(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
血管、体腔、または体内管腔部等を通して、各種の臓器(たとえば、心臓)等の目的組織まで挿入されるカテーテル(例えば、電極カテーテル、アブレーションカテーテル、カテーテルシースを含む)においては、その挿入や目的組織への接近の容易化等を図るため、体内に挿入されるカテーテルの遠位端(先端)の向きを、体外に配置されるカテーテルの近位端(基端)に設けられた操作部を操作することにより偏向できるようにした先端偏向可動カテーテルが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
カテーテルチューブの遠位端部の偏向すべき部分は、例えば遠位端に行くにしたがってその硬度が段階的に低く設定されており、その先端に一体的に内挿されたリング部材(プルリング)の180°対向位置に一対のワイヤのそれぞれの遠位端を接続し、カテーテルチューブの主ルーメンと別にカテーテルチューブ壁内に設けられた一対のワイヤ用のルーメンに挿通して該一対のワイヤをカテーテルチューブの近位端に導き、該一対のワイヤのそれぞれの近位端において、一方のワイヤ(第1ワイヤ)を引っ張り、他方のワイヤ(第2ワイヤ)を弛ませることにより、チューブ先端の向きを制御できるようにしている。
【0004】
このようなカテーテルチューブの近位端に設けられる操作部では、回動摘みに第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端を接続し、該回動摘みを第1方向に回動させた場合には第1ワイヤが引っ張られて第2ワイヤが弛み、第1方向とは逆の第2方向に回動させた場合には第2ワイヤが引っ張られて第1ワイヤが弛むようにして、チューブ先端の向きを制御できるようにしている。
【0005】
しかしながら、このような先端偏向可動カテーテルに用いられるカテーテルチューブは比較的に構造が複雑であることから成形が容易ではなく、そのため、カテーテルチューブの遠位端から近位端に向けて、ワイヤ用のルーメンがカテーテルチューブの軸回りに回転して捻れて成形される場合がある。その場合には、ワイヤ用のルーメンに挿通された一対のワイヤも捩れるので、カテーテルチューブの遠位端における偏向方向と、カテーテルチューブの近位端におけるワイヤの引出方向とが、捻れて配置されることになる。
【0006】
操作部における回動摘みの回動方向と、カテーテルチューブの遠位端における偏向方向とは、合わせておいた方が操作しやすい。このため、ワイヤの捻れを相殺するように、カテーテルチューブの近位端におけるワイヤの引出部から引き出されたワイヤを、カテーテルチューブにおいて生じた捻れと反対方向に捻れるように引き出している。
【0007】
その結果、従来技術では、カテーテルチューブに形成してあるワイヤの引出部に、ワイヤの捻れによる力が作用し、ワイヤの長手方向移動に際して引出部にワイヤが擦れて、引出部に亀裂が生じたり、ワイヤに破断等の損傷が生じたりするおそれがあった。また、操作部での軽い操作力でカテーテル遠位端を大きな偏向角度で偏向させることができることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、操作性が良好で、しかも耐久性に優れた先端偏向可動カテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る先端偏向可動カテーテルは、
第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンを有するカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの遠位端を所定方向に屈曲させるように、前記カテーテルチューブの遠位端に、それぞれの遠位端が接続され、かつ、前記第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンにそれぞれ挿通されて近位端がカテーテルチューブの近位端側に導かれた第1ワイヤおよび第2ワイヤと、
前記カテーテルチューブの近位端に設けられ、前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端を操作可能に固定してある操作部とを有する先端偏向可動カテーテルであって、
前記操作部が、
前記カテーテルチューブの近位端に固定される固定部と、
前記固定部に対して回動自在に設けられ、前記第1ワイヤの近位端が取り付けられる第1回動片と、
前記第1回動片と反対側で前記第1回動片と同期して前記固定部に対して回動自在に設けられ、前記第2ワイヤの近位端が取り付けられる第2回動片と、
前記カテーテルチューブに設けられた引出部からそれぞれ引き出される前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端を、それぞれ前記第1回動片と第2回動片とに導くガイド部と、
前記引出部と前記ガイド部との間に配置され、前記引出部から引き出された第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端の引き出し方向を変化させて前記ガイド部に向かわせる引出方向偏向部材と、を有する
【0011】
本発明に係る先端偏向可動カテーテルでは、引出部とガイド部との間に引出方向偏向部材が配置され、引出部から引き出された第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端の引き出し方向を変化させてガイド部に向かわせることができる。そのため、本発明の先端偏向可動カテーテルでは、たとえばカテーテルチューブの遠位端から近位端に向けて、第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンがカテーテルチューブの軸回りに回転して捻れて成形されたとしても、引出部には過度な捻れ力が発生しない。
【0012】
すなわち、引出方向偏向部材を用いることで、引出部の捻れ位置に合わせて、可能な限り直線状にワイヤを引出方向偏向部材に向かわせることが可能である。そのため、ワイヤの長手方向移動に際して引出部でワイヤが擦れるおそれが少なくなり、引出部に亀裂が生じたり、ワイヤに破断等の損傷が生じたりするおそれを低減することができ、耐久性が向上する。
【0013】
また、引出方向偏向部材からは、ガイド部に向けて、ワイヤの引出方向を変化させることができる。そのため、操作部における回動摘みの回動方向平面と、カテーテルチューブの遠位端における偏向方向平面とを合わせることが可能になる。そのため、操作部での操作によりカテーテルチューブの遠位端の偏向方向をイメージしやすくなり、操作性が向上する。
【0014】
好ましくは、前記引出方向偏向部材は、前記カテーテルチューブの外周に装着され、前記第1ワイヤおよび第2ワイヤがそれぞれ係止可能な係止溝が周方向に沿って複数形成してあるギア状部材を有する。遠位端から近位端に向けてのカテーテルチューブの捻れ度合いは、製品によって変化するが、捻れ度合いに合わせて、引出部からギア状部材に向かうワイヤが可能な限り直線状になる係止溝を容易に選択することができる。
【0015】
好ましくは、前記固定部に取り付けられ、前記引出方向偏向部材と前記カテーテルチューブの引出部とを外側から覆うカバー部材をさらに有し、
前記ギア状部材は、前記カテーテルチューブの外周に回転自在に装着してあり、前記カバー部材が前記引出方向偏向部材と前記カテーテルチューブの引出部とを外側から覆うことで、前記ギア状部材の前記カテーテルチューブに対する回転が抑制される。
【0016】
このように構成することで、引出方向偏向部材とカテーテルチューブの引出部とが、カバー部材により覆われ、これらを有効に保護することができる。また、引出部から引出方向偏向部材に向けてワイヤを可能な限り直線状に引き出した状態で、カバー部材に取り付ける作業が容易になる。しかも、引出方向偏向部材をカバー部材に取り付けた後には、引出方向偏向部材の回転が抑制されるため、引出部から引出方向偏向部材に向けてワイヤを可能な限り直線状に引き出した状態を維持することができる。
【0017】
好ましくは、前記引出部に向けて外径が小さくなる第1テーパ部が前記ギア状部材に固定してあり、
前記ガイド部に向けて外径が小さくなる第2テーパ部が前記ギア状部材に固定してある。
【0018】
このように構成することで、引出部からギア状部材の係止溝に向けて、第1テーパ部の外周がワイヤを直線状に案内しやすくなる。また、ギア状部材の係止溝からガイド部に向けて第2テーパ部の外周がワイヤを直線状に案内しやすい。
【0019】
前記引出方向偏向部材は、前記カテーテルチューブの外周に装着され、前記第1ワイヤおよび第2ワイヤがそれぞれ挿通可能な貫通孔が周方向に沿って複数形成してある筒状部材であっても良い。
【0020】
このように構成することでも、ギア状部材と同様に、ワイヤの長手方向移動に際して引出部でワイヤが擦れるおそれが少なくなり、引出部に亀裂が生じるおそれを低減することができ、耐久性が向上する。ただし、貫通孔にワイヤを通す作業が必要になることから、作業性の点では、ギア状部材が優れている。
【0021】
好ましくは、前記ガイド部が、一対のガイド滑車であり、
これらのガイド滑車は、前記第1回動片および第2回動片の回動移動に応じた前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの長手方向に沿った移動により回転するように、前記固定部に取り付けてある。
【0022】
一対のガイド滑車が、それぞれ自ら回転することによって、カテーテルチューブの近位端から当該カテーテルチューブの軸方向に沿って略平行に引き出される前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端を、それぞれ前記第1回動片の外周部と第2回動片の外周部とに導くことができる。そのため、ワイヤとガイド滑車とは擦れることなく、ワイヤをカテーテルから引き出す動作や押し込む動作をスムーズに行うことができる。
【0023】
また、第1回動片の回動の半径(第1回動半径)および第2回動片の回動の半径(第2回動半径)を大きくすることで、第1回動片および第2回動片の回動移動によりワイヤを大きく長手方向に移動させることが可能になり、カテーテル遠位端を大きく偏向させることが可能となる。すなわち、操作性が良好で、カテーテル遠位端を大きく偏向させることが可能であり、しかもワイヤに損傷が生じることが少ない先端偏向可動カテーテルを実現することができる。
【0024】
好ましくは、前記一対のガイド滑車は、前記第1回動片および第2回動片の回動移動に応じた前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの長手方向に沿った移動により回転するように、前記固定部に取り付けてある。このように構成することで、ワイヤと滑車との間の摩擦を低減することが可能になり、操作性が向上する。
【0025】
好ましくは、前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端を前記カテーテルチューブの近位端から当該カテーテルチューブの軸方向に沿って略平行に引き出されるように、前記一対のガイド滑車の前記配置間隔が、前記カテーテルチューブの外径よりもわずかに大きい。このように構成することで、第1ワイヤおよび第2ワイヤの近位端をカテーテルチューブの近位端から当該カテーテルチューブの軸方向に沿って略平行に引き出すことが容易になり、チューブとワイヤとの間の摩擦力を低減することができ操作性が向上する。
【0026】
好ましくは、前記第1回動半径と第2回動半径とは略等しく、前記第1回動片と前記第2回動片とは、同じ回動方向に同じ回動角度で移動可能になっている。このように構成することで、カテーテルチューブの遠位端を、相互に反対側の第1方向と第2方向とで同じように偏向させることが可能になる。なお、第1回動半径と第2回動半径とを異ならせて、カテーテルチューブの遠位端を、相互に反対側の第1方向と第2方向とで異なる偏向角度で偏向できるようにしても良い。
【0027】
なお、本発明において、遠位端とは、操作側と反対側の端部で、先端側とも言い変えることも可能であり、遠位端の近傍も含む概念で用いる。また、近位端とは、遠位端の反対側であり、操作する側に近い端部であり、基端と言い変えることも可能であり、近位端の近傍も含む概念で用いる。遠位端および近位端は、相対的な概念であり、厳密な意味での端のみでなく、端の近くも含む。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0030】
第1実施形態
本実施形態の先端偏向可動カテーテルとしてのカテーテルシース(先端偏向可動カテーテル)は、たとえば、不整脈治療を行う際の心電を検出する電極カテーテルや心筋の焼灼を行うアブレーションカテーテルを案内するためのシースとしてや、その他の用途に用いられる。その他の用途としては、胆管等にステントを導入するためのカテーテル(ステント搬送用カテーテル)を案内するためのシースなどが例示される。
【0031】
図1に示すように、本実施形態のカテーテルシース1は、カテーテルチューブとしてのシース本体2と、シース本体2の近位端に設けられる操作部3およびグリップ部4とを有する。
【0032】
図2および
図3に示すように、シース本体2は、主ルーメン21を有する中空チューブ20からなる。本実施形態の中空チューブ20は、内側チューブ22と、外側チューブ24とを有する多層チューブで構成してある。外側チューブ24には、網状の補強線(たとえばステンレス等の金属線)からなるブレード層26が埋め込まれており、シース本体2に耐キンク特性を付与している。
【0033】
外側チューブ24におけるブレード層26の内側には、それぞれ第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンが軸方向に沿って形成してあるワイヤルーメン用チューブ28,29がシース本体2の中心軸に対して約180°対向位置に埋め込まれている。チューブ28,29の第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンには、それぞれ第1ワイヤ30および第2ワイヤ31が軸方向に移動自在に挿通してある。
【0034】
ブレード層26は、
図2に示すように、外側チューブ24の内部に、横断面が楕円形状を有するように埋め込まれており、楕円状のブレード層26の長軸方向に第1ワイヤ30および第2ワイヤ31が配置されるようになっている。楕円状のブレード層26の短軸方向では、ブレード層26は、内側チューブ22に近い側の外側チューブ24の内部に埋め込まれており、楕円状のブレード層26の長軸方向では、ブレード層26は、外周に近い外側チューブ24の内部に埋め込まれている。
【0035】
内側チューブ22の内周面に軸方向に沿って形成してある主ルーメン21には、電極カテーテル、アブレーションカテーテル、ステント搬送用カテーテル、その他の用途のカテーテル、あるいはガイドワイヤ、その他の医療器具が軸方向に移動自在に挿入可能になっている。主ルーメン21の内周面は、滑り特性が良いことが好ましく、内側チューブ22は、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などで構成される。
【0036】
外側チューブ24は、樹脂で形成されることが好ましく、たとえばポリエーテルブロックアミド共重合体などのポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどで構成される。また、ワイヤルーメン用チューブ28,29は、滑り特性が良い樹脂で形成されることが好ましく、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などで構成される。第1ワイヤ30および第2ワイヤ31は、たとえばステンレスなどの金属で構成してあり、撚り線でも単線でも良い。
【0037】
図1に示すように、シース本体2の遠位端は、その向きが矢印αおよび矢印βのように、相互に180°の反対方向に任意に偏向可能な偏向部2aとなっている。偏向部2aの偏向方向αとβは、前述したワイヤルーメン用チューブ28,29の180°対向な取付位置に対応している。偏向部2aでは、その余の部分よりも硬度が低く(柔軟に)設定されていることが好ましく、さらに偏向部においてはその先端にいくにしたがって徐々にまたは段階的に硬度が低くなるように設定されていてもよい。
【0038】
図4に示すように、シース本体2の遠位端(偏向部2aの先端近傍)には、円環状のプルリング(リング部材)32を有するワイヤ付きリング35が埋め込まれている。プルリング32の内周面でシース本体2の中心軸に対して180°対向位置には、第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の遠位端30a,31aが接続固定されている。
【0039】
なお、第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の遠位端30a,31aをプルリング32の内周面に接続固定するための方法については特に限定されず、銀ロウなどのロウ材によるロウ付け、レーザ溶接、超音波溶着、アーク溶接、半田付けなどが例示される。
【0040】
ワイヤ付きリング35を、シース本体2の遠位端に埋め込むために、
図3および
図5に示すように、外側チューブ24の遠位端には、プルリング32の通孔に挿入される段差状先端部24aが切削などの手段で形成してある。段差状先端部24aの外周面は、プルリング32の通孔の内周面形状に合わせて、円筒外周面形状に切削加工してある。そのため、
図3および
図5に示すように、横断面が楕円状のブレード層26の短軸方向では、ブレード層26はリング32の内側に残っていても良い。
【0041】
また、
図3および
図4に示すように、横断面が楕円状のブレード層26の長軸方向では、ブレード層26の一部も除去されており、ワイヤルーメン用チューブ28,29の一部も除去され、ワイヤルーメンがリング32の内側で開口している。ワイヤルーメンがリング32の内側で開口している位置で、各ワイヤ30,31の遠位端がリング32の内周面に接続固定してある。
【0042】
図4および
図5に示すように、偏向部2aの遠位端では、リング32の外周と段差状先端部24aの外周と内側チューブ22の外周と内側チューブ22の遠位端とは、遠位端被覆樹脂34により覆われて一体化されている。遠位端被覆樹脂34は、ワイヤルーメン用チューブ28,29の遠位端側ルーメン内に一部入り込んでも良いが、ワイヤ30,31がワイヤルーメン内を軸方向に移動することを妨げないようになっている。
【0043】
遠位端被覆樹脂34は、たとえば樹脂製チューブ状部材を熱溶着することや樹脂溶液をディピングすることなどにより形成され、たとえばポリエーテルブロックアミド共重合体などのポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどの樹脂で構成してある。
【0044】
リング32は、たとえばステンレス鋼などの金属で構成してあり、その遠位端には、造影リングが装着してあっても良い。造影リングは、X線などで検出しやすい金属で構成してあり、たとえば金、白金、イリジウム、タングステンなどで構成される。なお、リング32の全体を造影リングで構成しても良い。
【0045】
ワイヤ付きリング35は、
図4および
図5に示す遠位端被覆樹脂34が形成される前に、ワイヤルーメン用チューブ28,29のルーメン内に、各ワイヤ30,31が挿入され、リング32の通孔に
図5に示す段差状先端部24aが通される。その後に、遠位端被覆樹脂34が形成されて、偏向部2aの遠位端では、リング32の外周と段差状先端部24aの外周と内側チューブ22の外周と内側チューブ22の遠位端とが、遠位端被覆樹脂34により覆われて一体化される。
【0046】
第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の近位端は、
図1に示すシース本体2の近位端に設けられた操作部3に接続されている。操作部3はグリップ部4の先端(遠位端)側に設けられている。
【0047】
操作部3は、
図6A〜
図6Cに示すように、シース本体2の近位端に固定される固定部50を有する。固定部50は、円盤状の固定部本体51と、グリップ部4の遠位端4aに挿入されて連結するグリップ連結部52と、グリップ連結部52の180°反対側に位置するシース引き込み部54とを有する。固定部50を構成する固定部本体51とグリップ連結部52とシース引き込み部52とは、プラスチックなどで一体成形される。
【0048】
固定部50のシース引き込み部54の外周には、シース引き込みカバー(カバー部材)56が取り付けられる。シース本体2の近位端2bは、カバー56の内部を通り、シース引き込み部54の内部、固定部本体51の中央部、グリップ連結部52の内部を通り、グリップ部4の内部に到達している。
【0049】
カバー56の内部に位置するシース本体2の外周部には、それぞれ第1ワイヤ30および第2ワイヤ31を取り出すための引出部2cが形成してある。引出部2cは、シース本体2の外周部に形成してある孔であり、
図2に示すワイヤルーメン用チューブ28,29の内部に連通しており、そこから各ワイヤ30,31の近位端30b,31bがシース本体2の外部に取り出されるようになっている。
【0050】
本実施形態では、カバー56の内部には、引出方向偏向部材80が装着してある。引出方向偏向部材80は、ギア状部材82と、引出部2cに向けて外径が小さくなる第1テーパ部86と、後述するガイド部としてのガイド滑車60に向けて外径が小さくなる第2テーパ部88とを有する。
【0051】
ギア状部材82と第1テーパ部86と第2テーパ部88とは、たとえばプラスチックあるいは金属で構成されている。これらは、これら全てを一体に成形しても良いし、これら全てが一体となったものを軸方向に沿って分割された形状の複数の部材として、あるいは、それぞれの部分ごとの複数の部材として、複数の部材に分けて成形して、それらの部材が接着、融着、嵌合などで組み合わされることによって固定してあっても良い。ギア状部材82と第1テーパ部86と第2テーパ部88とから成る引出方向偏向部材80は、その長手方向に沿って、軸孔85を有し、その軸孔85にシース本体2の近位端2bを通すことで、引出方向偏向部材80は、シース本体2の近位端2bに対して回転自在および軸方向に移動自在に装着される。
【0052】
図8Aに示すように、ギア状部材82の外周には、第1ワイヤ30および第2ワイヤ31がそれぞれ入り込んで係止される係止溝84が周方向に沿って複数形成してある。それぞれの係止溝84は、シース本体2の長手方向に平行に形成してある。ワイヤ30,31が所定の係止溝84に入り込んで係止されることで、引出部2cからガイド滑車60へと向かうワイヤ30,31の引出方向を、引出部2cからギア状部材82へ向かう部分と、ギア状部材82からガイド滑車60へ向かう部分とで、変化させることができる。
【0053】
シース本体2の遠位端(偏向部2a)から近位端2bに向けて、ワイヤルーメン用チューブ28,29(第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメン)がシース本体2の軸回りに回転して捻れて配置され、それに挿通された第1ワイヤ30および第2ワイヤ31も捩れて配置された結果として、たとえば
図8Aに示すように、シース本体2の近位端2bにおける引出部2cが、本来の水平位置よりも反時計回りに90度程度に周方向に捻れて配置(垂直方向に配置)されているものとする。そのような場合には、引出部2cから引き出されたワイヤ30,31は、引出部2cと周方向に同じ捻れ位置(図では垂直方向位置)に位置する係止溝84に導かれることが好ましい。
【0054】
ガイド部であるガイド滑車60,60は、シース本体2の遠位端(偏向部2a)における偏向方向αおよびβの平面と略平行な平面に配置されることが好ましい。そのため、ギア状部材82からガイド滑車60へ向かうワイヤ30,31の引出方向は、引出部2cからギア状部材82へ向かうワイヤ30,31の引出方向から変化する。
【0055】
図6A〜
図6Cに示すように、引出部2cから引き出された各ワイヤ30,31の近位端30b,31bは、カバー56の内部およびシース引き込み部54の内部を通して、操作部3の内部に導かれるようになっている。固定部50には、円盤状の固定部本体51の中心回りに回動(枢軸回転移動)自在に回動カバー45が取り付けてある。回転カバー45には、回動摘み58が固定してあり、回動摘み58を操作することで、回転カバー45を固定部50に対して回動可能になっている。
【0056】
なお、
図6A〜
図6Cでは、固定部50の下側に配置される回転カバー45のみが図示してあるが、実際には、
図8Bに示すように、回転カバー45の上側にも、上部回転カバー45aが配置される。上部回転カバー45aにも、回転カバー45と同様に、回動摘み58aが固定してあり、回動摘み58aが回動摘み58と連結されることで、上部回転カバー45aと回転カバー45と第1回動片40と第2回動片41とが一体となって、固定部50に対して回動可能になっている。
【0057】
また、上部回転カバー45aの上側には、上部固定カバー50aが配置され、上部回転カバー45aの上を覆うようになっている。上部固定カバー50aには、グリップカバー4bとシース引き込みカバー56aとが一体に成形してある。グリップカバー4bとシース引き込みカバー56aとは、それぞれ下側に配置してあるグリップ部4およびシース引き込みカバー56に組み合わされて、これらの上部を覆うようになっている。
【0058】
引出方向偏向部材80が内部に配置された状態で、シース引き込みカバー56,56aが組み合わされると、シース引き込みカバー56,56aの内側に形成してある凸部または凹凸部がギア状部材82の係止溝に噛み合い、引出方向偏向部材80のシース本体2の回りの回転が制限される。なお、引出方向偏向部材80は、カバー56,56aの内部においてシース本体2に対して軸方向に移動自在に配置してあっても良いが、カバー56,56aの内側に形成してある凸部により軸方向移動も制限することが好ましい。ワイヤ30,31の移動に応じて、引出方向偏向部材80も移動しないようにするためである。
【0059】
各シース引き込みカバー56,56aの遠位端には、係合用凸部57,57aが形成してある。係合用凸部57,57aの遠位端側では、シース2にキャップ90が軸方向移動自在に取り付けてある。係合用凸部57,57aが組み合わされた後には、それらの外周にキャップ90が取り付けられることで、シース引き込みカバー56,56aが連結して固定され、同時に、グリップカバー4bがグリップ部4に固定される。
【0060】
図6A〜
図6Cに示すように、回動カバー45には、第1回動片40と第2回動片41とが円盤状の固定部本体51の円周方向に沿ってビスなどで取り付けられ、これらの第1回動片40と第2回動片41とは、同時に同一方向に同期して回動するようになっている。第1回動片40と第2回動片41とは、円盤状の固定部本体51の円周方向に沿って所定間隔で設けられ、シース本体2を挟んで、操作部3の内部で反対側に位置するようになっている。
【0061】
第1回動片40における回動中心から第1半径R1の円弧状外周部40aには、第1ワイヤ30の近位端30bが巻き付けられてビス42などにより回動片40に固定してあり、回動片40が回動中心回りに回動することで、ワイヤ30の近位端30bが引出部2cから引き出されたり戻されたりするようになっている。また、同様に、第2回動片41における回動中心から第2半径R2の円弧状外周部41aには、第2ワイヤ31の近位端31bが巻き付けられてビス43などにより回動片41に固定してあり、回動片41が回動中心回りに回動することで、ワイヤ31の近位端31bが引出部2cから引き出されたり戻されたりするようになっている。
【0062】
固定部50のシース引き込み部54には、シース本体2を挟んで所定の配置間隔D2で一対のガイド滑車60が、各滑車60の軸芯回りで回転自在に装着してある。各ガイド滑車60には、
図7に示すように、ワイヤ30,31の近位端30b,31bが係止する係止溝62が形成してあっても良い。また、各ガイド滑車60には、回転軸64が一体に形成してあっても良く、回転軸64が、固定部50のシース引き込み部54の底壁に形成してある軸受け孔50aに差し込まれることで、各滑車60が回転するようになっていても良い。
【0063】
一対の滑車60の配置間隔D2は、シース本体2の外径D1よりもわずかに大きい程度が好ましく、引出部2から引き出されるワイヤ30,31の近位端30b,31bがシース本体2の軸方向に沿って略平行に滑車60に向かうようになっている。滑車60は、引出部2cから引き出された各ワイヤ30,31の近位端30b,31bを、それぞれ第1回動片40の外周部40aと第2回動片41の外周部41aとに導くようになっている。
【0064】
これらの一対のガイド滑車60は、
図6Bおよび
図6Cに示すように、第1回動片40および第2回動片41の回動移動に応じた第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の長手方向に沿った移動により回転するように、固定部50に取り付けてある。なお、配置間隔D2とシース本体2の外径D1との関係は、D2/D1が好ましくは1.05〜1.60である。D2/D1が大きすぎると、引出部2cからワイヤ30,31を軸方向に沿って略平行に引き出すことが困難になる傾向にあり、小さすぎるとワイヤ30,31とシース本体2の外周面との摩擦が大きくなる傾向にある。第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の近位端30b,31bをシース本体2の近位端2bから当該シース本体2の軸方向に沿って略平行に引き出すことで、シース本体2とワイヤ30,31との間の摩擦力を低減することができ操作性が向上する。
【0065】
また、本実施形態では、第1半径R1と第2半径R2とは、略等しいことが好ましい。また、シース本体2の外径D1と第1半径R1や第2半径R2との関係は、R1/D1またはR2/D1が好ましくは8.0〜12.0であり、R1およびR2を大きくする程、回動摘み58の回動角度当たりのワイヤ30,31の長手方向移動量を大きくすることができる。ただしR1およびR2を大きくし過ぎると、操作部3の外径が大きくなり、片手での操作が困難になる傾向にある。本実施形態では、
図6Bおよび
図6Cに示すように、第1回動片40と第2回動片41とは、同じ回動方向に同じ回動角度で移動可能になっている。
【0066】
固定部50を構成するブラスチックとしては、特に限定されず、たとえばポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂などが例示される。回動カバー45およびカバー56に関しても、固定部50と同様なプラスチックで構成すればよい。
【0067】
本実施形態では、
図6Bに示すように、摘み58を第1回転方向(たとえば左回り)に操作することにより、
図2〜
図5に示す第1ワイヤ30が操作部3の方向に引っ張られ、第2ワイヤ31が偏向部2aの側に戻され、偏向部2aが矢印αに示すように偏向される。また、
図6Cに示すように、摘み58を第1回転方向と反対方向の第2回転方向(たとえば右回り)に操作することにより、
図2〜
図5に示す第2ワイヤ31が操作部3の方向に引っ張られ、第1ワイヤ30が偏向部2aの側に戻され、先端の偏向部2aが矢印βに示すように偏向される。
【0068】
本実施形態では、一対のガイド滑車60が、それぞれ自ら回転することによって、シース本体2の近位端2bから当該シース本体2の軸方向に沿って略平行に引き出される第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の近位端30b,31bを、それぞれ第1回動片40の外周部40aと第2回動片41の外周部41aとに導く。そのため、ワイヤ30,31とガイド滑車60とは擦れることなく、ワイヤ30,31をシース本体2の引出部2cから引き出す動作や押し込む動作をスムーズに行うことができる。すなわち、ワイヤ30,31と滑車60との間の摩擦を低減することが可能になり、操作性が向上する。
【0069】
また、本実施形態では、第1回動半径R1および第2回動半径R2を大きくすることで、第1回動片40および第2回動片41の回動移動によりワイヤ30,31を大きく長手方向に移動させることが可能になり、カテーテル遠位端を大きく偏向させることが可能となる。すなわち、本実施形態では、操作性が良好で、シース本体2の偏向部2aを大きく偏向させることが可能であり、しかもワイヤ30,31に損傷が生じることが少ない先端偏向可動カテーテルシース1を実現することができる。
【0070】
本実施形態に係るカテーテルシース1では、引出部2cとガイド滑車60との間に引出方向偏向部材80が配置される。そして、引出部2cから引き出された第1ワイヤ30および第2ワイヤ31の近位端の引き出し方向を変化させてガイド滑車60に向かわせることができる。そのため、本実施形態では、シース本体2の遠位端(偏向部2a)から近位端2bに向けて、ワイヤルーメン用チューブ28,29(第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメン)がシース本体2の軸回りに回転して捻れて配置され、それに挿通された第1ワイヤ30および第2ワイヤ31も捩れて配置されたとしても、引出部2cには過度な捻れ力が発生しない。
【0071】
すなわち、引出方向偏向部材80を用いることで、引出部2cの捻れ位置に合わせて、可能な限りシース本体2の軸方向に沿った直線状にワイヤ30,31を引出方向偏向部材80のギア状部材82に向かわせることが可能である。そのため、ワイヤ30,31の長手方向移動に際して引出部2cでワイヤ30,31が擦れるおそれが少なくなり、引出部2cに亀裂が生じるおそれを低減することができ、耐久性が向上する。
【0072】
また、引出方向偏向部材80のギア状部材82からは、ガイド滑車60に向けて、ワイヤ30,31の引出方向を変化させることができる。そのため、操作部3における回動摘み58の回動方向平面と、シース本体2の遠位端(偏向部2a)における偏向方向平面(偏向方向αおよびβを含む平面)とを合わせることが可能になる。そのため、操作部3での操作によりシース本体2の偏向部2aでの偏向方向をイメージしやすくなり、操作性が向上する。
【0073】
なお、ワイヤ30,31の移動に際して引出方向偏向部材80の係止溝84には捻れ力が発生することがあるが、引出方向偏向部材80のギア状部材82の材質を適切に選択することで、ギア状部材82に対するワイヤ30,31の擦れや亀裂などを低減することができる。ギア状部材82は、シース本体2よりも硬くて摺動特性(滑り特性)に優れた材質で構成することができる。ギア状部材82は、たとえば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂や、これらの樹脂に、摺動特性改良剤として、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどが添加されてなる樹脂組成物などで構成されていても良い。また、ギア状部材82の摺動特性を改良する目的で、たとえば、シリコーンオイルなどの潤滑剤を塗布しても良い。
【0074】
ちなみに、シース本体2の引出部2cでは、シース本体2が体内に挿入されるものであるために、柔軟性に優れたものである必要があり、ギア状部材82に比較すれば、材料の選択の余地は狭い。
【0075】
また本実施形態では、ギア状部材82には、第1ワイヤ30および第2ワイヤ31がそれぞれ係止可能な係止溝84が周方向に沿って複数形成してある。シース本体2の偏向部2aから近位端2bに向けてのシース本体2の捻れ度合いは、製品によって変化する。本実施形態では、捻れ度合いに合わせて、引出部2cからギア状部材82に向かうワイヤ30,31が可能な限り直線状になる係止溝84を容易に選択することができる。
【0076】
また本実施形態では、引出方向偏向部材80とシース本体2の引出部2cとが、シース引き込みカバー56,56aにより覆われ、これらを有効に保護することができる。また、引出部2cからギア状部材82に向けてワイヤ30,31を可能な限りシース本体2の軸方向に沿った直線状に引き出した状態で、シース引き込みカバー56,56aに取り付ける作業が容易になる。しかも、引出方向偏向部材80をカバー56,56aに取り付けた後には、引出方向偏向部材80の回転が抑制されるため、引出部2cからギア状部材82に向けてワイヤ30,31を可能な限りシース本体2の軸方向に沿った直線状に引き出した状態を維持することができる。
【0077】
さらに本実施形態では、引出部2cからギア状部材82の係止溝84に向けて、第1テーパ部86の外周がワイヤ30,31を直線状に案内しやすくなる。また、ギア状部材82の係止溝84からガイド滑車60に向けて第2テーパ部88の外周がワイヤ30,31を直線状に案内しやすい。
【0078】
第2実施形態
本実施形態の先端偏向可動カテーテルは、
図9に示す引出方向偏向部材80aを有する以外は、第1実施形態と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏するため、重複する説明は省略する。
【0079】
本実施形態では、引出方向偏向部材80aは、たとえば
図8Aに示すシース本体2が挿入される軸孔85aが形成してある筒状部材82aを有する。筒状部材82aにおける軸孔85aの周囲には、第1ワイヤ30および第2ワイヤ31がそれぞれ挿通可能な貫通孔84aが周方向に沿って複数形成してある。貫通孔84aは、軸孔85aと平行である。
【0080】
このように構成することでも、前述したギア状部材82と同様に、ワイヤ30,31の長手方向移動に際して引出部2cでワイヤ30,31が擦れるおそれが少なくなり、引出部2cに亀裂が生じるおそれを低減することができ、耐久性が向上する。ただし、貫通孔84aにワイヤ30,31を通す作業が必要になることから、作業性の点では、ギア状部材82が優れている。
【0081】
本実施形態では、筒状部材82aの外周には、係合溝83が複数箇所で形成してある。これらの係合溝83は、
図8Bに示すカバー56,56aの内側に形成してある凸部に係合し、筒状部材82aがカバー56,56aに対して回転することを防止している。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0083】
たとえば上述した実施形態では、上述した実施形態では、第1回動片40と第2回動片42とは、別々に成形したが、これら第1回動片40と第2回動片42とは、一体に形成し、固定部50に対して、同一回動角度で回動するように構成しても良い。さらに、ガイド部としては、単なる摺動壁面であっても良く、ガイド滑車60以外でも良い。
【0084】
さらに、上述した実施形態では、先端偏向可動カテーテルを、主ルーメン21を有するカテーテルシースとして用いたが、主ルーメン21を持たないカテーテルやその他のカテーテルに本発明を適用することも可能である。また、上述した実施形態では、第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンがワイヤルーメン用チューブ28,29により形成してあるが、これに限定されず、チューブ28,29を設けることなく第1ワイヤルーメンおよび第2ワイヤルーメンを外側チューブ24自体に形成しても良い。また、上述した実施形態では、シース本体2を多層チューブで構成したが、単層チューブで構成しても良い。
【0085】
また、上述した実施形態では、第1回動半径R1と第2回動半径R2とを同じに構成したが、第1回動半径R1と第2回動半径R2とを異ならせてもよい。その場合には、シース本体2の偏向部2aを、相互に反対側の第1方向αと第2方向βとで異なる偏向角度で偏向できる。