特許第6248723号(P6248723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248723座標検知システム、座標検知方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248723
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】座標検知システム、座標検知方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20171211BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G06F3/042 481
   G06F3/041 570
   G06F3/041 630
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-53780(P2014-53780)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-176472(P2015-176472A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長野 紘之
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−210943(JP,A)
【文献】 特表2015−507788(JP,A)
【文献】 特開2004−157671(JP,A)
【文献】 特開2004−192199(JP,A)
【文献】 特開2004−151789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
3/041−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤面に対して指示動作を行う指示部により発光された光信号に基づいて、前記指示部によって指示された座標を検出する座標検出システムであって、
前記盤面の周辺に配置され、前記指示部によって発光された光信号を受光する受光部を少なくとも3つ有し、
さらに、前記受光部によって受光された光信号に基づいて、前記指示部の位置座標を検出する検出部と、
3つ以上の受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第1の方式と、2つの受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第2の方式との切り替えを行う切替手段と、
前記切替手段によって切り替えられた方式に応じて、前記指示部の発光量を制限する制御手段と、
を有することを特徴とする座標検出システム。
【請求項2】
前記第2の方式での動作時に2つの受光部による位置座標の検出が不可能になった場合には、
前記切替手段が、検出の方式を前記第1の方式に切り替え、
前記制御手段が、前記指示部の発光量を増加させる
ことを特徴とする請求項1に記載の座標検出システム。
【請求項3】
前記第2の方式での動作時に2つの受光部による位置座標の検出が不可能になった後、前記第2の方式から切り替わった前記第1の方式により、前記指示部の位置座標の検出ができた場合には、
前記切替手段が、検出の方式を前記第2の方式に切り替え、
前記制御手段が、前記指示部の発光量を制限する
ことを特徴とする請求項2に記載の座標検出システム。
【請求項4】
前記切替手段は、検出の方式を前記第1の方式から前記第2の方式へ切り替える際に、検出されている前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部を、前記第2の方式において用いる2つの受光部とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の座標検出システム。
【請求項5】
前記第2の方式においては、前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部が、当該位置座標との距離が1番目に近い受光部と、2番目に近い受光部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の座標検出システム。
【請求項6】
前記第2の方式においては、前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部が、当該位置座標との距離が所定の距離以内にある受光部を除いた残りの受光部の中から、当該位置座標との距離が1番目に近い受光部と、2番目に近い受光部であることを特徴とする請求項5に記載の座標検出システム。
【請求項7】
前記検出部は、前記第2の方式による位置座標の検出時に、位置座標の検出に用いない受光部の電源を遮断することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の座標検出システム。
【請求項8】
盤面に対して指示動作を行う指示部により発光された光信号に基づいて、前記指示部によって指示された座標を検出する座標検出方法であって、
前記盤面の周辺に配置され、前記指示部によって発光された光信号を受光する受光部を少なくとも3つ用い、
さらに、前記受光部によって受光された光信号に基づいて、前記指示部の位置座標を検出する検出ステップと、
3つ以上の受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第1の方式と、2つの受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第2の方式との切り替えを行う切替ステップと、
前記切替ステップによって切り替えられた方式に応じて、前記指示部の発光量を制限する制御ステップと、
を含むことを特徴とする座標検出方法。
【請求項9】
盤面に対して指示動作を行う指示部により発光された光信号に基づいて、前記指示部によって指示された座標を検出する情報処理装置であって、
前記盤面の周辺に配置され、前記指示部によって発光された光信号を受光する受光部を少なくとも3つ有し、
さらに、前記受光部によって受光された光信号に基づいて、前記指示部の位置座標を検出する検出部と、
3つ以上の受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第1の方式と、2つの受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第2の方式との切り替えを行う切替手段と、
前記切替手段によって切り替えられた方式に応じて、前記指示部の発光量を制限する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の方式での動作時に2つの受光部による位置座標の検出が不可能になった場合には、
前記切替手段が、検出の方式を前記第1の方式に切り替え、
前記制御手段が、前記指示部の発光量を増加させる
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の方式での動作時に2つの受光部による位置座標の検出が不可能になった後、前記第2の方式から切り替わった前記第1の方式により、前記指示部の位置座標の検出ができた場合には、
前記切替手段が、検出の方式を前記第2の方式に切り替え、
前記制御手段が、前記指示部の発光量を制限する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記切替手段は、検出の方式を前記第1の方式から前記第2の方式へ切り替える際に、検出されている前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部を、前記第2の方式において用いる2つの受光部とすることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第2の方式においては、前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部が、当該位置座標との距離が1番目に近い受光部と、2番目に近い受光部であることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第2の方式においては、前記指示部の位置座標に対応する2つの受光部が、当該位置座標との距離が所定の距離以内にある受光部を除いた残りの受光部の中から、当該位置座標との距離が1番目に近い受光部と、2番目に近い受光部であることを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記検出部は、前記第2の方式による位置座標の検出時に、位置座標の検出に用いない受光部の電源を遮断することを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
盤面の周辺に配置され、指示部によって発光された光信号を受光する受光部を少なくとも3つ有するコンピュータを、
前記盤面に対して指示動作を行う前記指示部により発光された光信号に基づいて、前記指示部によって指示された座標を検出する情報処理装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記受光部によって受光された光信号に基づいて、前記指示部の位置座標を検出する検出処理と、
3つ以上の受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第1の方式と、2つの受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第2の方式との切り替えを行う切替処理と、
前記切替処理によって切り替えられた方式に応じて、前記指示部の発光量を制限する制御処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標検知システム、座標検知方法、情報処理装置及びプログラムに関し、特に、発光型の電子ペンにおける省電力に関する。
【背景技術】
【0002】
会議室等で利用されているホワイトボードを電子化した電子黒板が普及し始めている。電子黒板の方式として、タッチパネルを用いる方式や、発光型の電子ペンが発光する光を電子黒板の周辺に設置されたセンサで検知する方式、等の技術が既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光型の電子ペンを用いる方式では、発光型電子ペンの電力という問題がある。例えば、特許文献1には、電子ペンがタッチやクリックを検知して赤外線信号を発信することが記載されているが、小型のペンに搭載する電池容量は限界があり、極力、省電力で作動させる必要がある。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みて、電子ペンの省電力を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の一態様は、盤面に対して指示動作を行う指示部により発光された光信号に基づいて、前記指示部によって指示された座標を検出する座標検出システムであって、前記盤面の周辺に配置され、前記指示部によって発光された光信号を受光する受光部を少なくとも3つ有し、さらに、前記受光部によって受光された光信号に基づいて、前記指示部の位置座標を検出する検出部と、3つ以上の受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第1の方式と、2つの受光部によって受光された光信号に基づいて前記指示部の位置座標を検出する第2の方式との切り替えを行う切替手段と、前記切替手段によって切り替えられた方式に応じて、前記指示部の発光量を制限する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電子ペンの省電力を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態の座標検出システムのシステム構成図である。
図2図1のコンピュータ100のハードウェア構成図の一例を示す図である。
図3】上記実施形態の処理の流れを示すフローチャート図である。
図4】上記実施形態において、2つの検出部のみを用いる方式の位置座表と使用される検出部の関係を示す図である。
図5】上記実施形態において、手つきにより電子ペンと検出部との間が遮られてしまう場合の両者の関係を示す図である。
図6】上記実施形態の変形例において、2つの検出部のみを用いる方式の位置座表と使用される検出部の関係を示す図である。
図7】上記実施形態において、2つの検出器のみを使う方式へ移行する際の処理シーケンスである。
図8】上記実施形態において、全ての検出器を使う方式へ移行する際の処理シーケンスである。
図9】上記実施形態において、2つの検出器から座標検出情報が取得できなかった際の処理シーケンスである。
図10】上記実施形態において、2つの検出器からの座標検出情報の取得が再開された際の処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、電子黒板に使用する電子ペンの省電力に際して、以下の特徴を有する。
要するに、電子黒板の各座標において、座標検出に用いる2つのセンサの組み合わせを事前に決定しておき、書き込み時には検出用センサを事前に決定されたセンサの組み合わせに随時切り替える事で、電子ペンは電子黒板に搭載された全ての検出部の検知レベルを満足する量の光を発光する必要がなくなり、必要最小限の発光量で動作する事が特徴になっている。
【0009】
発光型の電子ペンを用いる電子黒板は、電子黒板に搭載された複数のセンサにより電子ペンから発光された光を検知し、三角測量を用いて電子ペンの座標を取得する方法が一般的である。よって、電子ペンは、自身が電子黒板上のどの位置にあっても、全てのセンサが正確に位置を検出できるような光量を発光するように設計されている。例えば、長方形で四隅にセンサが搭載されている電子黒板であった場合は、電子ペンとセンサの距離が最大となる対角線の距離分離れていても、位置を正確に検知できるだけの光量を発光するように設計されている。
【0010】
しかし、そもそも三角測量は2つのセンサからの情報があれば、電子ペンの位置座標を取得することが可能である。2個以上の複数センサを搭載している理由は、電子黒板への書き込み時に電子黒板に手をついてしまい、センサと電子ペン間を遮断してしまった場合でも、検出可能な他のセンサからの情報により位置座標を取得する為である。
【0011】
よって、書き込み時に電子黒板に手をつく習慣のない人にとっては、2つのセンサが稼動していればよく、また、電子ペンが発光する光量も稼動中の2つのセンサが正確に位置を検出できる光量でよい為、複数センサの稼動も、全てのセンサが正確に位置を検知できるような光量の発光も不要である。
【0012】
また、書き込み時に手をついて書く事の書きやすさよりも、多少、書きづらくても、手をつかずに書き込む事で省電力を実現し、長時間利用を求めるユーザも存在すると考えられる。
【0013】
以上の事から、本発明は発光型の電子ペンを用い、複数センサを搭載する電子黒板装置において、書き込み箇所に応じて、検知に用いる2つのセンサを事前に決定しておき、検知用センサを随時切り替える事で、電子ペンの発光量を必要最低限で動作する事を可能とし、電子ペンの省電力を実現する。
【0014】
上記記載の本発明の特徴について、以下、図面を参照しながら実施形態により詳細に解説する。
【0015】
<システムの構成>
図1に、実施形態の座標検出システムのシステム構成図を示す。
図1の座標検出システム500は、ディスプレイ200、4つの検出部11a〜11d(任意の1つ以上検出部を示す場合は、単に検出部11という)、コンピュータ100、及び、付加的な要素としてPC(Personal Computer)300を有している。なお、4つの周辺発光部として、15a〜15dが記載されているが、本発明の実施形態では必要のない構成なので、詳細な説明は省略する。
【0016】
コンピュータ100にはPCが接続されており、コンピュータ100はPC300が出力した映像をディスプレイ200に表示することができる。コンピュータ100には座標検出システムに対応したアプリケーションがインストールされており、アプリケーションは検出部からの信号に基づきユーザが操作した位置を検出する。アプリケーションは位置に基づきジェスチャーを解析し、コンピュータ100を制御する。なお、アプリケーションは、操作用のメニューをディスプレイ200に表示することができる。
【0017】
例えば、ユーザが線を描画するメニューに触れた後、発光部を有する電子ペン等の指示具13でディスプレイ200の盤面に図形を描画した場合、コンピュータ100は指示具13が有する発光部からの光に基づいて、指示具13が触れている位置をリアルタイムに解析して、時系列の座標を作成する。コンピュータ100は時系列の座標を接続して線を作成しディスプレイ200に表示する。図ではユーザが三角形の形状に沿って指示具13を移動させたため、コンピュータ100は一連の座標を1つのストローク(三角形)として記録する。そして、PC300の画像と合成してディスプレイ200に表示する。
【0018】
このように、ディスプレイ200がタッチパネル機能を有していなくても、座標検出システムを適用することで、ユーザは指示具13でディスプレイ200に触れるだけで様々な操作が可能になる。
【0019】
図2は、コンピュータ100のハードウェア構成図の一例を示す。
コンピュータ100は、市販の情報処理装置又は座標検出システム用に開発された情報処理装置である。コンピュータ100は、アドレスバスやデータバス等のバスライン118を介して電気的に接続されたCPU101、ROM102、RAM103、SSD104、ネットワークコントローラ105、外部記憶コントローラ106、センサコントローラ114、GPU112、及び、キャプチャデバイス111を有している。
【0020】
CPU101はアプリケーションを実行して座標検出システムの動作全体を制御する。ROM102にはIPL等が記憶されており、主に起動時にCPU101が実行するプログラムが記憶されている。RAM103は、CPU101がアプリケーションを実行する際のワークエリアとなる。SSD104は、座標検出システム用のアプリケーション119や各種データが記憶された不揮発メモリである。ネットワークコントローラ105は、不図示のネットワークを介してサーバなどと通信する際に通信プロトコルに基づく処理を行う。なお、ネットワークは、LAN又は複数のLANが接続されたWAN(例えばインターネット)などである。
【0021】
外部記憶コントローラ106は、着脱可能な外部メモリ117に対する書き込み又は外部メモリ117からの読み出しを行う。外部メモリ117は、例えばUSBメモリ、SDカードなどである。キャプチャデバイス111は、PC300が表示装置301に表示している映像を取り込む(キャプチャする)。GPU112は、ディスプレイ200の各ピクセルの画素値を演算する描画専用のプロセッサである。ディスプレイコントローラ113は、GPU112が作成した画像をディスプレイ200に出力する。
【0022】
センサコントローラ114には、4つの検出部11a〜11dが接続されており、指示具13が有する発光部からの光に基づく三角測量方式による座標の検出を行う。したがって、検出部11のセンサ群が「受光部」に相当し、センサコントローラ114が「検出部」に相当する。なお、本例では、三角測量方式による座標位置の特定を行う専用のハードウェアデバイスであるセンサコントローラ114を採用することとしたが、そのような処理をCPU101に実行させて「検出部」の機能をソフトウェア的に実現させてもよい。
【0023】
コンピュータ100は指示具13との通信機能を搭載する。通信の手段としては、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を用いる方法等が考えられる。
【0024】
なお、座標検出システム用のアプリケーションは、外部メモリ117に記憶された状態で流通されてもよいし、ネットワークコントローラ105を介して不図示のサーバからダウンロードされてもよい。アプリケーションは圧縮された状態でも実行形式でもよい。
【0025】
<指示具13の位置検出方式>
本実施形態においては、図1における、電子ペン等の指示具13が発光した位置から入力座標を検出する際に、検出部11のうち3つ以上を用いる方式(第1の方式)と、検出部11の中の2つの検出部のみを用いる方式(第2の方式)がある。第1の方式は、検出位置の正確性を高める観点から3つ以上であればいくつであってもよいが、以下の説明例では図示されている4つ全ての検出部11を使うものとする。
【0026】
上記2種の方式は、CPU101により随時、切り替えられる。第2の方式は省電力の観点から第1の方式より有利であるが、図5を参照して後述するように、手つきなどによる誤検知が不利である。したがって、本実施形態のように随時切り替えられることにより、正確で且つ省電力な位置検出が可能になる。なお、ある方式から別の方式へ切替(移行)するためのトリガーとなる事象は、手つき等により指示具13の座標を検出できなかったことなど、種々の事象がある。
【0027】
図3に本実施形態のフローチャートを、図4ないし図6に第2の方式による検出を説明するための図を示す。また、図7に2つの検出器のみを使う方式移行の際の処理シーケンスを、図8に全ての検出器を使う方式移行の際の処理シーケンスを、図9に2つの検出器のみを使う方式において、座標検出情報が取得できなかった際の処理シーケンスを、図10に2つの検出器のみを使う方式において、座標検出情報が取得が再開された際の処理シーケンスを示す。
【0028】
図3に示すように、本実施形態では、まずは全ての検出部11を用いて指示具13の座標を検出する(S101)。次に、ユーザの好み等で設定されるパラメータである検出方式の設定の選択において、2つの検出部のみを用いる方式が選択されているか否かをCPU101が確認する(S102)。S102、Noならば、全ての検出部11により指示具13の座標を検出し、検出された座標に基づいて描画を行う(S103、S104)。
【0029】
一方で、2つの検出部のみを用いる方式が選択されている場合、CPU101は、現在の指示具13の座標の領域では、検出に不必要な検出部11を省電力状態にし、指示具13へ発光量の低下を通知する(S105)。そして、有効にされている2つの検出部11により座標を検出する(S106)。また、座標と、これに対応する2つの検出部11の関係については図4を参照して後述する。
【0030】
2つの検出部のみを用いる方式で座標が検出できた場合、検出された座標に基づいて描画を行う(S107、S108)。再度、設定を確認してもよい(S102)。
一方で、検出できなかった場合、S109に遷移する。なお、手つき等により検出不可となることがあることを図5を参照して後述する。
【0031】
S109においては、指示具13の座標が、領域外へ移動した可能性があるかを判断し、Yesの場合、指示具13の移動が予想される領域の検出に必要な検出部11を有効状態にし、それ以外の検出部11を省電力状態にする(S110)。そして、継続して2つの検出部のみを用いる方式で座標の検出を行う(S106)。
【0032】
一方で、S109でNoの場合、全ての検出部11を有効状態にとし、指示具13へ発光量の増加を通知し(S111)、全ての検出部11により指示具13の座標を検出する(S112)。検出された座標に基づいて描画を行い(S113)、その検出した座標の領域に対応した、検出に必要な2つの検出部11からの入力があったか否かを判断する(S114)。
【0033】
S114において、Yesの場合、2つの検出部11による座標の検出を継続する(S105へ)。Noの場合、全ての検出部11により指示具13の座標を検出する方式を続ける(S112へ)。
【0034】
<位置検出方式の切替>
上記フローチャートの動作を図4ないし図6を参照して、さらに説明を加える。なお、図4ないし図6中の円に囲まれた数字は、以下では丸括弧でくくり、(1),(2),(3)・・・,(n)などと表記する。
【0035】
2つの検出部のみを用いる方式での動作時には、位置座標に応じて検出に用いる2つの検出部をあらかじめ決定しておく必要がある。本実施例では説明を簡単にする為に、図4のような形で位置座標に応じて検出に用いる2つの検出部を決定する。図4の表示部405の向かって左側の領域(1)は、検出部401、検出部402を用い、向かって右側の領域(2)は、検出部403、検出部404を用いることとする。
本実施例では、4つの検出部を4隅に搭載し、領域を中心で2分割しているが、検出部の数や配置等により領域の分割には様々なバリエーションが考えられる。
【0036】
2つの検出部のみを用いる方式へユーザが切り替える方法としては、表示部200に切り替え用のUIを表示し、切り替え用UIの座標に指示具13がタッチされた際に、CPU101へモードの切り替えが発生した事を通知する方法や、指示具13に切り替え用スイッチを搭載し、スイッチにより切り替えが行われた際には、指示具13から電子ペンコントローラ116への通知を経由しCPU101へ方式の切り替えがあった事を通知する方法が考えられる。
【0037】
電源投入直後や、方式切り替えの直後は4つの検出部11からの入力を元にセンサコントローラ114は指示具13の座標を検出する。CPU101は検出した座標から、事前に決定された領域の、どこの位置にいるかを把握し、現在の座標では検出に用いない検出部に関しては、センサコントローラ114を介して、電源やクロックを遮断する省電力モードへと切り替える。また、CPU101は、電子ペンコントローラ116を介して、指示具13へ発光量の切り替えを通知する。
【0038】
例えば、最初に検出した座標が図4に記載の領域(1)内の座標であった場合、指示具13の入力座標の検出には検出部401、検出部402が用いられ検出部403、検出部404は省電力状態となる。また、指示具13の発光量は、検出部403、検出部404が検出可能であるレベルの発光量は不要となる為、領域(1)の領域内であれば検出部401、検出部402が検出可能であるレベルの発光量まで低下させる。
【0039】
書き込み位置があらかじめ決定しておいた領域をまたぐ場合の対処方としては、センサコントローラ114で検出した座標に加え、指示具13の動きのベクトルも記憶しておく事で、検出部11からの信号が途絶えたときに、直前の位置座標とベクトルから、移動先の領域を推定し、推定した情報を元にセンサコントローラ114を介して、座標検出に用いる検出部11を切り替える方法や、一定の時間間隔で全ての検出部を動作させて、座標を更新する方法が考えられる。
【0040】
また、2つの検出部のみを用いる方式での書き込み時に、手をついてしまい、動作中の検出部からの入力が途絶えてしまった場合の動作について図5を用いて説明する。図4の位置座標に応じて検出に用いる2つの検出部は図4と同様とする。
【0041】
指示具506の指示する位置座標が領域(1)にある場合、動作している検出部は、検出部501と検出部502である。そのような状況下で、指示具506と検出部502の間に、手507をついてしまった場合、検出部502からの入力座標情報は途絶えてしまい、位置座標の検出ができなくなってしまう。
【0042】
図2を用いて、その後の動作を説明すると、センサコントローラ114は検出部11からの入力座標情報が途絶えたことをCPU101へ通知する。通知を受けたCPU101は全ての検出部501〜検出部504を有効状態にし、電子ペンコントローラ116を介して、指示具13へ発光量の切り替えを通知する。指示具13は発光量を指示具13がどの座標にいても全ての検出部が検出可能な発光量まで増加させる。
【0043】
センサコントローラ114は他の検出部、この場合だと検出部501、検出部503、検出部504からの入力座標情報から指示具13の位置座標を算出する。また、手をついた状態が解消され、検出部502からの座標の入力が開始された場合には、センサコントローラ114はCPU101へ通知し、再度、2つの検出部のみを用いる方式への切り替えを実施する。
【0044】
2つの検出部のみを用いる方式での動作時に、あらかじめ決定しておく位置座標に応じて検出に用いる2つの検出部の組み合わせとしては、指示具の位置座標と距離が1番目に近い検出部と2番目に近い検出部を用いる方法が考えられる他、指示具の位置座標と検出部が近すぎることで、検出部の受光量が飽和してしまい正しく入力座標を検出できないような状況が発生する場合には、指示具の位置座標と検出部の距離が一定の距離以内にある検出部は除外し、残りの検出部の中で指示具の位置座標と距離が1番目に近い検出部と2番目に近い検出部を用いる方法も考えられる。
【0045】
具体的には図6で示した図の領域(3)では検出部601を用いず検出部602と検出部603を用い、図の領域(4)では検出部602を用いず検出部601と検出部604を用い、図の領域(5)では検出部603を用いず検出部604と検出部601を用い、図の領域(6)では検出部604を用いず検出部603と検出部602を用いることで実現する。
【0046】
上述した実施形態によると、電子黒板の各座標において、座標検出に用いる2つのセンサの組み合わせを事前に決定しておき、書き込み時には検出用センサを事前に決定されたセンサの組み合わせに随時切り替える事で、電子ペンは電子黒板に搭載された全ての検出部の検知レベルを満足する量の光を発光する必要がなくなり、必要最小限の発光量で操作する事ができるので電子ペンの省電力化が可能となり、長い時間使用できるようになる。
【0047】
なお、図1図2に示したハードウェア構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、例えば、図1の電子黒板200と、コンピュータ100が物理的に別体になるように構成された「電子黒板システム」であっても本発明の技術的思想の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
101 CPU
114 センサコントローラ
116 電子ペンコントローラ
11 検出部
13 指示具
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開2003−263274号公報
図1
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