【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。実施例中、「%」は「重量%」を意味する。
【0037】
(1)屈折率の測定
株式会社島津製作所製、精密屈折計KPR−2000を用いて各々の樹脂の屈折率の測定を行った。
【0038】
(2)フィルム面内の複屈折率Δnの定義
複屈折率Δnは以下の式で定義される。
複屈折率Δn=(nx−ny) …(1)
(上記式(1)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し、nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す)
【0039】
(3)nx、nyの測定
株式会社アタゴ社製のアッベ式屈折計を用い、フィルム面内方向の屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率nxと、遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率nyを測定し、上記の式(1)より複屈折率Δnを算出した。なお、測定はナトリウムD線を用い、23℃で行った。
【0040】
(4)光線透過率の測定
分光光度計(株式会社島津製作所UV−3100PC型)により、スキャン速度を低速、サンプリングピッチを2nm、波長300〜700nm領域で連続的に光線透過率を測定し、380nmおよび550nmの波長での光線透過率を検出した。
【0041】
(5)紫外線吸収剤のブリードアウトの評価方法
得られたポリエステルフィルムと紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルム(三菱樹脂社 T100 厚み50μm)をギアーオーブン(エスペック社製 GHPS−222)で150℃30分間加熱後、顕微鏡(キーエンス社製 VH−Z250R)にて300倍で観察した。以下の基準で得られたポリエステルフィルムについて評価した。
○:紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと差異がない
×:紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと比較して析出物の量が多く、
また大きさが大きい
紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと得られたポリエステルフィルムの間での大きな差異は紫外線吸収剤の有無であるため、観察された違いは紫外線吸収剤に起因すると考えられる。
【0042】
(6)視認性の検査
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製、重合度2400)を用いて、第1浴(ヨウ素、KI水溶液−30℃)で3倍延伸後、第2浴(ホウ酸、KI水溶液−55℃)中でトータル延伸倍率を6倍まで延伸して偏光子を得た。その後、PVA系接着剤を用いて、両面に厚さ40μmのTACフィルムを貼り合わせ、片側TACフィルムの上に粘着剤を介してポリエステルフィルムを偏光板の吸収軸との成す角が45°となる様に貼り付け偏光板を作製した。当該偏光板をポリエステルフィルムが視認側の外側になるように、蛍光体方式の白色発光ダイオードをバックライト光源に用いた液晶パネルに実装し、視認性を確認した。
◎:光干渉色がなく、良好である
○:光干渉色が少しあるが、問題ない
×:光干渉色が強く、偏光板として使用できない
【0043】
(7)生産性、取扱い性
◎:フィルムの生産性も良好で、加工時の取り扱い性も良好である
○:フィルムの生産性、加工時の取り扱い性ともに問題ない
×:フィルムの生産性、加工時の取り扱い性のいずれか、または両方が悪く、生産または加工には適さない
【0044】
(8)総合判定
視認性、生産性、取扱い性、380nmおよび550nmの波長での光線透過率、ブリードアウトを総合的に評価し、偏光板用フィルムとして最も優れているものを◎、優れているものを○、許容できるものを△、不十分なものを×とした。△以上を合格とする。
【0045】
以下の実施例および比較例で使用した原料は、以下のようにして準備した。
(ポリエステルAの製造方法)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
【0046】
次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステルAを得た。得られたポリエチレンテレフタレートの屈折率は1.58であった。
【0047】
(ポリエステルBの製造方法)
上記ポリエステルAを製造する際、平均粒径3.2μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステルBを作成した。
【0048】
(ポリエスエルCの製造方法)
ポリエステルAの製造方法においてジカルボン酸原料を変更することでポリエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエステルCを得た。得られたポリエチレン−2,6−ナフタレートの屈折率は1.64であった。
【0049】
(ポリエスエルDの製造方法)
上記ポリエステル(A)を製造する際、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]を10%濃度となるように添加してポリエステル(D)を作成した。
【0050】
(ポリエスエルEの製造方法)
上記ポリエステル(A)に、紫外線吸収剤として酸化亜鉛の微粒子を10%濃度となるように混合しポリエステル(E)を作成した。
【0051】
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ80%、10%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ85%、5%、10%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、A層およびB層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して(A/B/A)の2種3層積層の無定形シートを得た。ついで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に2.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸、180℃で10秒間の熱処理を行い、製膜機にて巻き取ることで厚さ50μm(A層:5μm、B層:40μm)のポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例2:
実施例1において、90℃にて縦方向に1.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.2倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例3:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ70%、20%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ75%、5%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料として用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例4:
実施例3において、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例5:
実施例4において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ65%、20%、15%の割合で混合した原料をB層用の原料として用いる以外は実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例6:
実施例4において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ75%、20%、5%の割合で混合した原料をB層用の原料として用いる以外は実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例7:
実施例4において、90℃にて縦方向に1.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.2倍延伸してフィルムを得る以外は実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例8:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ40%、50%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ45%、5%、50%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、120℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸、150℃で10秒間の熱処理を行い、フィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例9:
実施例8において、120℃にて縦方向に2.0倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.4倍延伸してフィルムを得る以外は実施例8と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0060】
実施例10:
実施例9において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ35%、50%、15%の割合で混合した原料をB層用の原料として用いる以外は実施例9と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0061】
実施例11:
実施例9において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ45%、50%、5%の割合で混合した原料をB層用の原料として用いる以外は実施例9と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0062】
実施例12:
実施例9において、120℃にて縦方向に1.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.2倍延伸してフィルムを得る以外は実施例9と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0063】
実施例13:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ10%、80%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ15%、5%、80%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、130℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に5.2倍延伸、150℃で10秒間の熱処理を行いフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0064】
実施例14:
実施例13において、130℃にて縦方向に2.0倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に5.4倍延伸してフィルムを得る以外は実施例13と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例15:
実施例13において、130℃にて縦方向に1.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例13と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例16:
実施例13において、130℃にて縦方向に1.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に6.0倍延伸してフィルムを得る以外は実施例13と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0067】
比較例1:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ85%、5%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ90%、5%、5%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、90℃にて縦方向に1.1倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.0倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例2:
実施例1において、ポリエステル(C)、(D)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ5%、5%、90%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、130℃にて縦方向に2.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に5.2倍延伸し、150℃で10秒間の熱処理を行いフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0069】
比較例3:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ70%、20%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ75%、5%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、90℃にて縦方向に3.0倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.2倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0070】
比較例4:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ10%、80%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ15%、5%、80%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、130℃にて縦方向に3.0倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て130℃で横方向に4.5倍延伸し、150℃で10秒間の熱処理を行いフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0071】
比較例5:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ75%、5%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0072】
比較例6:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ77%、20%、3%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ75%、5%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0073】
比較例7:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(E)をそれぞれ75%、20%、5%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ75%、5%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0074】
比較例8:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ70%、20%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)、(D)をそれぞれ65%、5%、20%、10%の割合で混合した原料をA層用の原料として用い、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0075】
比較例9:
実施例1において、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)、(C)、(D)をそれぞれ55%、5%、20%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料として用い、90℃にて縦方向に1.8倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に5.3倍延伸してフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0076】
以上、得られた結果をまとめて下記表1に示す。
【0077】
【表1】