(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図12〜14に示すように、主配管や散気管を一定の角度をつけて配置するのは困難であり、また、経験から計算して配置場所を判断する場合が多く、汎用性に欠ける。また、配管が複雑化しやすくなる傾向にもある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均一に散気でき、かつ設置の利便性が高く、配管が複雑化しにくい散気装置、その運転方法、及び前記散気装置を備えた水処理装置の提供を目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の態様を有する。
[1] 上部に複数の散気孔が形成された、水平方向に延びる散気管と、一端が前記散気管の末端に直接又は間接的に連通し、他端が鉛直方向の下向きに開放した、鉛直方向に延びる開放管とを備え、下記式(1)を満たす、散気装置。
(D×d×n)/Q≦8 ・・・(1)
(式(1)中、Dは散気管の内径(mm)であり、dは散気孔の直径(mm)であり、nは散気管1本あたりの散気孔の数(個)であり、Qは散気管1本あたりに供給される気体の風量(l/min)である。)
[2] 外部から気体が供給される主配管と、基端が前記主配管に連通する複数の前記散気管と、前記開放管とを備えた、前記[1]に記載の散気装置。
[3] 前記主配管と、前記複数の散気管と、前記散気管ごとに、一端が前記散気管の末端に直接連通する前記開放管とを備えた、前記[2]に記載の散気装置。
[4] 前記主配管と、前記複数の散気管と、前記散気管の末端同士を連通させる連通部材と、一端が前記連通部材に連通する1つ又は複数の前記開放管とを備えた、前記[2]に記載の散気装置。
[5] 前記散気管の本数Aと前記開放管の本数Bとの比(A/B)が、1〜3.5である、前記[4]に記載の散気装置。
[6] 前記散気管の内径Dが、6〜20mmであり、前記散気孔の直径dが、5〜6mmである、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の散気装置。
[7] 前記散気孔の数が、前記散気管の1本あたり3〜5個である、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の散気装置。
[8] 前記複数の散気孔の間隔が、50〜120mmである、前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の散気装置。
[9] 水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、前記膜モジュールユニットの下方に配置された前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の散気装置とを備えた、水処理装置。
[10] 上部に複数の散気孔が形成された、水平方向に延びる散気管と、一端が前記散気管の末端に直接又は間接的に連通し、他端が鉛直方向下向きに開放した、鉛直方向に延びる開放管とを備えた散気装置の運転方法であって、下記式(1)を満たすように、散気管1本あたりに供給される気体の風量を調節する、散気装置の運転方法。
(D×d×n)/Q≦8 ・・・(1)
(式(1)中、Dは散気管の内径(mm)であり、dは散気孔の直径(mm)であり、nは散気管1本あたりの散気孔の数(個)であり、Qは散気管1本あたりに供給される気体の風量(l/min)である。)
【0010】
また、本発明は以下の側面を有する。
<1>外部から気体が供給される主配管と、基端が前記主配管に連通し、上部に散気孔が形成された、水平方向に延びる複数の散気管と、前記散気管の末端同士を連通させる連通部材と、一端が前記連通部材を介して前記散気管の末端に連通する1つ又は複数の開放管とを備えた、散気装置。
<2>前記開放管の他端が、鉛直方向の下向きに開放し、鉛直方向に延びている、<1>に記載の散気装置。
<3>前記散気管の本数Aと前記開放管の本数Bとの比(A/B)が、1〜3.5である、<1>又は<2>に記載の散気装置。
<4>前記散気管の内径Dが、6〜20mmであり、前記散気孔の直径dが、5〜6mmである、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の散気装置。
<5>前記散気孔の数が、前記散気管の1本あたり3〜5個である、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の散気装置。
<6>前記散気孔の間隔が、50〜120mmである、<5>に記載の散気装置。
<7>水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、前記膜モジュールユニットの下方に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の散気装置とを備えた、水処理装置。
【0011】
本発明は更に以下の態様を有する。
[1]上部に複数の散気孔が形成された、水平方向に延びる散気管と、開口管とを備えた散気装置であって、前記開口管の一端が前記散気管の末端に直接又は間接的に連通し、前記開口管の開口端が鉛直方向下向きに開放し、かつ下記式(1)を満たす、散気装置;
(D×d×n)/Q≦7.5 ・・・(1)
(式(1)中、Dは散気管の内径(mm)であり、dは散気孔の直径(mm)であり、nは散気管1本あたりの散気孔の数(個)であり、Qは散気管1本あたりに供給される気体の風量(l/min)である。)
[2]散気の均一性を表す指標である標本分散が、下記式(2)を満たす前記[1]に記載の散気装置;
標本分散={(V
1−V)
2+(V
2−V)
2+・・・+(V
n−V)
2}/n ≦ 2 ・・・(2)
(式(2)中、V
1、V
2、・・・V
nは散気管1本あたりに形成されたn個の散気孔からそれぞれ散気される空気の流速であり、Vは各散気孔から散気される空気の平均流速である。)
[3]外部から気体が供給される主配管と、複数の前記散気管と、前記開口管とを備えた散気装置であって、前記散気管の基端が前記主配管に連通している、前記[1]又は[2]に記載の散気装置;
[4]前記主配管と、前記複数の散気管と、前記開口管とを備え、前記開口管の一端が前記散気管ごとの末端に直接連通している、前記[3]に記載の散気装置;
[5]前記主配管と、前記複数の散気管と、前記散気管の末端同士を連通させる連通部材と、一端が前記連通部材に連通している1つ又は複数の前記開口管とを備えた、前記[3]に記載の散気装置;
[6]前記散気管の本数Aと前記開口管の本数Bとの比(A/B)が、1〜3.5である、前記[5]に記載の散気装置;
[7]前記散気管の長さLが、200〜500mmである、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の散気装置;
[8]前記散気管の内径Dが、6〜20mmであり、前記散気孔の直径dが、3〜10mmである、前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の散気装置;
[9]前記散気管1本あたりの前記散気孔の数が、3〜5個である、前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の散気装置;
[10]前記複数の散気孔の間隔が、50〜120mmである、前記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の散気装置;
[11]水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、前記膜モジュールユニットの下方に配置された前記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の散気装置とを備えた、水処理装置;
[12]上部に複数の散気孔が形成された、水平方向に延びる散気管と、開口管とを備え、前記開口管の一端が前記散気管の末端に直接又は間接的に連通し、前記開口管の開口端が鉛直方向下向きに開放し、かつ鉛直方向に延びている散気装置の運転方法であって、下記式(1)を満たすように、散気管1本あたりに供給される気体の風量を調節する、散気装置の運転方法。
(D×d×n)/Q≦7.5 ・・・(1)
(式(1)中、Dは散気管の内径(mm)であり、dは散気孔の直径(mm)であり、nは散気管1本あたりの散気孔の数(個)であり、Qは散気管1本あたりに供給される気体の風量(l/min)である。)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、均一に散気でき、かつ設置の利便性が高く、配管が複雑化しにくい散気装置とその運転方法、及び前記散気装置を備えた水処理装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[散気装置]
以下、本発明の散気装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態例である散気装置を示す斜視図である。この例の散気装置10は、水平方向に延びる散気管11と、開口管12と、接続部材13とを備える。
なお、後述する
図2〜9において、
図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0015】
散気管11は、長手方向に垂直な断面(以下、「垂直断面」という。)が、例えば円形の円管からなり、その周壁の上部には、散気用気体(以下、単に「気体」という。)を噴出するための円形の散気孔14が複数、散気管11の長手方向に沿って一列に形成されている。
散気管11の材質としては、例えばポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂や、金属などが挙げられる。
【0016】
なお、本発明において、周壁の上部とは、散気管11を水平方向に配置した際に、散気管11の軸線よりも上側に位置する部分の周壁である。そして、散気孔14の中心が散気管11の周壁の上部に位置している場合、この散気孔14は散気管11の上部に形成されているものとする。すなわち、本発明の散気装置の一つの態様においては、散気管11を水平方向に配置した際に、散気孔14が鉛直方向上方に向くように、散気管11に形成されていることが好ましい。
【0017】
散気管11の内径Dは、6〜20mmであることが好ましく、9〜13mmであることがより好ましい。散気管11の内径Dが上記範囲内であれば、散気孔14にかかる散気圧力を均一化でき、気体をより均一に散気することができる。散気孔14から気体をより均一に散気することができれば、散気装置10の真上の領域内に配置された膜モジュールユニットの水処理効果と洗浄効果が向上するため好ましい。
ここで、散気管11の内径Dとは、散気管11の直径から、管の厚み分を差し引いた、実際に液体、又は気体が流れる部分の径のことを指す。また、散気管11の長手方向に垂直な断面は、円形であることが好ましい。また、前記垂直断面が楕円形である場合、散気管11の内径Dとは、散気管11の前記垂直断面の中心を通るように引かれた直線の内、最も長い線のことを指す。また、散気管11は、その長手方向において内径Dが変化しない形状であることが好ましい。
また、散気孔14の直径dは、3〜10mmであることが好ましく、3.5〜6.5であることがより好ましく、4〜6mmであることがさらに好ましい。
【0018】
散気管11に流れ込んだ気体は、散気孔14から外部に噴出される。この際、噴出された気体が気泡となり、下方から上方へと上昇する。これにより、詳しくは後述するが、散気装置10の真上の領域内を上昇する気泡が均一となり、上記領域内に配置された膜モジュールユニットの水処理効果と洗浄効果が向上する。その効果を実現させるため、散気管11に形成されている散気孔14の数は、散気管1本あたり3〜5個であることが好ましい。なお、詳しくは後述するが、散気装置が複数の散気管を有する場合、散気管1本あたりの散気孔14の数を統一することが好ましい。すなわち、本発明の1つの態様において、「複数の散気孔が形成された散気管」は、その周壁に3〜5個の散気孔が形成されている散気管であることが好ましい。
また、散気孔14の間隔は、50〜120mmであることが好ましく、80〜100mmであることがより好ましい。散気孔14の間隔が50mm以上であれば、散気管11の長さが適度に長くなるので、広範囲の膜モジュールを洗浄することができる。ただし、散気孔14の間隔が広くなるに連れて、散気孔14との間の、上方に位置する膜モジュールに気泡が届きにくくなり、十分に洗浄できなくなることがある。よって、散気孔14の間隔は120mm以下が好ましい。ここで、「散気孔14の間隔」とは、散気管11を水平に配した状態で前記散気装置を鉛直方向から平面視した際、一方の散気孔14の中心から、前記一方の散気孔14に隣接する他方の散気孔14の中心までの距離のことを指す。
また、本発明の散気装置の1つの態様において、散気管11の長さLは、200〜500mmであることが好ましく、250〜400mmであることがより好ましい。ここで、散気管11の長さとは、散気管11の基端から、開口管12の接続部までの距離のことを指す。また、散気管11の基端に接続部材13が接続されている場合、前記長さLは、散気管11の接続部材13との接続部から、開口管12の接続部までの距離のことを指す。すなわち、
図1においては、接続部材13の他端13bから、開口管12の一端12aまでの距離のことを指す。
【0019】
ところで、詳しくは後述するが、散気管11の基端11a側に形成された散気孔14、すなわち、基端11aに隣接する散気孔14から開口管12までの距離が長くなるほど、圧力損失により散気装置10中、特に散気管11中に滞留する汚泥量が多くなり、汚泥が散気装置10内で腐敗したり、固形化したりしやすくなる。
散気管1本あたりの散気孔14の数が5個以下であり、散気孔14の間隔が120mm以下であれば、散気管11の基端11aに隣接する散気孔14から開口管12までの距離が長くなりすぎないので、汚泥が滞留しにくくなる。すなわち、本発明の散気装置の1つの態様においては、散気管11の基端11aに隣接する散気孔14から、開口管12までの距離は、20〜120mmであることが好ましい。前記距離が20〜120mmであれば、汚泥が滞留しにくくなるため好ましい。また、前記距離は、散気管11を水平に配した状態で散気装置を鉛直方向から平面視した際の、基端11a側に隣接する散気孔14の中心から、開口管12の他端12bまでの距離のことを指す。
【0020】
開口管12は、一端12aが散気管11の末端11bに着脱自在に直接連通し、他端12bが鉛直方向下向きに開放し、かつ他端12b側が鉛直方向下向きに延びており、更に長手方向に垂直な断面が円形の円管である。ここで、鉛直方向下向きとは、斜め下向きも含むものとする。また、散気管11の上端の接線から開口管12の他端12bまでの、鉛直方向下向きに伸びた管部の長さは、散気管11の内径Dに対して、2〜5倍であることが好ましい。また、散気管11に供給する空気の流量が大きい場合には、その長さを比較的長く、例えば50mm〜100mm程度に形成するのが好ましい。
開口管12としては、90°エルボ管などが挙げられる。
開口管12の材質としては、散気管11の材質の説明において先に例示した合成樹脂や金属などが挙げられる。
また、開口管12の他端12bの内径は、散気管11の内径Dと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0021】
接続部材13は、気体を散気装置10に供給する気体供給装置の気体供給管と散気管11とを接続するものである。
接続部材13は、一端13aが鉛直方向の上向きに開放し、他端13bが散気管11に着脱自在に連通し、かつ一端13a側が鉛直方向の上向きに伸びており、更に長手方向に垂直な断面が円形の円管である。また、接続部材13の一端13aは気体供給管に着脱自在に接続される。
接続部材13の材質としては、散気管11の材質の説明において先に例示した合成樹脂や金属などが挙げられる。
【0022】
本発明の1つの態様において、散気装置10は、下記式(1)を満たす。
(D×d×n)/Q≦7.5 ・・・(1)
(式(1)中、Dは散気管の内径(mm)であり、dは散気孔の直径(mm)であり、nは散気管1本あたりの散気孔の数(個)であり、Qは散気管1本あたりに供給される気体の風量(l/min)である。)
また、前記散気装置10は、散気の均一性を表す指標である標本分散が、下記式(2)を満たすことが好ましい。
標本分散={(V
1−V)
2+(V
2−V)
2+・・・+(V
n−V)
2}/n ≦ 2 ・・・(2)
(式(2)中、V
1、V
2、・・・V
nは散気管1本あたりに形成されたn個の散気孔からそれぞれ散気される空気の流速であり、Vは各散気孔から散気される空気の平均流速である。)
前記標本分散は、散気孔14から散気される気体の風量と、散気孔14から散気される気体の流速を基に算出することのできる値である。前記標本分散の値が2以下であれば、散気孔14から均一に散気が行われるため好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
【0023】
散気装置10に供給される気体の風量は、通常、散気管11に形成された各散気孔14から散気される気体の風量の合計に等しい。
ところで、散気管11内を流れる気体の流速は、散気管11の内径Dに影響を受ける。散気管11の内径Dが大きくなるに連れて散気管11内を流れる気体の流速は遅くなる傾向にあり、散気管11の内径Dが小さくなるに連れて散気管11内を流れる気体の流速は速くなる傾向にある。そして、散気管11内を流れる気体の流速が速くなるほど、散気管11の末端11bまで気体が到達しやすくなり、その結果、各散気孔14から散気される気体の風量の均一性が向上する。しかし、散気管11内を流れる気体の流速が速くなりすぎると、散気管11内の圧力損失が増大し、その結果、散気エネルギーが増大する懸念がある。散気エネルギーが増大すると、エネルギー消費量やランニングコストが高騰するため好ましくない。
【0024】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記式(1)を満たすように散気管11の内径Dと、散気孔14の直径dと、散気管1本あたりの散気孔14の数nと、散気管1本あたりに供給される気体の風量Qとを調整することで、散気エネルギーが増大しない程度の速さで気体が散気管11内を流れるようになることを見出した。
散気装置10が上記式(1)を満たせば、適度に速い流速で気体が散気管11の末端11bまで流れるので、散気エネルギーを増大させることなく、各散気孔14から気体を均一に散気できる。よって、膜モジュールを十分に洗浄でき、汚泥等の付着(クロッキング)による膜モジュールの機能の低下を抑制できる。
なお、風量Qが増加すれば、各散気孔14から流れ出る風量も増え、均一に散気されやすくなる傾向にある。よって、風量Qの値が十分に大きくなり、散気の均一性が向上することから、(D×d×n)/Qの下限値は0.1以上が好ましい。すなわち、本発明の1つの態様において、散気装置10は、0.1≦(D×d×n)/Q≦7.5を満たすことが好ましく、1.0≦(D×d×n)/Q≦5.5を満たすことがより好ましい。
また、各散気孔14から流れる風量は、メスシリンダー等の容器を用いて、散気孔から吐出されるエアーを採取する方法により測定することができる。
【0025】
<作用効果>
本実施形態例の散気装置10は、水平方向に延びる散気管11と、他端12b側が鉛直方向下向きに延びる開口管12とを備え、開口管12の一端12aが散気管11の末端11bに連通し、更に開口管12の他端12bが鉛直方向下向きに開放している。そのため、散気装置11を水処理装置の水槽内に浸漬させると、開口管12には上向きに水圧がかかり、すなわち、
図2に示すように開口管12に被処理水21が引き込まれて、水面がふたの役割を果たす。その結果、散気管11の末端11bから気泡が流出することなく、均一に圧力が行き渡り、複数の散気孔14から気体を均一に散気できる。特に、散気管11の内径Dが小さくなるに連れて散気管11内を流れる気体の流速は速くなる傾向にある。そして、散気管11内を流れる気体の流速が速くなるほど、散気管11の末端11bまで気体が到達しやすくなるので、複数の散気孔14から気体をより均一に散気できる。よって、膜モジュールを十分に洗浄でき、汚泥等の付着(クロッキング)による膜モジュールの機能の低下を抑制できる。
なお、散気管11の末端11bに開口管12が連通していない場合(すなわち、散気管11の末端11bが水平方向に開放されている場合)や、他端が水平方向に開放した、水平方向に延びる開口管が散気管11の末端11bに連通している場合は、散気管11内の気体が散気管11の末端11bや、水平方向に延びる開口管の開口端から逸散してしまい、気体を均一に散気できなくなる。
【0026】
加えて、本実施形態例の散気装置10は、上記式(1)を満たすので、気体の均一散気性が向上する。
【0027】
また、本実施形態例の散気装置10は、散気管11が水平方向に延びているので、
図12〜14のように散気管を一定の角度をつけて配置する必要がない。よって、本発明の散気装置10は設置の利便性が高く、また、配管が複雑化しにくい。
【0028】
ところで、水処理装置の水槽内に浸漬させた散気装置の運転を停止すると、汚泥等の夾雑物を含む被処理水が散気管等に侵入し、汚泥等が沈殿して散気管の下部に堆積する。
散気装置の運転を再開すれば被処理水は散気孔から排出されるが、例えば
図10〜14に示す散気装置のように散気孔が散気管の上部に形成されており(すなわち、散気孔が上向きに形成されている)、かつ散気管の末端が閉塞されていると、散気管の下部に堆積した汚泥は排出されにくく、散気管内に滞留したままとなる。この滞留した汚泥は散気管に供給される気体によって徐々に乾燥して粗大化し、やがて剥離して気体の流れにのって移動し、散気孔を閉塞することとなる。散気孔が閉塞すると均一に散気できなくなるため、散気装置の運転を停止し、散気管等を清掃する必要がある。
【0029】
しかし、本実施形態例の散気装置10であれば、散気管11の末端11bに、他端12bが鉛直方向下向きに開放している開口管12が連通している。そのため、散気装置10の運転を再開すれば、散気管11内の被処理水が排出される勢いや曝気圧力によって、散気管11内に侵入した汚泥等を含む被処理水は、散気管11の上部に形成された散気孔14を閉塞することなく開口管12から排出される。また、
図2に示すように、一旦散気管11から排出された被処理水21の水面は、散気管11よりも下側であるため、被処理水21に含まれる汚泥が気体によって乾燥し、粗大化して散気孔14を閉塞するのを抑制できる。
本願の散気装置10は、他端12bが鉛直方向下向きに開放している開口管12に加えて、散気孔14が散気管11の上部に形成されているので、汚泥が重力に逆らって散気孔14に付着することは困難であり、散気孔14が閉塞するのを抑止する効果を得ることができる。特に、被処理水中に数mm程度の大きさの粗大な汚泥等の夾雑物が多く含まれる場合や、散気を長時間停止したまま放置する事が想定されるときには、散気孔14を散気管11の上部に形成することが有効である。
ただし、開口管12と、散気管11の基端11aに隣接する散気孔14との距離が長くなるほど、圧力損失により散気装置10の停止中に滞留する汚泥量が多くなり、汚泥が散気装置10内で腐敗したり、固形化したりしやすくなる。散気装置10中に滞留する汚泥量を減らすには、上述したように、散気孔14の数を散気管1本あたり5個以下としたり、散気孔14の間隔を120mm以下としたりすることが好ましい。
【0030】
なお、散気孔が散気管の下部に形成されていれば(すなわち、散気孔が下向きに形成されていれば)、散気装置の運転を再開することで前記散気孔からも汚泥等を含む被処理水が排出される。しかし、粗大固形物が予め散気管内に滞留していたり、汚泥等が腐敗して固形化するほど長時間運転を停止したりする場合には、固形物は下向きの散気孔から速やかに排出されず、そのまま散気孔を閉塞することになる。
しかし、本発明のように散気孔が散気管の上部に形成されていれば、粗大固形物が予め散気管内に滞留していたり、汚泥等が腐敗して固形化するほど長時間運転を停止したりしても、固形物が散気孔を閉塞しにくい。ここで、散気孔が下向きに形成されているとは、散気管の軸線よりも下側に位置する部分の周壁に散気孔が形成されていることを指す。
【0031】
このように、本実施形態の散気装置10であれば、汚泥等による散気孔14の閉塞が起こりにくいので、散気孔14からの均一散気を維持できる。さらに、散気管11等を清掃する場合でも、散気管11と開口管12と接続部材13とは互いに着脱自在に取り付けられているので、清掃が容易で、メンテナンスが非常に簡便である。
【0032】
<他の実施形態例>
本発明の散気装置は
図1に示すものに限定されない。
図1に示す散気装置10は1本の散気管11を備えているが、散気管11の数は複数であってもよい。散気管11を複数備える散気装置としては、例えば
図3に示すような、外部から気体が供給される、水平方向に延びる主配管15と、複数の散気管11と、複数の開口管12とを備えた散気装置10が挙げられる。
図3に示す散気装置10の場合、主配管15と散気管11とが直交するように、散気管11の基端11aが接続部材13を介して主配管15に着脱自在に連通して取り付けられ、散気管11ごとに開口管12の一端12aが散気管11の末端11bに直接連通している(
図4参照)。
【0033】
主配管15は、その基端15aが気体供給管に着脱自在に接続され、気体供給装置から供給された気体を各散気管11に送るものである。
主配管15は、例えば、長手方向に対して垂直な断面が円形の円管であり、主配管15を水平に配した状態でその周壁の側部には、
図4に示すように接続部材13と接続するための円形の接続孔16が複数、主配管15の長手方向に沿って一列に形成されている。
主配管15としては、ヘッダー管などが挙げられる。
主配管15の材質としては、散気管11の材質の説明において先に例示した合成樹脂や金属などが挙げられる。
なお、
図4は、主配管15から接続部材13を取り外し、散気管11から接続部材と開口管12とを取り外した状態を示す分解斜視図である。
本発明の散気装置の1つの態様において、前記主配管15を水平に配した状態で前記散気装置を鉛直方向から平面視した際の、主配管15の気体供給管との接続部である基端から、末端までの長さ、すなわち、
図4において、主配管15の基端15aから、もう一方の端部までの長さは、150〜2500mmであることが好ましく、200〜2200mmであることがより好ましい。また、主配管15の内径は、散気の均一性の観点から、20〜100mmであることが好ましく、40〜90mmであることがより好ましい。
主配管15の内径とは、主配管15の直径から管の厚み分を差し引いた、実際に液体、又は気体が流れる部分の径のことを指す。また、前述の通り、主配管15の長手方向に垂直な断面は円形であることが好ましい。また、前記断面が楕円形状である場合、主配管15の内径とは、主配管15の前記断面において、主配管15の中心を通るように引かれた直線の内、最も長い線のことを指す。また、主配管15は、その長手方向において内径が変化しない形状であることが好ましい。
【0034】
図3に示すように、散気装置10が複数の散気管11を備えていれば、一度により多くの気体を散気できる。
また、接続部材13で、主配管15と散気管11とを接続しているので、例えば散気装置10のメンテナンスを行う場合や気体の風量を変える場合などにおいて、簡単に散気管11を取り外すことができる。また、散気管11は主配管15から簡単に取り外すことができるので、清掃が容易である。また、例えば風量を変えたことにより上記式(1)を満たさなくなった場合は、散気管11のみの交換で上記式(1)を満たすようにできるので、交換設置が簡便である。しかも、後述する膜モジュールの大きさに応じて主配管15や散気管11を容易に適宜交換できる。
【0035】
また、散気管11ごとに開口管12が連通しているので、各散気管11内において、それぞれ抵抗を均等化できる。気体は抵抗の高いところから低いところに流れる特性があるが、各散気管11内の抵抗をそれぞれ均等にできれば、各散気管11の各散気孔14からより均一に気体を散気できる。
しかも、主配管15と散気管11とが直交しているので、気体供給装置から供給された気体が主配管15を通過する際に水平方向に流れ、そのまま水平方向に延びる散気管11に供給される。よって、主配管15内と散気管11内の抵抗が均等になり、各散気管11内に気体がより均等に供給される。
なお、
図1に示す散気装置10の場合は、接続部材13と開口管12の2箇所で屈曲しているので、流路抵抗を小さくできる。
【0036】
なお、複数の散気管を備える散気装置は
図3に示すものに限定されない。
図3に示す散気装置は、散気管11の末端11b同士が連通していないが、散気管11の末端11b同士は連通していてもよい。散気管11の末端11b同士が連通している散気装置10としては、例えば
図5に示すような、主配管15と、複数の散気管11と、散気管11の末端11b同士を連通させる連通部材17と、複数の開口管12とを備えた散気装置10が挙げられる。
【0037】
図5に示す散気装置10は、散気管11の末端11b同士が連通部材17で連通し、開口管12が屈曲することなく鉛直方向に延びており、前記開口管12の一端が連通部材17に連通している以外は、
図3に示す散気装置10と同じである。すなわち、
図5に示す本発明の散気装置の1つの態様においては、開口管12は、連通部材17に直接連通し、かつ連通部材17との連通部から、鉛直方向下向きに伸びている。
連通部材17としては、散気管11の末端11b同士を連通できるものであれば特に制限されず、連通部材17の材質としては、散気管11の材質の説明において先に例示した合成樹脂や金属などが挙げられる。
なお、
図5に示す連通部材17は開口管12と一体化されているが、連通部材17と開口管12とはそれぞれ独立していてもよい。
【0038】
図5に示すように、散気管11の末端11b同士が連通部材17で連通していれば、気体供給装置に近いところに配置された散気管11内の気体が前記散気管11に形成された散気孔14から散気しきれずに散気管11内に残留しても、連通部材17を介して他の散気管11に流れるので、気体をより均一に散気することが可能となる。
また、例えば散気装置10のメンテナンスを行う場合や気体の風量を変える場合などにおいて、簡単に散気管11から開口管12を取り外すことができる。しかも、散気管11と開口管12とが着脱自在なので、清掃が容易であるとともに、後述する膜モジュールの大きさに応じて散気管11の大きさや本数を容易に適宜交換できる。
【0039】
上述した
図1、3、5に示す散気装置10は、散気管11と開口管12の数が一致しているが、すなわち、散気管11ごとに開口管12が連通しているが、例えば
図6に示す散気装置10のように、散気管11と開口管12の数は一致していなくてもよい。
本発明の散気装置の1つの態様において、散気管の本数Aと開口管の本数Bとの比(A/B)は、1〜3.5であることが好ましい。A/Bが1未満となることは、散気管11の本数よりも開口管12の本数が多いことを意味するが、開口管12の本数と散気管11の本数が同じでも、開口管12の本数が散気管11の本数よりも多くても、上述した開口管12を設ける効果はほぼ同じであるため、開口管12の本数を多くする必要性はない。一方、A/Bが3.5以下であれば、上述した開口管12を設ける効果を十分に発揮しつつ、かつ散気装置10の構造をより単純化できる。また、散気管の本数Aと開口管の本数Bとの比(A/B)は、1〜2であることがより好ましい。
【0040】
なお、
図1、3に示す散気装置10は、開口管12が散気管11に直接連通しているが、
図5、6に示す散気装置10は、開口管12が連通部材17を介して散気管11に連通している。
このように、開口管12の一端は、散気管11の末端に直接連通していてもよいし、間接的に連通していてもよい。
【0041】
また、上述した
図3、5、6に示す散気装置10は、主配管15の中心軸線を通るように主配管15を縦に切断したときに一方の側に散気管11が接続部材13を介して主配管15に取り付けられているが、例えば
図7に示すように、他方の側にも散気管11が取り付けられていてもよい。すなわち、
図7に示す散気装置10は、主配管15の両側に散気管11が取り付けられている。
なお、主配管15の両側に散気管11を取り付ける場合、各側に取り付けられる散気管11の数は1本でもよいし、2本以上でもよい。すなわち、本発明の散気装置の1つの態様においては、主配管15を水平に配置した状態で前記散気装置を鉛直方向から平面視した際、主配管15の中心軸に対して散気管11が対称に配置されていてもよく、非対称に配置されていてもよい。
【0042】
<用途>
散気装置は、膜モジュールユニットを備えた水処理装置(例えば活性汚泥処理装置、膜洗浄装置、膜分離装置、排水処理装置など)の水槽内に配置されて使用される。具体的には、被処理水を曝気する際や、膜モジュールを洗浄する際に用いられる。
【0043】
<散気装置の運転方法>
散気装置は、上記式(1)を満たすように、運転するのが好ましい。例えば、上記(1)を満たすように、散気管1本あたりに供給される気体の風量を調節しながら散気装置を運転するのが好ましい。
【0044】
[水処理装置]
以下、本発明の水処理装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図8は、本発明の一実施形態例である水処理装置を示す概略構成図である。この例の水処理装置1は、活性汚泥などの被処理水21が投入された水槽20と、水槽20内に配置された膜モジュールユニット30と、膜モジュールユニット30の下方に配置された本発明の散気装置10(以下、散気ユニットと言うこともある)と、気体供給装置40(以下、気体供給ユニットと言うこともある)とを備えた水処理装置であり、浸漬型膜分離装置として用いられる。
すなわち、本発明のその他の態様は、上部に複数の散気孔が形成された、水平方向に延びる散気管と、開口管とを備える散気ユニットと、前記散気管に気体を供給する気体供給管と、ブロワとを備える気体供給ユニットとを有する水処理装置であって、前記開口管の一端が前記散気管の末端に直接又は間接的に連通し、前記開口管の開口端が鉛直方向下向きに開放し、前記散気ユニットと前記気体供給ユニットが、気体供給管によって接続され、かつ前記式(1)を満たすことを特徴とする水処理装置に関する。また、前記気体供給ユニットは更に、送風量をコントロールするための、コントロールユニットを備えていることが好ましい。
【0045】
水槽20の大きさは特に制限されないが、例えば水深1m以上が好ましい。
膜モジュールユニット30は、
図9に示すように複数の膜モジュール31を備えている。
図9に示す膜モジュール31は、この例では中空糸膜などの膜エレメント32を備えて構成されている。また、膜モジュール31には、
図8に示すように、吸引配管33を介して吸引ポンプが接続され、吸引濾過が可能に構成されている。
【0046】
図8に示す気体供給装置40は、送気ユニットであるブロワ41と、ブロワ41と散気装置10とを接続する気体供給管42とを備えている。
気体供給管42は、ブロワ41から送気された気体を散気装置10へ供給するものであり、一端がブロワ41に連通している。
なお、
図8、9では、便宜上、散気装置10は散気管や開口管等の散気装置10を構成する各部材を省略しているが、水処理装置1が
図1に示す散気装置10を備えている場合は、気体供給管42の他端は散気装置10の接続部材13の一端13aに連通している。また、水処理装置1が
図3、5、6、7の散気装置10を備えている場合、気体供給管42の他端は散気装置10の主配管15の基端15aに連通している。
【0047】
散気装置に供給される気体としては空気が一般的であるが、空気以外の気体(例えば酸素など)を用いてもよい。
【0048】
散気管1本あたりに供給される気体の風量Qは、25〜150l/minが好ましい。また、風量Qは、50〜125l/minであることがより好ましい。風量Qが上記範囲内であれば、均一散気の効果がより高まる。
【0049】
また、散気管11内を流れる気体の流速は20m/s以下が好ましい。散気管11内を流れる気体の流速が20m/s以下であれば、散気管11内の圧力損失が増大するのを抑制できるので、散気エネルギーの増大も防げる。散気管11内を流れる気体の流速の下限値は特に制限されないが、上述したように、流速が速くなるほど、散気管11の末端11bまで気体が到達しやすくなり、その結果、各散気孔14から散気される気体の均一性が向上する。よって、5m/s以上が好ましい。
【0050】
また、散気孔14から散気される気体の流速は13m/s以下が好ましい。散気孔14から散気される気体の流速が13m/s以下であれば、散気管11内の圧力損失が増大するのを抑制できるので、散気エネルギーの増大も防げる。散気管11内を流れる気体の流速の下限値は5m/s以上が好ましい。散気孔14から散気される気体の流速が5m/s以上であれば、均一散気の効果がより高まる。
【0051】
散気装置10は、例えば水深1m以上の水槽20内の、膜モジュールユニット30の下方に配置される。
膜モジュールユニット30に均一に気体を散気できる観点で、散気装置10は、散気管の長手方向が
図9に示す膜モジュールユニット30の膜モジュール31の幅方向Hと平行になるように、膜モジュールユニット30の下方に配置されるのが好ましい。
【0052】
すなわち、本発明に係る散気方法の一実施形態は、まず、
図8に示すように水槽20内に膜モジュールユニット30、散気装置10等を配置するとともに、被処理水21を所定の水位(水深)となるように蓄える。そして、この状態で吸引ポンプを作動させることにより、膜モジュールユニット30による吸引濾過を行う。
また、このような吸引濾過と並行して、所定の時間、気体供給装置40(ブロワ41)から散気装置10に向けて気体を連続的に供給する。気体の供給量としては、前述の式(1)を満たすようにコントロールすることが好ましい。このように気体を供給することで、気体供給管42を介して散気装置10に供給された気体は、主配管15を通って散気管11の散気孔14から噴出する。
【0053】
このようにして散気孔14から気体を噴出すると、噴出した気体は気泡となり、水槽20中、すなわち被処理液21中を上昇する。上昇した気泡は、被処理液21を伴うことで気液混合流を形成する。この気液混合流は、膜モジュールユニット30(膜モジュール31)に当たることによって各膜エレメントを洗浄する。すなわち、気液混合流は膜エレメント(膜モジュールユニット30)の表面に付着した汚泥等の懸濁物質を剥離し、膜モジュールユニット30から除去する。
【0054】
このような散気工程を所定の時間行ったら、一定時間ブロア41を停止し、散気装置10への気体の供給を停止する、停止工程を行う。すると、主配管15や散気管11内に残る気体は散気孔14を抜け出て被処理水21中に排出され、膜モジュールユニット30を洗浄する。また、この気体と置換して、開口管12の末端12bから被処理水21が流入する。このように流入する被処理水21は、例えば散気孔14を目詰まりさせている乾燥堆積した異物(汚泥)や散気管11内に堆積する汚泥を湿潤化させる。したがって、一定時間経過後、ブロワ41を作動させて散気を再開した際、これら異物や汚泥を散気孔14から容易に排出することができる。すなわち、主配管15内や散気管11内、及び散気孔14を洗浄することができる。
散気工程を行う時間は、膜モジュールユニット表面に付着した汚泥等の種類、またその量によって異なるが、一般的には、30分間〜360分間であることが好ましい。
【0055】
<作用効果>
本実施形態例の水処理装置1は、気体を均一に散気でき、かつ設置の利便性が高い本発明の散気装置10を備えている。よって、膜モジュールを十分に洗浄することができるので、クロッキングによる膜モジュールの機能低下を防止できる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
[実施例1]
散気管として、内径Dが20.0mmであり、長さLが500mmであり、上部に直径dが6.0mmの円形の散気孔が等間隔に5個形成された、水平方向に延びる散気管を1本用いた。
この散気管の基端に接続部材の他端を連通させた。また、他端が鉛直方向下向きに開放し、かつ他端側が鉛直方向下向きに延びている開口管の一端を散気管の末端に直接連通させ、
図1に示す散気装置10とした。開口管としては、90°エルボ管を用いた。
接続部材の一端に気体供給装置の気体供給管を接続し、気体供給装置から散気装置の散気管に空気を風量100l/minで供給した。
散気管内を流れる空気の流速は5.3m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり20.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、11.3m/s、11.6m/s、12.0m/s、11.9m/s、12.1m/sであり、これらの平均流速は11.8m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
散気管及び散気孔の大きさと、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量と散気性評価結果を表2に、散気性評価の指標である標本分散の値を表1に示す。
【0058】
<散気性の評価>
先に求めた散気孔から散気される空気の風量と、散気孔から散気される空気の流速を基に、散気性評価の指標である標本分散を算出した。標本分散は下記式(2)より計算した。標本分散が2以下の場合は均一散気できたと判断し「○」と評価した。標本分散が2を超えた場合は、均一散気できていないと判断し「×」と評価した。その結果を表1に示す。また、表1中、菱形のプロットは実施例の標本分散であり、黒丸のプロットは比較例の標本分散である。
標本分散={(V
1−V)
2+(V
2−V)
2+・・・+(V
n−V)
2}/n ・・・(2)
式(2)中、V
1、V
2、・・・V
nは散気管1本あたりに形成されたn個の散気孔からそれぞれ散気される空気の流速であり、Vは各散気孔から散気される空気の平均流速である。
【0059】
[実施例2]
散気管の内径Dを13.0mmに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は12.6m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり20.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、10.6m/s、10.7m/s、11.6m/s、12.4m/s、13.7m/sであり、これらの平均流速は11.8m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0060】
[実施例3]
散気管の内径Dを13.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を75l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は9.4m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり15.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、8.4m/s、8.2m/s、8.6m/s、9.3m/s、9.8m/sであり、これらの平均流速は8.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0061】
[実施例4]
散気管の内径Dを13.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を60l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は7.5m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり12.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、7.9m/s、7.4m/s、7.8m/s、7.5m/s、4.8m/sであり、これらの平均流速は7.1m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0062】
[実施例5]
散気管の内径Dを9.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を75l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は19.6m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり15.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、7.5m/s、8.2m/s、8.5m/s、9.7m/s、10.4m/sであり、これらの平均流速は8.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0063】
[実施例6]
散気管の内径Dを9.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を60l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は15.7m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり12.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、7.1m/s、7.0m/s、6.7m/s、7.3m/s、7.3m/sであり、これらの平均流速は7.1m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0064】
[実施例7]
散気管の内径Dを13.0mmに変更し、散気孔の直径を4.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を60l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は7.5m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり12.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、15.9m/s、16.2m/s、16.2m/s、15.7m/s、15.6m/sであり、これらの平均流速は15.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を1.26×10
−5m
2として求めた。
【0065】
[実施例8]
散気管の内径Dを7.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を50l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は21.7m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり10.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、6.4m/s、5.5m/s、6.1m/s、5.8m/s、5.6m/sであり、これらの平均流速は5.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0066】
[実施例9]
散気管の内径Dを7.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を55l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は23.8m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり11.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、6.7m/s、6.0m/s、6.5m/s、6.7m/s、6.5m/sであり、これらの平均流速は6.5m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0067】
[実施例10]
散気管の内径Dを7.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を60l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は26.0m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり12.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、7.1m/s、6.7m/s、6.9m/s、7.4m/s、7.3m/sであり、これらの平均流速は7.1m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0068】
[実施例11]
散気管の内径Dを13.3mm、長さを400mmに変更し、散気孔の個数を3個に変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を55l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は6.6m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり18.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、9.1m/s、11.3m/s、12.0m/sであり、これらの平均流速は10.8m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0069】
[実施例12]
散気管として、内径Dが13.3mmであり、長さが350mmであり、上部に直径が6.0mmの円形の散気孔が等間隔に3個形成された、水平方向に延びる散気管を2本用いた。
各散気管と主配管とが直交するように、かつ、主配管の両側に散気管が取り付けられるように、接続部材を介して各散気管の基端を主配管に連通させた。また、他端が鉛直方向下向きに開放した、他端側が鉛直方向下向きに延びる開口管の一端を各散気管の末端にそれぞれ直接連通させ、
図7に示す散気装置10とした。開口管としては、90°エルボ管を用いた。
主配管の基端に気体供給装置の気体供給管を接続し、気体供給装置から散気装置の散気管に合計で空気を風量110l/minで供給した。すなわち、散気管1本あたりに供給される空気の風量は55l/minであった。
2本の散気管内を流れる空気の平均流速は13.2m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり18.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、第一の散気管の基端側から順に、10.8m/s、10.9m/s、11.1m/sであり、第二の散気管の基端側から順に、9.8m/s、10.8m/s、11.6m/sであり、これらの平均流速は10.8m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。散気管及び散気孔の大きさと、気体供給装置から散気装置の散気管1本あたりに供給される空気の風量を表2に示す。また、実施例1と同様にして評価した散気性の評価結果を表1に示す。
【0070】
[実施例13]
散気管の内径Dを13.3mm、長さを400mmに変更し、散気孔dの直径を5.5mm、個数を3個に変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を55l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は6.6m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり18.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、12.2m/s、12.5m/s、14.0m/sであり、これらの平均流速は12.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.38×10
−5m
2として求めた。
【0071】
[比較例1]
散気管の内径Dを13.3mmに変更し、散気孔の個数を3個に変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を25l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は6.0m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり8.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、8.5m/s、5.7m/s、0.6m/sであり、これらの平均流速は4.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0072】
[比較例2]
散気管の内径Dを16.1mmに変更し、散気管の長さLを250mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管1本あたりに供給される空気の風量を35l/minに変更した以外は、実施例13と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、2本の散気管内を流れる空気の平均流速は5.7m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり11.7l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、第一の散気管の基端側から順に、9.2m/s、7.5m/s、3.9m/sであり、第二の散気管の基端側から順に、9.2m/s、7.5m/s、3.9m/sであり、これらの平均流速は6.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0073】
[比較例3]
散気管の内径Dを30.0mmに変更し、散気管の長さLを250mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管1本あたりに供給される空気の風量を25l/minに変更した以外は、実施例13と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、2本の散気管内を流れる空気の平均流速は1.2m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり8.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、第一の散気管の基端側から順に、8.8m/s、5.4m/s、0.5m/sであり、第二の散気管の基端側から順に、8.8m/s、5.4m/s、0.5m/sであり、これらの平均流速は4.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0074】
[比較例4]
散気管の内径Dを25.0mmに変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を60l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は2.0m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり12.0l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、9.2m/s、8.4m/s、7.4m/s、5.9m/s、4.2m/sであり、これらの平均流速は7.0m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0075】
[比較例5]
散気孔の個数を6個に変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を50l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1、及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は2.7m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり8.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、8.9m/s、7.4m/s、6.3m/s、4.2m/s、2.1m/s、0.3m/sであり、これらの平均流速は4.9m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0076】
[比較例6]
散気管の内径Dを13.0mmに変更し、散気孔の個数を6個に変更し、気体供給装置から散気装置の散気管に供給される空気の風量を50l/minに変更した以外は、実施例1と同様にして散気性を評価した。結果を表1及び2に示す。
なお、散気管内を流れる空気の流速は6.3m/sであった。また、各散気孔から散気される空気の風量は散気孔1個あたり8.3l/minであった。また、各散気孔から散気される空気の流速は、散気管の基端側から順に、6.8m/s、6.0m/s、5.4m/s、4.5m/s、4.0m/s、1.9m/sであり、これらの平均流速は4.8m/sであった。なお、各散気孔から散気される空気の流速は、散気孔の断面積を2.83×10
−5m
2として求めた。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1及び2から明らかなように、他端が鉛直方向下向きに開放し、かつ他端側が鉛直方向下向きに延びている開口管の一端を、水平方向に延びている散気管の末端に連通させ、かつ上記式(1)を満たす実施例1〜13の散気装置の場合、散気孔から気体を均一に散気することができた。
一方、上記式(1)を満たさない比較例1〜6の散気装置の場合、散気孔から気体を均一に散気することができなかった。