(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(メタ)アクリル酸エステルを陽イオン交換樹脂に接触させる(メタ)アクリル酸エステルの精製方法であって、陽イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量のアルコールで陽イオン交換樹脂を洗浄した後のアルコールの吸光度(β)が1以下の要件を満たすものである(メタ)アクリル酸エステルの精製方法であって、
前記陽イオン交換樹脂が、以下に示す工程A、工程B及び工程Cを順に含む方法で洗浄されたものである(メタ)アクリル酸エステルの精製方法。
(工程A):陽イオン交換樹脂に吸光度が2以下であるアルコールを陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上接触させる洗浄工程。
(工程B):陽イオン交換樹脂に下記の条件B1及び条件B2を満足するアルコールを陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して少なくとも1体積倍量接触させる洗浄工程。
(条件B1):吸光度が、工程Aにおいて陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量のアルコールを接触させた時から工程A終了までに流出するアルコールの混合物の吸光度以下である。
(条件B2):工程Aの洗浄工程で陽イオン交換樹脂と接触した後に回収されたアルコール、又は、工程Bの洗浄を2回以上に分けて洗浄を実施するときは1回目の工程Bの洗浄工程若しくは工程Cの洗浄工程で陽イオン交換樹脂と接触した後に回収されたアルコール、の少なくとも一つが含まれる。
(工程C):陽イオン交換樹脂を洗浄した後のアルコールの吸光度が0.5以下となるまで、陽イオン交換樹脂を吸光度が0.5以下のアルコールで洗浄する洗浄工程。
陽イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量のアルコールで陽イオン交換樹脂を洗浄した後のアルコールの吸光度(β)と陽イオン交換樹脂を洗浄する前のアルコールの吸光度(α)が下式(1)の要件を満たすものである請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの精製方法。
0≦[吸光度(β)]−[吸光度(α)]≦0.1 (1)
(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの精製方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<(メタ)アクリル酸エステル>
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステルが挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸ブチルがより好ましく、(メタ)アクリル酸メチルが更に好ましい。
【0022】
(メタ)アクリル酸エステルは、1種で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0023】
(メタ)アクリル酸エステル中のメタクリル酸エステルの含有量は50質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0024】
本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」又は「(メタ)アクリレート」は、それぞれ「アクリル酸エステル」及び「メタクリル酸エステル」から選ばれる少なくとも1種、又は「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0025】
本発明において、(メタ)アクリル酸エステルには、目的に応じてスチレン、ビニルスチレン、α‐メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸等のその他のビニル単量体;及びジアクリル酸無水物、無水メタクリル酸、無水マレイン酸等の酸無水物を含んでいても良い。
【0026】
(メタ)アクリル酸エステルは硫黄化合物を含んでいても良い。
【0027】
硫黄化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを重合する際の連鎖移動剤及び後述する本重合体の耐熱分解性を向上させるための添加剤が挙げられる。
【0028】
硫黄化合物としては、例えば、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の第1級メルカプタン、イソプロピルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、イソオクチルメルカプタン、イソデシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン等の第2級メルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等の第3級のアルキルメルカプタン及び上記メルカプタンから選ばれる2分子が結合したジアルキルジスルフィドが挙げられる。これらは、1種で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0029】
硫黄化合物の含有量は、通常(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体100質量部に対して0.01〜1.0質量部である。硫黄化合物の含有量を1.0質量部以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステルを使用して本重合体の分子量を大きくすることができる傾向にある。また、硫黄化合物の含有量を0.01質量部以上とすることにより、本重合体の分子量の増大を抑制し、本重合体の流動性を向上できる傾向にある。
【0030】
<陽イオン交換樹脂>
本発明で用いられる陽イオン交換樹脂としては、樹脂の種類、交換容量、架橋度等の各種条件のものから目的に応じて選択することができる。
【0031】
陽イオン交換樹脂としては、着色原因物質を効率よく除去できる点で、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0032】
強酸性陽イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学(株)製のダイヤイオンPK216及びダイヤイオンPK228並びにダウ・ケミカル社製のアンバーリスト15E及びアンバーリストXH−2071が挙げられる。これらは、1種で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0033】
陽イオン交換樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを接触させた時の陽イオン交換樹脂の収縮を小さくすることができ、着色原因物質を効率よく除去できる点で、架橋度5〜20%のものが好ましい。陽イオン交換樹脂の架橋度を5%以上とすることにより、陽イオン交換樹脂の収縮を抑制でき、着色原因物質を効率よく除去できる傾向にある。陽イオン交換樹脂の架橋度を20%以下とすることで、使用される陽イオン交換樹脂の体積を抑制することができ、陽イオン交換樹脂当たりの処理効果を向上できる傾向にある。
【0034】
(メタ)アクリル酸エステルの精製で使用される陽イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して、1体積倍量の後述するアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させた後のアルコールの吸光度(β)が1以下の要件を満たすものである。陽イオン交換樹脂として上記の条件を満たすものを(メタ)アクリル酸エステルの精製に使用することにより、精製された(メタ)アクリル酸エステルを使用して得られる本重合体の着色を抑制することができる。
【0035】
(メタ)アクリル酸エステルの精製で使用される陽イオン交換樹脂は、精製された(メタ)アクリル酸エステルを使用して得られる本重合体の着色を抑制できる点で、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量の後述するアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させた後のアルコールの吸光度(β)が1以下の要件を満たし、且つ陽イオン交換樹脂と接触させる前のアルコールの吸光度(α)と上記のアルコールの吸光度(β)が下式(1)の要件を満たすものが好ましい。
【0036】
0≦[吸光度(β)]−[吸光度(α)]≦0.1 (1)
本発明において、空塔体積とは、カラムに陽イオン交換樹脂を充填した際に、カラムの中を陽イオン交換樹脂が占有する部分のカラムの体積であり、陽イオン交換樹脂の空隙率や充填密度は考慮されない。空塔体積は以下の方法により求めた値である。
【0037】
予め、本発明の(メタ)アクリル酸エステルの精製方法に使用される陽イオン交換樹脂を充填するためのカラム又はこのカラムと同様のカラムに、所定量(X)の陽イオン交換樹脂を充填する。次いで、カラムをタッピングした後に洗浄用アルコールを通液して陽イオン交換樹脂の充填体積が安定したところで、カラムの中を陽イオン交換樹脂が占有する部分のカラムの体積(Y)を陽イオン交換樹脂の質量(X)で除した値(Y/X)を実験値γとする。次いで実際に本発明の(メタ)アクリル酸エステルの精製方法のためにカラムに充填された陽イオン交換樹脂の充填量に実験値γを乗じて得られる値を空塔体積とする。
【0038】
<アルコール>
本発明で使用されるアルコールは、(メタ)アクリル酸エステルの精製に用いられる陽イオン交換樹脂を洗浄するためのものである。
【0039】
アルコールとしては、例えば、炭素数が1〜5の一級アルコール、二級アルコール又は三級アルコールが挙げられる。アルコールとしては、陽イオン交換樹脂を効率よく洗浄することができる点で、水と親和性のあるメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール及びイソブタノールが好ましく、溶媒の置換が容易である点で、水及び(メタ)アクリル酸エステルの双方と親和性の高いメタノール、エタノール及びイソプロパノールがより好ましい。
【0040】
アルコールは、1種で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0041】
<陽イオン交換樹脂の洗浄方法>
(メタ)アクリル酸エステルの精製に用いられる陽イオン交換樹脂の洗浄方法としては、例えば、アルコールと陽イオン交換樹脂を接触させる方法が挙げられる。
【0042】
アルコールと陽イオン交換樹脂の接触方法としては、例えば、(a)容器の中に陽イオン交換樹脂とアルコールを添加した後、一定時間攪拌して陽イオン交換樹脂とアルコールを接触させる方法、(b)カラムに陽イオン交換樹脂を充填し、カラム末端からアルコールを一定速度で供給しながらもう一方の末端より陽イオン交換樹脂と接触したアルコールを抜き出す方法及び(c)遠心分離機や回転式濾過分離機に陽イオン交換樹脂を充填した後、供給口よりアルコールを連続的に陽イオン交換樹脂に降りかける方法が挙げられる。これらの中で、連続的に洗浄ができて効率的である点で、上記の(b)の方法が好ましい。
【0043】
上記の(b)の方法で洗浄する場合の洗浄方法としては、例えば、専用の洗浄用カラムに充填したものを洗浄する方法及び本発明の(メタ)アクリル酸エステルの精製に使用される陽イオン交換樹脂が充填されたカラム内で洗浄する方法が挙げられる。後者の方法で洗浄する場合、例えば、陽イオン交換樹脂カラムに専用のアルコール洗浄ラインを設けることができる。
【0044】
陽イオン交換樹脂の洗浄に使用するアルコールの量は、洗浄後の陽イオン交換樹脂が、1体積倍量のアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させた後のアルコールの吸光度が1以下となる量であれば特に限定されないが、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して2.5〜10体積倍量が好ましく、3〜5体積倍量がより好ましい。陽イオン交換樹脂の洗浄に使用するアルコールの量を2.5体積倍量以上とすることにより、陽イオン交換樹脂が十分洗浄され、本重合体の着色を抑制することができる傾向にある。また、陽イオン交換樹脂の洗浄に使用するアルコールの量を10体積倍量以下とすることにより、洗浄コストを抑制できる傾向にある。
【0045】
陽イオン交換樹脂をアルコールで洗浄する時間は特に限定されないが、陽イオン交換樹脂とアルコールを長時間接触させることで洗浄効率を高めることができる。陽イオン交換樹脂とアルコールの接触時間は洗浄性及び洗浄時間短縮の点で、0.2〜5.0時間が好ましく、0.5〜2.0時間がより好ましい。カラム中で陽イオン交換樹脂とアルコールを連続的に接触させる場合には、空塔速度(SV)(1/時間)は0.2〜5.0が好ましく、SVは0.5〜2.5がより好ましい。
【0046】
陽イオン交換樹脂の洗浄に使用するアルコールは新しいものを使用しても良いが、陽イオン交換樹脂の洗浄に使用したアルコールを回収した、回収アルコールを使用することも出来る。
【0047】
陽イオン交換樹脂の洗浄に使用されるアルコールの温度としては、5〜60℃が好ましい。アルコールの温度を5℃以上とすることにより、着色原因物質の除去が効率よく行われる傾向にある。また、アルコールの温度を60℃以下とすることにより、陽イオン交換樹脂の劣化による着色原因物質の除去効果の低下を抑制できる傾向にある。また、陽イオン交換樹脂の洗浄に使用されるアルコールの温度としては、着色原因物質の除去効果を維持しながら、陽イオン交換樹脂の劣化を抑制できる点で、10〜50℃がより好ましい。
【0048】
陽イオン交換樹脂をアルコールで洗浄する方法としては、例えば、以下の工程A〜工程Cを順に行う洗浄方法が挙げられ、効率よく陽イオン交換樹脂を洗浄することができる。(工程A):陽イオン交換樹脂に、吸光度が2以下であるアルコールを、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1〜2体積倍量接触させる洗浄工程。
(工程B):陽イオン交換樹脂に、下記条件B1及びB2を満足するアルコールを、陽イオン交換樹脂の体積に対して少なくとも1体積倍量接触させる洗浄工程。
【0049】
(条件B1):吸光度が、工程Aにおいて陽イオン交換樹脂の体積に対して1体積倍量のアルコールを接触させた時から工程A終了までに流出するアルコールの混合物の吸光度以下である。
【0050】
(条件B2):陽イオン交換樹脂を洗浄したアルコールが含まれる。
(工程C):陽イオン交換樹脂を洗浄した後のアルコールの吸光度が0.5以下となるまで陽イオン交換樹脂を吸光度が0.5以下のアルコールで洗浄する洗浄工程。
【0051】
<工程A>
工程Aにおいて使用されるアルコールは、新しいアルコールを用いても良いが、陽イオン交換樹脂と接触させたアルコールを再使用しても良い。
【0052】
使用されるアルコールの吸光度としては、洗浄の効率の点で、2以下のものが好ましく、1以下のものがより好ましい。
【0053】
陽イオン交換樹脂に接触させた、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以下のアルコールは廃棄処分するか、精製して再使用又は新品のアルコールで希釈したものを再使用してもよい。コストの点で、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上陽イオン交換樹脂に接触させた後のアルコールを再使用するのが好ましい。
【0054】
陽イオン交換樹脂に接触させるアルコールの量としては、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上のアルコールを使用するのが好ましく、1.5体積倍量以上のアルコールを使用するのがより好ましい。陽イオン交換樹脂に接触させるアルコールの量を陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上とすることにより、陽イオン交換樹脂により精製された(メタ)アクリル酸エステルを使用して得られる本重合体の着色を抑制することができる。また、陽イオン交換樹脂に接触させるアルコールの量としては、コストの点で、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して5体積倍量以下が好ましく、3体積倍量以下がより好ましい。
【0055】
<工程B>
工程Bは工程Aの次の洗浄工程で、条件B1及び条件B2を満足するアルコールを陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上の量で陽イオン交換樹脂に接触させる洗浄工程である。
【0056】
陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上のアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させることにより、陽イオン交換樹脂の洗浄を十分なものとすることができる傾向にある。
【0057】
使用するアルコールの吸光度は、工程Aにおいて陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量のアルコールを接触させた時から工程A終了までに流出するアルコールの混合物の吸光度以下が好ましい。使用するアルコールの吸光度としては、陽イオン交換樹脂の洗浄効率の点で、1.5以下がより好ましく、1.0以下が更に好ましい。
【0058】
また、使用するアルコール中には陽イオン交換樹脂に接触した後のアルコールが含まれることが好ましい。工程Bで使用するアルコールは、陽イオン交換樹脂と接触させた後に回収されたものを全量使用しても良いが、回収したアルコールを新しいアルコールで希釈して使用することもできる。
【0059】
回収したアルコールは工程Aで回収されたものを使用することができる。2回以上に分けて洗浄を実施する際は、工程B又は工程Cで回収されたものも使用することができる。
【0060】
使用するアルコール中の回収されたアルコールの含有量は、1〜100vol%が好ましい。回収されたアルコールの含有量を1vol%以上とすることにより洗浄コストを抑制することができる傾向にある。また、回収されたアルコールの含有量を100vol%以下とすることにより陽イオン交換樹脂の洗浄効率を良好とすることができる傾向にある。回収されたアルコールの含有量の下限値としては、20vol%以上がより好ましい。
【0061】
陽イオン交換樹脂と接触させた後に回収するアルコールとしては、工程Aで陽イオン交換樹脂と接触したアルコールのうち、吸光度が条件B1を満たすものを選択して回収しても良いし、全量回収した後に新しいアルコールで希釈しても良い。また、回数を分けて洗浄を行う場合は、工程B又は工程Cで陽イオン交換樹脂と接触したアルコールを保管しておいて、工程Bで使用しても良い。
【0062】
<工程C>
工程Cは、工程Bで洗浄された陽イオン交換樹脂に、陽イオン交換樹脂と接触させた後のアルコール吸光度が0.5以下となるまで、アルコール吸光度が0.5以下のアルコールを接触させる洗浄工程である。陽イオン交換樹脂と接触させた後のアルコール吸光度は、陽イオン交換樹脂により精製された(メタ)アクリル酸エステルを使用して得られる重合体の着色を抑制する点で、0.3以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましい。
【0063】
洗浄に使用するアルコールの量は、陽イオン交換樹脂により精製された(メタ)アクリル酸エステルを使用して得られる重合体の着色を抑制することができる点で、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して1体積倍量以上が好ましい。また、洗浄に使用するアルコールの量は、洗浄効率の点で、陽イオン交換樹脂の空塔体積に対して2体積倍量以下が好ましい。
【0064】
使用するアルコールは新しいアルコールを使用しても良いが、陽イオン交換樹脂と接触した後に回収されたアルコールを使用してもよい。工程Bで使用したアルコールの吸光度が0.5以下であれば、工程Bに続いて工程Cを実施しても良い。工程Bで使用したアルコールの吸光度が0.5を超えるものの場合、新しいアルコールで希釈して吸光度を0.5以下としたものを使用することができる。新しいアルコールを使用することで、陽イオン交換樹脂に含浸するアルコールの着色を抑制することができる傾向にあり、着色成分の含有量のより少ない(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる傾向にある。
【0065】
<(メタ)アクリル酸エステルの精製方法>
(メタ)アクリル酸エステルの精製は、(メタ)アクリル酸エステルと陽イオン交換樹脂を接触させることにより実施される。
【0066】
陽イオン交換樹脂は、精製後の(メタ)アクリル酸エステル中の不純物の含有量を抑制できる点で、(メタ)アクリル酸エステルで洗浄したものを使用するのが好ましい。
【0067】
(メタ)アクリル酸エステルと陽イオン交換樹脂との接触方法としては、例えば、(a)容器の中に陽イオン交換樹脂と(メタ)アクリル酸エステルを添加した後、一定時間攪拌して陽イオン交換樹脂と(メタ)アクリル酸エステルを接触させる方法、(b)カラムに陽イオン交換樹脂を充填し、カラム末端から(メタ)アクリル酸エステルを一定速度で供給しながらもう一方の末端より陽イオン交換樹脂と接触した(メタ)アクリル酸エステルを抜き出す方法及び(c)遠心分離機又は回転式濾過分離機に陽イオン交換樹脂を充填した後、遠心分離機又は回転式濾過分離機の供給口より(メタ)アクリル酸エステルを供給して連続的に陽イオン交換樹脂に降りかける方法が挙げられる。これらの中で、連続的に(メタ)アクリル酸エステルを精製できて効率的である点で、上記の(b)の方法が好ましい。
【0068】
(メタ)アクリル酸エステルと陽イオン交換樹脂を接触させる条件としては、例えば、カラムに陽イオン交換樹脂を充填し、カラム末端からアクリル酸エステルを一定速度で供給しながらもう一方の末端より陽イオン交換樹脂と接触したアクリル酸エステルを抜き出す方法では、カラムに充填された陽イオン交換樹脂に通液するときの(メタ)アクリル酸エステルのSVは0.2〜10.0が好ましい。SVを0.2以上とすることにより(メタ)アクリル酸エステルの副生物の生成を抑制できる傾向にある。また、SVを10.0以下とすることにより(メタ)アクリル酸エステルの精製効率を良好とすることができる傾向にある。
【0069】
(メタ)アクリル酸エステルと陽イオン交換樹脂を接触させる温度は、陽イオン交換樹脂の性能が変化しない範囲であれば特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステルの精製効率の点で、10〜60℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
【0070】
<(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法>
本発明においては、前述の陽イオン交換樹脂で精製された(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合して(メタ)アクリル酸エステル重合体を得ることができる。
【0071】
上記の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の重合法としては、例えば、ラジカル重合法が挙げられる。
【0072】
ラジカル重合法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法及び乳化重合法が挙げられる。これらの中で、生産性や重合安定性の点で、塊状重合法が好ましい。また、塊状重合法の中では、連続塊状重合法が好ましい。
【0073】
(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体のラジカル重合に際しては、単量体にラジカル重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤を添加したものを重合することができる。
【0074】
本発明においては、例えば、以下に示す工程(1)〜工程(4)を含む連続塊状重合法により、連続して(メタ)アクリル酸エステル重合体を得ることができる。
工程(1):(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の一部を重合させて(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む単量体混合物を得る工程。
工程(2):(1)で得られた単量体混合物から(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を除去して(メタ)アクリル酸エステル重合体を得る工程。
工程(3):(2)で除去された(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を回収し、(メタ)アクリル酸エステルを精製して、精製された(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を得る工程。
工程(4):(3)で得られた精製された(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を工程(1)の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の少なくとも一部として投入する工程。
【0075】
上記の工程(4)においては、精製して得られた(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体に(メタ)アクリル酸エステル及び連鎖移動剤から選ばれる少なくとも1種を添加して単量体の組成を調整することで、再度(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体として重合に供することができる。
【0076】
前記のラジカル重合開始剤としては、例えば、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサネート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物;及び2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2、2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、1種で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0077】
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合温度、平均滞在時間又は目標とする重合率に応じて任意に調整することができるが、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体100質量部に対して0.001〜1質量部が好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量を0.001質量部以上とすることにより、目標とする重合率が得られる傾向にある。また、ラジカル重合開始剤の使用量を1質量部以下とすることにより、原料コストを安くできる傾向にある。
【0078】
重合温度は重合方法によって好ましい温度範囲が異なるが、例えば、上記工程(1)において、完全混合型反応器で所望の重合率に重合させた重合体組成物を連続的に抜き出しながら重合を行う場合、重合温度は110〜170℃が好ましい。重合温度を110℃以上、より好ましくは120℃以上とすることにより、ゲル効果による重合速度の加速現象を抑制して安定に生産できる傾向にある。また、重合温度を170℃以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体の透明性、機械的強度、熱変形温度、耐熱分解性等の物性を良好とすることができる傾向にある。
【0079】
連続重合法で工業的に安定に製造する場合、上記工程(1)において、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の重合率を35〜65%とすることが好ましい。重合率を65%以下とすることにより、単量体の混合及び単量体への伝熱を良好とすることができる傾向にある。また、重合率を35%以上とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体の生産性を良好とすることができる傾向にある。
【0080】
完全混合型反応器を使用して連続重合を行う場合、生成される(メタ)アクリル酸エステル重合体の完全混合型反応器内での滞在量を(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の供給量で除した平均滞在時間は0.5〜6時間とすることが好ましい。平均滞在時間をこの範囲内にすることにより、安定した重合を行うことができるとともに、成形加工性に優れた重合体を製造することができる傾向にある。滞在時間を0.5時間以上とすることにより、ラジカル重合開始剤の使用量を増やさないで済むことから(メタ)アクリル酸エステル重合体の末端二重結合量を少なくすることができ、耐熱分解性に優れた重合体が得られる傾向にある。また、平均滞留時間を6時間以下とすることにより(メタ)アクリル酸エステル重合体の生産性を良好とすることができる傾向にあると共に、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の二量体の生成を抑制できる傾向にある。
【0081】
上記の連続重合法において、完全混合型反応器をプラグフロー型反応器に接続して完全混合型反応器から排出された反応液(イ)をプラグフロー型反応器内で更に重合させて反応液(ロ)を得ることにより生産性を上げることもできる。また、本発明においては、必要に応じてプラグフロー型反応器を複数直列に接続することができる。
完全混合型反応器から排出される反応液(イ)中には、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体に添加したラジカル重合開始剤や連鎖移動剤が残存しているので、プラグフロー型反応器で保持するだけで重合が進行するが、生産性良く重合するためには、重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤をプラグフロー型反応器に供給することが好ましい。また、重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤をプラグフロー型反応器に供給する際には、重合開始剤や連鎖移動剤を反応液(イ)とより均一に混合させるために、必要に応じてプラグフロー型反応器の前にスタティックミキサーを直列に接続することができる。また、複数のプラグフロー型反応器を使用する場合、必要に応じてそれぞれのプラグフロー型反応器の前にスタティックミキサーを直列に接続することができる。
プラグフロー型反応器の種類は特に限定されないが、簡略で、且つプラグフローを達成するためには、スタティックミキサーを内装した管型反応器が好ましい。
【0082】
プラグフロー型反応器の出口での反応液(ロ)の温度は、170〜200℃が好ましい。反応液(ロ)の温度を170℃以上とすることにより、反応液(ロ)の粘度を高すぎない適正な値とすることができる傾向にあり、プラグフロー型反応器や配管での圧力損失を小さくして装置の耐圧性を低いレベルとすることができる傾向にある。また、反応液(ロ)の温度を200℃以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体の解重合や透明性、機械的強度、熱変形温度、耐熱分解性等の物性の低下を抑制できる傾向にある。
【0083】
プラグフロー型反応器の出口での反応液(ロ)の重合率は、工業的に安定に製造する点で、50〜85%が好ましい。プラグフロー型反応器の出口での反応液(ロ)の重合率を85%以下とすることにより反応液の粘度を高すぎない適正な値とすることができる傾向にあり、プラグフロー型反応器の出口での反応液(ロ)の重合率を50%以上とすることにより生産性を良好とすることができる傾向にある。
【0084】
プラグフロー型反応器内での反応液(ロ)の滞在量を反応液(イ)の供給量で除した平均滞在時間は、0.1〜2時間とすることが好ましい。平均滞在時間を0.1時間以上とすることにより、ラジカル重合開始剤の使用量を増やさないで済むことから重合体の末端二重結合量を少なくすることができ、耐熱分解性に優れた重合体が得られる傾向にある。また、平均滞留時間を2時間以下とすることによりプラグフロー型反応器での圧力損失を小さくできる傾向にあると共に、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の二量体の生成を抑制できる傾向にある。
【0085】
プラグフロー型反応器内でのラジカル重合開始剤の使用量は、重合温度、平均滞在時間及び目標とする重合率に応じて任意に調整することができるが、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体100質量部に対して0.001〜1質量部が好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量を0.001質量部以上とすることにより目標とする重合率が得られる傾向にある。また、ラジカル重合開始剤の使用量を1質量部以下とすることにより、原料コストを安くすることができる傾向にある。
【0086】
プラグフロー型反応器内での連鎖移動剤の使用量は、目標とする分子量が達成できるように任意に調整することができ、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体100質量部に対して0〜2質量部が好ましい。連鎖移動剤の使用量を2質量部以下とすることにより、目標の分子量が得られる傾向にある。
【0087】
工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む単量体混合物を揮発分除去装置に供給し、連続的に揮発分を分離除去することにより、工程(2)に示すように、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得ることができる。
【0088】
揮発分除去装置としては、重合体から揮発分を分離、除去し、(メタ)アクリル酸エステル重合体を取り出すことが可能であれば、何れの装置を用いても良いが、例えば、脱揮押出機が挙げられる。
【0089】
揮発分除去装置における重合体から揮発分を分離し、除去する温度は、重合して得られた状態の温度のままでも良く、更に加熱しても良い。更に加熱する場合は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の温度を250℃以下とすることが好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃以下が更に好ましい。加熱温度を250℃以下とすることにより、二量体の生成を抑制できる傾向にある。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体の温度を180℃以上とすることが好ましく、200℃以上とすることが好ましい。加熱温度を180℃以上とすることにより、揮発分を効率よく分離し、除去することができる傾向にある。
【0090】
脱揮押出機を使用する場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体を0.0001〜0.1MPaの減圧下に放出して、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする揮発分の大部分を連続的に除去することが好ましい。
【0091】
揮発物を分離し、除去して得た(メタ)アクリル酸エステル重合体中の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の含有量は、0.3質量%以下が好ましい。また、揮発物を分離し、除去して得た(メタ)アクリル酸エステル重合体中の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体の二量体の含有量は0.1質量%以下が好ましい。
【0092】
分離され、除去された揮発分中の未反応の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体は、コンデンサで凝縮させて回収した上で、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体として再使用することが、経済性の観点から好ましい。このとき、揮発物中に含まれる(メタ)アクリル酸エステルの二量体等の高沸点成分を蒸留により分離し、除去した後に、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体として再使用することがより好ましい。
【0093】
工程(2)で分離され、除去された揮発分中の未反応の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体は着色原因物質を多量に含むため、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体として、工程(4)に示すように、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体として再利用する前に工程(3)に示す本発明の(メタ)アクリル酸エステルの精製方法により精製したものを使用することが着色原因物質の除去の点で、好ましい。
【実施例】
【0094】
以下に本発明を実施例により説明する。以下に於いて「部」は「質量部」を示す。また、アルコール及び(メタ)アクリル酸エステルの吸光度並びに(メタ)アクリル酸エステル重合体の黄色度の評価を以下の方法により実施した。
(1)吸光度
吸光度は、HACH社製の分光光度計(商品名:DR5000)を用いて測定した。イオン交換水の吸光度をブランクとし、380〜500nmの波長における吸光度の平均値を求め、吸光度とした。
(2)黄色度
(メタ)アクリル酸エステル重合体の黄色度(YI)をHACH社製の分光光度計(商品名:DR5000)を用い、JIS−K7103に準拠して測定した。
【0095】
[実施例1]
図1に示すフローチャートに従って、以下に示すように、連続した製造方法で得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用した成形体を得た。
【0096】
メタクリル酸メチル(MMA)93.7部及びアクリル酸メチル(MA)6.3部を含有する単量体混合物1に窒素を導入した後、この単量体混合物1の100部及び連鎖移動剤2としてn−オクチルメルカプタン0.39部を単量体調整塔に投入した。得られた混合物に重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート0.01部を混合して得られる原料単量体を、重合温度135℃に制御された完全混合型反応器に攪拌混合しながら連続的に供給し、完全混合型反応器から反応液をギアポンプで連続的に抜き出して、完全混合型反応器中で原料単量体の一部が重合された反応液を作製した。完全混合型反応器中の原料単量体の反応条件は反応液の滞在量5,000kg及び平均滞在時間2.5時間の条件とした。
【0097】
続いて、完全混合型反応器から排出された反応液100部を、重合開始剤4としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート0.002部と共に重合開始剤用のスタティックミキサー1に供給した。
【0098】
次いで、スタティックミキサー1から排出される反応液をプラグフロー型反応器1に供給した。
【0099】
続いてプラグフロー型反応器1から排出される反応液100部を、重合開始剤5としてとしてジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0015部と共に重合開始剤用のスタティックミキサー2に供給した。
【0100】
更に、スタティックミキサー2から排出される反応液をプラグフロー型反応器2に供給した。
【0101】
プラグフロー型反応器2から排出される反応液の温度が190℃となるように、プラグフロー型反応器2のジャケット温度を調節した。
【0102】
プラグフロー型反応器2から排出される反応液を脱揮押出機に供給して脱揮し、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合率は74%であった。
【0103】
脱揮押出機のベントから出た揮発分を冷却及び凝縮により液状とし、揮発分液状物aをフラッシュタンクへ供給した。揮発分液状物aをフラッシュタンクで連続蒸留して得られる留出液をRMタンクに回収し、MMAを含む回収液(RM)とした。
【0104】
内径20mmのガラス製カラムに、陽イオン交換樹脂として強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーリストXH2071(ダウ・ケミカル社製、商品名)30.0gを充填し、次いで強酸性陽イオン交換樹脂を以下に示す工程A、工程B及び工程Cの各洗浄を順に実施した。
(工程A)
イソプロパノール(和光純薬工業(株)社製 特級試薬)(以下、「IPA」という)を洗浄溶媒Aとし、定量ポンプを用いてSV2.1の条件で78.0ml(溶媒量比=2.1)の洗浄溶媒Aをカラムに連続的に通液した。
【0105】
尚、本発明において溶媒量比とは、カラムに充填された陽イオン交換樹脂の空塔体積(V1)に対する、通液された溶媒の体積(V2)の比率(V2/V1)を示す。
【0106】
洗浄溶媒Aの通液速度は次式より算出することができる。
【0107】
通液速度(ml/hr)=陽イオン交換樹脂の空塔体積(ml)×SV(1/hr)
洗浄溶媒Aの洗浄前の吸光度(α)、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び強酸性陽イオン交換樹脂に洗浄溶媒Aが溶媒量比1の量接触した後にカラムから流出する洗浄後溶媒Aの吸光度を表1に示す。
(工程B)
工程Aで強酸性陽イオン交換樹脂と接触した後にカラムより流出する洗浄溶媒のうち、1体積倍量を通液した後にカラムより流出する洗浄後溶媒Aを39.5ml回収し、回収溶媒Aを得た。得られた回収溶媒Aの吸光度を測定した。次いで、得られた回収溶媒A39.5mlにIPAを30.5ml追加して工程Bで使用する洗浄溶媒Bを調製した。次いで洗浄溶媒B39.0mlを、定量ポンプを用いてSV2.1の条件で、工程Aで洗浄されたカラムに連続的に通液し、カラムから排出される洗浄後溶媒Bを回収した。洗浄溶媒Bの吸光度、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び洗浄後溶媒Bの吸光度を表1に示す。
(工程C)
定量ポンプを用いてSV2.1の条件で、洗浄溶媒Cとして39.0mlのIPAを工程Bで洗浄されたカラムに連続的に通液し、カラムから排出される洗浄後溶媒Cを回収した。洗浄溶媒Cの吸光度、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び洗浄後溶媒Cの吸光度を表1に示す。
【0108】
上記工程A、工程B及び工程Cの洗浄工程を経て洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を得た。
【0109】
得られた洗浄強酸性陽イオン交換樹脂から1.0mlをカラムから抜き出し、IPA(吸光度α)5.0mlを添加して、洗浄強酸性陽イオン交換樹脂評価用液を作製し、30分静置した。次いで、上清液を回収して洗浄強酸性陽イオン交換樹脂接触後の吸光度(β)を測定した。結果を表1に示す。吸光度(α)と吸光度(β)は同じレベルであり、洗浄後の強酸性陽イオン交換樹脂からの着色成分の溶出は確認されず、十分洗浄されていた。
【0110】
前述のRMを41℃に加温しながら、工程Cで得られた洗浄強酸性陽イオン交換樹脂が充填されたカラムに、SV2.1の条件で39.0ml通液した。通液後のRMの吸光度は0.05であり、洗浄強酸性陽イオン交換樹脂からの着色成分の溶出は確認されなかった。RMの精製条件及び評価結果を表1に示す。
【0111】
次いで、洗浄強酸性陽イオン交換樹脂で精製されたRM6.0gにtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート0.012gを添加し、窒素バブリングした後に内径10mmのガラス管に封入した。ガラス管をオイルバス中で80℃に加温しながら8時間反応させた。得られた重合物のYIは7.6であった。
【0112】
【表1】
【0113】
XH2071:ダウ・ケミカル社製強酸性陽イオン交換樹脂
IPA:和光純薬工業(株)社製、特級イソプロパノール
MeOH:和光純薬工業(株)社製、特級メタノール
RM:回収モノマー
[実施例2〜4]
陽イオン交換樹脂の洗浄条件を、表1に示す工程A、工程B及び工程Cの条件とする以外は実施例1と同様にして陽イオン交換樹脂の洗浄、(メタ)アクリル酸エステルの精製及び精製された(メタ)アクリル酸エステルの重合を実施し、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を得た。得られた結果を表1に示す。
【0114】
[実施例5]
図2に示すフローチャートに従って、以下に示すように、連続した製造方法で得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用した成形体を得た。
【0115】
陽イオン交換樹脂塔に陽イオン交換樹脂として強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーリストXH2071(ダウ・ケミカル社製、商品名)94.4kgを充填し、次いで、強酸性陽イオン交換樹脂を以下に示す工程A、工程B及び工程Cの各洗浄を順に実施した。
(工程A)
IPAを洗浄溶媒Aとし、流量計を接続したエアードポンプを用いてSV2.0の条件で300L(溶媒量比2.0)の洗浄溶媒Aを陽イオン交換樹脂塔に連続的に通液した。洗浄溶媒Aの洗浄前の吸光度(α)、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び強酸性陽イオン交換樹脂に洗浄溶媒Aが溶媒量比1の量接触した後に陽イオン交換樹脂塔から流出する洗浄後溶媒Aの吸光度を表1に示す。
(工程B)
工程Aで強酸性陽イオン交換樹脂と接触した後に陽イオン交換樹脂塔より流出する洗浄溶媒のうち、1体積倍量を通液した後に陽イオン交換樹脂塔より流出する洗浄後溶媒A163Lを回収し、回収溶媒Aを得た。次いで、得られた回収溶媒Aをそのまま洗浄溶媒Bとし、エアードポンプを用いて工程Aと同様にSV2.0の条件で、工程Aで洗浄された陽イオン交換樹脂塔に連続的に通液した。洗浄溶媒Bの吸光度、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び洗浄後溶媒Bの吸光度を表1に示す。
(工程C)
エアードポンプを用いてSV2.0の条件で洗浄溶媒Cとして453LのIPAを工程Bで洗浄された陽イオン交換樹脂塔に連続的に通液した。洗浄溶媒Cの吸光度、通液温度、SV、通液速度、溶媒量比及び洗浄後溶媒Cの吸光度を表1に示す。
【0116】
上記の工程A、工程B及び工程Cの洗浄工程を経て洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を得た。洗浄強酸性陽イオン交換樹脂の性能を実施例1と同様にして評価したところ、表1に示すように吸光度(α)と吸光度(β)は同じレベルであった。
【0117】
MMA93.7部及びMA6.3部を含有する単量体混合物1に窒素を導入した後、単量体混合物1の100部及び連鎖移動剤2としてn−オクチルメルカプタン0.39部を単量体調整塔に投入した。得られた混合物に重合開始剤3としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート0.01部を混合して得られる原料単量体を、重合温度135℃に制御された完全混合型反応器に攪拌混合しながら連続的に供給し、完全混合型反応器から反応液をギアポンプで連続的に抜き出して、完全混合型反応器中で原料単量体の一部が重合された反応液を作製した。完全混合型反応器中での原料単量体の反応条件は反応液の滞在量5,000kg及び平均滞在時間2.5時間の条件とした。
【0118】
続いて、完全混合型反応器から排出された反応液100部を、重合開始剤4としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート0.002部と共に重合開始剤混合用のスタティックミキサー1に供給した。
【0119】
次いで、スタティックミキサー1から排出される反応液をプラグフロー型反応器1に供給した。
【0120】
続いて、プラグフロー型反応器1から排出される反応液100部を、重合開始剤5としてジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0015部と共に重合開始剤混合用のスタティックミキサー2に供給した。
【0121】
更に、スタティックミキサー2から排出される反応液をプラグフロー型反応器2に供給した。
【0122】
プラグフロー型反応器2から排出される反応液の温度が190℃となるように、プラグフロー型反応器2のジャケット温度を調節した。
【0123】
プラグフロー型反応器2から排出される反応液を脱揮押出機に供給して脱揮し、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合率は74%であった。
【0124】
脱揮押出機のベントから脱揮された揮発分を冷却及び凝縮により液状とし、揮発分液状物aをフラッシュタンクに供給した。揮発分液状物aをフラッシュタンクで連続蒸留して得られる留出液bをRMタンクに回収し、MMAを含む回収液(RM)とした。得られるRMの量は1,950kg/hrであった。
【0125】
上記のRMの17部に重合禁止剤(2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール)0.01部をMMA100部に溶解させたものを供給して精製用RMとし、次いで精製用RMを熱交換器で40℃となるように加熱した後に、前述の洗浄された強酸性陽イオン交換樹脂が充填された陽イオン交換樹脂塔に流速85kg/hrで通液した。RMの残り83部はそのままRMタンクに保管した。
【0126】
陽イオン交換樹脂塔から排出されたRMを多段式蒸留塔(17段ターボグリッドトレイ)へ送液し、供給流量85kg/hr及び還流比1.4の条件で連続蒸留した。多段式蒸留塔の塔頂からの留出液を残りのRM83部と混合し、単量体調製塔へ送液した。
【0127】
上記の(メタ)アクリル酸エステル重合体の連続製造装置における、単量体混合物の投入から(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造を1サイクルとし、2サイクル目以降は脱揮押出機で回収したRMを単量体混合物として使用して20サイクル後の(メタ)アクリル酸エステル重合体を射出成形機で成形し、成形体を得た。得られた成形体のYIは0.6であった。
【0128】
[実施例6]
内径20mmのガラス製カラムに強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリストXH2071を30.1g充填した。また、強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリストXH2071の洗浄方法として工程A及び工程Bを省略して工程Cのみの洗浄を行った。工程Cの洗浄条件として洗浄溶媒CとしてIPA117mlを使用する以外は実施例1と同様にして強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄し、洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を得た。洗浄溶媒Cの吸光度(吸光度(α))、通液温度、空塔速度、通液速度、溶媒量比及び洗浄後溶媒Cの吸光度を表1に示す。
【0129】
得られた洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を用いて実施例1と同様にして洗浄強酸性陽イオン交換樹脂評価用液を作製し、洗浄強酸性陽イオン交換樹脂接触後の吸光度(β)を測定した。結果を表1に示す。
【0130】
実施例1と同様にして得られたRM39.0mlを、表1に示す条件で洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を用いて精製した。結果を表1に示す。
【0131】
洗浄強酸性陽イオン交換樹脂で精製されたRM6.0mlを用いて実施例1と同様にして重合物を得た。得られた重合物のYIは9.5であった。
【0132】
[比較例1]
表1に示す強酸性陽イオン交換樹脂を使用し、強酸性陽イオン交換樹脂の洗浄条件を表1に示す工程Aのみでの洗浄にする以外は実施例1と同様にして得られた洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を用いて、表1に示す条件で洗浄強酸性陽イオン交換樹脂の性能を評価した。結果を表1に示す。
【0133】
実施例1と同様にして得られたRM39.0mlを、表1に示す条件で洗浄強酸性陽イオン交換樹脂を用いて精製した。結果を表1に示す。
【0134】
洗浄強酸性陽イオン交換樹脂で精製されたRM6.0mlを用いて実施例1と同様にして重合物を得た。得られた重合物のYIは30.8であり、かなり着色していた。