(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度補償用FBGは、前記ダイヤフラムの外径をDとしたとき、前記ダイヤフラムの中心からD/3の距離で規定される範囲内に配置されることを特徴とする、請求項1記載の光式圧力センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定対象である水の温度が短時間で急変した場合、温度補償用FBGが上記のような設置位置であると、温度補償用FBGの温度が圧力検知用FBGの温度と同様に変化せず、この温度変化の相異により水位誤差が発生するという問題がある。また、温度補償用FBGを所定位置に固定する際には、一般にブロック形状の固定部材が用いられるが、この固定部材の形状が水位誤差に影響することが分かっている。さらに、水位誤差が発生してから安定するまでの時間が非常に長く、正確な水位を検知することができるまでに長時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、急激な水温変化が生じた場合であっても水位誤差が小さく、また、水位誤差が発生してから正確な水位を検知するまでの時間を短くして、短時間で正確な水位を検知することが可能な光式圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の光式圧力センサは、流体内に配置され、前記流体の圧力を光ファイバにて検知する光式圧力センサであって、ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムに固定された圧力検出用FBGと、前記圧力検出用FBGが形成された光ファイバと、前記光ファイバを収容する収容部と、前記光ファイバの他の部分に形成され、前記圧力検出用FBGで検出された圧力の温度補償を行うための温度補償用FBGとを備え、前記圧力検出用FBGは、別体で設けられた固定用ペアブロックを介して、前記ダイヤフラム上の略中央に配置され、前記温度補償用FBGは、一体で設けられた固定用ブロックを介して、前記ダイヤフラム上であり且つ前記圧力検出用FBGの近傍に配置され
、前記固定用ブロックは、前記ダイヤフラムと当接する基部と、前記基部から上方に向かって延出する延出部と、前記延出部の上端に設けられ、前記温度補償用FBGを固定するための固定部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記温度補償用FBGは、前記ダイヤフラムの外径をDとしたとき、前記ダイヤフラムの中心からD/3の距離で規定される範囲内に配置される。
【0009】
好ましくは、前記固定用ブロックの高さが、前記固定用ペアブロックの高さ以下である。
【0011】
前記延出部は、前記基部から上方に向かって前記ダイヤフラムに略垂直に延出する縦部材であり、前記固定部が、前記縦部材の上端に設けられ、前記ダイヤフラムに略平行に延出する横部材であってもよい。
【0012】
また、前記延出部が、前記基部から上方に向かって前記ダイヤフラムに対して斜めに延出する斜面を有する部材であるのが好ましい。
【0013】
より好ましくは、前記固定用ブロックが、側面視で略ブリーフ型である。
【0014】
また、前記光式圧力センサが、前記温度補償用FBGの両端近傍に位置する光ファイバを、前記固定用ブロックに固定する固定材を更に備えるのが好ましい。
【0015】
また、前記光式圧力センサが、前記温度補償用FBGおよびその両端近傍に位置する光ファイバに形成された金属製保護層を更に備えるのが好ましい。
【0016】
さらに、前記固定材が、前記金属製保護層を前記固定用ブロックに固着するのが好ましい。
【0017】
さらに、前記光式圧力センサが、前記温度補償用FBGの両端近傍に配置され且つ前記金属製保護層を覆って設けられた金属管を更に備え、前記固定材が、前記金属管を前記固定用ブロックに固着するのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、圧力検出用FBGが、別体で設けられた固定用ペアブロックを介して、ダイヤフラム上の略中央に配置される。そして、温度補償用FBGが、一体で設けられた固定用ブロックを介して、ダイヤフラム上であり且つ圧力検出用FBGの近傍に配置される。すなわち、温度補償用FBGをダイヤフラム上の圧力検出用FBG近傍に配置することで、ダイヤフラムの変位による外力の影響を受けない範囲で、温度補償用FBGの環境温度に対する応答性を圧力検出用FBGの応答性にできる限り近づけることができる。したがって、急激な水温変化が生じた場合であっても水位誤差を小さくすることが可能となる。また、水位誤差が発生してから検出水位が安定するまでの時間が短くなり、短時間で正確な水位を検知することができる。
【0019】
また、温度補償用FBGは、ダイヤフラムの外径をDとしたとき、当該ダイヤフラムの中心からD/3の範囲内に配置されるので、温度補償用FBGの応答性が圧力検出用FBGの応答性とほぼ同じになる。よって、急激な水温変化による水位誤差をより小さくすることができる。
【0020】
さらに、温度補償用FBGの固定用ブロックを上記の形状とすることで、従来の固定用ブロックと比較して、ダイヤフラムから伝わる熱が温度補償用FBGに熱伝導しやすくなり、急激な水温変化による水位誤差をより小さくすることができ、検出水位の安定時間が非常に短い計測を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る光式圧力センサの構成を概略的に示す断面図であり、
図2は、
図1におけるダイヤフラムの構成を示す斜視図である。なお、
図1の光式圧力センサは、その一例を示すものであり、本発明の光式圧力センサは、
図1のものに限られないものとする。
【0024】
光式圧力センサ1は、流路に配置され、該流路を流れる流体の圧力をシングルモード型光ファイバにて検知するものであり、FBGを用いた波長検出方式が採用されている。使用波長は、例えば1.55μm帯である。
【0025】
具体的には、光式圧力センサ1は、ダイヤフラム10と、該ダイヤフラムに固定された圧力検出用FBG20と、圧力検出用FBG20が形成された光ファイバ30と、該光ファイバを収容する収容部40と、光ファイバ30の他の部分に形成され、圧力検出用FBG20で検出された圧力の温度補償を行うための温度補償用FBG50とを備えている。
【0026】
ダイヤフラム10は、略円筒形状である筐体11の上端に固定されており、筐体11の下端にはフランジ部12が形成されている。筐体11は、フランジ部12に形成された孔12aにボルト13を挿通して収容部40の下面40aにネジ止めされる。また、筐体11の外周部に形成された溝11aにはOリング14が配置されており、筐体11が収容部40の下面40aに固定されると、Oリング14により収容部40内が気密に保持される。
【0027】
このダイヤフラム10は、その上面10aがフラット形状であり、筐体11が上面10aの上方に延出していない。このため、後述するFBG固定用のブロックを溶接等でダイヤフラム10上に固定する際、筐体11が邪魔にならず、固定作業を容易に行うことができる。
【0028】
光ファイバ30は、収容部40内に所望の余長で収容されており、収容部40の蓋41に設けられた貫通孔41aを介して外部に導出されている。光ファイバ30が外部に導出される部分は、光ファイバ30を含む光ケーブル60で構成されている。光ファイバ30は、後述する保護被覆を有しており、圧力検出用FBG20や温度補償用FBG50が形成される部分の保護被覆が除去される。
【0029】
収容部40は、略円筒形状であり、その下端がフランジ部12によって閉塞される。また、その上端は、蓋41のフランジ部42によって閉塞されており、フランジ部42に設けられた孔にボルト43を挿通して、蓋41が収容部40の上面40bにネジ止めされる。
【0030】
また、
図2に示すように、ダイヤフラム10上の略中央には、圧力検出用FBG20を固定するための固定用ペアブロック21,21が配置されている。固定用ペアブロック21,21は、本実施形態では側面視で略L字型である。固定用ペアブロック21,21の近傍には、温度補償用FBGを固定するための固定用ブロック51が並設されている。本実施形態では、固定用ブロック51は側面視で略T字型である。
【0031】
圧力検出用FBG20は、個別に分離して設けられた固定用ペアブロック21,21を介して、ダイヤフラム10上の略中央に配置されている。また、温度補償用FBG50は、固定用ブロック51を介して、ダイヤフラム10上であり且つ圧力検出用FBG20の近傍に配置されている。固定用ブロック51および上記の固定用ペアブロック21,21は、それぞれYAG溶接にてダイヤフラム10上に固定されている。
【0032】
図3(a)は、
図2における圧力検出用FBG20近傍の構成を示す側面図であり、(b)は、
図2における温度補償用FBG50近傍の構成を示す側面図である。
【0033】
図3(a)に示すように、圧力検出用FBG20は、光ファイバ30−1の保護被覆31−1が除去された部分に形成されており、保護被覆31−1が除去された当該部分には金属製保護層32−1が形成されている。光ファイバ30−1は、固定用ペアブロック21,21の上面21a,21aに載置されており、圧力検出用FBG20が固定用ペアブロック21,21間の略中央に位置している。
【0034】
圧力検出用FBG20の両端近傍には、光ファイバ30−1を固定用ブロック21,21にそれぞれ固定する固定材22,22が設けられている。固定材22,22は、例えば半田からなり、金属製保護層32−1が形成されている部分にたるみが生じないように、該FBGに所定の張力が加えられた状態で、光ファイバ30−1を固定用ペアブロック21,21の上面21a,21aに溶着する。
【0035】
温度補償用FBG50は、
図3(b)に示すように、光ファイバ30−2の保護被覆31−2が除去された部分に形成されており、保護被覆31−2が除去された当該部分には金属製保護層32−2が形成されている。光ファイバ30−2は、固定用ブロック51の上面51aに載置されており、温度補償用FBG50が固定用ブロック51の長手方向略中央に位置している。
【0036】
温度補償用FBG50の両端近傍には、光ファイバ30−2を固定用ブロック51に固定する固定材52,52が設けられている。固定材52は、例えば半田からなり、金属製保護層32−2が形成されている部分にたるみが生じないように、該FBGに所定の張力が加えられた状態で、光ファイバ30−2を固定用ブロック51の上面51aに溶着する。
【0037】
図4は、圧力検出用FBG20および温度補償用FBG50の配置位置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【0038】
圧力検出用FBG20は、上述のように、ダイヤフラム10の薄板部10bの略中央に配置される。そして本発明では、温度補償用FBG50がダイヤフラム10の薄板部10b上に配置される点で従来と大きく異なる。特に、温度補償用FBG50は、ダイヤフラム10の薄板部10bの直径をDとしたとき、ダイヤフラム10の中心を基準として2D/3の範囲内に配置される点が特徴的である。
【0039】
上記形状の固定用ペアブロックおよび固定用ブロックを用いて、温度変化のシミュレーションを行った結果を
図5に示す。同図において、ダイヤフラムの中心Cを温度上昇させた際、良好な温度追従性が確認された部分をグレースケールで示している。この結果、ダイヤフラム10の中心Cの温度変化に対し、中心CからD/3の距離で規定される範囲X(面積:π×(D/3)
2)では、温度追従性が良好であることが分かる。また、中心CからD/3を超えD/2以下の距離で規定される範囲Y(面積:π×(D/2)
2−π×(D/3)
2)であると、温度追従性が悪くなることが分かる。また、ダイヤフラム10の中心Cの温度は、温度補償用FBG50が固定される固定用ブロック51の中心部温度とほぼ同じであることが分かる。このため、本発明の固定用ペアブロック21,21をダイヤフラム10の略中央に配置し、固定用ブロック51をダイヤフラム10のD/3の範囲に配置すれば、温度補償用FBG50の温度応答性と圧力検出用FBG20の温度応答性がほぼ同じなると推察される。
【0040】
また、温度補償用FBG50の温度応答性は、固定用ブロック51の寸法、形状によって異なると推察される。よって、
図6に示すように、固定用ブロック51の形状等を適宜選択することで、温度補償用FBG50の温度応答性を更に良好にすることができると考えられる。
【0041】
具体的には、固定用ブロック51は、
図6(a)に示すように、ダイヤフラム10と当接する基部53と、該基部から上方に向かって延出する延出部54と、延出部の上端に設けられ、温度補償用FBG50を固定するための固定部55とを有する。
図6(a)に示す固定用ブロック51では、延出部54が、基部53から上方に向かってダイヤフラム10に略垂直に延出する縦部材であり、その断面形状は略矩形である。また、固定部55は、縦部材の上端に設けられ、ダイヤフラム10に略平行に延出する横部材であり、その断面形状は略矩形である。固定用ブロック51の寸法の具体例としては、例えば固定ブロック51とダイヤフラム10との当接面の幅D1が6.0mm、固定用ブロック51の高さH1が4.0mmである。
【0042】
このとき、固定用ペアブロック21,21の寸法の具体例としては、
図6(b)に示すように、固定用ペアブロック21,21の離間距離D2が14mm、高さH2’、H2”が、共に4.0mmである。また、固定用ペアブロック21,21間に固定される圧力検出用FBG20の長さは、10mmである。固定用ブロック51を略T字型とし、その高さを固定用ペアブロック21,21と同じかそれ以下にすることで、固定用ブロック51の良好な温度応答性が実現される。
【0043】
また、固定用ブロック51の変形例として、略V字型の固定用ブロックを用いることができる。例えば、
図6(c)に示すように、固定用ブロック61は、ダイヤフラム10と当接する基部63と、該基部から上方に向かって延出する2つの延出部64,64と、これら延出部の上端に設けられ、温度補償用FBG50を固定するための2つの固定部65,65とを有している。延出部64は、基部63から上方に向かってダイヤフラム10に対して斜めに延出し、かつ温度補償FBGの軸方向に対して斜めに配置される斜面64aを有している。固定ブロック61とダイヤフラム10との当接面の幅D3は例えば6.0mm、固定用ブロック61の高さH3は、例えば4.0mmである。この固定用ブロック61は、延出部64,64の水平方向断面積の和が基部63から固定部65に向かってほぼ一定である形状となっている。
【0044】
また、
図6(d)に示すように、固定用ブロック71は、ダイヤフラム10と当接する基部73と、該基部から上方に向かって延出する2つの延出部74,74と、これら延出部の上端に設けられ、温度補償用FBG50を固定するための2つの固定部75,75とを有している。延出部74は、基部73から上方に向かってダイヤフラム10に対して斜めに延出し、かつ温度補償FBGの軸方向に対して斜めに配置される斜面74aを有する。固定用ブロック71は、固定部75の長手方向端部に側面74bを有している点で、
図6(c)の固定用ブロック61と異なる。固定ブロック71とダイヤフラム10との当接面の幅A4は例えば6.0mm、固定用ブロック71の高さH4は、例えば4.0mmである。
【0045】
さらに、固定用ブロック51の他の変形例として、側面視で略ブリーフ型の固定用ブロックを用いることができる。例えば、
図6(e)に示すように、固定用ブロック81は、ダイヤフラム10と当接する基部83と、該基部から上方に向かって延出する延出部84と、該延出部の上端に設けられ、温度補償用FBG50を固定するための固定部85とを有している。固定用ブロック81は、固定部85の長手方向端部に側面84bを有している。また、固定用ブロック81は、基部83から上方に向かってダイヤフラム10に対して斜めに延出し、かつ温度補償FBGの軸方向に対して斜めに配置される斜面84aを有する。固定ブロック81とダイヤフラム10との当接面の幅D5は例えば6.0mm、固定用ブロック81の高さH5は、例えば4.0mmである。固定用ブロック81は、固定用ブロック61と比較して、延出部84の水平方向断面積が基部83から固定部85に向かって増加する形状となっている。
【0046】
このように、固定用ブロックの形状を、略T字型とすることで好ましい温度応答性を示し、略V字型や略ブリーフ型とすることで、更に好ましい温度応答性を示すと推察される。
【0047】
そこで、
図6(a)に示す略T字型の固定用ブロックと、
図6(e)に示す略ブリーフ型の固定用ブロックとを用いて、温度シミュレーションを行った。その結果を
図7に示す。
【0048】
第1のシミュレーションでは、略T字型の固定用ブロック51を
図7(a)に示す位置(<D/3)に設置し、水温を約26℃から30℃まで約10分間で上昇させた。このとき、光式圧力センサ1を用いて検出された水位は、0.16mから0.76mまで変動するものの、水温上昇開始から約1分経過後には急峻に元の水位に戻り、一旦0.2mまで増大した後、水温上昇開始から約10分後には安定した水位が検出された。水温4℃上昇時の水位誤差は60cmと、小さい値を示した。
【0049】
また、第2のシミュレーションでは、略ブリーフ型の固定用ブロック81を
図7(c)に示す位置(<D/3)に設置し、水温を約25℃から29℃まで約2分間で上昇させた。このとき、光式圧力センサ1を用いて検出された水位は、0.1mから0.12mまで変動し、水温上昇を開始してから約1分経過後には急峻に元の水位に戻り、水温上昇開始2分経過後には安定した水位が検出された。水温4℃上昇時の水位誤差は僅か2cmと、極めて小さい値を示した。
【0050】
また、比較として、従来の固定用ブロック100で上記と同様のシミュレーションを行った結果を
図8に示す。従来の固定用ブロック100は、平面視で略T字型の部材であって、ダイヤフラムの上面に当該部材のT字面が接触するように設置され、そのT字型部材の一端がダイヤフラムの略円筒形状である筐体にボルトによって固定されている。この固定用ブロック100を
図8(a)に示す位置(>D/3)に設置し、水温を約26℃から30℃まで約10分間で上昇させた。このとき、光式圧力センサ1を用いて検出された水位は、0.15mから1.0mまで大きく変動し、水温上昇開始から約5分経過後に水位が0.1mまで下がるものの、水温上昇開始から水位が安定するまで22分間を要した。水温4℃上昇時の水位誤差は85cmと大きな値を示した。
【0051】
図7、
図8に示す温度シミュレーションの結果から、温度補償用FBGの固定用ブロックをダイヤフラムの薄板部上に固定したことで水温変化への応答性が向上する。更に、温度補償用FBG50の固定用ブロック形状を側面視略T字型とすることで、従来の固定用ブロックと比較して、急激な水温変化による水位誤差を小さくすることができ、また、検出水位の安定時間が短くなることが分かる。特に、固定用ブロック形状を略ブリーフ型とすることで、急激な水温変化による水位誤差をより小さくすることができ、また、検出水位の安定時間が非常に短くなることが分かる。
【0052】
図9は、
図6(a),(c)〜(d)に示す各固定用ブロックの設置位置を一定にした場合の温度応答性を示すグラフである。
図9のグラフA,Bによれば、略T字型の固定用ブロック51の場合、従来の固定用ブロック100に対して温度上昇率(℃/sec)が大きくなっている。また、グラフC,Dによれば、略V字型の固定用ブロック61や略ブリーフ型の固定用ブロック81を用いれば、略T字型の固定用ブロック51よりも温度上昇率(℃/sec)が更に大きい。特に、グラフDは、同図に示した圧力検出用FBGの固定用ペアブロックの温度上昇を示すグラフEとほぼ一致する。よって、温度補償用FBGの固定ブロック形状として略T字型を採用することより、圧力検出用FBGの固定用ペアブロックと温度補償用FBGの固定用ブロックとの温度応答性を合わせることができ、急激な水温変動があっても水位誤差を小さくすることができる。特に、略V字型や略ブリーフ型を採用することで、温度応答性が格段に向上し、水位誤差をほぼ無くすことができる。
【0053】
上述したように、本実施形態によれば、圧力検出用FBG20が、固定用ペアブロック21,21を介して、ダイヤフラム10上の略中央に配置される。そして、温度補償用FBG50が、固定用ブロック51を介して、ダイヤフラム10上であり且つ圧力検出用FBG20の近傍に配置される。すなわち、温度補償用FBG50をダイヤフラム10上の圧力検出用FBG20近傍に配置することで、ダイヤフラム10の変位による外力の影響を受けない範囲で、温度補償用FBG50の環境温度に対する応答性を圧力検出用FBG20の応答性にできる限り近づけることができる。したがって、急激な水温変化が生じた場合であっても水位誤差を小さくすることが可能となる。また、水位誤差が発生してから検出水位が安定するまでの時間が短くなり、短時間で正確な水位を検知することができる。また、光式圧力センサ1を用いて、急激な水温変化が生じた場合にも正確な水温測定が可能となる。
【0054】
また、温度補償用FBG50は、ダイヤフラム10の外径をDとしたとき、当該ダイヤフラムの中心からD/3の距離で規定される範囲内に配置されるので、温度補償用FBG50の応答性が圧力検出用FBG20の応答性とほぼ同じになる。よって、急激な水温変化による水位誤差をより小さくすることができる。
【0055】
さらに、温度補償用FBG50の固定用ブロックを上記の形状とすることで、従来の固定用ブロック100と比較して、ダイヤフラム10から伝わる熱が温度補償用FBG50に熱伝導しやすくなり、急激な水温変化による水位誤差をより小さくすることができ、検出水位の安定時間が非常に短い計測を実現することができる。
【0056】
以上、本実施形態に係る光式圧力センサについて述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0057】
例えば、
図10に示すように、光式圧力センサは、温度補償用FBG50の両端近傍に配置され且つ金属製保護層32−2を覆って設けられた金属フェルール91,91(金属管)を備えていてもよい。金属フェルール91は、半田92により光ファイバ30−2に固定され、金属フェルール91は、溶接部93により固定用ブロック51に固定される。これにより、金属製保護層32−2と金属フェルール91を強固に接合することができ、金属フェルール91を溶接で固定用ブロック51に固定することで、温度補償用FBG50の確実な位置固定を実現できる。
【0058】
また、上記実施形態では、光ファイバの保護被覆が除去された部分に金属製保護層が設けられているが、金属製保護層が設けられなくてもよい。
【0059】
また、光ファイバの保護被覆が除去された部分に金属製保護層が設けられず、当該部分を覆うように金属管が設けられてもよい。この場合、光ファイバが金属管に固定され、金属管が溶接により固定用ブロックに固定される。