特許第6247795号(P6247795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247795画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247795
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20171204BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20171204BHJP
   H04N 1/409 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H04N5/232 290
   G06T5/00 710
   H04N1/40 101D
【請求項の数】14
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-514103(P2017-514103)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2016062173
(87)【国際公開番号】WO2016171091
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-88232(P2015-88232)
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】林 健吉
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 洋介
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅彦
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/136322(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/155755(WO,A1)
【文献】 特開2011−123589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G06T 5/00
H04N 1/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力部と、
前記画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定部と、
前記判定部で判定された前記第1の画像データに対し、前記光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う前記第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理部と、
前記判定部で判定された前記第2の画像データに対し、前記光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う前記第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データの光量を検出する光量検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記光量検出部が検出した光量に基づいて前記第1の画像データ又は前記第2の画像データかを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記画像データが取得された時刻に基づいて前記第1の画像データ又は前記第2の画像データかを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の画像データに対して非線形な階調補正を行う階調補正処理部をさらに備え、
前記階調補正処理部は、前記位相補正が行われた前記第1の画像データに対して前記非線形な階調補正を行い、
前記第1の復元処理部は、前記非線形な階調補正が行われた前記第1の画像データに対して、前記振幅復元を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の画像データに対して非線形な階調補正を行う階調補正処理部をさらに備え、
前記階調補正処理部は、前記振幅復元が行われた前記第1の画像データに対して前記非線形な階調補正を行い、
前記第1の復元処理部は、前記非線形な階調補正が行われた前記第1の画像データに対して、前記位相補正を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の復元処理部及び前記第2の復元処理部の復元処理演算に使用する共通の復元処理演算部、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データに対して非線形な階調補正を行う共通の階調補正演算部、及び前記第1の画像データ及び前記第2の画像データに対して輪郭強調処理を行う共通の輪郭強調処理部のうち少なくとも1つをさらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の画像データにおける前記可視光の光量と前記近赤外光の光量との光量比を検出する光量比検出部をさらに備え、
前記第2の復元処理部は、前記光量比検出部が検出した前記光量比に応じて、前記光学系の前記可視光の変調伝達関数と前記光学系の前記近赤外光の変調伝達関数に基づいて生成された前記第2の復元フィルタを用いる請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の復元フィルタ及び前記第2の復元フィルタを記憶する記憶部をさらに備える請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の復元フィルタ及び前記第2の復元フィルタを生成するフィルタ生成部をさらに備える請求項1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
光学系と、
近赤外光を補助光として発光する近赤外光発光部と、
前記光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定部と、
前記取得した前記第1の画像データに対し、前記光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う前記第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理部と、
前記取得した前記第2の画像データに対し、前記光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う前記第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理部と、
を備える撮像装置。
【請求項11】
前記画像取得部は、可視光像を撮像する場合を基準にして像面位置が設定されている請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力ステップと、
前記画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定ステップと、
判定ステップで判定された前記第1の画像データに対し、前記光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う前記第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理ステップと、
判定ステップで判定された前記第2の画像データに対し、前記光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う前記第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理ステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項13】
光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力ステップと、
前記画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定ステップと、
判定ステップで判定された前記第1の画像データに対し、前記光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う前記第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理ステップと、
判定ステップで判定された前記第2の画像データに対し、前記光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う前記第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的有形媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に可視光や近赤外光を光源とする画像に対して点拡がり関数に基づく画像処理を行う画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学系を介して撮像される被写体像には、光学系に起因する回折や収差等の影響により、点被写体が微小な広がりを持つ点拡がり現象が見られることがある。光学系の点光源に対する応答を表す関数は点拡がり関数(PSF:Point Spread Function)と呼ばれ、撮像画像の解像度劣化(ボケ)を左右する特性として知られている。
【0003】
点拡がり現象のために画質劣化した撮像画像は、PSFに基づく点像復元処理(復元処理)を受けることで画質を回復することが可能である。この点像復元処理は、レンズ(光学系)の収差等に起因する劣化特性(点像特性)を予め求めておき、その点像特性に応じた復元フィルタ(回復フィルタ)を用いた画像処理によって撮像画像の点拡がりをキャンセル又は低減する処理である。
【0004】
点像復元の処理は、振幅復元処理と、位相補正処理とに大別することができる。振幅復元処理は、光学系によって劣化した変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)特性を等化(equalize)するもの、すなわち回復するものであり、位相補正処理は、光学系によって劣化した位相伝達関数(PTF:Phase Transfer Function)特性を等化するもの、すなわち回復するものである。
【0005】
直感的には、位相補正処理は非点対称なPSF形状をなるべく点対称な形状に戻すように、周波数依存で像を移動させるものである。
【0006】
振幅復元処理及び位相補正処理は、信号処理としては同時に適用することができるが、フィルタ係数の設計方法を変えることによって、どちらか片方のみの補正とすることも可能である。
【0007】
例えば特許文献1には、振幅復元処理と位相補正処理とを行う点像復元処理及び位相補正を伴わない振幅復元処理を行う点像復元処理を行う技術が開示されている。
【0008】
また例えば特許文献2には、可視光や近赤外光を照射することにより得た画像に対して、可視光と近赤外光とでは演算係数を変えて点像復元処理(コンボリューション演算)を行う技術が開示されている。
【0009】
一方で、定点に設置され昼夜を問わず撮像が行われるカメラとして監視カメラなどがある。監視カメラのような形態のカメラでは、日中、薄暮、黎明、及び夜間における撮像条件で適切な画像を取得することが要求される。例えば、監視カメラが薄暮に近赤外光及び可視光を光源とする画像を取得し、夜間に近赤外光のみを光源とする画像を取得する場合、監視カメラは、近赤外光及び可視光を光源とする画像に適した画像処理を行うこと及び近赤外光のみを光源とする画像に適した画像処理を行うことが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2014/148074号公報
【特許文献2】特開2008−113704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、ボケが発生している画像の画像データに対して、適切な復元フィルタを使用して点像復元処理における振幅復元処理と位相補正処理との両方を実行することにより、ボケは正確に補正される。例えば、被写体の近赤外光像を撮像した画像に対しては、光学系に近赤外光を通して得たPSFに基づいて生成された復元フィルタ(近赤外光復元フィルタ)を使用して、点像復元処理における振幅復元処理と位相補正処理との両方を実行することにより、ボケがきれいに補正される。
【0012】
一方で、復元フィルタが適切でない場合に、点像復元処理における振幅復元処理と位相補正処理との両方を行う強い処理を行うと、点像復元処理が正常に行われず却って不自然な画像となるおそれがある。
【0013】
また、可視光と近赤外光との混合光により被写体が撮像される場合のPSFは、可視光で被写体が撮像される場合及び近赤外光で被写体が撮像される場合のPSFとは異なる。そうすると、可視光と近赤外光との混合光で撮像された画像に対して、光学系についての可視光に対するPSFに基づき生成された復元フィルタ(可視光復元フィルタ)又は光学系についての赤外光に対するPSFに基づき生成された近赤外光復元フィルタは、点像復元処理における振幅復元処理と位相補正処理との両方を行う強い処理を行う上では、適切でない場合がある。
【0014】
また、光学系についての可視光に対するPSF及び赤外光に対するPSFの両者に基づき生成された復元フィルタを用いる場合でも、薄暮や黎明の時間帯のように可視光と近赤外光との混合具合が刻々と変化する状況では、用意された復元フィルタの元になるPSFと実際のPSFとが異なる状況も生じ易い。このため、点像復元処理における振幅復元処理と位相補正処理との両方を行う強い処理を行う上では、適切でない場合がある。
【0015】
よって、可視光及び近赤外を光源とする画像の画像データに対して、可視光復元フィルタ又は近赤外光復元フィルタを使用して、振幅復元及び位相補正の両方を行う強い点像復元処理を行ってしまうと、点像復元処理が正常に行われず却って不自然な画像となるおそれがある。
【0016】
したがって、取得した(又は入力された)画像の光源により点像復元処理の内容(振幅復元及び位相補正の両方を行う又はどちらか一方を行う)を切り替える必要がある。
【0017】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、取得した画像の光源によって、振幅復元処理と位相補正処理とを行う点像復元処理、及び位相補正を伴わない振幅復元処理の切り替えは行われていない。
【0018】
また、特許文献2に記載された技術では、可視光画像及び近赤外光画像に対して演算係数を変えて点像復元処理を実行しているだけであり、取得した画像の光源に応じて点像復元処理の内容を切り替えていない。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、近赤外光を光源とする画像の第1の画像データに発生したボケをより正確に補正することができ且つ可視光及び近赤外光を光源とする画像の第2の画像データに対する点像復元処理を精度よく行うことができる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一の態様である画像処理装置は、光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力部と、画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定部と、判定部で判定された第1の画像データに対し、光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理部と、判定部で判定された第2の画像データに対し、光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理部と、を備える。
【0021】
本態様によれば、近赤外光を光源とする第1の画像データに対しては位相補正及び振幅復元を行う第1の復元処理が行われ、近赤外光及び可視光を光源とする第2の画像データに対しては位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元処理が行われる。これにより、本態様は、近赤外光を光源とする画像の第1の画像データに発生したボケをより正確に補正することができ且つ可視光及び近赤外光を光源とする画像の第2の画像データに対する点像復元処理を精度よく行うことができる。
【0022】
好ましくは、画像処理装置は、画像データの光量を検出する光量検出部をさらに備え、判定部は、光量検出部が検出した光量に基づいて第1の画像データ又は第2の画像データかを判定する。
【0023】
本態様は、近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを光量検出部が検出する光量に基づいて判定される。これにより、本態様は、正確に第1の画像データ及び第2の画像データを判定することができ、第1の画像データ及び第2の画像データの各々に対して適した点像復元処理を行うことができる。
【0024】
好ましくは、判定部は、画像データが取得された時刻に基づいて第1の画像データ又は第2の画像データかを判定する。
【0025】
本態様によれば、近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを画像データが取得された時刻に基づいて判定される。これにより、本態様は、正確に第1の画像データ及び第2の画像データを判定することができ、第1の画像データ及び第2の画像データの各々に対して適した点像復元処理を行うことができる。
【0026】
好ましくは、画像処理装置は、第1の画像データに対して非線形な階調補正を行う階調補正処理部をさらに備え、階調補正処理部は、位相補正が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正を行い、第1の復元処理部は、非線形な階調補正が行われた第1の画像データに対して、振幅復元を行う。
【0027】
本態様によれば、位相補正が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正が行われ、非線形な階調補正が行われた第1の画像データに対して振幅復元が行われる。これにより、本態様は、階調補正前(画像の周波数特性の変化前)に位相補正を行うので位相補正を効果的に行うことができ、階調補正後に振幅復元を行うので振幅復元により僅かに発生するオーバーシュート/アンダーシュートが階調補正により増幅(強調)されることがなく、アーティファクトが強く発生するのを防止することができる。
【0028】
好ましくは、画像処理装置は、第1の画像データに対して非線形な階調補正を行う階調補正処理部をさらに備え、階調補正処理部は、振幅復元が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正を行い、第1の復元処理部は、非線形な階調補正が行われた第1の画像データに対して、位相補正を行う。
【0029】
本態様では、振幅復元及び位相補正のうち、振幅復元は階調補正前に行い、位相補正は階調補正後に行うようにしている。これにより、本態様は、位相補正処理においては、位相補正フィルタが空間的に大きく広がることに起因して、飽和画素付近においてアーティファクト(リンギング等)を発生させる現象が生じ易くなるが、階調補正後に位相補正を行うことで、階調補正により上記アーティファクトが増幅される(アーティファクトが強く発生する)のを防止することができる。同様に、本態様では、位相補正により色グラデーションが変化してしまう現象が生じることがあるが、この現象を緩和することができる。正確には、色グラデーションが変化してしまう現象は、階調補正後に位相補正を実施しても発生するが、階調補正前に実施する場合と比較して少なくすることができる。また本態様では、階調補正後の画像データは、一般にビット数が階調補正前に比べて少なくなるため、タップ数の比較的大きな位相補正フィルタによる位相補正を実する場合の計算コストを低減することができる。
【0030】
好ましくは、画像処理装置は、第1の復元処理部及び第2の復元処理部の復元処理演算に使用する共通の復元処理演算部、第1の画像データ及び第2の画像データに対して非線形な階調補正を行う共通の階調補正演算部、及び第1の画像データ及び第2の画像データに対して輪郭強調処理を行う共通の輪郭強調処理部のうち少なくとも1つをさらに備える。
【0031】
本態様によれば、第1の画像データに対する画像処理と第2の画像データに対する画像処理とにおいて、復元処理演算、階調補正演算、及び輪郭強調補正のうち少なくとも一つが共通化される。これにより、本態様は、画像処理回路の一部が共通化されるので画像処理回路の設計の単純化を図ることができる。
【0032】
好ましくは、画像処理装置は、第2の画像データにおける可視光の光量と近赤外光の光量との光量比を検出する光量比検出部をさらに備え、第2の復元処理部は、光量比検出部が検出した光量比に応じて、光学系の可視光の変調伝達関数と光学系の近赤外光の変調伝達関数に基づいて生成された第2の復元フィルタを用いる。
【0033】
本態様によれば、第2の復元フィルタが可視光の光量と近赤外光の光量との光量比に応じて、可視光に関する変調伝達関数と近赤外光に関する変調伝達関数に基づいて生成される。これにより、本態様は、可視光及び近赤外光を光源とする画像に合った復元フィルタにより第2の復元処理を実行することができるので、より効果的な点像復元処理を行うことができる。
【0034】
好ましくは、画像処理装置は、第1の復元フィルタ及び第2の復元フィルタを記憶する記憶部をさらに備える。
【0035】
本態様によれば、第1の復元フィルタ及び第2の復元フィルタが記憶部に記憶され、第1の復元処理部及び第2の復元処理部により記憶部に記憶された復元フィルタが使用されるので、復元フィルタを生成するための計算負荷を軽減することができる。
【0036】
好ましくは、画像処理装置は、第1の復元フィルタ及び第2の復元フィルタを生成するフィルタ生成部をさらに備える。
【0037】
本態様によれば、第1の復元フィルタ及び第2の復元フィルタがフィルタ生成部により生成され、第1の復元処理部及び第2の復元処理部により生成部で生成された復元フィルタが使用されるので、復元フィルタを記憶するための記憶容量を軽減することができる。
【0038】
本発明の他の態様である撮像装置は、光学系と、近赤外光を補助光として発光する近赤外光発光部と、光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データを取得する画像取得部と、画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定部と、取得した第1の画像データに対し、光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理部と、取得した第2の画像データに対し、光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理部と、を備える。
【0039】
本態様によれば、近赤外光を光源とする第1の画像データに対しては位相補正及び振幅復元を行う第1の復元処理が行われ、近赤外光及び可視光を光源とする第2の画像データに対しては位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元処理が行われる。これにより、本態様は、近赤外光を光源とする画像の第1の画像データに発生したボケをより正確に補正することができ且つ可視光及び近赤外光を光源とする画像の第2の画像データに対する点像復元処理を精度よく行うことができる。
【0040】
好ましくは、画像取得部は、可視光像を撮像する場合を基準にして像面位置が設定されている。
【0041】
本態様によれば、画像取得部の像面の位置が可視光像を撮像する場合を基準にして設定される。これにより、本態様では、可視光像を撮像する場合には焦点が合った画像を取得することができ、且つ近赤外光を撮像する場合においても可視光と近赤外光との波長の差異があるので、焦点のズレが抑制される。
【0042】
本発明の他の態様である画像処理方法は、光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力ステップと、画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定ステップと、判定ステップで判定された第1の画像データに対し、光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理ステップと、判定ステップで判定された第2の画像データに対し、光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理ステップと、を含む。
【0043】
本発明の他の態様であるプログラムは、光学系を用いて可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像された画像データが入力される画像入力ステップと、画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する判定ステップと、判定ステップで判定された第1の画像データに対し、光学系の近赤外光に対する第1の点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う第1の復元処理ステップと、判定ステップで判定された第2の画像データに対し、光学系の可視光及び近赤外光に対する第2の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う第2の復元処理ステップと、をコンピュータに実行させる。このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的有形媒体(a non-transitory computer-readable tangible medium)も本発明の態様に含まれる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、近赤外光を光源とする画像の第1の画像データに対しては位相補正及び振幅復元を行う第1の復元処理が行われ、近赤外光と可視光を光源とする画像の第2の画像データに対しては位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元処理が行われるので、近赤外光を光源とする画像に対してはより正確にボケを補正し効果的に点像復元処理を実行することができ且つ近赤外光及び可視光を光源とする画像に対しては精度よく点像復元処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】デジタルカメラの機能構成例を示すブロック図である。
図2図1で示したデジタルカメラにより薄暮に撮像が行われている場合を説明する図である。
図3】カメラ本体コントローラの機能構成例を示すブロック図である。
図4】デジタルカメラで取得される撮像時の光量のグラフである。
図5】第1の復元処理の概略を示す図である。
図6】第2の復元処理の概略を示す図である。
図7】画像処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図8】第1の復元処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図9】第2の復元処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図10】可視光復元処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図11】画像処理装置の動作を示すフロー図である。
図12】撮像素子の像面と結像面との位置関係及び焦点に関して説明をする図である。
図13】撮像素子の像面と結像面との位置関係及び焦点に関して説明をする図である。
図14】撮像素子の像面と結像面との位置関係及び焦点に関して説明をする図である。
図15】撮像素子の像面と結像面との位置関係及び焦点に関して説明をする図である。
図16】第2の実施形態における第1の復元処理の概略を示す図である。
図17】第2の実施形態における画像処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図18】階調補正処理部により階調補正される入出力特性(ガンマ特性)の一例を示すグラフである。
図19】第2の実施形態における画像処理部の具体的な処理の例を示すブロック図である。
図20】第2の実施形態における画像処理部の具体的な処理の例を示すブロック図である。
図21】第3の実施形態における画像処理部の具体的な処理の例を示すブロック図である。
図22】第3の実施形態における復元処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図23】EDoF光学系を備える撮像モジュールの一形態を示すブロック図である。
図24】EDoF光学系の一例を示す図である。
図25】EDoF光学系を介して取得された画像の復元例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、一例として、コンピュータ(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)に接続可能な監視カメラとして使用されるデジタルカメラ(撮像装置)について説明する。
【0047】
図1は、コンピュータに接続されるデジタルカメラ10の機能構成例を示すブロック図である。デジタルカメラ10は動画及び静止画を撮像することが可能であり、以下の説明での画像又は画像データは動画における1フレームの画像又は静止画を意味する。なお、図1ではデジタルカメラ10により日中に撮像が行われている場合を示している。
【0048】
デジタルカメラ10は、レンズユニット12と、撮像素子(画像取得部)26を具備するカメラ本体14とを備え、レンズユニット12のレンズユニット入出力部22とカメラ本体14のカメラ本体入出力部30とを介し、レンズユニット12とカメラ本体14とは電気的に接続される。
【0049】
レンズユニット12は、レンズ16や絞り17等の光学系と、この光学系を制御する光学系操作部18とを具備する。光学系操作部18は、レンズ16のフォーカス位置を調整する手動操作部、及びカメラ本体コントローラ28から加えられる制御信号により絞り17を駆動する絞り駆動部を含む。
【0050】
また、レンズユニット12は近赤外光発光部15を備える。近赤外光発光部15は、デジタルカメラ10により、近赤外光を光源とする画像データが取得される場合に、近赤外光を補助光として発光する。すなわち、デジタルカメラ10が薄暮又は夜間での撮像を行う場合に、デジタルカメラ10は、近赤外光発光部15から近赤外光が補助光として発光されるので、より鮮明な近赤外光画像の取得ができる。
【0051】
ここで、近赤外光を光源とする画像の画像データ(第1の画像データ)は、近赤外光波長帯域に感度をもって撮像されて取得される。すなわち、近赤外光を光源とする画像の画像データは、日中や薄暮のように可視光がある場合には取得されず、夜間のように可視光が無く近赤外光発光部15により近赤外光が発光された場合に取得される。ここで、近赤外光の波長は特に限定されるものではないが例えば0.7μmから2.5μmの範囲にある。一方、近赤外光と可視光とを光源とする画像の画像データ(第2の画像データ)は、可視光波長帯域及び近赤外光波長帯域に感度をもって撮像されて取得される。すなわち、近赤外光と可視光とを光源とする画像の画像データは、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避され、近赤外光発光部15により近赤外光が発光され、薄暮のように可視光もある場合に取得される。
【0052】
IR(Infrared)カットフィルタ(赤外線カットフィルタ)25はカットフィルタ動作機構24に設置されている。デジタルカメラ10を用いて日中に撮像が行われる場合には、IRカットフィルタ25は図1に示すように撮像光路に挿入され、デジタルカメラ10は可視光撮像モード(カラー撮像モード)で撮像を行う。IRカットフィルタ25が撮像光路に挿入されることにより、IRカットフィルタ25が赤外光を遮断し、赤外光は撮像素子26に達しなくなる。なお、IRカットフィルタ25としては様々なものを使用することが可能であり、例えば近赤外光を遮断することができる近赤外光カットフィルタが使用される。
【0053】
ダミーフィルタ27は、IRカットフィルタ25と同様にカットフィルタ動作機構24に設置されている。IRカットフィルタ25が撮像光路から退避される場合には、ダミーフィルタ27が撮像光路に挿入される(図2参照)。ダミーフィルタ27としては、特に限定されず、様々なものが使用できる。例えば、ダミーフィルタ27として、素通しガラスが使用される。ダミーフィルタ27は、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避した場合であっても可視光の結像面の位置を維持する機能を有する。
【0054】
カメラ本体14の撮像素子(画像取得部)26は、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型のカラーイメージセンサにより構成されている。なお撮像素子26は、CMOS型に限らず、XYアドレス型、又はCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサでもよい。
【0055】
撮像素子26は、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、各画素は、マイクロレンズと、赤(R)、緑(G)又は青(B)のカラーフィルタと、光電変換部(フォトダイオード等)とを含んで構成される。RGBのカラーフィルタは、所定のパターンのフィルタ配列(ベイヤー配列、X−Trans(登録商標)配列等)を有している。
【0056】
本例の撮像素子26は、光学系を用いた被写体像の撮像により原画像データを出力し、この原画像データはカメラ本体コントローラ28の画像処理部35に送信される。
【0057】
カメラ本体コントローラ28は、図3に示すようにデバイス制御部34、画像処理部(画像処理装置)35、及び光量取得部36を有し、カメラ本体14を統括的に制御する。デバイス制御部34は、例えば、撮像素子26からの画像信号(画像データ)の出力を制御し、レンズユニット12を制御するための制御信号を生成してカメラ本体入出力部30を介してレンズユニット12(レンズユニットコントローラ20)に送信し、入出力インターフェース32を介して接続される外部機器類(コンピュータ60等)に画像処理前後の画像データ(RAWデータ、JPEGデータ等)を送信する。また、デバイス制御部34は、デジタルカメラ10が具備する各種デバイス類を適宜制御する。
【0058】
一方、画像処理部35は、撮像素子26からの画像信号に対し、必要に応じた任意の画像処理を行うことができる。特に本例の画像処理部35は、光学系の点拡がり関数に基づく復元処理(点像復元処理)を第1の画像データに対して行う第1の復元処理部3(図6)及び光学系の点拡がり関数に基づく復元処理を第2の画像データに対して行う第2の復元処理部5(図6)を含む。画像処理部35の詳細は後述する。
【0059】
光量取得部36は、撮像される被写体の光量を取得する。光量取得部36は、公知の様々な方法で被写体の光量を取得することができる。例えば光量取得部36は、デバイス制御部34から撮像条件(F値、感度、及びシャッタースピード等)及び撮像素子26から取得する信号の出力値を取得して、被写体の光量を取得することができる。
【0060】
カメラ本体コントローラ28において画像処理された画像データは、入出力インターフェース32を介してコンピュータ60等に送られる。デジタルカメラ10(カメラ本体コントローラ28)からコンピュータ60等に送られる画像データのフォーマットは特に限定されず、RAW、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)等の任意のフォーマットとしうる。従って、カメラ本体コントローラ28は、いわゆるExif(Exchangeable Image File Format)のように、ヘッダ情報(撮像情報(撮像日時、機種、画素数、絞り値、IRカットフィルタ25の有無、ダミーフィルタ27の有無等))、主画像データ及びサムネイル画像データ等の複数の関連データを相互に対応づけて1つの画像ファイルとして構成し、この画像ファイルをコンピュータ60に送信してもよい。
【0061】
コンピュータ60は、カメラ本体14の入出力インターフェース32及びコンピュータ入出力部62を介してデジタルカメラ10に接続され、カメラ本体14から送られてくる画像データ等のデータ類を受信する。コンピュータコントローラ64は、コンピュータ60を統括的に制御し、デジタルカメラ10からの画像データを画像処理し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ入出力部62に接続されるサーバ80等との通信を制御する。コンピュータ60はディスプレイ66を有し、デジタルカメラ10から送信される画像を表示する。またディスプレイ66には、コンピュータコントローラ64における処理内容等が必要に応じて表示される。ユーザは、ディスプレイ66の表示を確認しながらキーボード等の入力手段(図示省略)を操作することで、コンピュータコントローラ64に対してデータやコマンドを入力することができる。これによりユーザは、コンピュータ60や、コンピュータ60に接続される機器類(デジタルカメラ10、サーバ80)を制御することができる。
【0062】
サーバ80は、サーバ入出力部82及びサーバコントローラ84を有する。サーバ入出力部82は、コンピュータ60等の外部機器類との送受信接続部を構成し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ60のコンピュータ入出力部62に接続される。サーバコントローラ84は、コンピュータ60からの制御指示信号に応じ、コンピュータコントローラ64と協働し、コンピュータコントローラ64との間で必要に応じてデータ類の送受信を行い、データ類をコンピュータ60にダウンロードし、演算処理を行ってその演算結果をコンピュータ60に送信する。
【0063】
各コントローラ(レンズユニットコントローラ20、カメラ本体コントローラ28、コンピュータコントローラ64、及びサーバコントローラ84)は、制御処理に必要な回路類を有し、例えば演算処理回路(CPU(Central Processing Unit)等)やメモリ等を具備する。また、デジタルカメラ10、コンピュータ60及びサーバ80間の通信は有線であってもよいし無線であってもよい。また、コンピュータ60及びサーバ80を一体的に構成してもよく、またコンピュータ60及び/又はサーバ80が省略されてもよい。また、デジタルカメラ10にサーバ80との通信機能を持たせ、デジタルカメラ10とサーバ80との間で直接的にデータ類の送受信が行われるようにしてもよい。
【0064】
図2は、図1で示したデジタルカメラ10により薄暮(夕方)から夜間の間に撮像が行われている場合を示すブロック図である。なお、図1で説明を行った箇所は同じ符号を付して説明は省略する。
【0065】
図2で示すように、薄暮から夜間の間に撮像される場合には、IRカットフィルタ25はカットフィルタ動作機構24により撮像光路から退避され、ダミーフィルタ27がカットフィルタ動作機構24により撮像光路に挿入され、デジタルカメラ10は近赤外光撮像モード(白黒撮像モード)で撮像を行う。ダミーフィルタ27が撮像光路に挿入されることにより光路長が調節され、近赤外光像を撮像する場合においても焦点が合うようになる。
【0066】
デジタルカメラ10は、IRカットフィルタ25の替わりにダミーフィルタ27が撮像光路に挿入されることにより、近赤外光及び可視光を光源とする画像の第2の画像データを取得することができる。また、薄暮又は夜間の撮像であるので、近赤外光発光部15は近赤外光を補助光として発光する。
【0067】
図4は、光量取得部36が取得する光量を、日中、薄暮、及び夜間に関してグラフ化したものである。
【0068】
図4に示すグラフの横軸は時間を示し縦軸は光量を示す。日中の場合には図1に示すようにIRカットフィルタ25が撮像光路に挿入された状態(可視光撮像モード)で、光量取得部36は光量を取得する。日中では、光量取得部36が取得する光量は太陽の位置に応じて変化する。すなわち、日中における光量取得部36が取得する光量は太陽が高い位置にある場合には高い値を示し、日中における光量取得部36が取得する光量は太陽の高度が下がるにしたがって下がってくる。
【0069】
図4に示した場合では閾値Thが設定されており、光量が閾値Th未満となると可視光撮像モードから近赤外光撮像モードに切り替わる。また、近赤外光撮像モードになると、近赤外光発光部15から近赤外光が発光される。これにより、デジタルカメラ10は、近赤外光像をより鮮明に取得することが可能となる。なお、閾値Thは、特に限定されず任意に設定されるものであるが、例えば図4に示したように太陽が段々と沈み薄暮の始まりを考慮して設定することができる。
【0070】
最初に閾値Th未満になったときの光量をA、可視光撮像モードから近赤外光撮像モードに切り替わった時点の光量をB、薄暮の状態の任意時点の光量をCとすると、光量Bから光量Aを減算した光量(光量B−光量A)は、近赤外光発光部15から被写体に照射される近赤外光に対応する光量であり、一定値である。従って、夜間の光量は、近赤外光のみによる一定の光量になる。
【0071】
また、薄暮の状態の可視光の光量は、光量Cから近赤外光のみによる一定の光量(光量B−光量A)を減算した光量(光量C−(光量B−光量A))である。
【0072】
後述するように復元処理部71には光量比検出部160が備えられ(図22参照)、光量比検出部160には図示しない被写体の光量データ(例えば、EV値:Exposure Value)が加えられる。光量比検出部160は、入力される光量データに基づいて、薄暮の状態の可視光の光量(第1の光量)と近赤外光の光量(第2の光量)との光量比を検出する。
【0073】
すなわち、光量比検出部160は、入力する光量データが、最初に閾値Th未満になったときの光量データ(光量A)と、赤外光撮像モードに切り替わった時点の光量データ(光量B)とを記憶し、その後、リアルタイムに入力する光量データ(光量C)に基づいて、薄暮の状態の可視光の光量(光量C−(光量B−光量A))と近赤外光の光量(光量B−光量A)との光量比を検出する。
【0074】
以上の説明のように、光量取得部36が取得する光量は、日中、薄暮、及び夜間により変化する。したがって、判定部2(図7)は、光量取得部36が取得する光量に基づいて、日中、薄暮、及び夜間を判定することが可能となる。例えば判定部2は、図4に示したように光量取得部36が取得する光量を一定間隔で取得するか又はグラフ化すると、日中、薄暮、及び夜間を判定することが可能となる。また、判定部2は、デジタルカメラ10には時計(図示せず)が備えられる場合、時刻によっても日中、薄暮、及び夜間を判定することが可能となる。さらに、判定部2は、光量取得部36が取得する光量のグラフ及び時刻によっても、日中、薄暮、及び夜間を判定することができる。
【0075】
次に、撮像素子26を介して得られる近赤外光を光源とする画像の撮像データ(第1の画像データ)及び近赤外光及び可視光を光源とする画像の撮像データ(第2の画像データ)に点像復元処理について説明する。
【0076】
以下の例では、カメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)において点像復元処理が実施される例について説明するが、点像復元処理の全部又は一部を他のコントローラ(レンズユニットコントローラ20、コンピュータコントローラ64、及びサーバコントローラ84等)において実施することも可能である。
【0077】
本例の点像復元処理は、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理及び位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を含む。
【0078】
(第1の実施形態)
先ず、第1の復元処理に関して説明をする。
【0079】
図5は、原画像データDoとして第1の画像データが取得された場合の第1の復元処理の概略を示す図である。
【0080】
図5に示すように点像を被写体として撮像を行う場合、近赤外光を光源とする被写体の近赤外光像は光学系(レンズ16、絞り17等)を介して撮像素子26(イメージセンサ)により受光され、撮像素子26から第1の画像データが出力される。この第1の画像データは、光学系の特性に由来する点拡がり現象によって振幅成分と位相成分とが劣化し、本来の被写体像(点像)は、非点対称なボケ画像となる。
【0081】
そして点像復元処理は、光学系の収差等による劣化(点拡がり関数(PSF)又は光学伝達関数(OTF:Optical Transfer Function))の特性を求めておき、撮像された画像(劣化している画像)を、PSF又はOTFに基づいて生成した復元フィルタを使用して点像復元処理することにより解像度の高い画像に復元する処理である。
【0082】
PSFとOTFとはフーリエ変換の関係にあり、PSFは実関数、OTFは複素関数である。これらと等価な情報を持つものとして、変調伝達関数又は振幅伝達関数(MTF)と位相伝達関数(PTF)があり、それぞれOTFの振幅成分と位相成分を示す。MTFとPTFとを合わせてOTFやPSFと等価な情報量を持つ。
【0083】
一般に、PSFによるボケ画像の復元には、コンボリューション型のウィナー(Wiener)フィルタを利用することができる。PSF(x,y)をフーリエ変換したOTFと信号対雑音比(SNR)(signal−noise ratio)の情報を参照して、以下の式によって復元フィルタの周波数特性d(ω,ω)を算出することができる。
【0084】
【数1】
【0085】
ここでH(ω,ω)はOTFを表し、H(ω,ω)はその複素共役を表す。また、SNR(ω,ω)はSN(signal−noise)比を表す。
【0086】
復元フィルタのフィルタ係数の設計は、フィルタの周波数特性が、所望のWiener周波数特性に最も近くなるように係数値を選択する最適化問題であり、任意の公知の手法によってフィルタ係数が適宜算出される。
【0087】
図5に示すように、ボケ画像の原画像データDo(第1の画像データ)から本来の被写体像(点像)を復元するため、原画像データDoに対して、振幅復元及び位相補正のためのフィルタ(第1の復元フィルタF0)を用いた振幅復元及び位相補正処理(第1の復元処理)P10を行うことで、非点対称なボケ像が振幅復元されボケ像が小さくなり、非点対称の像が周波数依存で移動し点対称の像に回復される。これにより、本来の被写体像(点像)により近い像(回復画像)を表す回復画像データDrが得られる。すなわち、ボケがより正確に補正される効果的な点像復元処理が実行される。ここでボケがより正確に補正されるとは、例えばボケた画像が元の点像により近く修正(補正)されることをいう。
【0088】
振幅復元及び位相補正処理(第1の復元処理)P10で用いられる第1の復元フィルタF0は、原画像データDoの取得時の撮像条件に応じた光学系の点像情報(PSF、OTF)から、所定の振幅復元及び位相補正フィルタ算出アルゴリズムP20によって得られる。
【0089】
光学系の点像情報は、レンズ16の種類だけではなく、絞り量、焦点距離、ズーム量、像高、記録画素数、画素ピッチ等の各種の撮像条件によって変動しうる。また、光学系の点像情報は可視光と近赤外光とでも変動しうる。したがって、第1の復元フィルタF0を算出する際には、これらの撮像条件が取得される。
【0090】
第1の復元フィルタF0は、それぞれ例えばN×M(N及びMは2以上の整数)のタップによって構成される実空間上のフィルタであり、処理対象の画像データに適用される。これにより、各タップに割り当てられるフィルタ係数と対応の画素データ(画像データの処理対象画素データ及び隣接画素データ)とを加重平均演算(デコンボリューション演算)することで、点像復元処理後の画素データを算出することができる。第1の復元フィルタF0を用いた加重平均処理を、対象画素を順番に変えながら、画像データを構成する全画素データに適用することで、点像復元処理を行うことができる。
【0091】
なお、図5に示した例では、第1の復元処理において振幅復元と位相補正とを合せて行うことを説明したがこれに限定されるものではない。すなわち、第1の復元処理において振幅復元を行うことができるフィルタを算出し且つ位相補正を行うことができるフィルタを算出して、振幅復元処理と位相補正処理とを別々の処理として実行されてもよい。
【0092】
次に、第2の復元処理に関して説明をする。
【0093】
図6は、原画像データDoとして第2の画像データが取得された場合の第2の復元処理の概略を示す図である。
【0094】
図6に示すように点像を被写体として撮像を行う場合、近赤外光及び可視光を光源とする被写体の像は光学系(レンズ16、絞り17等)を介して撮像素子26(イメージセンサ)により受光され、撮像素子26から第2の画像データが出力される。この第2の画像データは、光学系の特性に由来する点拡がり現象によって振幅成分と位相成分とが劣化し、本来の被写体像(点像)は、非点対称なボケ画像となる。ここで、光学系に近赤外光及び可視光の混合光を通して得たPSFは、光学系に近赤外光を通して得たPSF及び光学系に可視光を通して得たPSFとは異なる。よって、近赤外光及び可視光を光源とする画像の画像データ(第2の画像データ)に対しては、点像復元処理の失敗を防ぐために、振幅復元処理のみを行う弱い点像復元処理を行う。これにより、点像復元処理が適切に行われずに却って不自然な画像となることを防ぎ、点像復元処理の精度を向上させることができる。ここで精度のよい点像復元処理とは、点像復元処理を失敗して却って画像が不自然になる確率が低いことをいう。
【0095】
第2の復元処理部5において、例えばOTFの振幅成分を示すMTFを使用し、フィルタの周波数特性を算出し、算出したフィルタの周波数特性が、所望のWiener周波数特性に最も近くなるように係数値を選択することで、周波数特性の劣化を回復させる振幅復元フィルタF1を算出する(P21)。なおこの場合振幅復元フィルタF1が第2の復元フィルタとなる。
【0096】
図6に示すように、ボケ画像の原画像データDoから本来の被写体像(点像)を復元するため、原画像データDoに対して、振幅復元フィルタF1を用いた振幅復元処理P11を行うことで、非点対称なボケ像が振幅復元され、ボケ像が小さくなる。
【0097】
次に、画像処理装置(画像処理部)35に関して説明する。
【0098】
図7は、画像処理部35の機能構成例を示すブロック図である。
【0099】
画像処理部35は、画像入力部1、判定部2、光量検出部4、第1の復元処理部3、及び第2の復元処理部5を備える。
【0100】
画像入力部1には、第1の画像データ及び第2の画像データが入力される。画像入力部1への入力の方法は特に限定されない。例えば、画像入力部1には、第1の画像データと第2の画像データとが同時に入力されてもよいし、第1の画像データと第2の画像データとが別々のタイミングで入力されてもよい。
【0101】
判定部2は、入力された画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定する。判定部2は公知の様々な方法で入力された画像データが近赤外光を光源とする第1の画像データ又は近赤外光と可視光とを光源とする第2の画像データかを判定することができる。例えば判定部2は、光量取得部36で取得された光量が光量検出部4に検出されることにより第1の画像データ又は第2の画像データかを判定することができる。
【0102】
また判定部2は、画像処理部35又はデジタルカメラ10に備えられる時計(図示せず)の時刻に基づいて第1の画像データ又は第2の画像データかを判定することができる。また、判定部2は、画像入力部1に入力される第1の画像データ及び第2の画像データに付されるタグ情報に基づいて、第1の画像データ又は第2の画像データかの判定を行ってもよい。
【0103】
光量検出部4は、画像データの光量を検出する。すなわち、光量検出部4は、画像入力部1に入力された画像データ(例えば、第1の画像データ又は第2の画像データ)が取得された際の光量を取得する。光量検出部4は、例えばカメラ本体コントローラ28の光量取得部36から画像データが取得された場合の光量に関する情報を取得して、画像入力部1に入力された画像データの光量を検出する。また例えば、光量検出部4は、画像入力部1に入力された画像データに付されている光量に関する情報を読み取ることにより、光量を検出してもよい。
【0104】
第1の復元処理部3は、光学系の近赤外光に対する点拡がり関数に基づく第1の復元フィルタであって、位相補正及び振幅復元を行う第1の復元フィルタを用いた第1の復元処理を行う。すなわち、第1の復元処理部3は、光学系の近赤外光に対する点拡がり関数に基づいて生成された第1の復元フィルタを使用して、第1の画像データ(近赤外光を光源とする画像データ)に対して第1の復元処理を行う。第1の復元処理が行われた画像は、位相のズレが補正され且つ振幅が復元され、ボケがより正確に修正される効果的な点像復元処理が実行される。
【0105】
第2の復元処理部5は、光学系の点拡がり関数に基づく第2の復元フィルタであって、位相補正を伴わない振幅復元を行う第2の復元フィルタを使用して第2の画像データ(近赤外光及び可視光を光源とする画像データ)に対して第2の復元処理を行う。このように、第2の画像データに対して位相補正を伴わない振幅復元のみの弱い点像復元処理が行われるので、第2の画像データに対する点像復元処理の失敗の発生が抑制され、精度のよい点像復元処理が行われる。
【0106】
上述したように、画像処理部(画像処理装置)35が第1の復元処理部3及び第2の復元処理部5を備えることにより、画像処理部35がコンピュータに設けられる場合には、各撮像装置に点像復元処理を行う機能を備えなくても良くなる。
【0107】
図8は、第1の復元処理部3の機能構成例を示すブロック図である。
【0108】
第1の復元処理部3は、第1の復元演算処理部44a、フィルタ選択部44b、光学系データ取得部44c、及び記憶部44dから構成されている。
【0109】
光学系データ取得部44cは、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数を示す光学系データを取得する。この光学系データは、フィルタ選択部44bにおける第1の復元フィルタの選択基準となるデータであり、処理対象の第1の画像データの撮像取得時に使用された光学系の点拡がり関数を直接的又は間接的に示す情報であればよい。従って、例えば光学系の点拡がり関数に関する伝達関数(PSF、OTF(MTF、PTF))自体を光学系データとしてもよいし、光学系の点拡がり関数に関する伝達関数を間接的に示す光学系の種類(例えば、撮像時に使用したレンズユニット12(レンズ16)の型番等)等を光学系データとしてもよい。また、画像を撮像した際のF値(絞り値)及びズーム値、及び像高等の情報を光学系データとしてもよい。
【0110】
記憶部44dは、複数種類の光学系の点拡がり関数に関する伝達関数(PSF、OTF、又は、PTF及びMTF)に基づいて生成された、第1の復元フィルタが記憶されている。記憶部44dは、絞り値(F値)、焦点距離、像高等に対応する第1の復元フィルタを記憶することが好ましい。これらの条件によりPSF形状が異なるからである。
【0111】
フィルタ選択部44bは、光学系データ取得部44cが取得した光学系データに基づき、記憶部44dに記憶されている第1の復元フィルタのうち、第1の画像データの撮像取得に用いられた光学系の光学系データに対応する第1の復元フィルタを選択する。フィルタ選択部44bによって選択された第1の復元フィルタF0は、第1の復元演算処理部44aに送られる。
【0112】
尚、フィルタ選択部44bは、記憶部44dが記憶する第1の復元フィルタの種類情報(第1の復元フィルタ記憶情報)を把握しているが、フィルタ選択部44bによる第1の復元フィルタ記憶情報の把握手法は特に限定されない。例えば、フィルタ選択部44bは、第1の復元フィルタ記憶情報を記憶する記憶部(図示省略)を有していてもよく、記憶部44dに記憶される第1の復元フィルタの種類情報が変更される場合、フィルタ選択部44bの記憶部に記憶される第1の復元フィルタ記憶情報も変更されるようにしてもよい。また、フィルタ選択部44bは、記憶部44dに接続されて直接的に「記憶部44dが記憶する第1の復元フィルタの情報」を把握するようにしてもよいし、第1の復元フィルタ記憶情報を把握する他の処理部(メモリ等)から第1の復元フィルタ記憶情報を把握するようにしてもよい。
【0113】
また、フィルタ選択部44bは、第1の画像データの撮像取得に用いられた光学系のPSFに対応する第1の復元フィルタF0を選択すればよく、その選択手法は特に限定されない。例えば、光学系データ取得部44cからの光学系データがPSFを直接的に示す場合、フィルタ選択部44bは、その光学系データが示すPSFに対応する第1の復元フィルタF0を選択する。また光学系データ取得部44cからの光学系データがPSFを間接的に示す場合、フィルタ選択部44bは、「PSFを間接的に示す光学系データ」から、処理対象の第1の画像データの撮像取得に用いられた光学系のPSFに対応する第1の復元フィルタF0を選択する。
【0114】
第1の復元演算処理部44aには、第1の画像データ(近赤外光を光源とする画像データ)が入力されており、第1の復元演算処理部44aは、第1の画像データに対して、フィルタ選択部44bにより選択された第1の復元フィルタF0を用いた第1の復元処理を行い、第1の復元処理後の画像データを算出する。即ち、第1の復元演算処理部44aは、第1の復元フィルタF0と、これに対応する画素データ(処理対象画素データ及び隣接画素データ)とのデコンボリューション演算を行い、第1の復元処理した第1の画像データを算出する。
【0115】
上記構成の第1の復元処理部3は、位相伝達関数(PTF)を反映させた位相補正処理を行うことができ、ボケをより正確に修正する効果的な点像復元処理を実行する。
【0116】
図9は、第2の復元処理部5の機能構成例を示すブロック図である。
【0117】
第2の復元処理部5は、第2の復元演算処理部46a、フィルタ選択部46b、光学系データ取得部46c、及び記憶部46dから構成されている。
【0118】
フィルタ選択部46b及び光学系データ取得部46cは、それぞれ図8に示したフィルタ選択部44b及び光学系データ取得部44cに対応するものであるため、その詳細な説明は省略する。
【0119】
記憶部46dは、複数種類の光学系のPSF、OTF、又はMTFに基づいて生成された第2の復元フィルタが記憶されている。また、記憶部46dは、絞り値(F値)、焦点距離、像高等に対応する第2の復元フィルタを記憶することが好ましい。これらの条件によりPSF形状が異なるからである。
【0120】
フィルタ選択部46bは、光学系データ取得部46cが取得した光学系データに基づき、記憶部46dに記憶されている第2の復元フィルタのうち、原画像データの撮像取得に用いられた光学系の光学系データに対応する第2の復元フィルタを選択する。フィルタ選択部46bによって選択された、第2の復元フィルタは、第2の復元演算処理部46aに送られる。
【0121】
第2の復元演算処理部46aは、第2の画像データに対して、フィルタ選択部46bにより選択された第2の復元フィルタを用いた第2の復元処理を行う。
【0122】
尚、第1の復元フィルタを記憶する記憶部44d(図8)、及び第2の復元フィルタを記憶する記憶部46d(図9)は、別々に設けられたものでもよいし、物理的には同一のもので、記憶領域のみが異なるものでもよい。
【0123】
また、本例では、記憶部44d、46dに、それぞれ第1の復元フィルタ、第2の復元フィルタを記憶させておき、点像復元処理に使用する第1の復元フィルタ、第2の復元フィルタを適宜読み出すようにしたが、これに限定されない。すなわち、本例では、光学系の伝達関数(PSF,OTF,PTF,MTF)を記憶部に記憶させて、点像復元処理時に記憶部から点像復元処理に使用する伝達関数を読み出し、第1の復元フィルタ及び第2の復元フィルタを逐次生成するようなフィルタ生成部を設置させてもよい。なお、上述の説明では第1の復元処理部3(図8)と第2の復元処理部5(図9)とを別々の処理部として説明を行ったがこれに限定されるものではない。例えば、第1の復元処理部3と第2の復元処理部5との機能を併せ持つ一つの復元処理部により、第1の復元処理及び第2の復元処理が実現されてもよい。
【0124】
画像処理部35の機能構成例は、図7で説明した例に限定されない。例えば、画像処理部35は、可視光のみを光源とする画像データである可視光画像データに対して復元処理を行う可視光復元処理部6を備えていてもよい。
【0125】
図10は、可視光復元処理部6の機能構成例を示すブロック図である。
【0126】
可視光復元処理部6は、可視光復元演算処理部48a、フィルタ選択部48b、光学系データ取得部48c、及び記憶部48dから構成されている。
【0127】
光学系データ取得部48cは、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数を示す光学系データを取得する。この光学系データは、フィルタ選択部48bにおける可視光復元フィルタの選択基準となるデータであり、処理対象の可視光画像データの撮像取得時に使用された光学系の点拡がり関数を直接的又は間接的に示す情報であればよい。従って、例えば光学系の点拡がり関数に関する伝達関数(PSF、OTF(MTF、PTF))自体を光学系データとしてもよいし、光学系の点拡がり関数に関する伝達関数を間接的に示す光学系の種類(例えば、撮像時に使用したレンズユニット12(レンズ16)の型番等)等を光学系データとしてもよい。また、画像を撮像した際のF値(絞り値)及びズーム値、及び像高等の情報を光学系データとしてもよい。
【0128】
記憶部48dは、複数種類の光学系の点拡がり関数に関する伝達関数(PSF、OTF、又は、PTF及びMTF)に基づいて生成された、RGB毎の可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)が記憶されている。RGB毎に可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)が記憶されているのは、光学系の収差がRGBの各色の波長によって異なるためである(PSF形状が異なるためである)。また、記憶部48dは、絞り値(F値)、焦点距離、像高等に対応する可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)を記憶することが好ましい。これらの条件によりPSF形状が異なるからである。ここで、Gとは緑色を示し輝度データを得るために最も寄与する第1の色であり、Rとは赤色を示し第1の色以外の2色以上の第2の色の一つであり、Bとは青色を示し第1の色以外の2色以上の第2の色の一つである。
【0129】
フィルタ選択部48bは、光学系データ取得部48cが取得した光学系データに基づき、記憶部48dに記憶されている可視光復元フィルタのうち、可視光画像データの撮像取得に用いられた光学系の光学系データに対応する可視光復元フィルタを選択する。フィルタ選択部48bによって選択された、RGB毎の可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)は、可視光復元演算処理部48aに送られる。
【0130】
尚、フィルタ選択部48bは、記憶部48dが記憶する可視光復元フィルタの種類情報(可視光復元フィルタ記憶情報)を把握しているが、フィルタ選択部48bによる可視光復元フィルタ記憶情報の把握手法は特に限定されない。例えば、フィルタ選択部48bは、可視光復元フィルタ記憶情報を記憶する記憶部(図示省略)を有していてもよく、記憶部48dに記憶される可視光復元フィルタの種類情報が変更される場合、フィルタ選択部48bの記憶部に記憶される可視光復元フィルタ記憶情報も変更されるようにしてもよい。また、フィルタ選択部48bは、記憶部48dに接続されて直接的に「記憶部48dが記憶する可視光復元フィルタの情報」を把握するようにしてもよいし、可視光復元フィルタ記憶情報を把握する他の処理部(メモリ等)から第1の復元フィルタ記憶情報を把握するようにしてもよい。
【0131】
また、フィルタ選択部48bは、可視光画像データの撮像取得に用いられた光学系のPSFに対応する可視光復元フィルタを選択すればよく、その選択手法は特に限定されない。例えば、光学系データ取得部48cからの光学系データがPSFを直接的に示す場合、フィルタ選択部48bは、その光学系データが示すPSFに対応する可視光復元フィルタを選択する。また光学系データ取得部48cからの光学系データがPSFを間接的に示す場合、フィルタ選択部48bは、「PSFを間接的に示す光学系データ」から、処理対象の可視光画像データの撮像取得に用いられた光学系のPSFに対応する可視光復元フィルタを選択する。
【0132】
可視光復元演算処理部48aには、デモザイク処理された可視光画像データ(RGBデータ)が入力されており、可視光復元演算処理部48aは、RGBデータに対して、フィルタ選択部48bにより選択された可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)を用いた可視光復元処理を行い、可視光復元処理後の画像データを算出する。即ち、可視光復元演算処理部48aは、可視光復元フィルタ(F4R1,F4G1,F4B1)と、これに対応するRGB毎の画素データ(処理対象画素データ及び隣接画素データ)とのデコンボリューション演算を行い、可視光復元処理したRGBデータを算出する。
【0133】
可視光復元処理部6は、可視光画像データに対して、振幅復元及び位相補正を行う強い点像復元処理を行ってもよいし、位相補正を伴わない振幅復元の点像復元処理を行ってもよい。可視光復元処理部6がRGBの色チャンネル毎の位相伝達関数(PTF)を反映させた位相補正処理を行う場合には、ボケをより正確に修正する効果的な点像復元処理を実行する。また、可視光復元処理部6は、RGBの色チャンネル毎の位相伝達関数(PTF)を反映させた位相補正処理を行うので、倍率色収差等の各種色収差を補正することができる。
【0134】
図11は、画像処理部(画像処理装置)35の動作を示すフロー図である。
【0135】
先ず、画像処理部35に画像データが入力される(ステップS10)。その後、判定部2により、入力された画像が第1の画像データ又は第2の画像データかを判定する(ステップS11)。その後、第1の復元処理部3により第1の画像データに対して第1の復元処理が行われ(ステップS12)、第2の復元処理部5により第2の画像データに対して第2の復元処理が行われる(ステップS13)。
【0136】
上述の各構成及び機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の処理ステップ(処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的有形記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能なコンピュータに対しても本発明を適用することが可能である。
【0137】
次に、デジタルカメラ10の撮像素子26の設置に関しての設定に関して説明する。
【0138】
図12から図15は、撮像素子26の像面と結像面との位置関係及び焦点に関して説明をする図である。図12(A)、図13(A)、図14(A)、及び図15(A)には主に、レンズユニット12、撮像素子26、IRカットフィルタ25、カットフィルタ動作機構24、及び被写体19が記載されている。また、レンズユニット12の側面には、フォーカスリング13、フォーカス調節レバ11、ズームリング23、ズーム調節レバ21が備えられている。図12(A)、図13(A)、図14(A)、及び図15(A)に記載されている撮像素子26の像面は、可視光像を撮像する場合を基準に設定されている。また、図12(B)、図13(B)、図14(B)、及び図15(B)には、図12(A)から図15(A)の各々の撮像条件で撮像された被写体像の画像が示されている。
【0139】
図12には、蛍光灯31が点灯されており、IRカットフィルタ25が撮像光路に挿入された場合が示されている。この場合撮像素子26により、被写体19の可視光像が取得される。撮像素子26の像面位置は、可視光像を取得する場合を基準にして設定されているために、被写体19の可視光像の結像面51と撮像素子26との像面の位置は一致し(図12(A)を参照)、被写体19に焦点が合った画像が取得される(図12(B)を参照)。
【0140】
図13には、蛍光灯31が点灯されており、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避している場合が示されている。この場合撮像素子26により、被写体19の可視光像を有する画像が取得される。撮像素子26の像面位置は、可視光像を取得する場合を基準にして設定されているが、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避して可視光像の光路長が変わるので、被写体19の可視光像の結像面51と撮像素子26との像面の位置は一致しない(図13(A)を参照)。したがって、被写体19に焦点が合ってないボケた画像が取得される(図13(B)を参照)。なおこの場合には、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避し光路長を調節するようなダミーフィルタ(素通しガラス)27等が挿入されていない。また、図13(A)中では点線によりIRカットフィルタ25が撮像光路に挿入された場合の可視光像の結像面が表されている。
【0141】
図14には、蛍光灯31が消灯され近赤外光を発するIR(Infrared)投光機33が点灯されており、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避している場合が示されている。この場合撮像素子26により、被写体19の近赤外光像を有する画像が取得される。被写体19の近赤外光像の結像面53は、可視光像の結像面51と比べて撮像素子26側になる。したがって、図13に示した場合よりも焦点のズレが小さくなり、ボケが抑制された画像を取得することができる(図14(B)を参照)。なお、図14(A)中では点線により可視光像の結像面が表されている。
【0142】
図15には、蛍光灯31が点灯されており且つIR投光機33が点灯されており、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避している場合が示されている。この場合撮像素子26により、被写体19の可視光像及び近赤外光像を有する画像が取得される。この場合、被写体19の近赤外光像の結像面53及び被写体19の可視光像の結像面51が存在し、図13で説明したように可視光像の結像面51の位置が撮像素子26の像面位置との違いが大きいので、可視光像のボケが目立つ画像が取得されている(図15(B)を参照)。
【0143】
上述したように、撮像素子26の像面位置が被写体19の可視光像(第1の画像データ)を取得する場合を基準にして設定されていることにより、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避した場合であっても、ボケが抑制された被写体19の近赤外光像を取得することができる。また、撮像素子26の像面位置が被写体19の可視光像(第1の画像データ)を取得する場合を基準にして設定されていることにより、IRカットフィルタ25が撮像光路から退避した場合にダミーフィルタ27を撮像光路へ挿入することによって、近赤外光像及び可視光像においてボケが抑制された画像を取得することができる。
【0144】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に関して説明する。
【0145】
図16は、第2の実施形態における原画像データDoとして第1の画像データ(近赤外光を光源とする画像データ)が取得された場合の第1の復元処理の概略を示す図である。なお、図5で既に説明を行った箇所は同じ符号を付して説明を省略する。
【0146】
図16では、図5で説明を行った第1の復元処理が振幅復元処理P12及び位相補正処理P14として別々に行われている。また、振幅復元処理が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正処理P13が行われている。
【0147】
第1の復元処理部3において位相補正と振幅復元とを個別に行う場合では、前述した[数1]式のOTFの代わりに、OTFの振幅成分を示すMTFを使用し、フィルタの周波数特性を算出し、算出したフィルタの周波数特性が、所望のWiener周波数特性に最も近くなるように係数値を選択することで、周波数特性の劣化を回復させる振幅復元フィルタF3を算出する。同様に、上記[数1]式のOTFの代わりに、OTFの位相成分を示すPTFを使用し、フィルタの周波数特性を算出し、算出したフィルタの周波数特性が、所望のWiener周波数特性に最も近くなるように係数値を選択することで、位相特性の劣化を回復させる位相補正フィルタF2を算出する。なお、この場合振幅復元フィルタF3及び位相補正フィルタF2が第1の復元フィルタとなる。
【0148】
ボケ画像の原画像データDo(第1の画像データ)から本来の被写体像(点像)を復元するため、原画像データDoに対して、振幅復元フィルタF3を用いた振幅復元処理P12を行うことで、非点対称なボケ像が振幅復元され、ボケ像が小さくなる。
【0149】
続いて、振幅復元処理後の第1の画像データに対して、非線形な階調補正処理P13(対数化処理によるガンマ補正処理)が行われる。階調(ガンマ)補正処理は、ディスプレイ装置により画像が自然に再現されるように画像データを非線形に補正する処理である。
【0150】
そして、階調補正処理が行われた第1の画像データに対して、位相補正フィルタF2を用いた位相補正処理P14が行われる。この位相補正処理P14により非点対称の像は、周波数依存で移動し、点対称の像に回復する。これにより、本来の被写体像(点像)により近い像(回復画像)を表す回復画像データDrが得られる。
【0151】
振幅復元処理P12で用いられる振幅復元フィルタF3は、原画像データDo取得時の撮像条件に応じた光学系の点像情報(PSF、OTF、又はMTF)から、所定の振幅復元フィルタ算出アルゴリズムP22によって得られ、位相補正処理P14で用いられる位相補正フィルタF2は、原画像データDo取得時の撮像条件に応じた光学系の点像情報(PSF、OTF、又はPTF)から、所定の位相補正フィルタ算出アルゴリズムP23によって得られる。
【0152】
N×Mのタップによって構成される実空間上の振幅復元フィルタF3、又は位相補正フィルタF2は、周波数空間上の回復フィルタの周波数振幅特性、又は回復フィルタの位相特性を逆フーリエ変換することによって導出可能である。従って、実空間上の振幅復元フィルタF3、又は位相補正フィルタF2は、基礎となる周波数空間上の振幅復元フィルタ、又は位相補正フィルタを特定し、実空間上の振幅復元フィルタF3、又は位相補正フィルタF2の構成タップ数を指定することによって、適宜算出可能である。尚、位相補正フィルタF2のN×Mのタップ数は、位相補正を正確に行うために、振幅復元フィルタF3のタップ数よりも大きくすることが好ましい。
【0153】
このように、本形態では、振幅復元処理P12が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正処理P13が行われ、非線形な階調補正処理P13が行われた第1の画像データに対して位相補正処理P14が行われる。これにより、本形態では、位相補正処理においては、位相補正フィルタが空間的に大きく広がることに起因して、飽和画素付近においてアーティファクト(リンギング等)を発生させる現象が生じ易くなるが、階調補正後に位相補正を行うことで、階調補正により上記アーティファクトが増幅される(アーティファクトが強く発生する)のを防止することができる。同様に、本形態では、位相補正により色グラデーションが変化してしまう現象が生じることがあるが、この現象を緩和することができる。正確には、色グラデーションが変化してしまう現象は、階調補正後に位相補正を実施しても発生するが、階調補正前に実施する場合と比較して少なくすることができる。また本形態では、階調補正後の画像データは、一般にビット数が階調補正前に比べて少なくなるため、タップ数の比較的大きな位相補正フィルタによる位相補正を実する場合の計算コストを低減することができる。
【0154】
また、本形態では、振幅復元処理P12と位相補正処理P14との順序を変更してもよい。すなわち、位相補正処理P14が行われた第1の画像データに対して非線形な階調補正処理P13が行われ、非線形な階調補正処理P13が行われた第1の画像データに対して振幅復元処理P12が行われてもよい。これにより、本形態は、階調補正前(画像の周波数特性の変化前)に位相補正を行うので位相補正を効果的に行うことができ、階調補正後に振幅復元を行うので振幅復元により僅かに発生するオーバーシュート及び又はアンダーシュートが階調補正により増幅(強調)されることがなく、アーティファクトが強く発生するのを防止することができる。
【0155】
図17は、第2の実施形態における画像処理部35の機能構成例を示すブロック図である。第2の実施形態の画像処理部35は、画像入力部1、第1の復元処理部3、第2の復元処理部5、及び階調補正処理部7を備えている。なお、図7で説明を行った箇所は同じ番号を付し説明は省略する。
【0156】
第1の復元処理部3は、位相補正部8及び振幅復元部9を備えている。位相補正部8は、第1の画像データに対して位相補正を行い、振幅復元部9は、第1の画像データに対して振幅復元を行う。
【0157】
階調補正処理部7は、画像データに対して、非線形な階調補正を行う部分であり、例えば、入力される画像データを対数化処理によるガンマ補正処理を行い、ディスプレイ装置により画像が自然に再現されるように画像データに対して非線形な処理を行う。
【0158】
図18は、階調補正処理部7により階調補正される入出力特性(ガンマ特性)の一例を示すグラフである。本例では、階調補正処理部7は、12ビット(0〜4095)の画像データに対し、ガンマ特性に対応するガンマ補正を行い、8ビット(0〜255)の画像データ(1バイトのデータ)を生成する。尚、階調補正処理部7は、入力データに対して、トーンカーブに沿った非線形な階調補正を行うものを含む。
【0159】
<具体例1>
図19は、第2の実施形態における画像処理部35の具体的な処理の例(具体例1)を示すブロック図である。
【0160】
本例の画像処理部35は、オフセット補正処理部41、振幅復元処理部44、ガンマ補正処理部を含む階調補正処理部45、及び位相補正処理部46を備えている。尚、振幅復元処理部44では図16で説明を行った振幅復元処理P12が行われ、位相補正処理部46では図16で説明を行った位相補正処理P14が行われる。
【0161】
図19において、オフセット補正処理部41には、撮像素子26から取得される画像処理前のモザイクデータ(RAWデータ)を、点順次で入力される。尚、モザイクデータは、例えば、12ビット(0〜4095)のビット長を有するデータ(1画素当たり2バイトのデータ)である。
【0162】
オフセット補正処理部41は、入力されたモザイクデータに含まれる暗電流成分を補正する処理部であり、撮像素子26上の遮光画素から得られるオプティカルブラック(OB)(optical black)の信号値を、モザイクデータから減算することによりモザイクデータのオフセット補正を行う。
【0163】
オフセット補正されたモザイクデータは、振幅復元処理部44に加えられ、ここで、振幅復元処理が行われる。
【0164】
振幅復元処理部44により振幅復元処理された画像データは、階調補正処理部45に加えられる。
【0165】
階調補正処理部45は、振幅復元処理され画像データに対して、非線形な階調補正を行う部分であり、例えば、入力された画像データを対数化処理によるガンマ補正処理を行い、ディスプレイ装置により画像が自然に再現されるように画像データに対して非線な処理を行う。
【0166】
階調補正処理部45により階調補正された画像データは、位相補正処理部46に加えられ、ここで、画像データの位相補正処理が行われる。
【0167】
<具体例2>
図20は、第2の実施形態における画像処理部35の具体的な処理の例(具体例2)を示すブロック図である。尚、図2において、図19に示した画像処理部35の具体例と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0168】
本例の画像処理部35は、オフセット補正処理部41、位相補正処理部46、ガンマ補正処理部を含む階調補正処理部45、及び振幅復元処理部44を備えている。
【0169】
本例の画像処理部35は、具体例1と比較すると振幅復元処理部44と位相補正処理部46との順序が逆になっている。すなわち本例では、オフセット補正処理が行われた画像データは、位相補正処理部46に加えられ、ここで位相補正が行われる。また、本例では、階調補正処理部45で階調補正された画像データは、振幅復元処理部44に加えられ、振幅復元処理が行われる。
【0170】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に関して説明する。
【0171】
図21は、第3の実施形態における画像処理部35の具体的な処理の例を示すブロック図である。第3の実施形態における画像処理部35は、可視光を光源とする画像の画像データ、近赤外光を光源とする画像の画像データ(第1の画像データ)、及び近赤外光と可視光とを光源とする画像の画像データ(第2の画像データ)を共通の画像処理回路により処理が行われている。デジタルカメラ10の可視光撮像モードで撮像した場合(図1)にはRGBデータが取得され、近赤外光撮像モードで撮像した場合(図2)にはIRデータが取得される。第1の画像データ及び第2の画像データは近赤外光撮像モードで取得されるのでIRデータとなる。
【0172】
本例の画像処理部35は、オフセット補正処理部41、ホワイトバランス(WB)を調整するWB補正処理部42、デモザイク処理部43、復元処理部71、階調補正演算部73、非線形補正テーブル記憶部74、輝度及び色差変換処理部47、及び輪郭強調処理部55を備える。
【0173】
オフセット補正処理部41には、可視光撮像モード及び近赤外光撮像モードで撮像した場合に撮像素子26から取得される画像処理前のモザイクデータ(RAWデータ)が点順次で入力される。
【0174】
オフセット補正処理部41は、入力されたモザイクデータに含まれる暗電流成分を補正する処理部であり、撮像素子26上の遮光画素から得られるオプティカルブラック(OB)の信号値を、モザイクデータから減算することによりモザイクデータのオフセット補正を行う。
【0175】
オフセット補正されたモザイクデータは、WB補正処理部42に加えられる。可視光撮像モードで撮像された画像データ(RGBデータ)が入力された場合には、WB補正処理部42は、RGBの色毎に設定されたWBゲインを、それぞれRGBデータに乗算し、RGBデータのホワイトバランス補正を行う。WBゲインは、例えば、RGBデータに基づいて光源種が自動的に判定され、あるいは手動による光源種が選択されるとし、判定又は選択された光源種に適したWBゲインが設定されるが、WBゲインの設定方法は、これに限らず、他の公知の方法により設定することができる。一方、近赤外光撮像モードで撮像された画像データ(IRデータ)(第1の画像データ又は第2の画像データ)が入力された場合には、WB補正は必要がないので、IRデータが入力された場合には、WB補正処理部42は処理を行わずにそのまま画像データを出力する。なお、WB補正処理部42は、IRデータが入力された場合に、Rフィルタを有する画素からの出力値、Gフィルタを有する画素からの出力値及びBフィルタを有する画素からの出力値を調整する処理を行ってもよい。
【0176】
デモザイク処理部43は、可視光撮像モードで撮像された画像データ(RGBデータ)が入力された場合には、RGBからなるモザイク画像から画素毎にRGB全ての色情報を算出する。即ち、デモザイク処理部43は、モザイクデータ(点順次のRGBデータ)から同時化されたRGB3面の画像データを生成する。また、デモザイク処理部43は、近赤外光撮像モードで撮像された画像データ(IRデータ)が入力された場合には、デモザイク処理は必要ないので、デモザイク処理部43は処理を行わずにそのまま画像データを出力する。なお、IRデータに対するデモザイク処理は、Rフィルタを有する画素からの出力感度、Gフィルタを有する画素からの出力感度、及びBフィルタを有する画素からの出力感度がほぼ等しいために、必要がないと考えられる。
【0177】
デモザイク処理部43から出力されたRGBデータ及びIRデータは、復元処理部71に入力され、ここで可視光復元処理、第1の復元処理、及び第2の復元処理が行われる。
【0178】
図22は、復元処理部71を示すブロック図である。復元処理部71は、主として復元処理演算部210、第1の点拡がり関数記憶部220、第2の点拡がり関数記憶部230、第3の点拡がり関数生成部240、点像復元フィルタ生成部(フィルタ生成部)250、及び光量比検出部160から構成されている。
【0179】
復元処理演算部210には、可視光撮像モードで撮像が行われた場合にはRGBデータが入力され、近赤外光撮像モードで撮像が行われた場合にはIRデータが入力される。そして、復元処理演算部210は、入力された画像データ(RGBデータ及びIRデータ)に対して、点像復元フィルタ生成部250により生成された復元フィルタを用いた点像復元処理を行い、点像復元処理された画像データを算出する。
【0180】
第1の点拡がり関数記憶部220は、光学系(レンズ16等)の可視光に対する第1の点拡がり関数(第1のPSF)を記憶する記憶部である。
【0181】
第2の点拡がり関数記憶部230は、光学系(レンズ16等)の近赤外光に対する第2の点拡がり関数(第2のPSF)を記憶する記憶部である。
【0182】
第1のPSF及び第2のPSFは、それぞれ可視光のみの光源及び近赤外光のみの光源による照明条件下で点像を撮像し、これらの撮像時に得られる点像の画像データに基づいて測定されるもので、予め製品出荷前に計測され、第1の点拡がり関数記憶部220及び第2の点拡がり関数記憶部230に記憶されている。なお、第1の点拡がり関数記憶部220及び第2の点拡がり関数記憶部230は、PSFの記憶に限定されない。すなわち、第1の点拡がり関数記憶部220及び第2の点拡がり関数記憶部230には、OTF、PTF、及びMTFが記憶されていてもよい。
【0183】
第3の点拡がり関数生成部240は、薄暮用の点拡がり関数を生成する部分である。例えば、第3の点拡がり関数生成部240は、第1の点拡がり関数記憶部220から読み出した第1のMTFと、第2の点拡がり関数記憶部230から読み出した第2のMTFと、光量比検出部160から加えられる光量比とに基づいて、光量比に応じて第1のMTFと第2のMTFとを重み付け平均した第3のMTFを算出する。
【0184】
ここで、薄暮の状態の可視光の光量と近赤外光の光量との光量比を、p:q、p+q=1とすると、第3の点拡がり関数生成部240は、次式により薄暮用の第3のMTFを算出する。
【0185】
[数2]
第3のPSF=第1のPSF×p+第2のPSF×q
点像復元フィルタ生成部250は、第1の点拡がり関数記憶部220、第2の点拡がり関数記憶部230、又は第3の点拡がり関数生成部240から、画像データに応じたMTF及びPSF等の関数を取得し、取得した関数に基づいて復元フィルタを生成する。
【0186】
点像復元フィルタ生成部250には、カメラ本体コントローラ28から撮像モード情報及び判定部2の情報が入力される。そして、点像復元フィルタ生成部250は、入力されたこれらの情報に基づいて、可視光を光源とする画像データが復元処理部71に入力されている場合には、第1の点拡がり関数記憶部220から第1のPSFを読み出し、読み出した第1のPSFに基づいて復元フィルタを生成する。
【0187】
同様に点像復元フィルタ生成部250は、近赤外光を光源とする画像データ(第1の画像データ)が復元処理部71に入力されている場合には、第2の点拡がり関数記憶部230から第2のPSFを読み出し、読み出した第2のPSFに基づいて復元フィルタを生成する。また同様に、点像復元フィルタ生成部250は、近赤外光及び可視光を光源とする画像データ(第2の画像データ)が入力された場合には、第3の点拡がり関数生成部240により生成されたMTFを取得し、取得した第3のMTFに基づいて復元フィルタを生成する。
【0188】
図21に戻って、復元処理部71により点像復元処理されたRGBデータ及びIRデータは、階調補正演算部73に加えられる。
【0189】
階調補正演算部73は、RGBデータ及びIRデータに対して、非線形な階調補正を行う部分である。例えば階調補正演算部73は、入力されるRGBデータ及びIRデータを対数化処理によるガンマ補正処理を行い、ディスプレイ装置により画像が自然に再現されるようにRGBデータに対して非線な処理を行う。なお、階調補正演算部73は、画像データに応じて非線形な階調補正を行うテーブルデータを非線形補正テーブル記憶部74から取得する。ここで、非線形補正テーブル記憶部74には、R、G、及びBデータに対する非線形な階調補正を行うテーブルデータ、及びIRデータに対する非線形な階調補正を行うテーブルデータが記憶されている。
【0190】
階調補正演算部73により階調補正された(R)(G)(B)データ及び階調補正された(IR)データは、輝度及び色差変換処理部47に加えられる。なお、階調補正後のRGBデータを(R)(G)(B)データと、階調補正後のIRデータを(IR)データと表記する。
【0191】
輝度及び色差変換処理部47は、可視光撮像モードで撮像された画像データが入力された場合には、(R)(G)(B)データを輝度成分を示す輝度データ(Y)と、色差データ(Cr)及び(Cb)とに変換する処理部であり、以下に示す[数3]で示した式により算出する。また、輝度及び色差変換処理部47は、近赤外光撮像モードで撮像された画像データが入力された場合には、(IR)データを輝度データ(Y)と、色差データ(Cr)及び(Cb)とに変換する必要はないので、輝度及び色差変換処理部47は処理を行わずにそのまま(IR)データを出力する。
【0192】
[数3]
(Y)=0.299(R)+0.587(G)+0.114(B)
(Cb)=−0.168736(R)−0.331264(G)+0.5(B)
(Cr)=−0.5(R)−0.418688(G)−0.081312(B)
尚、(R)(G)(B)データは、階調補正及び位相補正処理後の8ビットのデータであり、これらの(R)(G)(B)データから変換される輝度データ(Y)、色差データ(Cr)、(Cb)も8ビットのデータである。また、(R)(G)(B)データから輝度データ(Y)、色差データ(Cr)、(Cb)への変換式は、上記[数3]式に限定されない。
【0193】
輝度及び色差変換処理部47から出力された画像データは、輪郭強調処理部55に入力される。
【0194】
輪郭強調処理部55は、入力される(Y)(Cb)(Cr)データ及び(IR)データに対して輪郭強調処理を行う。輪郭強調処理部55は、(Y)(Cb)(Cr)データが入力された場合には(Y)データに対して輪郭強調の処理を行い、(IR)データが入力された場合には(IR)データに対して輪郭強調の処理を行う。
【0195】
本実施形態によれば、可視光撮像モードで撮像された画像データと近赤外光撮像モードで撮像された画像データとが共通の画像処理回路により処理が行われているので、回路設計の負荷を軽減し小型化を図ることができる。
【0196】
<EDoFシステムへの適用例>
上述の実施形態における点像復元処理(振幅復元処理及び位相補正処理)は、特定の撮影条件(例えば、絞り値、F値、焦点距離、レンズ種類等)に応じて点拡がり(点像ボケ)を、振幅復元処理及び位相補正処理することで本来の被写体像を復元する画像処理であるが、本発明を適用可能な画像処理は、上述の実施形態における復元処理に限定されるものではない。例えば、拡大された被写界(焦点)深度(EDoF:Extended Depth of Field(Focus))を有する光学系(撮影レンズ等)によって撮影取得された画像データに対する復元処理に対しても、本発明に係る復元処理を適用することが可能である。EDoF光学系によって被写界深度(焦点深度)が拡大された状態で撮影取得されるボケ画像の画像データに対して復元処理を行うことで、広範囲でピントが合った状態の高解像度の画像データを復元生成することができる。この場合、EDoF光学系の伝達関数(PSF、OTF、MTF、PTF等)に基づく振幅復元フィルタ、位相補正フィルタであって、拡大された被写界深度(焦点深度)の範囲内において良好な画像復元が可能となるように設定されたフィルタ係数を有する振幅復元フィルタ、位相補正フィルタを用いた復元処理が行われる。
【0197】
図23は、EDoF光学系を備える撮像モジュール101の一形態を示すブロック図である。本例の撮像モジュール(デジタルカメラ等に搭載されるカメラヘッド)101は、EDoF光学系(レンズユニット)110と、撮像素子112と、AD(analog digital)変換部114と、を含む。
【0198】
図24は、EDoF光学系110の一例を示す図である。本例のEDoF光学系110は、単焦点の固定された撮影レンズ110Aと、瞳位置に配置される光学フィルタ111とを有する。光学フィルタ111は、位相を変調させるもので、拡大された被写界深度(焦点深度)(EDoF)が得られるようにEDoF光学系110(撮影レンズ110A)をEDoF化する。このように、撮影レンズ110A及び光学フィルタ111は、位相を変調して被写界深度を拡大させるレンズ部を構成する。
【0199】
尚、EDoF光学系110は必要に応じて他の構成要素を含み、例えば光学フィルタ111の近傍には絞り(図示省略)が配設されている。また、光学フィルタ111は、1枚でもよいし、複数枚を組合せたものでもよい。また、光学フィルタ111は、光学的位相変調手段の一例に過ぎず、EDoF光学系110(撮影レンズ110A)のEDoF化は他の手段によって実現されてもよい。例えば、光学フィルタ111を設ける代わりに、本例の光学フィルタ111と同等の機能を有するようにレンズ設計された撮影レンズ110AによってEDoF光学系110のEDoF化を実現してもよい。
【0200】
即ち、撮像素子112の受光面への結像の波面を変化させる各種の手段によって、EDoF光学系110のEDoF化を実現することが可能である。例えば、「厚みが変化する光学素子」、「屈折率が変化する光学素子(屈折率分布型波面変調レンズ等)」、「レンズ表面へのコーディング等により厚みや屈折率が変化する光学素子(波面変調ハイブリッドレンズ、レンズ面上に位相面として形成される光学素子、等)」、「光の位相分布を変調可能な液晶素子(液晶空間位相変調素子等)」を、EDoF光学系110のEDoF化手段として採用しうる。このように、光波面変調素子(光学フィルタ111(位相板))によって規則的に分散した画像形成が可能なケースだけではなく、光波面変調素子を用いた場合と同様の分散画像を、光波面変調素子を用いずに撮影レンズ110A自体によって形成可能なケースに対しても、本発明は応用可能である。
【0201】
図23及び図24に示すEDoF光学系110は、メカ的に焦点調節を行う焦点調節機構を省略することができるため小型化が可能であり、カメラ付き携帯電話機や携帯情報端末に好適に搭載可能である。
【0202】
EDoF化されたEDoF光学系110を通過後の光学像は、図23に示す撮像素子112に結像され、ここで電気信号に変換される。
【0203】
撮像素子112としては、図1に示した撮像素子26と同様のものが適用できる。
【0204】
アナログデジタル変換部(AD変換部)114は、撮像素子112から画素毎に出力されるアナログのRGB画像信号をデジタルのRGB画像信号に変換する。AD変換部114によりデジタルの画像信号に変換されたデジタル画像信号は、モザイクデータ(RAW画像データ)として出力される。
【0205】
撮像モジュール101から出力されるモザイクデータに対し、前述した実施形態で示した画像処理部(画像処理装置)35を適用することにより、広範囲でピントが合った状態の高解像度の回復画像データを生成することができる。
【0206】
即ち、図25の符号1311に示すように、EDoF光学系110を通過後の点像(光学像)は、大きな点像(ボケ画像)として撮像素子112に結像されるが、画像処理部(画像処理装置)35による点像復元処理(振幅復元処理及び位相補正処理)により、図25の符号1312に示すように小さな点像(高解像度の画像)に復元される。
【0207】
尚、上述の各実施形態では、画像処理部(画像処理装置)35が、デジタルカメラ10のカメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)に設けられる態様について説明したが、コンピュータ60やサーバ80等の他の装置に画像処理部(画像処理装置)35が設けられてもよい。
【0208】
例えば、コンピュータ60において画像データを加工する際に、コンピュータ60に設けられる画像処理部(画像処理装置)35によってこの画像データの点像復元処理が行われてもよい。また、サーバ80が画像処理部(画像処理装置)35を備える場合、例えば、デジタルカメラ10やコンピュータ60からサーバ80に画像データが送信され、サーバ80の画像処理部(画像処理装置)35においてこの画像データに対して点像復元処理が行われ、点像復元処理後の画像データ(回復画像データ)が送信元に送信及び提供されるようにしてもよい。
【0209】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0210】
1…画像入力部、2…判定部、3…第1の復元処理部、4…光量検出部、5…第2の復元処理部、6…可視光復元処理部、7…階調補正処理部、8…位相補正部、9…振幅復元部、10…デジタルカメラ、12…レンズユニット、14…カメラ本体、15…近赤外光発光部、16…レンズ、17…絞り、18…光学系操作部、19…被写体、20…レンズユニットコントローラ、22…レンズユニット入出力部、24…カットフィルタ動作機構、25…IRカットフィルタ、26…撮像素子、27…ダミーフィルタ、28…カメラ本体コントローラ、30…カメラ本体入出力部、31…蛍光灯、32…入出力インターフェース、33…IR投光機、34…デバイス制御部、35…画像処理部、36…光量取得部、60…コンピュータ、62…コンピュータ入出力部、64…コンピュータコントローラ、66…ディスプレイ、70…インターネット、80…サーバ、82…サーバ入出力部、84…サーバコントローラ、101…撮像モジュール、110…EDoF光学系、110A…撮影レンズ、111…光学フィルタ、112…撮像素子、114…AD変換部
図1
図2
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図6
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