特許第6247953号(P6247953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247953
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】検体処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
   G01N35/04 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-26039(P2014-26039)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-152406(P2015-152406A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 康
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 弘樹
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−242039(JP,A)
【文献】 実開平02−142725(JP,U)
【文献】 実開昭55−140024(JP,U)
【文献】 実開昭62−022997(JP,U)
【文献】 実開平03−048766(JP,U)
【文献】 特開2010−008307(JP,A)
【文献】 特開2000−266755(JP,A)
【文献】 特開平07−055814(JP,A)
【文献】 特開昭58−223068(JP,A)
【文献】 特表2010−526289(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0226584(US,A1)
【文献】 米国特許第6520313(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の管状容器を保持したホルダを搬送するベルトコンベヤ機構と、
前記容器または前記容器内の液体を処理する機能を有し、前記ベルトコンベヤ機構上以外の位置にアクセス位置を有する処理機構と、
ホルダ搬入位置で受け入れたホルダを前記ベルトコンベヤ機構と前記アクセス位置との間で搬送するホルダ搬送機構と、
前記アクセス位置においてホルダに保持された容器の位置および角度を固定する容器固定機構と、
前記ホルダ搬送機構を前記ホルダ搬入位置と前記アクセス位置を通過するように回転させると共に、当該ホルダ搬送機構の動作に同期して前記容器固定機構が前記アクセス位置で容器を固定させる単一のモータと、を有することを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記ホルダ搬送機構はさらに、前記処理機構による処理が終了した容器を前記ベルトコンベヤ機構へと戻すホルダ搬出位置へとホルダを搬送することを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の検体処理システムにおいて、
前記ホルダ搬送機構は、周縁部にホルダを受け入れる凹部を有するプレートと、当該プレートを前記モータにより回転させるための回転軸と、を有し、
前記プレートは、前記回転軸を中心として回転することにより、前記凹部が、前記ホルダ搬入位置、前記アクセス位置、および前記ホルダ搬出位置を通過させることが可能であることを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項3記載の検体処理システムにおいて、
前記容器固定機構は少なくとも二方向から容器を挟持するアームと、
固定された楕円形カムと、
前記楕円形カムの外周に接触して移動可能であり、前記アームと接続されたベアリングと、を備え、
前記アームおよび前記ベアリングは、前記ホルダ搬送機構の回転に同期して回転することを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の検体処理システムにおいて、
前記プレートと前記アームは同一の回転軸を持つことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項3記載の検体処理システムにおいて、
前記プレートの回転位置を検出するセンサを有することを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記ホルダ搬入位置においてホルダの有無を検知するセンサを有することを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項4項記載の検体処理システムにおいて、
径の大きさが違う試験管を保持する時に、楕円形カムと2つのベアリングにそれぞれ隙間が発生する場合でも試験管保持アーム位置保持機構を試験管保持アームに取り付けることで、試験管がサンプリング位置の中心に固定することが可能な手段を備えたことを特徴とする検体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの検体サンプルをベルトコンベヤにより搬送する検体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿などの生体サンプルの分析を自動で行うための検体処理システムとして、検査のために採取した血液や尿などの検体を遠心分離や分注処理、ラベリング処理などを行う検体前処理システム、検体前処理システムで処理された検体を分析する自動分析システムがある。これらの処理、分析は多種のものがあるため、それぞれの処理を別々の処理(分析)ユニットとし、それら処理(分析)ユニット間で検体を搬送する検体搬送ラインを介して接続した検体処理システムが用いられる。
【0003】
このような検体処理システムにおいて、検体の入った試験管を運ぶ場合、1本または多本をホルダやラックに入れて搬送する。試験管1本をホルダで搬送する場合、一般的な方法としてベルトコンベヤ駆動を使用することが多い。しかし、ベルトコンベヤ機構の周囲に多数の機構が位置しており、搬送されてきた試験管に対して何らかの処理を実行するサンプリング機構や攪拌機構、分析機構などがベルトコンベヤ機構上の試験管に対して直接アクセスできない配置となっていることも考えられる。
【0004】
特許文献1には、1本ずつ試験管容器を搬送する臨床試験装置用コンベヤシステムにおいて、主移送コンベヤと試験管に対して処理を施す補助コンベヤとの間でホルダを移動可能な境界面ゲートを備えた臨床試験装置用コンベヤシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−242039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の臨床試験装置用コンベヤシステムでは、ホルダをくぼみに保持したスターホイール装置を回転駆動させることにより、主移送コンベヤと並走した補助コンベヤとの間でホルダを移動させる境界面ゲート装置が記載されている。しかし、ホルダに試験管が傾いた状態で保持され、搬送されてきた場合、特許文献1に記載されている境界面ゲート装置では、試験管の状態を一定に保持させることはできない。そのため、サンプリングや攪拌、分析を一定の状態で実施することはできない。
【0007】
一方、境界面ゲート装置に単に試験管を固定するための保持具を取り付けただけでは、ホルダをサンプリング位置まで搬送する機構と、サンプリング位置でホルダ内の試験管の位置を固定する機構が必要になるため、それぞれの機構にモータやソレノイドを複数用いらなければならず、構造が複雑になる。
【0008】
本発明の目的は、簡易な機構でホルダをベルトコンベヤ機構以外の位置に搬送すると共に、当該位置で試験管の角度や位置を補正することができる機構を簡易な構成で実現する検体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本願発明の構成は以下の通りである。すなわち、一本の管状容器を保持したホルダを搬送するベルトコンベヤ機構と、前記容器または前記容器内の液体を処理する機能を有し、前記ベルトコンベヤ機構上以外の位置にアクセス位置を有する処理機構と、ホルダ搬入位置で受け入れたホルダを前記ベルトコンベヤ機構と前記アクセス位置との間で搬送するホルダ搬送機構と、前記アクセス位置においてホルダに保持された容器の位置および角度を固定する容器固定機構と、前記ホルダ搬送機構を前記ホルダ搬入位置と前記アクセス位置を通過するように回転させると共に、この駆動に同期して前記容器固定機構が前記アクセス位置で容器を固定させる単一のモータと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ホルダをベルトコンベヤ機構以外の位置に搬送するとともに、当該位置で試験管の角度や位置を補正することができる機構を、簡易な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における検体処理システムの一例を示す全体図である。
図2】本発明における検体搬送ラインと自動分析装置の接続部分の一例を示す全体図である。
図3】本発明のサンプリング位置保持機構の一例を示す模式図である。
図4】本発明のホルダ搬送プレートの一例を示す模式図である。
図5】本発明のホルダ搬送プレートの動作フローの一例を示す図である。
図6】本発明の試験管保持アームの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明における検体処理システムの全体図の例である。
【0014】
検体処理システムは、分析対象である血液検体や血清検体に対して分析前に必要となる前処理を実行するための検体前処理システムと、前処理が完了した後の検体に対して分析を実行する自動分析システムにより構成されている。
【0015】
例えば、検体前処理システムとしては、検体に対して種々の前処理を実行する前処理モジュールが複数配置された検体前処理装置10と、オペレータが検体の処理に必要な情報の入力および確認を行うための検体処理システム用操作部40としてコンピュータ等を有する。検体処理システム用操作部40は、検体前処理装置10の近傍に配置され、検体前処理装置10と、検体搬送ライン20と、検体後処理装置30の動作を制御する。一例として、検体前処理装置10は、検体を検体前処理装置10に投入するための投入モジュール、検体に対して遠心分離処理を実行する遠心モジュール、検体容器の開口部に装着されたキャップを開栓する開栓モジュール、検体容器中の検体を所望の数の子検体容器に小分けするオンライン分注モジュール、子検体容器にバーコードラベルを貼付するバーコード貼付モジュール、容器の開口部にキャップを装着する閉栓モジュール、分析目的や搬送先によって検体容器を分類する検体分類モジュール、等からなり検体の前処理を行うが、本構成に限られたものではなく、公知の検体前処理装置を任意に組み合わせて配置することが可能である。
【0016】
自動分析システムは、前処理が終了し、検体搬送ライン20を介して搬送された検体に対して、生化学分析、免疫分析、凝固分析等の種々の分析を実行するための自動分析装置50と、分析に必要な情報の入力および確認を行うための自動分析システム用操作部60としてコンピュータ等を有する。自動分析システム用操作部60は、自動分析装置50の近辺に設けられ、自動分析装置50の動作を制御する。なお、本発明においては、自動分析システムへ検体を搭載したホルダ006を搬送する検体搬送ライン20は、自動分析装置50の内部までホルダ006を引き込んで搬送する構造を備える代わりに、サンプリング位置保持機構004(詳細は後述)を備えている。
【0017】
検体後処理装置30は、分析が完了した検体を収納するための収納モジュールを有している。検体前処理装置10、自動分析装置50、検体後処理装置30は、検体搬送ライン20により接続されており、分析状況に応じて適切な装置へと自動的に搬送される。
【0018】
なお、本実施例では検体前処理システムに対して一つの自動分析システムを接続した検体処理システムを記載しているが、この形態に限られるものではなく、二つ以上の自動分析システムを接続するように構成していても良い。
【0019】
図2は本発明の検体処理システムにおける検体搬送ライン20と自動分析システム50との接続部を示す図である。
【0020】
搬送ラインユニット001は、検体搬送ライン20の一部を構成するユニットであり、検体容器を搭載したホルダ006を搬送するベルトコンベヤ機構003と、サンプリング位置保持機構004を備えた構造である。搬送ラインユニット001のベルトコンベヤ機構003は隣接する他の搬送ラインユニットのベルトコンベヤ機構と接続可能であり、ユニット間で試験管005の受け渡しが可能となるように構成されている。
【0021】
搬送ラインユニット001には、分注機構007を備えた自動分析装置50が隣接しており、ベルトコンベヤ機構003上を搬送された試験管005から一部を分取し、試薬分注処理、攪拌処理などの処理を実行して分析をおこなう。分注機構007は、検体を吸引吐出するための分注ノズルが回転駆動するアームに取り付けられており、所定のサンプリング位置104bの上方に分注ノズルを移動させ、検体容器に向けて分注ノズルを下降させ、吸引処理を行った後に、分注ノズルを上昇させ、アームを回転させることにより反応容器等の吐出位置へ分注ノズルを移動させてから吐出する。
【0022】
分注機構007のアームの長さや、ベルトコンベヤ機構003の配置は、それぞれの装置により固定的に設計されているため、搬送ラインユニット001と自動分析装置50の組み合わせによっては、分注機構007のノズルの移動軌跡がベルトコンベヤ機構003の搬送軌跡と交わらず、検体の分注処理が実行できない場合がある。そのような場合であっても分注機構007による分注を可能とするため、搬送ラインユニット001は、ベルトコンベヤ機構003により搬送された試験管005を載せたホルダ006を、サンプリング位置104bへ搬送すると同時に試験管005が垂直姿勢となるように把持するサンプリング位置保持機構004を備える。これにより、分注機構007のアクセス位置が搬送ラインユニット001から離れている場合であっても、サンプリングが可能となる。
【0023】
図3は本発明のサンプリング位置保持機構004を上から表した図である。
【0024】
本実施例におけるサンプリング位置保持機構004は、同軸で回転可能なホルダ搬送機構と試験管保持機構とからなり、ホルダ搬送プレート105、試験管保持アーム106、モータ108、楕円形カム109から構成される。
【0025】
ホルダ搬送プレート105は、ベルトコンベヤ機構003により運ばれてくる検体入り試験管005を載せた1本搬送のホルダ006を受け止めるための凹部110をその外縁の一部に有する。凹部110はホルダ006の外周に接触することにより、ホルダ006を保持する。ホルダ006を凹部110に保持した状態でモータ108がホルダ搬送プレート105を回転させることにより、ホルダ006を自動分析装置50の分注機構007によるサンプリング位置104bまで移動させる。ホルダ搬送プレート105の回転に伴い、ホルダ搬送プレート105と同じ軸107で保持されている試験管保持アーム106も同様に回転し、サンプリング位置104bにおいてホルダ006に載せられた試験管005を保持する。これにより、たとえホルダ006に試験管005が傾いた状態で保持されていたとしても、サンプリング位置104bにおいては試験管005の位置、角度高さを一定に保持することが可能となる。
【0026】
また、サンプリング位置104bにおける分注処理が終了した後、更にホルダ搬送プレート105を回転させることによって、試験管保持アーム106による試験管005の保持を解除すると同時に、ホルダ006をベルトコンベヤ機構003へ戻すことができる。
【0027】
このようなホルダ搬送機構を備えることにより、ベルトコンベヤ機構003により搬送されたホルダ006を、ベルトコンベヤ機構003の外側に位置するサンプリング位置104bへ搬送すると共に、サンプリング位置104bで試験管005を把持して固定的に保持することが可能となる。これにより、サンプリング位置104bにおいて試験管005が傾くことによるサンプリングの精度不良を防ぐことが可能である。また、ホルダ搬送機構と試験管保持機構は、同一のモータ108により駆動するため、部品点数が増えることによる装置コストアップを防止することができる。
【0028】
また、ホルダ搬送プレート105の回転角度を制御することにより、ホルダ006を任意の位置で停止させることを可能とし、その位置に合わせて試験管005の保持位置の調整も可能である。
【0029】
図4はサンプリング位置保持機構004のホルダ搬送機構の詳細を表す図である。
【0030】
ホルダ搬送機構は、ホルダ搬送プレート105と、ホルダ搬送プレート105を回転させるモータ108に加え、ホルダ搬送プレート105の所定の角度に取り付けられた検出板202a,202bと、検出板の有無を検知するセンサ201a,201b,201cと、ホルダ搬送プレート105にホルダ006が保持されていることを検知するホルダ有無センサ203を備えていても良い。
【0031】
ホルダ006を凹部110に収容した状態でモータ108が回転することにより、凹部110および凹部110に収容されたホルダ006を、ホルダ搬入位置104a、サンプリング位置104b、ホルダ搬出位置104cのそれぞれの位置に位置付けることができる。
【0032】
凹部110がそれぞれの位置に位置付けられていることを検出するため、ホルダ搬送プレート105の周囲にはセンサ201a、センサ201b、センサ201cが固定されており、これらのセンサで検出されるべきセンサ検知板202aとセンサ検体板202bがホルダ搬送プレート105の所定の位置に取り付けられている。ホルダ搬送プレート105の回転と同期して、センサ検知板202aおよび202bが回転移動することにより、センサ201a、センサ201b、センサ201cがセンサ検知板202a、センサ検知板202bの位置、ひいては凹部110の位置を検出することができるように構成されている。これにより、ホルダ搬送プレート105の凹部110に保持されたホルダ006を、任意の位置で停止させることが可能となる。
【0033】
センサは一般的な光学式センサを用いることが考えられるが、特定の位置における検知板の有無を検出できるものであれば、他の方式を用いてもよい。また、本実施例では検知板202aおよび検知板202bの二種類を使用しているが、一種類の検知板でホルダ搬送プレート105の回転状態を検出可能となるように設けていてもよい。また、各センサがどのようにホルダ搬送プレート105の回転状態を検知するかについては後述する。
【0034】
さらに、凹部110におけるホルダ006の有無を検知するホルダ有無センサ203を備えることで、凹部110にホルダ006が受け入れきれない状態でホルダ搬送プレート105が回転することにより、ホルダ006がベルト搬送機構003とホルダ搬送プレート105との間で挟まる事態を回避することができる。ホルダ搬送プレート105が、ホルダ搬出位置104cからホルダ搬入位置104aに戻る場合も、ホルダ有無センサ203でホルダ006が無いことを確認すれば、意図していないホルダ006がホルダ搬送プレート105によりホルダ搬入位置104aへ戻されることはない。
【0035】
図5はホルダ搬送プレート105の動作フロー例を表す図である。
【0036】
まず、ベルトコンベヤ機構003で搬送されたホルダ006は、ホルダ搬送プレート105の凹部110で受け止められる(図5(a))。ホルダ有無センサ203を備えることにより、ホルダ006がホルダ搬送プレート105の凹部110に保持されたことを確認することができる。
【0037】
この状態でモータ108によりホルダ搬送プレート105を回転させ、ホルダ006をサンプリング位置104bへ搬送させる(図5(b))。ホルダ搬送プレート105の回転を用いてホルダ006を搬送させることにより、ベルトコンベヤ機構003の搬送方向以外の方向(例えば、ベルトコンベヤ機構003による搬送方向と垂直方向)にホルダ006を移動させることが可能である。なお、凹部110がサンプリング位置104bに位置していることは、センサ検知板202bの存在をセンサ201bが検知していることにより確認できる。
【0038】
検体のサンプリング完了後、再びモータ108を駆動させ、ホルダ搬送プレート105を回転させて、ホルダ006をホルダ搬出位置104cへ搬送させる(図5(c))。これにより、ホルダ006は再びベルトコンベヤ機構003の上に戻される。なお、凹部110がホルダ搬出位置104cに位置していることは、センサ検知板202bの存在をセンサ201cが検知していることにより確認できる。
【0039】
凹部110がホルダ搬出位置104cに位置づけられると、ベルトコンベヤ機構003の駆動により、ホルダ006はホルダ搬送プレート105から搬出される(図5(d))。
【0040】
ホルダ006が凹部110から搬出された後、モータ108でホルダ搬送プレート105を逆回転させ、再び凹部110をホルダ搬入位置104aに位置付ける(図5(e))。なお、凹部110がホルダ搬入位置104aに位置していることは、センサ検知板202aの存在をセンサ201aが検知していることにより確認できる。
【0041】
図6はサンプリング位置保持機構004の試験管保持機構の構成例を表す図である。
【0042】
試験管保持機構は、試験管保持アーム106と、開閉保持用バネ401と、固定された楕円形カム109と、ベアリング403a,403bを備える。試験管保持アーム106と、開閉保持用バネ401と、ベアリング403a,403bは、ホルダ搬送プレート105の回転と同期して一体的に回転可能である。図6(a)は、ホルダ搬送プレート105の凹部110がホルダ搬入位置104a(あるいはホルダ搬出位置104c)に位置付けられている際の試験管保持アーム106の状態であり、図6(b)はホルダ搬送プレート105の凹部110がサンプリング位置104bに位置付けられている際の試験管保持アーム106の状態を示す。試験管保持アーム106と接続された2つのベアリング403a,403bが、固定された楕円形カム109の円周上に沿って移動することで、開閉保持用バネ401が伸縮し、試験管保持アーム106の開閉を行う構造とする。
【0043】
例えば、図6(a)の状態では、二つのベアリング403a,403bは楕円形カム109の長軸位置に接触しているため、試験管保持アーム106は最も開いた状態となり、搬送されてくるホルダ006を凹部110に受け入れる、あるいは凹部110に保持されたホルダ006をベルトコンベヤ機構003へ解放するといった処理が可能である。
【0044】
その後、モータ108により、ホルダ搬送プレート105の凹部110をサンプリング位置104bに位置付けるよう90度回転させると、試験管保持アーム106もホルダ搬送プレート105の駆動に同期して90度回転する(図6(b))。この状態では、二つのベアリング403a,403bは楕円形カム109の短軸位置に接触しているため、試験管保持アーム106は閉じた状態となり、サンプリング位置104bで試験管005を挟持して固定することが可能となる。なお、サンプリング位置104bで試験管005を挟持することできるため、試験管005が傾いた状態でホルダ006に搭載されていたとしても、サンプリング位置104bでは垂直に保持することができ、確実に分注処理を実行することができる。
【0045】
また、異なる径を持つ試験管005が混在して搬送されてくる場合も考えられる。一般的に使用される試験管005としては、φ13mmとφ16mmの試験管005が混在している場合である。φ13mmの試験管005に合わせて試験管保持アーム106、ベアリング403a,403b、楕円形カム109の位置を調整すると、φ16mmの試験管005を把持する際に、ベアリング403a,403bと楕円形カム109との間に隙間404a,404bが生じることがある。試験管保持アーム位置保持機構405を試験管保持アーム106に取り付けることで、試験管005がサンプリング位置104bの中心に位置するように試験管保持アーム106位置を保持することが可能となる構造とする。
【0046】
試験管保持アーム位置保持機構405は、ベルト406と、プーリ407a,407bと、固定部品408a,408bと、アームプレート409a,409bを備える。アームプレート409a,409bとベルト406は、固定部品408a,408bで固定され、固定部品408aとプーリ407aの距離が近くなると、自動的に固定部品408bとプーリ407bも同じ距離分近くなり、逆に固定部品408aとプーリ407aの距離が遠くなると、自動的に固定部品408bとプーリ407bも同じ距離分遠くなる構造とする。この試験管保持アーム位置保持機構405によりアームプレート409a,409bと試験管保持アーム106を固定することで、左右の試験管保持アーム106が楕円形カム109の中心にある軸107を基準に左右対称に平行移動させることが可能である。これにより、φ16mmの試験管005を把持する際に発生するベアリング403a,403bと楕円形カム109の隙間404a,404bが同じ距離となり、試験管005がサンプリング位置104bの中心に位置するように試験管保持アーム106位置を保持することが可能となる。
【0047】
また、この試験管保持アーム106は、検体入りの試験管005を垂直に保つものだが、アームの加工によっては、試験管005を傾けて保持することも可能となる。
【0048】
また、本実施例ではサンプリング位置104bへホルダ006を搬送するホルダ搬送プレート105について説明したが、検体容器または検体に対して実行すべき処理であれば、サンプリング以外の処理に対してアクセスする位置に対しても適用可能である。たとえば、検体を攪拌する攪拌位置、検体容器に貼付されたバーコードを読み取るバーコード読取位置、検体容器内の検体の状態をセンシングするサンプルチェック位置、検体容器の開口部にキャップを着脱する開栓閉栓位置、ホルダ006から検体容器を抜き取るための取り出し位置、等に向けてホルダ006を移動させる際にホルダ搬送プレート105を適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 検体前処理装置
20 検体搬送ライン
30 検体後処理装置
40 検体処理システム用操作部
50 自動分析装置
60 自動分析システム用操作部
001 搬送ラインユニット
003 ベルトコンベヤ機構
004 サンプリング位置保持機構
005 試験管
006 ホルダ
007 分注機構
104a ホルダ搬入位置
104b サンプリング位置
104c ホルダ搬出位置
105 ホルダ搬送プレート
106 試験管保持アーム
107 軸
108 モータ
109 楕円形カム
110 凹部
201a〜c センサ
202a,202b センサ検知板
203 ホルダ有無センサ
401 開閉保持用バネ
403a,403b ベアリング
404a,404b 隙間
405 試験管保持アーム位置保持機構
406 ベルト
407a,407b プーリ
408a,409b 固定部品
409a,409b アームプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6