特許第6247916号(P6247916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6247916樹脂組成物、有機電子デバイス素子封止用樹脂シート、有機エレクトロルミネッセンス素子および画像表示用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247916
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、有機電子デバイス素子封止用樹脂シート、有機エレクトロルミネッセンス素子および画像表示用装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/22 20060101AFI20171204BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171204BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20171204BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   C08L23/22
   H05B33/04
   H05B33/14 A
   C08L45/00
   C08L65/00
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-250573(P2013-250573)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-108045(P2015-108045A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100131288
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 尚祐
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 匠
(72)【発明者】
【氏名】三枝 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石黒 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】青山 真沙美
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊光
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/021924(WO,A1)
【文献】 特表2009−524705(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/031656(WO,A1)
【文献】 特開2007−197517(JP,A)
【文献】 特開2012−057065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
H01L
H05B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブチレン樹脂および石油ナフサを熱分解して得られるC5留分中のジシクロペンタジエンより合成された水素添加石油樹脂を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、該水素添加石油樹脂の含有量が50〜80質量部であり、厚さ0.1mmの膜にした場合の該樹脂組成物の25℃における引張伸び率が200%以上であり、かつ85℃における厚さ20μmの膜にした場合のせん断接着力が30gf/5mm以上であり、
前記ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量が、50,000〜1,000,000であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記引張伸び率が200%のとき、前記樹脂組成物の波長550nmの膜光透過率が、厚さ0.1mmの膜において85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
厚さ0.1mmの膜にして前記樹脂組成物を85℃85%RHの条件で100時間保存した後の波長550nmの光透過率が、85%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物で形成されてなる樹脂層を少なくとも1層有することを特徴とする有機電子デバイス素子封止用樹脂シート。
【請求項5】
請求項に記載の有機電子デバイス素子封止用樹脂シートで封止されてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、有機電子デバイス素子封止用樹脂シート、有機エレクトロルミネッセンス素子および画像表示用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年液晶に変わるディスプレイ材料として有機エレクトロルミネッセンス(以後、有機ELもしくは単にELとも称す)素子が注目されている。EL素子は、多くの場合、高強度の光の放射を提供し、直流で、しかも低い電圧で駆動することが可能である。EL素子の全ての構成要素は固形材料から形成され、フレキシブルディスプレイとして使用できる。
【0003】
しかしながら、有機EL素子は、該素子に浸透する水分により、発光特性が劣化することが知られている。水分の浸透を防ぐため、有機EL素子の封入技術が検討されている。例えば、ガラス基材上に形成された有機EL層を耐湿性のある光硬化型樹脂で覆い、同時に、水分透過性の低い基材を光硬化型樹脂の上部に固着する方法(特許文献1参照)、ガラス基材上に形成された有機EL層に硬化成分を含まない低透水性のポリイソブチレン樹脂を用いて封止する方法(特許文献2参照)が提案されている。また、(メタ)アクリルモノマーを用いて、撓みの抑制も試みられいる(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−182759号公報
【特許文献2】特許第5074423号公報
【特許文献3】特開2011−006608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載の方法ではフレキシブルディスプレイへの適用を考えた場合、応力の緩和について考えられていないため、屈曲時に封止材が割れてしまい、水分の浸透が進んでしまう可能性があった。また、有機EL素子を形成したガラス基板と背面基板は封止材により接着されているため、該封止材はガラス基板をいかなる状態においてもその場に留めるだけの接着性能を有する必要があるが、特許文献1、2ではその検討が十分になされてはいなかった。一方、特許文献3に記載の方法では、ベースポリマーの低透水性が不足しており、有機EL用封止材としては十分な特性をもっていなかった。
従って、本発明は、上記問題点を解決し、機械的特性や接着性能に優れ、しかも経時によっても機械的特性の劣化や透明性の低下が少ない樹脂組成物、これにより長期間使用が可能な有機電子デバイス素子封止用樹脂シートおよびフレキシブルディスプレイ等の画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、種々のポリイソブチレン樹脂および種々の粘着付与素材の各組合せを検討するなかで、その組み合わせと配合量により、上記課題を解決できる糸口を見出した。さらに検討した結果、樹脂組成物の引張伸び率と85℃におけるせん断接着力が特定の値以上であることが重要であることがわかった。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
【0007】
すなわち、上記課題は以下の手段により解決された。
(1)ポリイソブチレン樹脂および石油ナフサを熱分解して得られるC5留分中のジシクロペンタジエンより合成された水素添加石油樹脂を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、該水素添加石油樹脂の含有量が50〜80質量部であり、厚さ0.1mmの膜にした場合の該樹脂組成物の25℃における引張伸び率が200%以上であり、かつ85℃における厚さ20μmの膜にした場合のせん断接着力が30gf/5mm角(30gf/5mm□)以上であり、
前記ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量が、50,000〜1,000,000であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記引張伸び率が200%のとき、前記樹脂組成物の波長550nmの光透過率が、厚さ0.1mmの膜において85%以上であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)厚さ0.1mmの膜にして前記樹脂組成物を85℃85%RHの条件で100時間保存した後の波長550nmの光透過率が、85%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物
(4)前記(1)〜()のいずれか1項に記載の樹脂組成物で形成されてなる樹脂層を少なくとも1層有することを特徴とする有機電子デバイス素子封止用樹脂シート。
)前記()に記載の有機電子デバイス素子封止用樹脂シートで封止されてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
)前記()に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、機械的特性と接着特性に優れ、しかも経時によっても機械的特性の劣化や透明性の低下が少ない樹脂組成物、これにより長期間使用が可能な有機電子デバイス素子封止用樹脂シートおよびフレキシブルディスプレイ等の画像表示装置を提供することが可能となった。
すなわち、本発明の樹脂組成物、該組成物からなる有機電子デバイス素子封止用樹脂シート、該樹脂シートを用いた画像表示装置は、透水性が低く、接着性能が高く、屈曲しても封止材の樹脂組成物の引張伸び率が高いことで、封止材である樹脂シートが伸び、封止性能に影響を受けず、長期間使用しても封止性能、屈曲性や光透過率が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の画像表示装置の概略を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、有機電子デバイス素子の封止材である樹脂シートに好適に用いることができる。本発明の画像表示装置は、表示パネルと保護板との間に本発明の樹脂組成物からなる樹脂層(樹脂シート)を有していればよく、その他の構造は特に限定されない。本発明の画像表示装置の一実施態様は、図1に示されるように、表示パネル4と、表示パネル4に対面配置された保護板2と、表示パネル4および保護板2の間に介在、すなわち配置された樹脂層3とを有している。このように画像表示装置1は、表示パネル4と保護板2と樹脂層3との積層構造を有している。本発明の画像表示装置は、このような構造を有するものであればよく、例えば、表示パネル4は少なくとも一方の表面に偏光子を有していてもよい。
画像表示装置1において、樹脂層3が本発明の樹脂組成物又は本発明の樹脂シートで形成されている。本発明の樹脂組成物は、画像表示装置の表示パネルと保護板との間に介在させて表示パネルと保護板との間を充填するのに好適な樹脂組成物である。
【0011】
<<樹脂組成物>>
本発明の樹脂組成物は、少なくともポリイソブチレン樹脂および石油ナフサを熱分解して得られるC5留分中のジシクロペンタジエンより合成された水素添加石油樹脂を含有する。
また、この水素添加石油樹脂の含有量は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、50〜80質量部である。
【0012】
<ポリイソブチレン樹脂>
本発明で使用するポリイソブチレン樹脂は、イソブチレンのホモポリマーもしくはブテン−1、ブテン−2、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、エチレン、プロピレンのような炭素数12までの不飽和脂肪族炭化水素であるオレフィンと共重合した共重合体のいずれであっても構わない。
また、上記以外の共重合成分、例えば、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、臭化ビニル、水添スチレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等のエチレン性不飽和基を有する化合物、との共重合体であっても構わない。
このような共重合体の場合、共重合体に占めるイソブチレンの成分量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
共重合体の場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでも構わない。
【0013】
ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量は、100,000〜1,000,000が好ましく、100,000〜900,000がより好ましい。
ここで、重量平均分子量は、GPC〔ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)〕によるポリスチレン換算で求めた値である。
また、ガラス転移温度(Tg)は、−100〜10℃が好ましく、−70〜0℃がより好ましく、−50〜−10℃がさらに好ましい。
【0014】
ポリイソブチレン樹脂は、市販品として、オパノールB12、B30、B50、B80、B100、B120、B150、B200(BASF社製)、Exxon065、268、365(JSR社製)、ビスタネックスLM−MS、MH、H、MML−80、100、120、140(エクソン・ケミカル社製)、HYCAR(グッドリッチ社製)、SIBSTAR T102(カネカ社製)などが挙げられる。
これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
<水素添加石油樹脂>
本発明で使用する水素添加石油樹脂は、モノマー成分のジシクロペンタジエンを重合させ、これを水素添加した樹脂であり、このモノマー成分のジシクロペンタジエンは、石油ナフサを熱分解して得られるC5留分中のジシクロペンタジエンが使用される。従って、ジシクロペンタジエンを主成分(50質量%以上)とするものであるが、C5留分中のジシクロペンタジエン以外の成分も共重合成分(例えば、シクロペンタジエン、イソプレン)として混入する。
【0016】
水素添加石油樹脂中のジシクロペンタジエンの成分量は50質量%以上であるが、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
ジシクロペンタジエンに含まれる成分との共重は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでも構わない。
さらに上記に加えて、スチレン等で変性され、水素添加された変性水素添加石油樹脂であっても構わない。
水素添加は完全水素添加であっても部分水素添加であっても構わないが完全水素添加がより好ましい。
【0017】
水素添加石油樹脂の重量平均分子量は、300〜5,000が好ましく、400〜4,000がより好ましく、500〜3,000がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC〔ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)〕によるポリスチレン換算で求めた値である。
ガラス転移温度(Tg)は、0〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
軟化点は、60〜140℃が好ましく、70〜130℃がより好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。
【0018】
このような水素添加石油樹脂のうち、水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂では、例えば、ESCOREZ 5300、5320、5380、5400、Operra 130J(いずれもエクソン・ケミカル社製)、およびEASTOTAC H(イーストマン・ケミカル社製)が挙げられ、部分的に水素添加された芳香族で変性されたジシクロペンタジエン系樹脂は、例えば、ESCOREZ 5600(エクソン・ケミカル社製)が挙げられる。
【0019】
水素添加石油樹脂の含有量は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、本発明では50〜80質量部であるが、50〜70質量部が好ましく、50〜65質量部がより好ましく、60〜65質量部が特に好ましい。
このような含有量とすることで、柔軟性を高め、せん断接着力を向上させると同時に高い水蒸気バリア性を得られる。
【0020】
<その他の素材>
本発明の樹脂組成物は、上記以外の樹脂、可塑剤、シランカップリング剤、保存安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、脱水剤、タック調整剤や樹脂安定剤等を含有してもよい。
【0021】
その他の樹脂としては、例えばタッキファイヤーのようなロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、上記のような水素添加石油樹脂以外の石油樹脂系、スチレン系等が挙げられる。なお、タッキファイヤーを含むことで貼合対象との密着性が向上し、空隙が存在しにくくなるため視認性が向上する。タッキファイヤーの軟化点は60〜150℃が好ましい。
【0022】
可塑剤(軟化剤)としては、ワックス、パラフィン、エステル類等が挙げられる。また上述したポリイソブチレン樹脂の低分子量成分も使用できる。具体的には重量平均分子量は、1,000〜5,0000が好ましく、10,000〜50,000がより好ましく、配合量は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
【0023】
(シランカップリング剤)
本発明の樹脂組成物がシランカップリング剤を含有していると、ガラスなどの保護板との密着性が向上し空隙が存在しにくくなるという効果が得られる。
シランカップリング剤としては、具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は2種類以上を混合してもよい。
【0024】
<樹脂組成物の特性>
本発明の樹脂組成物もしくは該組成物から得られた樹脂シート(樹脂層)は、以下の特性を有するか、または有するのが好ましい。
【0025】
(引張伸び率)
本発明の樹脂組成物は、厚さを0.1mmの膜にした場合の25℃における引張伸び率は200%以上である。
引張伸び率は200%〜1500%が好ましく、500〜1200%がより好ましく、800〜1000%がさらに好ましい。
【0026】
引張伸び率は、以下のように測定して求めることができる。
樹脂組成物溶液を、片面に離型処理がなされているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μmの剥離シート)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが0.1mm(100μm)になるようにバーコーターで塗布し、120℃で3分間加熱乾燥後、更に50℃で24時間エージングし、剥離シートのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して樹脂シートを作製し、これを試料とする。この試料を、引張試験機(例えば、島津製作所製、島津オートグラフ AGS−5NX)に設置し、チャック間距離10mm、引張り速度300mm/分、25℃の条件で引張った際に生じる最大伸び(%)を測定する。
ここで、最大伸び(%)は、引張る前の試料の長さに対して、引張った際に、試料が破断する直前の長さから、下式(1)に基づき計算した。
【0027】
最大伸び(%)=100×(破断する直前の長さ)/(引張る前の試料の長さ) 式(1)
【0028】
引張伸び率は、使用するイソブチレン樹脂、水素添加石油樹脂の各種類、含有比率、可塑剤成分の含有量により調節することができる。
【0029】
(せん断接着力)
本発明の樹脂組成物は、厚さを20μmの膜にした場合の85℃におけるせん断接着力は30gf/5mm□(すなわち、30gf/5mm角)以上である。せん断接着力は30〜300gf/5mm□が好ましく、50〜300gf/5mm□がより好ましく、50〜250gf/5mm□がさらに好ましい。
【0030】
せん断接着力は以下のようにして測定することができる。
樹脂組成物溶液を、片面に離型処理がなされているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μmの剥離シート)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが20μmになるようにバーコーターにて塗布し、120℃で3分間加熱乾燥後、更に50℃で24時間エージングしたものを試料とする。
この試料をガラス基板に80℃のホットプレート上で貼合した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離する。その後5mm角のガラスチップを乗せ100℃に加熱しながら0.1N/cmの圧力で10秒加圧し接着力測定試料を得る。この測定試料をボンドテスター(例えば、デイジジャパン製、万能型ボンドテスター4000Plus)を用い、測定温度85℃、せん断速度50μm/s、せん断高さ75μmの条件で評価する。
【0031】
(波長550nmの光透過率)
本発明の樹脂組成物は、可視域(380nm〜800nm)で透明であり、少なくとも使用状態において可視域での平均透過率が85%以上、好ましくは90%以上である。これによって、有機発光EL素子の発光効率をほとんど妨げることがない。
可視光の透過率のうち、本発明では、特に、0.1mmの厚みの膜にした場合、波長550nmの光透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
また、厚さが0.1mmの膜での25℃における引張伸び率が200%の時の波長550nmの光透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
本発明では、厚さ0.1mmの膜にして前記樹脂組成物を85℃85%RHの条件で100時間保存した後の波長550nmの光透過率は、85%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましい。
【0032】
光透過率は、分光光度計〔例えば、日立ハイテクノロジーズ製、分光光度計U−4100型(商品名)、固体試料測定システム〕を用いて、以下のように求められる。
まず、0.5mm以上の透明なプラスチック基板又はガラス基板を準備し、JIS K7361−1に準拠した方法で透過率tbを測定する。さらにその測定したプラスチック基板又はガラス基板に、当該樹脂組成物を、厚み0.1mmの膜として塗工又はフィルム状に成型して貼合し、先ほどと同様にJIS K7361−1に則り透過率tsを求める。それらの比(ts/tb)の百分率〔(ts/tb)×100〕を樹脂組成物の透過率(%)とする。
【0033】
また、伸び率200%時点の光透過率は以下の方法で測定できる。
引張伸び率の測定と同様の方法で、厚み0.1mmの試料を作製し、引張試験機で引張伸び率の測定と同一の条件で引張り、引張伸び率が200%となった時点で引張試験機の装置を止め5分間静置する。
その後、光透過率を上記と同様に測定し、ts/tbを求める。さらに厚み変化の条件を勘案し、引っ張り後のフィルムの厚みd(mm)とts/tbから下記(2)式を用いて、厚さ0.1mmの膜に換算し、伸び率200%時点の光透過率(%)を求めることができる。
【0034】
【数1】
【0035】
85℃85%RHでの100時間の保存は、恒温恒湿槽(例えば、エスペック株式会社製のPR−1J)を使用する。
【0036】
光透過率は、使用するイソブチレン樹脂、水素添加石油樹脂の各種類、含有比率、各種添加剤種類、含有量により調節することができる。
【0037】
<樹脂シート>
本発明の樹脂シート(樹脂フィルムとも称す)は、本発明の樹脂組成物からなる。
具体的には、本発明の樹脂組成物を高温にて溶融させ、ホットメルトコーター等の一般に公知の手法でシート状又はフィルム状に押し出し、その後冷却することで樹脂層を形成し、樹脂シートとしてもよい。
また、本発明の樹脂組成物に溶剤を混合したものをワニス(分散液もしくは塗布液)として、例えば、剥離シートの剥離面上にロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーター等一般に公知の方法にしたがって直接または転写によって塗工し、乾燥させて樹脂層を形成し、樹脂シートにすることができる。
塗工する場合に、本発明の樹脂組成物に加える溶剤は、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノールの有機溶剤又は水を使用でき、有機溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、トルエンが特に好ましい。塗工して得られた樹脂層は、十分に乾燥して溶剤を除去する。
【0038】
樹脂シートは、2層以上の樹脂層からなってもよい。
樹脂層もしくは樹脂シートの厚さは、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。なお、2層以上の樹脂層の場合は、樹脂層の総厚みである。
【0039】
(剥離シート)
本発明の樹脂シートは、樹脂層の両面または片面に剥離シートを有しいてもよい。このような剥離シートを有することで、取扱性が良くなり、また、製造した樹脂シートは、画像表示装置を作製するまで、別途保管が可能となり、また画像表示装置を製造する際の作業効率が高まる。
【0040】
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。特にコスト、取扱性等の面からポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。
【0041】
剥離シートから樹脂層を剥離する際の剥離力は、0.3N/20mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2N/20mmである。特に制限されないが剥離力は0.005N/20mm以上が実際的である。また、両面に剥離フィルムを仮着させる場合には、取扱性を良くするために、剥離力の異なるものを使用するのが好ましい。
【0042】
剥離シートの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μm程度である。
【0043】
本発明では、樹脂組成物もしくは樹脂シートは、有機電子デバイスとして使用する際、カラーフィルターや光学フィルム等の他の構成要素と組み合わせて使用することも可能である。
本発明では、特に有機電子デバイス素子の封止用に使用することが好ましく、なかでも有機EL素子封止用樹脂シートとして使用するのが好ましい。
【0044】
<有機EL素子>
本発明の有機EL素子は、本発明の有機EL素子封止用樹脂シートを使用する。
有機EL素子は、一対の対向した電極、すなわち、陽極および陰極と、それらの電極の間に配置された、少なくとも有機発光層を有する発光ユニットとを含む積層体を備えており、その積層体が、本発明の有機EL素子封止用樹脂シートで封止されている。
本発明の有機EL素子は、例えば、次のような構成を有することができる。
【0045】
2つの電極とそれらの電極の間に配置された発光ユニットとからなる積層体は、例えば発光ユニットが1つの場合もあれば2個以上の発光ユニットが組み合わさって組み込まれたものであってもよく、種々の層構成を有することができる。
【0046】
積層体は通常、基板上に設けられる。基板は、硬質の材料、例えばジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス、金属などの無機材料、または、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料からなる。基板は、その形状、構造、寸法等に制限はなく、目的とするEL素子の構成に応じて最適なものを選択することができる。
一般的な基板は、プレートの形状である。また、基板は、無色透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明であってもよい。また、基板には、必要に応じて、透湿防止層(ガスバリア層)などを設けてもよい。
【0047】
陽極材料は、4.0eV以上の仕事関数を有するものが好ましく、適当な陽極材料の例は、以下に列挙するものに限定されないが、例えば酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)等の半導電性金属酸化物、例えば金、銀、クロム、ニッケル等の金属、例えばポリアニリン、ポリチオフェン等の有機導電性材料が挙げられる。
【0048】
陰極材料は、4.5eV以下の仕事関数を有するものが好ましく、適当な陰極材料の例は、以下に列挙するものに限定されないが、例えばLi、Na、K、Cs等のアルカリ金属、例えばMg、Ca等のアルカリ土類金属、金、銀、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。
【0049】
陽極と陰極によって挟まれて積層体を構成する発光ユニットは、いろいろな層構成を有することができる。例えば、発光ユニットは、有機発光層のみの単層構成であってもよく、例えば有機発光層/電子輸送層、正孔輸送層/有機発光層、正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層、正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層、有機発光層/電子輸送層/電子注入層、正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層などの多層構造であってもよい。
【0050】
(有機発光層)
有機発光層は、少なくとも1種類の発光材料を含み、必要に応じて正孔輸送材料、電子輸送材料などを含んでいてもよい。発光材料は、特に限定されるものではない。
発光材料は、金属錯体、低分子蛍光色素もしくは蛍光性高分子化合物が挙げられる。
金属錯体としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、ビス(8−キノリノラト)亜鉛錯体、フェナントロリン系ユウロピウム錯体が挙げられる。低分子蛍光色素としては、ペリレン、キナクリドン、クマリン、2−チオフェンカルボン酸などが挙げられ、蛍光性高分子化合物としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)、9−クロロメチルアントラセン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。
有機発光層の厚さは、特に限定されないが、通常、5〜100nmである。
【0051】
(正孔輸送層および正孔注入層)
これらの層は、それぞれ、正孔輸送材料から形成することができる。正孔輸送材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能あるいは陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有している。正孔輸送材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラキス(m−トリル)−1,3−フェニレンジアミン、1,1−ビス〔4−〔N,N−ジ(p−トリル)アミノ〕フェニル〕シクロヘキサン、4,4’,4”−トリス〔N,N’,N”−トリフェニル−N,N’,N”−トリ(m−トリル)〕アミノ〕−フェニレンなどが挙げられる。
これらの層の厚さは、特に限定されないが、通常、5〜100nmである。
【0052】
(電子輸送層および電子注入層)
これらの層は、それぞれ、電子輸送材料から形成することができる。電子輸送材料は、電子を輸送する機能あるいは陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有している。電子輸送材料としては、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾールなどが挙げられる。
これらの層の厚さは、特に限定されないが、通常、5〜100nmである。
【0053】
本発明の有機EL素子では、上記のような積層体を本発明の樹脂組成物もしくは樹脂シートで封止する。封止は、本発明の樹脂組成物もしくは樹脂シートで、通常、基板上に配置された積層体の露出面の全てを覆うことが好ましい。
なお、本発明の樹脂組成物もしくは樹脂シートは、接着性を有しているので、別に接着剤を使用して貼り付ける作業を省略し、製造プロセスの簡略化及び信頼性の向上を図ることができる。
しかも、本発明の樹脂組成物もしくは樹脂シートは、接着性が高く、素子内に封止空間が残ることがないため、封止空間に入り込んだ水分などによる素子特性の低下が低く、しかもデバイスの小型化、薄型化が可能となる。
【0054】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の樹脂シートを有する。
本発明の有機EL素子を有するならば、画像表示装置はどのようなものでも構わない。
【0055】
以下に、代表的な画像表示装置の製造方法を説明する。
代表的な画像表示装置は、図1に示す画像表示装置1であり、以下に示すように、表示パネル4と保護板2とを樹脂層3で貼り合わせる工程で製造される。
【0056】
(1)離型フィルム上に樹脂組成物を延展してなる樹脂層3を有する樹脂シートを表示パネル4または保護板2にロール貼合して、樹脂シート付き表示パネル4または樹脂シート付き保護板2を作製する工程
(2)工程(1)にて作製した樹脂シート付き表示パネル4または保護板2から離型フィルムを剥離して樹脂層3を露出させる工程
(3)樹脂層3を有する樹脂シート付き表示パネル4を保護板2に、または樹脂層3を有する樹脂シート付き保護板2を表示パネル4に、ラミネートする工程
【0057】
上述の工程において、画像表示装置1の視認性を向上させるためには、(1)の工程および(3)のラミネート工程において表示パネル4と保護板2との間に空隙が存在しないことが重要である。本発明の樹脂組成物を用いると、空隙をほとんど発生させることも残留させることなく表示パネル4と保護板2との間を密に充填できる。加えて、樹脂層3及び貼合対象の少なくとも一方の表面、好ましくは両方の表面に存在する凹凸を小さくして表面を平坦にしておくと、空隙の発生も残留もほとんどなく表示パネル4と保護板2との間を充填できる。
【実施例】
【0058】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
樹脂組成物に使用した素材は以下の素材である。
【0060】
ベースポリマー(A)
(ポリイソブチレン樹脂)
・オパノールB12:重量平均分子量50,000、ガラス転移温度(Tg)−64℃
・オパノールB30:重量平均分子量200,000、ガラス転移温度(Tg)−64℃
・オパノールB80:重量平均分子量750,000、ガラス転移温度(Tg)−63℃
・オパノールB100:重量平均分子量1,100,000、ガラス転移温度(Tg)−61℃
・オパノールB150:重量平均分子量2,500,000、ガラス転移温度(Tg)−61℃
・オパノールB200:重量平均分子量4,100,000、ガラス転移温度(Tg)−61℃
(上記6種はいずれもBASF社製)
・SIBSTAR T102:スチレン/イソブチレン/スチレン共重合体、スチレンコンテント17%、重量平均分子量100,000、ガラス転移温度(Tg)−31℃
(カネカ社製)
・Exxon065:イソブチレン/イソプレン共重合体、イソプレン比率1.05%、重量平均分子量360,000
・Exxon268:イソブチレン/イソプレン共重合体、イソプレン比率1.7%、重量平均分子量493,000
(上記2種はいずれもJSR社製)
【0061】
(アクリル樹脂)
・ナガセケムテックス SG−P3:EA/BA/ANのランダム共重合体、重量平均分子量850,000、ガラス転移温度(Tg)12℃
(ナガセケムテックス社製)
(ポリエステル樹脂)
・バイロンGK360:重量平均分子量16,000、ガラス転移温度(Tg)56℃
(東洋紡績株式会社製)
【0062】
粘着付与材(B)
・Exxon 5380:C5系石油樹脂、軟化点84℃
・Exxon 5300:C5系石油樹脂、軟化点105℃
・Exxon 5320:C5系石油樹脂、軟化点124℃
・Operra 130J:C5系石油樹脂、軟化点137℃
(上記4種はいずれもエクソン・ケミカル社製)
・アイマーブP140:C5/C9系石油樹脂、軟化点140℃
(出光興産社製)
【0063】
その他(C)
・軟化剤:商品名ポリブテン3N(日油株式会社製)
・軟化剤:商品名ポリブテン30N(日油株式会社製)
【0064】
実施例1
ポリイソブチレン樹脂のオパノールB12(BASF社製)とExxon 5380(エクソン・ケミカル社製)を40:60の比率でトルエン中に配合し70℃加温しながら溶解しワニスを作製した。このワニスを、乾燥後の厚みが25μmとなるようにポリエチレンテレフタレート樹脂の剥離シート上にバーコート法で塗布し、130℃で2分乾燥させて、樹脂層(樹脂シート)を作製した。
【0065】
実施例2〜11、18〜20、参考例12〜17および比較例1〜10
実施例1と同様に表1〜3に記載の組成比で、実施例2〜11、18〜20、参考例12〜17および比較例1〜10の樹脂層(樹脂シート)を作製した。
【0066】
得られた樹脂シートを以下のようにして、下記項目の評価を行った。
【0067】
(引張伸び率)
樹脂組成物溶液を、片面に離型処理がなされているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μmの剥離シート)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが0.1mm(100μm)になるようにバーコーターで塗布し、120℃で3分間加熱乾燥後、更に50℃で24時間エージングし、剥離シートのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して樹脂シートを作製し、これを試料とした。この試料を、引張試験機(島津製作所製、島津オートグラフ AGS−5NX)に設置し、チャック間距離10mm、引張り速度300mm/分、25℃の条件で引張った際に生じる最大伸び(%)を測定した。なお、最大伸び(%)は、引張る前の試料の長さに対して、引張った際に、試料が破断する直前の長さから、下式(1)に基づき計算した。
【0068】
最大伸び(%)=100×(破断する直前の長さ)/(引張る前の試料の長さ) 式(1)
【0069】
(せん断接着力)
樹脂組成物溶液を、片面に離型処理がなされているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μmの剥離シート)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが20μmになるようにバーコーターで塗布し、120℃で3分間加熱乾燥後、更に50℃で24時間エージングしたものを試料とした。
この試料をガラス基板に80℃のホットプレート上で貼合した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。その後5mm角のガラスチップを乗せ100℃に加熱しながら0.1N/cmの圧力で10秒加圧し、接着力測定試料を得た。この測定試料をボンドテスター(デイジジャパン製、万能型ボンドテスター4000Plus)を用い、測定温度85℃、せん断速度50μm/s、せん断高さ75μmの条件で評価した。
【0070】
(550nmの光透過率)
光透過率は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製、分光光度計U−4100型(商品名)、固体試料測定システム)を用いて、以下のように求めた。
まず、0.5mm以上の透明なガラス基板を準備し、JIS K7361−1に準拠した方法で透過率tbを測定した。さらにその測定したガラス基板上に、乾燥後の厚みが0.1mmとなるように、該樹脂組成物をフィルム状に成型して貼合し、先ほどと同様にJIS K7361−1に則り透過率tsを求めた。それらの比(ts/tb)の百分率〔(ts/tb)×100〕を樹脂組成物の透過率(%)として評価した。
【0071】
(引張伸び率200%での550nmの光透過率)
前記で作製した厚み0.1mmの樹脂シートを、前記引張伸び率の測定で使用した引張試験機で、前記と同一の条件で引張り、引張伸び率が200%となった時点で引張試験機の装置を止め5分間静置した。
その後、光透過率を上記と同様に測定し、ts/tbを求めた。さらに厚み変化の条件を勘案し、引張り後のフィルムの厚みd(mm)とts/tbから下記(2)式を用いて、厚さ0.1mmの膜に換算し、伸び率200%での光透過率(%)を求めた。下記表1〜3では、「200%時の透過率(%)」としてこの値を示した。
【0072】
【数2】
【0073】
(85℃85%RHで100時間保存後の550nmの光透過率)
前記で作製した厚み0.1mmの樹脂シートを恒温恒湿槽(エスペック株式会社製のPR−1J)中で、85℃85%RHで100時間保存した。保存後の550nmの光透過率を上記のようにして、分光光度計〔日立ハイテクノロジーズ製、分光光度計U−4100型(商品名)、固体試料測定システム〕を用いて測定した。
【0074】
また、この有機EL素子の寿命、素子端部の充填性および屈曲試験を評価した。
【0075】
(有機EL素子の寿命評価)
可撓性フィルムとして、厚み100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人・デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリア膜(厚み500nm)を形成し、酸素透過度0.001cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度0.001g/(m・24h)以下のガスバリア性の可撓性フィルムを作製した。引き続き真空蒸着機で、有機層及び陰極を形成し、19mm角の有機EL素子を作製した。有機EL素子構成は、ガスバリア性可撓性フィルム/ITO(300nm)/NPB(30nm)/Alq3(40nm)/Al−Li(40nm)/Al(100nm)とした。次いで、実施例・比較例に係る有機電子デバイス素子封止用樹脂シートの離型フィルムを剥離し、上記ガスバリア性可撓性フィルムと貼り合わせた。その後、基材シートを剥離して、封止層面を有機EL素子の陰極の上面に配置し、80℃において0.1MPaの圧力で1分間加圧し、有機ELディスプレイのモデルを作製した。作製したモデルについて、有機EL発光効率測定装置(EL1003、プレサイスゲージ株式会社製)を使用して、電流量2mAにおける初期輝度が半分になる半減期〔単位:時間(hr)〕を求めた。
【0076】
(素子端部の充填性)
有機EL素子の電極部分への追従性を確認するため、厚み2mmのガラス基板に、真空蒸着機でAlを2μmの厚みで蒸着した箇所としていない箇所を2mm置きになるように蒸着した。以下、これを蒸着ガラスと呼び、電極を模したものとして利用する。実施例・比較例に係る有機電子デバイス素子封止用樹脂シートの離型フィルムを剥離し、厚み0.5mm以上の透明なガラス基板に80℃で加熱しながら0.1MPaの圧力で貼合する。その後蒸着ガラスを乗せ100℃に加熱しながら0.1N/cmの圧力で10秒加圧し、充填性評価試料を得た。この評価試料の非蒸着部分をキーエンス製レーザー顕微鏡 VK−9500を用いて観察し、1cm角にある気泡の数を測定した。
観察結果を、下記評価基準で評価した。
【0077】
評価ランク
1cm角に直径5μm以上10μm以下の気泡が0個以上10個未満:◎
1cm角に直径5μm以上10μm以下の気泡が10個以上100個未満または直径10μm以上の気泡が0個以上10個未満:○
1cm角に直径5μm以上10μm以下の気泡が100個以上または直径10μm以上の気泡が10個以上100個未満:△
1cm角に直径10μm以上の気泡が100個以上:×
【0078】
(屈曲試験)
円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1、コーテック社製試験装置を使用)により、上記有機ELモデルを、有機EL層蒸着側を外側にして、直径20mmのマンドレルにより1000回の折り曲げを実施した後、再び発光させた。
再発光後の状態を観察し、下記評価基準で評価した。
【0079】
評価ランク
全面に渡り発光した:◎
発光しなくなった、または白化し発光が見えなくなった部分が0.1%未満:○
発光しなくなった、または白化し発光が見えなくなった部分が0.1%以上0.5%未満:△
発光しなくなった、または白化し発光が見えなくなった部分が0.5%以上:×
【0080】
以下の条件で、加速試験を行い、加速試験時ずれ量評価と加速試験後の屈曲試験を行った。
・加速試験条件
前記のようにして作製した各有機ELモデルを85℃85%RHの条件に設定した恒温恒湿槽に100時間保管した。保管時は有機EL蒸着面側のガスバリア性可撓性フィルムを挟み吊るした状態で保管した。
【0081】
(加速試験時ずれ量評価)
上記加速試験の前に、各有機ELモデルのガスバリア性可撓性フィルムの両面に油性マジックでマーキングしておき、加速試験後に、両面のマークがどれだけずれているかを測定した。
ズレ量が1mmを超えると有機EL蒸着端部までの距離が短くなり封止性能が著しく悪化することから、ズレ量が1mm以内であることが合格条件となる。
【0082】
(加速試験後の屈曲試験)
上記の加速試験後に、前記屈曲試験と同じ条件で屈曲試験を行った。また、折り曲げを実施した後、再び発光させ、再発光後の状態の観測における評価基準も、前記屈曲試験と同じ評価ランクで評価した。
【0083】
得られた結果をまとめて、下記表1〜3に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
上記表1〜3から明らかなように、ポリイソブチレン樹脂と樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、石油ナフサを熱分解して得られるC5留分中のジシクロペンタジエンより合成された水素添加石油樹脂を50〜80質量部含み、25℃における引張伸び率が200%以上であり、かつ85℃におけるせん断接着力が30gf/5mm□以上であり、ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量は、50,000〜1,000,000である条件を全て満たす本発明の実施例1〜11、18〜20はいずれも、いずれの評価項目に対しても優れた性能を示すことがわかった。
これに対して、比較例1〜10で示すように、上記構成のいずれかが本発明の規定を満たさないと、いずれかの評価項目を満足することができないことがわかる。
【符号の説明】
【0088】
1 画像表示装置
2 保護板
3 樹脂層
4 表示パネル
図1