特許第6248321号(P6248321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248321
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20171211BHJP
   G02B 27/22 20060101ALI20171211BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20171211BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02B27/22
   G02F1/1335 510
   G02F1/13363
【請求項の数】18
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-180081(P2015-180081)
(22)【出願日】2015年9月11日
(62)【分割の表示】特願2013-538653(P2013-538653)の分割
【原出願日】2011年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-28283(P2016-28283A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0117226
(32)【優先日】2011年11月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0110092
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0110093
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0110096
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0057830
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0124411
(32)【優先日】2010年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0111757
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0111758
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】セオ、エウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、シン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラー、キュン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムーン スー
(72)【発明者】
【氏名】チャエ、スン フン
【審査官】 小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−502371(JP,A)
【文献】 特表2013−530414(JP,A)
【文献】 特開2015−129954(JP,A)
【文献】 特開2010−152296(JP,A)
【文献】 特開2008−063397(JP,A)
【文献】 特開2008−239569(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071383(WO,A2)
【文献】 特表2012−512934(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/067809(WO,A1)
【文献】 特開2009−109968(JP,A)
【文献】 特開2008−197310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子であり、
陽イオン重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化された状態で含む接着剤層によって付着している偏光子及び液晶層を含み、上記液晶層は、面内における遅相軸方向の屈折率と進相軸方向の屈折率の差が0.05〜0.2であり、厚さが0.5μm〜2.0μmであり、また、多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物を含み、上記単官能性重合性液晶化合物は、上記多官能性重合性液晶化合物100重量部に対して0重量部超過且つ100重量部以下の量で液晶層に含まれ、
前記陽イオン重合性化合物は、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物よりなる群から選択された1つ以上のエポキシ化合物であり、
前記液晶層は、互いに異なる位相遅延特性を有する少なくとも一つの第1領域及び少なくとも一つの第2領域を含み、
前記接着剤層は、下記一般式1によるゲル分率が80%以上であり、
上記液晶層の初期位相差値に対して上記光学素子を80℃で100時間放置した後の上記液晶層の位相差値の変化量の百分率をXとしたときに下記一般式2を満たし、且つ、上記液晶層の初期位相差値に対して上記光学素子を80℃で250時間放置した後の上記液晶層の位相差値の変化量の百分率をXとしたときにも下記一般式2を満たす、光学素子:
[一般式1]
ゲル分率=B/A×100
前記一般式1で、Aは、接着剤層の質量であり、Bは、前記質量Aの接着層を常温で48時間ジメチルホルムアミドに沈積させた後に採取した不溶解分の乾燥質量である。
[一般式2]
X<8%
【請求項2】
上記陽イオン重合性化合物は、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物を含む、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
上記脂環式エポキシ化合物は、エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物;ジカルボキシル酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル系化合物;ポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物;ジエポキシトリスピロ系化合物;ジエポキシモノスピロ系化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド化合物;エポキシシクロペンチルエーテル化合物またはジエポキシトリシクロデカン化合物である、請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
上記脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価カルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリカルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合によって得られるダイマー、オリゴマーまたはポリマー;またはグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと他のビニル系単量体のビニル重合によって得られるオリゴマーまたはポリマーである、請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
上記芳香族エポキシ化合物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールエポキシまたはレゾルシノールグリシジルエーテルである、請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
上記接着剤組成物は、下記化学式11で表示される化合物をさらに含む、請求項1から5の何れか1項に記載の光学素子:
[化学式11]
【化11】
上記化学式11で、Rは、ケイ素原子に結合されている陽イオン重合性官能基であって、ビニル基、環状エーテル基またはビニルオキシ基を含む官能基であり、Rは、ケイ素原子に結合されている水素、ヒドロキシ基、アルキル基またはアルコキシ基であり、nは、1〜4の数である。
【請求項7】
上記接着剤組成物は、化学式11で表示される化合物を陽イオン重合性化合物100重量部に対して0.1重量部〜5重量部で含む、請求項6に記載の光学素子。
【請求項8】
上記接着剤組成物は、陽イオン開始剤をさらに含む、請求項1から7の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項9】
上記接着剤組成物は、オキセタン化合物をさらに含む、請求項1から8の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項10】
上記接着剤層は、ガラス転移温度が40℃以上である、請求項1から9の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項11】
上記接着剤層は、厚さが6μm以下である、請求項1から10の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項12】
上記重合性液晶化合物は、下記化学式13で表示される化合物である、請求項1から11の何れか1項に記載の光学素子:
[化学式13]
【化13】
上記化学式13で、Aは、単結合、−COO−または−OCO−であり、R〜R10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、−O−Q−Pまたは下記化学式14の置換基であり、且つ、R〜R10のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pまたは下記化学式14の置換基であるか、R〜Rのうち隣接する2個の置換基またはR〜R10のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記で、Qは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である:
[化学式14]
【化14】
上記化学式14で、Bは、単結合、−COO−または−OCO−であり、R11〜R15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または−O−Q−Pであり、且つ、R11〜R15のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pであるか、R11〜R15のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記で、Qは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【請求項13】
上記第1領域及び上記第2領域は、互いに異なる方向に形成された光軸を有する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項14】
上記第1領域の光軸と上記第2領域の光軸が成す角度を二等分する線は、偏光子の光吸収軸と垂直または水平を成す方向に形成されている、請求項13に記載の光学素子。
【請求項15】
上記偏光子の一面に形成されており、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa〜0.08MPaであり、多官能性架橋剤で架橋されたアクリル重合体の架橋構造を含む粘着剤層をさらに有する、請求項1から14の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項16】
上記偏光子の一面に形成されており、25℃での貯蔵弾性率が0.08MPaを超過し、多官能性架橋剤で架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造及び重合された活性エネルギー線重合性化合物を含む架橋構造を有する粘着剤層をさらに含む、請求項1から14の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項17】
請求項1から16の何れか1項に記載の光学素子を含む立体映像表示装置。
【請求項18】
左眼用映像信号と右眼用映像信号を生成することができる表示素子をさらに含み、光学素子の液晶層は、互いに異なる位相遅延特性を有する第1領域及び第2領域を含み、上記光学素子は、液晶層の上記第1領域及び上記第2領域のうちいずれか一方の領域は、上記左眼用映像が透過することができ、他方の領域は、上記右眼用映像が透過することができるように配置されている、請求項17に記載の立体映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び立体映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を互いに偏光状態が異なる2種類以上の光に分割する技術は、多様な分野において有用に使用されることができる。
【0003】
上記光分割技術は、例えば、立体映像の製作に適用されることができる。立体映像は、両眼時差を利用して具現することができる。例えば、2つの2次元映像を人間の左眼と右眼にそれぞれ入力すれば、入力された情報が脳に伝達及び融合され、人間は、3次元的な遠近感と実際感を感じるようになるが、このような過程で、上記光分割技術は、使用されることができる。
【0004】
立体映像の生成技術は、3次元計測、3Dテレビ、カメラまたはコンピュータグラフィックなどにおいて有用に使用されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学素子及び立体映像表示装置を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な光学素子は、偏光子と液晶層を含み、また、前記偏光子と液晶層を付着させている接着剤層を含むことができる。
本発明の例示的な立体映像表示装置は、前記光学素子を含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的な光学素子は、光分割素子、例えば、入射される光を互いに偏光状態が異なる2種類以上の光に分割する素子であることができる。上記光学素子は、例えば、立体映像を具現するのに使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な光学素子を示す模式図である。
図2】液晶層の第1及び第2領域の例示的な配置を示す模式図である。
図3】液晶層の第1及び第2領域の例示的な配置を示す模式図である。
図4】液晶層の第1及び第2領域の例示的な光軸の配置を示す模式図である。
図5】例示的な光学素子を示す模式図である。
図6】例示的な光学素子を示す模式図である。
図7】例示的な光学素子を示す模式図である。
図8】例示的な立体映像表示装置を示す模式図である。
図9】RG及びLG領域の例示的な配置を示す模式的な図である。
図10】RG及びLG領域の例示的な配置を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、光学素子に関する。例示的な光学素子は、偏光子と液晶層を含み、また、上記偏光子と液晶層を付着させている接着剤層を含むことができる。
【0010】
上記接着剤層は、陽イオン重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化された状態で含むことができる。本明細書において用語「硬化」は、組成物に含まれている成分の物理的または化学的作用ないし反応を通じて上記組成物が接着性または粘着性を発現する過程を意味することができる。また、上記で「活性エネルギー線硬化型」は、上記硬化が活性エネルギー線の照射によって誘導される類型の組成物を意味することができる。上記で「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線はもちろん、アルファ−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、中性子ビーム (neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームが含まれることができ、通常的には、紫外線または電子線などが使用されることができる。
【0011】
上記接着剤組成物は、陽イオン重合性化合物を含むことができ、これにより、例えば、活性エネルギー線の照射による陽イオン重合反応によって硬化する接着剤組成物であることができる。
【0012】
陽イオン重合性化合物としては、例えば、陽イオン重合性エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、オキソラン(oxolane)化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン(thiirane)化合物、チオビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル(spirortho ester)化合物、エチレン性不飽和化合物、環状エーテル化合物または環状チオエーテル化合物などが例示されることができ、好ましくは、陽イオン重合性のエポキシ化合物が使用されることができる。
【0013】
陽イオン重合性エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物または脂肪族エポキシ化合物のうち一種または二種以上が例示されることができる。1つの例示で、上記陽イオン重合性化合物は、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物を同時に含むことができる。
【0014】
用語「脂環式エポキシ化合物」は、脂環式エポキシ基を1つ以上含む化合物を意味する。本明細書において脂環式エポキシ基は、脂肪族飽和炭化水素環を有し、上記環を構成する2個の炭素原子がまたエポキシ基を構成している官能基を意味する。
【0015】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物;ジカルボキシル酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル系化合物;ポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物;ジエポキシトリスピロ系化合物;ジエポキシモノスピロ系化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド化合物;エポキシシクロペンチルエーテル化合物またはジエポキシトリシクロデカン化合物などが例示されることができる。上記化合物は、例えば、それぞれ下記化学式1〜10で表示される化合物などが例示されることができる。
【0016】
[化学式1]
【化1】
【0017】
上記化学式1でR及びRは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示す。
【0018】
[化学式2]
【化2】
【0019】
上記化学式2でR及びRは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示し、nは、2〜20の整数を示す。
【0020】
[化学式3]
【化3】
【0021】
上記化学式3でR及びRは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示し、pは、2〜20の整数を示す。
【0022】
[化学式4]
【化4】
【0023】
上記化学式4でR及びRは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示し、qは、2〜20の整数を示す。
【0024】
[化学式5]
【化5】
【0025】
上記化学式5でR及びR10は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示し、rは、2〜20の整数を示す。
【0026】
[化学式6]
【化6】
【0027】
上記化学式6でR11及びR12は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示す。
【0028】
[化学式7]
【化7】
【0029】
上記化学式7でR13及びR14は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示す。
【0030】
[化学式8]
【化8】
【0031】
上記化学式8でR15は、水素またはアルキル基を示す。
【0032】
[化学式9]
【化9】
【0033】
上記化学式9でR16及びR17は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基を示す。
【0034】
[化学式10]
【化10】
【0035】
上記化学式10でR18は、水素またはアルキル基を示す。
【0036】
本明細書において用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の直鎖状、分岐状または環状の置換または非置換されたアルキル基を意味することができる。また、本明細書において特定官能基に置換されてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはアリール基などが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート化合物、アルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート化合物、ジカルボキシル酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル化合物またはアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル化合物などが好ましく使用されることができ、具体的には、7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシル酸と(7−オキサ−ビシクロ[4、1、0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物(上記化学式1でR及びRが水素である化合物);4−メチル−7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシル酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4、1、0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物(上記化学式2で、Rが4−CHであり、Rが4−CHである化合物);7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシル酸と1、2−エタンジオールとのエステル化物(上記化学式3でR及びRが水素であり、nが1である化合物);(7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸のエステル化物(上記化学式4でR及びRが水素であり、pが2である化合物);(4−メチル−7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸のエステル化物(上記化学式4でR及びRが4−CHであり、pが2である化合物);及び(7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプト−3−イル)メタノールと1、2−エタンジオールのエーテル化物(上記化学式6でR及びR10が水素であり、rが1である化合物)よりなる群から選択された1つ以上が好ましく使用されることができる。
【0038】
脂環式エポキシ化合物としては、2官能型エポキシ化合物、すなわち2個のエポキシを有する化合物を使用することが好ましく、上記2個のエポキシ基がいずれも脂環式エポキシ基である化合物を使用することがさらに好ましいが、これに限定されるものではない。
【0039】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基ではない脂肪族エポキシ基を有するエポキシ化合物が例示されることができる。例えば、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価カルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリカルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合によって得られるダイマー、オリゴマーまたはポリマー;またはグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと他のビニル系単量体のビニル重合によって得られるオリゴマーまたはポリマーが例示されることができ、好ましくは、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテルが使用されることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
上記で脂肪族多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4の脂肪族多価アルコールが例示されることができ、例えば、エチレングリコール、1、2−プロパンジオール、1、3−プロパンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2、4−ペンタンジオール、2、4−ペンタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、2、4−ジエチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、3、5−ヘプタンジオール、1、8−オクタンジオール、2−メチル−1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、1、10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなどの脂環式ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトル類、 ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパンなどが例示されることができる。
【0041】
また、上記でアルキレンオキシドとしては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレンオキシドが例示されることができ、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどが使用されることができる。
【0042】
また、上記で脂肪族多価カルボキシル酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3、8−ジメチルデカン二酸、3、7−ジメチルデカン二酸、1、20−エイコサメチレンジカルボキシル酸、1、2−シクロペンタンジカルボキシル酸、1、3−シクロペンタンジカルボキシル酸、1、2−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、3−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、4−ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン、1、2、3−プロパントリカルボキシル酸、1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシル酸、1、2、3、4−シクロブタンテトラカルボキシル酸などが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0043】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を含まず、また、3個以上のエポキシ基、好ましくは、3個のエポキシ基を含む化合物を使用することが、硬化性、耐候性及び屈折率特性などを考慮するとき、適切であるが、これに限定されるものではない。
【0044】
また、上記芳香族エポキシは、分子内に芳香族基を含むエポキシ化合物であって、例えば、ビスフェノールA系エポキシ、ビスフェノールF系エポキシ、ビスフェノールSエポキシ、ブロム化ビスフェノール系エポキシのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールエポキシ、レゾルシノールグリシジルエーテルなどが使用されることができる。
【0045】
例示的な接着剤組成物は、陽イオン重合性官能基を有するシラン化合物をさらに含むことができる。上記シラン化合物を必要に応じて適切に含ませて、接着剤の表面エネルギーを調節し、接着力を向上させることができる。シラン化合物としては、例えば、下記化学式11で表示される化合物を使用することができる。
【0046】
[化学式11]
【化11】
【0047】
上記化学式11でRは、ケイ素原子に結合されている陽イオン重合性官能基であり、Rは、ケイ素原子に結合されている官能基であって、水素、ヒドロキシ基、アルキル基またはアルコキシ基であり、nは、1〜4の数である。
【0048】
上記陽イオン重合性官能基としては、ビニル基などのようなアルケニル基、グリシジル基またはオキセタニル基などのような環状エーテル基(cyclic ether)またはビニルオキシ基などや上記環状エーテル基またはビニルオキシ基を含む官能基などが例示されることができる。
【0049】
また、上記化学式11でアルコキシ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基が例示されることができる。上記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状または環状であることができ、置換されているか、または非置換された状態であることができる。
【0050】
また、上記化学式12で好ましくは、1または2であることができる。
【0051】
化学式11の化合物としては、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシ、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランなどが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
上記シラン化合物としては、分子鎖の末端がアルコキシシリル基で封鎖される比較的低分子量のシリコーン樹脂であるシロキサンオリゴマーの分子内に前述した陽イオン重合性官能基が導入されているオリゴマータイプのシラン化合物をも使用されることができる。
【0053】
接着剤組成物は、シラン化合物を陽イオン重合性化合物100重量部に対して0.1重量部〜10重量部、または0.1重量部〜5重量部の比率で含むことができる。上記範囲で接着剤層が適切な表面エネルギー及び接着性を示すことができる。本明細書において単位重量部は、特に別途規定しない限り、各成分間の重量の比率を意味する。
【0054】
接着剤組成物は、硬化反応を開始させるための成分であって、陽イオン開始剤をさらに含むことができる。陽イオン開始剤としては、例えば、活性エネルギー線の照射によって陽イオン重合を開始させることができる成分を放出する陽イオン光開始剤を使用することができる。
【0055】
陽イオン光開始剤としては、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系イオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系やその他非イオン化化合物などのような非イオン化陽イオン光開始剤を使用することができる。オニウム塩系開始剤としては、 ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)またはアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などが例示されることができ、有機金属塩系開始剤としては、鉄アレン(iron arene)などが例示されることができ、有機シラン系開始剤としては、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルペロキシド(triaryl silyl peroxide)またはアシルシラン(acyl silane)などが例示されることができ、潜在性硫酸系開始剤としては、a−スルホニルオキシケトンまたはa−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示されることができるが、これに限定されるものではない。また、上記陽イオン開始剤としては、ヨード系開始剤と光増感剤の混合物を使用することもできる。
【0056】
陽イオン開始剤としては、イオン化陽イオン光開始剤を使用することが好ましく、オニウム塩系イオン化陽イオン光開始剤を使用することがより好ましく、トリアリールスルホニウム塩系イオン化陽イオン光開始剤を使用することがさらに好ましいが、これに限定されるものではない。
【0057】
接着剤組成物は、陽イオン開始剤を陽イオン重合性化合物100重量部に対して0.01重量部〜20重量部、0.01重量部〜10重量部、0.01重量部〜5重量部の比率で含むことができるが、これは、硬化効率などを考慮して変更されることができる。
【0058】
接着剤組成物は、必要に応じて、硬化後の密着性の向上の観点から陽イオン重合性のオキセタン化合物を上記エポキシ化合物にさらに含むことができる。
【0059】
オキセタン単量体は、分子構造内に4員環エーテル基を有する化合物であり、具体的には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1、4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタンまたはフェノールノボラックオキセタンなどが例示されることができる。オキセタン化合物としては、例えば、東亜合成社製「アロンオキセタンOXT−101」、「アロンオキセタンOXT−121」、「アロンオキセタンOXT−211」、「アロンオキセタンOXT−221」または「アロンオキセタンOXT−212」などを使用することができる。
【0060】
接着剤組成物は、オキセタン単量体を陽イオン重合性化合物100重量部に対して10重量部〜60重量部または20重量部〜50重量部の比率で含むことができるが、これは、目的する物性などを考慮して変更されることができる。
【0061】
接着剤組成物は、また、光増感剤をさらに含むことができる。光増感剤としては、アントラセン化合物、ピレン化合物、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物または光還元性色素などが例示されることができる。光増感剤は、例えば、組成物に含まれる陽イオン重合性成分100重量部に対して10重量部以下の比率で使用されることができる。
【0062】
光増感剤としては、例えば、下記化学式12で示すアントラセン化合物;ピレン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、a、a−ジメトキシ−a−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2、4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイルベンゾイン酸メチル、4、4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、a、a−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラリル化合物またはハロゲン化合物などが例示されることができる。
【0063】
[化学式12]
【化12】
【0064】
上記化学式12で、R19及びR20は、それぞれ独立的にアルキル基またはエーテル基を示し、R21は、水素またはアルキル基を示す。
【0065】
上記化学式12でR19、R20及びR21に来ることができるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基などが例示されることができる。
【0066】
また、R19及びR20に来ることができるエーテル基としては、炭素数2〜18のエーテル基であって、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−フェノキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、3−フェノキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチルエチル基、2−メトキシ−2−メチルエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基または2−フェノキシエチル基などが例示されることができる。化学式15でエーテル基は、上記例示から分かるように、1個以上のエーテル結合を有する炭化水素基を意味し、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基などが含まれる概念である。
【0067】
光増感剤としては、上記化学式12でR19及びR20が炭素数1〜4のアルキル基であり、R21が水素または炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましく使用されることができる。
光増感剤は、目的する添加効果を考慮して適切な重量の比率で使用されることができる。
【0068】
接着剤層は、上記接着剤組成物を硬化させて形成することができる。接着剤組成物は、例えば、陽イオン重合反応が開始され得るように活性エネルギー線を照射する方式で硬化させることができる。活性エネルギー線を照射する光源は、特に制限されないが、波長400nm以下で発光分布を有する活性エネルギー線を照射することができる光源が好ましく、低圧、中圧、高圧または超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯またはメタルハライドランプなどが例示されることができる。活性エネルギー線の照射強度は、組成物の組成によって決定され、特に制限されないが、開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1mW/cm〜6,000mW/cmであることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm以上なら、反応時間が過度に長くならないし、6000mW/cm以下なら、光源から輻射される熱と組成物の硬化時の発熱による黄変または劣化を防止することができる。照射時間は、硬化される組成物によって制御されるもので、特に制限されないが、上記の照射強度と照射時間の積で示す積算光量が10mJ/cm〜10,000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cm以上なら、開始剤から由来する活性種の量を十分に維持し、硬化反応をさらに確実に進行させることができ、10,000mJ/cm以下なら、照射時間が過度に長くならないので、良好な生産性を維持することができる。
【0069】
上記接着剤層は、また、ゲル分率が80%以上、85%以上または90%以上であることができる。接着剤層のゲル分率は、下記一般式1によって計算されることができる。
【0070】
[一般式1]
ゲル分率=B/A×100
【0071】
上記一般式1でAは、接着剤の質量であり、Bは、上記質量Aの接着剤を常温で48時間ジメチルホルムアミドに沈積させた後に採取した不溶解分の乾燥質量である。
【0072】
上記で常温は、加温されるかまたは減温されない自然そのままの温度であって、例えば、約10℃〜約30℃、約20℃〜25℃、約25℃または約23℃の温度を意味することができる。
【0073】
また、上記で不溶解分の乾燥質量というのは、エチルアセテートに沈積させた後に収得した不溶解分を乾燥させて、上記不溶解分に含まれている溶剤であるジメチルホルムアミドを除去した後に測定した質量を意味することができる。上記乾燥条件は、特に制限されず、不溶解分に含まれている溶剤が実質的に完全に除去され得るように選択されればよい。
【0074】
接着剤層のゲル分率を上記範囲内に維持し、耐久性及び接着性を適切な水準に維持することができる。
上記接着剤は、ガラス転移温度が40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上または90℃以上であることができる。上記ガラス転移温度を有する接着剤で液晶層と偏光子を付着させて、耐久性に優れた光学素子を提供することができる。また、上記接着剤は、液晶層の位相遅延特性を安定的に維持させることができる。また、上記ガラス転移温度の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、約200℃、約150℃または約120℃程度であることができる。
【0075】
上記接着剤は、また、厚さが6μm以下、5μm以下または4μm以下であることができる。このような厚さで液晶層との接着性及び液晶層の位相遅延特性の耐久性が適切に維持されることができる。上記で接着剤の厚さの下限は、例えば、0.1μm、0.3μmまたは0.5μmであることができる。
【0076】
上記光学素子は、上記接着剤層によって付着している偏光子及び液晶層を含む。図1は、例示的な光学素子1の模式図であって、偏光子12、接着剤層11及び液晶層13が順次に形成されている例を示す。
【0077】
光学素子に含まれる偏光子の種類は、特に制限されない。偏光子としては、例えば、一軸または二軸延伸され、ヨードまたは二色性染料が吸着配向されているポリビニルアルコール偏光子などのような通常的な種類を使用することができる。偏光子のポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、ゲル化されたポリビニルアセテート樹脂が例示されることができる。ポリビニルアセテート樹脂としては、ビニルアセテートの単独重合体またはビニルアセテートと他の共単量体の共重合体が使用されることができる。他の共単量体としては、不飽和カルボキシル酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類及びアンモニウム基を有するアクリルアミド類などが例示されることができる。ポリビニルアルコール樹脂のゲル化度は、通常的に85モル%〜100モル%などであり、好ましくは、98モル%以上であることができる。ポリビニルアルコール樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類に変性されたポリビニルホルマールまたはポリビニルアセタルなどをも使用されることができる。
【0078】
上記液晶層は、面内における遅相軸方向の屈折率と面内における進相軸方向の屈折率の差が0.05〜0.2、0.07〜0.2、0.09〜0.2または0.1〜0.2の範囲であることができる。上記で面内における遅相軸方向の屈折率は、液晶層の平面で最も高い屈折率を示す方向の屈折率を意味し、進相軸方向の屈折率は、液晶層の平面上で最も低い屈折率を示す方向の屈折率の差を意味することができる。通常的に光学異方性の液晶層において進相軸と遅相軸は、互いに垂直する方向に形成されている。上記それぞれの屈折率は、550nmまたは589nmの波長の光に対して測定した屈折率であることができる。
【0079】
上記液晶層は、また、厚さが約0.5μm〜2.0μmまたは約0.5μm〜1.5μmであることができる。
【0080】
上記屈折率の関係と厚さを有する液晶層は、適用される用途に適した位相遅延特性を具現することができる。1つの例示で、上記屈折率の関係と厚さを有する液晶層は、光分割用光学素子に適していることができる。
【0081】
上記液晶層は、多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物を含むことができ、上記化合物は、重合された形態で液晶層に含まれていてもよい。
【0082】
本明細書において用語「多官能性重合性液晶化合物」は、メソゲン(mesogen)骨格などを含んで液晶性を示し、また、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。1つの例示で、上記多官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を2個〜10個、2個〜8個、2個〜6個、2個〜5個、2個〜4個、2個〜3個または2個含むことができる。
【0083】
また、本明細書において用語「単官能性重合性液晶化合物」は、メソゲン骨格などを含んで液晶性を示し、また、1個の重合性官能基を含む化合物を意味することができる。
【0084】
また、本明細書において「液晶層に重合された形態で含まれている液晶化合物」は、上記液晶化合物が重合され、液晶層内で液晶高分子を形成している状態を意味することができる。
【0085】
液晶層が多官能性及び単官能性重合性化合物を含む場合、液晶層にさらに優れた位相遅延特性を付与することができ、具現された位相遅延特性、例えば、液晶層の光軸及び位相遅延数値などが苛酷条件でも安定的に維持されることができる。
【0086】
1つの例示で、上記重合性液晶化合物は、下記化学式13で表示される化合物であることができる。
【0087】
[化学式13]
【化13】
【0088】
上記化学式13でAは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R〜R10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であり、且つ、R〜R10のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、R〜Rのうち隣接する2個の置換基またはR〜R10のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記で、Qは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0089】
[化学式14]
【化14】
【0090】
上記化学式14でBは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R11〜R15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または−O−Q−Pであり、且つ、R11〜R15のうち少なくとも1つは、−O−QPであるか、R11〜R15のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記でQは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0091】
上記化学式13及び14で隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成するということは、隣接する2個の置換基が互いに連結され、全体的に−O−Q−Pで置換されたナフタレン骨格を形成することを意味することができる。
【0092】
上記化学式14でBの左側の"−"は、Bが化学式1のベンゼンに直接連結されていることを意味することができる。
【0093】
上記化学式13及び14で用語「単一結合」は、AまたはBで表示される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。例えば、化学式1でAが単一結合の場合、Aの両側のベンゼンが直接連結され、ビフェニル(biphenyl)構造を形成することができる。
【0094】
上記化学式13及び14でハロゲンとしては、塩素、ブロムまたはヨードなどが例示されることができる。
【0095】
本明細書において用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基または炭素数3〜20、炭素数3〜16または炭素数4〜12のシクロアルキル基を意味することができる。上記アルキル基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0096】
本明細書において用語「アルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味することができる。上記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルコキシ基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0097】
また、本明細書において用語「アルキレン基またはアルキリデン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜12、炭素数4〜10または炭素数6〜9のアルキレン基またはアルキリデン基を意味することができる。上記アルキレン基またはアルキリデン基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルキレン基またはアルキリデン基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0098】
また、本明細書においてアルケニル基は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基を意味することができる。上記アルケニル基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルケニル基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0099】
また、上記化学式13及び14でPは、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であり、より好ましくは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であり、さらに好ましくは、アクリロイルオキシ基であることができる。
【0100】
液晶層は、単官能性重合性液晶化合物を多官能性重合性液晶化合物100重量部に対して0重量部超過100重量部以下、1重量部〜90重量部、1重量部〜80重量部、1重量部〜70重量部、1重量部〜60重量部、1重量部〜50重量部、1重量部〜30重量部または1重量部〜20重量部で含むことができる。
【0101】
上記範囲内で多官能性及び単官能性重合性液晶化合物の混合効果を極大化することができ、また、上記液晶層が上記接着剤層と優れた接着性を示すようにすることができる。本明細書において特に別途規定しない限り、単位重量部は、重量の比率を意味することができる。
【0102】
上記多官能性及び単官能性重合性液晶化合物は、水平配向された状態で含まれていてもよい。本明細書において用語「水平配向」は、重合された液晶化合物を含む液晶層の光軸が液晶層の平面に対して約0度〜約25度、約0度〜約15度、約0度〜約10度、約0度〜約5度または約0度の傾斜角を有する場合を意味することができる。本明細書において用語光軸は、入射光が当該領域を透過するときの進相軸または遅相軸を意味することができる。
【0103】
1つの例示で上記光学素子は、入射される光を互いに偏光状態が異なる2種類以上の光に分割する素子であることができる。このような素子は、例えば、立体映像を具現するために使用することができる。
【0104】
このために、例えば、上記液晶層は、互いに異なる位相遅延特性を有する第1及び第2領域を含むことができる。本明細書において第1領域と第2領域の位相遅延特性が互いに異なるということは、第1及び第2領域がいずれもに位相遅延特性を有する領域である状態で上記第1及び第2領域が互いに同一であるかまたは異なる方向に形成されている光軸を有し、また、位相遅延数値が互いに異なる領域である場合及び互いに同一の位相遅延数値を有し、異なる方向に形成されている光軸を有する場合が含まれることができる。他の例示では、第1及び第2領域の位相遅延特性が異なるということは、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、位相遅延特性を有する領域であり、他の領域は、位相遅延特性がない光学的に等方性である領域である場合をも含まれることができる。このような場合の例としては、上記液晶層が液晶層が形成されている領域と形成されていない領域を共に含む形態を有することができる。第1または第2領域の位相遅延特性は、例えば、上記液晶化合物の配向状態、液晶層の上記屈折率関係または液晶層の厚さを調節して制御することができる。
【0105】
1つの例示で上記第1領域(A)と第2領域(B)は、図2に示されたように、互いに共通する方向に延長するストライプ形状を有しながら互いに隣接して交互に配置されているか、または図3に示されたように、格子パターンで互いに隣接して交互に配置されていてもよい。
【0106】
上記光学素子が立体映像を表示するのに使用される場合、上記第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、左眼用映像信号偏光調節領域(以下、「LC領域」と称することができる。)であり、他方の領域は、右眼用映像信号偏光調節領域(以下、「RC領域」と称することができる。)であることができる。
【0107】
1つの例示で上記第1及び第2領域を含む液晶層によって分割される、互いに異なる偏光状態を有する2種以上の光は、実質的に互いに垂直する方向を有する直線偏光された2種の光を含むか、または左円偏光された光及び右円偏光された光を含むことができる。
【0108】
本明細書において角度を定義するに際して、垂直、水平、直交または平行などの用語を使用する場合、特に別途規定しない限り、上記それぞれは、実質的な垂直、水平、直交、または平行を意味するもので、例えば、製造誤差(error)または偏差(variation)などを勘案した誤差を含むものである。したがって、例えば、上記それぞれの場合、約±15度以内の誤差、好ましくは、約±10度以内の誤差、より好ましくは、約±5度以内の誤差を含むことができる。
【0109】
1つの例示で上記第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光の偏光軸を回転させずに、そのまま透過させる領域であり、他方の領域は、入射光の偏光軸を他の領域を透過した光の偏光軸に対して直交する方向に回転させて透過させることができる領域であることができる。このような場合には、上記液晶層において重合性液晶化合物を含む領域は、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域にのみ形成されていてもよい。上記で液晶層が形成されていない領域は、空きの空間であるか、ガラスまたは光学的等方性である樹脂層または樹脂フィルムまたはシートが形成されていてもよい。
【0110】
他の例示で第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光を左円偏光された光に変換して透過させることができる領域であり、他方の領域は、入射光を右円偏光された光に変換して透過させることができる領域であることができる。この場合、上記第1及び第2領域は、互いに同一の位相遅延数値を示しながら互いに異なる方向に形成された光軸を有する領域であるか、または一方の領域は、入射される光を当該波長の1/4波長だけ遅延させることができる領域であり、他方の領域は、入射される光を当該波長の3/4波長だけ位相遅延させることができる領域であることができる。
【0111】
適切な例示で上記第1及び第2領域は、互いに同一の位相遅延数値、例えば入射される光を当該波長の1/4波長だけ位相遅延させることができる数値を有し、また、互いに異なる方向に形成されている光軸を有する領域であることができる。上記で互いに異なる方向に形成されている光軸の成す角度は、例えば垂直であることができる。
【0112】
上記第1及び第2領域が互いに異なる方向に形成されている光軸を有する領域である場合、第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線は、上記偏光子の吸収軸と垂直または水平を成すように形成されていることが好ましい。
【0113】
図4は、図2または図3の例示の第1及び第2領域A、Bが互いに異なる方向に形成された光軸を有する領域である場合の光軸の配置を説明するための例示的な図である。図4を参照すれば、第1及び第2領域A、Bの光軸が成す角度を二等分する線は、θ1+θ2の角度を二等分する線を意味することができる。例えば、θ1及びθ2が同一の角度なら、上記二等分線は、第1及び第2領域A、Bの境界線Lと水平を成す方向に形成されることができる。また、上記で第1及び第2領域の光軸が成す角度、すなわちθ1+θ2は、例えば、90度であることができる。
【0114】
上記のような光学素子は、下記一般式1の条件を満たすことができる。
【0115】
[一般式1]
X<8%
【0116】
上記一般式1でXは、上記光学素子の液晶層の初期位相差値に対して上記光学素子を80℃で100時間または250時間放置した後の上記液晶層の位相差値の変化量の百分率である。
【0117】
上記Xは、好ましくは、7%以下、6%以下または5%以下であることができる。上記位相差値の変化量は、下記実施例で提示された方法で測定することができる。
【0118】
上記光学素子は、上記液晶層の接着剤層側とは反対側に形成されている基材層をさらに含むことができる。上記基材層は、液晶層が形成される基材層であることができる。基材層は、単層または多層構造であることができる。基材層がさらに含まれる場合、上記液晶層が上記接着剤によって偏光子と付着されていてもよい。図5は、基材層51をさらに含む光学素子5を例示的に示す図である。
【0119】
基材層としては、例えば、ガラス基材層またはプラスチック基材層を使用することができる。プラスチック基材層としては、TAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのようなセルロース樹脂;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin polymer);PMMA(poly(methylmethacrylate)などのアクリル樹脂;PC(polycarbonate);PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィン;PVA(polyvinylalcohol);PES(polyethersulfone);PEEK(polyetheretherketon);PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate)などのポリエステル;PI(polyimide);PSF(polysulfone);またはフッ素樹脂などを含むシートまたはフィルムが例示されることができる。
【0120】
上記基材層、例えば、プラスチック基材層は、上記液晶層に比べて低い屈折率を有することができる。例示的な基材層の屈折率は、約1.33〜約1.53の範囲である。基材層が液晶層に比べて低い屈折率を有するようにすれば、例えば、輝度向上、反射防止及びコントラスト特性向上などに有利である。
【0121】
上記プラスチック基材層は、光学的に等方性であるか、あるいは、異方性であることができる。上記で基材層が光学的に異方性である場合、上記基材層の光軸は、前述した第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線と垂直または水平になるように配置されることが好ましい。
【0122】
1つの例示で上記基材層は、紫外線遮断剤または紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線遮断剤または吸収剤を基材層に含ませれば、紫外線による液晶層の劣化などを防止することができる。紫外線遮断剤または吸収剤としては、サリチル酸エステル(salicylic acid ester)化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)化合物、オキシベンゾフェトン(oxybenzophenone)化合物、ベンゾトリアゾール(benzotriazol)化合物、シアノアクリレート(cyanoacrylate)化合物またはベンゾアート(benzoate)化合物などのような有機物または酸化亜鉛(zinc oxide)またはニッケル錯塩(nickel complex salt)などのような無機物が例示されることができる。基材層内の紫外線遮断剤または吸収剤の含量は、特に制限されず、目的効果を考慮して適切に選択することができる。例えば、プラスチック基材層の製造過程で上記紫外線遮断剤または吸収剤を、基材層の主材料に対する重量の比率で約0.1重量%〜25重量%程度で含ませることができる。
【0123】
基材層の厚さは、特に制限されず、目的する用途によって適切に調節されることができる。基材層は、単層または多層構造であることができる。
【0124】
例示的な光学素子は、上記基材層と液晶層との間に存在する配向層をさらに含むことができる。配向層は、光学素子の形成過程で液晶化合物を配向させる役目をする層であることができる。配向層としては、この分野で公知されている通常の配向層、例えば、光配向層またはラビング配向層などが使用されることができる。上記配向層は、任意的な構成であり、場合によって、基材層を直接ラビングするか、延伸する方式で配向層なしに配向性を付与することもできる。光学素子は、また、上記偏光子の上部に付着している保護層をさらに含むことができる。図6は、偏光子12の上部に付着している保護層61をさらに含む光学素子6を例示的に示す図である。
【0125】
上記保護層は、例えば、TAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのようなセルロース樹脂フィルム;PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリエーテルスルホンフィルム;アクリルフィルムまたはポリエチレン、ポリプロピレンまたは環状オレフィン樹脂フィルムなどのようなポリオレフィン系フィルムなどであるか、硬化されてハード層を形成している樹脂層などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
上記光学素子は、また、上記偏光子の一面に配置されている位相遅延層をさらに含むことができる。上記位相遅延層は、1/4波長位相遅延層または1/2波長位相遅延層であることができる。用語1/4または1/2波長位相遅延層は、入射される光を当該波長の1/4または1/2波長だけ位相遅延させることができる位相遅延素子を意味することができる。このような構造の光学素子は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)に適用され、光分割機能及び反射防止機能を具現する素子として有用に使用されることができる。上記位相遅延層としては、例えば、延伸工程などによって複屈折性を付与した高分子フィルムや重合性液晶化合物を重合させて形成した液晶層が使用されることができる。
【0127】
上記光学素子は、また、上記偏光子の一面に形成されている粘着剤層をさらに含むことができる。上記粘着剤層は、例えば、上記光学素子を光学機器、例えば、液晶表示装置の液晶パネルや立体映像表示装置の映像表示素子に付着する粘着剤層であることができる。図7は、偏光子12の上部に粘着剤層71が形成された光学素子7を例示的に示す図である。
【0128】
上記粘着剤層は、25℃で貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上、0.05MPa以上、0.06MPa以上、0.07MPa以上、0.08MPa、0.08MPa超過または0.09MPa以上であることができる。上記粘着剤の貯蔵弾性率の上限は、特に制限されるものではない。例えば、上記貯蔵弾性率は、0.25MPa以下、0.2MPa以下、0.16MPa以下、0.1MPa以下または0.08MPa以下であることができる。
【0129】
粘着剤層が上記貯蔵弾性率を示す場合、光学素子が優れた耐久性を示し、したがって、例えば、上記位相遅延層の位相遅延特性が長期間且つ苛酷な条件下でも安定的に維持され、安定的な光分割特性を示すことができ、光学素子が適用された光学機器において光漏れなどのような副作用をも防止されることができる。また、光学素子の硬度特性が向上し、外部の圧力やスクラッチなどに対して優れた抵抗性を示し、再作業性をも適切に維持されることができる。
【0130】
上記粘着剤層は、厚さが25μm以下、20μm以下または18μm以下であることができる。粘着剤層が上記厚さを有する場合、上記耐久性、硬度特性及び再作業性などがさらに向上することができる。粘着剤層は、厚さが薄いほど優れた物性を示すもので、その厚さの下限は、特に制限されないが、工程性などを考慮して、例えば、約1μm以上または約5μm以上の範囲で調節することができる。
【0131】
粘着剤層は、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤、エポキシ粘着剤またはゴム系粘着剤などを含むことができる。
【0132】
粘着剤層がアクリル粘着剤を含む場合に、上記粘着剤は、例えば、熱硬化性成分、活性エネルギー線硬化性成分または熱硬化性成分と活性エネルギー線硬化性成分をすべて含む粘着剤組成物を硬化させて形成することができる。
【0133】
上記で用語「硬化」は、粘着物性が発現され得るようにする粘着剤組成物の化学的または物理的状態の変化を意味することができる。また、上記で熱硬化性成分及び活性エネルギー線硬化性成分は、上記のような硬化がそれぞれ適切な熱の付加または活性エネルギー線の照射によって誘導される成分を意味することができる。
【0134】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、多官能性架橋剤によって架橋された状態のアクリル重合体を含むことができる。
【0135】
多官能性架橋剤によって架橋されるアクリル重合体としては、例えば、重量平均分子量(Weight Average Molecular Weight)が50万以上のアクリル重合体を使用することができる。本明細書において重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定された標準ポリスチレンに対する換算数値である。また、本明細書においては、特に別途規定しない限り、用語「分子量」は、「重量平均分子量」を意味する。重合体の分子量を50万以上にして、苛酷条件下で優れた耐久性を有する粘着剤層を形成することができる。上記分子量の上限は、特に制限されず、例えば、耐久性や、組成物のコーティング性を考慮して、250万以下の範囲で調節することができる。
【0136】
1つの例示で上記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び架橋性単量体を重合単位で含む重合体であることができる。
【0137】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレートを使用することができ、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度または粘着性を考慮して、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどが例示されることができ、上記のうち一種または二種以上が使用されることができる。
【0138】
上記重合体は、また、架橋性単量体を重合単位でさらに含むことができる。上記重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部を重合単位で含むことができる。上記で「架橋性単量体」は、アクリル重合体を形成する他の単量体と共重合されることができ、共重合後に重合体に架橋性官能基を提供することができる単量体を意味する。上記架橋性官能基は、後述する多官能性架橋剤と反応して架橋構造を形成することができる。
【0139】
架橋性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはアミノ基のような窒素含有官能基などが例示されることができる。粘着樹脂の製造時に上記のような架橋性官能基を付与することができる共重合性単量体は、多様に公知されている。架橋性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのようなヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などのカルボキシル基含有単量体または(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどの窒素含有単量体などが例示されることができ、上記のうち1種または2種以上の混合を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0140】
上記アクリル重合体には、必要に応じて他の多様な単量体が重合単位で含まれてもよい。他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ブトキクシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート;またはビニルアセテートのようなカルボキシル酸ビニルエステルなどが例示されることができる。このような追加的な単量体は、全体重量比率が他の単量体に対して20重量部以下の範囲で調節されることができる。
【0141】
アクリル重合体は、前述の各成分を必要に応じて選択及び配合した単量体の混合物を溶液重合、光重合、塊状(bulk)重合、懸濁(suspension)重合または乳化(emulsion)重合のような重合方式に適用して製造することができる。
【0142】
粘着剤層内で上記のようなアクリル重合体を架橋させている多官能性架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤のような一般的な熱硬化性架橋剤が例示されることができる。上記でイソシアネイト架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物であるか、または上記多官能性イソシアネート化合物をトリメチロールプロパンなどのようなポリオール化合物と反応させた化合物などが例示されることができる。エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N'、N'−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された1つ以上が例示されることができ、アジリジン架橋剤としては、N、N'−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N'−ジフェニルメタン−4、4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された1つ以上が例示されることができ、金属キレート架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムまたはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物なとが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0143】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物または該組成物で形成された粘着剤層内に、上記多官能性架橋剤は、例えば、上記アクリル重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部または0.01重量部〜5重量部で含まれてもよい。架橋剤の比率を0.01重量部以上に調節し、粘着剤の凝集力を効果的に維持し、また、10重量部以下に調節すれば、粘着界面で層間剥離や浮き上り現象が発生する現象を防止し、耐久性を優秀に維持することができる。しかし、上記比率は、目的する弾性率などの物性や、粘着剤層などに他の架橋構造の包含有無などによって変更されることができる。
【0144】
活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を含むことができる。上記粘着剤層は、例えば、活性エネルギー線の照射によって重合反応に参加することができる官能基、例えば、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などを1つ以上含む化合物を配合して粘着剤組成物を製造した後、該組成物に活性エネルギー線を照射し、上記成分を架橋及び重合させることによって形成することができる。上記で活性エネルギー線の照射によって重合反応に参加することができる官能基を有する化合物の例としては、上記アクリル重合体の側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの官能基を導入した重合体;ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートまたはポリエーテルアクリレートなどのように当業界においていわゆる活性エネルギー線硬化型オリゴマーとして知られている化合物または後述する多官能性アクリレートなどが例示されることができる。
【0145】
熱硬化性成分及び活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、上記多官能性架橋剤で架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造及び上記重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を同時に含むことができる。
【0146】
このような粘着剤層は、いわゆる相互浸透高分子ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network;以下、「IPN」)を含む粘着剤である。用語「IPN」は、粘着剤層内に少なくとも2個以上の架橋構造が存在する状態を意味することができ、1つの例示において、上記架橋構造は、互いに絡んでいる状態(entanglement)、または連結(linking)または浸透(penetrating)している状態で存在することができる。粘着剤層がIPNを含む場合、苛酷条件で耐久性に優れていて、また作業性や、光漏れまたはクロストークの抑制能に優れた光学素子が具現されることができる。
【0147】
IPNを含む粘着剤層には、上記多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体によって具現される架橋構造の多官能性架橋剤及びアクリル重合体としては、例えば上記熱硬化性成分を含む粘着剤組成物の項目で記述した成分が使用されることができる。
【0148】
また、重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造の上記活性エネルギー線重合性化合物としては、やはり上記記述した化合物が使用されることができる。
【0149】
1つの例示において、上記活性エネルギー線重合性化合物は、多官能性アクリレートであることができる。多官能性アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物なら、限定なしに使用することができる。例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン(fluorine)などのような2官能型アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)の6官能型アクリレートなどを使用することができる。
【0150】
多官能性アクリレートとしては、分子内に環状構造を含むものを使用することができる。多官能性アクリレートに含まれる環状構造は、炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれを使用してもよい。環状構造を含む多官能性アクリレートとしては、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体及びイソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0151】
IPNを含む粘着剤層内で上記架橋構造を形成している活性エネルギー線重合性化合物は、例えば、上記アクリル重合体100重量部に対して、5重量部〜40重量部で含まれることができるが、これは、必要に応じて変更されることができる。
【0152】
上記粘着剤層には、前述の成分にさらにこの分野において公知されている多様な添加剤が含まれてもよい。
【0153】
例えば、活性エネルギー線硬化性成分を含む組成物の場合、上記成分の重合反応などを促進するための光開始剤などをさらに含むことができる。また、上記粘着剤層は、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をもさらに含むことができる。
【0154】
上記粘着剤層は、例えば、上記記述した各成分を配合して製造された粘着剤組成物をバーコーターまたはコンマコーターなどの手段で塗布し、硬化させる方式を使用することができる。また、粘着剤組成物を硬化させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル重合体及び多官能性架橋剤の架橋反応が進行され得るように適正温度で組成物を維持する方式と活性エネルギー線硬化性化合物の重合が可能となるように活性エネルギー線を照射する工程により硬化させることができる。適正温度での維持及び活性エネルギー線の照射が同時に要求される場合、上記工程は、順次または同時に進行されることができる。上記で活性エネルギー線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などを使用して行うことができ、照射される活性エネルギー線の波長や光量などの条件は、上記活性エネルギー線硬化型化合物の重合が適切に行われることができる範囲で選択されることができる。
【0155】
1つの例示において、上記粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上または0.08MPa超過であるか、0.08MPa超過且つ0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaである粘着剤層であることができる。このような粘着剤層は、例えば、上記IPNを含む粘着剤層であることができる。
【0156】
他の例示において、上記粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa〜0.08MPaまたは0.04MPa〜0.08MPaである粘着剤層であることができる。このような粘着剤は、上記熱硬化性成分の架橋構造を含む粘着剤層であることができる。
【0157】
また、本発明は、光学素子の製造方法に関するものである。例示的な光学素子の製造方法は、前記液晶層と偏光子を前記接着剤を使用して付着する段階を含むことができる。
【0158】
上記で、液晶層は、例えば、基材層上に配向膜を形成し、上記配向膜に上記重合性液晶化合物を含む液晶組成物の塗布層を形成し、上記液晶組成物を配向させた状態で重合させて、液晶層を形成する方式で製造することができる。
【0159】
配向膜は、例えば、基材層にポリイミドなどの高分子膜を形成し、ラビング処理するか、または光配向性化合物をコーティングし、直線偏光の照射などを通じて配向処理する方式で形成することができる。この分野では、目的する配向パターン、例えば、上記第1及び第2領域のパターンを考慮して、配向膜を形成する多様な方式が公知されている。
【0160】
液晶組成物の塗布層は、組成物を公知の方式で基材層の配向膜上にコーティングして形成することができる。上記塗布層の下部に存在する配向膜の配向パターンによって配向させた後、重合させて液晶層を形成することができる。
【0161】
液晶層と偏光子を付着する方法も特に制限されない。例えば、上記記述した接着剤組成物を液晶層または偏光子の一面にコーティングし、上記コーティング層を介して液晶層と偏光子をラミネートした後、接着剤組成物を硬化させるか、または接着剤組成物を使用した液滴(dropping)方式によって液晶層と偏光子をラミネートし、接着剤組成物を硬化させる方式などを使用することができる。上記で接着剤組成物の硬化は、例えば、組成物に含まれている成分を考慮して適切な強度の活性エネルギー線を適切な光量で照射することによって行うことができる。
【0162】
上記製造方法は、上記過程にさらに上記保護層または1/4波長位相遅延層などの追加的な層を形成する過程をさらに含むことができ、上記過程を行う具体的な方式は、特に制限されない。
【0163】
また、本発明は、立体映像表示装置に関するものである。例示的な立体映像表示装置は、上記記述した光学素子を含むことができる。
【0164】
1つの例示で上記表示装置は、左眼用映像信号(以下、L信号)と右眼用映像信号(以下、R信号)を生成することができる表示素子をさらに含み、上記光学素子は、上記表示素子で生成されたL信号及びR信号が上記偏光子を先に透過した後、上記液晶層に入射されるように配置されていてもよい。他の例示では、上記液晶層に前述した位相遅延特性が互いに異なる第1及び第2領域が形成されており、上記第1及び第2領域のうちいずれか1つ領域は、上記L信号が透過されることができ、他の1つの領域は、上記R信号が透過され得るように配置されていてもよい。上記で光学素子は、R及びL信号は、表示素子から出射され、上記光学素子の偏光子を先に透過した後、さらに上記液晶層の各領域に入射されるように配置されていてもよい。
【0165】
立体映像表示装置は、上記光学素子を光分割素子として含む限り、この分野で公知された多様な方式がすべて適用されて製造されることができる。
【0166】
図8は、1つの例示的な上記装置であって、観察者が偏光メガネを着けて立体映像を観察することができる装置を例示的に表示する。
【0167】
図8に示されたように、上記装置8は、例えば、光源81、偏光板82、上記表示素子83及び上記光学素子84を順次含むことができる。
【0168】
上記で、光源81としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで一般的に使用される直下型またはエッジ型バックライトを使用することができる。
【0169】
1つの例示において、上記表示素子93は、行及び/または列方向に配列されている複数の単位画素を含む透過型液晶表示パネルであることができる。上記画素は、1つまたは2個以上で組み合わせられてR信号を生成する右眼用映像信号生成領域(以下、RG領域)及びL信号を生成する左眼用映像信号生成領域(以下、LG領域)を形成することができる。
【0170】
上記RG及びLG領域は、図9のように、それぞれ共通方向に延長するストライプ状を有しながら互いに隣接して交互に配置されているか、または、図10のように、格子パターンを成しながら互いに隣接して交互に配置されてもよい。上記光学素子94の液晶層842で上記第1及び第2領域は、それぞれLCまたはRC領域であって、上記RG及びLG領域の配置形態を考慮してRG領域から伝達されるR信号は、偏光子841を経てRC領域に入射され、L信号は、偏光子841を経てLC領域に入射され得るように配置されてもよい。
【0171】
表示素子83は、例えば光源81側から順次に配置された第1透明基板、画素電極、第1配向膜、液晶層、第2配向膜、共通電極、カラーフィルタ及び第2透明基板などを含む液晶パネルであることができる。上記パネルの光入射側、すなわち光源81側には、偏光板82が付着していて、その反対側には、上記光学素子84が付着していてもよい。偏光板82に含まれる偏光子と上記光学素子84に含まれる偏光子841は、例えば両方の吸収軸が互いに所定の角度、例えば90度を成すように配置されてもよい。これにより、光源81から射出される光が表示素子83を経て透過するか、あるいは遮断されるようにすることができる。
【0172】
駆動状態で表示装置8の光源81から無偏光された光が偏光板82側に出射されることができる。偏光板82に入射された光のうち、上記偏光板82の偏光子の光透過軸と平行な方向に偏光軸を有する光は、偏光板82を透過し、表示素子83に入射されることができる。表示素子83に入射され、RG領域を透過した光は、R信号になり、LG領域を透過した光は、L信号になり、光学素子84の偏光子841に入射される。
【0173】
偏光子841を経て液晶層842に入射された光のうちLC領域を透過した光とRC領域を透過した光は、互いに異なる偏光状態を有する状態でそれぞれ排出される。このように異なる偏光状態を有するR信号及びL信号は、偏光メガネを着けている観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射されることができ、これにより、観察者は、立体映像を観察することができる。
[発明を実施するための形態]
【0174】
以下、実施例及び比較例により上記光学素子をさらに詳しく説明するが、上記光学素子の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0175】
本実施例及び比較例で各物性は、下記のように評価した。
【0176】
1.接着力の評価
実施例及び比較例で製造されたもので、基材層、配向膜、液晶層、接着剤層及び偏光子が順次に形成された光学素子について上記偏光子を90度の剥離角度及び300m/minの剥離速度で剥離しながら、上記基材層に対する上記偏光子の剥離力を評価し、接着力を評価した。剥離実験は、製造された光学素子を幅が20mmであり、長さが100mmとなるように切断して行った。評価基準は、下記の通りである。
<評価基準>
O:剥離力が1N/cmを超過する場合
X:剥離力が1N/cm以下である場合
【0177】
2.ゲル分率測定
離型性PETシートの離型処理面に製造された接着剤組成物を硬化後の厚さが10μmとなるようにコーティングし、上記コーティング層の上部にさらに離型性PETの離型処理面をラミネートした後、紫外線の照射装置(Metal halide lamp)を使用して紫外線を照射(UVA領域、500mJ/cm)して形成された接着剤層を形成した。その後、接着剤約200mg(A)を採取した後、メッシュがある鉄網に入れ、約50mLのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)に48時間浸漬させた。その後、不溶解分を抽出し、上記を110℃に1日間乾燥させた後、重量(B)を測定し、上記一般式1によってゲル分率を評価した(ゲル分率(%)=B/A×100)。
【0178】
3.熱衝撃物性評価
実施例及び比較例で製造された光学素子を横及び縦の長さが10cmとなるように切断した後、粘着剤層を介してガラス基板に付着した。その後、光学素子を−40℃で1時間放置し、さらに80℃で1時間放置することを1サイクルにして100サイクルを繰り返した。その後、光学素子の外観変形有無を目視で観察し、変形がない場合をOに規定し、クラッチなどの変形が発生した場合をXに規定した。
【0179】
4.液晶層の耐久性評価
液晶層の耐久性は、実施例及び比較例により製造された光学素子に対して耐久テスト後に発生する位相差値の変化率を測定して評価した。具体的には、光学素子を横及び縦の長さが10cmとなるように切断した後、粘着剤層を介してガラス基板に付着し、耐熱条件である80℃で100時間または250時間放置した後、上記耐熱条件に放置される前の液晶層の位相差値に対して放置後の位相差値の減少量を百分率で換算し、下記表2に記載した。上記で、位相差値は、Axomatrix社のAxoscanを利用して製造社のマニュアルによって550nmの波長で測定した。
【0180】
耐久性評価時の基準は、下記の通りである。
<評価基準>
O:耐熱条件で100時間及び250時間放置後の位相差値の変化量がすべて8%未満の場合
X:耐熱条件で100時間及び250時間放置後の位相差値の変化量がいずれか1つの場合でも8%以上の場合
【0181】
5.クロストーク評価
立体映像の観察時にクロストーク率は、暗状態(Dark state)と明状態(Bright stat)での輝度の比率として定義されることができる。実施例及び比較例では、上記光学素子が偏光メガネ方式の立体映像表示装置に適用された場合を想定して、クロストーク率は、下記方式で測定する。光学素子を使用して図9に示されたような立体映像表示装置を構成する。その後、立体映像表示装置の通常の観測地点に立体映像観察用偏光メガネを位置させる。上記で通常の観測地点は、観察者が立体映像を観察する場合、立体映像表示装置の中央から上記立体映像表示装置の水平方向の長さの3/2倍に該当する距離だけ離れた地点であり、このような位置で偏光メガネは、観察者が表示装置の中央を観察することを仮定して、位置させる。上記で、立体映像表示装置の水平方向の長さは、観察者が立体映像を観察する状態を仮定するとき、上記観察者を基準にした水平方向の長さ、例えば、映像表示装置の横の長さであることができる。上記のような配置で、立体映像表示装置がL信号を出力するようにした状態で偏光メガネの左眼用及び右眼用レンズの背面に輝度計(装備名:SR−UL2 Spectrometer)を配置し、それぞれの場合の輝度を測定する。上記で左眼用レンズの背面で測定される輝度は、明状態の輝度であり、右眼用レンズの背面で測定される輝度は、暗状態の輝度である。各輝度を測定した後、明状態の輝度に対する暗状態の輝度の比率([暗状態の輝度]/[明状態の輝度])を百分率で求め、これをクロストーク率(Y)として規定することができる。また、クロストーク率は、上記と同一の方式で測定するが、立体映像表示装置がR信号を出力している状態で明及び暗状態での輝度を求めて測定することができる。この場合、左眼用レンズの背面で測定される輝度は、暗状態の輝度であり、右眼用レンズの背面で測定される輝度は、明状態の輝度であり、同一にその比率を百分率で求め、クロストーク率として規定することができる。
【0182】
6.位相差及び屈折率の評価
光学素子または液晶層の位相差及び屈折率の評価は、Axomatrix社のAxoscanを利用して製造社のマニュアルによって測定した。
【0183】
7.厚さ及び光学素子の横または縦長さの評価
光学素子の横または縦長さの測定は、3次元測定器であるインテックIMS社のPremium 600C及びIView Proプログラムを使用して測定した。また、厚さの測定は、薄膜表面で反射光と下部の界面で反射される光間の干渉現象または光の位相差を利用して薄膜の特性を評価することができる装備であるspectral reflectometerを利用して測定した
【0184】
製造例1.接着剤組成物(A)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)50重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(A)を製造した。
【0185】
製造例2.接着剤組成物(B)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)35重量部及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンOXA)15重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(B)を製造した。
【0186】
製造例3.接着剤組成物(C)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)45重量部及びビニルトリエトキシシラン5重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(C)を製造した。
【0187】
製造例4.接着剤組成物(D)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)45重量部及びビニルトリエトキシシラン10重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(D)を製造した。
【0188】
製造例5.接着剤組成物(E)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P、Dicel製)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)45重量部及びビニルアセテート10重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(E)を製造した。
【0189】
製造例6.接着剤組成物(F)の製造
脂環式エポキシ化合物(celloxide C2021P、Dicel製)25重量部、1、4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル25重量部、3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン(東亜合成製、アロンオキセタンDOX221)30重量部及びビニルトリエポキシシラン)20重量部を配合した組成物に上記組成物の固形分100重量部に対して5重量部の陽イオン開始剤(ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、CPI100P、Sanapro社製)をさらに配合し、接着剤組成物(E)を製造した。
【0190】
製造例7.液晶層(A)の製造
TAC基材(屈折率:1.49、厚さ:80,000nm)の一面に光配向膜形成用組成物を乾燥後の厚さが約1,000Åとなるようにコーティングし、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。上記で光配向膜形成用組成物としては、下記化学式14のシンナメート基を有するポリノルボルネン(分子量(M)=150,000)及びアクリル単量体の混合物を光開始剤(Igacure 907)と混合し、さらに当該混合物をトルエン溶媒にポリノルボルネンの固形分濃度が2wt%となるように溶解させて製造した組成物を使用した(ポリノルボルネン:アクリル単量体:光開始剤=2:1:0.25(重量比))。
【0191】
[化学式14]
【化14】
【0192】
次いで、上記乾燥した光配向膜形成用組成物を韓国特許出願第2010−0009723号に開示された方法によって配向処理し、異なる方向に配向された第1及び第2配向領域を含む光配向膜を形成した。具体的には、上記乾燥した組成物の上部に幅が約450μmであるストライプ形状の光透過部及び光遮断部が上下及び左右に交互に形成されているパターンマスクを位置させ、また、上記パターンマスクの上部には、それぞれ異なる偏光を透過させる2つの領域が形成された偏光板を位置させた。その後、上記光配向膜が形成されているTAC基材30を約3m/minの速度に移動させながら、上記偏光板及びパターンマスクを介して光配向膜形成用組成物に紫外線(300mW/cm)を約30秒間照射し、配向処理を行った。次いで、配向処理された配向層上に液晶層を形成した。具体的には、液晶組成物として下記化学式Aで表示される多官能性重合性液晶化合物70重量部及び下記化学式Bで表示される単官能性重合性液晶化合物30重量部を含み、適正量の光開始剤を含む液晶組成物を約1μmの乾燥厚さとなるように塗布し、下部の配向層に配向によって配向させた後、紫外線(300mW/cm)を約10秒間照射し、液晶を架橋及び重合させて、下部光配向膜の配向によって互いに直交する光軸を有する第1及び第2領域が形成されている液晶層を形成した。上記液晶層において遅相軸方向の屈折率と進相軸方向の屈折率の差は、約0.125であった。
【0193】
[化学式A]
【化A】
【0194】
[化学式B]
【化B】
【0195】
製造例8〜11.液晶層(B)〜液晶層(E)の製造 液晶組成物に含まれる多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物の重量比率を下記表1のように調節したことを除いて、製造例7と同一の方式で液晶層を製造した。
【0196】
【表1】
【0197】
実施例1
光学素子を次のような方式で製造した。まず、製造例7で製造された構造、すなわちTAC基材、配向膜及び液晶層Aが順次に形成された構造で上記液晶層を一面に透明保護フィルムが形成されているポリビニルアルコール系偏光子を含む偏光板の上記偏光子と接着剤組成物(A)を使用して付着した。具体的には、上記液晶層の面に上記接着剤組成物が硬化後の厚さが5μmとなるように塗布した後、その上部に上記偏光子をラミネートし、波長がUVA領域である紫外線を上記透明保護フィルム面に照射(500mJ/cm)して接着剤層を形成し、偏光子と液晶層を付着した。その後、上記偏光子の透明保護フィルムの一面に通常的なアクリル系粘着剤層を形成し、光学素子を製造した。
【0198】
実施例2〜7
液晶層及び接着剤組成物の種類、そして形成される接着剤層の厚さを下記表2のようになるように変更し、接着剤組成物が十分に硬化するように紫外線照射条件を調節したことを除いて実施例1と同様に光学素子を製造した。
【0199】
【表2】
【0200】
比較例1〜13
液晶層及び接着剤組成物の種類、そして形成される接着剤層の厚さを下記表3のようになるように変更し、接着剤の組成物が十分に硬化するように紫外線の照射条件を調節したことを除いて実施例1と同様に光学素子を製造した。
【0201】
【表3】
【0202】
実施例及び比較例の光学素子に対して上記記述した方法で評価した物性を下記表4及び表5にそれぞれ示した。
【0203】
【表4】
【0204】
【表5】
【0205】
試験例1.液晶層の屈折率関係及び厚さによる光分割特性の評価
液晶層の屈折率関係及び厚さによる光分割特性の評価のために、次のようなサンプルをそれぞれ製造した。具体的には、製造例7の場合と同一の方式で位相遅延層を形成し、且つ、液晶層を形成した後、遅相軸方向と進相軸方向で屈折率の差が0.03となるように液晶混合物の組成を調節し、厚さが約0.3μm、1μm及び2.5μmの液晶層をそれぞれ形成し、位相遅延層を製造した。また、製造例7と同一の液晶化合物を使用して同一の方式で位相遅延層を製造し、且つ厚さが約0.3μm及び2.5μmの液晶層をそれぞれ形成し、位相遅延層を製造した。また、製造例7と同一の方式で位相遅延層を形成し、且つ液晶層を形成した後、遅相軸方向と進相軸方向で屈折率の差が0.22となるように、液晶混合物の組成を調節し、厚さが約0.3μm、1μm及び2.5μmの液晶層をそれぞれ形成し、位相遅延層を製造した。その後、上記製造された位相遅延層を使用して実施例1と同一の方式で光学素子を製造し、その光学素子及び実施例1の光学素子を使用して立体映像を観察する場合のクロストーク率を評価し、下記表6に記載した。
【0206】
【表6】
【符号の説明】
【0207】
1、5、6、7、84 光学素子
11 接着剤層
12、841 偏光子
13、842 液晶層
51 基材層
61 保護層
71 粘着剤層
A 液晶層の第1領域
B 液晶層の第2領域
8 立体映像表示装置
81 光源
82 偏光板
83 表示素子
84 光学素子
L 液晶層の第1及び第2領域の境界線
LG 左眼用映像信号生成領域
RG 右眼用映像信号生成領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10