(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯情報端末EQPの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、携帯情報端末(電子機器)EQPは、制御部CONTと、表示部DPと、基板BPと、カメラモジュールCMと、充電池BTと、マイクMC(不図示)と、スピーカSP(不図示)と、振動部ATと、接続部MSとを有しており、これらは筐体FLに収容されている。
【0010】
筐体FL(本体)は、複数の面を有し、例えば矩形の板状に形成されている。
【0011】
制御部CONTと、表示部DPと、基板BPと、カメラモジュールCMと、充電池BTと、マイクMCと、スピーカSPと、複数の振動部ATと、接続部MSとは、電気的に接続されている。
【0012】
表示部DPは、矩形に形成されており、筐体FLのうち板面に設けられている。筐体FLのうち前記表示部DPが設けられる面を、以下表示面Feと表記する。表示部DPは、例えば液晶装置や有機EL装置などを有する表示パネルを有している。表示パネルの表示領域には、タッチパネルが設けられている。この表示領域は矩形である。タッチパネルは、表示領域に対する接触の有無及び接触位置を検出する。図示するように、表示面Feと表示パネルの表示領域はほぼ等しい。また、表示面Feには、表示部DPのみが設けられている。
【0013】
基板BPは、筐体FL内に設けられる。基板BPには、制御部CONTと、例えばWiFi(Wireless Fidelity)等により無線通信を行う無線通信部と、加速度センサやジャイロ(角速度センサ)、GPS(Global Positioning System)等の各種センサ(不図示)とが設置されている。制御部CONTは、メモリとCPU(中央演算装置)を備え、携帯情報端末EQPを統括して制御する。
【0014】
充電池BTは、各部に電力を供給する。充電池BTは、筐体FL内に設けられ、必要によっては筐体FLから取り外し可能にすることもできる。
【0015】
カメラモジュールCMは、レンズとイメージセンサとを備え、被写体を撮像し画像データを生成する。ここでのカメラモジュールCMは、そのレンズが筐体FLのうち表示面Feの背面Ffに設けられている。しかし、その個数や設置場所は必要に応じ変えられる。
【0016】
図2は、携帯情報端末EQPの背面図である。携帯情報端末EQPの背面Ffには、カメラモジュールCMと、接続部MSとが設けられている。このほか、携帯情報端末EQPの背面Ffには、マイクMC(不図示)及びスピーカSP(不図示)が設けられている。
【0017】
振動部ATは、筐体FLに対して振動を伝達する振動源である。振動部ATは、複数(本実施形態では4つ)の振動素子AT1〜振動素子AT4を有している。振動素子AT1〜振動素子AT4は、筐体FLの4つの実質的な角部(互いに異なる複数のコーナー)に1つずつ設けられている。換言すると、振動素子AT1〜振動素子AT4は、表示面Feの4つのコーナーの近傍部にそれぞれ配されている。各振動素子AT1〜振動素子AT4は、規定の周波数特性を持つリニア振動アクチュエータである。振動部ATは、制御部CONTによってその動作が制御されるようになっている。
【0018】
振動素子AT1〜振動素子AT4のうち、例えば振動素子AT1及び振動素子AT2(第一振動部)は、50Hz以上100Hz未満程度の帯域(第一周波数帯域)に含まれる周波数で振動する。振動素子AT1と振動素子AT2とが同一の周波数で振動する構成であっても良いし、振動素子AT1と振動素子AT2とが異なる周波数で振動する構成であっても良い。
【0019】
また、例えば振動素子AT3及び振動素子AT4(第二振動部)は、上記の振動素子AT1及びAT2とは異なり、100Hz以上20KHz未満程度の帯域(第二周波数帯域)に含まれる周波数で振動する。振動素子AT3と振動素子AT4とが同一の周波数で振動する構成であっても良いし、振動素子AT3と振動素子AT4とが異なる周波数で振動する構成であっても良い。
【0020】
図3A及び
図3Bは、振動素子AT1〜振動素子AT4の構成を示す図である。
図3Aは、第一振動部である振動素子AT1及び振動素子AT2の構成を示す図である。
図3Bは、第二振動部である振動素子AT3及び振動素子AT4の構成を示す図である。各振動素子AT1〜AT4は、筐体FLの一部に実質的につながっている。一例において、各振動素子AT1〜AT4は、筐体FLの複数の面のうち少なくとも一つの面に実質的に接続されるように筐体FLの内部に設けられえいる。
【0021】
図3A及び
図3Bにおいて、表示面Feに垂直な方向をZ方向として説明する。この場合、表示部DPから筐体FLへ向けた方向が+Z方向であり、筐体FLから表示部DPへ向けた方向が−Z方向である。
【0022】
図3A及び
図3Bでは、1つの振動素子(例えば
図3Aでは振動素子AT1、
図3Bでは振動素子AT3)を代表させて示している。以下の
図3Aの説明は振動素子AT1に関する。
図3Bの説明は振動素子AT3に関するものである。しかし、振動素子AT2及び振動素子AT4に対しても同様の説明が可能である。
【0023】
図3Aに示すように、振動素子AT1は、ボイスコイルモーター16を有する。ボイスコイルモーター16は、センターポール61、ヨーク62、コイル63及びコイル支持部64を有する。ボイスコイルモーター16は、制御部CONTの制御に基づいてコイル63に流れる電流と、センターポール61とヨーク62の間隙の磁場との間に働くローレンツ力により、センターポール61とヨーク62がZ方向に往復運動し振動を発生する構成である。
【0024】
ヨーク62は、例えば鉄などの磁性体を含む材料を用いて円筒状に形成されている。ヨーク62は、軸方向の一方の端部(例えば、図中+Z側の端部)は開口されており、軸方向の他方の端部(例えば、図中−Z側の端部)には底部62aが設けられている。
【0025】
センターポール61は、円柱状に形成されている。センターポール61は、ヨーク62の内部に収容されている。センターポール61及びヨーク62は、軸線方向がZ方向に平行になるように配置されている。センターポール61は、例えばヨーク62の中央部に配置されている。センターポール61は、外周面61sがヨーク62の内周面62tとの間に隙間を空けるように配置されている。
【0026】
センターポール61は、それぞれ同径の円板状に形成された第一磁石61a、第二磁石61b及び円板部材61cを有する。センターポール61は、軸方向において第一磁石61aと第二磁石61bとで円板部材61cを挟んだ構成を有している。第一磁石61aは、ヨーク62の底部62aに接している。円板部材61cは、ヨーク62と同様に、例えば鉄などの磁性体を含む材料を用いて形成されている。したがって、円板部材61cは、ヨークとしての機能を有している。
【0027】
第一磁石61aは、軸方向の一方(例えば、図中上側)の端部がN極となっており、軸方向の他方(例えば、図中下側)の端部がS極となっている。第二磁石61bは、軸方向の一方(例えば、図中上側)の端部がS極となっており、軸方向の他方(例えば、図中下側)の端部がN極となっている。したがって、第一磁石61a及び第二磁石61bは、円板部材61cに接する方の端部がN極となっている。また、第一磁石61aは、ヨーク62の底部62aに接する方の端部がS極となっている。したがって、円板部材61cとヨーク62との間においては、円板部材61cがN極となっており、ヨーク62がS極となっている。
【0028】
コイル63は、センターポール61の外周面61sとヨーク62の内周面62tとで挟まれた空間Kに配置されている。コイル63は、例えば銅線などを用いて形成されている。
【0029】
コイル支持部64は、コイル63を固定して支持する。コイル支持部64は、円筒状に形成されている。コイル支持部64の−Z側端部には、コイル63が巻かれた状態で固定されている。コイル支持部64のうちコイル63が固定された部分は、上記の空間Kに挿入されている。コイル支持部64は、例えばプラスチックなど非磁性体の材料を用いて形成されている。コイル支持部64は、コイル63と一体的に移動可能である。コイル支持部64のうち+Z側の端部は、筐体FLに固定されている(固定部64a)。
【0030】
また、コイル支持部64の固定部64aには、弾性部材65が取り付けられている。弾性部材65は、弾性変形可能な材料を用いてバネ状に形成されており、ヨーク62を支持するように設けられている。したがって、ボイスコイルモーター16は、コイル支持部64が筐体FLの一面(第一面)に固定され(接続され)、ヨーク62が弾性部材65によって筐体FLの別の一面(第二面)に支持されて(接続されて)いる。一例において、第一面は第二面に対向する、及び/又は、第一面は第二面に平行である。また、弾性部材65には、錘66が取り付けられている。このように、コイル支持部64の固定部64aには、錘66が連結されている。
【0031】
ボイスコイルモーター16には、制御部CONTからの電気信号によってコイル63に電流が流れることで、コイル63に対して+Z方向及び−Z方向に対して力が作用する。この力によりコイル支持部64(固定子)とセンターポール61(可動子)とが相対移動する。コイル支持部64は、表示部DPに固定されている。そのため、ボイスコイルモーター16の振動は、コイル支持部64を介して筐体FLに伝達されるようになっている。
【0032】
コイル支持部64とセンターポール61との間の相対移動により、センターポール61及びヨーク62(可動子)が弾性力を受けながらZ方向に移動することになる。このとき、センターポール61及びヨーク62の質量に加えて錘66の質量が作用する。そのため、錘66を取り付けない場合に加えて振動の周期は大きくなる。
【0033】
よって、振動素子AT1においては、ボイスコイルモーター16に錘66を取り付けない場合の周波数よりも低い帯域の周波数の振動が発生する。なお、錘66の質量を変化させることで、周波数特性を変化させることができる。つまり、弾性素材65で支持されたセンターポール61とヨーク62と錘66が錘となり、制御部CONTからの電気信号のうち低い周波数において効果的に筐体FLを振動させることができる。振動素子AT2についても、上記同様の説明が可能である。
【0034】
また、
図3Bに示すように、振動素子AT3は、例えば上記振動素子AT1に設けられた構成と同一のボイスコイルモーター16を有する。勿論、振動素子AT1とは構成の異なるボイスコイルモーターや圧電型など他方式の振動素子が設けられた構成であっても良い。振動素子AT3のうちヨーク62の底部62aには、弾性部材65や錘66などが取り付けられていない。代わって、ヨーク62の底部62aは、例えばスポンジなどの弾性部材67を介して筐体FLに支持されている。
【0035】
弾性部材67は、ヨーク62を支持すると共に、ボイスコイルモーター16から表示部DPに伝達される振動を緩和させる緩衝材として機能する。振動素子AT3においては、ボイスコイルモーター16に弾性素材65による支持機構が取り付けられない。そのため、振動素子AT3及び振動素子AT4においては、振動素子AT1及び振動素子AT2に比べて高い周波数の振動が発生する。また、小型軽量化に有利な構造の為、操作者に振動が伝わりやすい位置に振動素子を配置することが容易になる。振動素子AT4についても、上記同様の説明が可能である。
【0036】
このように、振動素子AT1及び振動素子AT2と、振動素子AT3及び振動素子AT4との間では、異なる帯域の周波数で振動を行わせることができる。
【0037】
次に、上記のように構成された携帯情報端末EQPの動作を説明する。
携帯情報端末EQPは、制御部CONTのメモリや外部メモリ等に記憶された画像データや無線通信部を介して通信された画像データを表示部DPに出力して画像として表示する。また、携帯情報端末EQPは、同様に制御部CONTのメモリや外部メモリ等に記憶された音声データをスピーカSPから出力する。更に、携帯情報端末EQPは、外部との間でこれら画像データ及び音声データを含むデータの通信を行う。また、携帯情報端末EQPは、通信データの受信やアラーム等のイベントが発生すると振動部ATを振動させる。
【0038】
[ユーザ操作]
制御部CONTは、ユーザの操作に基づいて、画像データや音声データの出力及び通信を行う。携帯情報端末EQPの筐体FLの姿勢が、例えば
図4に示すように、側面Faから側面Fbに向けた方向が重力方向である場合、制御部CONTは、表示部DPの表示領域31〜40において、例えば処理1〜処理10に対応した識別表示を表示させる。
【0039】
この場合、
図5において、
図4に示す状態と同様に、ユーザがタッチパネルのうち表示領域41〜50のいずれかに重なる領域に接触した場合、制御部CONTは表示部検出部(不図示)によってタッチパネル上の接触位置を検出し、前記接触位置に表示された識別表示に対応する処理を実行する。例えば、ユーザがタッチパネルのうち表示領域41に重なる部分に接触した場合、制御部CONTは前記表示領域41に表示された処理(処理1)を行う。
【0040】
[振動発生]
続いて、イベント発生時に携帯情報端末EQPが発生する振動について説明する。制御部CONTは、イベントと振動パターンとを対応付けた対応テーブルを予め記憶している。
【0041】
制御部CONTは、イベントが発生すると、発生したイベントに対応する振動パターンを対応テーブルから読み出し、読み出した振動パターンで振動部ATを振動させる。
【0042】
例えば、制御部CONTは、イベント「通常データ受信」が発生すると、複数の振動部ATのうち、振動素子AT1及び振動素子AT2を50Hz〜100Hzの間の所定の周波数で振動させる。また、例えば、制御部CONTは、イベント「重要データ受信」が発生すると、振動素子AT3及び振動素子AT4を100Hz〜20KHzの間の所定の周波数で振動させる。このとき、例えば振動素子AT3を148Hzで振動させ、振動素子AT4を152Hzで振動させることで、4Hzのうなり振動を発生させることができる。
【0043】
また、振動パターンの例として、低周波振動を発生させる振動素子AT1及び振動素子AT2と、高周波振動を発生させる振動素子AT3及び振動素子AT4とを同時に振動させることができる。これにより、低周波振動と高周波振動とを同時に発生させることができる。また、複数の振動素子を異なる強度で同時に振動させることも考えられる。この場合、各振動素子の強度比を時間に応じて変化させてもよい。これにより、携帯情報端末EQPは、ユーザが認識可能な複数種類の周波数の振動をイベントに応じて発生することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、筐体FL及び表示部DPのうち少なくとも一つの面に接触するように筐体FLの内部に設けられた複数の振動部ATを備え、前記複数の振動部ATは、第一周波数帯域(例、50Hz〜100Hz程度)に含まれる周波数で振動する振動素子AT1及び振動素子AT2と、前記第一周波数帯域とは異なる第二周波数帯域(例、100Hz〜20KHz程度)に含まれる周波数で振動する振動素子AT3及び振動素子AT4とを有する。すなわち、振動素子AT1及び振動素子AT2による第一周波数帯域の最も高い周波数より、振動素子AT3及び振動素子AT4による第二周波数帯域の最も低い周波数のほうが、高い周波数である。そのため、低周波帯域から高周波帯域まで、幅広い振動状態を再現することが可能となる。なお、周波数帯域の値は一例である。様々な周波数帯域を適用可能である。
【0045】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、振動素子AT1〜振動素子AT4が筐体FLの角部に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、筐体FLの4辺の中央部に配置された構成であっても構わない。
【0046】
また、例えば
図6に示すように、筐体FLが平面視で長方形に形成されている場合、表示部DPの位置によっては、ユーザが筐体FLを保持する部分(例、部分U1及び部分U2)をある程度想定することができる。この場合、低周波の振動を発生させる振動素子(例、振動素子AT1及び振動素子AT2)を筐体FLの平面視角部に配置させ、高い周波数の振動を発生させる振動素子(例、振動素子AT3及び振動素子AT4)をユーザが保持すると想定される部分に配置させる構成であっても構わない。また、高い周波数の振動を発生させる振動素子(例、振動素子AT3及び振動素子AT4)をタッチパネルに近いところに配置することで、タッチパネルを操作する指先に機敏な振動を伝える構成とすることも可能である。
【0047】
また、上記実施形態においては、筐体FLが矩形に形成された板状の構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、筐体FLが矩形や円形、三角形、多角形など、他の形状に形成された板状の構成であっても構わない。また、筐体FLが球状や多角柱状、円筒状など、板状に限らず他の形状に形成された構成であっても構わない。