(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249086
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】薬注ノズルの洗浄装置および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C02F 5/00 20060101AFI20171211BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20171211BHJP
B05B 15/02 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
C02F5/00 610G
C02F5/00 620A
B08B3/04 Z
B05B15/02
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-234236(P2016-234236)
(22)【出願日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年6月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小菅 雅夫
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−300369(JP,A)
【文献】
実開平06−011857(JP,U)
【文献】
特開2003−251335(JP,A)
【文献】
特開2003−265991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−11/20
B05B 15/00−15/12
B08B 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬注ノズルを洗浄する洗浄装置において、該薬注ノズル及び該薬注ノズルに連なる薬注配管の少なくとも一方に接続された、洗浄液を供給するための洗浄液供給装置を備えたこと、
前記洗浄液供給装置は、洗浄液を供給するための洗浄ポンプと、該洗浄ポンプの制御装置とを有しており、
該制御装置には、前記薬注配管に接続された薬注ポンプの発停信号が入力されており、
該制御装置は、該薬注ポンプの発停信号に基づいて該洗浄ポンプを制御すること、
前記制御装置は、少なくとも、薬注ポンプの停止後、所定時間、洗浄ポンプを作動させること、及び
前記制御装置は、薬注ポンプの作動開始後、所定時間t1経過後に、洗浄ポンプを作動開始させ、薬注ポンプの停止後、所定時間t2経過後に洗浄ポンプを停止することを特徴とする薬注ノズルの洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記制御装置は、薬注ポンプが作動している間、前記洗浄ポンプのON,OFFを繰り返し行うことを特徴とする薬注ノズルの洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2の薬注ノズルの洗浄装置によって薬注ノズルを洗浄する薬注ノズルの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水系・紙パルプ水系、膜分離装置・ボイラ・廃水などの水処理プロセスに設置された薬注ノズルの閉塞を防止するための薬注ノズルの洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理プロセスでは、種々の薬品を水系に添加し、殺菌、スライム防止、腐食防止、スケール防止等が行われている。薬液の添加方法としては、例えば冷却塔のピットや製紙系の白水タンク等の貯水部に添加する方法や、配管に注入する方法がある。配管注入においては、その薬液を注入するシステムにおいて薬液と注入配管に混合拡散を目的に設けられている注入ノズルが薬液と水中の硬度成分が反応し、ノズル内部に硬いスケールとして析出し、ノズルが閉塞するため、しばしば薬注障害が生じる。貯水部に薬注する場合、薬注ノズルは接水しないように滴下等により薬注することができるが、冷却塔等がビルの上部に設置される場合には、薬液をビルの上部まで運び、薬注タンクをビルの上部に設ける必要があり、作業性が著しく劣る。特に、地域冷暖房システムでは冷却塔はビル等の上階に設置され、配管が地中及び地上構造物に配設されるが、薬注点が冷却塔であると、不都合が多い。
【0003】
特許文献1には、半導体製造装置等の薬液供給ノズル内に洗浄ノズルを差し込み、該洗浄ノズルから溶剤を吐出させて薬液供給ノズル内を洗浄することが記載されているが、洗浄ノズルを薬液供給ノズルに差し込む機構が必要であり、水処理プロセスの薬注ノズルの洗浄には適用が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−113597
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、管内注入など、薬注ノズルが接水した状態で薬注する場合に、スケールの付着を防止するとともに、付着したスケールを洗浄除去することができる薬注ノズルの洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬注ノズルの洗浄装置は、薬注ノズルを洗浄する洗浄装置において、該薬注ノズル及び該薬注ノズルに連なる薬注配管の少なくとも一方に接続された、洗浄液を供給するための洗浄液供給装置を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の一態様では、前記洗浄液供給装置は、洗浄液を供給するための洗浄ポンプと、該洗浄ポンプの制御装置とを有しており、該制御装置には、前記薬注配管に接続された薬注ポンプの発停信号が入力されており、該制御装置は、該薬注ポンプの発停信号に基づいて該洗浄ポンプを制御する。
【0008】
本発明の一態様では、前記制御装置は、少なくとも、薬注ポンプの停止後、所定時間、洗浄ポンプを作動させる。
【0009】
本発明の一態様では、前記制御装置は、薬注ポンプの作動開始後、所定時間t
1経過後に、洗浄ポンプを作動開始させ、薬注ポンプの停止後、所定時間t
2経過後に洗浄ポンプを停止する。
【0010】
本発明の一態様では、前記制御装置は、薬注ポンプが作動している間、前記洗浄ポンプのON,OFFを繰り返し行う。
【0011】
本発明の薬注ノズルの洗浄方法は、かかる本発明の薬注ノズルの洗浄装置によって薬注ノズルを洗浄するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薬注ノズルの洗浄装置を用いることで、薬注ノズルを管内に挿入する等、接水して使用する場合に、ノズルの閉塞が生じない。薬剤の管内注入が可能となることで、例えばビル上階等の高所まで薬剤を運搬して使用する必要がなく、より低い位置で冷却水管に直接薬剤を添加することができる。
【0013】
本発明の薬注ノズルの洗浄装置及び洗浄方法にあっては、薬注ノズル又はその給液配管に洗浄液を供給して薬注ノズル内を洗浄するため、洗浄機構が簡易であり、しかも薬注ノズルを十分に洗浄することができる。本発明によると、薬注ノズル内でのスケール析出を防止することができると共に、析出したスケールも容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る薬注ノズルの洗浄装置の構成図である。
【
図2】薬注ノズルの洗浄方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1は薬注システム10と、該薬注システム10の薬注ノズル4を洗浄するための薬注ノズル洗浄装置20とを示している。薬注ノズル4は、この実施の形態では冷却水本管又は補給水管等の配管6に設置されているが、その他の配管に設置されてもよく、またタンク等に設置されてもよい。
【0016】
この薬注システム10は、薬液タンク1、薬注ポンプ2、薬注配管3、薬注ノズル4及び薬注制御盤5を備えている。薬注ポンプ2が作動すると、薬液タンク1内の薬液が薬注ノズル4から配管6に注入される。
【0017】
薬注ノズル洗浄装置20は、純水、水道水等の洗浄液を供給するための配管21、該配管21に設けられたバルブ22、配管21から洗浄液が導入される洗浄液タンク23、該洗浄液タンク23に設けられた水位センサ24、洗浄ポンプ(この実施の形態では高圧洗浄ポンプ)25、配管26、該配管26に設けられた逆止弁27、及び洗浄制御盤28を備えている。洗浄ポンプ25は洗浄制御盤28によって制御される。配管26は逆止弁27を介して薬注配管3に接続されている。水位センサ24の検出水位信号は、洗浄制御盤28に入力され、洗浄液タンク23内の水位が所定範囲となるようにバルブ22が該洗浄制御盤28によって制御される。
【0018】
洗浄制御盤28には、薬注制御盤5から薬注ポンプ2の発停を示す信号が入力される。
【0019】
本発明では、薬注ノズル4からの薬注が停止した後、所定時間、洗浄ポンプ25を作動させて薬注ノズル4に洗浄液を供給するが、薬注の途中でも洗浄液を供給してもよい。
【0020】
図2は、この洗浄液の供給モードの諸例を示している。
【0021】
(A)は薬注ポンプ2が作動開始すると、洗浄ポンプ25の作動を開始させ、薬注ポンプ2が停止すると、その後所定時間t経過後に洗浄ポンプ25を停止させる連続モードを示している。
【0022】
(B)は、薬注ポンプ2が作動開始すると、それから所定時間t
1経過後に洗浄ポンプ25が作動開始し、薬注ポンプ2が停止すると、それから所定時間t
2経過後に洗浄ポンプ25が停止する時限モードを示している。t
1とt
2は同一であってもよく、異なってもよい。
【0023】
(C)は、薬注ポンプ2が作動している間は、洗浄ポンプ25のON,OFFを繰り返し行い、薬注ポンプ2が停止すると、それから所定時間t
5経過後に洗浄ポンプ25が停止する間欠モードを示している。薬注ポンプ2が作動している間に洗浄ポンプ25がONとなる時間t
3と、OFFとなる時間t
4とは同一であってもよく、異なってもよい。
【0024】
(D)は、薬注ポンプ2が作動している間は、洗浄ポンプ25を作動させず、薬注ポンプ2が作動停止した後、洗浄ポンプ25を所定時間t
6だけ作動させる薬注停止後洗浄モードを示している。
【0025】
なお、上記の薬注停止後の洗浄時間t,t
2,t
5,t
6は3〜10分特に約5分程度が好ましいが、これに限定されない。
【0026】
上記説明では、洗浄液として水道水又は純水を例示したが、その他の清水であってもよい。この洗浄液は、スケールの析出を防止及び/又はスケールの溶解が可能な水溶液であれば特に制限されない。さらに、スケールの析出防止又は溶解効果を有する化合物を添加した水であってもよい。
【0027】
薬注対象水としては、冷却水、紙パルプ系、RO等の膜分離処理系、ボイラ水系、各種廃水等が例示されるが、これらに限定されない。
【0028】
薬注する薬液としては、水系に接した際にスケールを生じる薬剤であれば限定されない。例えば、次亜塩素酸塩等の塩素系殺菌剤が挙げられる。
【0029】
上記説明は本発明の一例であり、本発明は上記説明に限定されない。例えば、配管26に流量計を設け、流量が所定範囲となるように流量制御を行うなど、各種の機構を設けてもよい。また、上記説明では、薬注配管3に洗浄液供給用配管26を接続しているが、洗浄液供給用配管26を薬注ノズル4に接続してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 薬液タンク
2 薬注ポンプ
4 薬注ノズル
23 洗浄液タンク
24 水位センサ
25 洗浄ポンプ
【要約】
【課題】管内注入など、薬注ノズルが接水した状態で薬注する場合に、スケールの付着を防止するとともに、付着したスケールを洗浄除去することができる薬注ノズルの洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】薬注ノズルの洗浄装置20は、純水、水道水等の洗浄液を供給するための配管21、該配管21に設けられたバルブ22、配管21から洗浄液が導入される洗浄液タンク23、該洗浄液タンク23に設けられた水位センサ24、洗浄ポンプ25、配管26、該配管26に設けられた逆止弁27及び洗浄制御盤28を備えている。薬注ポンプ2が作動開始すると、洗浄ポンプ25の作動を開始させ、薬注ポンプ2が停止すると、その後所定時間経過してから洗浄ポンプ25を停止させる。
【選択図】
図1