(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置関連情報記憶手段は、前記発電情報送信手段の前記固有ID情報と、前記発電情報送信手段を設置した位置を示す発電情報送信手段設置位置情報と、前記無線基地局を設置した位置を示す無線基地局設置位置情報と、前記無線基地局の前記無線基地局識別情報と、前記検知対象エリア内の地図情報と、前記移動体の存在位置検知履歴情報と、を記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体の存在位置検知システム。
前記無線基地局は、前記発電情報送信手段から送信される前記固有ID情報を受信する際の受信電波強度を測定する受信強度測定手段をさらに備え、前記移動体検知情報に前記受信強度測定手段で測定された受信強度情報を含めて前記情報管理サーバへ送信し、
前記存在位置判断手段は、前記移動体検知情報に含まれる前記受信強度情報に基づいて前記固有ID情報を送信した前記発電情報送信手段と前記無線基地局との距離を推定し、
前記推定した前記発電情報送信手段と前記無線基地局との推定距離と、前記位置関連情報記憶手段に記憶された前記位置に関する情報とに基づいて、前記固有ID情報を送信した前記発電情報送信手段の設置位置を特定し、
前記特定した発電情報送信手段の設置位置に前記移動体が存在すると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の移動体の存在位置検知システム。
前記存在位置判断手段は、前記位置関連情報記憶手段に記憶された前記検知対象エリア内の地図情報と、前記移動体の存在位置検知履歴情報とを用いて、前記検知対象エリア内における前記移動体の存在数の位置分布を推測することを特徴とする請求項3または4に記載の移動体の存在位置検知システム。
前記存在位置判断手段は、前記位置関連情報記憶手段に記憶された前記検知対象エリア内の地図情報と、前記移動体の存在位置検知履歴情報とを用いて、前記検知対象エリア内における前記移動体の移動パターンを推測することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の移動体の存在位置検知システム。
前記検知対象エリアは複数のブロックに区分けされており、1つ以上の前記発電情報送信手段が前記各ブロックに存在する物体の表面または内部に設置されており、前記ブロックのうち同一ブロック内に設置される複数の前記発電情報送信手段には同一の固有ID情報が割り当られていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の移動体の存在位置検知システム。
前記発電情報送信手段が設置される物体が床であり、前記移動体が前記床の上を移動することによって前記発電情報送信手段へ外力が付与されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の移動体の存在位置検知システム。
前記移動体が人であり、前記発電情報送信手段が設置される物体が座席であり、前記人が前記座席に座ることによって前記発電情報送信手段へ外力が付与されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の移動体の存在位置検知システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明に係る移動体の存在位置検知システムの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る移動体の存在位置検知システム(以下、存在位置検知システムと呼ぶ場合がある)の概略を説明する図である。
図1に示すように、存在位置検知システム100は、複数の発電情報送信手段10と、複数の無線基地局である無線基地局20a、20b、20c、20dと、情報管理サーバ30とを備えている。
【0026】
発電情報送信手段10は、検知対象エリアMA内に設置されている。検知対象エリアMAとは、移動体1がアクセス可能なエリアである。移動体1とは、例えば人や車両(自動車、バス、バイク、自転車、鉄道の列車など)などである。
【0027】
なお、検知対象エリアMAは、屋外と屋内のいずれでもよく、移動体1がアクセス可能なエリアであれば特に限定されるものではない。検知対象エリアMAは、屋外であれば、例えば、比較的人口が集中する市街地や商業地区、観光地、公園、屋外施設などの地域や、その他の町や村などの地域であってもよい。また、移動体1としての車両や人などが通行する特定のルート(道路、通路、線路など)や、車両などの停車駅やその周辺の地域などであってもよい。また、検知対象エリアMAは、屋内であれば、例えば、店舗内や商業施設内、文化・公共施設内、空港内、駅内、地下街、住宅やビル、工場などの建造物内、地下道やトンネル内などであってもよい。また、検知対象エリアMAは、鉄道列車などの乗物・車両内であってもよい。
【0028】
本実施の形態では、移動体1は人であるとする。そして、発電情報送信手段10は、検知対象エリアMA内の物体である床の表面に複数設置されているものとする。なお、床とは通路などの床も含まれる。
【0029】
無線基地局20a、20b、20c、20dは、検知対象エリアMA内または検知対象エリアMAの近傍に設置されている。無線基地局20a、20b、20c、20dの設置位置は既知の位置である。無線基地局20a、20b、20c、20dは、例えば、無線LANで使用される無線基地局(アクセスポイント機)であってもよい。なお、本実施の形態では無線基地局の数は4であるが、特に限定はされない。
【0030】
情報管理サーバ30は、インターネットやLANなどの通信ネットワークを介して無線基地局20a、20b、20c、20dと接続されたものである。
【0031】
図2は、実施の形態に係る移動体の存在位置検知システムの構成を示す図である。なお、
図2において、無線基地局20は無線基地局20a、20b、20c、20dを代表して示すものであり、無線基地局20a、20b、20c、20dは以下で説明する無線基地局20と同様に構成することができる。
【0032】
図2に示すように、存在位置検知システム100において、発電情報送信手段10は、発電手段11と、電力変換制御手段12と、固有ID情報記憶手段13と、固有ID情報送信手段14とを備えている。
【0033】
発電手段11は、移動体1によって付与される外力2で発電するものであり、その外力2は、移動体1が発電手段11に直接的または間接的に接触することによって付与されるものである。電力変換制御手段12は、発電手段11が発電した電力を、固有ID情報記憶手段13および固有ID情報送信手段14を動作させるのに適する電力に変換するものである。固有ID情報記憶手段13は、各発電情報送信手段10に固有に割り当てて設定することができるID情報が書き込まれ、かつ書き込まれた固有ID情報の記憶が可能なものである。固有ID情報送信手段14は、固有ID情報記憶手段13に記憶された固有ID情報を無線信号3にて無線送信するものである。
【0034】
上記構成により、発電情報送信手段10は、検知対象エリアMA内の移動体1によって付与される外力2で発電し、発電した電力を用いて発電情報送信手段10の固有ID情報を無線送信することができる。
【0035】
無線基地局20は、発電情報送信手段10から送信された固有ID情報を受信し、受信した固有ID情報と、固有ID情報を受信した受信時刻情報と、当該無線基地局を識別できる無線基地局識別情報とを含む移動体検知情報を情報管理サーバ30へ送信することができるように構成されていれば、その構成は特に限定されないが、存在位置検知システム100においては、以下の構成を有する。すなわち、
図2に示すように、存在位置検知システム100において、無線基地局20は、固有ID情報受信手段21と、移動体検知情報生成手段22と、通信手段23と、を備えている。さらに、存在位置検知システム100における無線基地局20は、受信強度測定手段24を備えている。
【0036】
固有ID情報受信手段21は、発電情報送信手段10が無線信号3にて無線送信した固有ID情報を受信し、かつその受信時刻を記録できるように構成されている。
移動体検知情報生成手段22は、情報生成部22aと記憶部22bとを備えている。情報生成部22aは、固有ID情報受信手段21が無線信号3にて受信した固有ID情報41および固有ID情報を受信した受信時刻情報42と、記憶部22bに記憶された当該無線基地局20を識別できる無線基地局識別情報43とを少なくとも含む移動体検知情報40を生成できるように構成されている。通信手段23は、通信ネットワークを介して情報管理サーバ30と通信できるように構成されており、移動体検知情報40を含む通信信号4を情報管理サーバ30に送信する。
【0037】
受信強度測定手段24は、発電情報送信手段10の固有ID情報送信手段14から送信される無線信号3を受信する際の受信強度を測定することができるように構成されている。なお、上述した情報生成部22aは、測定された受信強度情報44を含めた移動体検知情報40を生成できる。
【0038】
無線基地局20の設置数や設置場所は、検知対象エリアMA内に設置される全ての発電情報送信手段10から送信される固有ID情報に対して、いずれか1つ以上の無線基地局20で受信できるような状態であれば特に限定されるものではなく、適宜設計、選択すればよい。例えば、無線基地局20は、検知対象エリアMA内または検知対象エリアMAの近傍に設置されている。ここで、近傍とは、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を受信できる程度の距離を意味する。当該距離は、使用する無線通信規格(後に例示)や、無線環境(屋内、屋外、障害物の種類や配置など)にも依存するが、たとえば屋内では30m程度の範囲、屋外では100m程度の範囲である。また、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報は、できるだけ多くの無線基地局20で受信できる状態であることが好ましい。このようにすることで、後述するように、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を、受信したいずれかの無線基地局20を介してより確実に情報管理サーバ30へ送信することができる。
【0039】
また、
図2に示すように、存在位置検知システム100において、情報管理サーバ30は、存在位置判断手段31と、位置関連情報記憶手段32とを備えている。位置関連情報記憶手段32は、検知対象エリアMA内の位置に関する情報を記憶している。存在位置判断手段31は、位置関連情報記憶手段32に記憶された情報と、無線基地局20aから送信されて受信した移動体検知情報40とに基づいて移動体1の存在位置を判断することができるように構成されている。
【0040】
(発電情報送信手段の構成)
つぎに、発電情報送信手段10の構成についてより具体的に説明する。
図3は、発電情報送信手段の構成例を示す図である。
図3(a)に示すように、発電情報送信手段10は、シート状の発電手段11、電力変換制御手段12、固有ID情報記憶手段13、固有ID情報送信手段14、端子15などをシート状のパッケージ部材16に内包した構成を有している。
図3(b)は、
図3(a)のA−A線断図である。
図3(b)に示すように、発電手段11は、例えば、圧電性を有する圧電部材110の両面に電極117a、117bを設けた構成を有する。この構成によれば、移動体1から外力を付与されると圧電部材110が変形し、これにより圧電部材110の表面に電荷が誘起され、その電荷の誘起に伴って電極117a、117bに電荷が静電誘導されて発電する方式(圧電方式)を利用することができる。
【0041】
また、発電手段11の代わりに、
図3(c)に示す発電手段11Aを用いてもよい。発電手段11Aは、対向する電極117a、117b間に、半永久的に電荷を保持し、周囲に静電界を付与できるエレクトレット誘電体111を配し、電極117a、117bの少なくともいずれか一方(図中では電極117b)とエレクトレット誘電体111との間には部分的にスペーサ112を介在させることで空隙113が設けられた振動発電体で構成されている(たとえば、特許文献11〜13参照)。この構成によれば、移動体1から外力を付与されると、主に空隙113の変形によるエレクトレット誘電体111と電極117bとの相対的な位置が変化し、したがって電極117a、117bとの相対的な位置が変化し、この際に電極117a、117bに電荷が静電誘導されて発電する方式(静電誘導方式)を利用することができる。また、特許文献13に開示されるような振動ケーブルを用いて発電手段を構成してもよい。また、外力付与に対する発電出力を高めるために、
図3(b)、3(c)に示した圧電部材や振動発電体を積層構造としたり併設したものして、個々の圧電部材や振動発電体の電極同士を電気的に並列接続したり、直列接続したり、あるいは直並列して発電手段を構成してもよい。さらには、コイルと磁石とを用いて構成され、移動体1から外力を付与されると、コイルと磁石との相対的な位置が変化し、この際にコイルに生じる電磁誘導によって発電する方式(電磁誘導方式)を利用する発電手段を用いてもよい。
【0042】
さらに、発電手段11は、外力の付与によって発電される機構であり、電力変換制御手段12を動作させ、さらには電力変換制御手段12の動作で適正化された電力で固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とを動作させるのに十分な発電を得ることが好ましいが、そのような十分な発電できるものであればその方式や機構は特に限定されるものではない。
【0043】
電力変換制御手段12は、例えば、ダイオード等を用いた整流回路、コンデンサ、およびDC−DCコンバータ(定電圧変換回路)などで構成される定電圧電源の機能を有し、固有ID情報記憶手段13や固有ID情報送信手段14を動作するのに適正な直流電圧を出力する。
【0044】
一般的に、移動体1からの外力付与によって発電手段11が発電する電圧は交流電圧であり、交流電圧の波高値も不規則である。一方、固有ID情報記憶手段13や固有ID情報送信手段14を動作するためには比較的安定した適正な極性、電圧レベルの直流電圧が好ましい。電力変換制御手段12によれば、例えば、発電手段11からの発電出力(交流電圧)を整流回路とコンデンサとの組合せによって整流して直流電圧に変換し、この直流電圧をDC−DCコンバータによって適正な直流電圧レベルに変換することで、適正な直流電圧が得られる。
【0045】
なお、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とで適正な直流電圧が異なる場合には、それぞれに適正な直流電圧を供給するように電力変換制御手段12を構成すればよい。
【0046】
さらには、電力変換制御手段12は、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とを動作するのに必要な電力量が得られたか否かを判断し、必要な電力量が得られた場合にのみ、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とに適正な直流電圧を出力して供給する出力制御機能を備えていてもよい。このように、電力変換制御手段12は、発電手段11から発電される電力を適正かつ安定な直流電圧に変換する定電圧電源の機能と、必要な電力量が得られた場合にのみ直流電圧を出力する出力制御機能とを有する構成としてもよい。このような構成の電力変換制御手段12とすることで、必要な電力量が得られない状態で直流電圧を出力してしまい、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14との双方を動作できないまま無駄に電力が消費されるという事態を防ぐことができる。
【0047】
固有ID情報記憶手段13は、例えば、固有ID情報を記憶できる記憶装置としての不揮発性メモリと、不揮発性メモリへ固有ID情報を設定(書き込み)して記憶させ、記憶された固有ID情報を不揮発性メモリから読み出すことができるリード・ライト手段とで構成される。本実施の形態では、発電情報送信手段10の電源は、移動体1からの外力付与によって発電手段11で発電される電力のみであるため、移動体1からの外力付与がない時には無電源状態となる。したがって、固有ID情報を記憶するメモリは不揮発性メモリである。不揮発性メモリの種別に関しては特に限定されるものではないが、例えば、情報のリード・ライトが可能なフラッシュメモリなどを利用することができる。
【0048】
固有ID情報記憶手段13への固有ID情報の設定方法も特に限定されるものではない。設定方法としては、例えば、
図3に示すように、発電情報送信手段10に固有ID情報を設定したり、設定されている固有ID情報を読み出すための端子15が設けられていてもよい。これにより、固有ID情報を設定、読み出しできる外部端末を端子に有線で接続することによって、固有ID情報記憶手段13へ固有ID情報を設定したり、固有ID情報記憶手段13に記憶されている固有ID情報を読み出したりすることができる。
【0049】
また、例えば、近距離無線通信技術(NFC)を用い、発電情報送信手段10に固有ID情報の通信(設定、読み出し)と無線受電とをすることが可能な近距離無線通信用のアンテナを設けてもよい。この場合、近距離無線通信で固有ID情報を通信(設定、読み出し)することができ、かつ発電情報送信手段10へ無線給電することが可能な外部端末を用意することで、無線通信によって固有ID情報記憶手段13への固有ID情報の設定と読み出しを行うことができる。すなわち、固有ID情報の設定、読み出しを行いたい発電情報送信手段10へ、無線通信および無線給電が可能な距離まで外部端末を接近させ、外部端末から発電情報送信手段10へ固有ID情報の設定、読み出しに必要な電力を無線給電し、無線通信によって固有ID情報の設定、読み出しを固有ID情報記憶手段13に対して行うことができる。この場合、発電情報送信手段10と外部端末とが非接触状態で固有ID情報の設定、読み出しを行うことができるため、発電情報送信手段10の設置状況が、発電情報送信手段10の端子15への有線による外部端末との接続が困難な状況である場合においても、簡便かつ確実に固有ID情報の設定、読み出しを行うことができるため好ましい。
【0050】
固有ID情報送信手段14は、例えば、固有ID情報記憶手段13に記憶された固有ID情報を読み出し、固有ID情報を無線送信規格に準拠しかつ無線送信できる情報形態に変換し、無線信号を生成する機能と、生成された無線信号3にて固有ID情報を無線通信規格に従って送信する機能と、送信に必要なアンテナとを有する。なお、無線通信規格は、無線基地局20で受信できる無線通信規格である必要がある。
【0051】
固有ID情報の無線通信に利用する無線通信規格は、特に限定されるものではなく、例えば、WiFi(登録商標)通信規格、Bluetooth(登録商標)通信規格、Bluetooth Low Energy通信規格、もしくはZigBee(登録商標)通信規格、またはその他独自の無線通信方式を使用してもよい。このとき、移動体1が付与する外力2によって発電手段11が発電する程度の電力で無線信号3を送信できる通信規格を選択することが好ましく、無線信号3の送信に必要な消費電力が小さい無線通信規格を選択することがより好ましい。
【0052】
また、固有ID情報送信手段14は、固有ID情報送信手段14へ適正な電力が供給された場合にのみ、固有ID情報記憶手段13から固有ID情報を読み出し、読み出した固有ID情報を無線信号3にて無線送信する構成とすることが好ましい。これにより、固有ID情報送信手段14への電力供給により固有ID情報送信手段14が電源オン(投入)され、固有ID情報を含む無線信号3の送信のスイッチ・オンとなる仕組みとなるので、前述した電力変換制御手段12での電圧出力制御によって、固有ID情報送信の制御をすることができる。
【0053】
(無線基地局の構成)
つぎに、無線基地局20の構成について説明する。
固有ID情報受信手段21は、例えば、無線基地局20に備えられた通信モジュールの機能により実現されており、発電情報送信手段10での無線送信に使用される無線通信規格に準拠し、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を含む無線信号3を受信できるアンテナと、受信した無線信号3を無線基地局20内で処理ができる信号形態に変換する変換部と、無線信号3を受信した受信時刻を記録する記録部とを有する。
【0054】
移動体検知情報生成手段22の記憶部22bは、例えば、当該無線基地局20を識別できる無線基地局識別情報43を記憶できる記憶装置である不揮発性メモリと、不揮発性メモリへそれらの位置情報の設定(書き込み)および読み出しができるリード・ライト手段とを有する。また、情報生成部22aは、例えば、無線基地局20に備えられたCPUなどで構成される演算部およびメモリの機能によりソフトウェア的に実現される。情報生成部22aは、無線信号3により受信した固有ID情報41と、受信時刻情報42と、無線基地局識別情報43とを少なくとも含み、さらに後述する受信強度情報44も含む移動体検知情報40を生成する。
【0055】
記憶部22bを構成する不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリや磁気記憶装置(ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光磁気ディスクなど)、光ディスク(CDディスク、DVDディスク、Blue−rayディスクなど)であり、無線基地局20の形態などによって適宜選択することができる。また、記憶部22bを構成する記憶装置は、不揮発性メモリに限定されるものではなく、無線基地局20の形態などによっては、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などの揮発性メモリであってもよく、記憶装置の方式は適宜選択できる。
【0056】
通信手段23は、例えば、無線基地局20に備えられた通信モジュールの機能により実現されており、通信ネットワークを介して情報管理サーバ30と通信し、移動体検知情報40を含む通信信号4を情報管理サーバ30に送信する。
【0057】
受信強度測定手段24は、例えば、無線基地局20に備えられた受信強度測定機能により実現されており、発電情報送信手段10の固有ID情報送信手段14から送信される無線信号3を受信する際の受信強度を測定する。
【0058】
(情報管理サーバの構成)
つぎに、情報管理サーバ30の構成について説明する。
位置関連情報記憶手段32は、例えば、検知対象エリアMA内の位置に関する情報を記憶できる記憶装置である不揮発性メモリと、不揮発性メモリへそれらの位置情報の設定(書き込み)及び読み出しができるリード・ライト手段とを有する。
【0059】
位置関連情報記憶手段32は、検知対象エリアMA内の位置に関連する情報として、検知対象エリアMA内の各発電情報送信手段10に設定された固有ID情報のリスト(固有ID情報リスト321)や、検知対象エリアMA内の発電情報送信手段10の設置位置の情報(発電情報送信手段設置位置情報)および無線基地局20の設置位置の情報(無線基地局設置位置情報)を示す設置位置情報のリスト(設置位置情報リスト322)や、無線基地局識別情報を含む無線基地局識別情報リスト323や、検知対象エリアMA内の地図情報324や、移動体1の存在位置検知情報およびその履歴(存在位置検知履歴情報325)などを記憶している。また、位置関連情報記憶手段32は、後述するように発電情報送信手段10における無線信号3の送信電波強度情報を記憶していてもよい。
【0060】
発電情報送信手段10の設置位置情報としては、例えば、発電情報送信手段10の形状を含めた位置座標情報や、代表的な位置座標情報(例えば中心位置座標)や、外力付与して発電できる有効面積やサイズに関する情報などの位置座標情報である。また、移動体1の位置推定をしやすくするために、発電情報送信手段10の形態(シート状、押しボタンスイッチ状、ロッカースイッチ状など)を示す情報や、設置対象物(通路・床、壁、柱、扉、テーブル、座席、展示物、商品、設備・機器、昇降機など)に関する情報などを発電情報送信手段10の設置位置情報として含んでいてもよい。
【0061】
また、地図情報324の形態は特に限定されるものではないが、例えば、移動体1が移動可能な場所と移動不可な場所とが識別できる位置情報や、店舗や施設内(商業施設、工業施設、文化・公共施設など)などのフロア・マップ情報や、地域のマップ情報や、発電情報送信手段10や無線基地局20の設置位置情報と関連づけられた地図情報などである。移動体1が移動可能な場所とは、例えば、道路・通路・床や、壁や敷居などに設けられた出入口(扉、ドア、門など)などである。また、移動体1が移動不可な場所とは、例えば、壁、敷居、塀、柱、棚などや、その他の移動体1の移動・通行を妨げる構造物などが設置されている場所である。
【0062】
位置関連情報記憶手段32が有する不揮発性メモリとは、例えば、フラッシュメモリや磁気記憶装置(ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、光磁気ディスクなど)、光ディスク(CD、DVD、Blue−Rayディスクなど)などの記憶媒体であり、情報管理サーバ30の形態などによって適宜選択することができる。また、位置関連情報記憶手段32が有する記憶装置は、不揮発性メモリに限定されるものではなく、例えば、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などの揮発性メモリであってもよく、記憶装置の方式は適宜選択できる。また、位置関連情報記憶手段32が有する記憶装置は、複数の記憶装置を組合せて構成されていてもよい。例えば、移動体1の移動に伴って、適宜更新・記録がなされる移動体の存在位置検知履歴情報などの記憶(記録)には、リード・ライトが可能なフラッシュメモリやハードディスクなどに記憶させ、移動体1の移動に伴って更新・記録の必要がない検知対象エリアMA内の地図情報や発電情報送信手段10の設置位置情報、無線基地局20の設置位置情報、無線基地局識別情報などはリードオンリーでもよい記憶媒体(例えば、CDディスク、DVDディスクなどの記録ディスクやROMなど)に記憶させるように、位置関連情報記憶手段32が有する記憶装置を構成してもよい。
【0063】
存在位置判断手段31は、例えば、情報管理サーバ30に備えられたCPUなどで構成される演算部およびメモリの機能によりソフトウェア的に実現される。存在位置判断手段31は、受信した移動体検知情報40や位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関連する情報などを参照し、移動体1の現在の存在位置を判断し、検知する機能を有する。例えば、存在位置判断手段31は、受信した移動体検知情報40に含まれる固有ID情報41、受信時刻情報42、無線基地局識別情報43とから、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、特定した発電情報送信手段10の設置位置情報(位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関連する情報)と固有ID情報とを参照し、その設置位置を移動体1の現在の位置と判断することで移動体1の位置を検知することができる。
なお、検知対象エリアMA内において、1つ以上の発電情報送信手段10を設置し、設置したいずれかの発電情報送信手段10の設置位置に移動体1が位置するか否かを検知すればよい場合には、必ずしも位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関連する情報を参照する必要はなく、受信した移動体検知情報40でのみ移動体1の存在位置を検知することができる。また、後述するように、検知対象エリアMA内に1つまたは複数のブロック50を設定、配置し、ブロック50内には1つ以上の発電情報送信手段10を設置し、設定したいずれかのブロック50内に設置された発電情報送信手段10に移動体1が位置したか否かを検知すればよい場合にも、必ずしも位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関連する情報を参照する必要はなく、受信した移動体検知情報40でのみ移動体1の存在位置を検知することができる。このような事例は、例えば、設置された複数の発電情報送信手段10の設置位置の区別は必要なく、設置した複数の発電情報送信手段10の設置位置に移動体1が位置したか否かの情報に応じて行われるサービスやアプリケーションがある場合に該当する。そのようなサービスやアプリケーションとしては、例えば、検知対象エリアMA内において、1つ以上の特定の監視エリアが存在し、複数の監視エリアが存在する場合には、監視エリア毎の区別が不要であり、その監視エリアに移動体1が位置するか否かを検知し、移動体1の検知に応じて行われるサービスやアプリケーションであり、例えば、不審者等を検知し、警備会社や警察などへ通知する用途や、危険エリアに移動体1が位置した場合に注意喚起するサービスなどが挙げられる。
【0064】
また、存在位置判断手段31は、移動体検知情報40に含まれる受信強度情報44に基づいて、その固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と無線基地局20との距離を計算により推定し、発電情報送信手段10と無線基地局20との推定距離として出力することもできる。
【0065】
無線通信において、理論的には、電波の強度は電波の伝播距離の自乗に反比例して減衰するという関係がある。存在位置判断手段31は、この関係を利用して、無線通信による固有ID情報の受信電波強度から電波強度の減衰量を計算し、その電波強度の減衰量から電波の伝播距離を計算することによって、その電波の伝播距離を発電情報送信手段10と無線基地局20との推定距離として導出することができる。
【0066】
ここで、受信電波強度から電波の減衰量を計算するためには、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報が必要である。発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報は、例えば、予め発電情報送信手段10の設置位置情報に含めて位置関連情報記憶手段32が記憶しておくことができる。また、設置される全ての発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度を同一強度に設定しておき、上述したように設定した送信電波強度を位置関連情報記憶手段32に記憶しておくことで、送信電波強度を参照するようにしてもよい。また、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報は、送信する固有ID情報の中に含め、固有ID情報を受信した無線基地局20が、固有ID情報41、固有ID情報の受信時刻情報42、無線基地局識別情報43、固有ID情報の受信強度情報44に加え、固有ID情報の送信強度情報も含む移動体検知情報40を通信信号4にて情報管理サーバへ送信するようにしてもよい。上記のいずれの方法においても、存在位置判断手段31は、受信した移動体検知情報40に含まれる固有ID情報に対する送信電波強度情報を参照することができ、送信電波強度と受信電波強度とから電波強度の減衰量を計算することで、発電情報送信手段10と無線基地局20との推定距離を導出することができる。
【0067】
また、電波強度の減衰量は、電波の伝播する環境や物質などによっても異なる。そのため、存在位置判断手段31は、例えば、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10(または後述する同一の固有IDが設定された複数の発電情報送信手段10が設置されるブロック)の設置位置情報と、無線基地局20の設置位置情報と、検知対象エリアMAの地図情報324とを位置関連情報記憶手段32にて参照し、計算した推定距離に対して固有ID情報の伝播経路を推定し、推定した伝播経路に構造物などの障害物がある場合には、その障害物を伝播する際の電波強度の減衰量の範囲を計算し、計算した電波強度の減衰量の範囲を用いて発電情報送信手段10と無線基地局20との間の推定距離を補正することができるようにしてもよい。
【0068】
(存在位置検知システムの動作例1)
次に、存在位置検知システム100の動作例1について、
図1、2を参照して説明する。
【0069】
まず、人である移動体1が、検知対象エリアMAである通路内を通行し、移動する。検知対象エリアMAの床の表面には発電情報送信手段10が複数設置されている。
【0070】
移動体1は、発電情報送信手段10の上を通行して足で踏むことによって、その発電情報送信手段10に直接的に外力2を付与する。すると、発電情報送信手段10において、発電手段11は発電し、発電した電力を電力変換制御手段12に出力する。電力変換制御手段12は、発電手段11が発電した電力が入力され、この電力を固有ID情報記憶手段13および固有ID情報送信手段14を動作させるのに適する電力に変換し、それぞれに出力する。固有ID情報送信手段14は、固有ID情報記憶手段13に記憶された、この発電情報送信手段10に固有に割り当てて設定された固有ID情報を読み出し、無線信号3にて固有ID情報を無線通信規格に従ってアンテナから送信する。
【0071】
無線基地局20(20a、20b、20c、20d)において、固有ID情報受信手段21は、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を含む無線信号3を受信し、受信した無線信号3を無線基地局20内で処理ができる信号に変換し、受信時刻情報とともに移動体検知情報生成手段22に出力する。移動体検知情報生成手段22は、固有ID情報41と、受信時刻情報42と、無線基地局識別情報43と、受信強度情報44とを含む移動体検知情報40を生成する。通信手段23は、通信ネットワークを介して、移動体検知情報40を通信信号4にて情報管理サーバ30に送信する。
【0072】
情報管理サーバ30において、存在位置判断手段31は、受信した移動体検知情報40や位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関連する情報などを参照し、移動体1の現在の存在位置を判断し、検知する。具体的には、存在位置判断手段31は、受信した移動体検知情報40に含まれる固有ID情報41、受信時刻情報42、無線基地局識別情報43とから、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、特定した発電情報送信手段10の設置位置情報(たとえば、発電情報送信手段10の中心位置座標)と固有ID情報リスト321の固有ID情報とを参照し、その設置位置を移動体1の現在の位置と判断することで移動体1の位置を検知する。
【0073】
このように、この存在位置検知システム100は、検知対象エリアMA内の移動体1によって付与される外力2で発電情報送信手段10が発電し、発電した電力を用いて発電情報送信手段10の固有ID情報を無線信号3にて無線送信し、さらに検知対象エリアMA内またはその近傍に設置された複数の無線基地局20が、送信された固有ID情報を受信し、受信した固有ID情報41と、固有ID情報を受信した受信時刻情報42と、無線基地局識別情報43とを含む移動体検知情報40を通信信号4にて情報管理サーバ30へ送信し、情報管理サーバ30が、移動体検知情報40を受信し、これを用いて移動体1の存在位置を検知するようにしているので、より確実に移動体1の存在位置を検知することができる。
【0074】
また、この存在位置検知システム100において、存在位置判断手段31が、移動体検知情報40および、位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の位置に関する情報(たとえば、発電情報送信手10段の設置位置情報や地図情報324や存在位置検知履歴情報325)に基づいて移動体1の存在位置を判断するようにすれば、後述する移動体の存在数の位置分布や移動パターンの推測などの、より高度な移動体1の存在位置の判断、検知を行うことができる。
【0075】
また、この存在位置検知システム100は、移動体の存在位置を検知するにあたり、個々の移動体を特定、識別するものではない。例えば、検知対象エリアMA内での発電情報送信手段10が設置されるエリアに移動体1が存在した場合に、その発電情報送信手段10が設置される位置に移動体1が存在することを検知するものである。したがって、移動体1が自らの位置や行動を監視されているという不快感や不安を抱いたり、個人情報の流出がされるといったリスクはない。また、存在位置の検知にあたって、移動体は携帯情報端末を携帯している必要はないため、携帯情報端末の携帯状態にかかわらず、発電情報送信手段10へ外力を付与できる移動体の全てに対して、移動体の存在位置を検知することができる。また、携帯情報端末と無線基地局との距離推定処理や、距離推定処理結果に基づく移動体の存在位置推定処理などといった複雑な計算処理は不要である。なお、携帯情報端末とは、例えば人が携帯する携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、自動車等に搭載されるカーナビゲーション端末、鉄道車両などに搭載される自動列車制御端末などが相当する。
【0076】
また、この存在位置検知システム100では、発電情報送信手段10が、移動体1による1回の外力付与に対して、固有ID情報を含む無線信号3を送信できるだけの十分な発電を行い、固有ID情報を送信できるように構成することができる。このようにすることで、発電情報送信手段10は、移動体1からの外力付与によって確実に固有ID情報を送信するというスイッチ的な役割を担うことができる。その結果、移動体1が発電情報送信手段10へ外力2を付与することによって、確実に位置検出を行うことができる。
【0077】
また、この存在位置検知システム100では、発電情報送信手段10は、動作に必要な電源が、移動体1が付与する外力2による自己発電で確保され、発電情報送信手段10から無線基地局20への固有ID情報の送信は無線により行われる。そのため、発電情報送信手段10を設置する際の電源配線や通信配線といった配線工事は不要である。したがって、発電情報送信手段10の設置が容易であり、設置工事費を抑えられ、レイアウト変更も容易であるといった、設置自由度を高めることができるという利点がある。また、発電情報送信手段10に対する電気料金の課金も削減できる。また、発電情報送信手段10では電池を使用しないため、電池の管理コスト(電池の充電状態監視や、電池交換、電池の在庫管理など)も削減される。したがって、この存在位置検知システム100は、導入コストが低く導入のための煩雑な工事等も不要であるため、導入が容易なものとなっている。
【0078】
この存在位置検知システム100の利用用途、すなわち移動体の存在位置を検知することによって行われるサービス等は特に限定されるものではなく、移動体の存在位置の検知によって行われるサービスやアプリケーションなどであればよく、例えば、以下の事例が挙げられる。
・例えば、ショッピングモールなどといった商業施設や、空港や駅構内などといった公共施設などの人口が集中するエリアにおいて、人(利用客)の行動パターンや行動状況を把握して、マーケティングに活用する用途や、店舗・インフラ設備等の計画に利用する用途や、照明・空調などの環境制御設備の制御への利用による省エネ・快適環境を実現する用途など。
・同様に、例えば、商業施設内や駅構内の人(利用客)の混雑状況、駐車場の混雑状況、鉄道列車の車両毎の混雑状況などを検知して、混雑緩和のための誘導サービスに利用する用途。同様に、空席状況(乗物や劇場など)や空車状況(駐車場など)を検知して、人(利用客)や車両(自動車など)などの誘導サービスに利用する用途。
・例えば、危険エリアなどの特定のエリアに移動体が位置した場合に、危険を警告したりする注意喚起サービスに利用する用途。
・セキュリティ確保を要するエリアに対して、不審者等を検知し、警備会社や警察などへ通知する用途など。
・公共道路などにおける車両の通行量や渋滞状況、速度監視といった交通監視システムへの適用など。
・住宅などにおける高齢者や子供の行動監視や、病院などの患者の行動監視といった見守りシステムへの適用など。
【0079】
ここで、移動体1の存在位置の検知精度は、移動体1が外力付与可能な発電情報送信手段10の面積(サイズ)、移動体1の移動速度などに依存して決まる。したがって、移動体1が外力を付与可能な発電情報送信手段10の面積(サイズ)を適正にすることで、必要な存在位置検知精度を容易に実現することができる。
【0080】
例えば、移動体1の移動速度が存在位置を検知するために必要な時間に対して十分遅い場合を考え、本実施の形態のように移動体1が人であり、発電情報送信手段10が、移動体1が通行する通路に設置されており、通路に設置された発電情報送信手段10の上を移動体1が通行し、足で踏むことによって発電情報送信手段10へ外力2を付与する場合を考える。この場合、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を無線基地局20を介して情報管理サーバ30が受信し、移動体1の存在位置を検知するまでの間には、移動体1はその発電情報送信手段10の上に位置していると考えられる。したがって、1m程度の存在位置検知精度が必要な場合には、移動体1が外力を付与可能な発電情報送信手段10のサイズを例えば1m×1mの正方形状または直径1mの円状とすればよい。
【0081】
また、発電情報送信手段10の設置場所は、本実施の形態のような床に限らず、検知対象エリアMA内に存在し、移動体1が外力を付与できるあらゆる構造物に設置することができる。検知対象エリアMA内に存在する構造物としては、例えば、移動体1が通行する通路・道路・床や、壁、柱、扉、窓、テーブルや椅子、ショーケース、棚、展示物、商品、置物、ポスター、掲示板、設備・機器、昇降機(エスカレータ、エレベータ)などである。また、検知対象エリアMAが乗り物等の車両内(例えば、鉄道列車の車両内やバスなど)であっても同様である。また、移動体1の存在位置を検知する上では、発電情報送信手段10を設置する構造物は、その位置が既知の位置に固定されているものであることが好ましい。これにより、発電情報送信手段10の設置位置が固定されるので、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報に基づき、より正確に位置を推定することができる。ただし、位置が移動する構造物に発電情報送信手段10を設置してもよい。この場合においても、その構造物の移動範囲が限定される場合には、その移動範囲に応じた精度で存在位置を検知することができる。
【0082】
発電情報送信手段10の形状や設置形態は、上記の設置場所に応じて適宜選択することができる。例えば、通路・道路・床などへ設置する場合には、発電情報送信手段10を、パッケージ部材に内包し薄いシート状やマット状として、通路・道路・床などへ置いたり、粘着材や接着材にて貼り付けたり、埋め込んだりすることで設置することができる。また、通路・道路・床を構成するマット・タイルや、コンクリート、アスファルトなどへ発電情報送信手段10を組み込んだり、発電情報送信手段10を土壌などの地面へ埋め込んだりすることで設置することができる。その他として、発電情報送信手段10を、壁、柱、扉、窓、テーブルや座席、棚、展示物、商品、置物、ポスター、掲示板、設備・機器、昇降機(エスカレータ、エレベータ)などへ設置する場合にも、例えば、発電情報送信手段10を薄いシート状として、設置対象物へ貼り付けたり、埋め込んだり、置いたりすることで設置することができる。また、上記のように発電情報送信手段10を薄いシート状とする場合には、発電情報送信手段10にフレキシブル性がある方が好ましい。フレキシブル性を有する発電情報送信手段10は、設置対象物の形状に応じて柔軟に設置することができるため、設置自由度が高い。また、発電情報送信手段10の形状をシート状とする場合のシートの形状は特に限定されるものではなく、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)や円、楕円などでもよい。また、発電情報送信手段10の形状・形態はシート状の他に、押しボタンスイッチ型や、ロッカースイッチ型などの形状・形態をとってもよく、テーブル、壁、棚、扉、窓、展示物、商品、置物、設備・機器などへ設置することができる。
【0083】
また、発電情報送信手段10は、マット・タイルなどの建築部材をパッケージ部材として内包してもよく、粘着テープや粘着シートの中に内包してもよく、押しボタンスイッチ型やロッカースイッチ型などのパッケージ部材で内包してもよく、それら内包したものを発電情報送信手段10としてもよい。
【0084】
また、移動体1が発電情報送信手段10へ外力を付与する形態も特に限定されるものではなく、移動体1の種別、発電情報送信手段10の形状、設置場所、設置形態などに応じて適宜選択することができる。例えば、発電情報送信手段10を構成する発電手段11へ移動体1が接触することによって直接的に外力を付与する形態としてもよいし、移動体1が他の部材に接触することによって外力を付与し、当該他の部材を介して間接的に発電手段11へ外力を付与する形態としてもよい。
【0085】
さらに、移動体1が発電手段11や他の部材に接触する方法は特に限定されるものではない。例えば、本実施の形態のように移動体1が人である場合には、手で押したり、足で踏んだり、座ったりするといった体の一部を発電手段11や他の部材に接触させることによって外力を付与することができる。
【0086】
人である移動体1が手で押して触れることによって発電情報送信手段10へ外力を付与するにあたって、発電情報送信手段10の形状・形態は特に限定されるものではないが、例えば、下記のような形状・形態をとることによって、人が手で押しやすく、触れやすくすることができる。
【0087】
(a)上述したように発電情報送信手段10をシート状とし、シート状の発電情報送信手段10を人が手で押したり、触れたりしやすい構造物へ組み込んだり、置いたり、貼り付けたりすることで設置することができる。
(b)上述したように、発電情報送信手段10を、例えば押しボタンスイッチ型やロッカースイッチ型とし、人が手で押したり、触れたりしやすい構造物へこれらのスイッチ型の発電情報送信手段10を設置する。
【0088】
また、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合、人である移動体1が座席へ座る行為によって、座席に組み込まれた発電情報送信手段10の発電手段11へ外力2が付与され、発電手段11が例えば変形することで発電し、その結果固有ID情報が送信される。ただし、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合はこれに限らず、例えば、座っている人が離席する際にも同様に発電情報送信手段10の発電手段11で発電が行われ、その結果、発電情報送信手段10が固有ID情報を送信することも可能である。これは、座席に人が座っている間に外力を受けて変形した発電手段11が、人が離席することによる外力の除荷によって、元の形状に戻る方向に変形し、その変形過程でも発電が行われるからである。すなわち、発電手段11における発電は、主に、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程のそれぞれで行われ、このとき固有ID情報を送信できるのに十分な発電が行われることが好ましい。このとき、発電手段11における発電が、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程とで発電される発電量の総和で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよく、いずれか一方の変形過程で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよい。
なお、発電手段11における発電が、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程との双方で行われることは、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合に限らず、他の構造物(例えば、床・通路・道路や壁、柱など)に組み込む場合にも同様である。したがって、座席以外の他の構造物に発電情報送信手段10を組み込む場合においても、発電手段11における発電が、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程とで発電される発電量の総和で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよく、いずれか一方の変形過程で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよい。いずれの場合も、固有ID情報を送信できる電力量を確保できた場合に固有ID情報送信手段14によって固有ID情報が送信されるようにすればよい。
【0089】
座席への発電情報送信手段10の組込方法に関して特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法がある。
(a)シート状の発電情報送信手段10を座席の座部分に内蔵させる。
(b)シート状の発電情報送信手段10を座席の背もたれ部分に内蔵させる。
(c)シート状の発電情報送信手段10を、例えば座布団の中に内蔵させ、その座布団を座席の上に設置する。
(d)シート状の発電情報送信手段10(パッケージ部材に内包したもの)を座席に置く、あるいは貼り付けて設置する。
【0090】
また、移動体1が車両である場合には、車両が走行する面(通路、道路、床など)に発電情報送信手段10が設置され、車両に備え付けられた車輪(タイヤなど)が地面の発電情報送信手段10に接触することによって外力を付与したり、鉄道車両の場合には、レールの下に設置される枕木の内部に発電情報送信手段10を組み込んだり、レールと枕木の間や枕木と地面との間に発電情報送信手段10を設置することによってレールの上を鉄道車両が通過する際に発電情報送信手段10へ外力を付与することができる。また、車両を運転する人が、周囲の構造物に設置されている発電情報送信手段10へ身を乗り出して接触することによって外力を付与することができる。このように、移動体1が車両などの場合では、車両自身が直接的または間接的に発電情報送信手段10へ外力を付与するだけでなく、車両を運転する人が周囲の構造物に設置されている発電情報送信手段10へ外力を付与することによっても、発電情報送信手段10が発電して固有ID情報を送信するので、結果として無線基地局20が固有ID情報を受信し、移動体1である車両の位置を推定することができる。
【0091】
(存在位置検知システムの動作例2)
次に、存在位置検知システム100の動作例2について、
図2、4、5を参照して説明する。この動作例2では、
図4、5に示すように、壁などの仕切Wによって仕切られた検知対象エリアMA内を移動する移動体として、移動体1A、1B、1C、1Dが存在する。また、符号3A、3B、3Cは、それぞれ移動体1A、1B、1Cから外力付与された発電情報送信手段10から送信される、固有ID情報を含む無線信号を示している。また、符号4a、4b、4c、4dは、それぞれ無線基地局20a、20b、20c、20dから情報管理サーバ30に送信される、移動体検知情報を含む通信信号を示している。
【0092】
本動作例2の説明をする前に、まず、この存在位置検知システム100における発電情報送信手段10と無線基地局20との間の固有ID情報の通信(送受信)の特徴と課題について説明する。
【0093】
(a)存在位置検知システム100では、発電情報送信手段10と無線基地局20との間の通信方向は一方向であり、移動体が外力付与するという1イベントに対して発電情報送信手段10から固有ID情報が送信され、送信された固有ID情報を無線基地局20が受信する。ここで、移動体の外力付与というイベントは偶発的である。したがって、
図4に示すように、検知対象エリアMAに複数の移動体1A、1B、1C、1Dが存在する場合には、各移動体の移動(行動)に伴って偶発的に発電情報送信手段10へ外力付与イベントがなされ、偶発的に各発電情報送信手段10から固有ID情報が送信される。その際、無線基地局20(20a、20b、20c、20d)が受信可能な状態であるか否かに関わらず固有ID情報が発電情報送信手段10から送信される。そのため、例えば無線基地局20が受信不可の状態であれば、移動体の外力付与イベントによって送信された固有ID情報は無線基地局20では受信されず、したがってその無線基地局20から情報管理サーバ30へはそのイベントに対する移動体検知情報40が送信されないこととなる。
一方、発電情報送信手段10側では、送信した固有ID情報が無線基地局20で受信されたか否かを確認する手段はないので、この点に移動体の存在位置検知における不確実性がある。これは、発電情報送信手段10を動作する電源が、移動体の外力付与によって発電手段11で発電される電力でのみ確保される仕組みであることが理由である。すなわち、仮に無線基地局20が固有ID情報の受信状態を示す情報を発電情報送信手段10側へ送信するように構成したとしても、発電情報送信手段10がその情報を受信できる状態(受信するのに必要な電力が確保された状態)にあるとは限らないことによる。
この仕組みは、例えば、無線LANにおける情報端末(携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、パソコンなど)と無線基地局との通信が双方向通信であり、情報端末側が送信した情報に対して、無線基地局での受信完了通知を受信するまで、情報をある時間間隔で再送信し続け、確実に情報端末と無線基地局との間で情報の通信が行われる仕組みとは異なるものである。
【0094】
(b)また、例えば、
図1に示すように、この存在位置検知システム100では、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報(無線信号3による)は、受信可能な複数の無線基地局20(20a、20b、20c、20d)で受信され、それぞれの無線基地局20から固有ID情報の受信に対する移動体検知情報が通信信号4a、4b、4c、4dにより情報管理サーバ30へ送信される。この仕組みは、例えば、無線LANにおける情報端末と無線基地局との通信において、情報端末に対して複数の無線基地局の中から通信可能な無線基地局を1つ選択し、選択した無線基地局と情報端末とが通信を行う仕組みとは異なるものである。無線LANにおいては、1つの情報端末と複数の無線基地局との間で交信可能になる混信状態が生じることを回避するために、上記仕組みを採用している。その理由は、このような混信状態が生じると、情報端末と無線基地局との間での通信が不安定になったり、不能になったりする問題が生じるためである。
【0095】
(c)これに対して、この存在位置検知システム100では、上記(a)で説明したように、発電情報送信手段10から送信された固有ID情報が確実に無線基地局20で受信されるとは限らない。すなわち、例えば、個々の発電情報送信手段10が送信する固有ID情報に対して、受信する1つの無線基地局20を予め選択しておいたとしても、選択した無線基地局20で受信できるとは限らない。そのため、この存在位置検知システム100では、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を、受信可能な複数の無線基地局20で受信することによって、送信された固有ID情報がいずれの無線基地局20においても受信できないという状況を回避する仕組みとすることが好ましい。
【0096】
ここで、送信された固有ID情報が無線基地局20で受信できない状況としては、例えば、以下の状況が挙げられる。
・固有ID情報を送信する発電情報送信手段10と無線基地局20との位置関係が離れていたり、その間に無線通信を妨げる障害物などが存在していたりした場合において、無線送信された固有ID情報が無線基地局20の位置まで到達しないか、無線基地局20で受信できる電波強度を有していない場合。
・同一時刻に複数の固有ID情報が同一の無線基地局20へ到達した場合、通信の衝突が起こることにより、無線基地局20では到達したいずれの固有ID情報も受信することができない場合。例えば、
図5に示すように、同一時刻あるいは異なる時刻に移動体1A、1B、1Cによる外力付与によって発電した各発電情報送信手段10の固有ID情報が無線信号3A、3B、3Cにてそれぞれ送信された場合、無線信号3A、3B、3Cのうちのいずれか2つ以上が無線基地局20aに同時刻に到達した場合には通信の衝突が起こり、無線基地局20aでは同時刻に到達した2つ以上の固有ID情報のいずれも受信することができない状態となる場合がある。この場合、無線基地局20aからは移動体検知情報を含む通信信号4aは情報管理サーバ30に送信されない。
・無線基地局20の電源が確保されていなかったり(停電や電池切れなど)、故障・破損したりすることによって無線基地局20が固有ID情報の受信機能を失っている場合。
【0097】
(d)(b)において、同一の固有ID情報を含む複数の移動体検知情報を受信した情報管理サーバ30では、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、その発電情報送信手段10の設置位置に移動体が存在していたことを検知することはできる。しかしながら、受信した移動体検知情報の数だけの移動体が発電情報送信手段へ外力を付与したのか、それとも1回の外力付与イベントに対して複数の無線基地局が固有ID情報を受信して各無線基地局から移動体検知情報が送信され、受信したのかを判別することはできないという問題がある。例えば、4つの異なる無線基地局20a、20b、20c、20dから同一の固有ID情報を含む移動体検知情報を含む通信信号4a、4b、4c、4dが情報管理サーバ30へ送信された場合を考える。このとき、情報管理サーバ30は、同一の固有ID情報を送信する発電情報送信手段10への移動体(移動体の識別はせず、たとえば複数の移動体でもよい)による異なる複数回の外力付与イベントによって送信された固有ID情報を各無線基地局20a、20b、20c、20dが受信し、これにより各無線基地局20a、20b、20c、20dが送信した4つの通信信号4a、4b、4c、4dを受信したのか(例えば、同一の固有ID情報を送信する発電情報送信手段10への移動体による2回〜4回の異なる外力付与イベントから通信信号4a、4b、4c、4dを受信した場合が想定される)、同一(1回)の外力付与イベントによって送信された固有ID情報を各無線基地局20a、20b、20c、20dが受信し、これにより各無線基地局20a、20b、20c、20dが送信した4つの通信信号4a、4b、4c、4dを受信したのかを判別することができない場合がある。したがって、後述するような検知対象エリアMA内の位置に対する移動体の存在数(移動体の存在数の位置分布)や、移動体の存在数の位置分布の時間変化を追跡することによって移動体の移動(行動)パターンを推測することは難しいという課題がある。
【0098】
上記(d)の課題を鑑みて、同一の固有ID情報を含む複数の移動体検知情報を受信した情報管理サーバ30では、受信した複数の移動体検知情報が、発電情報送信手段10から同一のイベント(移動体による外力付与)に対して送信された固有ID情報に基づくものであるか、異なるイベントに対して送信された固有ID情報に基づくものであるかを判別できることが好ましい。例えば、上述したように、4つの異なる無線基地局20a、20b、20c、20dから同一の固有ID情報を含む移動体検知情報を含む通信信号4a、4b、4c、4dが情報管理サーバ30へ送信された場合を考える。このとき、情報管理サーバ30は、移動体(移動体の識別はせず、たとえば複数の移動体でもよい)による異なる複数回(2回〜4回)の外力付与イベントによって4つの通信信号4a、4b、4c、4dを受信したのか、たとえば或る特定の移動体による同一(1回)の外力付与イベントによって4つの通信信号4a、4b、4c、4dを受信したのかを判別できることが好ましい。
【0099】
そこで、本動作例2では、存在位置判断手段31は、同一の固有ID情報を含む移動体検知情報(移動体検知情報40)を異なる複数の無線基地局(無線基地局20a、20b、20c、20d)からの通信信号(通信信号4a、4b、4c、4d)を受信した場合に、受信した移動体検知情報に含まれる固有ID情報の受信時刻情報(受信時刻情報42)を参照して、それぞれの無線基地局20a、20b、20c、20dで受信した固有ID情報が、該固有ID情報が設定された発電情報送信手段10から同時刻に送信されたものであるか否かを判断するようにしている。そして、存在位置判断手段31が、該固有ID情報が同時刻に送信されたものであると判断した場合には、その時刻において移動体がその発電情報送信手段10が設置された位置に存在したと判断し、該固有ID情報が互いに異なる時刻に送信されたものであると判断した場合には、移動体は異なる時刻においてその発電情報送信手段10が設置された位置に存在したと判断する。これにより、同一の固有ID情報を含む複数の移動体検知情報を受信した場合、該固有ID情報が設定された発電情報送信手段10が設置される位置に対して、或る同時刻に移動体が存在していたことによるものか、互いに異なる時刻に移動体が存在していたことによるものかを判断することができる。その結果、移動体が発電情報送信手段10へ外力を付与するというイベントに関して、同一のイベントに対する固有ID情報の受信であるのか(同時刻の送信と判断の場合)、異なるイベントに対する固有ID情報の受信であるのか(異なる時刻の送信と判断の場合)を判別することができる。
【0100】
存在位置判断手段31が、移動体検知情報40の中の受信時刻情報42の参照、比較によって、複数の無線基地局(無線基地局20a、20b、20c、20d)で受信した固有ID情報が発電情報送信手段10から同時刻で送信されたか否かを判断する方法としては、特に限定はされないが、例えば、以下の方法がある。
【0101】
(a)位置関連情報記憶手段32に記憶されている位置に関する情報を参照することによって、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と固有ID情報を受信した無線基地局20a、20b、20c、20dとの位置関係(距離)を特定し、その距離から固有ID情報が無線送信された時の伝播時間を計算し、受信した移動体検知情報40に含まれる受信時刻情報42と固有ID情報(無線信号)の伝播時間とから、発電情報送信手段10が固有ID情報を送信した送信時刻を推定し、推定した固有ID情報の各送信時刻を比較する。これにより、同時刻に固有ID情報が送信されたか否かを判断できる。そして、同時刻に固有ID情報が送信されたと判断した場合には、同一(1回)のイベント(移動体の外力付与)で固有ID情報の送信が行われたと判断し、異なる時刻に固有ID情報が送信されたと判断した場合には、異なるイベントで固有ID情報の送信が行われたと判断することによって、異なる無線基地局20a、20b、20c、20dからの移動体検知情報の受信が、発電情報送信手段10が設置される位置に或る同時刻に移動体が存在していたことによるものか、発電情報送信手段10が設置される位置に異なる時刻に移動体が存在していたことによるものかを判断することができる。
ここで、例えば、或る無線基地局20とその無線基地局20が受信できる固有ID情報とを予め調べておき、受信可能な固有ID情報を送信する発電情報送信手段10と無線基地局20との距離から固有ID情報(無線信号3)の伝播時間を予め計算しておき、固有ID情報と無線基地局20との組合せに対する伝播時間をリスト化して位置関連情報記憶手段32に記憶しておいてもよい。そして、情報管理サーバ30が移動体検知情報40を受信した際に、存在位置判断手段31が、移動体検知情報40に含まれる固有ID情報41と無線基地局20の組合せから、位置関連情報記憶手段32に記憶されている固有ID情報(無線信号3)の伝播時間を参照し、移動体検知情報40に含まれる受信時刻情報42から伝播時間を差し引くことによって、発電情報送信手段10から固有ID情報が送信された時刻を推定(補正)するようにしてもよい。
【0102】
(b)固有ID情報が発電情報送信手段10から同時刻で送信されたか否かを判断するための条件として、無線基地局20a、20b、20c、20dでの受信時刻情報同士の基準時間差を設定しておき、受信時刻が基準時間差以内であれば、同時刻で送信されたものであると判断し、基準時間差を超えていれば異なる時刻で送信されたものであると判断してもよい。例えば、検知対象エリアMA内を移動する移動体の移動速度と、移動体の存在数と、発電情報送信手段10の発電手段11の面積とを考慮して、同一の発電情報送信手段10から2回連続して送信される固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔を想定しておく。具体的には、移動体の存在数から、例えば、検知対象エリアMA内の単位面積当たりに存在する移動体の最大存在数(最大存在密度)を想定し、移動体の最大存在密度から異なる移動体間の最短距離を想定し、想定した最短距離を移動体が最大速度で移動した際に要する時間を計算し、この時間を、異なる移動体が同一の発電情報送信手段10へ外力を付与して固有ID情報が送信される最短の時間間隔であると考える。また、これとは別に、同一の移動体が同一の発電情報送信手段10へ外力を付与して固有ID情報が送信される場合の最短の時間間隔を想定する。そして、同一の発電情報送信手段10に対する異なる移動体による外力付与で送信される固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔と、同一の発電情報送信手段10に対する同一の移動体による外力付与で送信される固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔とを比較して、短い方を固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔とする。次に、検知対象エリアMA内に設置された発電情報送信手段10(固有ID情報送信元)と無線基地局20(固有ID情報受信先)との全ての組合せに対して固有ID情報の伝播時間を計算し、計算した伝播時間の中から最大の伝播時間を求める。すると、一般的には、移動体の移動速度に対して、電波である無線信号による固有ID情報の伝播速度(光速)の方が桁違いに速いため、固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔に対して、固有ID情報の最大伝播時間はゼロと見なすことができる。すなわち、固有ID情報の送信時刻同士の最短の時間間隔に基づいて受信時刻情報同士の基準時間差を設定し、基準時間差以内であれば、同時刻に固有ID情報が送信されたものであると判断することができ、基準時間差を超える場合であれば異なる時刻に固有ID情報が送信されたものであると判断することができる。例えば、基準時間差を位置関連情報記憶手段32に記憶しておき、存在位置判断手段31は、各移動体検知情報40に含まれる受信時刻情報同士の時間差を計算し、計算した受信時刻情報同士の時間差と基準時間差とを比較して、受信時刻情報同士の時間差が基準時間差以内であれば、同時刻で送信されたものであると判断し、基準時間差を超えていれば異なる時刻で送信されたものであると判断すればよい。この判別方法は、上記(a)の判別方法と比較して簡便であり好ましい。
【0103】
(固有ID情報の割り当て方法)
ここで、上述したように固有ID情報については、発電情報送信手段10に個別に割り当てられている。しかし、固有ID情報の割り当て方法についてはこれに限らず、例えば、複数の発電情報送信手段10に同一の固有ID情報が割り当られていてもよい。この場合、例えば、検知対象エリアMAが複数のブロックに区分けされており、1つ以上の発電情報送信手段10が各ブロックに存在する物体の表面または内部に設置されており、同一ブロック内に設置される複数の発電情報送信手段10に、同一の固有ID情報が割り当られている。
【0104】
これにより、検知対象エリアMA内に複数設置される発電情報送信手段10の全てに個別の固有ID情報を割り当てる必要がなくなる。そのため、検知対象エリアMA内での発電情報送信手段10への固有ID情報の割り当て作業の簡便化や、割り当てることができる固有ID情報の制約の回避や、発電情報送信手段10の設置位置と固有ID情報との関連を示した地図情報上でのマッピングの簡略化、さらには情報管理サーバ30の存在位置判断手段31による移動体の存在位置の判断、検知処理の簡便化などを実現することができる。
【0105】
図6は、ブロックの配置の一例を示す図である。本例では、仕切Wによって仕切られた検知対象エリアMA内が、複数のブロック50に区分けされている。ブロック50は、検知対象エリアMA内の全ての領域に配置される必要はなく、移動体の位置検知が要求されるエリアや、要求される移動体の存在位置の検知精度(存在位置の分解能など)など、利用目的に応じて検知対象エリアMA内の要所にブロック50が配置されればよい。同様に、ブロック50内には、1つまたは複数の発電情報送信手段10が配置されるが、ブロック50の全てのエリアに発電情報送信手段10が配置される必要はない。たとえば、上述のように、移動体の存在位置の検知が要求されるエリアや、要求される移動体の存在位置の検知精度など、利用目的に応じてブロック50の要所に発電情報送信手段10が配置されればよい。また、同一のブロック50内に設置される発電情報送信手段10の全てに同一の固有IDが割り当てられ、異なるブロック50同士では、異なる固有ID情報が割り当てられる。
【0106】
ブロック50の中の発電情報送信手段10の設置場所は、ブロック50の中に存在し、移動体1を含む移動体がアクセス可能または外力付与可能な場所や構造物であれば特に限定されるものではない。例えば、発電情報送信手段10の設置場所は、ブロック50の中に存在する床(通路、道路など)や、壁、柱、棚、テーブル、座席、扉、窓、展示物、商品、設備・機器などであってもよい。ブロック50に存在するそれらの複数の構造物に発電情報送信手段10を設置し、各ブロック50の中に設置した発電情報送信手段10の全てに同一の固有ID情報が割り当てられればよい。
【0107】
検知対象エリアMA内での複数のブロック50の設置方法や、ブロック50内での発電情報送信手段10の設置方法は、上述したように、移動体の存在位置の検知が要求されるエリアや、要求される移動体の存在位置の検知精度など、利用目的に応じて検知対象エリアMAやブロック50の要所に設置されるようにすればよく、特に限定されるものではない。例えば、以下のようなブロック50または発電情報送信手段10の設置方法が挙げられる。
【0108】
(a)検知対象エリアMA内で、移動体が必ず通過する場所に、ブロック50とその中の発電情報送信手段10を設置する。例えば、検知対象エリアMAが商業施設内の通路であれば、通路の幅と人である移動体1の歩幅とを考慮し、どのような移動体1がブロック50を通過しても、必ずブロック50の中に設置された発電情報送信手段10のいずれかを踏んで通過するように設置する。通路に設定するブロック50の間隔は、例えば通路に隣接する店舗間隔などを考慮するなどして設定すればよい。
(b)発電情報送信手段10が設置されている場所が移動体1に対して明示されている必要はない。したがって、移動体1が発電情報送信手段10を意識して外力を付与する必要はない。一方、発電情報送信手段10が設置されている場所を移動体1へ明示することで、意識的に移動体1が発電情報送信手段10へ外力を付与して固有ID情報を送信するようにしてもよい。例えば、地震や火災などの災害時といった非常事態時に、検知対象エリアMAである商業施設内に移動体1である人が閉じ込められた状況を考える。この場合、閉じ込められた人が自分の存在を通知するために、設置位置が明示されている発電情報送信手段10の設置位置まで移動して外力を付与し、情報管理サーバ30を介して自分の存在や閉じ込められているという状況を外部の第三者へ通知できるようにしてもよい。このようにすることで、商況施設内での救助すべき人の存在位置を効果的に検知し、迅速なる救助活動が行えるようにすることができる。発電情報送信手段10の設置場所の明示方法は特に限定されるものではないが、例えば、発電情報送信手段10が床(道路、通路など)に設置される場合には、発電情報送信手段10の設置部分の床の色や模様を変えたり、設置されている旨の表示をしたりすることで移動体1へ設置場所を明示することができる。また、発電情報送信手段10が、壁や柱、棚、テーブル、座席、扉、窓、展示物、商品、設備・機器などの他の構造物へ設置される場合も同様に明示することができる。
【0109】
(存在位置検知システムの動作例3)
次に、存在位置検知システム100の動作例3について、
図2、7を参照して説明する。本動作例3では、検知対象エリアMAが複数のブロック50に区分けされており、複数の発電情報送信手段10が各ブロック50に設置されている。なお、
図7では一つのブロック50のみ示している。また、同一ブロック50内に設置される複数の発電情報送信手段10には、同一の固有ID情報が割り当られている。
【0110】
本動作例3では、存在位置検知システム100の情報管理サーバ30が備える存在位置判断手段31は、無線基地局20から送信されてきた移動体検知情報40に含まれる、固有ID情報の受信強度情報44に基づいて、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と当該無線基地局20との距離を推定し、推定した発電情報送信手段10と無線基地局20との推定距離と、位置関連情報記憶手段32に記憶された位置に関する情報とに基づいて、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10の設置位置を特定し、特定した発電情報送信手段10の設置位置に移動体1が存在すると判断する。
【0111】
これにより、ブロック50内に、同一の固有ID情報が割り当てられた複数の発電情報送信手段10が存在する場合においても、情報管理サーバ30は、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定することができ、ブロック50内での移動体1の存在位置を判断し、検知することができる。
【0112】
また、本動作例3では、さらに、情報管理サーバ30が、同一の固有ID情報を含む複数の移動体検知情報を受信した場合には、存在位置判断手段31は、動作例2と同様の方法によって、同時刻に固有ID情報が送信されたか否かを判断し、同時刻に送信されたと判断された固有ID情報を含む移動体検知情報に対する無線基地局の設置位置情報と、無線基地局と発電情報送信手段との間の推定距離とから、固有ID情報を送信した発電情報送信手段を特定し、特定した発電情報送信手段の設置位置を移動体の存在位置と判断し、検知するようにしている。
【0113】
具体的には、
図7に示すように、移動体1が、ブロック50のエリア内に複数設置される発電情報送信手段10のうちの1つに外力を付与し、その外力付与に対して固有ID情報が無線信号3にて発電情報送信手段10から送信された場合を考える。送信された固有ID情報は、3つの無線基地局20a、20b、20cにて受信される。無線基地局20a、20b、20cは、固有ID情報の受信に応じて、それぞれ移動体検知情報40を含む通信信号4a、4b、4cを情報管理サーバ30へ送信する。それぞれの移動体検知情報40は、受信した固有ID情報41、固有ID情報41の受信時刻情報42、各無線基地局の無線基地局識別情報43、および固有ID情報41の受信強度情報44を含んでいる。各移動体検知情報40を受信した情報管理サーバ30は、例えば以下の方法によって、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、移動体1の存在位置を判断、検知することができる。
【0114】
(a)存在位置判断手段31は、受信した通信信号4a、4b、4cの各移動体検知情報40に含まれる固有ID情報41を参照し、同一の固有ID情報を含む移動体検知情報であるか否かを判断し、同一の固有ID情報を含む移動体検知情報40を選択する。ここでは、各通信信号4a、4b、4cに含まれる移動体検知情報40を選択する。
(b)次に、存在位置判断手段31は、上記(a)で選択した各移動体検知情報40に含まれる受信時刻情報42を比較し、固有ID情報41が同時刻に送信されたものか否かを判断し、同時刻に送信されたと判断した場合には、同一の発電情報送信手段10から固有ID情報が同時刻に送信されたものと判断する。
(c)次に、存在位置判断手段31は、上記(b)で同一の発電情報送信手段10から同時刻に送信されたと判断された固有ID情報41に対応する移動体検知情報40を選択する。ここでは、各通信信号4a、4b、4cに含まれる移動体検知情報40を選択する。
(d)次に、存在位置判断手段31は、上記(c)で選択した移動体検知情報40に含まれる固有ID情報41の受信強度情報44から、発電情報送信手段10と各無線基地局20a、20b、20cとの間の推定距離A、B、Cを計算する。
(e)次に、存在位置判断手段31は、位置関連情報記憶手段32に記憶される無線基地局20a、20b、20cの設置位置情報を参照し、無線基地局20a、20b、20cの設置位置を中心とした推定距離A、B、Cをそれぞれ半径とする範囲(推定距離の範囲5A、5B、5C)に発電情報送信手段10が位置していると判断する。すなわち、推定距離の範囲5A、5B、5Cの共通範囲内に発電情報送信手段10が位置していると推定、判断することができる。
(f)次に、存在位置判断手段31は、位置関連情報記憶手段32に記憶される固有ID情報41が設定された複数の発電情報送信手段10の設置位置情報と、上記(e)で推定、判断した発電情報送信手段10の位置範囲とを比較することによって、固有ID情報41を送信した発電情報送信手段10を特定する。
(g)次に、存在位置判断手段31は、上記(f)で特定した発電情報送信手段10の設置位置を、移動体1が存在する位置であると判断する。
ここで、上記(e)で推定、判断した発電情報送信手段10の位置範囲内に移動体1が位置すると判断する方法もある。しかし、一般的に無線通信による受信電波強度から推定される位置範囲は誤差が大きく(例えば、10m程度以上)、移動体1の存在位置の検知精度を高める上では、受信電波強度から推定される位置範囲と、発電情報送信手段10が設置される位置情報とを比較参照することによって、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定することが好ましい。
【0115】
(存在位置検知システムの動作例4)
次に、存在位置検知システム100の動作例4について説明する。本動作例4では、存在位置判断手段31は、位置関連情報記憶手段32に記憶された検知対象エリアMA内の地図情報324と、移動体の存在位置検知履歴情報325とを用いて、検知対象エリアMA内における移動体の存在数の位置分布や、移動パターンを推測する。
【0116】
検知対象エリアMA内における移動体の存在数の位置分布や、移動体の移動パターン(行動パターン)を推測する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0117】
(a)位置関連情報記憶手段32には、存在位置検知履歴情報325として、時刻毎に対する移動体の存在位置検知履歴情報が記憶されている。具体的には、時刻毎に、検知対象エリアMA内の全ての発電情報送信手段10の設置位置に対する移動体の存在有無を示す移動体の存在情報マップが記憶されている。この場合、存在位置判断手段31は、検知対象エリアMA内の地図情報324を参照して、移動体の存在情報マップを移動体の存在数の位置分布としたり、例えば、単位面積当たりの移動体の存在数の位置分布を推測するようにしてもよい。また、この移動体の存在情報マップから、時刻毎の発電情報送信手段10の設置位置に位置する移動体の存在数の総和を推測することができる。
【0118】
(b)上記(a)における移動体の存在情報マップは、発電情報送信手段10が設置された各位置に対する移動体の存在有無を示したものであり、発電情報送信手段10が設置されていない場所での移動体の存在有無は示されていない。そこで、存在位置判断手段31は、検知対象エリアMA内の地図情報324と、存在位置検知履歴情報325に含まれている、発電情報送信手段10が設置されていない場所の近傍に設置されている発電情報送信手段10の位置における移動体の存在情報とを利用することによって、発電情報送信手段10が設置されていない場所での移動体の存在を推測(補間)し、より精度の高い移動体の存在数の位置分布を推測することができる。例えば、検知対象エリアMA内における単位面積当たりの移動体の存在数の位置分布を推測することができる。また、その推測結果を移動体の存在情報マップとしてもよい。また、このような方法は、例えば、推測した単位面積当たりの移動体の存在数の位置分布の結果を、検知対象エリアMAの地図上に表示することにも利用できる。
【0119】
(c)存在位置判断手段31は、上記(a)における時刻毎の移動体の存在情報マップに基づき、時間経過に対して、一定時間間隔での移動体の存在情報マップにおける位置毎の時間変化を計算することによって、検知対象エリアMAの地図情報324に基づき、移動体の動き、すなわち、移動パターン(行動パターン)を推測することができる。例えば、検知対象エリアMA内での移動体の存在数が少ない、例えば存在数が1の場合、移動体の移動の軌跡(動線)に関する情報や、移動体の移動速度や移動方向に関する情報を得ることができる。また、検知対象エリアMA内の移動体の存在数が多い場合、移動体の集団に対する動きや移動パターンに関する情報を得ることができる。
【0120】
(d)存在位置判断手段31は、上記(c)での移動体の移動パターンの推測結果を利用して、発電情報送信手段10が設置されていない場所での移動体の存在数の位置分布を、上記(b)の方法と比較して高い精度で推測することができる。上記(b)では、ある時刻における、発電情報送信手段10が設置されていない場所での移動体の存在数の位置分布を、ある時刻における、その場所の近傍における発電情報送信手段10の設置位置での移動体の存在情報(移動体の静的位置情報)を利用して推測するものである。一方、移動体は、発電情報送信手段10が設置されていない場所を経由して発電情報送信手段10の設置位置間を移動することもあるため、移動体の動きに関する情報を利用することによって、より確実に、発電情報送信手段10が設置されていない場所での移動体の存在数の位置分布を推測することができる。
【0121】
以上説明したように、本発明によれば、より導入が容易であり、かつ検知位置精度および信頼性の高い移動体の存在位置検知システムが実現される。
【0122】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。