(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
<はじめに>
事故等での交通機関の麻痺や地震等の被災時といった緊急時又は有事の際(以下、有事も含めて緊急時という。)においては、運転状況、代替経路案内等の最新情報、避難経路、避難先といった緊急時の周辺情報のうち、各個人に適した周辺情報が必要となる。
【0013】
近年、ユーザのほとんどが各自の携帯電話やスマートフォン、タブレット端末といったモバイル端末を所持している。よって、ユーザは、外出先においてもモバイル端末を操作することで、ネットワークを介していつでも知りたい情報を閲覧することが可能である。しかしながら、モバイル端末は、バッテリーが充電できないために稼動時間が有限になるリスクや、アクセス集中に起因した通信負荷による通信障害のリスクを抱えている。そのため、緊急時には、電子の情報を「紙に出力して所持したい」という需要は少なからず生じる。
【0014】
しかしながら、
図1に示したように、多くのユーザが必要な情報を出力させるために、MFP100の操作部を操作しようとすると、ユーザが入力操作を行ってから必要な情報が印刷された紙を得るまでに多くの待ち時間が生じる。緊急時の際には同様のアクションをする多くのユーザの要求をMFP100側で受け付け、処理する必要がある。その結果、情報を出力するMFP100付近に人が集まって混雑する事態も生じ得る。
【0015】
また、用紙やトナー等のリソース不足により、緊急情報を示す紙が所望の出力枚数分MFP100から出力されない場合、例えばPC経由で各ユーザが実行した印刷の指示がキャンセルされる。それだけでなく、所持している紙情報を、MFP100を利用してコピーしようとしても出力(コピー)できず、リソースが補充されるまで紙媒体として情報の共有ができなくなる。
【0016】
例えば、
図2に示したように、緊急時に避難経路等の情報を自動出力することが可能なMFP100a、100bがある場合を想定する。ユーザは、各MFP100a、100bのサイネージ部100a1、100b1に表示されている内容から各MFP100a、100bで必要な情報が出力されていることを把握する。このとき、用紙やトナー等のリソースが不足していると緊急情報を紙に出力できない。その結果、その情報が欲しいユーザがMFP100a、100bの周辺に集まり、
図1の状態になって混乱を招くおそれがある。
【0017】
MFP100は、コンビニエンスストア等の店舗をはじめ、多くはオフィス内に設置され、業務に利用されることが多い。このため、多くの人が利用するMFP100において緊急時に情報の出力が可能なように、最適な出力枚数分の用紙をリソースとして確保しておく。
図3に示した例では、2Fには40人のフロアメンバーがいるため、MFP100aは、緊急時に40部の紙の出力が可能なように、緊急用に40枚の用紙を確保している。また、5Fには20人のフロアメンバーがいるため、MFP100aは、緊急用に20枚の紙の出力が可能なように緊急用に20枚の用紙を確保している。
【0018】
以下に説明する本実施形態に係る情報出力装置では、緊急時においてリソースの不足により緊急時に必要な情報を紙に印刷して出力することができない状況を回避し、必要な緊急時の情報を確実にユーザに提供する。
【0019】
以下では、情報出力装置の一例としてMFP100等の機器を挙げて説明する。本実施形態に係る情報出力装置は、ネットワーク機能を有し、取得した情報から最適化された情報を出力する。情報出力装置の他の例としては、通信機能を有するプリンタ,ファクシミリ装置,デジタル複写機,デジタル複合機等の画像形成装置が挙げられる。
【0020】
[MFPの機能構成]
まず、本発明の一実施形態に係るMFPの構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、一実施形態に係るMFPの機能構成図である。本実施形態に係るMFP100は、システム制御部2、画像メモリ部3、表示制御部4、読み取りデバイス部5、操作制御部6、画像加工部7、通信制御部8、印刷制御部9、緊急時出力リソース確保部10及び緊急時出力リソース開放部11を有している。各部は、システムバス1により接続されている。
【0021】
システムバス1は、システムを構成する各部を結ぶ経路である。システム制御部2は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、不揮発メモリに記憶されているプログラムをワークエリア(RAM等)に展開し、当該プログラムに従い各部を制御する。
【0022】
画像メモリ部3には、画像データや印刷データ等が格納される。表示制御部4は、システム制御部2から入力される表示データに基づき、画面上に各種表示を行う。表示制御部4は、緊急時に紙に自動出力する情報をサムネージや表示部へ表示する。読み取りデバイス部5は、スキャナ等を備え、光学的に情報を読み取る。
【0023】
操作制御部6は、各種機能キー等を備えたキーボード等を有し、押下されたキーの押下信号をシステム制御部2に伝える。画像加工部7は、入力された画像に対し、拡大縮小、回転等の画像処理を施し、画像処理した画像を印刷制御部9に出力する。通信制御部8は、外部に設定された管理サーバ等の機器と通信する。
【0024】
印刷制御部9は、感光ドラム、トナー、排紙部、給紙部等を備え、システム制御部2からの印刷指示に従い、印刷用紙を給紙部から搬送し、画像加工部7から入力された画像を印刷用紙に感光させる。印刷制御部9は、感光した印刷用紙にトナーを転写して定着させ、この印刷用紙を排紙する。印刷制御部9は、緊急時において、MFP100を用いて外部から取得した情報を出力する出力制御手段の一例である。
【0025】
緊急時出力リソース確保部10は、緊急時の情報の出力に備え、予め確保するリソース量を設定する。また、緊急時出力リソース確保部10は、設定されたリソース量の管理を行う。例えば、緊急時出力リソース確保部10は、リソース量の管理として、所定枚数の用紙の確保、必要に応じた通知、サムネージ等への表示の指示を行う。緊急時出力リソース確保部10は、緊急時に情報を出力するために確保するリソースの条件を設定するリソース確保手段の一例である。
【0026】
緊急時出力リソース開放部11は、リソースの開放条件に基づき、緊急時の情報出力のために確保したリソースの使用を許可する(リソースの開放)。また、緊急時出力リソース開放部11は、リソースの開放条件を設定する。緊急時出力リソース開放部11は、確保したリソースの開放条件に基づき、前記設定された条件に応じて確保されたリソースの使用を許可するリソース開放手段の一例である。
【0027】
[外部から取得する情報]
次に、MFP100が外部から取得する情報について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、一実施形態に係る緊急警報の情報の一例を示す。
図6は、一実施形態に係る交通機関の情報の一例を示す。緊急警報の情報及び交通機関の情報はいずれも、MFP100が外部から取得する情報の一例である。
【0028】
図5に示した緊急警報の情報は、緊急情報種類15aと緊急情報の内容15bとを含む。緊急警報の情報は、地震等の災害時にモバイル端末等により取得(例えば、アプリ等で受信)することができる。
図6の交通機関(麻痺(渋滞)、事故)の情報は、交通情報種類16aと交通情報の内容16bとを含む。交通機関の情報も前述同様にモバイル端末等により取得可能である。モバイル端末により取得した緊急警報の情報や交通機関の情報等の外部情報は、ネットワークを介してMFP100に送られる。MFP100は、アプリ等で受信可能であれば、地震等の災害時にネットワークを介して直接外部情報を取得してもよい。
【0029】
なお、緊急時に上記情報を取得しようとしても、混雑や断線等ネットワーク環境によっては情報を取得できない場合がある。そこで、MFP100は、定期的に上記外部の情報を取得するようにしても良い。
【0030】
オフィスであれば、警備室がある、そのため、火災情報に関しては、地震等の緊急情報とは異なりネットワークを介さずに、警備室の管理機器から発信された情報を受信することで外部(警備室)から火災情報を取得することが可能である。火災情報に関しては当該建物だけでなく、当該建物から最寄り駅までの通勤経路を含めた付近までを、火災情報を取得する対象範囲(エリア)としても良い。
【0031】
MFP100が地震情報や火災情報を取得する方法としては、一括に送信されるメールを受信することで各MFP100が地震情報や火災情報の通知を受ける方法が挙げられる。MFP100は、火災情報や地震情報を含めた緊急情報状況の一覧を管理する管理サーバに対して定期的にポーリングを行い、管理サーバから緊急情報状況の一覧に含まれる火災情報や地震情報を取得してもよい。また、MFP100自身にセンサーを取り付け、MFP100自身がセンサーにより地震や火災等を検知し、その検知結果に基づき地震や火災の発生を判断し、地震情報や火災情報として取り込んでもよい。
【0032】
[緊急時のためのリソースの確保]
次に、緊急時に情報を出力するためのリソースの確保について、
図7を参照しながら説明する。
図7の(a)及び(b)は、一実施形態に係るリソースの確保のための設定条件の一例を示した図である。
【0033】
確保するリソースの設定条件は、緊急時出力リソース確保部10により設定されている。例えば、確保するリソースの一例としては、紙での出力において必要な要素である被印刷体としての用紙が挙げられる。確保するリソースの他の例としては、用紙に印刷する上で必要な媒体であるインクやトナーが挙げられる。インク及びトナーは、印刷媒体の一例である。
【0034】
例えば、
図7の(a)及び(b)では、MFP100において緊急用に確保するリソースとして用紙のサイズと枚数、及びインク/トナー量が設定されている。なお、用紙ではサイズ以外に用紙の種類があり、媒介物についてもインク、トナーについては各色ある。よって、リソース確保の設定条件の詳細設定として個別にこれらの事項を設定することも可能である。また、紙、インク・トナー以外で消耗するリソースを対象として、リソースを確保するための設定を行うことも可能である。
【0035】
具体的には、
図7の(a)では、緊急時出力リソース確保部10は、緊急用のリソースを確保するために、A3サイズの用紙を40枚、A4サイズの用紙を30枚設定し、片面印刷を想定して100枚分のインク・トナー量を設定している。MFP100は、通常時、例えばネットワークを介してMFP100に接続されたPCからの印刷要求等に応じて紙に出力する処理を実行する際、前記設定条件に定められたリソース量を下回らないようにリソースの補充等を行う。
【0036】
図7の(b)では、変動部と固定部とに分けてリソースの設定条件を定めた例を示す。具体的には、
図7の(b)では、変動部の用紙とインク/トナーと、固定部の用紙とインク/トナーとをリソースとして確保する条件をそれぞれ別々に設定する。これらの変動部と固定部とは、以下のような機能を有する。
【0037】
「固定部」
固定部で設定されるリソースは、MFP100等の機器にユーザ登録済の利用者(ユーザ)や社員が緊急時の情報を確実に得られるような条件に設定されている。固定部で設定されるリソースは、ユーザ登録済の利用者や社員に緊急時の情報を提供することを前提として解放され、その使用が許可される。MFP100にユーザ登録済のユーザは、特定のユーザ用の一例である。
【0038】
MFP100が外部からの情報を受信したときに、MFP100は、ユーザ登録されたユーザの属性情報や環境に関する情報に基づき外部からの情報を最適化し、最適化された情報を自動出力することもできる。その際、固定部で設定されるリソースを用いて情報を出力することで、緊急時においてリソースが不足し、ユーザに緊急情報を提供できない状況の発生を未然に防ぐことができる。
【0039】
「変動部」
変動部で設定されるリソースは、不特定多数の利用者(不特定のユーザ)にも緊急時において情報を提供できるような条件に設定されている。固定部に加えて変動部を設けることで、MFP100内にて特定の利用者以外の不特定の利用者にも緊急時の情報を提供可能な程度の余裕を持ってリソースを確保することができる。
【0040】
また、MFP100を用いて緊急時の情報を自動で出力する場合、その緊急時の情報の出力だけでリソースがなくなってしまうと困る。このため、緊急時の情報の出力以外にも個別に所望の情報を出力したり、自動出力された情報を共有のためにコピーしたりすることも考慮して、変動部では、固定部で設定されたリソースに加えてある程度のリソースを確保するように設定条件を定めておく。
【0041】
具体的には、
図7の(b)に示したように、固定部でA3サイズの用紙を40枚、A4サイズの用紙を30枚設定し、片面印刷を想定して100枚分のインク/トナー量を設定している。更に、変動部で、A3サイズの用紙を20枚、A4サイズの用紙を10枚設定し、片面印刷を想定して30枚分のインク/トナー量を設定している。
【0042】
以上、リソースの不足で緊急時に必要な情報が出力されないことを防ぐために最適なリソースを予め確保しておく方法について説明した。これによれば、緊急時において必要な情報を出力するためのリソースをMFP100に予め確保することができる。以下では、緊急時に、リソースの開放条件に基づき、確保されたリソースの使用を許可するリソースの開放について説明する。
【0043】
[リソースの開放]
リソースの開放について、
図8〜
図11を参照しながら説明する。
図8は、一実施形態に係るリソースの開放条件の設定項目例を示した図である。
図9は、一実施形態に係るリソースの開放条件の一例を示した図である。
図10は、一実施形態に係るリソースの開放条件の他例を示した図である。
図11は、一実施形態に係るリソースの開放処理例を示したフローチャートである。
図12は、一実施形態に係るMFPのサイネージ部への表示例を示した図である。
【0044】
「リソースの開放条件(設定項目)」
図8に示したリソースの開放条件の項目17aの例では、地震や台風といった天災や、交通の乱れ(例えば、最寄り駅での運転見合わせ)といった多くの利用者の行動に影響がある事象が、リソースの開放条件を示す項目として設定されている。リソースの開放条件は、緊急時出力リソース開放部11により設定される。
【0045】
図8の現在の設定17bは、各項目17aに対する現在の設定値を示す。詳細な説明17cでは、各項目17aについての詳細な条件設定が可能である。例えば、詳細な説明17cには、項目17aが「地震」の場合、震度がいくつ以上であればリソースの開放を許可するか等の情報が設定される。例えば、リソースの開放条件の一例としては、
図8のNo.1には、リソースの開放条件の項目17aが「地震」、現在の設定17bが「震度5以上」、詳細な説明17cが「震度5以上を検知、及び緊急時の地震情報を受信した場合にリソースを開放する」に設定されている。リソースの開放とは、確保されているリソースの使用を許可することをいう。
【0046】
前述の通り、MFP100は、これらの事象が発生した場合を想定して、予め緊急時に情報を出力するためのリソースを確保している。よって、リソースの開放条件の項目には、リソースを確保する際に緊急時と想定される事象又はこれに類似する事象が設定され得る。
【0047】
また、これらの項目以外にも管理者の都合上、リソースを開放することが可能な項目が設定されている。例えば、
図8のNo.10では、項目17aが「現場判断」に設定され、管理者がリソース開放パスワードを入力した場合にリソースが開放されるようになっている。
【0048】
地震に関する情報や火災に関する情報等の緊急情報を受信する方法としては、前述の通り、ネットワークを介して外部から緊急警報等の情報を受信する方法や、警備室の管理機器からの通知により緊急情報を取得する方法や、MFP100等の機器がネットワークを介して所定の管理サーバ等の機器に緊急情報を取得するためのポーリングを行う方法等が挙げられる。
【0049】
「リソース確保及び開放の条件設定例1」
図9は、MFP100においてリソースの確保及びリソースの開放の条件が設定されている例である。設定条件に基づき確保されたリソースを緊急時に開放する際の開放条件(設定状況)をサイネージ部100c(UI画面)で表示してもよい。その際には、
図9に示したように、表示制御部4は、「開放する」及び「開放しない」の条件を含めて表示してもよいし、「開放する」条件のみを表示してもよい。
【0050】
「リソース確保及び開放の条件設定例2」
図10は、MFP100においてリソースの確保及びリソースの開放の条件が設定されている他の例である。
図10では、リソースの開放条件が、固定部及び変動部毎に設定されている。固定部と変動部とでリソース確保量等の設定条件が異なる場合がある。この場合、リソースの開放条件は、固定部及び変動部ともに同条件に設定してもよいし、
図10に示したように、固定部と変動部とで個別に設定することも可能である。
【0051】
「リソース開放時のフローチャート」
次に、一実施形態に係るリソースの開放処理の一例について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、一実施形態に係るリソースの開放処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態に係るリソースの開放処理では、まず、MFP100が外部から緊急情報を受信すると、ステップS10にて、緊急時出力リソース開放部11は、リソース確保のための条件設定の有無を判定する。リソース確保のための条件が設定されていないと判定された場合、ステップS12に進み、緊急時出力リソース開放部11は、リソースの開放は不要と判定して本処理を終了する。
【0052】
一方、ステップS10にてリソース確保のための条件が設定されていると判定された場合、ステップS14に進み、緊急時出力リソース開放部11は、外部から取得した緊急情報に基づきリソースの開放条件が満たされるか否かを判定する。リソースの開放条件を満たしていないと判定された場合、ステップS16に進み、緊急時出力リソース開放部11は、リソースの開放は不要と判定して本処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS14にてリソースの開放条件が満たされると判定された場合、ステップS18に進み、緊急時出力リソース開放部11は、確保したリソースの使用を許可し、リソースを開放する。これにより、MFP100において確保したリソースの使用が可能になる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態に係るMFP100によれば、緊急時における情報の自動出力において、予め適切なリソースを確保しておき、確保されたリソースの開放条件を満たす場合にそのリソースの使用を許可する。これにより、緊急用に確保されたリソースを用いて緊急時に必要な情報を確実に出力し、ユーザに迅速に提供することができる。この結果、緊急時における混乱を回避することができる。
【0055】
[緊急用に確保されたリソースを維持(持ち出しの抑止)]
「意図しないリソースの持ち出し」
図12(a)に示したように、MFP100にて設定条件に応じてリソースの確保が実行され、所定枚数の用紙が緊急用のリソースとしてMFP100に保持されている場合、第三者によって直接的にリソースが持ち出されることが考えられる。例えば、他の機器で用紙がなくなったため、第三者が、
図12(b)のMFP100に、緊急用に確保されたリソースから給紙トレイをあけて、
図12(c)に示したように直接用紙を持ち出すケースである。
【0056】
「リソースの持ち出しを防ぐ表示」
上記ケースを防ぐために、
図12(d)に示したように、リソースが確保されている用紙が置かれたMFP100の給紙トレイが開けられた場合、表示制御部4は、
図12(e)に示すようにサイネージ部100cに注意を喚起する表示を行ってもよい。これにより、緊急用に確保されたリソースの持ち出しを抑止することができる。なお、MFP100にサイネージ部がない場合にはMFP100の操作部に注意を喚起する表示を行う。サイネージ部及び操作部は、表示部の一例である。
【0057】
「リソースが持ち出された場合の通知」
前述した注意を喚起する表示によりリソースの持ち出しを抑止したにも関わらず、リソースが持ち出された場合には、緊急時出力リソース確保部10は、設定条件のリソース量が確保されるように補充を要求する通知を機器管理者の機器に送信してもよい。表示制御部4は、設定条件のリソース量が確保されるまでのリソースが補充されていない間、その旨をサイネージ部や機器管理者の機器の表示部に表示し、機器管理者に注意を喚起してもよい。これにより、迅速なリソースの補充を促すことができる。また、管理者が通知に気づく前に、第三者が表示部の表示内容を管理者に伝えることでリソースの補充のための情報を共有することができる。
【0058】
[リソース確保設定時のリソースを維持(持ち出しの禁止)]
以上、リソースの持ち出しを「抑止」する方法を説明したが、緊急時というのはそもそもいつ起きるかわからない。また、前記抑止方法を実行してもリソースが持ち出されてしまい、その状況で緊急事態が発生する可能性もある。このため、上記抑止方法と異なり、リソースの持ち出しを「禁止」する方法も必要となる場合がある。
【0059】
「確保するリソースが用紙の場合の持ち出し禁止方法」
リソースの持ち出しを「禁止」する方法としては、緊急用に確保するリソースが用紙の場合、リソース確保用の用紙が収められている給紙トレイの開錠を物理的にロックすることでリソースの持ち出しを禁止することができる。このロックにより、第三者にリソースとしての用紙を持ち出される可能性はなくなる。
【0060】
給紙トレイの開錠の一例を説明すると、例えば管理者の権限を有する者に与えられたID及びパスワードを入力してログインすることにより、権限のあるメンバーのみが開錠できるようにする方法が挙げられる。
【0061】
また、リソース確保用のトレイにダイヤル式の施錠を設け、トレイを物理的にロックしている場合、権限のあるメンバーのみに開錠のための数値列(ダイヤル番号)を通知し、前記メンバーのみがダイヤルを操作して数値列を開錠位置に合わせることにより、開錠できるようにしてもよい。
【0062】
以上のように、確保したリソースが用紙等の被印刷体の場合、緊急時用のリソースとしての被印刷体が確保されている給紙トレイの開錠を禁止し、特定人のみが開錠できるようにする。ここでの「開錠」には、「電子的な開錠」と、「物理的な開錠」が含まれる。例えば、「電子的な開錠」は、管理者がログインした機器の特定のメニューからの操作、又は通常のユーザでも特定のメニューに表示された、リソースの確保及び開放に関する設定項目で所定のパスワードを入力したときに開錠可能にする場合である。実際には、電子的な開錠に応じてトレイの物理的なロックが開錠される。「物理的な開錠」は、リソース確保用のトレイに例えばダイヤル式等のロック機構が取り付けられ、一部のメンバーが所定のパスワード(例えば、ダイヤル式の施錠における4桁の番号)を入力したときに開錠可能にする場合である。
【0063】
なお、トレイの数は、機種によって様々である。また、トレイの使い方も、ユーザによって様々である。つまり、機器や環境によってリソース確保用に使えるトレイ数やトレイの利用方法は異なってくる。通常使用時の利便性を考慮すると、リソース確保用のトレイ数はできる限り少ない(例えば1トレイのみ)方が好ましい。よって、以上に説明した持ち出し禁止方法では、確保するリソースとしての用紙の種類及びサイズは、2つのトレイを独占する複数「A3:20枚、A4:30枚」である場合よりも、1つのトレイを独占する単数「A4:40枚」である場合により適している。
【0064】
「確保するリソースがインク又はトナーの場合の持ち出し禁止方法」
確保するリソースが、インク又はトナー(以下、単にトナーと表記)の場合、MFPで使用するトナーの色は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の4種類である。よって、緊急時出力リソース確保部10は、3色がエンド(使用済)又はニアエンド(使用済間近)であっても、トナー量の減りが最も少ないある1色が、緊急用に設定されたリソース量を有していればリソースが確保されていると判定してもよい。
【0065】
また、トータルで緊急用に設定されたリソース量の印刷ができればよい。そこで、シアン及びブラックがニアエンド、マゼンタ及びイエローがエンドの場合、緊急時出力リソース確保部10は、シアン及びブラックの合計トナー量が、緊急用に設定されたリソース量以上であればリソースが確保されていると判定してもよい。
【0066】
これら2つのうちのどちらかの判定条件において、確保対象のリソースが緊急用に設定された条件のリソース量を下回った時点で、緊急時出力リソース確保部10は、以後のリソース(ここでは、トナー)の使用をロック(禁止)することで緊急用のリソースを確保する。ユーザの利便性も考慮する必要があるが、そもそも複数のトナーのうち半数以上がエンドまたはニアエンドの状態であれば、機器管理者がトナーを補充することが望ましい。よって、MFP100は、リソースが用紙の場合だけでなくトナーの場合においてもロックする機能を有していることが好ましい。
【0067】
(ハードウェア構成例)
最後に、本実施形態に係るMFP100のハードウェア構成例について、
図13を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係るMFP100のハードウェア構成例を示す図である。
【0068】
図13に示すように、MFP100は、入力装置101、表示装置102、外部I/F103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、通信I/F107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0069】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、MFP100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、サイネージ部(ディスプレイ)などを含み、MFP100による処理結果を表示する。
【0070】
通信I/F107は、MFP100をネットワークに接続するインタフェースである。これにより、MFP100は、通信I/F107を介して、他の機器(管理サーバ等)とデータ通信を行うことができる。
【0071】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する基本ソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアがある。HDD108には、確保するリソースの設定条件やリソースの開放条件に関する情報やプログラムが格納されている。
【0072】
外部I/F103は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体103aなどがある。これにより、MFP100は、外部I/F103を介して記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0073】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、ネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0074】
上記ハードウェア構成により、本実施形態に係るMFP100は、緊急時における情報の出力を含む各種情報提供サービスを行うことができる。例えば、MFP100は、CPU106がROM105内に格納された情報をリソースの開放処理手順を示したプログラムを実行することによって、緊急時において必要な情報を指定されたMFP100に自動出力することができる。なお、確保するリソースの設定条件やリソースの開放条件に関する情報は、RAM104、HDD108、又はネットワーク200を介して接続されるサーバ150等に格納され得る。
【0075】
以上、情報出力システム及びプログラムの一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態に係る情報出力システムの構成は一例であり、本発明の範囲を限定するものではなく、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0077】
例えば、通信I/F107により1又は2以上のMFP100がネットワークを介して接続されているシステム形態や、通信I/F107により1又は2以上のMFP100と管理サーバ150等の他の機器とがネットワーク200を介して接続されているシステムは、本実施形態に係る情報出力システムの一態様である。本実施形態に係る情報出力システムには、例えばMFP100等の情報出力装置が含まれる。なお、ネットワーク200を介して接続される管理サーバ150及び情報出力装置の台数は、1台又は2台以上であり得る。
【0078】
また、例えば、リソース確保手段、リソース開放手段、出力制御手段、表示制御手段の機能は、MFP等の情報出力装置が備えてもよいし、MFP等にネットワーク200を介して接続された管理サーバ150が備えてもよい。また、確保するリソースの設定条件やリソースの開放条件に関する情報は、MFP等の情報出力装置毎に保持され、定期的又は必要に応じて更新されるようにしてもよい。また、これらの情報は、MFP等にネットワーク200を介して接続された管理サーバ150に保持され、管理サーバ150の管理の下、定期的又は必要に応じて更新されるようにしてもよい。これらの情報は、管理サーバ150によって一括して管理されるようにしてもよいし、各情報出力装置によってそれぞれ管理されるようにしてもよいし、複数の情報出力装置のいずれかによって一括して管理されるようにしてもよい。