(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一成分として、請求項3記載の式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第一成分として、請求項3記載の式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第二成分として請求項7記載の式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第二成分として請求項7記載の式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第二成分として請求項7記載の式(2−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第二成分として請求項7記載の式(2−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいて、第一成分と第二成分とを合わせた割合が0.03重量部から10重量部の範囲である請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第三成分として請求項14記載の式(3−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第三成分として請求項14記載の式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から15のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第三成分として請求項14記載の式(3−8)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第三成分として請求項14記載の式(3−11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する請求項1から17のいずれか1項に記載の液晶組成物。
第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である請求項13から18のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、25℃で測定した波長589nmにおける光学異方性が0.08以上であり、そして25℃で測定した周波数1kHzにおける誘電率異方性が−2以下である、請求項1から25のいずれか1項に記載の液晶組成物。
液晶表示素子の動作モードが、VAモード、IPSモード、FFSモード、またはFPAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である、請求項27に記載の液晶表示素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。液晶組成物または液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。重合可能な基を有する化合物を「重合可能な化合物」または「重合性化合物」と略すことがある。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物または液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物を意味する。この有用な化合物は例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。光学活性な化合物および重合可能な化合物は組成物に添加されることがある。これらの化合物が液晶性化合物であったとしても、ここでは添加物として分類される。式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。「化合物(1)」は、式(1)で表される1つの化合物または2つ以上の化合物を意味する。他の式で表される化合物についても同様である。式(P−1)で表される基の群から選択された少なくとも1つの基を「基(P−1)」と略すことがある。他の式で表される基についても同様である。「少なくとも1つの“A”は、“B”で置き換えられてもよい」の表現は、“A”が1つのとき、“A”の位置は任意であり、“A”の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく自由に選択できることを意味する。
【0016】
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した測定方法で得られた値を用いる。第一成分は、1つの化合物または2つ以上の化合物である。「第一成分の割合」は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量を100としたときの第一成分の重量比率(重量部)で表す。第二成分は、1つの化合物または2つ以上の化合物である。「第二成分の割合」は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量を100としたときの第二成分の重量比率(重量部)で表す。「第三成分の割合」は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいた第三成分の重量百分率(重量%)で表す。「第四成分の割合」は「第三成分の割合」と同様である。組成物に混合される添加物の割合は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)または重量百万分率(ppm)で表す。
【0017】
成分化合物の化学式において、R
5の記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR
5が表わす2つの末端基は、同じであっても、異なってもよい。例えば、化合物(3)のR
5がエチルであり、化合物(3−1)のR
5がエチルであるケースがある。化合物(3)のR
5がエチルであり、化合物(3−1)のR
5がプロピルであるケースもある。このルールは、R
6、P
3などの記号にも適用される。
【0018】
本発明は、下記の項などである。
1. 第一成分として重合可能な基を3つ以上含む化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分として重合可能な基を1つ含む化合物および2つ含む化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0019】
2. 第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1に記載の液晶組成物。
ここで、R
1は、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニル、または−Sp
4−P
4であり;P
1、P
2、P
3、およびP
4は独立して、式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)で表わされる基から選択された基であり;
式(P−1)において、M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、メチル、または−CF
3であり;式(P−3)において、n
1は、1、2、3、または4であり;
Sp
1、Sp
2、Sp
3、およびSp
4は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;Z
1、Z
2、およびZ
4は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;Z
3は、単結合、エチレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、−CO−CR
2=CR
3−、−CR
2=CR
3−CO−、−CR
2=CR
3−、−C(=CR
2R
3)−、または−C(=R
4)−であり;R
2およびR
3は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から10のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素に置き換えられた炭素数1から10のアルキルであり;R
4は式(R−1)で表される基から選択された基であり;
式(R−1)において、V
1は独立して、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素に置き換えられた炭素数1から6のアルキルであり;qは1から8の整数であり;rは0から4の整数であり;
環Aは、水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい1−シクロへキシル、水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい1−フェニル、または水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい2−ナフチルであり;環Cは、水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい1−シクロへキシル、水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい1−フェニル、または水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい2−ナフチルであり;環Dおよび環Fは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、または3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;環Bおよび環Eは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、または3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;mは、0、1、または2であり;kは、0、1、2、または3であり;nは、0、1、2、または3であり、そしてkとnとの和が3または4であり;pは、0、1、または2であり;P
1およびP
2がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
1およびSp
2の少なくとも1つは−O−を有し、P
3が式(P−2)で表される基であるとき、Sp
3は−O−を有する。
【0020】
3. 第一成分として式(1−1)から式(1−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1または2に記載の液晶組成物。
ここで、R
2およびR
3は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から10のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素に置き換えられた炭素数1から10のアルキルであり;P
1およびP
2は独立して、式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)で表わされる基から選択された基であり;
式(P−1)において、M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、メチル、または−CF
3であり;式(P−3)において、n
1は、1、2、3、または4であり;
Sp
1およびSp
2は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;Z
1は、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;kは、0、1、2、または3であり;nは0、1、2、または3であり、そしてkとnとの和が3または4であり;P
1およびP
2がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
1およびSp
2の少なくとも1つは−O−を有する。
【0021】
4.第一成分として式(1−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1または2に記載の液晶組成物。
ここで、P
1およびP
2は独立して、式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)で表わされる基から選択された基であり;
式(P−1)において、M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、メチル、または−CF
3であり;式(P−3)において、n
1は、1、2、3、または4であり;
Sp
1およびSp
2は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;kは、0、1、2、または3であり;nは0、1、2、または3であり、そしてkとnとの和が3または4であり;P
1およびP
2がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
1およびSp
2の少なくとも1つは−O−を有する。
【0022】
5. 第一成分として、項3記載の式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0023】
6. 第一成分として、項3記載の式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0024】
7. 第二成分として式(2−1)から式(2−22)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ここで、R
1は、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニル、または−Sp
4−P
4であり;P
3およびP
4は独立して、式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)で表わされる基から選択された基であり;
式(P−1)において、M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、メチル、または−CF
3であり;式(P−3)において、n
1は、1、2、3、または4であり;
Sp
3およびSp
4は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;P
3が式(P−2)で表される基であるとき、Sp
3は−O−を有する。
【0025】
8. 第二成分として項7記載の式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0026】
9. 第二成分として項7記載の式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0027】
10. 第二成分として項7記載の式(2−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0028】
11. 第二成分として項7記載の式(2−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0029】
12. 第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいて、第一成分と第二成分とを合わせた割合が0.03重量部から10重量部の範囲である項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0030】
13. 第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ここで、R
5およびR
6は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Gおよび環Jは独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;環Iは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Z
5およびZ
6は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;sは、1、2、または3であり;tは0または1であり、そして、sとtとの和が3以下である。
【0031】
14. 第三成分として式(3−1)から式(3−19)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から13のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ここで、R
5およびR
6は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。
【0032】
15. 第三成分として項14記載の式(3−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0033】
16. 第三成分として項14記載の式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から15のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0034】
17. 第三成分として項14記載の式(3−8)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0035】
18. 第三成分として項14記載の式(3−11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から17のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0036】
19. 第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である項13から18のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0037】
20. 第四成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項1から19のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ここで、R
7およびR
8は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環K、環L、および環Mは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Z
7およびZ
8は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;uは、0、1、または2である。
【0038】
21. 第四成分として式(4−1)から式(4−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から20のいずれか1項に記載の液晶組成物。
ここで、R
7およびR
8は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
【0039】
22. 第四成分として項21の式(4−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から21のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0040】
23. 第四成分として項21の式(4−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する項1から22のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0041】
24. 第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいて、第四成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である項20から23のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0042】
25. 第一成分と第二成分との重量比が9:1から2:8の範囲である項1から24のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0043】
26. 重合開始剤をさらに含有する項1から25のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0044】
27. 重合禁止剤をさらに含有する項1から26のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0045】
28. ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、25℃で測定した波長589nmにおける光学異方性が0.08以上であり、そして25℃で測定した周波数1kHzにおける誘電率異方性が−2以下である、項1から27のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0046】
29. 少なくとも一方の基板に電極層を有する2つの基板から構成され、この2つの基板の間に項1から28のいずれか1項に記載の液晶組成物が配置され、この液晶組成物中の重合可能な基を有する化合物が重合されている、高分子支持配向型(PSA)液晶表示素子。
【0047】
30. 液晶表示素子の動作モードが、VAモード、IPSモード、FFSモード、またはFPAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である、項29に記載の液晶表示素子。
【0048】
31. 項29に記載の液晶表示素子を、2つの基板間に配置した項1から28のいずれか1項に記載の液晶組成物を電圧印加状態で光照射して重合可能な基を有する化合物を重合させることにより製造する液晶表示素子の製造方法。
【0049】
32. 項1から28のいずれか1項に記載の液晶組成物の液晶表示素子における使用。
【0050】
本発明は、次の項も含む。1)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、2)酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などの添加物をさらに含有する上記の組成物、3)上記の組成物を含有するAM素子、4)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、IPS、FFS、VA、PSA、またはFPAのモードを有する素子、5)上記の組成物を含有する透過型の素子、6)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、7)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0051】
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。第七に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
【0052】
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aは、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選ばれた液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。その他の液晶性化合物の中で、シアノ化合物は熱または紫外線に対する安定性の観点から少ない方が好ましい。シアノ化合物のさらに好ましい割合は0重量%である。添加物は、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。この化合物が液晶性化合物であったとしても、ここでは不純物として分類される。
【0053】
組成物Bは、実質的に化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)のみからなる。「実質的に」は、組成物が添加物および不純物を含有してもよいが、これらの化合物と異なる液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって特性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
【0054】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、値がゼロに近いことを意味する。
【0056】
成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(3)は、誘電率異方性の絶対値を上げ、そして下限温度を下げる。化合物(4)は、粘度を下げる、または上限温度を上げ、下限温度を下げる。
【0057】
第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。組成物における成分の好ましい組み合わせは、第一成分+第二成分、第一成分+第二成分+第三成分、第一成分+第二成分+第四成分、および第一成分+第二成分+第三成分+第四成分である。
【0058】
第一成分と第二成分とを合わせた割合について、好ましくは、第一成分および第二成分を除く液晶組成物100重量部に対して、液晶分子を配向させるために約0.03重量部以上であり、表示不良を防ぐために約10重量部以下である。さらに好ましくは、約0.1重量部から約2重量部の範囲である。
【0059】
第一成分と第二成分との好ましい重量比は、液晶分子を配向させるために9:1から2:8の範囲である。さらに好ましい重量比は9:1から3:7の範囲である。特に好ましい重量比は8:2から4:6の範囲である。
【0060】
第三成分の好ましい割合は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物に基づいて、誘電率異方性の絶対値を上げるために約10重量%以上であり、下限温度を下げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約80重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約70重量%の範囲である。
【0061】
第四成分の好ましい割合は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物に基づいて、粘度を下げるため、または上限温度を上げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性の絶対値を上げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約80重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約70重量%の範囲である。
【0062】
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。
R
1は、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニル、または−Sp
4−P
4である。好ましいR
1は、反応性を上げるために、−Sp
4−P
4である。
【0063】
R
2およびR
3は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から10のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素に置き換えられた炭素数1から10のアルキルである。好ましいR
2またはR
3は、光反応性を上げるために、水素、フッ素、または炭素数1から3のアルキルである。R
4は式(R−1)で表される基の群から選択された基である。
式(R−1)の波線は、基として結合する部位を示す。ここで、V
1は、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素に置き換えられた炭素数1から6のアルキルであり、rが、2、3、または4である時の任意の2つのV
1は同じであっても、異なってもよい。好ましいV
1は、フッ素または炭素数1から3のアルキルである。qは1から8の整数である。好ましいqは、光反応性を上げるために1または2である。rは0から4の整数である。好ましいrは、光反応性を上げるために0から2の整数である。さらに好ましいrは、0である。
【0064】
R
5およびR
6は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。好ましいR
5またはR
6は、紫外線に対する安定性などを上げるため、または熱に対する安定性を上げるために、炭素数1から12のアルキルであり、誘電率異方性の絶対値を上げるために炭素数1から12のアルコキシである。R
7およびR
8は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR
7またはR
8は、粘度を下げるために、炭素数2から12のアルケニルであり、紫外線に対する安定性を上げるため、または熱に対する安定性を上げるために、炭素数1から12のアルキルである。
【0065】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるために、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
【0066】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、粘度を下げるために、メトキシまたはエトキシである。
【0067】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるために、ビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐状よりも直鎖状のアルケニルが好ましい。
【0068】
少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、および6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために、2,2−ジフルオロビニル、および4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
【0069】
アルキルは環状アルキルを含まない。アルコキシは環状アルコキシを含まない。アルケニルは環状アルケニルを含まない。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。
【0070】
P
1、P
2、P
3、およびP
4は独立して、式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)で表わされる基から選択された基であり、kが2または3である時の任意の2つのP
1は同じであっても、異なってもよく、nが2または3である時の任意の2つのP
2は同じであっても、異なってもよい。
式(P−1)、式(P−2)、および式(P−3)の波線は、基として結合する部位を示す。
【0071】
式(P−1)において、M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、メチル、または−CF
3である。好ましいM
1またはM
2は、反応性を上げるために水素またはメチルである。さらに好ましいM
1はメチルであり、さらに好ましいM
2は水素である。
式(P−3)において、n
1は、1、2、3、または4である。好ましいn
1は、反応性を上げるために1または2である。さらに好ましいn
1は1である。
【0072】
好ましいP
1、P
2、P
3、またはP
4は、反応性を上げるため、または応答時間を短くするために基(P−1)であり、液晶組成物に対する溶解性を上げるために基(P−2)である。
【0073】
Sp
1、Sp
2、Sp
3、およびSp
4は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。水素が−C≡Nで置き換えられたとしても、置き換えられたアルキレンとしての炭素数は12までが好ましい。kが2または3である時の任意の2つのSp
1は同じであっても、異なってもよく、nが2または3である時の任意の2つのSp
2は同じであっても、異なってもよい。好ましいSp
1、Sp
2、Sp
3、またはSp
4は、光反応性を上げるために単結合である。
P
1およびP
2がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
1およびSp
2の少なくとも1つは−O−を有する。P
3が式(P−2)で表される基であるとき、Sp
3は−O−を有する。「−O−を有する」の表現において、−O−は、−O−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−の酸素を意味する。
【0074】
環Aは、水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい1−シクロへキシル、水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい1−フェニル、または水素がP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい2−ナフチルである。好ましい環Aは、4位の水素がP
1−Sp
1−で置き換えられた1−フェニル、3位と4位の水素がP
1−Sp
1−で置き換えられた1−フェニル、または3位と5位の水素がP
1−Sp
1−で置き換えられた1−フェニルである。
環Cは、水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい1−シクロへキシル、水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい1−フェニル、または水素が−Sp
2−P
2で置き換えられていてもよい2−ナフチルである。好ましい環Cは、4位の水素が−Sp
2−P
2で置き換えられた1−フェニル、3位と4位の水素が−Sp
2−P
2で置き換えられた1−フェニル、または3位と5位の水素が−Sp
2−P
2で置き換えられた1−フェニルである。
環Dおよび環Fは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、または3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンである。好ましい環Dまたは環Fは、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレンである。特に好ましい環Dまたは環Fは、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンである。
環Bおよび環Eは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、または3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり、mが2である時、2つの環Bは同じであっても、異なってもよく、pが2である時、2つの環Eは同じであっても、異なってもよい。好ましい環Bまたは環Eは、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、または3−メチル−1,4−フェニレンである。特に好ましい環Bまたは環Eは、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンである。
【0075】
環Gおよび環Jは独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレンであり、sが2または3である時、任意の2つの環Gは同じであっても、異なってもよい。好ましい環Gまたは環Jは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、誘電率異方性の絶対値を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。テトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
環Iは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。好ましい環Iは粘度を下げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり、光学異方性を下げるために2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレンであり、誘電率異方性の絶対値を上げるために7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。
環K、環L、および環Mは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンであり、uが2である時、2つの環Kは同じであっても、異なってもよい。好ましい環K、環L、または環Mは、粘度を下げるためまたは上限温度を上げるために1,4-シクロヘキシレンであり、下限温度を下げるために1,4−フェニレンである。
【0076】
Z
1、Z
2、およびZ
4は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり、mが2である時、2つのZ
2は同じであっても、異なってもよく、pが2である時、2つのZ
4は同じであっても、異なってもよい。好ましいZ
1、Z
2、またはZ
4は、反応性を上げるために単結合である。
Z
3は、単結合、エチレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、−CO−CR
2=CR
3−、−CR
2=CR
3−CO−、−CR
2=CR
3−、−C(=CR
2R
3)−、または−C(=R
4)−である。好ましいZ
3は、重合性化合物の重合反応性を上げ、素子の応答時間を短縮するために、−CO−CR
2=CR
3−、−CR
2=CR
3−、または−C(=R
4)−である。
Z
5およびZ
6は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;sが2または3である時、任意の2つのZ
5は同じであっても、異なってもよい。好ましいZ
5またはZ
6は、粘度を下げるために単結合であり、下限温度を下げるためにエチレンであり、誘電率異方性の絶対値を上げるためにメチレンオキシである。
Z
7およびZ
8は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり、uが2である時、2つのZ
7は同じであっても、異なってもよい。好ましいZ
7またはZ
8は、粘度を下げるために単結合であり、下限温度を下げるためにエチレンであり、上限温度を上げるためにカルボニルオキシである。
【0077】
kおよびnは独立して、0、1、2、または3であり、そしてkとnとの和が3または4である。好ましいkまたはnは、反応性を上げるために1または2である。好ましいkとnとの和は、反応性を上げるために4である。
mおよびpは独立して、0、1、または2である。好ましいmまたはpは、下限温度を下げるために0である。
【0078】
sは、1、2、または3である。好ましいsは粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。
tは0または1である。好ましいtは粘度を下げるために0であり、下限温度を下げるために1である。
uは、0、1、または2である。好ましいuは粘度を下げるために0であり、上限温度を上げるために1または2である。
【0079】
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、P
5、P
6、P
7、P
8、P
9、およびP
10は独立して、式(P−1−1)および式(P−2)で表わされる基から選択された基である。
式(P−1−1)および式(P−2)の波線は、基として結合する部位を示す。式(p−1−1)において、M
3は水素またはメチルである。
Sp
5、Sp
6、Sp
7、Sp
8、Sp
9、およびSp
10は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。式(1−1−1)および式(1−1−2)において、P
5、P
6、P
7、およびP
8がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
5、Sp
6、Sp
7、およびSp
8の少なくとも1つは−O−を有していて、式(1−2−1)から式(1−5−1)において、P
5、P
6、およびP
7がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
5、Sp
6、およびSp
7の少なくとも1つは−O−を有していて、P
9およびP
10がともに式(P−2)で表される基であるとき、Sp
9およびSp
10の少なくとも1つは−O−を有する。R
9およびR
10は独立して、水素または炭素数1から3のアルキルである。R
11は、直鎖状の炭素数1から12のアルキルまたは直鎖状の炭素数2から12のアルケニルである。R
12は、直鎖状の炭素数1から12のアルキルまたは直鎖状の炭素数1から12のアルコキシである。R
13およびR
14は独立して、直鎖状の炭素数1から12のアルキル、直鎖状の炭素数1から12のアルコキシ、または直鎖状の炭素数2から12のアルケニルである。
【0080】
好ましい化合物(1)は、化合物(1−1−1)、化合物(1−1−2)、および化合物(1−2−1)から化合物(1−6−1)である。さらに好ましい化合物(1)は、化合物(1−1−1)、化合物(1−1−2)、化合物(1−2−1)、および化合物(1−6−1)である。特に好ましい化合物(1)は化合物(1−1−1)、化合物(1−2−1)、および化合物(1−6−1)である。好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)から化合物(2−22−1)である。さらに好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)、化合物(2−2−1)、化合物(2−3−1)、化合物(2−4−1)、化合物(2−5−1)、化合物(2−6−1)、化合物(2−7−1)、化合物(2−18−1)、および化合物(2−19−1)である。特に好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)、化合物(2−2−1)、化合物(2−3−1)、および化合物(2−18−1)である。好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)から化合物(3−19−1)である。さらに好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)、化合物(3−2−1)、化合物(3−3−1)、化合物(3−4−1)、化合物(3−6−1)、化合物(3−8−1)、化合物(3−9−1)、化合物(3−13−1)である。特に好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)、化合物(3−4−1)、化合物(3−6−1)、化合物(3−8−1)、および化合物(3−9−1)である。好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)から化合物(4−13−1)である。さらに好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)から化合物(4−3−1)、化合物(4−5−1)、および化合物(4−7−1)である。特に好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)および化合物(4−5−1)である。
【0087】
第六に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。このような添加物は、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。このような化合物の例は、化合物(5−1)から化合物(5−5)である。光学活性な化合物の好ましい割合は、液晶組成物の約5重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01重量%から約2重量%の範囲である。
【0089】
大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または素子を長時間使用したあと、室温だけではなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が組成物に混合される。
【0090】
酸化防止剤の好ましい例は、wが1から9の整数である化合物(6)などである。化合物(6)において、好ましいwは、1、3、5、7、または9である。さらに好ましいwは1または7である。wが1である化合物(6)は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。wが7である化合物(6)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために、液晶組成物の約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように、約600ppm以下である。さらに好ましい割合は、約100ppmから約300ppmの範囲である。
【0091】
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤もまた好ましい。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように約10000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
【0092】
GH(guest host)モードの素子に適合させるためにアゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に混合される。色素の好ましい割合は、約0.01重量%から約10重量%の範囲である。
【0093】
泡立ちを防ぐために、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの消泡剤が組成物に混合される。消泡剤の好ましい割合は、その効果を得るために約1ppm以上であり、表示の不良を防ぐために約1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、約1ppmから約500ppmの範囲である。
【0094】
本発明の液晶組成物は、重合可能な化合物を含んでいるので、PSA(polymer sustained alignment)モードの素子に適合している。組成物は化合物(1)および化合物(2)以外の重合可能な化合物をさらに含んでもよい。重合可能な化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどの重合可能な基を有する化合物である。特に好ましい例は、アクリレートまたはメタクリレートの誘導体である。重合可能な化合物の好ましい割合は、液晶組成物の重量を100重量部としたとき、その効果を得るために、約0.03重量部以上であり、表示不良を防ぐために約10重量部以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量部から約2重量部の範囲である。重合可能な化合物中の化合物(1)と化合物(2)とを合わせた割合について、好ましくは約10重量%以上である。さらに好ましくは約30重量%以上である。重合可能な化合物は、好ましくは光重合開始剤などの適切な開始剤存在下でUV照射などにより重合する。重合のための適切な条件、開始剤の適切なタイプ、および適切な量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。例えば光開始剤であるIrgacure651(登録商標;BASF)、Irgacure184(登録商標;BASF)、またはDarocure1173(登録商標;BASF)がラジカル重合に対して適切である。好ましい光重合開始剤の割合は、重合可能な化合物の約0.1重量%から約5重量%の範囲であり、さらに好ましくは約1重量%から約3重量%の範囲である。液晶表示素子における2つの基板の間に、重合可能な化合物を含む液晶組成物を配置し、これらの基板の相対する電極層の間に電圧を印加しながら重合可能な化合物を重合する工程を経てもよいし、液晶表示素子における2つの基板の間に予め重合させた化合物を含む液晶組成物を配置してもよい。
【0095】
第七に、成分化合物の合成法を説明する。成分化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載された既知の有機合成化学の手法を適切に組み合わせることにより合成できる。
【0096】
これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(3−1−1)および化合物(3−6−1)は、特表平2−503441号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1−1)および化合物(4−5−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成する。酸化防止剤は市販されている。式(6)のwが1である化合物は、アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corporation)から入手できる。wが7である化合物(6)などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成する。
【0097】
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
【0098】
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、約−10℃以下の下限温度、約70℃以上の上限温度、そして約0.07から約0.20の範囲の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、約0.08から約0.25の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
【0099】
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VA、PSA、FPAなどのモードを有するAM素子およびPM素子への使用が可能である。PSAモードを有するAM素子への使用は特に好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)型の素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)型の素子にも使用できる。
【0100】
本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方の基板に電極層を有する2つの基板から構成され、この2つの基板の間に本発明の液晶組成物、または本発明の化合物が重合した化合物を含む液晶組成物を配置する事を特徴とする。例えば、アレイ基板とカラーフィルター基板と呼ばれる2つのガラス基板からなり、それぞれのガラス基板上に薄膜トランジスタ(TFT)、画素、着色層などが形成される。ガラス基板には、例えば、アルミノケイ酸ガラスまたはアルミノホウケイ酸ガラスが用いられる。電極層は、酸化インジウム−錫(Indium-Tin Oxide)や酸化インジウム−亜鉛(Indium-Zinc Oxide)が、一般的に使用される。
【実施例】
【0101】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されない。
【0102】
合成によって得られた化合物は、プロトン核磁気共鳴分光法(
1H−NMR)などにより同定した。化合物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により決定した。まず、分析方法について説明をする。
【0103】
1H−NMR分析:測定装置は、DRX−500(ブルカーバイオスピン製)を用いた。測定は、実施例などで製造したサンプルを、CDCl
3などのサンプルが可溶な重水素化溶媒に溶解し、室温で、500MHz、積算回数24回などの条件で行った。なお、得られた核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットであることを意味する。また、化学シフトδ値のゼロ点の基準物質としてはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
【0104】
HPLC分析:測定装置は、島津製作所製のProminence(LC−20AD;SPD−20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC−Pack ODS−A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリル/水(体積比:80/20)を用い、流速は1mL/分に調整した。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては島津製作所製のC−R7Aplusを用いた。得られたクロマトグラムには、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積値が示されている。
【0105】
HPLCより得られたクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。一般には、分析サンプルの成分化合物の重量%は、分析サンプルの各ピークの面積%と完全に同一ではないが、本発明において上述したカラムを用いる場合には、実質的に補正係数は1であるので、分析サンプル中の成分化合物の重量%は、分析サンプル中の各ピークの面積%とほぼ対応している。成分の液晶性化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【0106】
UV/Vis分析:測定装置は、島津製作所製のPharmaSpec UV‐1700を用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.01mmol/Lの溶液となるように調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
【0107】
DSC測定:パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamond DSCシステムを用いて、3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め、融点を決定した。
【0108】
組成物および組成物に含有させる化合物の特性を評価するために、組成物およびこの化合物を測定目的物とする。測定目的物が組成物のときはそのままを試料として測定し、得られた値を記載した。測定目的物が化合物のときは、この化合物(15重量%)を母液晶(85重量%)に混合することによって測定用試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法によって化合物の特性値を算出した。(外挿値)={(測定用試料の測定値)−0.85×(母液晶の測定値)}/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0109】
母液晶の成分とその割合は下記のとおりである。
【0110】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association以下JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法である。
【0111】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0112】
ネマチック相の下限温度(T
C;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0113】
粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型回転粘度計を用いた。
【0114】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0115】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
【0116】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧である。
【0117】
電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0118】
電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0119】
電圧保持率(VHR−3;25℃で測定;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmである。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmである。VHR−3の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。大きなVHR−3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。VHR−3は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0120】
電圧保持率(VHR−4;25℃で測定;%):試料を注入したTN素子を80℃の恒温槽内で500時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−4の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。大きなVHR−4を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
【0121】
応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のPVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に、15Vの電圧を印加しながら25mW/cm
2の紫外線(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製のEXECURE4000−D型;水銀キセノンランプ)を400秒間照射した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。応答時間は透過率0%から90%に変化するのに要した時間、すなわち立ち上がり時間(rise time;ミリ秒)である。
【0122】
比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
【0123】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2mL/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μLを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0124】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
【0125】
組成物に含有される液晶性化合物の割合は、次のような方法で算出してよい。液晶性化合物はガスクロマトグラフで検出することができる。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は液晶性化合物の割合(モル数)に相当する。上に記載したキャピラリカラムを用いたときは、各々の液晶性化合物の補正係数を1とみなしてよい。したがって、液晶性化合物の割合(重量%)は、ピークの面積比から算出する。
【0126】
比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、第一成分および第二成分を除く液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)であり、液晶組成物にはこの他に不純物が含まれている。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0127】
【0128】
[実施例1]
液晶組成物A100重量部に対して、第一成分である重合性化合物と第二成分である重合性化合物を合わせて0.30重量部添加した試料を調製し、3種類の液晶表示素子を作成した。液晶組成物Aの成分とその割合および素子の作成方法は以下のとおりである。また、素子の作成に用いた重合性化合物および添加した部数は表4のとおりである。
【0129】
(液晶組成物A)
【0130】
(液晶表示素子の作成方法)
配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピナーにて塗布し、膜を形成した。塗布後80℃にて約10分間加熱乾燥した後、180℃にて60分間加熱処理を行い、配向膜を形成した。一方のガラス基板にギャップ材を散布し、もう一方の基板には周辺を液晶の注入口を残してエポキシ系接着剤でシールし、配向膜を形成した面を内側にして貼り合わせた。この素子に試料を真空注入し、注入口を光硬化剤で封止して、紫外線を照射して光硬化剤を固化した。次いで110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作成した。この素子に、15Vの電圧を印加しながら25mW/cm
2の紫外線(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製のEXECURE4000−D型;水銀キセノンランプ)を400秒間照射し、最終的に液晶表示素子を作成した。
【0131】
【0132】
[比較例1]
液晶組成物A100重量部に対して、第一成分である重合性化合物を0.30重量部添加した試料、第二成分である重合性化合物を0.30重量部添加した試料、および重合性化合物を添加していない試料を調製し、実施例1と同様の方法で3種類の液晶表示素子を作成した。素子の作成に用いた重合性化合物および添加した部数は表5のとおりである。
【0133】
【0134】
表4および表5より、重合性化合物として化合物(1−1−1)および化合物(2−2−1)を添加した場合は、化合物(1−1−1)または化合物(2−2−1)のみを添加した場合と比較して短い応答時間を達成できることが分かった。化合物(1−1−1)と化合物(2−2−1)との重量比が7:3である時の応答時間が最も短かった。
【0135】
[実施例2]
3−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 10%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 8%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 12%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (3−11−1) 6%
5−DhH1OB(2F,3F)−O2 (3−12−1) 3%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (3−14−1) 5%
3−HEB(2F,3F)B(2F,3F)−O4
(3−15−1) 4%
3−HH−V (4−1−1) 24%
1−BB−3 (4−3−1) 5%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−3 (4−5−1) 3%
V−HHB−1 (4−5−1) 3%
5−B(F)BB−2 (4−7−1) 4%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.2重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−1−1)を0.1重量部添加した。
MAC−B(2F)B−MAC (2−1−1)
この組成物の特性は下記のとおりである。
NI=78.9℃;Tc<−20℃;Δn=0.114;Δε=−3.8;Vth=2.07V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.2%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.0msであった。
【0136】
[実施例3]
3−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 17%
5−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 15%
5−HH2B(2F,3F)−O2 (3−7−1) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 4%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (3−16−1) 3%
3−HBB(2F,3CL)−O2 (3−17−1) 3%
2−HH−3 (4−1−1) 27%
3−HHEH−3 (4−4−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 4%
3−HBB−2 (4−6−1) 3%
3−HB(F)HH−5 (4−10−1) 3%
5−HBBH−3 (4−11−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.15重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.15重量部添加した。
MAC−VO−BB−MAC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=81.3℃;Tc<−20℃;Δn=0.089;Δε=−2.7;Vth=2.40V;VHR−1=99.1%;VHR−2=97.7%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.3msであった。
【0137】
[実施例4]
3−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 17%
5−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 16%
2−BB(2F,3F)B−3 (3−9−1) 6%
3−DhHB(2F,3F)−O2 (3−10−1) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 9%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 5%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (3−18−1) 3%
3−HH1OCro(7F,8F)−5(3−19−1) 3%
3−HH−V (4−1−1) 20%
3−HH−V1 (4−1−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
3−HB(F)BH−3 (4−12−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−13−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.15重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−18−1)を0.15重量部添加した。
MAC−BB(F)B−OV−MAC (2−18−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=77.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.110;Δε=−3.7;Vth=2.09V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.1%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.0msであった。
【0138】
[実施例5]
3−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 18%
5−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 15%
2−BB(2F,3F)B−3 (3−9−1) 6%
3−DhHB(2F,3F)−O2 (3−10−1) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 9%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 5%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (3−18−1) 3%
3−HH1OCro(7F,8F)−5(3−19−1) 3%
3−HH−V (4−1−1) 19%
3−HH−V1 (4−1−1) 4%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
3−HB(F)BH−3 (4−12−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−13−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−2−1)を0.15重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−18−1)を0.15重量部添加した。
MAC−BB(F)B−OV−MAC (2−18−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=76.7℃;Tc<−20℃;Δn=0.109;Δε=−3.7;Vth=2.08V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.0%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.4msであった。
【0139】
[実施例6]
3−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 20%
1V2−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 10%
3−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 8%
3−HHB(2F,3F)−1 (3−6−1) 5%
1V2−HH2B(2F,3F)−O2(3−7−1) 3%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (3−11−1) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 6%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 3%
2−HH−3 (4−1−1) 15%
3−HH−4 (4−1−1) 6%
3−HH−V1 (4−1−1) 6%
V2−HHB−1 (4−5−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.28重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−3−1)を0.12重量部添加した。
MAC−B(F)B−MAC (2−3−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=81.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.096;Δε=−3.8;Vth=2.14V;VHR−1=99.4%;VHR−2=98.2%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.1msであった。
【0140】
[実施例7]
3−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 13%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 3%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 20%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 13%
3−HH−V (4−1−1) 29%
3−HB−O2 (4−2−1) 4%
1−BB−3 (4−3−1) 7%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
5−B(F)BB−2 (4−7−1) 4%
3−HHEBH−3 (4−9−1) 4%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.2重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.1重量部添加した。
AC−VO−BB−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=74.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.103;Δε=−3.0;Vth=2.18V;VHR−1=99.1%;VHR−2=97.9%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=4.1msであった。
【0141】
[実施例8]
V−HB(2F,3F)−O2 (3−1−1) 12%
V−HB(2F,3F)−O4 (3−1−1) 12%
1V2−HB(2F,3F)−O2 (3−1−1) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 6%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 9%
3−HH1OCro(7F,8F)−5(3−19−1) 5%
3−HH1OB(2F,3F,6Me)−O2
(3) 3%
2−HH−3 (4−1−1) 18%
3−HH−VFF (4−1) 6%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−13−1) 4%
1O1−HBBH−5 (−) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.21重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.09重量部添加した。
AC−VO−BB−MAC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=83.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.103;Δε=−3.7;Vth=1.96V;VHR−1=99.2%;VHR−2=97.9%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.4msであった。
【0142】
[実施例9]
3−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 3%
2O−BB(2F,3F)−O2 (3−4) 4%
3−B(2F,3F)B(2F,3F)−O2
(3−5−1) 3%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 19%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 6%
2−HH−3 (4−1−1) 20%
3−HH−4 (4−1−1) 9%
4−HH−V (4−1−1) 3%
3−HB−O2 (4−2−1) 3%
V2−BB−1 (4−3−1) 5%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
1−BB(F)B−2V (4−8−1) 5%
3−HHEBH−4 (4−9−1) 4%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−5−1)を0.18重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−19−1)を0.12重量部添加した。
MAC−VO−BBB(F)−OV−MAC (2−19−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=77.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.102;Δε=−2.9;Vth=2.21V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.1%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=4.5msであった。
【0143】
[実施例10]
3−H1OB(2F,3F)−O2 (3−3−1) 5%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 6%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 6%
2O−B(2F,3F)B(2F,3F)−O6
(3−5) 3%
V−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 7%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 8%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 10%
2−HH−3 (4−1−1) 23%
3−HH−4 (4−1−1) 5%
3−HH−O1 (4−1−1) 3%
7−HB−1 (4−2−1) 4%
V2−BB−1 (4−3−1) 5%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 4%
2−BB(F)B−3 (4−8−1) 4%
3−HHEBH−4 (4−9−1) 4%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.2重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.1重量部添加した。
MAC−VO−BB−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=75.2℃;Tc<−20℃;Δn=0.094;Δε=−3.0;Vth=2.25V;VHR−1=99.2%;VHR−2=97.9%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=3.9msであった。
【0144】
[実施例11]
3−HB(2F,3F)−O2 (3−1−1) 17%
3−HB(2F,3F)−O4 (3−1−1) 15%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 6%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 6%
3−HH1OCro(7F,8F)−5(3−19−1) 5%
3−HH2B(2F,3F,6Me)−O2
(3) 3%
3−HH1OB(2F,3F,6Me)−O2
(3) 3%
2−HH−3 (4−1−1) 23%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
3−HHB−3 (4−5−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−13−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−1−1)を0.2重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−1−1)を0.1重量部添加した。
MAC−VO−BB(F)−MAC (2−1−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=79.7℃;Tc<−20℃;Δn=0.095;Δε=−3.8;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.1%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.3msであった。
【0145】
[実施例12]
3−H1OB(2F,3F)−O2 (3−3−1) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 8%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 24%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 8%
2−HH−3 (4−1−1) 26%
3−HH−4 (4−1−1) 4%
3−HH−5 (4−1−1) 3%
1−BB−3 (4−3−1) 16%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−6−1)を0.015重量部、
本発明の第二成分である化合物(2−1−1)を0.28重量部、
MAC−B(2F)B−MAC (2−1−1)
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.005重量部添加した。
AC−VO−BB−OV−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=74.2℃;Tc<−20℃;Δn=0.097;Δε=−3.1;Vth=2.24V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.0%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=3.9msであった。
【0146】
[実施例13]
3−H1OB(2F,3F)−O2 (3−3−1) 11%
3−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 10%
V−HHB(2F,3F)−O1 (3−6−1) 5%
V−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 13%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 3%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 6%
2−HH−3 (4−1−1) 25%
3−HH−4 (4−1−1) 6%
1−BB−3 (4−3−1) 13%
3−HHB−1 (4−5−1) 4%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−6−1)を0.02重量部、
本発明の第二成分である化合物(2−1−1)を0.27重量部、
MAC−B(2F)B−MAC (2−1−1)
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.01重量部添加した。
AC−VO−BB−OV−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=75.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.095;Δε=−2.9;Vth=2.26V;VHR−1=98.9%;VHR−2=97.7%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=4.1msであった。
【0147】
[実施例14]
3−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 19%
5−H2B(2F,3F)−O2 (3−2−1) 10%
3−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 5%
5−HHB(2F,3F)−O2 (3−6−1) 4%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (3−11−1) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 8%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−13−1) 4%
2−HH−3 (4−1−1) 23%
3−HH−4 (4−1−1) 6%
3−HHB−O1 (4−5−1) 3%
3−HHB−3 (4−5−1) 3%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−6−1)を0.007重量部、
本発明の第二成分である化合物(2−1−1)を0.28重量部、
MAC−B(2F)B−MAC (2−1−1)
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.003重量部添加した。
AC−VO−BB−OV−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=77.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.090;Δε=−3.6;Vth=2.12V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.2%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=5.0msであった。
【0148】
[実施例15]
3−H1OB(2F,3F)−O2 (3−3−1) 3%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−4−1) 9%
2O−BB(2F,3F)−O2 (3−4) 3%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 7%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−8−1) 22%
2−HH−3 (4−1−1) 14%
3−HH−V (4−1−1) 15%
1−BB−3 (4−3−1) 11%
3−HHB−1 (4−5−1) 3%
3−HHB−3 (4−5−1) 4%
3−HBB−2 (4−6−1) 9%
上記組成物100重量部に本発明の第一成分である化合物(1−6−1)を0.15重量部、
および本発明の第二成分である化合物(2−2−1)を0.05重量部添加した。
AC−VO−BB−OV−AC (2−2−1)
得られた組成物の特性は下記のとおりである。
NI=74.6℃;Tc<−20℃;Δn=0.103;Δε=−2.7;Vth=2.38V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.0%.
実施例1に記載の方法で作成した液晶表示素子の応答時間はτ=4.2msであった。
【0149】
実施例1から実施例15の組成物は、比較例1のそれと比べて短い応答時間を有する。よって、本発明による液晶組成物は、比較例1に示された液晶組成物よりも、さらに優れた特性を有する、と結論できる。