(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源制御部は、前記主走査方向の一方の端部に位置する第1光源ブロックから、前記主走査方向の他方の端部にかけて、前記光源ブロックを順に点灯制御して前記点灯範囲の切り替えを行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
前記光源制御部は、前記主走査方向の一方の端部に位置する第1光源ブロックから、前記主走査方向の他方の端部にかけて、前記光源ブロックを順に点灯制御して前記点灯範囲の切り替えを行い、
前記判定部は、前記点灯範囲が切り替わる毎に、前記原稿の主走査方向のサイズに適した点灯範囲であるか否かを判定し、
前記光源制御部は、前記判定部で前記サイズに適した判定結果が得られた際に、前記光源ブロックの点灯制御を終了すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
前記読み取り部は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサを備え、前記サイズに対応する範囲の画像信号のみを部分的に読み出して出力すること
を特徴とする請求項1から請求項5のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置。
光源制御部が、複数の光源ブロックが主走査方向に並べられた光源のうち、前記主走査方向の一方の端部に位置する光源ブロックから、任意の位置の光源ブロックまでの、全ての光源ブロックを点灯させると共に、任意の位置を変更して、点灯範囲の切り替えを行う切り替え工程と、
読み取り部が、前記光源からの光が基準読み取り部材に照射されることで生ずる反射光に対応する画像信号を生成する読み取り工程と、
判定部が、前記主走査方向の一方の端部とは反対側に位置する、これから読み取る原稿の主走査方向の端部の位置に対応し、かつ、切り替えられた前記点灯範囲に対応する前記画像信号のレベルを検出し、検出したレベルが所定値以上となる前記点灯範囲のうち、点灯している前記光源ブロックの数が最小となる前記点灯範囲を、前記原稿の主走査方向のサイズに適した点灯範囲であると判定する判定工程と、
制御部が、前記判定部によって、前記サイズに適すると判定された前記点灯範囲を示す点灯ブロック情報、および前記サイズを示す情報を関連付けて記憶部に記憶制御する制御工程と
を有する画像読取方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、画像読取装置および画像読取方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
まず、
図1に、画像読取装置および画像読取方法を適用した第1の実施の形態の複合機1の断面図を示す。なお、以下、画像読取装置および画像読取方法を複合機に適用した例を説明するが、例えばコピー装置またはスキャナ装置等の複合機以外の機器に、画像読取装置および画像読取方法を適用してもよい。
【0018】
この実施の形態となる複合機1は、一例としてコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を備えており、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)40と、給紙部2と、画像形成部3とを備えている。給紙部2は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット41,42と、給紙カセット41,42に収納された記録紙を、画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段43とを有している。
【0019】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部3は、ADF40内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成する。また、画像形成部3は、現像装置33により、感光体ドラム32に、異なる色のトナーを供給して現像する。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を、給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着させる。
【0020】
図2は、ADF40の拡大断面図である。ADF40は、図示しないヒンジ部材等を介して画像形成部3に開閉自在に連結されている。ADF40は、開状態においてはコンタクトガラス11を露出させる。また、ADF40は、閉状態においてはコンタクトガラス11全体を覆う。
【0021】
ADF40は、複数の原稿22からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ21と、原稿トレイ21に載置された原稿束から原稿22を1枚ずつ分離してコンタクトガラス11に向かって搬送する搬送ドラム23とを有する。また、ADF40は、搬送ドラム23によって搬送された原稿22をコンタクトガラス11上の読取位置に停止させる。読取部10は、コンタクトガラス11の下方部に設けられている。読取部10は、光源13、一つまたは複数のミラーを備える第1キャリッジ14および第2キャリッジ15と、レンズ16と、センサボード17と、スキャナモータ18とを備えている。また、読取部10は、基準白板12と、読み取り窓19と、背景部26とを備えている。基準白板12は、濃度が均一化された均一濃度部材となっており、基準読み取り部材の一例である。読取部10は、コンタクトガラス11上の原稿22を読み取る。排紙ローラ24は、読取部10により読み取りが終了した原稿22を排紙トレイ25上に排紙する。
【0022】
もう少し詳しく説明すると、搬送ドラム23は、コントローラからの出力信号によって駆動される。図示しないコントローラは、給紙スタート信号が供給されると、搬送ドラム23を回転駆動する給紙モータを、正転駆動または逆転駆動する。給紙モータを正転駆動させると、搬送ドラム23が時計方向に回転し、原稿束から最上位に位置する原稿22が給紙され、コンタクトガラス11に向かって搬送される。この原稿22の先端が、図示しない原稿セット検知センサで検知されると、コントローラは、原稿セット検知センサからの検知信号に基づいて給紙モータを逆転駆動させる。これにより、後続する原稿22が進入するのを防止する。
【0023】
また、コントローラは、原稿セット検知センサが原稿22の後端を検知した時点から、搬送ベルトモータの回転パルスを計数する。コントローラは、回転パルスが所定値に達したときに、給送ベルトの駆動を停止する。これにより、原稿22がコンタクトガラス11の読取位置に停止する。
【0024】
また、コントローラは、原稿セット検知センサによって原稿22の後端が検知された時点で、給紙モータを再び駆動し、後続する原稿22をコンタクトガラス11に向かって搬送する。また、コントローラは、原稿22が原稿セット検知センサによって検知された時点から計数している給紙モータのパルスが所定パルスに到達したときに、給紙モータを停止させて次の原稿22を先出し待機させる。そして、原稿22がコンタクトガラス11の読取位置に停止したとき、読取部10によって原稿22の露光および読み取りが行なわれる。この露光および読み取りが終了すると、コントローラは、搬送ベルトモータを正転駆動して、搬送ベルトによって原稿22をコンタクトガラス11から排紙ローラ24に搬出する。
【0025】
上述のように、ADF40の原稿トレイ21に原稿22の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス11上の所定の位置に給送される。給送された原稿22は、読取部10によってコンタクトガラス11上の原稿22の画像データを読み取られた後、給送ベルトおよび排紙ローラ24によって排紙トレイ25上に排紙される。さらに、原稿トレイ21上に次の原稿22を検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス11上に給紙する。
【0026】
図3に、読取部10に設けられているセンサボード17の一例となるブロック図を示す。この
図3は、イメージセンサとしてCCDラインセンサ51(読み取り部の一例)を設けた例である。この
図3において、CCDラインセンサ51は、原稿22からの反射光を電気信号に光電変換し、アナログ画像信号として出力する。アナログ画像信号は、バッファ回路52(EF:Emitter Follower)およびAC結合回路59を介してAFE回路53(Analog Front End)に供給される。
【0027】
AFE回路53は、クランプ回路54、サンプル/ホールド回路(S/H)55、およびアナログ・プログラマブル・ゲインアンプ回路(APGA)56を備える。また、AFE回路53は、A/Dコンバータ(ADC)57、およびデジタル・プログラマブル・ゲインアンプ回路(DPGA)58を備える。このAFE回路53に供給されたアナログ画像信号は、クランプ回路54によって黒レベルに基準電圧が補正され、S/H回路55でサンプル・ホールド処理され、連続した画像データとされる。そして、アナログ画像信号は、APGA56でアナログ的にA/D変換処理に適した電圧に増幅され、ADC57でA/D変換されてデジタル化される。DPGA58は、デジタル化されることで生成された画像データを、デジタル的に増幅処理して、後段の画像処理部に出力する。
【0028】
CCDラインセンサ51の代わりに、CMOSラインセンサ(読み取り部の一例)を用いてもよい。CMOSラインセンサは、一般的なCMOS型集積回路と同様の製造プロセスを用いることが可能である。また、CMOSラインセンサは、単一電源での駆動が可能である。さらに、CMOSラインセンサは、CMOSプロセスを用いたアナログ回路や論理回路を同一チップ内に混在させることができる。このため、CMOSラインセンサを用いることで、センサボード17上の集積回路(IC)の数を減らすことができる。また、低消費電力化および小型化が可能となる。
【0029】
次に、
図4にADF40の要部の断面図を示す。
図4は、原稿22の搬送方向に沿ってADF40を切断した断面図である。この
図4に示すように、ADF40は、いわゆる白基準補正を行うための基準白板12を有している。基準白板12は、長方形状を有しており、長方形状のコンタクトガラス11の短手方向の長さと略々同じ長さの全長を有している。また、基準白板12は、搬送ドラム23寄りのコンタクトガラス11上に、長方形状のコンタクトガラス11の短手方向に沿って設けられている。また、基準白板12は、ADF40を開状態としたときに操作者から見えないように、非透明部材で形成されたカバー部材28で覆われている。
【0030】
この基準白板12には、コンタクトガラス11を介して光源13からの光が照射される。この反射光は、
図2に示す第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、およびレンズ16を介して、センサボード17のCCDラインセンサ51で受光される。これにより、白基準補正用の画像信号が形成され、後段の信号処理回路で各部の設定に用いられる。
【0031】
図5に、光源13の拡大図を示す。
図5に示す「主走査方向」は、長方形状のコンタクトガラス11の短手方向と同じ方向を示している。光源13は、基板39上に主走査方向に沿って並列された複数の光源ブロック13−1,13−2,13−3・・・13−n(nは自然数)を有している。一例として、一つの光源ブロックは、一つあるいは複数の発光ダイオード(LED)で形成されている。なお、LEDの代わりにキセノンランプ等の他の光源を用いてもよい。
【0032】
次に、
図6に、複合機1のハードウェア構成図を示す。この
図6に示すように、複合機1は、光源制御部61、スキャナ制御部62、画像読取部63、画像処理部64、画像メモリ65、CPU66、システムメモリ67、およびプリンタエンジン68を有している。なお、CPUは、「Central Processing Unit」の略記である。また、CPU66は、判定部および制御部の一例である。また、システムメモリ67は、記憶部の一例である。また、
図6に示す各部61〜68は、全部をハードウェアで構成する他、全部または一部をソフトウェアで構成してもよい。
【0033】
後述するが、CPU66は、システムメモリ67に記憶されているOS(Operating System)および点灯制御プログラムに従って、スキャナ制御部62および光源制御部61を介して基準白板12を読み取り制御する。この際、CPU66は、光源13の各光源ブロック13−1,13−2,13−3・・・13−nを、例えば1ブロックずつ順に点灯させる。画像読取部63は、点灯制御毎に基準白板12を読み取ることで、各点灯制御に対応する画像信号を形成する。この画像信号は、画像処理部64で所定の画像処理が施され、画像メモリ65にそれぞれ記憶される。
【0034】
CPU66は、各光源ブロックの点灯制御毎に得られる各画像信号のレベルと、あらかじめ定められている各原稿サイズに対応する画像信号のレベルとを比較する。CPU66は、比較結果から、各原稿サイズに対応する光源ブロックを決定する。CPU66は、決定した光源ブロックを示す情報(点灯ブロック情報)と、対応する原稿サイズとを関連付けてシステムメモリ67に記憶する。CPU66は、原稿の読み取り時となると、操作者等から入力された、これから読み取りを行う原稿の原稿サイズに対応する点灯ブロック情報をシステムメモリ67から読み出す。そして、CPU66は、読み出した点灯ブロック情報に従って、各光源ブロックを点灯制御する。これにより、ADF40の開閉状態に関わらず、原稿サイズに対応した光源ブロックのみを正確に点灯可能とすることができる。
【0035】
図7は、このようなCPU66における光源13の点灯パターンの検出制御を示したフローチャートである。複合機1は、通常、メイン電源の投入時、またはスリープモードからの復帰時等のタイミングで、基準白板12を読み取り、各種調整を実施する。このため、CPU66も、メイン電源の投入時、またはスリープモードからの復帰時等のタイミングで、システムメモリ67に記憶されている点灯制御プログラムを読み込む。そして、CPU66は、読み込んだ点灯制御プログラムに従って、ステップS1から処理を開始する。
【0036】
ステップS1では、CPU66が、システムメモリ67に記憶されている主走査領域情報を読み込み、処理をステップS2に進める。具体的には、システムメモリ67には、例えばA5サイズ、A4サイズ、A3サイズ、B4サイズ、B5サイズ、葉書サイズ等の、複合機1が対応可能な原稿サイズを示す主走査領域情報が記憶されている。ステップS1では、CPU66が、システムメモリ67に記憶されている主走査領域情報を読み込み、対応が必要となる原稿サイズを認識し、処理をステップS2に進める。これは、国や地域毎に、対応が必要となる原稿サイズが異なることへの対応である。
【0037】
次に、ステップS2では、CPU66が、光源制御部61を介して、光源13の第1ブロック13−1のみを点灯制御して、処理をステップS3に進める。点灯制御を行う場合(=メイン電源の投入時またはスリープモードからの復帰時)、光源13の各光源ブロック13−1,13−2,13−3・・・13−nと、基準白板12とは、
図4に示すように相対向する位置関係となっている。このため、第1ブロック13−1のみを点灯制御することで、第1ブロック13−1のみの光量に対応する、基準白板12からの反射光が生ずる。ステップS3では、CPU66が、この反射光を受光して画像信号を生成するように(=基準白板読み取り)、画像読取部63および画像処理部64を制御する。CPU66は、生成された画像信号を画像メモリ65に記憶制御して、処理をステップS4に進める。これにより、画像メモリ65には、第1ブロック13−1のみの点灯制御に対応する画像信号が記憶される。
【0038】
次に、ステップS4では、CPU66が、想定される光源13の全点灯パターンに対応する点灯制御が完了したか否かを判別する。そして、CPU66は、全点灯パターンに対応する点灯制御が完了したものと判別した場合には(ステップS4:Yes)、処理をステップS5に進める。また、CPU66は、全点灯パターンに対応する点灯制御が完了していないものと判別した場合には(ステップS4:No)、処理をステップS6に進める。
【0039】
すなわち、この例の場合、CPU66は、第1ブロック13−1のみを点灯制御した後は、第1〜第2ブロック13−1〜13−2の点灯制御、第1〜第3ブロック13−1〜13−3の点灯制御・・・第1〜第nブロック13−1〜13−nの点灯制御を順に行う。ステップS4では、CPU66が、一連の点灯制御の最後に行う、第1〜第nブロック13−1〜13−nの点灯制御が完了したか否かを判別している。そして、完了していない場合、CPU66は、ステップS6において、点灯制御するブロックを一ブロック増やす、次の点灯パターンの点灯制御を行い(光源点灯領域変更)、ステップS3で、再度、基準白板12の読み取りを行う。この例においては、CPU66は、第1ブロック13−1のみを点灯制御した後は、ステップS6において、第1〜第2ブロック13−1〜13−2を点灯制御し、ステップS3で再度、基準白板12の読み取りを行う。
【0040】
CPU66は、第1〜第nブロック13−1〜13−nの点灯制御が完了するまでの間、このような点灯制御、および、基準白板12の読み取りを繰り返し行う。これにより、画像メモリ65には、各点灯パターンに対応する画像信号(=基準白板を読み取った画像信号)が記憶される。
【0041】
CPU66は、全点灯パターンの点灯制御が完了することでステップS5に処理を進めると、最適点灯パターンの検出処理を行う。すなわち、CPU66は、ステップS5において、画像メモリ65に記憶した各点灯パターンに対応する画像信号のうち、各原稿サイズの原稿読み取りに必要な範囲(画素数)において、所定値以上のレベル(ピーク/ボトム比)となる画像信号を検出する。そして、所定値以上のピーク/ボトム比となる画像信号が得られた点灯パターンのうち、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを、その原稿サイズの原稿の読み取りに最適な点灯パターンと判断し、点灯パターンを示す情報および原稿サイズを関連付けてシステムメモリ67に記憶する。
【0042】
図8のグラフに、各点灯パターンの点灯制御で得られる画像信号のレベルを示す。この
図8のグラフは、横軸が原稿サイズに対応する画素数、縦軸が画像信号のレベルを示している。なお、縦軸の数値は任意強度となっている。この
図8のグラフにおいて、左端の波形は、第1ブロック13−1のみを点灯させたときに得られた画像信号のレベルを示している。また、左端から2番目の波形は、第1ブロック13−1および第2ブロック13−2を点灯させたときに得られた画像信号のレベルを示している。また、左端から3番目の波形は、第1ブロック13−1〜第3ブロック13−3を点灯させたときに得られた画像信号のレベルを示している。そして、右端の波形は、第1ブロック13−1〜第nブロック13−n(=全てのブロック)を点灯させたときに得られた画像信号のレベルを示している。
【0043】
例えば、これから読み取りを行う原稿のサイズがA4サイズであった場合、A4サイズの主走査方向(光源13の各ブロックの並列方向:
図5参照)の画素数は、5000画素となる。この場合、CPU66は、
図8に示すように5000画素における、各点灯パターンの画像信号のピーク/ボトム比(%)を検出する。このピーク/ボトム比の検出により、以下の検出結果が得られたとする。なお、この例は、光源13のブロックとして、計10個のブロックが設けられている例である(n=10)。
【0044】
第1ブロック:0.0%、
第1ブロック〜第2ブロック:0.0%、
第1ブロック〜第3ブロック:0.0%、
第1ブロック〜第4ブロック:0.0%
第1ブロック〜第5ブロック:2.9%、
第1ブロック〜第6ブロック:33.4%
第1ブロック〜第7ブロック:85.3%
第1ブロック〜第8ブロック:93.5%
第1ブロック〜第9ブロック:93.5%
第1ブロック〜第10ブロック:93.5%
【0045】
CPU66は、各点灯パターンの画像信号のピーク/ボトム比のうち、「60%以上」のピーク/ボトム比の点灯パターンを検出する。すなわち、
図8のグラフにおいて、5000画素に対応するピーク/ボトム比が得られる画像信号は、第1〜第5ブロックを点灯制御した点灯パターン、および第1〜第6ブロックを点灯制御した点灯パターンである。また、5000画素に対応するピーク/ボトム比が得られる画像信号は、第1〜第7ブロックを点灯制御した点灯パターン、および第1〜第8ブロックを点灯制御した点灯パターンである。
【0046】
そして、
図8のグラフにおいて、第1〜第5ブロックを点灯制御した点灯パターンにおける、5000画素に対応する画像信号のレベルPのピーク/ボトム比は2.9%である。第1〜第6ブロックを点灯制御した点灯パターンにおける、5000画素に対応する画像信号のレベルQのピーク/ボトム比は33.4%である。第1〜第7ブロックを点灯制御した点灯パターンにおける、5000画素に対応する画像信号のレベルRのピーク/ボトム比は85.3%である。第1〜第8ブロックを点灯制御した点灯パターンにおける、5000画素に対応する画像信号のレベルSのピーク/ボトム比は、それぞれ93.5%である。
【0047】
CPU66は、各ピーク/ボトム比の点灯パターンのうち、「60%以上」のピーク/ボトム比であり、かつ、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを検出する。この例の場合、CPU66は、ピーク/ボトム比が85.3%となる、第1ブロック〜第7ブロックの点灯パターンを、必要とする照度が得られ、かつ、点灯ブロック数が最小となる点灯パターンとして検出する。そして、CPU66は、検出した点灯パターンと原稿サイズ(この例の場合はA4サイズ)とを関連付けてシステムメモリ67に記憶する。CPU66は、原稿サイズ毎に、最適な点灯パターンを検出し、対応する原稿サイズに関連付けてシステムメモリ67に記憶する。
【0048】
CPU66は、原稿22の読み取り時となると、例えばユーザから入力された、これから読み取りを行う原稿のサイズ対応する点灯パターンを示す情報をシステムメモリ67から読み出す。そして、読み出した点灯パターンを示す情報に従って、光源13を制御する。これにより、光源13の第1〜第nブロック13−1〜13−nのうち、原稿サイズに対応する最低限のブロックのみを点灯制御して、原稿の読み取りを行うことができる。
【0049】
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態の複合機1は、それぞれ独立して点灯および消灯制御が可能な第1ブロック13−1〜第nブロック13−nを主走査方向に沿って列状に設けた光源13を、第1ブロック13−1から順に点灯制御する。各ブロックを点灯制御する毎に基準白板12を読み取った画像信号を形成し、各原稿サイズの原稿読み取りに必要な範囲(画素数)において、所定値以上のピーク/ボトム比となる画像信号を検出する。所定値以上のピーク/ボトム比となる画像信号が得られた点灯パターンのうち、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを、その原稿サイズの原稿の読み取りに最適な点灯パターンと判断し、原稿サイズに関連付けてシステムメモリ67に記憶する。
【0050】
そして、原稿の読み取り時において、システムメモリ67から読み出した、これから読み取りを行う原稿のサイズに対応する点灯パターンを示す情報に従って、光源13を点灯制御する。これにより、光源13の第1〜第nブロック13−1〜13−nのうち、原稿サイズに対応する最低限のブロックのみを点灯制御して、原稿の読み取りを行うことができる。
【0051】
また、コンタクトガラス11上に設けられ、非透明部材で形成されたカバー部材28で覆われて設けられた基準白板12を読み取った画像信号で、点灯制御する光源13のブロックを決定している。このため、ADF40の開閉状態に関わらず、原稿サイズに対応した光源13のブロック数を検出することができる。
【0052】
また、画像信号を記憶する画像メモリ65の容量としては、最大でも、光源13のブロック数に対応する数分の画像信号を記憶するだけの容量があれば足りる。このため、少ない容量の画像メモリ65で対応することができ、複合機1を安価に製造可能とすることができる。また、光源13の各点灯パターンのうち、各原稿サイズの原稿読み取りに必要な範囲(画素数)において、所定値以上のピーク/ボトム比の画像信号が得られ、かつ、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを検出するだけの簡単な制御で実現できる。このため、CPU66に大きな負担を掛けることなく、原稿サイズに対応した光源13のブロック数の検出を行うことができる。
【0053】
また、アルゴリズム自体がシンプルであるため、連続読み取り動作中の紙間でも実施可能とすることができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の複合機1の説明をする。上述の第1の実施の形態の複合機1は、光源13の第1ブロック13−1から順に点灯制御しながら基準白板12の読み取りを行うものであった。これに対して、第2の実施の形態の複合機1は、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯制御し、以後、1ブロックずつ点灯制御しながら、上述の点灯パターンの検出を行うものである。なお、上述の第1の実施の形態と第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異のみ説明し、重複説明は省略する。
【0055】
図9は、第2の実施の形態の複合機1に設けられているCPU66における光源13の点灯パターンの検出制御の流れを示したフローチャートである。このフローチャートにおいて、ステップS11で主走査領域情報を読み込み、ステップS12に処理を進めると、CPU66は、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯するように光源13を制御する。
【0056】
具体的には、上述のように、原稿サイズがA4サイズの場合、第7ブロック(約5000画素:
図8参照)の前後のブロックの点灯パターンが検出されることが予め分かっている。このため、CPU66は、例えば第1ブロック13−1〜第3ブロック13−3を一度に点灯するように光源13を制御する。この状態で、ステップS13において、最初の基準白板12の読み取りを行い、以後、ステップS16で1ブロックずつ追加点灯制御する。そして、ステップS14で全ブロックの点灯制御が完了したものと判別したタイミングでステップS15に処理を進め、所定値以上のピーク/ボトム比となる画像信号が得られた点灯パターンのうち、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを、その原稿サイズの原稿の読み取りに最適な点灯パターンと判断し、原稿サイズに関連付けてシステムメモリ67に記憶する。
【0057】
以上の説明から明らかなように、第2の実施の形態の複合機1の場合、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯制御し、以後、1ブロックずつ点灯制御しながら、上述の点灯パターンの検出を行う。これにより、点灯パターンの検出制御に要する時間を短縮化することができる他、上述の第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の複合機1の説明をする。上述の各実施の形態の複合機1は、点灯パターンを検出する際に基準白板12を読み取るものであった。これに対して、第3の実施の形態の複合機1は、ADF40を閉状態とした際にコンタクトガラス11と相対向し、コンタクトガラス11上の原稿22を上から押さえて固定する背景板を読み取って点灯パターンの検出を行うものである。なお、上述の各実施の形態と第3の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異のみ説明し、重複説明は省略する。
【0059】
すなわち、背景板は基準白板12(均一濃度部材の一例)と同じ白色である。このため、第3の実施の形態の複合機1のCPU66は、例えば自動原稿搬送による連続読み取り中等の読み取り動作の合間に、背景板を読み取って上述の点灯パターンの検出制御を行う。この場合、光源13およびCCDラインセンサ51等の読み取りモジュールを移動させる必要がないため、検出時間を大幅に削減することができる。なお、基準白板12または背景板の代わりに、白色の部材で形成された搬送ドラム23を読み取ってもよい。
【0060】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の複合機1の説明をする。上述の第2の実施の形態の複合機1は、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯制御し、以後、1ブロックずつ点灯制御しながら、上述の点灯パターンの検出を行うものであった。この第4の実施の形態の複合機1は、最初に複数のブロックを一度に点灯制御して上述の点灯パターンの検出を行い、以後、1ブロックずつ点灯制御する毎に上述の点灯パターンの検出を行う。そして、所定値以上のmax/min比の画像信号が得られた点灯パターンを検出した際に、点灯パターンの検出を終了するようにしたものである。なお、上述の第2の実施の形態と第4の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異のみ説明し、重複説明は省略する。
【0061】
図10は、第4の実施の形態の複合機1に設けられているCPU66における光源13の点灯パターンの検出制御の流れを示したフローチャートである。このフローチャートにおいて、ステップS21で主走査領域情報を読み込み、ステップS22に処理を進めると、CPU66は、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯するように光源13を制御する。
【0062】
CPU66は、この状態で、ステップS23において、最初の基準白板12の読み取りを行い、ステップS24において、得られた画像信号のピーク(max)/ボトム(min)比を算出する。CPU66は、ステップS25において、規定値以上のピーク(max)/ボトム(min)比となる画像信号が得られたか否かを判別する。以後、CPU66は、ステップS26で1ブロックずつ追加点灯制御を行う毎に、ステップS25で規定値以上のピーク(max)/ボトム(min)比となる画像信号が得られたか否かを判別する。そして、CPU66は、規定値以上のピーク(max)/ボトム(min)比となる画像信号が得られた際に(ステップS25:Yes)、点灯パターンの検出制御を終了する。なお、規定値以上のピーク(max)/ボトム(min)比となる画像信号が得られた点灯パターンがシステムメモリ67に記憶され、原稿読み取り時に用いられることは、上述のとおりである。
【0063】
以上の説明から明らかなように、第4の実施の形態の複合機1の場合、点灯パターンの検出を行う原稿サイズよりも狭い範囲内において、最初に複数のブロックを一度に点灯制御して上述の点灯パターンの検出を行う。以後、1ブロックずつ点灯制御する毎に上述の点灯パターンの検出を行い、所定値以上のmax/min比の画像信号が得られた点灯パターンを検出した際に、点灯パターンの検出を終了する。
【0064】
これにより、最初に複数のブロックを一度に点灯制御することで、点灯パターンの検出時間を短縮化できるうえ、所定値以上のmax/min比の画像信号の点灯パターンを検出した際に、点灯パターンの検出を終了するため、点灯パターンの検出時間を大幅に短縮化できる。この他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0065】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態の複合機1の説明をする。一定時間置き、または動作後等に上述の点灯パターンの検出制御を実行する場合、常に全範囲の検出を行う必要はなく、特定範囲から検出を開始することで、よりシンプルで高速な点灯パターンの検出制御を可能とすることができる。
【0066】
A4サイズの原稿用の点灯パターンの検出制御を例に説明する。A4サイズの場合、上述のように5000画素に対応する画像信号のレベルが、点灯パターン検出の基準となる。このため、第5の実施の形態の複合機1のCPU66は、例えば4500画素〜5500画素の範囲でのみ、点灯パターンの検出を行うように光源13等を制御する。
【0067】
図11は、光源13の第2ブロック13−2〜第7ブロック13−7を個別に点灯させた場合の各画像信号の波形である。また、
図12は、光源13の第1ブロック13−1〜第7ブロック13−7を同時に点灯させた場合における画像信号の波形である。原稿がA4サイズの場合、上述のように5000画素目までの特性確保が必要であるため、端部に相当する5000画素目付近(
図12の例では4500画素〜5500画素の点線の範囲内)を監視対象とする。
【0068】
CPU66は、最初の点灯制御時に、4500画素に対応する第1ブロック13−1〜第6ブロック13−6を一度に点灯制御して、上述のようにA4サイズの5000画素に対応する画像信号のピーク/ボトム比を検出する。続けてCPU66は、5000画素に対応する第7ブロック13−7を追加点灯制御して、A4サイズの5000画素に対応する画像信号のピーク/ボトム比を検出する。最後に、CPU66は、5500画素に対応する第8ブロック13−8を追加点灯制御して、A4サイズの5000画素に対応する画像信号のピーク/ボトム比を検出して、点灯パターンの検出制御を終了する。
【0069】
そして、CPU66は、4500画素〜5500画素の範囲に対応する点灯パターンのうち、所定値以上のピーク/ボトム比で、かつ、最も点灯ブロック数が少ない点灯パターンを、その原稿サイズ(この例の場合、A4サイズ)の原稿の読み取りに最適な点灯パターンと判断し、原稿サイズに関連付けてシステムメモリ67に記憶する。これにより、読み取りを行う原稿サイズに対応する例えば4500画素〜5500画素の範囲等の所定の範囲でのみ点灯パターンの検出制御を行うことができるため、検出時間を大幅に削減することができる。
【0070】
ここで、例えば一定の連続読み取りにおいて、読み取り開始時点では、
図12に実線の波形で示すように標準状態であったが、動作後に、
図12の点線の波形で示すように変化状態に移行したとする。この状態で、上述の点灯パターンの検出制御を行うと、4500画素〜5500画素内におけるmin/max比は、点Bの62.9%から点Aの26.8%に悪化したことが検出される。
【0071】
この場合、光源13の点灯するブロックを1ブロック増加させ、再度、点灯パターンの検出制御を行うと、4500画素〜5500画素内におけるmin/max比は、点Aの26.8%から点Cの75.7%へ改善することができる。
【0072】
端部光量の低下は、物理的な振動による光源13と原稿22との相対位置ズレ、発熱起因の部材膨張および発光量の低下等によって生じる。光源13と原稿22の相対位置ずれが発生した場合の位置関係および光源点灯状態の例を、
図13〜
図15に示す。
図13に示す通常の読み取り状態では、光源13の点灯領域は原稿領域を確保できている。しかし、振動または発熱等、何らかの外部要因により光源13と原稿22との相対位置関係がずれてしまうと、
図14に示すように点灯領域は原稿領域を確保しきれなくなってしまう。この場合、上述の点灯パターンの検出制御により、
図15に示すように点灯範囲を再度確保することができる。なお、光源13と原稿22との相対位置が逆方向にずれた場合は、過剰点灯となるが、この場合は、過剰点灯ブロックを消灯させて調整する。
【0073】
以上の説明から明らかなように、第5の実施の形態の複合機1の場合、特定範囲でのみ点灯パターンの検出を行うことで、よりシンプルで高速な点灯パターンの検出制御を可能とすることができる。このため、例えば連続読み取り動作中に、点灯パターンの検出制御を行い、光源13と原稿22との相対位置のずれを補正しながら、連続読み取り継続可能とすることができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0074】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態の複合機1の説明をする。この第6の実施の形態の複合機1は、CCDラインセンサ51の代わりに、部分読み出し機能を備えているCMOSセンサを用い、画像信号の部分的な読み出しを行うことで、点灯パターンの検出制御のさらなる高速化を図ったものである。
【0075】
図16に、CMOSセンサの部分読み出し機能を説明するためのタイミングチャートを示す。
図16の(a)の符号を付した図は、CMOSセンサの通常の1ラインに相当する時間を示している。また、
図16の(b)の符号を付した図は、1ライン分の画像信号を示している。この(a)および(b)の各図に対し、
図16の(c)の符号を付した図は、CMOSセンサの部分読み出し機能を用いて読み出しを行うことで、1ラインの時間が短縮された状態を示している。また、
図16の(d)の符号を付した図は、1ラインの画像信号のうち、部分的に読み出された画像信号を示している。
【0076】
第6の実施の形態の複合機1のCPU66は、この
図16の(a)〜(d)に示す部分読み出し機能を用いて、例えば第5の実施の形態で説明した4500画素〜5500画素の範囲の画像信号を部分的に読み出すように、CMOSセンサを読み出し制御する。このような部分読み出し制御は、
図13〜
図15を用いて説明した光源13と原稿22との相対位置のずれの補正を連続読み取り中に行う場合等、制御自体を可能な限り短時間で行いたい場合に効果的である。これにより、点灯パターンの検出制御のさらなる高速化を図ることができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0077】
なお、ライン周期が短くなることで1ライン読み取り時間あたりの受光量(=画像信号レベル)も低下するが、例えば判定対象データがmin(ボトム)/max(ピーク)比のような相対値であれば問題はない。
【0078】
上述の各実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。各実施の形態および各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。