるホールであって、各テラスシーリング50と重畳する位置に形成される。すなわち、シート貫通孔38の周囲はテラスシーリング50で取り囲まれており、これによって、パウチ30の内外部に電池構成物質が出入りすることを防止することによって、パウチ30の密封性を維持することができる。
【0057】
シート貫通孔38は、図6aに示したように、一つのテラスシーリング50に一つ形成されてもよく、図6bに示したように、一つのテラスに二つのテラスシーリング50が形成された場合は各テラスシーリング50ごとに形成されてもよい。また、図6cに示したように、一つのテラスシーリング50に複数のシート貫通孔38が形成されてもよい。そして、シート貫通孔38の断面形状は、円形のみならず、図6dに示したように、テラスシーリング50の断面形状に対応した形状であってもよく、他の多様な形態であってもよい。
【0058】
図7は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を複数連続的に整列したことを示す概念図である。
【0059】
図7に示したように、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を並んで積層する場合、これらを整列し、シート貫通孔38の位置を積層方向に一致させた後、支持バー60によって安定的に固定及び保管することができる。
【0060】
本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池10に流動や外力が伝達されると、パウチ30の収容空間33に形成される電極組立体20が、テラス40に形成されたテラスシーリング50を通じて固定及び支持されることによって、電極組立体20の損傷を防止するだけでなく、内部短絡を防止することができ、究極的には優れた安全性を確保することができる。
【0061】
このように本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池は、電極組立体が収容されるパウチに形成されるテラスに装着されるテラスシーリング部を通じて電極組立体を固定しながらも、伝達される熱を外部に放出するという長所を得ることができる。
以下では、図面を参照して本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池の製造方法に対して説明する。
【0062】
図8は、本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池を製造する方法を示すフローチャートである。
【0063】
本発明の一実施例に係るパウチ型二次電池の製造方法は、電極組立体及びパウチを設ける段階(S100);電極組立体を収納する段階(S200);テラスシーリング形成段階(S400);及びシート貫通孔形成段階(S400)を含む。
【0064】
まず、単位セルは、正極活物質がコーティングされた正極板、負極活物質がコーティングされた負極板、及び正極板と負極板とを電気的に分離する分離膜を含む電極組立体20を装着する。
【0065】
そして、電極組立体20を構成するそれぞれの極板から延長された互いに異なる極性を有する電極タブ21を装着した後、電極タブ21、22に同一の材質で形成されると共に、同一の極性を有する電極リード23、24を溶接結合する。
【0066】
次に、電極組立体20を上部及び下部シート31、32の収容空間33に収納した後、加熱圧着方式を用いて上部及び下部シート31、32を密封し、電極組立体20が収納されるパウチ30を挿入装着した1次シーリングを行う。
このとき、パウチ30は、電極組立体20のサイズより大きく形成され、内部には活性化充放電によるガスが発生するようになる。
【0067】
そして、パウチ30の一側をカッティングした後、活性化充放電によるパウチ30の内部に収容されたガスを除去した後、開放されたパウチ30の一側を再びシーリングして仕上げる。
【0068】
次に、パウチ30の再シーリング過程でさらに発生し得るガスを除去するために、パウチ30にシート貫通孔38を形成する。シート貫通孔38を形成する工程は、後述するテラスシーリング50を形成した後で行うこともできる。
【0069】
すなわち、電極組立体20が充填されていないパウチ30のテラス40を遮断している上部及び下部シート31、32、または上部シート31または下部シート32にシート貫通孔38を形成し、パウチ30の内部に収容されるガスを除去するようになる。
その後、テラス40を覆う前記上部及び下部シート31、32を厚さ方向に圧着して接合させ、テラスシーリング50を形成する。
テラスシーリング50の形状などの技術的特徴は上述した通りであるので、それについての詳細な説明は省略する。
【0070】
以上では、添付の図面を参照して本願発明であるパウチ型二次電池を説明するにおいて特定形状及び方向を主に説明したが、本発明は、当業者によって多様な変形及び変更が可能であり、このような変形及び変更は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8