(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲル状の充填物がシリコーンオイルに未加硫のシリコーンゴム分散させたゲル化物であり、前記液体の絶縁充填物がシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの終端接続部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコーンゲルは絶縁油に比べて粘性が高く、流動性が低いので、上記従来の終端接続部は、シリコーンゲルの漏れを低減することに関しては有効であったが、シリコーンゲルは絶縁油に比べて値段が高く、終端接続部のコスト上昇を招くことが問題となっていた。
【0005】
本発明は、製造コストの低減を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電力ケーブルの一端部が収容される縦置き型の碍管と、前記碍管の下部に取り付けられた下部金具とを備え、前記碍管と前記下部金具の内部空間に充填物を充填した電力ケーブルの終端接続部において、前記内部空間の底部にゲル状の充填物が充填され、当該ゲル状の充填物の上に液体の絶縁充填物が充填されていることを特徴とする。
【0007】
本発明は、碍管と下部金具の内部空間の底部にゲル状の充填物を入れ、その上の空間に液体の絶縁充填物を入れたので、ゲル状の充填物が隙間に侵入して液体の通過を阻止し、液体の絶縁充填物の漏れを効果的に抑制することが可能となる。
さらに、液体の絶縁充填物の漏れは専ら碍管と下部金具の内部空間の底部から発生するので、当該底部のみにゲル状の充填物を入れれば漏れを防ぐことができ、なお且つ、ゲル状の充填物の使用量を低減することができる。従って、終端接続部の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0008】
また、上記終端接続部において、前記ゲル状の充填物がシリコーンゲルであり、前記液体の絶縁充填物がシリコーンオイルであっても良い。
また、上記終端接続部において、前記ゲル状の充填物がシリコーンオイルに未加硫のシリコーンゴム分散させたゲル化物であり、前記液体の絶縁充填物がシリコーンオイルであっても良い。
【0009】
ゲル状の充填物をシリコーンジェルとし、液体の絶縁充填物をシリコーンオイルとした場合、又は、ゲル状の充填物をシリコーンオイルに未加硫のシリコーンゴム分散させたゲル化物とし、液体の絶縁充填物をシリコーンオイルとした場合のいずれの場合も、シリコーンゲルがシリコーンオイルの絶縁性に影響を及ぼすことがないので、終端接続部の絶縁性を高く維持することが可能である。
【0010】
また、上記終端接続部において、前記ゲル状の充填物は、導電性の粒子を含有し、半導電性を有する構成としても良い。
その場合、当該ゲル状の充填物の周囲の等電位化を図ることが可能となる。
【0011】
また、上記終端接続部は、気中終端接続部、油中終端接続部又はガス中終端接続部であっても良い。
気中終端接続部、油中終端接続部又はガス中終端接続部のいずれに本発明を適用した場合でも、ゲル状の充填物の使用量を低減し、コスト低減を図りつつ液体の絶縁充填物の漏出を効果的に抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゲル状の充填物の使用量を低減し、コスト低減を図りつつ液体の絶縁充填物の漏出を効果的に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[気中終端接続部]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は実施形態に係る気中終端接続部1(以下、単に「終端接続部1」という)の概略構成を示す断面図である。この図において、電力ケーブル11は、ゴム又はプラスチックで絶縁された電力ケーブル(例えばCVケーブル)である。電力ケーブル11は、導体111、導体111の外周部に形成された絶縁層112、絶縁層112の外周に形成された外部半導電層113、外部半導電層113の外周に形成された遮蔽層(図示略)及びシース114等を有し、所定長で段剥ぎすることにより各層が順次露出されている。また、導体111の先端には、導電性を有する導体引出棒13が接続されている。
【0015】
[電力ケーブル]
電力ケーブル11の外周面には、外部半導電層113から絶縁層112にかけて、常温収縮型のゴムストレスコーン14が装着されている。ゴムストレスコーン14は、電界緩和用の半導電ゴム部141と絶縁ゴム部142で構成され、電力ケーブル11によって拡径されることにより発生する収縮力で電力ケーブル11の外周面に密着している。
【0016】
[碍管]
碍管12は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)製の中空筒体の外周を、ゴム又はプラスチックからなる襞付きの外套で被覆した複合碍管である。碍管12は絶縁性の高い他の材料、例えば、磁器やガラスからなるものを使用しても良い。
この碍管12は、その長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で設置される縦置き型である。
【0017】
碍管12の上面には上部金具15が取り付けられている。そして、電力ケーブル11の導体111の先端に接続された導体引出棒13は上部金具15を貫通して外部に突出している。
また、碍管12の底部には下部金具16が取り付けられている。
そして、碍管12、上部金具15及び下部金具16で形成された内部空間には、後述する充填物が充填されている。すなわち、終端接続部1は、電力ケーブル11の端部と導体引出棒13の一部とが碍管12内に収容され、この碍管12内に充填物が充填されて構成されている。
【0018】
[下部金具]
図2は終端接続部の下部の拡大断面図である。
図示のように、下部金具16は、主に、中心に電力ケーブル11を通す貫通孔が形成された円板状の取付金具161と、取付金具161の下面側に同心となるように取り付けられた筒状のシールパイプ162とから構成されている。
取付金具161は、碍管12に対してネジ止めにより連結されており、取付金具161と碍管12との間にOリング163を配して相互のシールを図っている。また、取付金具161は、その下面の外周近傍における複数箇所で支持碍子164(一つのみ図示)を介して下方から支持されている。
【0019】
シールパイプ162には、電力ケーブル11のシース114が挿通されている。シース114は、アルミニウムシース114aとその外周を被覆するプラスチックシース114bとからなり、プラスチックシース114bは段剥ぎされ、アルミニウムシース114aのみがシールパイプ162内に挿通されている。なお、このプラスチックシース114bは一部が碍管12の内部まで挿入されている。
そして、シールパイプ162は、その上端部にフランジ部162aが形成されており、当該フランジ部162aがネジにより取付金具161の下面に取り付けられている。また、フランジ部162aと取付金具161との間にもOリング165が介挿され、相互のシールが図られている。
【0020】
シールパイプ162の内径及び取付金具161の貫通孔の161aの内径は、アルミニウムシース114aの外径よりも幾分大きく、そのため、シールパイプ162とアルミニウムシース114aとの間の空間まで絶縁充填剤が充填される。
このため、シールパイプ162の下端部とアルミニウムシース114aの外周面との間にはシール構造18が施されている。
【0021】
[シール構造]
シール構造18は、アルミニウムシース114aの外周面上に固定されたスペーサ181に当接したシールパイプ162の下端部外周からアルミニウムシース114aの外周にかけて盛られたエポキシパテ182と、エポキシパテ182の表面全体を被覆する平網銅線183とを有している。この平網銅線183は、上部がシールパイプ162の外周面上に半田付けで固着され、下部がアルミニウムシース114aに半田付けで固着されている。
さらに、シール構造18では、平網銅線183の表面全体を被覆するように絶縁性の防水テープ層184、エポキシ含浸ガラステープ層185、絶縁性の防水テープ層186、粘着ビニルテープ層187が順番に積層されている。
【0022】
[充填物]
前述したように、碍管12と下部金具16の内部空間には充填物が充填されている。従前の終端接続部では、この充填物として、絶縁油、シリコーンオイル等が使用されていたが、これらを使用する場合には、十分な油漏れ対策が必要となる。特に、一端部を上方に向けて鉛直に起立した電力ケーブル11を収容する縦置き型の終端接続部1の場合には、碍管12と下部金具16の内部空間の底部では、充填物の自重により大きな圧力が発生し、僅かな隙間が生じても充填物の漏出が発生する。
【0023】
そこで、終端接続部1では、碍管12と下部金具16の内部空間の底部にはゲル状の充填物9としてシリコーンオイルに未加硫のシリコーンゴムを分散させてゲル状に硬化させたもの(以下、「シリコーン混合物」という)又はシリコーンゲルを配置し、その上に液体の絶縁充填物10としてシリコーンオイルを充填している。
上記ゲル状の充填物9は、シールパイプ162の下端部から上下方向の中間部近傍まで充填されている。なお、シールパイプ162の中間部の外周には、ゲル化する前のゲル状の充填物9の原料をシールパイプ162の内部に注入するホースを取り付けるためのコネクタ162bが設けられている。従って、ゲル状の充填物9は、このコネクタ162bの高さまで充填されている。このコネクタ162bとしては、油含浸絶縁紙ケーブル(いわゆるOFケーブル)の終端接続部において利用される絶縁油の出し入れを行うコネクタと同型のものを使用しても良い。
【0024】
そして、碍管12と下部金具16の内部空間におけるゲル状の充填物9の上側に液体の絶縁充填物10であるシリコーンオイルが入れられている。シリコーンオイルは、碍管12の上端部近傍であって電力ケーブル11の絶縁層112の上端部よりも幾分下方の高さまで充填されている。
【0025】
上記ゲル状の充填物9としてのシリコーンゲルは、液体の状態で原料が市販されており、この原料を重合反応によりゲル状に硬化させる。シリコーンゲルには、一液型と二液型があり、さらに反応のタイプにより付加反応型と縮合反応型とに大別される。縮合型のシリコーンゲルでは空気中の水分と反応することがあるため、好ましくは付加型のシリコーンゲルを使用する。市販されているシリコーンゲルとしては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のELASTOSIL(登録商標)RT601や、東レ・ダウコーニング株式会社製のDY35−700A/B、第一工業製薬株式会社製のEF243や、日立化成工業株式会社製のKU7008等のウレタンゴム等を用いることが可能である。また、東レ・ダウコーニング株式会社製のSE1886を用いることも可能である。このシリコーンゲルは、主剤がビニル基含有オルガノポリシロキサンで、硬化剤がハイドロジェンオルガノポリシロキサンである2液タイプのものであり、硬化後の稠度が50である。
【0026】
ゲル状の充填物9としてのシリコーンオイルに分散される未加硫のシリコーンゴムは、液体の状態で原料が市販されており、この原料を重合反応により硬化させる。シリコーンゴムには、一液型と二液型があり、さらに反応のタイプにより付加反応型と縮合反応型とに大別される。縮合型のシリコーンゴムでは空気中の水分と反応することがあるため、好ましくは付加型のシリコーンゴムを使用する。市販されているシリコーンゴムとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSE6910がある。このシリコーンゴムは、主剤がビニル基含有オルガノポリシロキサンで、硬化剤がハイドロジェンオルガノポリシロキサンである2液タイプのものであり、硬化後のタイプAデュロメータによる硬度が9である。
【0027】
ここで、シリコーンゴムとは、シリコーンオイルを混合しないでその原料を硬化させたときにJIS K 6253あるいはISO7619で規定されているタイプAデュロメータによる硬度を測定可能なシリコーン硬化物であり、シリコーンゲルとは、タイプAデュロメータによる硬度測定が不能なシリコーン硬化物である。
【0028】
ゲル状の充填物9としての未加硫のシリコーンゴムを分散させるシリコーンオイル及び液体の絶縁充填物10としてのシリコーンオイルとしては、たとえば、市販のジメチルシリコーンオイル、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH200を使用することができる。
また、終端接続部1を−40℃以下の極低温環境下で使用することを想定する場合には、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルとフェニル基含有シリコーンオイルを混合したものが望ましい。ここで、ジメチルシリコーンオイル(ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基であるもの)、フェニル基含有シリコーンオイル(ポリシロキサンの側鎖、末端の一部がフェニル基であるもののことで、末端の一方がフェニル基、他方がメチル基のものをメチルフェニルシリコーンオイル、末端の両方がフェニル基のものをジフェニルシリコーンオイルという。)は、前記シリコーンゴムやシリコーンゲルのような重合反応性を示さない成分である。市販のジメチルシリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH200、フェニルシリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH510がある。
【0029】
シリコーンオイルとシリコーンゴムの混合比率は、質量比で1:1〜20:1の範囲で適宜選択可能である。
シリコーンオイルの相対量が多ければ、流動性が良くなり、碍管12と下部金具16の内部空間にゲル状の充填物9を充填する際の作業性が良く、また、隅々に容易に行き渡らせることが可能となる。また、シリコーンゴムの相対量が多ければ、充填後の硬化速度を速くすることができる。
【0030】
なお、ゲル状の充填物9及び液体の絶縁充填物10には、本発明の作用・効果を妨げない範囲で任意成分を配合することができる。任意成分としては、反応抑制剤、反応促進剤、無機質充填剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0031】
[気中終端接続部の組み立て]
図1に示す終端接続部1を組み立てる場合、まず、電力ケーブル11の終端側となる一端部を垂直に立ち上げると共に、プラスチックシース114b、アルミニウムシース114a、遮蔽層、外部半導電層113、絶縁層112を外側から順番に所定長で段剥ぎする(電力ケーブル段剥ぎ工程)。
そして、予め、取付金具161及びシールパイプ162に電力ケーブル11を通しておき、さらに、電力ケーブル11の一端部をゴムストレスコーン14の内側に挿入し、当該ゴムストレスコーン14を外部半導電層113と絶縁層112の境界部に取り付ける(ストレスコーン取付工程)。
【0032】
次に、取付金具161及びシールパイプ162を電力ケーブル11の適正な位置(アルミニウムシース114aの露出位置)に位置決めし、シールパイプ162の下端部からアルミニウムシース114aとプラスチックシース114bの境界位置にかけて前述したシール構造18を形成する(シール構造形成工程)。
【0033】
次いで、電力ケーブル11の導体111に導体引出棒13を取り付ける。この導体引出棒13は外側から圧縮することで導体111を締結して固定することができる。
そして、電力ケーブル11の一端部を碍管12の下端部から挿入し、導体引出棒13を上部金具15に固定する。また、取付金具161及びシールパイプ162を碍管12の下端部に固定する。これらにより、電力ケーブル11の一端部が碍管12,上部金具15及び下部金具16により保持された状態となる(電力ケーブル収容工程)。
【0034】
次に、シールパイプ162のコネクタ162bにホースを取り付け、当該ホースを通じてゲル状の充填物9をシールパイプ162の内部に注入する。
この時、ゲル状の充填物9が二液型のシリコーンゲルの場合には、二液を予め攪拌した状態で注入する。また、ゲル状の充填物9が二液型のシリコーンゴムをシリコーンオイルに分散させたシリコーン混合物の場合には、シリコーンゴムの二液とシリコーンオイルとを予め攪拌した状態で注入する(ゲル状充填物注入工程)。
なお、このゲル状の充填物9は、碍管12及び下部金具16の内部空間の底部、特にシールパイプ162の下部にのみ充填されるので、碍管12内の絶縁性に影響を及ぼさない。従って、一般に絶縁性に悪影響があると言われる充填時の気泡が消泡するまで待つ必要がなく、ゲル状の充填物9の充填作業を迅速に行うことが可能である。
【0035】
ゲル状の充填物9はシールパイプ162の所定高さ、例えば、コネクタ162bの高さ近くまで注入したら、ホースを外してコネクタ162bに栓を取り付けて塞ぐ。そして、シールパイプ162を外部から加熱する。加熱は、シール構造18を破壊しない方法により行う。例えば、ゲル状の充填物9の注入量が2[l]程度であった場合には、200[V],3[kW]のドライヤーを使用して10分程度加熱する。このドライヤーは熱収縮チューブの加熱用に用いられる電気ヒーター式のものが望ましい。このドライヤーであれは迅速に最高温度である約180℃まで達するので、液体の状態であったゲル状の充填物9の重合反応を促進し、短時間でゲル状に硬化させることができる(加熱工程)。
【0036】
ゲル状の充填物9が硬化してゲル状になったら、碍管12の上部から液体の絶縁充填物10でありシリコーンオイルを碍管12及び下部金具16の内部空間に充填する(液体充填物充填工程)。これにより終端接続部1は完成する。
碍管12及び下部金具16の内部空間において、ゲル状の充填物9の上に液体の絶縁充填物10が充填されるので、液体の絶縁充填部10の重量による荷重が加えられ、ゲル状の充填物9は、シールパイプ162及びシール構造18の各部に対して隙間なく密着し、液体の絶縁充填物10を効果的にシールする。
例えば、液体の絶縁充填物10の液面が高さ15[m]に達するような大型の終端接続部1の場合には、シリコーンオイルの比重が0.9で換算すると、ゲル状の充填物9には0.135[MPa]程度の圧力が加わるが、そのシール性は維持される。また、終端接続部には液体の絶縁充填物10に対してタンクで加圧するものがあり、その場合にはゲル状の充填物9に加わる圧力は0.2[MPa]にもなるが、そのような場合でもそのシール性を維持することが可能である。
【0037】
[発明の実施形態の技術的効果]
図3は液体の絶縁充填物10であるシリコーンオイルのみを使用する終端接続部1Aの部分断面図である。この終端接続部1Aと比較しながら終端接続部1の技術的効果について説明する。なお、終端接続部1Aについては終端接続部1と異なる部分についてのみ説明し、同一部分は同じ符号を付するものとする。
図3の終端接続部1Aは、シールパイプ162Aが碍管12の内部まで伸びており、その上端部と外部半導電層113との間には、複数のテープ層からなるシール構造19Aが形成されている。また、シールパイプ162Aと取付金具161Aとの間は、二本のOリング163A,163Aによりシールが施されている。
【0038】
この終端接続部1Aは、シールパイプ162Aの上端部と下端部とに複数のテープ層からなるシール構造19A及びシール構造18が形成されている。このようなテープ層からなるシール構造は経年的にシール性の低下を生じるため、シールパイプ162Aを通じて下端部から液体の絶縁充填物10の漏出が発生する。
このシール構造は、例えば、鉛工接続によって接続される。この鉛工接続の際にバーナー等の火気を使う必要があるため、手間がかかるのと火気の取り扱いに厳重な注意を要するという問題点がある。さらに経年によって漏れることもある。
一方、
図2において終端接続部1では、シールパイプ162の下端部の内側にゲル状の充填物9が存在し、上方から液体の絶縁充填物10が加圧するので、ゲル状の充填物9がシールパイプ162からシール構造18にかけて隙間なくシールを行い、液体の絶縁充填物10の漏出を効果的に防止することができる。
また、終端接続部1は、シールパイプ162の下端部のみにシール構造18を設ければ足りるので、終端接続部1の組み立ての作業負担や作業コストを低減し、作業時間の短縮化を図ることが可能である。
【0039】
また、終端接続部1は、碍管12と下部金具16の内部空間の全体にゲル状の充填物9を入れる場合と異なり、当該内部空間の底部のみにゲル状の充填物9を入れているので、ゲル状の充填物9の使用量を低減することができ、終端接続部1の製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、碍管12と下部金具16の内部空間の全体にゲル状の充填物9を入れる場合には、ゲル状の充填物9を絶縁性のものとする必要があるが、終端接続部1は、碍管12と下部金具16の内部空間の底部のみにゲル状の充填物9を入れているので、ゲル状の充填物9には絶縁性が要求されず、使用する充填物の選択範囲が広いという利点もある。
【0040】
また、ゲル状の充填物9をシリコーンジェルとし、液体の絶縁充填物10をシリコーンオイルとした場合、又は、ゲル状の充填物9をシリコーンオイルに未加硫のシリコーンゴム分散させたゲル化物とし、液体の絶縁充填物10をシリコーンオイルとした場合には、シリコーンゲルがシリコーンオイルの絶縁性に影響を及ぼすことがないので、終端接続部1の絶縁性を高く維持することが可能である。
【0041】
[終端接続部の他の例]
終端接続部として気中終端接続部1を例示したが、これ以外の終端接続部でもゲル状の充填物によるシールを施すことは可能である。
図4は絶縁油が満たされた容器17B内に碍管12Bを収容している油中終端接続部1Bを示している。この終端接続部1Bにおいて終端接続部1と同じ機能を有する構成については終端接続部1の構成に付された符号に「B」を付け足して示すものとして重複する説明は省略する。
この終端接続部1Bでは、碍管12B及び下部金具16Bの内部空間における底部にゲル状の充填物9Bを入れ、その上に液体の絶縁充填物10Bを充填している。また、符号162Bbはゲル状の充填物9Bを充填するためのコネクタである。
この場合も気中終端接続部1の場合と同じ技術的効果、即ち、絶縁充填物10Bの漏出防止、終端接続部1Bの組み立ての作業負担や作業コストの低減及び作業時間の短縮化、ゲル状の充填物9Bの使用量低減、ゲル状の充填物9Bの選択範囲の拡大等を図ることが可能である。また、ゲル状の充填物9Bや液体の絶縁充填物10Bの具体的な内容は終端接続部1のゲル状の充填物9や液体の絶縁充填物10と同じである。
【0042】
また、
図5はSF
6等の絶縁ガスが満たされた容器17C内に碍管12Cを収容しているガス中終端接続部1Cを示している。この終端接続部1Cにおいて終端接続部1と同じ機能を有する構成については終端接続部1に構成に付された符号に「C」を付け足して示すものとして重複する説明は省略する。
この終端接続部1Cでは、碍管12C及び下部金具16Cの内部空間における底部にゲル状の充填物9Cを入れ、その上に液体の絶縁充填物10Cを充填している。また、符号162Cbはゲル状の充填物9Cを充填するためのコネクタである。
この場合も気中終端接続部1の場合と同じ技術的効果、即ち、絶縁充填物10Cの漏出防止、終端接続部1Cの組み立ての作業負担や作業コストの低減及び作業時間の短縮化、ゲル状の充填物9Cの使用量低減、ゲル状の充填物9Cの選択範囲の拡大等を図ることが可能である。また、ゲル状の充填物9Cや液体の絶縁充填物10Cの具体的な内容は終端接続部1のゲル状の充填物9や液体の絶縁充填物10と同じである。
【0043】
[その他]
前述したようにゲル状の充填物9(9B、9Cも同様)は、絶縁性が要求されないので、当該充填物9の形成時にカーボン粒子などの導電性の粒子を分散させて半導電性を持たせても良い。
これにより、当該ゲル状の充填物9の周囲の等電位化を図ることが可能となる。