特許第6249024号(P6249024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249024複数の流体の種類に亘って改善された性能のためのマスフローコントローラ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249024
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】複数の流体の種類に亘って改善された性能のためのマスフローコントローラ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   G05D7/06 Z
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-559568(P2015-559568)
(86)(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公表番号】特表2016-512350(P2016-512350A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】IB2014000460
(87)【国際公開番号】WO2014132124
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】13/782,714
(32)【優先日】2013年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ,アレクセイ ブイ.
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−502942(JP,A)
【文献】 特表2009−543229(JP,A)
【文献】 特開平03−204705(JP,A)
【文献】 特開平10−111152(JP,A)
【文献】 特表2010−512571(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/132124(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスの質量流量をマスフローコントローラで制御する方法において、
制御対象のプロセスガスの種類を選択し、
選択された種類のプロセスガスの分子量情報を取得し、
所望の質量流量に対応する設定値信号を受け付け、
圧力センサで生成された前記プロセスガスの圧力測定結果を受け付け、
前記プロセスガスの圧力変化率が閾条件を満たしていることに応答して、測定流量と前記所望の質量流量との間の差に基づいて前記マスフローコントローラの弁を制御するフィードバック制御ループを終了し、
kを前記マスフローコントローラの流量範囲に依存して0.2〜0.5の間の値を有する値、Fprを前記所望のプロセスガス流量値、Mprを前記選択された種類のプロセスガスの分子量、及びMcal を較正用ガスの分子量として、Fpr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて、所望の流量値及び圧力についてのプロセス制御信号値を決定し、
前記所望の流量で前記プロセスガスを供給するために、前記プロセス制御信号値の前記プロセス制御信号を前記弁に適用すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
プロセスガスの質量流量をマスフローコントローラで制御する方法において、
制御対象のプロセスガスの種類を選択し、
選択された種類のプロセスガスの分子量情報を取得し、
流量値及び圧力値の複数の対の夫々について対応する制御信号値を含む一般特徴付けデータを取得し、
kを前記マスフローコントローラの流量範囲に依存して0.2〜0.5の間の値を有する値、Fadj を調整された流量値、Fcal を較正された流量値、Mprを前記選択された種類のプロセスガスの分子量、及びMcal を較正用ガスの分子量として、式Fadj =Fcal *(Mcal /Mprk に従って、前記一般特徴付けデータ中の前記流量値を修正することによって、動作特徴付けデータを生成し、
前記動作特徴付けデータを使用して、開ループ制御モードで前記マスフローコントローラの弁を動作させること
を特徴とする方法。
【請求項3】
前記プロセスガスの圧力変化率が閾条件を満たしていることに応答して、測定流量と所望の質量流量との間の差に基づいて前記マスフローコントローラの弁を制御するフィードバック制御ループを終了し、
前記フィードバック制御ループが終了した場合に圧力測定結果に基づいて前記弁の弁位
置を計算し、前記マスフローコントローラを特徴づける前記動作特徴付けデータを計算し、
ある期間の後で流量測定が正確である場合、又は閾条件が満たされた場合に前記フィードバック制御ループを再開し、
前記フィードバック制御ループが最初に再開した場合に測定流量と流量設定値との間の差を決定し、
前記フィードバック制御ループが再度終了した場合に前記弁位置の計算の精度を改善するように、前記差に基づいて前記動作特徴付けデータの調整を行うこと
を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスフローコントローラの前記弁が閉鎖している場合に、所望の流量に対応する設定値信号を受け付け、
非ゼロ始動制御信号の値、及び特定の流量で特徴付けされた制御信号の値を取得するために、前記マスフローコントローラに記憶された前記一般特徴付けデータにアクセスし、
前記値の調整可能な非ゼロ始動制御信号を前記マスフローコントローラの前記弁に適用し、
動作中に、前記設定値信号が減少する前に、前記制御信号の測定値を前記特定の流量において取得し、
前記制御信号の前記測定値と、前記マスフローコントローラに記憶された前記特定の流量における特徴付けされた制御信号のレベルとの比較を行い、
前記弁が閉鎖している場合に前記マスフローコントローラが他の設定値信号を受け付ける次の機会には、前記調整可能な非ゼロ始動制御信号の調整された値が使用されるように、前記比較に基づいて、前記調整可能な非ゼロ始動制御信号を調整された値へ調整すること
を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
制御信号に応答して流体の流量を制御するように調整可能な弁と、
前記流体の圧力を示す圧力信号を出力する圧力変換器と、
較正用ガスに関連して自マスフローコントローラを特徴づける一般特徴付けデータを記憶するメモリと、
前記流体の測定流量を出力する質量流量センサと、
kを自マスフローコントローラの流量範囲に依存して0.2〜0.5の間の値を有する値、Fprを所望のプロセスガス流量値、Mprを選択された種類のプロセスガスの分子量、及びMcal を前記較正用ガスの分子量として、Fpr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて、所望の流量値及び圧力についての開ループプロセス制御信号値を生成するマルチガス制御部と、
前記流体の圧力変化率が閾条件を満たす場合にフィードバック制御ループを終了し、前記開ループプロセス制御信号を用いて前記弁を制御するマルチモード制御部と
を備えることを特徴とするマスフローコントローラ。
【請求項6】
定値信号とフィードバック制御ループが再開する都度取得された対応する測定流量信号との間の任意の差に応じて、前記特徴付けデータを変更する手段を更に備えること
を特徴とする請求項5に記載のマスフローコントローラ。
【請求項7】
記メモリ中の前記特徴付けデータを変更せずに、設定値信号と前記フィードバック制御ループが再開する都度取得された対応する測定流量信号との間の任意の差に応じて、換算係数を前記特徴付けデータに乗じる手段を更に備えること
を特徴とする請求項5に記載のマスフローコントローラ。
【請求項8】
イマの計時期間が満了したときに前記フィードバック制御ループを再開させる手段を更に備えること
を特徴とする請求項5に記載のマスフローコントローラ。
【請求項9】
記流体の前記圧力変化率が前記閾条件を下回る場合に前記フィードバック制御ループを再開させる手段を更に備えること
を特徴とする請求項5に記載のマスフローコントローラ。
【請求項10】
制御信号に応答してガスの流量を制御するように調整可能な弁と、
前記ガスの圧力を示す圧力信号を出力する圧力変換器と、
前記ガスの測定流量を出力する質量流量センサと、
設定値信号、ガスの種類及び前記圧力信号に応答して前記弁を制御するプロセッサと、
前記プロセッサに連結され、前記プロセッサに実行された場合に前記弁を制御するためのプロセッサによる読み取りが可能な命令がエンコードされた、有体のプロセッサによる読み取りが可能な非一時的な記憶媒体とを備え、
前記命令は、
制御対象のガスの種類を選択する命令と、
選択された種類のガスについて分子量情報を取得する命令と、
所望の流量に対応する前記設定値信号を受け付ける命令と、
前記圧力変換器に生成された前記圧力信号を受け付ける命令と、
前記ガスの圧力変化率が閾条件を満たしていることに応答して、前記測定流量及び前記所望の流量の間の差に基づいて前記弁を制御するフィードバック制御ループを終了する命令と、
kを自マスフローコントローラの流量範囲に依存して0.2〜0.5の間の値を有する値、Fprを前記所望の流量、Mprを前記選択された種類のガスの分子量、及びMcal を較正用ガスの分子量として、Fpr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて、前記所望の流量及び圧力についての制御信号値を決定する命令と、
前記所望の流量で前記ガスを供給するために、前記制御信号値の前記制御信号を前記弁に適用する命令とを有すること
を特徴とするマスフローコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。特に、本発明は、これには限定されないものの、流体の流量を制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なマスフローコントローラ(MFC)は、様々なプロセスのうちでもとりわけ熱エッチング及びドライエッチング等の工業プロセスにおいて、ガスの流量を設定し、測定し、制御する閉ループ装置である。MFCの重要な部分は、この装置を通って流れるガスの質量流量を測定するセンサである。典型的には、MFCの閉ループ制御システムは、センサからの出力信号を予め定められた設定値と比較し、ガスの質量流量を予め定められた設定値に維持するように制御弁を調整する。
【0003】
閉ループ制御アルゴリズムは、もし適切に調整されていれば、特定の流体流量設定値からのずれを引き起こす流体の流動状態の変化に応答して流体の流量を調整するために使用されることが可能である。流体の流動状態の変化は、例えば圧力又は温度等の変動によってしばしば引き起こされる。これらの変動によって引き起こされた特定の流体流量設定値からのずれは、検出され、検出器によって生成された測定結果(例えば、フィードバック信号)(例えば、流量センサからの流量センサ測定結果)に基づいて、閉ループ制御アルゴリズムのフィードバックループ内で修正される。
【0004】
しかしながら、例えば、素早い圧力変化の結果として、流体の流動状態が素早く変化する場合は、フィードバックループに使用される検出器は、フィードバック信号を飽和させるか、又は信頼できないフィードバック信号を生成し得る。例えば、流量制御部がこれらの飽和した及び/又は信頼できないフィードバック信号を閉ループ制御アルゴリズム内で使用した場合は、流量制御部は、特定の流体流量設定値に従って流体を供給することができないかもしれない。流量制御部は、例えば、信頼できないフィードバック信号に基づいて、流体の流動状態の変化に対して過剰な補償又は不十分な補償を行い得る。
【0005】
閉ループシステムがうまく機能しない他の動作モードは、弁が所要の位置から比較的遠い場合のものである。例えば、MFCがゼロ設定値(ゼロ弁位置)にあり、次に非ゼロ設定値が与えられた場合、弁がゼロ位置から、顕著な流量が発生して閉ループアルゴリズムが適切に機能し始めるような位置へ動くのに、比較的長い時間がかかる。このことは、長い応答の遅延、及びMFCの貧弱な性能をもたらす。
【0006】
開ループシステムは、閉ループシステムがうまく機能しない場合に、プロセスガスに対する制御を改善するためにMFC内部で利用されてきた。これらのシステムでは、較正用ガス(例えば、窒素)に関連して得られた弁特徴付けデータは、動作の開ループモードでMFCの弁の位置を制御するために利用されてきた。しかし、異なるプロセスガスに対する弁の特徴は、較正用ガスに対する特徴に比べて大きく異なる可能性がある。このため、これらの典型的なMFCが較正用ガスと異なるプロセスを実行している場合は、MFCの性能が著しく悪化する虞がある。
【0007】
従って、現状の閉ループ及び開ループの手法による性能不足に対処する新しい革新的な特徴をもたらすための方法及び/又は装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7640078号明細書
【発明の概要】
【0009】
図面に示された本発明の例示的な実施形態は、下記に要約されている。これらの実施形態及び他の実施形態は、詳細な説明のセクションでより詳しく記載されている。しかしながら、この発明の概要又は詳細な説明に記載された形態に本発明を限定する意図が無いことは、理解されるべきである。当業者は、特許請求の範囲で表現されるような発明の趣旨及び範囲に含まれる多くの改良物、等価物及び代替構成物が存在することを認識することができる。
【0010】
本発明の態様は、マスフローコントローラでプロセスガスの質量流量を制御する方法を提供することができる。この方法は、制御対象のプロセスガスについてプロセスガスの種類を選択し、選択された種類のプロセスガスについて分子量の情報を取得し、所望の質量流量に対応する設定値信号を受け付け、圧力センサにより生成されたプロセスガスの圧力測定結果を受け付けることを含んでいる。更に、この方法は、流体の圧力変化率が閾条件を満たしていることに応答して、測定流量と所望の質量流量との違いに基づいてマスフローコントローラの弁を制御するフィードバック制御ループを終了させることを含み、pr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて所望の流量値及び圧力についてプロセス制御信号値を決定することを含んでいる。ここで、prは所望のプロセスガス流量値であり、prは選択された種類のプロセスガスの分子量であり、cal は較正用ガスの分子量である。そして、プロセスガスを所望の流量で供給するために、そのプロセス制御信号値のプロセス制御信号が弁に適用される。
【0011】
他の態様は、制御信号に応答して流体の流量を制御するために調整することができる弁と、流体の圧力を示す圧力信号を出力する圧力変換器とを含むマスフローコントローラとして特徴付けられ得る。更に、メモリが較正用ガスに関連してマスフローコントローラを特徴づける一般特徴付けデータを記憶し、質量流量センサが流体の測定流量を出力する。マルチガス制御部が、pr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて、所望の流量値及び圧力について開ループプロセス制御信号値を生成する。ここで、prは所望のプロセスガス流量値であり、prは選択された種類のプロセスガスの分子量であり、cal は較正用ガスの分子量である。マルチモード制御部が、流体の圧力変化率が閾条件を満たした場合に、フィードバック制御ループを終了させ、開ループプロセス制御信号を用いて弁を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
様々な目的及び利点並びに本発明についてのより完全な理解は、以下の添付図面と共に、後述の詳細な説明、及び添付のクレームを参照することによって、明らかになり、より容易に理解される。
【0013】
図1】マルチモード制御の手法を利用し、制御されるプロセスガスの種類に基づいてプロセス制御信号を適用する例示的なマスフローコントローラを説明するブロック図である。
図2】例示的な一般特徴付けデータを示すテーブルである。
図3図1に図示された実施形態に関連して実行され得る例示的な方法を示すフローチャートである。
図4】マスフローコントローラの他の実施形態を示すブロック図である。
図5図4に図示された実施形態に関連して実行され得る例示的な方法を示すフローチャートである。
図6】マスフローコントローラの更に他の実施形態を示すブロック図である。
図7図6に図示された動作特徴付けデータの調整に繋がる例示的なイベントの一続きを示すグラフである。
図8】マスフローコントローラの更に他の実施形態を示すブロック図である。
図9図8に図示されたマスフローコントローラによって実行時間中に実行され得るプロセスを示すフローチャートである。
図10A】始動制御信号に対する過渡的な流動状態を示すグラフである。
図10B】他の始動制御信号に対する過渡的な流動状態を示すグラフである。
図10C】更に他の始動制御信号に対する過渡的な流動状態を示すグラフである。
図11】四つの異なる温度について制御信号−対−流量の曲線を示すグラフである。
図12】制御信号−対−流量の曲線を示すグラフである。
図13図8に図示されたマスフローコントローラについて異なる温度での二つの制御信号−対−流量の曲線を示すグラフである。
図14図1、4、6及び8に図示されたマスフローコントローラを実現するために利用され得る物理的な構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、似た又は同様の要素が適切な複数の図に共通して必要に応じて同一の参照番号を付されている図面を参照し、また特に図1を参照すれば、これは、本発明の事例的な実施形態に従ったMFC100の機能ブロック図である。更に本明細書でより詳細に説明されるように、本発明の態様は、多様な流体の種類(例えば、ガスの種類)についてのマスフローコントローラ100の改善された特徴付けと、MFC100の性能を改善するための改善された特徴付けの利用とを含んでいる。
【0015】
図示されたように、本実施形態では、MFC100の基部105は、ガスが通過して流れるバイパス110を含んでいる。バイパス110は、メインパス115及びセンサ管120を通過するガスの比率を一定に制御している。結果として、センサ管120を通過する流体の流量は、MFC100のメインパス115を通過して流れる流体の流量を示す。
【0016】
いくつかの実施形態では、MFC100で制御される流体は、ガス(例えば、窒素)である。しかし、本開示の恩恵を受けることで、当業者が認め得るように、MFC100によって供給される流体は、例えば気体又は液体等の任意の相の元素及び/又は化合物の混合物を含んだ、どのような種類の流体であってもよい。用途に依存して、MFC100は、流体を、気体(例えば、窒素)の状態及び/又は液体(例えば、塩酸)の状態で、例えば半導体製造装置用のツールへ供給し得る。多くの実施形態でのMFC100は、高圧下、低温下で流体を供給するように構成されているか、又は、異なった種類のコンテナ若しくはベッセルへ流体を供給するように構成されている。
【0017】
センサ管120は、MFC100の熱式質量流量センサ125の一部をなす小口径の管であり得る。一般的に、質量流量センサ125は、MFC100のメインパス115を通る流体の質量流量を示す出力信号130を出力する。当業者が認識するように、質量流量センサ125は、センサ管120の外面に連結(例えば、巻き付いて)した検出素子を含み得る。一つの事例的な実施形態では、検出素子は、抵抗温度計素子(例えば、導電線のコイル)である。ただし、他の種類のセンサ(例えば、抵抗温度検出器(RTD)及び熱電対)が使用されてもよい。更に、他の実施形態は、もちろん異なる数のセンサを使用してもよく、本発明の範囲から逸脱することのない範囲で、センサからの信号を処理するための異なるアーキテクチャを使用してもよい。
【0018】
当業者が更に認識するように、質量流量センサ125は、検出素子回路(例えば、ブリッジ回路)を含んでもよい。この検出素子回路は、センサ管120を通る流量を示し又そのためにMFC100のメインパス115を通る流体の流量を示す出力を提供する。また、その出力は、結果として得られる出力信号130がMFC100のメイン流動パス115を通る流体の質量流量のデジタル表現となるように処理されてもよい。例えば、質量流量センサは、出力信号130を生成するための増幅器及びアナログ−デジタル変換器を含んでいてもよい。
【0019】
代替的な実施形態では、熱式質量流量センサ125は、層流型流量センサ、コリオリ式流量センサ、超音波流量センサ、又は差圧式流量センサにより実現されてもよい。圧力測定結果は、ゲージ式圧力センサ、差圧センサ、絶対圧センサ又はピエゾ抵抗圧力センサによって出力され得る。変形例では、質量流量センサ125及び/又は圧力測定結果は、流体の流量を正確に測定するために、他のセンサ(例えば、温度センサ)の任意の組み合わせと組み合わせて使用される。これらの組み合わせは、例えば、閉ループモード中又は開ループモード中のフィードバックループにおいて、流体流量を制御するため、及び/又はマルチモード制御アルゴリズムを一つのモードから他のモードへ変更するかどうかを決定するために、使用される。
【0020】
この実施形態での制御部140は、一般的に、設定値信号155に基づいて制御弁150の位置を制御するために制御信号145を生成するように構成されている。制御弁150は、圧電弁又はソレノイド弁によって実現され得る。また、制御信号145は、電圧(圧電弁の場合)でもよく、電流(ソレノイド弁の場合)でもよい。また、当業者が認識するように、MFC100は、圧力入力及び温度入力を制御部140へ出力する圧力センサ及び温度センサを含んでいてもよい。例えば、圧力センサは、センサ管120の上流又はバイパス110の下流でメインパス中の圧力を検出するために配置されていてもよい。
【0021】
この実施形態では、制御部140は、多様な動作ガスに関連した多様な動作状態(例えば、圧力の振れた複数の状態に亘って)に対する改善された制御を提供するために、閉ループモード及び開ループモードの両方で動作する。より具体的には、制御部140は、この実施形態では、マルチモード制御部160及びマルチガス制御部162を含んでいる。当業者が本開示を考慮して認識するように、制御部140のこれらの及び他の構成要素は、ソフトウェア(例えば、有体の不揮発性メモリに記憶された)、ハードウェア及び/若しくはファームウェア、又はそれらの組み合わせを含む多様な構成要素によって実現され得る。また、それらの構成要素は、本明細書で更に記載された方法を達成するような、プロセッサによる読み取りが可能な非一時的な命令を、記憶し実行し得る。
【0022】
一般的に、マルチモード制御部160は、質量流量センサ125の出力130に影響を及ぼす状態に依存して、マスフローコントローラ100の動作を閉ループモードと開ループモードとの間で交互に交代させるように動作する。いくつかの例では、動作状態は、質量流量センサ125の出力130が合理的に信頼できなくなるほどまでに、マスフローコントローラ100に影響を及ぼし、その結果、マルチモード制御部160は、開ループモードで動作する。
【0023】
より具体的には、マルチモード制御部160は、流体圧力の指標を圧力センサ178から受け付けるために配置されている。また、マルチモード制御部160は、熱式流量センサ125に信頼できない出力130を生成させる突然の圧力変化が発生した場合に、閉ループモードから開ループモードへ変更するように構成されている。
【0024】
マルチモード制御部160は、例えば、閉ループ制御アルゴリズムを終了し、開ループ制御アルゴリズムを開始することによって、閉ループモードから開ループモードへ変化する。マルチモード制御部160は、擾乱が弱まった場合、又は所定の期間の後、開ループモードから閉ループモードへ戻るように構成されている。多くの実施態様では、開ループ制御モードを開始させる圧力変化の閾条件は、流量センサ125の動作範囲の上限で又はその付近でマルチモード制御部160が閉ループモードから開ループモードへ変化するように、定義されている。いくつかの実施形態では、フローコントローラ100は、マルチモードの変化を決定するため、及び/又は流体の流量を制御するために、他の装置から又は温度センサ(図示せず)等のセンサから指標を受け付け、使用する。
【0025】
いくつかの実施形態では、開ループモードから閉ループモードへの変更時に、マスフローコントローラ100は、開ループモードから閉ループモードへ戻る円滑な遷移を生成するために、閉ループ制御のためのフィードバック信号として流体流量の設定値155及び流量センサの測定結果130を特定の割合で使用する。この遷移手法(「無衝突」遷移とも称される)は、開ループモードである期間動作した後に流体流量が流体流量の設定値とは全く又は実質的に異なる場合に、適切である。いくつかの実施態様では、無衝突遷移の手法は、開ループモードから閉ループモードへ変化するために使用され、逆の場合にも同様に使用される。
【0026】
米国特許第7640078号タイトル「マルチモード制御アルゴリズム」は、参照によって全てが本明細書に包含されており、MFCのマルチモード制御に関して、本開示の実施形態を向上させる更なる詳細を開示している。
【0027】
本明細書で更に説明しているように、制御の開ループモードで動作している間、特徴付けデータは、制御弁150の位置を制御するために、流体圧力情報に関連して利用される。図示された実施形態では、マルチガス制御部162は、制御弁150の位置を制御するために、一般特徴付けデータ164を、ガス特性データ166に関連して開ループモードで利用する。
【0028】
一般特徴付けデータ164は、不揮発性メモリ中に存在し得るが、設定値155に対応する流体流量レベルに十分に近い又は等しい流体流量をもたらす弁位置へ一又は複数の圧力読み取り値を変換する開ループモードの間、制御弁150の位置を制御するためにマルチモード制御部160によって利用される。図1に図示された実施形態では、一般特徴付けデータ164を生成する特徴付けプロセスは、工業プロセスを行う環境においてマスフローコントローラ100が利用される前に、製造プロセス(例えば、MFC100の製造業者又は納入業者によって実行される)の一部として実行される。
【0029】
より具体的には、一般特徴付けデータ164は、較正用ガス(例えば、窒素)を使用して生成され、較正用ガスは、M個の異なる圧力P[1],P[2],…,P[M]でマスフローコントローラ100へ供給される。夫々の圧力について、装置へN個の流量設定値が与えられ(F[1]],F[2],…,F[N])、安定的な流量をもたらす弁制御信号が記録される。図2に図示されたように、結果として生じた一般特徴付けデータ164は、弁制御信号成分V[i,j](i=1〜N,j=1〜M)からなるN×Mのサイズの行列Vで表されることが可能である。ベクトルP,F及び行列Vは、マスフローコントローラ100のメモリに記憶されており、MFCの動作の開ループモードの間、制御部140によって使用される。
【0030】
弁の特徴付けが一つの較正用ガスについて行われた場合、一般特徴付けデータ164は、この特定の較正用ガスのみについて、マスフローコントローラ100の許容できる性能をもたらす。しかしながら、当業者が本開示を考慮して認識するように、プロセスガス(即ち、実際の動作時に制御されるガス)が較正用ガスと異なる場合は、所望の流量設定値(動作中の圧力における)に対応する一般特徴付けデータ164中の弁制御信号は、所望の流量を与えるような弁位置をもたらすことがない。
【0031】
マスフローコントローラ100の非常に正確なマルチプロセスガスの特徴付けをもたらすであろう解決手法は、特徴付けプロセスの期間中に実際のプロセスガスを使用することであろう。しかし、この方式のマルチプロセスガスの特徴付けは、多くの理由によって実行可能ではない。工業で使用される多くのガスは、有毒及び/又は可燃性であり、このため、これらのガスは製造業者には安全に使用できない。高流量の装置についての特徴付けは、大量のガスを必要とし、多くのガスは非常に高価である。また、多くのガスに関してMFCを特徴付けることは、非常に時間のかかるプロセスであり、この結果、経済的に実行可能ではない。
【0032】
結果として、マルチガス制御部162は、一般特徴付けデータ164に関連してガス特性データ166を利用して、MFC100を通る多様なプロセスガスの流量がどれでも設定値155で示された所望の流量となるように、制御弁150の位置を合わせる弁制御信号145を生成する。
【0033】
より具体的には、出願人は、同一の圧力及び同一の弁位置の下でのプロセスガスの流量Fprと較正用ガスの流量Fcal との比率は、近似的に下記の式で表すことができることを発見した。
pr/Fcal =(Mcal /Mprk 式1
ここで、Mcal は較正用ガスの分子量であり、Mprはプロセスガスの分子量であり、kは、MFCの流量範囲に依存して、0.2〜0.5の間の値を有する。
【0034】
結果として、この発見した関係を適用するために、いくつかの実施形態におけるガス特性データ166は、複数のガスについての分子量データを含んでいる。図示されているように、このデータは、外部のガス特性データ記憶部172に連結された外部工業プロセス用ツール170につながった通信回線によって更新され得る。複数のプロセスガスについて、複数の分子量比の値((Mcal /Mpr)に等しい)が、ガス特性データに記憶され得ることも考えられる。どのような表現で記憶されているかにかかわらず、本明細書で更に記載されたいくつかの実施形態は、式1で表現された関係を利用して、較正用ガスについて取得された一般特徴付けデータ164を使用するプロセスガスの流量をより正確に制御する。
【0035】
図1を参照しながら、同時に図3を参照する。図3は、図1に図示された実施形態に関連して実行され得る例示的な方法を示すフローチャートである。図示されているように、動作の間中、プロセスガスの選択(図1にガス選択入力157によって示されている)が、制御対象のプロセスガスについて行われる(ブロック300)。図1には明確に示されていないけれども、マスフローコントローラは、オペレータに制御対象のプロセスガスの選択を可能にさせるユーザインタフェース部(例えば、ディスプレイ及びボタン、タッチパッド、又はタッチスクリーン)を含み得ることを、当業者は認識するだろう。その代わりに、マスフローコントローラは、プロセスガスが他の制御場所から選択される(例えば、外部工業プロセス用ツール170を用いて)ことを可能にするように、周知の有線又は無線ネットワーク技術を通して制御ネットワークに連結されていてもよい。
【0036】
更に、分子量情報は、選択された種類のプロセスガスについて、ガス特性データ166(又は遠隔のガス特性データ172)から取得され(ブロック302)、所望の質量流量に対応する設定値信号155が受け付けられる(ブロック304)。例えば、分子量情報は、プロセスガスの分子量Mpr(又はMprを示す他の値若しくはMprから派生した他の値)を含み得る。或は、他の例として、分子量情報は、分子量比の値((Mcal /Mpr)に等しい)、又は分子量比の値を示す他の値若しくは分子量比の値から派生した他の値を含み得る。所望の質量流量(設定値信号155によって示された)に関しては、それは、プラズマに基づいた(例えば、薄膜形成)プロセスシステムに関連した特定のプロセスに必要な流量であり得る。
【0037】
上記で説明されたように、素早い圧力変化率は、流量信号130を信頼できない状態にしているかもしれない。また結果として、マルチモード制御部160は、弁150を制御するフィードバック制御ループを終了させ、圧力読み取り値が得られる(ブロック306)。圧力読み取り値は、制御弁150を制御するための弁位置の値を得るために利用される。制御されているプロセスガスが、偶然に、一般特徴付けデータ164を生成するために使用されたものと同じ種類のガスである場合は、次に、一般特徴付けデータ164は、測定された圧力値を用いて、弁制御信号145のための弁位置の値を得るべく、簡単にアクセスされ得る。しかし、マスフローコントローラ100の実際の使用時に使用されるプロセスガスは、一般特徴付けデータ164を生成するために使用されたガスとは異なることが多い。結果として、特徴付けガスとは異なる流量特性を有するプロセスガスの効果によって、一般特徴付けデータ164から得られた弁位置の値は、所望の質量流量とは大幅に異なる流量をもたらす弁位置を発生させるだろう。
【0038】
結果的に、図1に図示された例示的なマスフローコントローラ100は、式1で表された分子の関係を利用して、プロセスガスに特有のプロセス制御信号値を生成する。より具体的には、所望の流量値及び圧力のためのプロセス制御信号値は、Fpr*(Mpr/Mcalk に等しい修正流量値を用いて決定される。ここで、Fprは所望のプロセスガス流量値、Mprは選択された種類のプロセスガスの分子量、Mcal は較正用ガスの分子量である(ブロック308)。
【0039】
ブロック308での決定がどのように行われるかのより明確な理解は、図2に図示された例示的な一般特徴付けデータを再度参照することで容易となる。図2に図示された例示的な一般特徴付けデータはマスフローコントローラが異なれば変化することは認められるべきである。
【0040】
所望の流量値が、マスフローコントローラ100の定格流量限度の20%であると仮定し、ブロック306で得られた圧力読み取り値が30単位(例えば、ポンド毎平方インチ)であると仮定すると、一般特徴付けガス(例えば、窒素)についての弁制御信号145の弁位置の値は、16.932である。しかし、上記で説明されたように、プロセスガスが一般特徴付けガスと異なる場合は、16.932の弁位置の値は、所望の20%の流量をもたらさない。
【0041】
式1に従って、修正流量値はFpr*(Mpr/Mcalk と計算される。また、(Mpr/Mcalk が2.0に等しいと仮定すると、修正流量値は(20%*2.0)又は40%となり、結果として、圧力が30であればプロセス弁位置の値は21.015となる。従って、この例における仮想的なプロセスガスについて20%の流量をもたらすプロセス弁位置の値は(本明細書ではプロセス制御信号値とも称される)、21.015である。所望の流量値も修正流量値も一般特徴付けデータ164中に見つけられない場合は、次に補間が使用されてもよい。
【0042】
図3に図示されたように、所望の流量でプロセスガスを供給するために、次に、そのプロセス制御信号値のプロセス制御信号145が制御弁150に適用される(ブロック310)。多くの実施形態では、圧力変化が減少したか又はタイマの計時期間が満了した後に、マルチモード制御部160は、動作の閉ループモードへ復帰する。
【0043】
図4を参照すれば、これは他のMFC400の例示的な実施形態の機能ブロック図である。図示されたように、この実施形態は、図1を参照して記載されたMFC100と同一の多くの構成要素を含んでいる。しかし、MFC100とは異なって、この実施形態では、MFC400は一般特徴付けデータ164を修正して動作特徴付けデータ480にする。動作特徴付けデータ480は、MFC400が開ループモードで動作する場合に制御弁150の位置を制御するために利用される。
【0044】
より具体的には、MFC400の制御部440は、ガス選択入力157に基づいて一般特徴付けデータ164を動作特徴付けデータ480へ修正するように機能する特徴付けデータ修正部474を含んでいる。制御部440及びその構成要素は、ソフトウェア(例えば不揮発性メモリに記憶された)、ハードウェア及び/若しくはファームウェア又はそれらの組み合わせを含む多様な異なった種類の機構により実現され得る。また、これらの構成要素は、本明細書に更に記載された方法を達成するような、プロセッサによる読み取りが可能な非一時的な命令を記憶し、実行し得る。
【0045】
図4を参照しながら、例えば同時に図5を参照する。図5は、図4に図示された実施形態に関連して実行され得る例示的な方法を示すフローチャートである。図示されているように、この実施形態では、制御対象のプロセスガスについてプロセスガスの種類が選択された場合に(ブロック500)、ガス特性データ166(又は遠隔のガス特性データ172)から、選択された種類のプロセスガスの分子量が取得され(ブロック502)、特徴付けデータ修正部474によって一般特徴付けデータ164も取得される(ブロック504)。
【0046】
図示されているように、この実施形態では、特徴付けデータ修正部474は、一般特徴付けデータ中の流量値を下記の式に従って修正することによって、動作特徴付けデータを生成する。
adj =Fcal *(Mcal /Mprk 式2
ここで、Fadj は調整された流量値、Fcal は較正された流量値、Mprは選択された種類のプロセスガスの分子量、Mcal は較正用ガスの分子量である(ブロック506)。
【0047】
次に、動作特徴付けデータ480は、マルチモード制御部460にMFC400を開ループ制御モードで動作させるために使用される(ブロック508)。
【0048】
上記で説明されたように、動作特徴付けデータ480は、多様なガスの種類について、マスフローコントローラ400の改善された特徴付けをもたらす。このことは、上記で説明されたような動作の開ループモードでMFCが動作している場合に非常に好都合である。しかし、更に、動作特徴付けデータ480は、他の制御手法を用いて動作を改善させることもできる。例えば、図6〜13は、動作特徴付けデータ480がもたらす改善された特徴付けから恩恵を受ける実施形態を記載している。
【0049】
例えば、図6は、動作特徴付けデータがもたらす改善された特徴付けを利用する更に他のMFC600の例示的な実施形態の機能ブロック図である。図示されたように、この実施形態は、図1を参照して記載されたMFC100及び図4を参照して記載されたMFC400と同一の多くの構成要素を含んでいる。しかし、MFC100,400とは異なって、この実施形態では、適応的特徴付け部676が動作特徴付けデータ480と連結されている。
【0050】
適応的特徴付け部676は、この実施形態では、一般的に、例えば、式1の利用における何らかの誤り及び/又は動作中の動作圧力の変化に順応するべく、MFC600の動作時に動作特徴付けデータ480を調整するために動作する。従って、動作特徴付けデータ480は、多様なプロセスガスについて初期特徴付けデータをもたらす。更に、適応的特徴付け部676は、MFC600の動作の間、動作の開ループモードの間に、動作中に発生し得る(例えば、圧力変化及び動作特徴付けデータ480の何らかの誤りが原因で)不備(例えば、制御エラー)を減少させるように、動作特徴付けデータ480を調整する。
【0051】
多くの実施態様では、適当な調整を決定するために、一旦マスフローコントローラ600が開ループモードで(例えば、圧力のずれが発生したので)動作すると、適応的特徴付け部676は、閉ループモードが再開された時に測定流量読み取り値を取得する。また、閉ループモードが再開された時の流量エラー及び圧力変化の向きに依存して、対応する特徴付け値は、増加又は減少する。
【0052】
図7を参照すれば、図7は、プロセスガス(窒素の代わりに)が制御される場合に100%流量をもたらすための動作特徴付けデータ480の調整に繋がる例示的なイベントの一続きを説明するために利用される以下の三つの曲線を含むグラフである。プロセスガスについての未調整弁位置曲線702、プロセスガスについての110%流量曲線704、及びプロセスガスについての所望弁位置曲線706(100%流量をもたらすための)。未調整弁位置曲線702は、動作の開ループモードの間弁150を制御するために動作特徴付けデータ480(調整されていない)が利用される場合の、圧力に対する弁150の位置を表す。110%流量曲線704は、プロセスガスについて110%の流量をもたらすであろう圧力に対する弁位置を表し、所望弁位置曲線706は、プロセスガスの所望の100%の流量をもたらすであろう圧力に対する弁位置を表す。
【0053】
この例に図示されたように、点(V1,P1)では、マルチモード制御部660は、動作の閉ループモードから動作の開ループモードへ切り替える(例えば、(V1,P1)の直前で圧力が減少していた時点での変化率が閾値を超過したので)。また図示されたように、未調整の動作特徴付けデータ480を用いてプロセスガスが制御される場合、圧力P2での弁150の弁位置はV2であり、この弁位置は、プロセスガスが制御される場合に110%流量をもたらす弁位置である。対照的に、プロセスガスについて圧力P2で100%流量をもたらすためには、弁位置は位置V3である必要がある。
【0054】
結果として、この例では、動作特徴付けデータ480が未調整である場合は、流量は高すぎる(即ち、弁位置が約54%開くべき場合に弁位置はより広く約56%開いているので)。この例では、圧力P2で、マルチモード制御部660は、動作の閉ループモードへ戻し、動作特徴付けデータ480の調整は、測定流量(実際の弁位置V2に対応する)及び流量設定値(所望の弁位置V3に対応する)の間の差との関係に基づいて、マルチモード制御部660が動作の開ループモードへ切り替える次の機会には弁150の位置が未調整弁位置曲線702よりも所望弁位置曲線706により近く追随するように、計算される。
【0055】
適応的特徴付け部676は、動作特徴付けデータ480内に存在している弁位置の値の随意の変更によって(例えば、適応的特徴付け部676から動作特徴付けデータ480への随意的な通信によって)、動作特徴付けデータ480に対する調整を行い得る。この調整は、追加的なデータを動作特徴付けデータ480へ追加することによるものであってもよい。又は、動作特徴付けデータ480は、同一(例えば、図4及び5を参照して説明されたように生成されたものと同一)のままであってもよく、適応的特徴付け部676は、動作特徴付けデータ480に換算係数を乗じる。
【0056】
動作特徴付けデータ480が同一のままであり、換算係数が乗じられる実施態様では、換算係数Cは、次のように計算され得る。C=(V3−V1)/(V2−V1)。しかし、その他の換算係数が使用され得ることは確かに考えられる。また、このスカラ量Cは、弁150が開ループモードにおいて動作特徴付けデータ480によってどの程度制御されるのかを調整するために使用される。図7では、例えば、Cは、ほぼ(54%−61%)/(56%−61%)又は1.4に等しい。このスカラ量1.4は、圧力P2で動作の開ループモードが終了した後に弁150の位置が(P2,V3)により近くなるためには、弁150がどれだけ更に移動することが必要であるかを示している。この例では、調整無しでは、動作特徴付けデータ480は、弁150が約61%(V1で)から56%(V2で)へ移動することを決定づけ、(約5%の変化が生じ)そこで、調整された−7%の変化を得るために、スカラ量1.4がこの5%の変化に乗じられる。
【0057】
結果として、開ループモードが再開した場合(同じ圧力変化の下で)、動作の開ループモードが中断したときのP2での弁150の位置は、(61%(V1での)マイナス7%)、即ち54%である。P1からP2の間の調整された弁位置に到達するために(弁位置が所望弁位置曲線706により近く追随するように)、P1からP2までの各圧力値についての換算係数Cの値は、補間によって計算され得る。
【0058】
代替方法として、上記で説明したような新しい係数の計算の代わりに、マルチモード制御部660が開ループモードから閉ループモードへ変化する夫々の繰り返しの間、換算係数に対して段階的に増加させる調整が行われることが可能である。これらの段階的に増加させる調整は、測定流量と流量設定値との間の差(マルチモード制御部660が開ループモードから閉ループモードへ切り替わるときに)が閾値を下回るまで、行われることが可能である。
【0059】
動作特徴付けデータ480が増加又は変化する実施態様では、動作特徴付けデータ480は、夫々のプロセスガスについて調整された特徴付けデータを記憶し得る。又は、他の変形例では、複数のプロセスガスについての調整された特徴付けデータは、外部工業プロセス用ツール185へアップロードされ(例えば、当業者に周知の通信回線によって)、MFC600の外部で記憶されてもよく、そして、調整された特徴付けデータは必要時に戻されてもよい。
【0060】
較正用ガスについての較正データ適応的特徴付けの更なる詳細は、米国特許出願第13/24175号タイトル「適応的で圧力に無反応なマスフローコントローラ及びマルチガスの利用のための方法」において見つかる。この出願は参照によって全てが本明細書に包含されている。
【0061】
次に、図8を参照すれば、他の例示的なMFC800のブロック図が図示されている。図示されているように、この実施形態は、図1を参照して記載されたMFC100及び図4を参照して記載されたMFC400と同一の多くの構成要素を含んでいる。しかし、MFC100,400とは異なって、この実施形態では、適応的弁始動部882が動作特徴付けデータ880と連結されている。
【0062】
一般的には、適応的弁始動部882は、より素早く設定値信号155に応答するために、制御弁150が閉鎖した場合に、動作特徴付けデータ880及びMFC800のランタイムデータに基づいて、制御弁150へ調整可能な非ゼロ始動制御信号145を出力するように動作する。更に、適応的弁始動部882へのユーザ入力は、MFC800の応答を調整するためにユーザが調整可能な非ゼロ始動制御信号145を変更できるようにする。また、適応的弁始動部882は、調整データ882を生成し、MFC800の応答に影響を及ぼす温度のずれ、経年変化、及びその他の要因による影響を相殺するように調整可能な非ゼロ始動制御信号145を調整するために、調整データ882を使用する。従って、適応的弁始動部882は、調整可能な非ゼロ始動制御信号145の値を設定することによって所望の過渡応答を確立する(例えば、ユーザ入力に基づいて)ために、使用され得る。そして、適応的弁始動部882は、環境及び/又は経年が過渡応答に影響する場合に、所望の過渡応答を維持するために調整可能な非ゼロ始動制御信号145を調整する。
【0063】
従来の実施態様では、マスフローコントローラの閉ループ制御ループは、制御ループが流量の応答を見てそれに応じて直ちに弁位置を調整することができるように、弁150が所要の位置に比較的近く弁150の移動が流量を変える場合に、比較的良好に実行していた。しかし、これらの従来のシステムでは、MFCがゼロ位置(ゼロ弁位置)に設定され、MFCが非ゼロ設定値を与えられた場合に、弁が、ゼロ位置から、顕著な流量が現れて閉ループ制御ループが適切に動作開始するような位置まで動くためには、長い時間がかかっていた。結果として、長い応答の遅延が発生し、一般的にMFCの性能が貧弱になっていた。
【0064】
従って、応答の遅延及び貧弱な性能を払拭するために、適応的弁始動部882は、制御弁150が閉鎖している間に制御信号145をゼロ値(例えば、ゼロ電流又は電圧)から調整可能な非ゼロ始動制御信号値へ直ちに動かすことによって、MFC800の性能を改善する。
【0065】
次に図9を参照すれば、実行時間中に実行され得るプロセスを示すフローチャートが図示されている。図8を参照して記載されたMFC800が参照されているけれども、図9で示されたプロセスは、図8に示された特定の例示的な実施形態に限定されないことは、認識されるべきである。図示されたように、動作上、制御弁150が閉鎖している場合には、所望の流量に対応する値を有する設定値信号155が受け付けられる(ブロック902)。プラズマプロセス(例えば、薄膜形成)の状況では、流量は、プラズマプロセスの一部として必要な特定のガスについての所望の流量であり得る。
【0066】
図示されたように、動作特徴付けデータ880は、特徴付けされた非ゼロ始動制御信号の値及び特徴付けされた制御信号の値を特定の流量で取得するためにアクセスされ、これらの値は、調整可能な非ゼロ始動制御信号を調整するために後で使用される(ブロック904)。制御信号145は、次に、初期値での調整可能な非ゼロ始動制御信号として制御弁150に適用される(ブロック906)。結果として、制御信号が流動の開始するレベルにゆっくりと到達する(制御ループを使用して)間の遅延の後まで始動制御信号値がゼロであり制御ループが起動しない従来の手法とは反対に、MFC800の閉ループ制御システムは、かなり素早く(流動がほぼ始まるとき、又は流動が丁度始まったときに)起動する。
【0067】
MFC800が使用のために最初に配備されたとき(例えば、ユーザが納入業者からMFC800を受け取ったとき)、特徴付けされた非ゼロ始動制御信号は、調整可能な非ゼロ始動制御信号の初期値として使用され得る。しかし、MFC800が一旦使用された後は、調整可能な非ゼロ始動制御信号は、動作特徴付けデータ880及びランタイムデータに基づいたものになる。
【0068】
例えば、複数の圧力についてのデータを動作特徴付けデータ880が含んでいる実施形態では、制御信号145は、ブロック906で、差分データ(調整データ885に記憶された)を加算することによって取得された値での調整可能な非ゼロ始動制御信号として、較正された非ゼロ始動制御信号に適用される。これらの実施形態での差分データは、動作特徴付けデータ880と一又は複数の以前のプロセスの動作中に予め取得されていたランタイム測定値との間の差に基づいている。差分データを生成するための例示的な手法を詳述する更なる情報は、下記のブロック910及び912を参照することで下記に提供されている。
【0069】
また、動作特徴付けデータ880が特徴付けデータを一つの圧力のみについて含んでいる実施形態では、調整データ885は、調整可能な非ゼロ始動制御信号の値を含んでおり、制御信号145は、ブロック906で、調整データ885から得られた値での調整可能な非ゼロ始動制御信号として適用される。ブロック910及び912を参照して下記に説明されるように、調整可能な非ゼロ始動制御信号の記憶された値は、夫々の実行中に調整され、調整データ885中で更新され得る。
【0070】
動作特徴付けデータ880が一つの圧力に基づいているか又は複数の圧力に基づいているかに拘わらず、ブロック904で取得された制御信号の値(特定の流量での)は、更に下記で説明されるように、調整可能な非ゼロ始動制御信号を次の実行の間に調整するために、利用される。ブロック904では二つのデータが取得されるけれども、これらの二つのデータは並流で取得される必要が無いことは認められるべきである。
【0071】
動作特徴付けデータ880が複数の圧力レベルの夫々についてのデータを含んでいる実施態様では、MFC800の圧力変換器は、流体の圧力を示す信号を取得するために使用され得る。また、動作特徴付けデータ880は、測定された圧力に基づいた特徴付けされた非ゼロ始動制御信号の値を選択するためにアクセスされ得る。
【0072】
しかし、複数の圧力についての特徴付けデータを有していることは、少なくとも、図9に図示された方法に関しては必須ではない。なぜならば、図9での方法は、弁/流量特性は一定ではなく、変化することが可能であり、結果的に、調整可能な非ゼロ始動制御信号は、弁/流量特性に影響する動作状態における変化を考慮するように調整されることを予期するからである。
【0073】
制御弁150が閉鎖している場合に調整可能な非ゼロ始動制御信号をMFC800に適用することは、一般的にはMFC800の応答を改善するけれども、MFC800のユーザが、MFC800が使用されている特定プロセスの用途に依存した特定の過渡応答を要求することが考えられる。結果として、多くの実施形態では、適応的弁始動部882は、ユーザに、オフセット値を調整可能な非ゼロ始動制御信号に加算するか又は調整可能な非ゼロ始動制御信号から減算することによってMFC800の所望の過渡応答を定義する(ユーザ入力の方法により)ことをできるようにする。
【0074】
図10A〜10Cを参照すれば、例えば、三つの対応する始動制御信号に対する過渡的な流動状態を示すグラフが図示されている。例えば、図10Aには、図10B及び10Cでの始動制御信号に比べて遅い応答を生じさせる値を有する始動制御信号が図示されている。ある用途では、図10Aでのより遅い応答は、望ましいかもしれない。しかし、他の用途では、その応答は、より速い応答時間を生じさせる図10B及び10Cに図示された始動制御信号と比較すると、あまり適切ではない。結果として、動作特徴付けデータ880から取得された初期の非ゼロ始動制御信号が図10Aに図示された応答を生じさせる場合は、図10Bでの過渡応答を生じさせるために非ゼロ始動制御信号に正のオフセット値が加算されてもよく、又は、図10Cでの過渡応答を生じさせるために非ゼロ始動制御信号にもっと大きいオフセット値が加算されてもよい。
【0075】
同様に、非ゼロ始動制御信号が、ランタイムプロセス時には許容され得ない過渡的なオーバーシュートをもたらすような図10Cに図示された応答を提供する場合は、ユーザは、図10Bでの応答を生じさせるために非ゼロ始動制御信号に負のオフセット値を加算してもよく、又は、図10Aでのより遅い応答を生じさせるために非ゼロ始動制御信号にもっと大きい負のオフセット値を加算してもよい。
【0076】
調整可能な非ゼロ始動制御信号は、一般的に、応答を改善し、所望の過渡応答に到達するように構成され得るけれども、環境上の(例えば、温度)及び他の要因(例えば、MFC800の経年変化)は、過渡応答と始動制御信号との関係に影響を及ぼす。言い換えれば、所望の過渡応答が達成された(例えば、始動制御信号に適用されるオフセット値を用いた調整によって)場合、温度及び経年変化は、MFC800に、同一の始動制御信号に対して異なる応答を生じさせることになるだろう。
【0077】
図11を参照すれば、例えば、四つの異なる温度について制御信号−対−流量の曲線が図示されている。図11中に矢印で示された30%(最大制御信号レベルの)の始動制御信号が使用され、図11に図示されたように弁/流量特性が温度と共にずれる場合、MFC800は、摂氏30度でオーバーシュートを引き起こすか、又は、実行時間中のプロセスガス温度が較正温度と異なるときに摂氏60度で長い応答遅延を引き起こし得る。更に、弁の材料の経年変化を原因とする長期間にわたる弁/流量特性のずれも発生する可能性があり、このことは、性能劣化をもたらしもする。
【0078】
ほとんどの場合、弁−流量特性の温度及び/又は経年に関する変化は実質的に「平行移動」であり、これは、曲線形状を実質的に同一に維持しながら「制御信号」軸に沿って左又は右へ移動する曲線によって特徴付けられ得る。例えば図12を参照すれば、摂氏40度で取得され、動作特徴付けデータ880中のデータ対として表現され得る制御信号−対−流量の較正された曲線が図示されている。図示されているように、較正データのこの例示的な集合は、最適な始動制御信号(図12中の矢印で示された)は30%(最大制御信号レベルの)であることを示しており、制御信号145が70%の値である場合に流量は60%(最大流量レベルの)である。しかしながら、MFC800が使用されている場合、MFC800の動作特性及び/又はMFC800が置かれている環境は、同じ特定の60%の流量に到達するためには測定された制御信号の値が85%(最大制御信号レベルの)である必要があるように、MFC800の特性を変えてしまう可能性がある。制御信号値の15%の変化は、制御信号−対−流量の曲線全部の「平行」移動全体の一部であると仮定すると、始動制御信号について30%から45%への同様の変化が期待される可能性がある。
【0079】
結果として、調整可能な非ゼロ始動制御信号に対する調整の一部として、動作中に、設定値信号145が減少する前に、制御信号の測定値が特定の流量において取得される(ブロック908)。測定流量が取得されたところのこの特定の流量は、較正された制御信号の値を上記のブロック904で動作特徴付けデータ880から取得することに関連して使用されたものと同一の特定の流量(ブロック904を参照して説明された)である。また、その測定値は、上昇する制御信号−対−流量の曲線から得られるように(特定の流量での較正された制御信号が較正中に取得されたのと全く同じように)、設定値155が減少する前に取得される。
【0080】
例えば図8と同時に図13を参照すれば、異なった温度での同一のMFC800について、二つの制御信号−対−流量の曲線が図示されている。より具体的には、図11に図示された摂氏40度で取得されたものと同一の制御信号−対−流量の曲線が図示されており、更に、摂氏50度でのMFC800について実行時間中の実際の動作特性を示す他の制御信号−対−流量の曲線が図示されている。例えば設定値155が60%流量である場合、制御信号の測定値は、上昇する曲線上の60%流量の点で得られる可能性があり、その値は85%である。
【0081】
図9に図示されたように、制御信号の測定値(図12に図示された例では85%)は、マスフローコントローラに記憶された特定の流量(例えば60%)での特徴付けされた
御信号のレベル(図12に図示された例では70%)と比較される(ブロック910)。また、弁が閉鎖している場合にマスフローコントローラが他の設定値信号を受け付ける次の機会には、非ゼロ始動制御信号の調整された値が使用されるように、この比較に基づいて、調整可能な非ゼロ始動制御信号の値が調整された値へ調整される(ブロック912)。
【0082】
多くの実施形態では、調整可能な非ゼロ始動制御信号の値は、以下のアルゴリズムに基づいて調整される。
ASCS=CSCS+MVCS−CVCS
ここで、ASCSは、所望の応答を維持するために調整された調整可能な非ゼロ始動制御信号であり、CSCSは、較正された始動制御信号であって、較正データから得られた始動制御信号の値であり、MVCSは、特定の流量レベルで測定された制御信号の測定値であり、CVCSは、制御信号の較正された値であって、特定の流量値での較正された制御信号の値である。
【0083】
例えば図12を参照すれば、MVCSが85%となりCVCSが70%となるように、CSCSは30%であり、特定の流量値は60%である。この結果、次の動作についてのASCSは45%となる。選択された特定の流量値が特徴付け曲線及びランタイム曲線の両方に存在する任意の流量値を取り得ることは、認められるべきである
【0084】
動作特徴付けデータ880が複数の圧力についてのデータを含んでいる実施形態では、制御信号の測定値(MVCS)と制御信号の特徴付けされた値(CVCS)との間の差は、調整データ885に記憶される。このため、次の実行の間、調整可能な非ゼロ始動制御信号(ASCS)を取得するために、記憶された差は、動作特徴付けデータ880に(現在の圧力について)記憶された特徴付けされた非ゼロ始動制御信号の値へ加算される。また、ブロック908〜912を参照して上記に記載された方法は、必要に応じて更に他の後続のプロセス実行について差分データを調整するために、再度実行される。
【0085】
また、動作特徴付けデータ880が単一の圧力のみについて特徴付けデータを含んでいる実施形態では、調整データ885は、調整可能な非ゼロ始動制御信号(ASCS)の値を含んでいる。この値は、後続のプロセス実行の間にアクセスされ(ブロック904を参照して記載されたように、特徴付けされた非ゼロ始動制御信号の初期値がアクセスされたのと同じ方法で)、ブロック906を参照して上記で記載されたように、調整可能な非ゼロ始動制御信号として制御弁150に適用される。また、ブロック908〜912を参照して上記で記載された方法は、調整可能な非ゼロ始動制御信号を必要に応じて調整するために、再度実行される。
【0086】
図9に示された方法の変形例では、調整可能な非ゼロ始動制御信号の調整は、多くの実行結果からの概算を利用して、例えば弁電圧の1%といった実行ごとのいくつかの定義済みの調整限度を用いて、ゆっくりと実行されることが可能である。調整可能な非ゼロ制御信号の調整は、また、特に低い設定値では、ノイズの多い弁の測定の影響を避けるために、フィルタリングされる(積分される)ことが可能である。加えて、調整可能な非ゼロ始動制御信号の大きな変化がこの装置に関する問題を知らせることがあり得ることが考えられる。それ故、調整可能な非ゼロ始動制御信号が閾値を超えて変化したことに応答して、警告や注意が発生され得る。
【0087】
図9を参照して記述された方法は、温度の変化に応答して調整可能な非ゼロ始動制御信号を調整するけれども、制御弁150が閉鎖位置から始動したときに制御信号145の値を調整する適応的弁始動部882の性能を更に改善するために、温度データは、収集され、図9に図示された処理の態様を改良するべく実行時間中に使用され得る。
【0088】
例えば、新しい調整可能な非ゼロ始動制御信号の値(又は、差分データ)が調整データ885に記憶されている場合、温度情報が始動制御信号の値又は差分データに関連して記憶されるように、MFC800内の温度センサからの温度の値も記憶されてもよい。記憶された温度データ(制御信号又は差分データに関連した)は、ガスの温度が複数のプロセス実行の間で著しく変化していた場合に、後続のプロセス実行についての調整可能な非ゼロ始動制御信号の最適値を即座に予測するために使用されることが可能である。
【0089】
適応的弁始動システム及び手法の更なる詳細(本明細書に記載された動作特徴付けデータとは関連しない)は、米国特許出願第13/206022号タイトル「適応的弁始動位置を用いたマスフローコントローラアルゴリズム」の中に見つかる。この出願は参照によって本明細書に包含されている。
【0090】
記載を簡単にするために適応的特徴付け部676及び適応的弁始動部882は図6図8とに分けて示されているが、これらの構成要素は、図1及び図4を参照して記載されたマルチモード制御部160,460の一つと共に一つのマスフローコントローラ内に一緒に実装され得ることは、認められるべきである。
【0091】
次に、図14を参照すれば、図1、4、6及び8を参照して記載されたMFC100、400、600、800を実現するために利用され得る物理的構成要素を示したブロック図1400が図示されている。図示されたように、表示部1412及び不揮発性メモリ1420は、バス1422に接続されており、バス1422は、更に、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)1424、処理部(N個の処理コンポーネントを含んでいる)1426、ソレノイド式又は圧電式の弁1430と通信している弁動作部1428、及びインタフェース部1432に接続されている。図14に図示された構成要素は、物理的構成要素を示しているけれども、図14は、ハードウェア図であると意図されたものではない。このため、図14に図示された多くの構成要素は、一般的な構成で実現されるか、又は追加的な物理的構成要素に分散して構成されてもよい。更に、図14を参照して記載された機能的構成要素を実施させるために、他の既存の及びまだ開発されていない物理的構成要素及びアーキテクチャが利用され得ることは、間違いなく意図される。
【0092】
この表示部1412は、一般的に、コンテンツの表示をユーザへ提供するために動作する。いくつかの実施態様では、表示部はLCD又はOLEDディスプレイで実現される。一般的に、不揮発性メモリ1420は、データ及び制御部140、440、640、840に関連したコードを含むプロセッサによる実行が可能な非一時的なコードを記憶(例えば、持続的に記憶)するように機能する。更に、不揮発性メモリ1420は、ブートローダのコード、ソフトウェア、オペレーティングシステムのコード、及びファイルシステムのコードを含んでいてもよい。
【0093】
多くの実施態様では、不揮発性メモリ1420は、フラッシュメモリ(例えば、NAND又はONENANDTMメモリ)で実現される。しかし、他の種類のメモリが同様に利用され得ることは、間違いなく意図される。不揮発性メモリ1420からコードを実行することが可能であり得るけれども、典型的には、不揮発性メモリ1420中の実行可能なコードは、RAM1424へロードされ、処理部1426中のN個の処理コンポーネントの内の一又は複数の処理コンポーネントによって実行される。図示されたように、処理部1426は、制御部140、440、640、840に実行される機能によって利用されるアナログの温度及び圧力の入力を受け付け得る。
【0094】
RAM1424に接続されたN個の処理コンポーネントは、一般的に、図1、4、6及び8に図示された機能的構成要素を達成するために、不揮発性メモリ1420に記憶されたプロセッサによる読み取りが可能な非一時的な命令を実行する動作をする。例えば、制御部140、440、640、840は、図3、5及び9を参照して記載された方法を実行するためにRAM1424から実行されるプロセッサによる読み取りが可能な非一時的なコードに関連したN個の処理コンポーネントの内の一又は複数の処理コンポーネントによって、実現され得る。
【0095】
インタフェース部1432は、一般的に、ユーザにMFC100、400、600、800とのやり取りを可能にさせる一又は複数の構成要素を表す。インタフェース部1432は、例えば、キーパッド、タッチパネル、及び、一若しくは複数のアナログ又はデジタル制御部を含み得る。また、インタフェース部1432は、ユーザからの入力を設定値信号155へ変換するために使用され得る。また、通信部1434は、一般的に、MFC100、400、600、800に、外部のネットワーク及び外部の工業プロセス用ツール170を含む機器との通信を可能にさせる。当業者が認めるように、通信部1434は、種々の無線(例えばWiFi)及び有線(例えばイーサネット:登録商標)通信を可能にさせる構成要素(例えば、統合又は分散されて)を含み得る。
【0096】
図14に図示された質量流量センサ1436は、図1に図示された質量流量センサ125を実現するための当業者に周知の構成要素の集合を表す。例えば、これらの構成要素は、検出素子、増幅器、アナログ−デジタル変換部、及びフィルタを含み得る。
【0097】
当業者が認めるように、本明細書で述べた情報及び信号は、種々の異なる科学技術及び専門技術のいずれかを使用して表現され得る。例えば、上記の説明を通して参照され得るデータ、命令、コマンド及び情報は、電圧、電流、電磁波、磁場、磁性粒子、光学場、光学粒子、又はそれらの任意の組み合わせによって表現され得る。
【0098】
更に当業者が認めるように、本明細書に開示された実施形態に関連して記載された種々の説明のための論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムのステップは、図14に図示された構成要素を代替する他の構成要素によって実施され得る。ハードウェア及びソフトウェアのこの交換可能性を明らかに説明するために、種々の説明のためのコンポーネント、ブロック、モジュール、回路及びステップが、一般的にそれらの機能性の観点から、上記に記載されている。そのような機能性がハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアのいずれとして実施されるかは、特定の用途及びシステム全体に課せられた設計の制限に依存する。当業者は、夫々の特定の用途のための様々な方法で、記載された機能性を実施し得る。しかし、そのような実施の決定は、本発明の範囲から逸脱させるものと解釈されるべきではない。
【0099】
より具体的には、本明細書に開示された実施形態に関連して記載された種々の説明のための論理ブロック、コンポーネント及び回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理回路、ディスクリートなハードウェアコンポーネント、又は本明細書で記載された機能を実行するために設計されたそれらの任意の組み合わせを用いて実施又は機能し得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよい。しかし、その代りに、汎用プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又はステートマシンであってもよい。また、プロセッサは、演算デバイスの組み合わせとして実施されてもよい。例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連結した一又は複数のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成である。
【0100】
本明細書に開示された実施形態に関連して記載された方法又はアルゴリズムのステップは、直接にハードウェアによって、プロセッサ(例えば、図14に図示されたような)で実行されたソフトウェアモジュールによって、又はそれら二つの組み合わせによって具体化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ1424、不揮発性メモリ1420、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は技術上周知の記憶媒体の任意の他の形態等の、プロセッサによる読み取りが可能な非一時的な媒体上に存在し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサに連結されており、プロセッサは、記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体へ情報を書き込むことができる。その代りに、記憶媒体は、プロセッサと一体化されていてもよい。プロセッサ及び記憶媒体は、ASICに備えられていてもよい。
【0101】
開示された実施形態のこれまでの記述は、どのような当業者でも本発明の作成又は使用をできるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する種々の修正は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。また、本明細書で定義された包括的な原則は、発明の趣旨又は範囲から外れる事無く他の実施形態に適用され得る。従って、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることを意図されたものではなく、本明細書で開示された原則及び新規の特徴と矛盾しない最大の範囲に一致することを意図されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14