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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247987
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20171204BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20171204BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20171204BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20171204BHJP
   H01R 43/01 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   H01B7/00 306
   H01B13/00 521
   H01B13/012 A
   H01R43/00 B
   H01R43/01 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-82246(P2014-82246)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-204171(P2015-204171A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 貴博
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−162272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 13/00
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される一対のコネクタと、前記各コネクタ内に設置される端子と、を備え、
前記各コネクタを接続状態に保持した状態で、電線を前記各端子に電気的に接続し、前記各端子間の前記電線を切断することで構成され、
前記コネクタは、ベース部材とカバー部材とから構成されており、前記ベース部材および前記端子には、段差が形成され、
前記各ベース部材には、切断用切欠きが形成されていることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記各端子は、圧接板を備えており、前記各端子と前記電線とは、圧接により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法において、
一対のコネクタのベース部材を接続状態に設置する工程と、
前記各ベース部材にそれぞれ端子を設置する工程と、
前記各端子に電線を接続する工程と、
前記電線を切断する工程と、
を備えていることを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【請求項4】
前記コネクタは、ベース部材とカバー部材とから構成されており、前記ベース部材および前記端子には、段差が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項5】
前記電線を切断する工程は、前記各端子のコネクタ部の基端部における2カ所で切断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項6】
前記電線を切断する工程は、各ベース部材に形成された切断用切欠きに入り込む切断刃により切断することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項7】
前記各端子に電線を接続する工程は、前記各端子に圧接板を形成し、この圧接板に前記電線を圧接して前記各端子と前記電線とを電気的に接続するものであることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスおよびその製造方法に係り、特に、電線の無駄を低減させて製造コストの低減を図ることができ、また、効率のよい製造を行うことができるとともに、設備コストの低減を図ることができ、製造工程の自由度を著しく高めることを可能としたワイヤハーネスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車や家電機器などに用いられるワイヤハーネスは、あらかじめ同一機器に接続される電線群を集めて仮結束ハーネスを形成しておき、これら仮結束ハーネスをワイヤハーネス組立作業台上で治具を用いて布線した後、テープ巻き等により本結束し、コネクタなどの所要部品を取付けることにより製造するようにしていた。
【0003】
しかしながら、電線にコネクタを取り付ける場合に、従来、各電線ごとに、所定長さの切断作業、電線の端子への圧着作業、圧着した端子のコネクタへの挿入作業などの作業が必要であり、しかも、その後の検査工程も各ワイヤハーネスごとに行う必要があるため、ワイヤハーネスの製造作業に手間がかかり、極めて生産性が悪いという問題があった。
【0004】
そのため、このようなコネクタを用いたワイヤハーネスの製造方法として、従来から、例えば、圧接端子をあらかじめセットしている同一の圧接コネクタを電線群の両端に圧接接続し、ついで、これら電線群の中間に所要間隔をあけて他の2つの圧接コネクタを圧接接続した後、この中間に圧接接続した圧接コネクタの間の電線を切断除去することにより、同一種類あるいは異種類の仮結束ハーネスを同時に製造するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−162272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1においては、電線群の中間に所要間隔をあけて他の2つの圧接コネクタを圧接接続した後、この中間に圧接接続した圧接コネクタの間の電線を切断除去することにより、同一種類あるいは異種類の仮結束ハーネスを同時に製造するものであるため、製造工程の低減を図り、生産性を向上させることができると考えられる。しかしながら、電線の中間に2つの圧接コネクタを所要間隔を空けて接続した後、この圧接コネクタ間の電線を切断除去するものであるため、切断除去する電線の無駄が多くなり、製造コストが高くなってしまうという問題を有している。また、電線の中間に同一の圧接コネクタを接続してワイヤハーネスを製造するものであるため、製造されたワイヤハーネスについて個々に検査を行う必要があり、製造工程の自由度を向上させることができず、結局、ワイヤハーネスの製造を効率よく行うことができないという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、電線の無駄を低減させて製造コストの低減を図ることができ、また、効率のよい製造を行うことができるとともに、設備コストの低減を図ることができ、製造工程の自由度を著しく高めることのできるワイヤハーネスおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、互いに接続される一対のコネクタと、前記各コネクタ内に設置される端子と、を備え、前記各コネクタを接続状態に保持した状態で、電線を前記各端子に電気的に接続し、前記各端子間の前記電線を切断することで構成され、前記コネクタは、ベース部材とカバー部材とから構成されており、前記ベース部材および前記端子には、段差が形成され、前記各ベース部材には、切断用切欠きが形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、各コネクタを接続状態に保持した状態で、電線を各端子に電気的に接続し、各端子間の電線を切断することで構成するようにしているので、電線の無駄を最小にとどめることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、製造された後のワイヤハーネスの途中にコネクタを取り付けて、複数のワイヤハーネスを製造することができ、しかも、その後に行う複数のワイヤハーネスの検査工程を同時に行うことができるので、複数のワイヤハーネスの製造ラインを合体させることができ、効率のよい製造を行うことができるとともに、製造ラインの設備を低減させて設備コストの低減を図ることができる。しかも、製造された後のワイヤハーネスに加工して複数のワイヤハーネスを製造するものであるため、工程の制約がなく、製造工程の自由度を著しく高めることができる。
【0010】
また、本発明は、ベース部材および端子に段差を形成するようにしているので、電線の切断作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明は、各ベース部材に切断用切欠きを形成するようにしているので、電線の切断作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、前記構成において、前記各端子は、圧接板を備えており、前記各端子と前記電線とは、圧接により電気的に接続されていることを特徴とする。
この構成によれば、各端子と電線とを圧接により電気的に接続するようにしているので、端子と電線との接続作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明に係るワイヤハーネスの製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法において、
一対のコネクタのベース部材を接続状態に設置する工程と、前記各ベース部材にそれぞれ端子を設置する工程と、前記各端子に電線を接続する工程と、前記電線を切断する工程と、備えていることを特徴とする。
この構成によれば、各コネクタを接続状態に保持した状態で、電線を各端子に電気的に接続し、各端子間の電線を切断することで構成するようにしているので、電線の無駄を最小にとどめることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、製造された後のワイヤハーネスの途中にコネクタを取り付けて、複数のワイヤハーネスを製造することができ、しかも、その後に行う複数のワイヤハーネスの検査工程を同時に行うことができるので、複数のワイヤハーネスの製造ラインを合体させることができ、効率のよい製造を行うことができるとともに、製造ラインの設備を低減させて設備コストの低減を図ることができる。しかも、製造された後のワイヤハーネスに加工して複数のワイヤハーネスを製造するものであるため、工程の制約がなく、製造工程の自由度を著しく高めることができる。
【0014】
また、本発明は、前記構成において、前記コネクタは、ベース部材とカバー部材とから構成されており、前記ベース部材および前記端子には、段差が形成されていることを特徴とする。この構成によれば、ベース部材および端子に段差を形成するようにしているので、電線の切断作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明は、前記構成において、前記電線を切断する工程は、前記各端子のコネクタ部の基端部における2カ所で切断することを特徴とする。この構成によれば、電線を切断する工程において、各端子のコネクタ部の基端部における2カ所で切断するようにしているので、電線の無駄を最小にとどめることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、前記構成において、前記電線を切断する工程は、各ベース部材に形成された切断用切欠きに入り込む切断刃により切断することを特徴とする。この構成によれば、ベース部材に形成された切断用切欠きに入り込む切断刃により電線を切断するようにしているので、電線の切断作業を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明は、前記構成において、前記各端子に電線を接続する工程は、前記各端子に圧接板を形成し、この圧接板に前記電線を圧接して前記各端子と前記電線とを電気的に接続するものであることを特徴とする。この構成によれば、各端子と電線とを圧接により電気的に接続するようにしているので、端子と電線との接続作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各コネクタを接続状態に保持した状態で、電線を各端子に電気的に接続し、各端子間の電線を切断することで構成するようにしているので、電線の無駄を最小にとどめることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、製造された後のワイヤハーネスの途中にコネクタを取り付けて、複数のワイヤハーネスを製造することができ、しかも、その後に行う複数のワイヤハーネスの検査工程を同時に行うことができるので、複数のワイヤハーネスの製造ラインを合体させることができ、効率のよい製造を行うことができるとともに、製造ラインの設備を低減させて設備コストの低減を図ることができる。しかも、製造された後のワイヤハーネスに加工して複数のワイヤハーネスを製造するものであるため、工程の制約がなく、製造工程の自由度を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るワイヤハーネスの実施形態を示すコネクタ部分の分解斜視図である。
図2】本発明に係るワイヤハーネスの実施形態を示すコネクタ部分の断面図である。
図3】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示すコネクタおよび電線を設置した状態を示す斜視図である。
図4】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示す電線を圧着した状態を示す斜視図である。
図5】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示す電線を切断した状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示す雌型カバー部材を装着した状態を示す斜視図である。
図7】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示す雄型カバー部材を装着した状態を示す斜視図である。
図8】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法の実施形態を示す各コネクタを取り外した状態を示す斜視図である。
図9】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法に用いられる切断装置の例を示す概略斜視図である。
図10】本発明に係るワイヤハーネスの製造方法に用いられる切断装置の他の例を示す概略斜視図である。
図11】本発明に係るワイヤハーネスの実施形態における製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はコネクタの実施形態を示す分解斜視図であり、図2はコネクタの縦断面図である。図1および図2に示すように、コネクタは、雌型コネクタ10と、この雌型コネクタ10と接続される雄型コネクタ30とを備えている。
【0021】
雌型コネクタ10は、雌型ベース部材11と、雌型カバー部材12とから構成されている。雌型ベース部材11の基端側(図において左側)は、底板13の厚さ寸法を大きく形成してなる端子設置部14を備えており、雌型ベース部材11の先端側は、底板13の厚さ寸法を小さく形成してなり端子設置部14より段差をもって低い位置に形成されるコネクタ設置部15を備えている。また、雌型ベース部材11の両側部には、底板13と一体に形成された側壁16が設けられており、側壁16の端子設置部14とコネクタ設置部15との境界付近に対応する位置には、側壁16を四角形状に切欠いてなる切断用切欠き17が形成されている。
【0022】
また、各側壁16の間であって端子設置部14およびコネクタ設置部15の上面には、側壁16と平行な複数(本実施形態においては、4つ)の仕切り壁18が立設されている。これら各仕切り壁18は、側壁16および各仕切り壁18が互いに所定間隔を有するように配置されており、各仕切り壁18の高さ寸法は、側壁16の高さ寸法はほぼ同一となるように形成されている。
【0023】
雌型コネクタ10には、導電性材料からなる複数の雌型端子20が設置されており、雌型端子20は、雌型ベース部材11の仕切り壁18の間にそれぞれ設置されるように構成されている。この雌型端子20は、雌型ベース部材11の端子設置部14に設置される平板状の雌型電線側端子部21を備えており、雌型端子20は、コネクタ設置部15に設置される四角筒状の雌型コネクタ側端子部22を備えている。雌型コネクタ側端子部22と雌型電線側端子部21とは、雌型ベース部材11の段差に沿ってクランク状に曲折されて一体に形成されている。これにより、雌型コネクタ側端子部22が、雌型電線側端子部21の位置に対して低い位置に設けられることになるため、雌型電線側端子部21に接続される電線50と雌型コネクタ側端子部22とが異なる高さに位置するように構成されている。
【0024】
また、雌型電線側端子部21の上面には、一対の圧接板23が所定間隔をもって立設されており、各圧接板23には、ほぼV字状に切欠いてなる溝の内側部分で構成される圧接刃24が形成されている。そして、圧接板23の切欠き溝の上部に電線50を載置した状態で、電線50を圧接刃24に押し付けることにより、電線50の絶縁被覆が切欠き溝に入り込んで圧接刃24により切断され、電線50の芯線が圧接板23と接触して、電線50の芯線と雌型端子20との電気的な接続を図ることができるように構成されている。
【0025】
また、雌型カバー部材12および雌型ベース部材11には、例えば、係合部とこの係合部に係合される係合爪などで構成される図示しない係合部材が設けられており、雌型ベース部材11の各仕切り壁18の間に雌型端子20を設置した状態で、雌型カバー部材12と雄型ベース部材とを係合部材を介して係合させることにより、雌型端子20が収容された雌型コネクタ10を形成するように構成されている。
【0026】
一方、雄型コネクタ30は、雄型ベース部材31と、雄型カバー部材32とから構成されている。雄型ベース部材31の基端側(図において右側)は、底板33の厚さ寸法を大きく形成してなる端子設置部34を備えており、雄型ベース部材31の先端側は、底板33の厚さ寸法を小さく形成してなり端子設置部34より段差をもって低い位置に形成されるコネクタ設置部35を備えている。また、雄型ベース部材31の両側部には、底板33と一体に形成された側壁36が設けられており、側壁36の端子設置部34の先端付近に対応する位置および雌型コネクタ10を接続した状態における雌型コネクタ10の切断用切欠き17に対応する位置には、側壁36を四角形状に切欠いてなる切断用切欠き37が形成されている。
【0027】
また、各側壁36の切断用切欠き37より基端側の間であって端子設置部34の上面には、側壁36と平行な複数(本実施形態においては、4つ)の仕切り壁38が立設されている。これら各仕切り壁38は、側壁36および各仕切り壁38が互いに所定間隔を有するように配置されており、各仕切り壁38の高さ寸法は、側壁36の高さ寸法はほぼ同一となるように形成されている。なお、雄型ベース部材31のコネクタ設置部35には、仕切り壁は形成されておらず、雌型コネクタ10が挿入されるため平面状に形成されている。
【0028】
雄型コネクタ30には、導電性材料からなる複数の雄型端子40が設置されており、雄型端子40は、雄型ベース部材31の仕切り壁38の間にそれぞれ設置されるように構成されている。この雄型端子40は、雄型ベース部材31の端子設置部34に設置される平板状の雄型電線側端子部41を備えており、雄型端子40は、コネクタ設置部35に設置され雌型端子20の雌型コネクタ側端子部22に挿入される平板状の雄型コネクタ側端子部42を備えている。雄型コネクタ側端子部42と雄型電線側端子部41とは、雄型ベース部材31の段差に沿ってクランク状に曲折されて一体に形成されている。これにより、雄型コネクタ側端子部42が、雄型電線側端子部41の位置に対して低い位置に設けられることになるため、雄型電線側端子部41に接続される電線50と雄型コネクタ側端子部42とが異なる高さに位置するように構成されている。
【0029】
また、雄型電線側端子部41の上面には、一対の圧接板43が所定間隔をもって立設されており、各圧接板43には、ほぼV字状に切欠いてなる溝の内側部分で構成される圧接刃44が形成されている。そして、圧接板43の切欠き溝の上部に電線50を載置した状態で、電線50を圧接刃44に押し付けることにより、電線50の絶縁被覆が切欠き溝に入り込んで圧接刃44により切断され、電線50の芯線が圧接板43と接触して、電線50の芯線と雄型端子40との電気的な接続を図ることができるように構成されている。
【0030】
また、雄型カバー部材32および雄型ベース部材31には、雌型コネクタ10と同様に、図示しない係合部材が設けられており、雄型ベース部材31の各仕切り壁38の間に雄型端子40を設置した状態で、雄型カバー部材32と雄型ベース部材31とを係合部材を介して係合させることにより、雄型端子40が収容された雄型コネクタ30を形成するように構成されている。さらに、雌型カバー部材12の上面には、係止突起55が設けられており、雄型カバー部材32の上面には、雌型コネクタ10と雄型コネクタ30とを接続した状態で、係止突起55を受け入れて係合状態に保持する突起受け56が形成されている。
【0031】
次に、前述のように構成されたコネクタを用いてワイヤハーネスを製造する方法について、説明する。
本実施形態においては、まず、所定の作業台(図示せず)上に雄型コネクタ30の雄型ベース部材31を設置するとともに、雌型コネクタ10の雌型ベース部材11を雄型ベース部材31の雄型コネクタ側端子部42の所定の位置に設置し、使用状態において雌型ベース部材11と雄型ベース部材31とが接続された状態となるように重ねて保持する。このとき、雄型ベース部材31および雌型ベース部材11が接続されている状態を保持するため、雄型ベース部材31および雌型ベース部材11を治具(図示せず)などで固定するようにしてもよい。また、雌型ベース部材11および雄型ベース部材31に仮固定用の係止部材(図示せず)を設け、この係止部材により、雌型ベース部材11および雄型ベース部材31を接続状態で固定するようにしてもよい。
【0032】
続いて、雌型端子20の雌型コネクタ側端子部22に雄型端子40の雄型コネクタ側端子部42を挿入した状態で、雌型端子20および雄型端子40を、雌型ベース部材11の仕切り壁18の間および雄型ベース部材31の仕切り壁38の間にそれぞれ設置する。
【0033】
そして、図3に示すように、雌型ベース部材11と雄型ベース部材31の上方から各雌型端子20の圧接板23および雄型端子40の圧接板43の上部に、雌型端子20および雄型端子40と同数の電線50を設置する。この電線50の設置位置は、用いられるワイヤハーネスに応じて適宜設定されるものである。
その後、図4に示すように、電線50を圧接板23,43の圧接刃24,44に押し付けることにより、圧接刃24,44により電線50の絶縁被覆を切断し、電線50の芯線と圧接板23,43とをそれぞれ電気的に接続する。
【0034】
このとき、電線50の圧接により、十分な接続強度を得ることができるものであるが、電線50の圧接後、圧接板23,43と電線50とを、例えば、レーザ溶接などの溶接手段や半田付けなどの固定手段により固定するようにすれば、圧接板23,43と電線50との接続強度をより高めることが可能となる。
【0035】
その後、図5に示すように、雌型端子20の雌型電線側端子部21の端部付近および雄型端子40の雄型電線側端子部41の端部付近において、切断用切欠き17,37を利用して電線50を切断する。このとき、例えば、図9に示すように、切断用切欠き17,37に対応する位置に2つの切断刃60,60が形成された切断部材61を用い、切断部材61の切断刃60を切断用切欠き17,37に入り込ませることにより、電線50の切断を行うようにしてもよい。また、切断部材61としては、例えば、図10に示すように、2つの切断刃60,60が互いに内側に傾斜するように設けるようにしてもよく、このように構成することにより、電線50を切断する際に、各切断刃60,60により電線50を押さえつける機能が発揮されるので、電線50の浮き上がりを防ぐことができるものである。
【0036】
そして、電線50の切断後、図6に示すように、雌型ベース部材11に雌型カバー部材12を係合させて雌型コネクタ10を完成させ、続いて、図7に示すように、雄型ベース部材31に雄型カバー部材32を係合させて雄型コネクタ30を完成させる。その後、図8に示すように、雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取り外すことにより、所定のワイヤハーネスを得ることができる。
【0037】
なお、前記実施形態におけるワイヤハーネスの製造においては、雄型ベース部材31および雌型ベース部材11の設置工程、雄型端子40および雌型端子20設置工程、電線50の設置工程、電線50の接続工程、電線50の切断工程、および雄型カバー部材32および雌型カバー部材12の係合工程は、これらすべての工程またはこれらの一部の工程を自動機により、自動的に行うことも可能である。
【0038】
ところで、一般に、ワイヤハーネスを製造する場合、各ワイヤハーネスごとに製造ラインを設置し、各製造ラインごとに、電線50の切断やこの電線50とコネクタとの接続などを行う前工程、仕上げ工程、検査工程などを行う必要があり、検査工程で合格になれば、ワイヤハーネスの完成となる。そのため、各ワイヤハーネスの製造ラインごとに個々に前工程、仕上げ工程、検査工程を行う必要があるため、各製造ラインごとに設備や作業者が必要となっていた。
【0039】
これに対して、本実施形態においては、図11に示すように、前工程において、所定の長さのワイヤハーネスを製造し、その後、仕上げ工程において、前工程で製造されたワイヤハーネスの途中における所定の位置に、前述の方法により、雌型コネクタ10および雄型コネクタ30を設置して電線50を圧着させた後、電線50を切断してワイヤハーネスを製造するものである。そのため、前工程でワイヤハーネスを製造した後であっても、この製造されたワイヤハーネスの任意の位置に、雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取付けることができるものである。
【0040】
そして、検査工程において、ワイヤハーネスの任意の位置に、雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取付けた状態で、検査を行うことにより、2本のワイヤハーネスの検査を同時に行うことが可能となる。その結果、仕上げ工程、検査工程を各ワイヤハーネスごとに行う必要がなく、1つの設備およびこの1つの設備における作業者により、複数のワイヤハーネスの仕上げ工程や検査工程を行うことができ、作業の効率化、低コスト化を図ることができる。また、前述のように、ワイヤハーネスを製造した後であっても、後の工程で1つのワイヤハーネスの途中に、雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取付けることにより、複数のワイヤハーネスを製造することができるので、製造工程の自由度を著しく高めることができる。なお、前工程で製造されたワイヤハーネスに、雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取付けて複数のワイヤハーネスを製造する場合は、2本のワイヤハーネスに限らず、3本以上のワイヤハーネスを同時に製造して各工程を行うようにしてもよい。
【0041】
以上述べたように本実施形態においては、雌型ベース部材11と雄型ベース部材31とが接続状態に保持した状態で、雌型端子20および雄型端子40を設置し、圧接板23,43の圧接刃24,44に電線50を押し付けて電線50の芯線と圧接板23,43とを電気的に接続した後、電線50を切断するようにしているので、電線50の無駄を最小にとどめることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
また、製造された後のワイヤハーネスの途中に雄型コネクタ30および雌型コネクタ10を取り付けて、複数のワイヤハーネスを製造することができ、しかも、その後に行う複数のワイヤハーネスの検査工程を同時に行うことができるので、複数のワイヤハーネスの製造ラインを合体させることができ、効率のよい製造を行うことができるとともに、製造ラインの設備を低減させて設備コストの低減を図ることができる。しかも、製造された後のワイヤハーネスに加工して複数のワイヤハーネスを製造するものであるため、工程の制約がなく、製造工程の自由度を著しく高めることができる。
【0043】
なお、前記実施形態においては、雌型端子20の雌型電線側端子部21と雌型コネクタ側端子部22とに上下方向の段差を設けるとともに、雄型端子40の雄型電線側端子部41と雄型コネクタ側端子部42とに上下方向の段差を設けるようにしているが、雌型端子20の雌型電線側端子部21および雌型コネクタ側端子部22と、雄型端子40の雄型電線側端子部41および雄型コネクタ側端子部42とに横方向にずれるように段差を設けるようにしてもよい。また、前記実施形態においては、段差を設けて電線50を切断するようにしているが、切断部材61による切断が可能であれば、雌型電線側端子部21および雌型コネクタ側端子部22と、雄型電線側端子部41および雄型コネクタ側端子部42とに段差を設けないようにしてもよい。
【0044】
また、前記実施形態においては、電線50を2カ所で切断するようにしたが、電線50を例えば、雌型コネクタ10の先端付近の1カ所で切断するようにしてもよい。本実施形態においては、雌型電線側端子部21と雌型コネクタ側端子部22と、雄型電線側端子部41および雄型コネクタ側端子部42とに、段差を形成するようにしているので、1カ所で切断したとしても、雌型端子20と雄型端子40との接続に支障がない。そのため、より電線50の無駄をなくし、製造コストの低減を図ることができる。
【0045】
さらに、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 雌型コネクタ
11 雌型ベース部材
12 雌型カバー部材
13,33 底板
14,34 端子設置部
15,35 コネクタ設置部
16,36 側壁
17,37 切断用切欠き
18,38 仕切り壁
20 雌型端子
21 雌型電線側端子部
22 雌型コネクタ側端子部
23,43 圧接板
24,44 圧接刃
30 雄型コネクタ
31 雄型ベース部材
32 雄型カバー部材
40 雄型端子
41 雄型電線側端子部
42 雄型コネクタ側端子部
50 電線
55 係止突起
56 突起受け
60 切断刃
61 切断部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11