特許第6248033号(P6248033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248033基板キャリアを用いたハイブリッドレーザ・プラズマエッチングウェハダイシング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248033
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】基板キャリアを用いたハイブリッドレーザ・プラズマエッチングウェハダイシング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20171204BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20171204BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20171204BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01L21/78 S
   H01L21/302 104H
   H01L21/302 105A
   H01L21/78 Q
   B23K26/364
   H01L21/68 A
   H01L21/68 N
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-515853(P2014-515853)
(86)(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公表番号】特表2014-523114(P2014-523114A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】US2012040289
(87)【国際公開番号】WO2012173790
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】13/161,052
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】シン サラブジート
(72)【発明者】
【氏名】イートン ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】クマー アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】リ ウェイシェン
(72)【発明者】
【氏名】ホルデン ジェームズ エム
(72)【発明者】
【氏名】ヤラマンチリ マドハバ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】イーガン トッド ジェイ
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−171997(JP,A)
【文献】 特開2001−308077(JP,A)
【文献】 特開2004−214351(JP,A)
【文献】 特開2010−267981(JP,A)
【文献】 特開平08−335568(JP,A)
【文献】 特開2009−033155(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/071591(WO,A1)
【文献】 特開2008−193034(JP,A)
【文献】 特開2005−191039(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/063620(WO,A1)
【文献】 特開2004−165645(JP,A)
【文献】 特開2001−062574(JP,A)
【文献】 特表2005−522874(JP,A)
【文献】 特開平06−260436(JP,A)
【文献】 特開2009−141024(JP,A)
【文献】 特開2006−253402(JP,A)
【文献】 特開2010−165963(JP,A)
【文献】 特開2007−027339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/364
H01L 21/3065
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路を含む半導体ウェハをダイシングする方法であって、
集積回路を覆い、保護する層を含むマスクを、基板キャリアによって支持された半導体ウェハ上に形成する工程と、
レーザスクライビングプロセスによってマスクをパターニングし、これによって集積回路間の半導体ウェハの領域を露出させるギャップを有するパターニングされたマスクを提供する工程と、
半導体ウェハの少なくとも一部を露出したままにする保護板によって、基板キャリアの一部を覆う工程と、
その後、基板キャリアによって支持されながら、パターニングされたマスク内のギャップを貫通して半導体ウェハをエッチングし、これによって集積回路を個片化する工程を含み、保護板は、支持アセンブリの直径よりも大きく、チャンバ壁の内側の寸法よりも若干小さいサイズの平板であり、これによって保護板は、処理容積内で処理ガス又はプラズマの下方への流れを阻止することができる方法。
【請求項2】
基板キャリアは、テープリングに囲まれたバッキングテープの層を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
半導体ウェハは、基板キャリア上に配置されたダイアタッチフィルム上に配置され、前記方法は、
基板キャリア上に配置されながら、ダイアタッチフィルムをパターニングする工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
レーザスクライビングプロセスによってマスクをパターニングする工程は、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスによってマスクをパターニングする工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
半導体ウェハは、約100ミクロン以下の厚さを有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
複数の集積回路を含む半導体ウェハをダイシングするためのシステムであって、
ファクトリインタフェースと、
ファクトリインタフェースと結合され、レーザを含むレーザスクライブ装置と、
ファクトリインタフェースと結合されたプラズマエッチングリアクタであって、
内部に処理容積を画定するチャンバと、
処理容積内に配置され、中央開口部を有する保護板であって、保護板は、チャンバ壁の内側の寸法よりも若干小さいサイズの平板であり、これによって保護板は、処理容積内で処理ガス又はプラズマの下方への流れを阻止することができる保護板と、
チャンバと結合され、保護板を移動させる保護板アクチュエータと、
チャンバへ/から基板キャリアを搬送するためのエンドエフェクタを含むプラズマエッチングリアクタを含むシステム。
【請求項7】
プラズマエッチングリアクタが、
チャンバと結合されたカソードアセンブリと、
チャンバと結合されたキャプチャリングアクチュエータを含む請求項記載のシステム。
【請求項8】
プラズマエッチングリアクタが、
チャンバと結合されたスロットルバルブと、
チャンバと結合されたターボ分子ポンプを含む請求項記載のシステム。
【請求項9】
レーザスクライブ装置は、半導体ウェハの集積回路間のストリートのレーザアブレーションを実行するように構成され、プラズマエッチングリアクタは、レーザアブレーションの後に集積回路を個片化するために半導体ウェハをエッチングするように構成されている請求項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
1)分野
本発明の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、各ウェハが複数の集積回路を上に有する半導体ウェハをダイシングする方法に関する。
【0002】
2)関連技術の説明
半導体ウェハ処理では、集積回路は、シリコン又は他の半導体材料からなるウェハ(基板ともいう)上に形成されている。一般に、半導体、導電体又は絶縁体のいずれかである様々な材料の層が、集積回路を形成するために利用される。これらの材料は、様々な周知のプロセスを用いてドープされ、堆積され、エッチングされ、これによって集積回路を形成する。各ウェハは、ダイとして知られる集積回路を含む多数の個々の領域を形成するように処理される。
【0003】
集積回路形成プロセスに続いて、ウェハは「ダイシング」され、これによってパッケージ化するために、又はより大規模な回路内でパッケージ化されていない形態で使用するために、互いに個々のダイに分離される。ウェハダイシング用に使用される2つの主要な技術は、スクライビングとソーイングである。スクライビングでは、ダイヤモンドを先端に付けたスクライブが、予め形成されたスクライブラインに沿ってウェハ表面を横切って移動する。これらのスクライブラインは、ダイ間の空間に沿って延びている。これらの空間は、一般に「ストリート」と呼ばれている。ダイヤモンドスクライブは、ストリートに沿って、ウェハ表面に浅い傷を形成する。ローラなどによる圧力の印加時に、ウェハは、スクライブラインに沿って分離する。ウェハ内での破断は、ウェハ基板の結晶格子構造に従う。スクライビングは、約10ミル(1インチの1000分の1)又はそれ以下の厚さであるウェハに対して使用することができる。より厚いウェハに対しては、ソーイングが、現在のところ、ダイシングするのに好適な方法である。
【0004】
ソーイングでは、1分当たり高回転数で回転するダイヤモンドが先端に付いた鋸(ソー)が、ウェハ表面に接触し、ストリートに沿ってウェハを切断(ソーイング)する。ウェハは、支持部材(例えば、フィルムフレーム全域に亘って伸ばされた接着フィルム)上に取り付けられ、鋸が垂直及び水平の両方のストリートに繰り返し印加される。スクライビング又はソーイングのいずれにおいても1つの問題は、チップ(欠け)及びゴージ(削り溝)が切断されたダイ端部に沿って形成される可能性があることである。また、亀裂が形成され、ダイの端部から基板内へと伝播し、集積回路を動作不能にする可能性がある。正方形又は長方形のダイの片側のみが結晶構造の<110>方向にスクライブ可能であるので、チッピング(欠け)及びクラッキング(割れ)は、スクライビングにおいて特に問題である。その結果、ダイのもう一方の側の劈開は、ギザギザの分離ラインをもたらす。チッピング及びクラッキングのために、集積回路への損傷を防止するための追加の間隔がウェハ上のダイ間に必要となる(例えば、チップ及びクラックが実際の集積回路からある距離に維持される)。間隔要件の結果として、標準サイズのウェハ上にはそれほど多くのダイを形成することはできず、もしもそうでないならば回路用に使用可能であったウェハの実質的な領域が無駄になる。鋸の使用は、半導体ウェハ上の実質的な領域の無駄を悪化させる。鋸の刃は、約15ミクロンの厚さである。このように、鋸によって作られた切り口を取り巻く割れ及びその他の損傷が、集積回路に悪影響を及ぼさないことを保証するために、300〜500ミクロンはしばしばダイのそれぞれの回路を分離しなければならない。更に、切断後、各ダイは、ソーイングプロセスから生じる粒子及び他の汚染物質を除去するために実質的なクリーニングを必要とする。
【0005】
プラズマダイシングもまた使用されてきたが、同様に制限を有するかもしれない。例えば、プラズマダイシングの実施を妨げる1つの制限は、コストであるかもしれない。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ操作は、実行コストが桁違いに高くなる可能性がある。プラズマダイシングの実施を妨げる可能性のあるもう一つの制限は、一般的に遭遇する金属(例えば、銅)のプラズマ処理は、ストリートに沿ってダイシングする際に、製造の問題又はスループットの限界を作る可能性があることである。
【概要】
【0006】
本発明の実施形態は、各ウェハが複数の集積回路を上に有する半導体ウェハをダイシングする方法を含む。
【0007】
一実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウェハをダイシングする方法は、集積回路を覆い、保護する層から成るマスクを、半導体ウェハ上に形成する工程を含む。半導体ウェハは、基板キャリアによって支持される。マスクはその後、レーザスクライビングプロセスによってパターニングされ、これによって集積回路間の半導体ウェハの領域を露出させるギャップを有するパターニングされたマスクを提供する。その後、半導体ウェハは、基板キャリアによって支持されながら、パターニングされたマスク内のギャップを貫通してエッチングされ、これによって集積回路を個片化する。
【0008】
一実施形態では、エッチングリアクタは、チャンバと、チャンバの上方に位置する誘導結合プラズマ(ICP)源と、チャンバへ/から基板キャリアを搬送するためのエンドエフェクタを含む。
【0009】
一実施形態では、複数の集積回路を含む半導体ウェハをダイシングするためのシステムは、ファクトリインタフェースと、ファクトリインタフェースと結合され、レーザを収容するレーザスクライブ装置を含む。システムは、ファクトリインタフェースと結合されたプラズマエッチングリアクタも含む。プラズマエッチングリアクタは、チャンバと、チャンバへ/から基板キャリアを搬送するためのエンドエフェクタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る、ダイシングされる半導体ウェハの上面図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る、ダイシングマスクが上に形成されたダイシングされる半導体ウェハの上面図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る、複数の集積回路を含む半導体ウェハをダイシングする方法における操作を示すフローチャートである。
図4A】本発明の一実施形態に係る、図3のフローチャートの操作302に対応する、半導体ウェハをダイシングする方法を実行する間における、複数の集積回路を含む半導体ウェハの断面図を示す。
図4B】本発明の一実施形態に係る、図3のフローチャートの操作304に対応する、半導体ウェハをダイシングする方法を実行する間における、複数の集積回路を含む半導体ウェハの断面図を示す。
図4C】本発明の一実施形態に係る、図3のフローチャートの操作308に対応する、半導体ウェハをダイシングする方法を実行する間における、複数の集積回路を含む半導体ウェハの断面図を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る、フェムト秒範囲のレーザパルスとより長いパルス時間を使用した場合の効果の比較を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る、最小幅に制限することができる従来のダイシングと比較してより狭いストリートを使用することによって達成される半導体ウェハ上における圧縮を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る、格子配置のアプローチと比較して、より密度の高い充填(パッキング)、したがって、ウェハ当たりのより多くのダイが可能な自由形式の集積回路配置を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る、ウェハ又は基板のレーザ・プラズマダイシング用のツールレイアウトのブロック図を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る、個片化プロセス中に薄いウェハを支持するのに適した基板キャリアの平面図を示す。
図10A】〜
図10B】本発明の一実施形態に係る、基板キャリアによって支持された薄いウェハ又は基板をハンドリングするためのエンドエフェクタの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図10C】〜
図10D】本発明の一実施形態に係る、基板キャリア(右側)を支持するエンドエフェクタ(左側)の平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図11A】〜
図11B】本発明の一実施形態に係る、基板キャリアによって支持された薄いウェハ又は基板をハンドリングするためのキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図11C】〜
図11D】本発明の一実施形態に係る、基板キャリアを支持するエンドエフェクタを収容するキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図11E】本発明の一実施形態に係る、エッチングチャンバ内部におけるエンドエフェクタとキャプチャリングの間の受け渡しのための動作シーケンスを示す。
図12A】〜
図12B】本発明の一実施形態に係る、基板キャリアと共に使用するための互換性のあるエッチングカソードの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図12C】〜
図12D】本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッチングカソード、カバーリング、及びキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図12E】本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッングカソード、カバーリング、キャプチャリング、及び基板キャリア(フレームのみ)の平面図を示す。
図13A】〜
図13B】本発明の一実施形態に係る、薄いウェハ又は基板を支持する基板キャリアを保護するための保護板の平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図13C】〜
図13D】本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッチングカソード、カバーリング、キャプチャリング、基板キャリア、及び保護板の平面図及び側面図をそれぞれ示す。
図14】本発明の一実施形態に係る、エッチングリアクタの断面図を示す。
図15】本発明の一実施形態に係る、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【詳細な説明】
【0011】
各ウェハが複数の集積回路を上に有する半導体ウェハのダイシング方法が記載される。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細(例えば、薄いウェハ用の基板キャリア、スクライビング・プラズマエッチング条件及び材料レジーム)が記載される。本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施できることが、当業者には明らかであろう。他の例では、周知の態様(例えば、集積回路の製造)は、本発明の実施形態を不必要に曖昧にしないために、詳細には説明されない。更に、図に示される様々な実施形態は、例示であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解すべきである。
【0012】
初めのレーザスクライブと、後続のプラズマエッチングを含むハイブリッドなウェハ又は基板のダイシングプロセスは、ダイの個片化のために実施することができる。レーザスクライブプロセスは、マスク層、有機・無機誘電体層、及びデバイス層をきれいに除去するために使用することができる。その後、レーザエッチングプロセスは、ウェハ又は基板の露出又は部分的なエッチング時に終了することができる。ダイシングプロセスのプラズマエッチング部分は、その後、ダイ又はチップを個片化又はダイシングするために、ウェハ又は基板のバルクを貫通して(例えば、バルクの単結晶シリコンを貫通して)エッチングするために用いることができる。ウェハ又は基板は、約100ミクロン以下の厚さを有する薄いウェハ又は基板であることができ、個片化プロセス中に基板キャリアによって支持することができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、個片化プロセス内のプラズマエッチング中に薄いウェハテープ及びテープフレームから構成される基板キャリアを搬送し、支持し、保護するための装置及び方法が、本明細書内に記載される。例えば、装置は、エッチングガスから薄いシリコンウェハを保持するために使用されるフィルム及びフィルムフレームを支持し、保護するために使用することができる。集積回路(IC)のパッケージングに関連する製造プロセスは、薄化されたシリコンウェハが、フィルム(例えば、ダイアタッチフィルム)上に支持され、取り付けられることを要求する場合がある。一実施形態では、ダイアタッチフィルムもまた、基板キャリアによって支持され、薄いシリコンウェハを基板キャリアに接着するために使用される。
【0014】
従来のウェハダイシングのアプローチは、純粋な機械的な分離に基づくダイヤモンドソーカッティング、初めのレーザスクライビングと後続のダイヤモンドソーダイシング、又はナノ秒又はピコ秒レーザダイシングを含む。薄いウェハ又は基板の個片化(例えば、50ミクロン厚のバルクシリコンの個片化)に対しては、従来のアプローチでは、悪いプロセス品質のみが得られてきた。薄いウェハ又は基板からダイを個片化する際に直面する可能性のある課題のいくつかは、異なる層間でのマイクロクラック形成又は層間剥離、無機誘電体層のチッピング、厳密なカーフ幅制御の保持、又は正確なアブレーション深さの制御を含むことができる。本発明の実施形態は、上述の課題の1以上を克服するのに有用である可能性のあるハイブリッドレーザスクライビング・プラズマエッチングダイ個片化のアプローチを含む。
【0015】
本発明の一実施形態では、レーザスクライビングとプラズマエッチングの組み合わせが使用され、これによって半導体ウェハを個別化又は個片化された集積回路にダイシングする。一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザスクライビングは、本質的に、完全ではないならば、非熱的プロセスとして用いられる。例えば、フェムト秒ベースのレーザスクライビングは、全く無い又は無視できる程度の熱損傷領域に局在化させることができる。一実施形態では、本明細書内のアプローチは、超低k膜を有する個片化された集積回路に使用される。従来のダイシングでは、このような低k膜に対応するためには、鋸を減速する必要がある場合がある。更に、半導体ウェハは、現在、多くの場合、ダイシング前まで薄化される。このように、本実施形態では、プラズマエッチングプロセスに続いて、マスクのパターニングと、フェムト秒ベースのレーザによる部分的なウェハスクライビングとの組み合わせが、現在実用的である。一実施形態では、レーザによる直接描画は、フォトレジスト層のリソグラフィパターニング操作を不要にすることができ、非常に少ないコストで実施することができる。一実施形態では、スルービア型のシリコンエッチングが、プラズマエッチング環境内でダイシングプロセスを完了するために使用される。
【0016】
したがって、本発明の一態様では、レーザスクライビングとプラズマエッチングの組み合わせが、半導体ウェハをダイシングして個片化された集積回路にするために使用することができる。図1は、本発明の一実施形態に係る、ダイシングされる半導体ウェハの上面図を示す。図2は、本発明の一実施形態に係る、ダイシングマスクが上に形成されたダイシングされる半導体ウェハの上面図を示す。
【0017】
図1を参照すると、半導体ウェハ100は、集積回路を含む複数の領域102を有する。領域102は、垂直ストリート104と水平ストリート106によって分離される。ストリート104及び106は、集積回路を含まず、これに沿ってウェハがダイシングされる場所として設計されている半導体ウェハの領域である。本発明のいくつかの実施形態は、ダイを個々のチップ又はダイに分離されるように、ストリートに沿って半導体ウェハを貫通してトレンチを切断する組合せレーザスクライブ・プラズマエッチング技術の使用を含む。レーザスクライブ及びプラズマエッチングプロセスの両方とも、結晶構造方位に独立しているので、ダイシングされる半導体ウェハの結晶構造は、ウェハを貫通して垂直なトレンチを達成するために重要である場合がある。
【0018】
図2を参照すると、半導体ウェハ100は、半導体ウェハ100上に堆積されたマスク200を有する。一実施形態では、マスクは、約4〜10ミクロンの厚さの層を達成するように、従来の方法で堆積される。マスク200と、半導体ウェハ100の一部は、レーザスクライビングプロセスによりパターニングされ、これによって半導体ウェハ100がダイシングされるであろうストリート104及び106に沿った位置(例えば、ギャップ202及び204)を画定する。半導体ウェハ100の集積回路領域は、マスク200によって覆われ、保護される。マスク200の領域206は、後続のエッチングプロセス中に、集積回路がエッチングプロセスによって劣化されないように配置される。水平方向のギャップ204及び垂直方向のギャップ202は、領域206間に形成され、これによってエッチングプロセス中にエッチングされ、最終的に半導体ウェハ100をダイシングする領域を画定する。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態に係る、複数の集積回路を含む半導体ウェハをダイシングする方法における操作を示すフローチャート300である。図4A図4Cは、本発明の一実施形態に係る、フローチャート300の操作に対応する、半導体ウェハをダイシングする方法を実施する間の、複数の集積回路を含む半導体ウェハの断面図を示す。
【0020】
フローチャート300の操作302及び対応する図4Aを参照すると、マスク402が、半導体ウェハ又は基板404上に形成される。マスク402は、半導体ウェハ404の表面上に形成された集積回路406を覆い、保護する層で構成される。マスク402は、集積回路406のそれぞれの間に形成された介在するストリート407も覆う。半導体ウェハ又は基板404は、基板キャリア414によって支持される。
【0021】
一実施形態では、基板キャリア414は、テープリングに囲まれ、図4Aに414としてその一部が示されるバッキングテープの層を含む。このような一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、図4Aに示されるように、基板キャリア414上に配置されたダイアタッチフィルム416上に配置される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、マスク402を形成する工程は、例えば、フォトレジスト層又はI線パターニング層が挙げられるが、これらに限定されない層を形成する工程を含む。例えば、ポリマー層(例えば、フォトレジスト層)は、リソグラフィプロセスで使用するのに適したそれ以外の材料で構成されてもよい。一実施形態では、フォトレジスト層は、例えば、248ナノメートル(nm)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト、極紫外(EUV)レジスト、又はジアゾナフトキノン増感剤を加えたフェノール樹脂マトリックスが挙げられるが、これらに限定されないポジ型フォトレジスト材料で構成される。別の一実施形態では、フォトレジスト層は、例えば、ポリ−シス−イソプレン及びポリ−ビニル−シンナメートが挙げられるが、これらに限定されないネガ型フォトレジスト材料で構成される。
【0023】
一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、製造プロセスに耐えるのに適しており、その上に半導体処理層を好適に配置することができる材料で構成される。例えば、一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、IV族系材料(例えば、結晶シリコン、ゲルマニウム又はシリコン/ゲルマニウムが挙げられるが、これらに限定されない)で構成される。特定の一実施形態では、半導体ウェハ404を提供する工程は、単結晶シリコン基板を提供する工程を含む。特定の一実施形態では、単結晶シリコン基板は、不純物原子によってドープされる。別の一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、III−V族材料(例えば、発光ダイオード(LED)の製造に使用されるIII−V族材料基板など)から構成される。
【0024】
一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、約100ミクロン以下の厚さを有する。例えば、一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板は、ダイアタッチフィルム416に固定される前に、裏側から薄化される。薄化は、裏面研削プロセスによって実行することができる。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板は、概して50〜100ミクロンの範囲内の厚さまで薄化される。一実施形態では、薄化は、レーザアブレーション・プラズマエッチングダイシングプロセスの前に実行されることに留意することが重要である。一実施形態では、ダイアタッチフィルム416(又は基板キャリア414に薄化された又は薄いウェハ又は基板を接着することができる任意の適切な代替物)は、約20ミクロンの厚さを有する。
【0025】
一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404は、半導体デバイスのアレイが集積回路406の一部として、その上又は中に配置される。このような半導体デバイスの例としては、シリコン基板内に製造され、誘電体層に囲まれたメモリデバイス又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタを含むが、これらに限定されない。複数の金属相互接続が、誘電体層を取り囲んで、デバイス又はトランジスタの上方に形成され、集積回路406を形成するようにデバイス又はトランジスタを電気的に結合するのに使用することができる。ストリート407を構成する材料は、集積回路406を形成するために使用される材料と類似又は同じであることができる。例えば、ストリート407は、誘電材料、半導体材料、メタライゼーションの層から構成することができる。一実施形態では、1以上のストリート407は、集積回路406の実際のデバイスと類似のテストデバイスを含む。
【0026】
フローチャート300の操作304及び対応する図4Bを参照すると、マスク402は、レーザスクライビングプロセスでパターニングされ、これによって集積回路406間の半導体ウェハ又は基板404の領域を露出させるギャップ410を有するパターニングされたマスク408を提供する。このような一実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスである。このように、レーザスクライビングプロセスは、集積回路406間にもともと形成されていたストリート407の材料を除去するために使用される。本発明の一実施形態によると、レーザスクライビングプロセスによってマスク402をパターニングする工程は、図4Bに示されるように、集積回路406間の半導体ウェハ404の領域内に部分的にトレンチ412を形成する工程を含む。
【0027】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスによってマスク406をパターニングする工程は、フェムト秒範囲内のパルス幅をもつレーザを使用する工程を含む。具体的には、可視スペクトルに加えて紫外線(UV)及び赤外線(IR)内の波長(合わせて、広帯域光スペクトル)を有するレーザが使用され、これによってフェムト秒ベースのレーザ、すなわちフェムト秒(10−15秒)オーダーのパルス幅を有するレーザを提供することができる。一実施形態では、アブレーションは、波長に依存しない、又は本質的には波長に依存しないので、複雑な膜(例えば、マスク402、ストリート407、及びおそらく半導体ウェハ又は基板404の一部の膜)に適している。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態に係る、フェムト秒範囲内のレーザパルスとより長い周波数を使用した場合の効果の比較を示す。図5を参照すると、フェムト秒範囲内のパルス幅を有するレーザを用いることによって、より長いパルス幅(例えば、ビア500Bのピコ秒処理による損傷502B、及びビア500Aのナノ秒処理による顕著な損傷502A)と比較して、熱損傷の問題が軽減又は取り除かれる(例えば、ビア500Cのフェムト秒処理では僅かな損傷から損傷無し502C)。ビア500Cの形成中の損傷の除去又は軽減は、図5に示されるように、(ピコ秒ベースのレーザアブレーションに対して見られるような)低エネルギー再結合又は(ナノ秒ベースのレーザアブレーションに対して見られるような)熱平衡の欠如に起因する可能性がある。
【0029】
レーザパラメータの選択(例えば、パルス幅)は、クリーンなレーザスクライブ切断を実現するために、チッピング、マイクロクラック、層間剥離を最小化する、成功したレーザスクライビング・ダイシングプロセスを開発するのに重要である可能性がある。レーザスクライブ切断がクリーンであればあるほど、最終的なダイ個片化のために実行することができるエッチングプロセスはよりスムーズになる。半導体デバイスウェハにおいては、異なる材料の種類(例えば、導体、絶縁体、半導体)及び厚さの多くの機能層が、典型的には、その上に配置される。このような材料は、有機材料(例えば、ポリマー)、金属、又は無機誘電体(例えば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0030】
これに対して、最適でないレーザパラメータが選択された場合、(例えば、無機誘電体、有機誘電体、半導体、又は金属のうちの2以上を含む)積層構造において、レーザアブレーションプロセスは、層間剥離の問題を引き起こす可能性がある。例えば、レーザは、測定可能な吸収なしに、高バンドギャップエネルギーの誘電体(例えば、約9eVのバンドギャップを有する二酸化ケイ素)を貫通する。しかしながら、レーザエネルギーは、下地の金属又はシリコン層内で吸収され、金属又はシリコン層の顕著な蒸発を引き起こす可能性がある。蒸発は、高い圧力を発生させ、上層の二酸化ケイ素の誘電体層をリフトオフし、潜在的に深刻な層間剥離及び微小亀裂を引き起こす可能性がある。一実施形態では、ピコ秒ベースのレーザ照射プロセスは、複雑なスタック内の微小亀裂及び層間剥離につながるが、フェムト秒ベースのレーザ照射プロセスは、同じ材料スタックの微小亀裂又は層間剥離を引き起こさないことが実証されている。
【0031】
誘電体層を直接アブレーション加工できるためには、光子を強く吸収することによって、誘電体材料が導電性材料と同様に振る舞うように、誘電体材料のイオン化が発生する必要があるかもしれない。吸収は、誘電体層の最終的なアブレーションの前に、下地のシリコン又は金属層をレーザエネルギーの大部分が突き抜けるのをブロックする場合がある。一実施形態では、レーザ強度が、光子のイオン化を開始し、無機誘電体材料内でイオン化に影響を与えるのに十分高い場合、無機誘電体のイオン化が可能である。
【0032】
本発明の一実施形態によると、好適なフェムト秒ベースのレーザプロセスは、通常、様々な材料内で非線形相互作用をもたらす高いピーク強度(照度)によって特徴付けられる。このような一実施形態では、フェムト秒レーザ光源は、約10フェムト秒〜500フェムト秒の範囲内のパルス幅を有するが、好ましくは100フェムト秒〜400フェムト秒の範囲内である。一実施形態では、フェムト秒レーザ光源は、約200ナノメートル〜1570ナノメートルの範囲内の波長を有するが、好ましくは250ナノメートル〜540ナノメートルの範囲内である。一実施形態では、レーザ及び対応する光学系は、作業面で約3ミクロン〜15ミクロンの範囲内の焦点を提供するが、好ましくは、約5ミクロン〜10ミクロンの範囲内である。
【0033】
作業面での空間ビームプロファイルは、シングルモード(ガウシアン)であるか、又は整形されたトップハットプロファイルを有していてもよい。一実施形態では、レーザ光源は、約200kHz〜10MHzの範囲内のパルス繰り返しレートを有するが、好ましくは、約500kHz〜5MHzの範囲内である。一実施形態では、レーザ光源は、作業面で約0.5μJ〜100μJの範囲内のパルスエネルギーを送出するが、好ましくは約1μJ〜5μJの範囲内である。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、ワークピース表面に沿って約500mm/秒〜5m/秒の範囲内の速度で走るが、好ましくは、約600mm/秒〜2m/秒の範囲内である。
【0034】
スクライビングプロセスは、単一のパスのみ、又は複数のパスで実行可能であるが、一実施形態では、好ましくは1〜2パスである。一実施形態では、ワークピース内のスクライビング深さは、約5ミクロン〜50ミクロンの深さの範囲内であるが、好ましくは、約10ミクロン〜20ミクロンの深さの範囲内である。レーザは、特定のパルス繰り返しレートの単一パルス列又はパルスバーストの列のいずれかで印加することができる。一実施形態では、生成されたレーザ光のカーフ幅は、約2ミクロン〜15ミクロンの範囲内であるが、シリコンウェハのスクライビング/ダイシングでは、デバイス/シリコン界面で測定されたときに、好ましくは約6ミクロン〜10ミクロンの範囲内である。
【0035】
無機誘電体(例えば二酸化ケイ素)のイオン化を達成し、無機誘電体の直接的なアブレーションの前に下地の損傷によって引き起こされる層間剥離及び欠けを最小限に抑えるのに十分に高いレーザ強度を提供するなどの利益及び利点によって、レーザパラメータを選択することができる。また、パラメータは、正確に制御されたアブレーション幅(例えば、カーフ幅)及び深さと共に、産業用途に意味のあるプロセススループットを提供するように選択することができる。上述したように、ピコ秒ベース及びナノ秒ベースのレーザアブレーションプロセスと比較して、フェムト秒ベースのレーザは、このような利点を提供するのにはるかにより適している。しかしながら、フェムト秒ベースのレーザアブレーションのスペクトル内においてさえ、特定の波長が他よりも優れたパフォーマンスを提供する場合がある。例えば、一実施形態では、近紫外又は紫外範囲内の波長を有するフェムト秒ベースのレーザプロセスは、近赤外又は赤外範囲内の波長を有するフェムト秒レーザベースのプロセスよりもクリーンなアブレーションプロセスを提供する。このような特定の一実施形態では、半導体ウェハ又は基板のスクライビングに適したフェムト秒ベースのレーザプロセスは、約540ナノメートル以下の波長を有するレーザに基づく。このような特定の一実施形態では、約540ナノメートル以下の波長を有するレーザの、パルスは約400フェムト秒以下が使用される。しかしながら、代替の一実施形態では、デュアルレーザ波長(例えば、赤外線レーザと紫外線レーザの組み合わせ)が使用される。
【0036】
本発明の一実施形態に係るフローチャート300のオプションの操作306を参照すると、基板キャリアの一部が保護板で覆われる。そのような保護板は、図13A図13Dに関連して以下でより詳細に説明される。一実施形態では、保護板は、半導体ウェハ又は基板404の少なくとも一部を露出したままとし、これも図13A図13Dに関連して以下でより詳細に説明される。特定の一実施形態では、フローチャート300に示されるように、保護板は、レーザスクライブプロセスの後だが、プラズマエッチングプロセスの前に実装される。しかしながら、別の特定の一実施形態では、保護板は、レーザスクライブプロセスとプラズマエッチングプロセスの両方の前に実装される。
【0037】
フローチャート300の操作308及び対応する図4Cを参照すると、半導体ウェハ又は基板404は、パターニングされたマスク408内のギャップ410を貫通してエッチングされ、これによって集積回路406を個片化する。本発明の一実施形態によると、半導体ウェハ404をエッチングする工程は、図4Cに示されるように、レーザスクライビングプロセスによって形成されたトレンチ412をエッチングし、最終的に半導体ウェハ又は基板404を完全に貫通してエッチングする工程を含む。
【0038】
一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404をエッチングする工程は、プラズマエッチングプロセスを使用する工程を含む。一実施形態では、スルーシリコンビア型のエッチングプロセスが使用される。例えば、特定の一実施形態では、半導体ウェハ又は基板404の材料のエッチング速度は、毎分25ミクロンよりも大きい。超高密度プラズマ源を、ダイの個片化プロセスのプラズマエッチング部分用に使用してもよい。このようなプラズマエッチングプロセスを行うのに適したプロセスチャンバの一例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズ(Applied Materials)から入手可能なApplied Centura(商標名) Silvia(商標名)Etchシステムである。Applied Centura(商標名) Silvia(商標名)Etchシステムは、容量性及び誘導性RF結合を組み合わせ、これによって容量結合のみで可能であったものよりも、イオン密度及びイオンエネルギーをはるかに独立して制御し、更に磁気強化による改善も提供される。この組み合わせは、イオン密度をイオンエネルギーから効果的に分離することを可能にし、これによって非常に低い圧力でさえ、高く、潜在的に損傷を与えるDCバイアスレベル無しで、相対的に高い密度のプラズマを達成することができる。非常に広いプロセスウィンドウがもたらされる。しかしながら、シリコンをエッチングすることができる任意のプラズマエッチングチャンバを用いることができる。例示的な一実施形態では、基本的に正確なプロファイル制御と事実上スカラップの無い側壁を維持しながら、従来のシリコンのエッチング速度を約40%上回るエッチング速度で単結晶シリコン基板又はウェハ404をエッチングするのに、ディープシリコンエッチングが使用される。特定の一実施形態では、スルーシリコンビア型のエッチングプロセスが使用される。エッチングプロセスは、一般的にフッ素系ガス(例えば、SF、C、CHF、XeF)である反応ガス又は比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングすることができる任意の他の反応ガスから生成されたプラズマに基づく。
【0039】
一実施形態では、個片化は、ダイアタッチフィルム416のパターニングを更に含むことができる。一実施形態では、ダイアタッチフィルム416は、例えば、レーザアブレーション、ドライエッチング又はウェットエッチングが挙げられるが、これらに限定されない技術によってパターニングされる。一実施形態では、ダイアタッチフィルム416は、図4Cに示されるように、個片化プロセスのレーザスクライブ・プラズマエッチング部分に続くシーケンス内でパターニングされ、これによってダイアタッチフィルム部分418を提供する。一実施形態では、パターニングされたマスク408は、これもまた図4Cに示されるように、個片化プロセスのレーザスクライブ・プラズマエッチング部分の後に除去される。パターニングされたマスク408は、ダイアタッチフィルム416のパターニングの前、中、又は後に除去してもよい。一実施形態では、基板キャリア414によって支持されながら、半導体ウェハ又は基板404は、エッチングされる。一実施形態では、ダイアタッチフィルム416もまた、基板キャリア414上に配置されながら、パターニングされる。
【0040】
したがって、フローチャート100及び図2A図2Cを再び参照すると、ウェハのダイシングは、マスクを貫通し、(メタライゼーションを含む)ウェハのストリートを貫通し、部分的にシリコン基板内への最初のレーザアブレーションによって実行することができる。レーザのパルス幅は、フェムト秒の範囲内で選択することができる。その後、ダイの個片化は、後続のスルーシリコンディーププラズマエッチングによって完了することができる。更に、ダイアタッチフィルムの露出部分の除去が実行され、これによって各々が上にダイアタッチフィルムの一部を有する個片化された集積回路を提供する。その後、図4Cに示されるように、ダイアタッチフィルム部分を含む個々の集積回路を、基板キャリア414から除去することができる。一実施形態では、個片化された集積回路は、パッケージングのために基板キャリア414から除去される。このような一実施形態では、パターニングされたダイアタッチフィルム418は、各集積回路の裏面に保持され、最終パッケージ内に含まれる。しかしながら、別の一実施形態では、パターニングされたダイアタッチフィルム414は、個片化プロセスの間又は後に除去される。
【0041】
図4A図4Cを再び参照すると、約10ミクロン以下の幅を有するストリート407によって、複数の集積回路406を分離することができる。レーザスクライビングのアプローチ(例えば、フェムト秒ベースのレーザスクライビングのアプローチ)の利用は、少なくとも部分的にレーザの厳しいプロファイル制御のため、集積回路のレイアウト内にこのような圧縮を可能にすることができる。例えば、図6は、本発明の一実施形態に係る、最小幅に制限することができる従来のダイシングに対して、より狭いストリートを使用することによって達成された半導体ウェハ又は基板上の圧縮を示している。
【0042】
図6を参照すると、半導体ウェハ上の圧縮は、最小幅(例えば、レイアウト600内の約70ミクロン以上の幅)に制限することができる従来のダイシングに対して、より狭いストリート(例えば、レイアウト602内の約10ミクロン以下の幅)を使用することによって達成される。しかしながら、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスによって可能であるにしても、ストリート幅を10ミクロン未満に減らすことが必ずしも常に望ましくはないかもしれないことを理解すべきである。例えば、いくつかのアプリケーションでは、集積回路を分離するストリート内に、ダミー又はテストデバイスを製造するために、少なくとも40ミクロンのストリート幅を必要とする場合がある。
【0043】
図4A図4Cを再び参照すると、複数の集積回路406は、制約の無いレイアウトで、半導体ウェハ又は基板404上に配置することができる。例えば、図7は、より高密度充填を可能にする自由形式の集積回路配置を示す。本発明の一実施形態に係る、より高密度の充填は、格子状アライメントのアプローチに対して、ウェハ当たりのより多いダイを提供することができる。図7を参照すると、自由形式のレイアウト(例えば、半導体ウェハ又は基板702上の制約の無いレイアウト)は、格子状アライメントのアプローチ(例えば、半導体ウェハ又は基板700上の制約されたレイアウト)に対して、より高密度の充填、したがってウェハ当たりのより多いダイを可能にする。一実施形態では、レーザアブレーション・プラズマエッチング個片化プロセスの速度は、ダイのサイズ、レイアウト又はストリートの数とは無関係である。
【0044】
単一のプロセスツールは、ハイブリッドレーザアブレーション・プラズマエッチング個片化プロセス内の多くの又はすべての操作を実行するように構成することができる。例えば、図8は、本発明の一実施形態に係る、ウェハ又は基板のレーザ・プラズマダイシング用のツールレイアウトのブロック図を示す。
【0045】
図8を参照すると、プロセスツール800は、複数のロードロック804が結合されたファクトリインタフェース802(FI)を含む。クラスタツール806は、ファクトリインタフェース802に結合される。クラスタツール806は、1以上のプラズマエッチングチャンバ(例えば、プラズマエッチングチャンバ808)を含む。レーザスクライブ装置810もまた、ファクトリインタフェース802に結合される。プロセスツール800全体の設置面積は、一実施形態では、図8に示されるように、約3500ミリメートル(3.5メートル)×約3800ミリメートル(3.8メートル)であることができる。
【0046】
一実施形態では、レーザスクライブ装置810は、フェムト秒ベースのレーザを収容する。フェムト秒ベースのレーザは、ハイブリッドレーザ・エッチング個片化プロセスのレーザアブレーション部分(例えば、上述したレーザアブレーションプロセス)を実行するのに適している可能性がある。一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザに対してウェハ又は基板(又はそのキャリア)を移動させるために構成された可動ステージもまた、レーザスクライブ装置800に含まれる。特定の一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザもまた、移動可能である。レーザスクライブ装置810全体の設置面積は、一実施形態では、図8に示されるように、約2240ミリメートル×約1270ミリメートルであることができる。
【0047】
一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808は、パターニングされたマスク内のギャップを貫通してウェハ又は基板をエッチングして、これによって複数の集積回路を個片化するように構成される。このような一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808は、ディープシリコンエッチングプロセスを行うように構成される。特定の一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(商標名) Silvia(商標名)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板又はウェハの上又は中に収容された個別の集積回路を作成するために使用されるディープシリコンエッチング用に具体的に設計されてもよい。一実施形態では、高密度プラズマ源が、プラズマエッチングチャンバ808に含まれ、これによって高いシリコンエッチング速度を促進する。一実施形態では、複数のエッチングチャンバが、プロセスツール800のクラスタツール806の部分に含まれ、これによって個片化又はダイシングプロセスの高い製造スループットを可能にする。
【0048】
ファクトリインタフェース802は、レーザスクライブ装置810を有する外部の製造施設とクラスタツール806との間をインタフェース接続するのに適した大気ポートであってもよい。ファクトリインタフェース802は、ウェハ(又はそのキャリア)を格納ユニット(例えば、正面開口式カセット一体型搬送・保管箱(FOUP))からクラスタツール806又はレーザスクライブ装置810のいずれか又はその両方へ搬送するためのアーム又はブレードを備えたロボットを含むことができる。
【0049】
クラスタツール806は、個片化の方法において機能を実行するのに適した他のチャンバを含むことができる。例えば、一実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに、堆積チャンバ812が含まれる。堆積チャンバ812は、ウェハ又は基板のレーザスクライビングの前に、ウェハ又は基板のデバイス層の上又は上方へのマスク堆積用に構成することができる。このような一実施形態では、堆積チャンバ812は、フォトレジスト層を堆積するのに適している。別の一実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに、ウェット/ドライステーション814が含まれる。ウェット/ドライステーションは、基板又はウェハのレーザスクライブ・プラズマエッチング個片化プロセスの後、残留物及び断片を洗浄する又はマスクを除去するのに適している場合がある。一実施形態では、計測ステーションもまた、プロセスツール800の構成要素として含まれる。
【0050】
本発明の一態様では、(例えば、約100ミクロン以下の厚さを有する)薄い基板が、ハイブリッドレーザアブレーション・プラズマエッチング個片化プロセス内に収容される。このような一実施形態では、薄い基板は、基板キャリア上に支持される。例えば、図9は、本発明の一実施形態に係る、個片化プロセス中に薄いウェハを支持するのに適した基板キャリアの平面図を示す。
【0051】
図9を参照すると、基板キャリア900は、テープリング904に囲まれたバッキングテープ902の層を含む。ウェハ又は基板906(例えば、薄いウェハ又は基板)は、基板キャリア900のバッキングテープ902によって支持される。一実施形態では、ウェハ又は基板906は、ダイアタッチフィルムによってバッキングテープ902に取り付けられる。一実施形態では、テープリング904は、ステンレス鋼で構成される。
【0052】
一実施形態では、個片化プロセスは、基板キャリア(例えば、基板キャリア900)を受容する大きさのシステム内に収容することができる。このような一実施形態では、システム(例えば、システム800)は、システムの設置面積に影響を与えることなく、薄いウェハフレームを収容することができ、もしもそうでないならば、基板キャリアによって支持されない基板又はウェハを収容するような大きさとなる。一実施形態では、システム800は、直径300ミリメートルのウェハ又は基板を収容する大きさである。図9に示されるように、同じシステムは、約幅380ミリメートル×長さ380ミリメートルのウェハキャリアを収容することができる。
【0053】
本発明の一態様では、基板キャリアは、個片化プロセスの間、エッチングチャンバ内に収容される。一実施形態では、基板キャリア上の薄いウェハ又は基板を含むアセンブリは、フィルムフレーム(例えばテープリング904)及びフィルム(例えば、バッキングテープ902)に影響を与える(例えば、エッチングする)ことなく、プラズマエッチングリアクタに供される。更に、本発明の態様は、エッチングプロセス中に組合せのフィルムとフィルムフレーム(基板キャリア)によって支持されたウェハ又は基板の搬送・支持に取り組む。本発明の実施形態は、一例が以下に記載されているロボットエンドエフェクタ、キャプチャリング、又は保護板の使用を含んでもよい。
【0054】
エンドエフェクタは、個片化プロセスのエッチング部分の間に基板キャリアを収容するために使用することができる。例えば、図10A及び図10Bは、本発明の一実施形態に係る、基板キャリアによって支持された薄いウェハ又は基板をハンドリングするためのエンドエフェクタの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0055】
図10A及び図10Bを参照すると、基板キャリアをハンドリングするためのエンドエフェクタ1000(例えば、ロボットブレード)は、XY方向の支持用の支持端部1002、X方向の支持用の支持端部1004、及びZ方向の支持用の支持面1006を含む。キャリブレーション又はセンタリングリング1008もまた含まれる。図10C及び図10Dは、本発明の一実施形態に係る、基板キャリア(右側)を支持するエンドエフェクタ(左側)の平面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0056】
図10C及び図10Dを参照すると、エンドエフェクタ1000は、基板キャリア(例えば、上述の基板キャリア900)を支持して描かれている。一実施形態では、ロボットエンドエフェクタ1000は、サブ大気圧(真空)下でエッチングリアクタへ/からの搬送の間、フィルムフレームアセンブリ(例えば、基板キャリア900)を支持する。エンドエフェクタ1000は、XYZ軸内で基板キャリアを重力の助けによって支持するための構造を含む。エンドエフェクタ1000はまた、処理ツールの円形構造(例えば、エッチングカソードの中心、又は円形のシリコンウェハの中心)に対してエンドエフェクタをキャリブレーションし、センタリングする構造も含む。
【0057】
キャプチャリングは、個片化プロセスのエッチング部分の間、基板キャリアを収容するために使用することができる。例えば、図11A及び図11Bは、本発明の一実施形態に係る、基板キャリアによって支持された薄いウェハ又は基板をハンドリングするためのキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0058】
図11A及び図11Bを参照すると、キャプチャリング1100は、基板キャリアを支持するための受け取り領域1102を含む。フレーム1104は、受け取り領域1102を取り囲む。フレームは、ピン受け構造1106(例えば、穴と対立するものとして部分的なスロット)及びスロット1108などの搬送プロセスに適した構造を含むことができる。キャプチャリングは、ロボットエンドエフェクタからプラズマリアクタへ基板キャリアを搬送するための大きさにすることができる。例えば、図11C及び図11Dは、本発明の一実施形態に係る、基板キャリアを支持するエンドエフェクタを収容するキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。図11C及び図11Dを参照すると、キャプチャリング1100は、スロット1108内で基板キャリア900を支持するエンドエフェクタ1000を収容する。
【0059】
キャプチャリング1100は、一実施形態では、基板キャリアの外縁部でフィルムフレーム又は基板キャリアを支持し、ロボットエンドエフェクタから離して、エッチングカソード上へと基板キャリアを搬送することができる。このように、キャプチャリング1100は、ロボットエンドエフェクタと干渉することなく、裏面及び外縁部からフィルムフレーム又は基板キャリアをハンドリングするように形作られている。一実施形態では、このアプローチは、支持される薄いウェハ又は基板に対して、機械的な応力をほとんど乃至まったく与えない。一例として、図11Eは、本発明の一実施形態に係る、エッチングチャンバ内部で、エンドエフェクタとキャプチャリングとの間の受け渡しのための動作シーケンスを示す。
【0060】
図11Eを参照すると、位置1は、基板キャリア900を支持し、空のキャプチャリング1100の上に配置された、ロードされたエンドエフェクタ1000を示す。位置2は、基板キャリア900を現在支持しているロードされたキャプチャリング1100の下方に配置された空のエンドエフェクタ1000を示す。このように、一実施形態では、エンドエフェクタ1000からキャプチャリング1100への基板キャリア900の搬送は、エンドエフェクタ1000の下方の位置(例えば、位置1)からエンドエフェクタ1000の上方の位置(例えば、位置2)までキャプチャリング1100を移動させることによって実行される。
【0061】
エッチングカソードは、個片化プロセスのエッチング部分の間、基板キャリアを収容する大きさにすることができる。例えば、図12A及び図12Bは、本発明の一実施形態に係る、基板キャリアと共に使用するための互換性のあるエッチングカソードの平面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0062】
図12A及び12Bを参照すると、エッチングカソード1200は、外側のより薄いリング部1202と、内側のより厚い円筒部1204を含む単一体で構成される。エッチングカソード1200は、ピン受け構造1206(例えば、部分的なスロットと対立するものとしての穴)などの搬送処理に適した構造を含むことができる。一実施形態では、エッチングカソード1200は熱的に制御される。一実施形態では、エッチングカソード1200は、電気的にも熱的にも伝導性であり、耐エッチング誘電体コーティングを含む。
【0063】
カバーリングは、エッチングカソード1200と結合され、これによってキャプチャリングを支持し、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202からキャプチャリングを離間させることができる。例えば、図12C及び図12Dは、本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッチングカソード、カバーリング、及びキャプチャリングの平面図及び側面図をそれぞれ示す。図12C及び図12Dを参照すると、キャプチャリング1100は、エッチングカソード1200の内側のより厚い円筒部1204を部分的に囲むようにセンタリングされる。カバーリング1210は、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202を覆い、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202からキャプチャリング1100を離間させる。
【0064】
図12Eは、本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッチングカソード、カバーリング、キャプチャリング、及び基板キャリア(フレームのみ)の平面図を示す。図12Eを参照すると、キャプチャリング1100は、エッチングカソード1200の内側のより厚い円筒部1204を部分的に取り囲むようにセンタリングされる。カバーリング1210は、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202を覆い、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202からキャプチャリング1100を離間させる。基板キャリア(明確化のためにキャリアフレーム904だけが図示される)は、エッチングカソード1200の内側のより厚い円筒部1204とセンタリングされる。このように、一実施形態では、エッチング電極1200は、プラズマ処理中に基板キャリアを支持するのに適した装置である。一実施形態では、基板キャリアは、エッチング電極の内側のより厚い円筒部によって支持される。一実施形態では、エッチング電極は、基板キャリアとのRF及び熱結合がプラズマエッチングを可能にするように構成される。しかしながら、一実施形態では、エッチング電極のみが、図12Eに示されるアセンブリと一致する基板キャリアのフレームではなく、基板キャリアのバッキングテープ部分と接触する。
【0065】
保護板は、個片化プロセスのエッチング部分の間、基板キャリアの一部を保護するために使用することができる。例えば、図13A及び図13Bは、本発明の一実施形態に係る、薄いウェハ又は基板を支持する基板キャリアを保護するための保護板の平面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0066】
図13A及び図13Bを参照すると、保護板1300は、基板キャリアの一部又は領域(例えば、基板キャリアのフレーム部)を保護するように形成される。一実施形態では、保護板1300は、中央開口部1304を有する環状リング1302である。環状リング1302は、ピン受け構造1306(例えば、穴と対立するものとして部分的なスロット)などの搬送処理に適した構造を含むことができる。一実施形態では、保護板1300は、エッチングプロセスの間、バッキングテープ領域(例えば、ウェハ又は基板を支持する領域)を露出させながら基板キャリアのフレーム部を覆うために使用される。このような特定の一実施形態では、保護板は、プラズマエッチングの間、基板キャリアのフレームを覆い、また、バッキングテープ又は基板キャリアのフィルムを薄いウェハ又は基板の縁部まで覆い、これによって支持されたウェハ又は基板によって覆われない基板キャリアの露出部分上へのエッチング攻撃を防止する。
【0067】
図13C及び図13Dは、本発明の一実施形態に係る、組み立てられたエッチングカソード、カバーリング、キャプチャリング、基板キャリア、及び保護板の平面図及び側面図をそれぞれ示す。図13C及び13Dを参照すると、キャプチャリング1100は、エッチングカソード1200の内側のより厚い円筒部1204を部分的に囲むようにセンタリングされる。カバーリング1210は、エッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202を覆い、キャプチャリング1100をエッチングカソード1200の外側のより薄いリング部1202から離間させる。ウェハ又は基板1350を支持する基板キャリア900は、エッチングカソード1200の内側のより厚い円筒部1204とセンタリングされる。このように、一実施形態では、エッチング電極1200は、プラズマ処理中に基板キャリアを支持するのに適した装置である。一実施形態では、基板キャリア900は、エッチング電極1200の内側のより厚い円筒部1204によって支持される。保護リング1300は、エッチングプロセスに対してウェハ又は基板1350を曝露させながら、基板キャリア900の少なくとも一部を覆う。
【0068】
保護板(例えば、保護リング)を含む例示的な一実施形態は、以下のようである。保護板アセンブリは、保護板、リフトフープ、リフトフープと保護板との間に結合された3以上の支持ピンを含む。
【0069】
リフトフープは、支持アセンブリの半径方向外側の処理容積内に配置される。リフトフープは、シャフト上に実質的に水平方向に取り付けられる。シャフトはアクチュエータによって駆動され、これによってリフトフープを処理容積内で鉛直方向に移動させる。3以上の支持ピンは、リフトフープから上方に延びており、支持アセンブリの上に保護板を配置する。3以上の支持ピンは、保護板をリフトフープに固定して取り付けることができる。保護板は、リフトフープによって処理容積内を鉛直方向に移動し、これによって保護板は、基板の上方に所望の距離で配置することができ、及び/又は外部基板ハンドリング装置(例えば、基板キャリア)が、保護板と支持アセンブリの間の処理容積に入り、基板(例えば、薄化された半導体ウェハ)を搬送することができる。
【0070】
3以上の支持ピンは、支持ピン間で処理チャンバの内外に基板を搬送することができるように配置することができる。一実施形態では、3以上の支持ピンの各々は、複数の支持脚のうちの1つに近接して配置される。
【0071】
一実施形態では、保護板は、支持アセンブリの直径よりも大きく、チャンバ壁の内側の寸法よりも若干小さいサイズの平板であり、これによって保護板は、処理容積内で処理ガス又はプラズマの下方への流れを阻止することができる。一実施形態では、チャンバ壁は円筒状であり、保護板は、チャンバ壁の内径よりも僅かに小さい外径を有する円形のディスクであることができる。一実施形態では、保護板は、中央領域の近傍に形成された開口部を有する。保護板は、支持アセンブリの上面に対して実質的に平行に配置することができる。開口部は、静電チャックの凸部と位置合わせすることができる。開口部は、処理ガス又は活性種に対して制限された経路を提供することができ、基板が配置される凸部に向かって下方にガスを導くので、基板の、又はおそらく最も重要なことには基板キャリアのプラズマ曝露を制御する。
【0072】
開口部の形状は、処理される基板の形状と実質的に同様であることができる。例えば、開口部の形状は、円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、平面を有する円形、六角形、八角形、又は処理される基板上の任意の適切な形状の処理領域であることができる。一実施形態では、開口部は、基板の上面よりも僅かに小さく、これによって基板の縁部に保護を提供する。一実施形態では、保護板と凸部の上面との間の距離は、基板の所望のプラズマ曝露を達成するように調整することができる。別の一実施形態では、開口部の大きさは、基板の所望のプラズマ曝露を達成するように調整することができる。
【0073】
あるいはまた、開口部の距離及び大きさは、基板の所望のプラズマ曝露を達成するように共に調整することができる。開口部の大きさが、基板の大きさよりも僅かに小さい場合は、基板の端部を、上部の処理容積から下降する処理ガス内の任意の種から、保護板によって遮蔽することができる。同様に、開口部の大きさが、基板と本質的に同じ大きさであるが、支持基板キャリアよりも小さい場合は、基板キャリアを、上部の処理容積から下降する処理ガス内の任意の種から、保護板によって遮蔽することができる。一方、距離の変更もまた、保護板が基板にどのように影響するかを変化させることができる。
【0074】
一実施形態では、保護板は、イオンラジカルシールドの下方、支持アセンブリの上方に移動可能に位置する。保護板は、イオンラジカルシールドの平板を支持する複数の支持脚を収容する複数の貫通孔を有することができる。
【0075】
処理中、プラズマは通常、処理容積内で形成される。プラズマ中の種(例えば、ラジカル及びイオン)は、基板に向かって保護板の開口部を通過する。保護板は、物理的にプラズマ中の種をブロックすることにより、プラズマ中の種の衝撃から支持基板キャリアを保護する。保護板は、処理化学物質と相性の良い材料から形成することができる。一実施形態では、保護板は、とりわけ、石英又はセラミックス(例えば、アルミナ、イットリア(酸化イットリウム)、及びK140(京セラから入手可能な独自の材料))から形成される。一実施形態では、保護板(及びおそらく、本明細書内に記載される他のコンポーネント)は、コーティングされた金属(例えば、陽極酸化されたアルミニウム又はアルミニウム上にプラズマ溶射コーティングされたアルミナが挙げられるが、これらに限定されない)から構成される。特定のこのような実施形態では、コーティングされた金属を含むことは、保護板(及び/又は、これもまたコーティングされた金属から製造することができる、本明細書内に記載される他のコンポーネント)の電気的な通電を促進する。
【0076】
本発明の一態様では、エッチングリアクタは、基板キャリアによって支持された薄いウェハ又は基板のエッチングに適応するように構成される。例えば、図14は、本発明の一実施形態に係るエッチングリアクタの断面図を示す。
【0077】
図14を参照すると、エッチングリアクタ1400は、チャンバ1402を含む。エンドエフェクタ1404が、チャンバ1402へ/から基板キャリア1406を搬送するために含まれる。誘導結合プラズマ(ICP)源1408は、チャンバ1402の上方に位置する。チャンバ1402は、スロットルバルブ1410及びターボ分子ポンプ1412を更に備える。エッチングリアクタ1400はまた、カソードアセンブリ1414(例えば、エッチングカソード1300などのエッチングカソードを含むアセンブリ)、キャプチャリングアクチュエータ1416(例えば、キャプチャリング1100などのキャプチャリング用)、及び保護板又はリングアクチュエータ1418(例えば、保護板1300用)を含む。
【0078】
本発明の実施形態は、本発明の実施形態に係るプロセスを実行するように、コンピュータシステム(又は他の電子デバイス)をプログラミングするために使用することができる命令を内部に格納したマシン可読媒体を含むことができる、コンピュータプログラム製品、又はソフトウェアとして提供することができる。一実施形態では、コンピュータシステムは、図8に関連して説明された処理ツール800又は図14に関連して説明されたエッチングチャンバ1400に結合される。マシン可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形式で情報を記憶又は伝送する任意の機構を含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な記憶媒体(例えば、リードオンリーメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等)、マシン(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な伝送媒体(電気的、光学的、音響的又はその他の形式の伝搬信号(例えば、赤外線信号、デジタル信号等))等を含む。
【0079】
図15は、本明細書に記載される任意の1以上の方法をマシンに実行させるための命令セットを内部で実行することができるコンピュータシステム1500の例示的な形態におけるマシンの図表示を示す。代替の実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内で他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。マシンは、クライアント−サーバネットワーク環境におけるサーバ又はクライアントマシンの機能で、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作することができる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又はそのマシンによって取られる動作を特定する命令のセット(シーケンシャル又はそれ以外)を実行することができる任意のマシンであることができる。更に、単一のマシンのみが示されているが、用語「マシン」はまた、本明細書内に記載される任意の1以上の方法を実行する命令のセット(又は複数のセット)を個々に又は共同で実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合を含むと解釈すべきである。
【0080】
例示的なコンピュータシステム1500は、プロセッサ1502、メインメモリ1504(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)又はラムバスDRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ1506(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び二次メモリ1518(例えば、データ記憶装置)を含み、これらはバス1530を介して互いに通信する。
【0081】
プロセッサ1502は、1以上の汎用処理装置(例えば、マイクロプロセッサ、中央処理装置など)を表す。より具体的には、プロセッサ1502は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実行するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実行するプロセッサであることができる。プロセッサ1502は、1以上の特殊目的処理装置(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなど)であることも可能である。プロセッサ1502は、本明細書に記載の操作を実行するための処理ロジック1526を実行するように構成される。
【0082】
コンピュータシステム1500は更に、ネットワークインターフェースデバイス1508を含むことができる。コンピュータシステム1500は、ビデオディスプレイユニット1510(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力装置1512(例えば、キーボード)、カーソル制御装置1514(例えば、マウス)、及び信号生成装置1516(例えば、スピーカ)も含むことができる。
【0083】
二次メモリ1518は、本明細書に記載の1以上の方法又は機能の何れかを具現化する1以上の命令セット(例えば、ソフトウェア1522)を格納するマシンアクセス可能な記憶媒体(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)1531を含むことができる。ソフトウェア1522はまた、コンピュータシステム1500、メインメモリ1504及びプロセッサ1502(これらもまたマシン可読記憶媒体を構成している)によるその実行中に、メインメモリ1304内及び/又はプロセッサ1502内に、完全に又は少なくとも部分的に常駐することもできる。ソフトウェア1522は更に、ネットワークインターフェースデバイス1508を介してネットワーク1520上で送信又は受信されることができる。
【0084】
マシンアクセス可能な記憶媒体1531は、例示的な一実施形態では単一の媒体であることが示されているが、用語「マシン可読記憶媒体」は、1以上の命令セットを格納する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むように解釈されるべきである。用語「マシン可読記憶媒体」はまた、マシンによる実行用命令セットを格納又はエンコードすることができ、本発明の1以上の方法の何れかをマシンに実行させる任意の媒体を含むようにも解釈されるべきである。したがって、用語「マシン可読記憶媒体」は、固体メモリ、光・磁気メディアを含むが、これらに限定されないように解釈されるべきである。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、マシンアクセス可能な記憶媒体は、複数の集積回路を有する半導体ウェハをダイシングする方法をデータ処理システムに実行させる命令を内部に記憶している。この方法は、集積回路を覆い、保護する層からなるマスクを、半導体ウェハの上に形成する工程を含む。半導体ウェハは、基板キャリアによって支持される。その後、マスクは、レーザスクライブプロセスによってパターニングされ、これによって集積回路間の半導体ウェハの領域を露出させるギャップを有するパターニングされたマスクを提供する。その後、半導体ウェハは、パターニングされたマスク内のギャップを貫通してエッチングされ、これによって基板キャリアによって支持されながら、集積回路を個片化する。
【0086】
このように、各ウェハが複数の集積回路を有する半導体ウェハをダイシングする方法が開示された。本発明の一実施形態によると、本方法は、集積回路を覆い、保護する層を含むマスクを、基板キャリアによって支持される半導体ウェハ上に形成する工程を含む。本方法はまた、レーザスクライビングプロセスによってマスクをパターニングし、これによって集積回路間の半導体ウェハの領域を露出させるギャップを有するパターニングされたマスクを提供する工程を含む。本方法はまた、基板キャリアによって支持されながら、パターニングされたマスク内のギャップを貫通して半導体ウェハをエッチングし、これによって集積回路を個片化する工程を含む。一実施形態では、本方法は更に、エッチング前に、半導体ウェハの少なくとも一部を露出させたままにする保護板によって、基板キャリアの一部を覆う工程を含む。一実施形態では、半導体ウェハは、約100ミクロン以下の厚さを有する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15