特許第6249152号(P6249152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249152
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】乾式メタン発酵装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20171211BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B09B3/00 CZAB
   C02F11/04 A
   B09B3/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-19495(P2013-19495)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-147914(P2014-147914A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年2月1日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「バイオマスエネルギー技術研究開発/戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業(実用化技術開発)/乾式メタン発酵技術における主要機器の低コスト化並びに効率的なバイオガス精製技術及びガス利用システムの実用化に関する研究開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】三崎 岳郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 健
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−120700(JP,A)
【文献】 特開2005−034780(JP,A)
【文献】 特開2002−282897(JP,A)
【文献】 特開平08−290158(JP,A)
【文献】 特開2008−178827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C02F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一週間のうち一又は連続する二の曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行わない休日、それ以外の曜日を前記乾式メタン発酵装置の運転を行う運転日に設定し、
前記運転日のうち前記休日の前日又は前記休日の前日及び前々日を第2運転日、それ以外の前記運転日を第1運転日に設定し、
前記第1運転日には、第1投入量の有機性廃棄物を前記乾式メタン発酵装置の発酵槽に投入し、
前記第2運転日には、前記第1投入量より多い第2投入量の有機性廃棄物を前記乾式メタン発酵装置の発酵槽に投入する、乾式メタン発酵装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の乾式メタン発酵装置の運転方法において、一週間分の有機性廃棄物の総量を七等分した量を前記第1投入量に設定し、
前記第1投入量に前記第1運転日の日数を乗算した量を一週間分の有機性廃棄物の総量から減算した量を得、これを前記第2運転日の日数で除算した量を前記第2投入量に設定する、ことを特徴とする乾式メタン発酵装置の運転方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乾式メタン発酵装置の運転方法において、前記第1投入量の1.5〜2倍の範囲に前記第2投入量を設定する、ことを特徴とする乾式メタン発酵装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物をメタン発酵菌により発酵処理する乾式メタンガス発酵装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
し尿、浄化水汚泥、下水処理汚泥、家畜糞尿、生ゴミ等の有機性廃棄物をメタン発酵菌によって分解し、主としてメタンガスと二酸化炭素を含むバイオガスを得る乾式メタン発酵装置が公知である(例えば特許文献1又は2を参照)。このような乾式メタン発酵装置によれば、廃棄物の量を大幅に減らすことができるとともに、得られるバイオガスをガス発電やボイラー等に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−347247号公報
【特許文献2】特開2004−017024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾式メタン発酵装置を備える有機性廃棄物の処理設備等においては、バイオガスの脱硫処理や貯蔵等を行う一部の装置を除き、一週間のうち日曜日あるいは土曜日及び日曜日は、運転を停止する休日とされているのが通常である。つまり休日には、乾式メタン発酵装置の運転も停止されるため、乾式メタン発酵槽への有機性廃棄物の投入は行われない。そして乾式メタン発酵槽への有機性廃棄物の投入は、運転日(休日を除く各曜日)に均等に割り振られて行われるのが通常である。例えば日曜日が休日である場合には、一週間分の有機性廃棄物が1/6ずつ月曜日から土曜日の各曜日に乾式メタン発酵槽へ均等に投入される。このような乾式メタン発酵装置の従来の運用は、休日明けの運転日にバイオガス発生量が大幅に減少してしまうため、一定量以上のバイオガスを安定的に供給することが困難となる虞が生ずる。そして乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量の大きな変動は、そのバイオガスを利用する設備において、設備能力の過剰あるいは利用できずに廃棄するバイオガスの増加といった問題を招来する虞がある。
【0005】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、一週間のうち一又は連続する二の曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行わない休日、それ以外の曜日を前記乾式メタン発酵装置の運転を行う運転日に設定し、前記運転日のうち前記休日の前日又は前記休日の前日及び前々日を第2運転日、それ以外の前記運転日を第1運転日に設定し、前記第1運転日には、第1投入量の有機性廃棄物を前記乾式メタン発酵装置の発酵槽に投入し、前記第2運転日には、前記第1投入量より多い第2投入量の有機性廃棄物を前記乾式メタン発酵装置の発酵槽に投入する、乾式メタン発酵装置の運転方法である。
【0007】
乾式メタン発酵における有機性廃棄物の発酵期間は2週間位である。しかし微生物によって有機性廃棄物を分解してバイオガスを得るという性質上、その発酵期間におけるバイオガスの単位時間当たりの発生量は、発酵開始から徐々に増加して2〜4日目頃に最大となり、その後は徐々に減少していって最後にほぼ0となる。つまり乾式メタン発酵装置は、発酵開始直後からすぐに一定量以上のバイオガスが得られるわけではなく、少なくとも1〜2日程度の時間を要する。このような時間の経過に対するバイオガス発生量の変化特性に起因して、運転日に均等に有機性廃棄物を割り振って投入する従来技術においては、前述したように休日明けの運転日にバイオガス発生量が大幅に減少してしまう虞が生ずることとなってしまう。
【0008】
このようなことから本発明は、乾式メタン発酵装置の発酵槽に対し、第1運転日には第1投入量の有機性廃棄物を投入し、第2運転日(休日の前日又は休日の前日及び前々日)に、第1投入量より多い第2投入量の有機性廃棄物を投入する。それによって休日におけるバイオガス発生量が増加するので、休日明けの運転日におけるバイオガス発生量の減少幅を小さくすることができる。つまり休日明けの運転日に一定量以上のバイオガスを供給できない虞を低減することができる。またそれによって運転日におけるバイオガス発生量の変動幅が小さくなるので、運転日におけるバイオガス発生量が平準化され、安定的にバイオガスを供給することが可能になる。
【0009】
また本発明は、運転日を第1運転日と第2運転日に分類し、第1運転日の投入量として第1投入量を設定し、第2運転日の投入量として第2投入量を設定する。それによって各運転日に乾式メタン発酵装置の発酵槽に投入する有機性廃棄物の投入量を現場の作業者が誤る虞を低減することができる。つまり各運転日における有機性廃棄物の投入パターンを単純化することによって、現場の作業者の作業負担を軽減することができるとともに、現場の作業者が有機性廃棄物の投入量を誤る虞を低減することができる。
【0010】
これにより本発明の第1の態様によれば、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給できるという作用効果が得られる。
【0011】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、一週間分の有機性廃棄物の総量を七等分した量を前記第1投入量に設定し、前記第1投入量に前記第1運転日の日数を乗算した量を一週間分の有機性廃棄物の総量から減算した量を得、これを前記第2運転日の日数で除算した量を前記第2投入量に設定する、ことを特徴とする乾式メタン発酵装置の運転方法である。
このような特徴によれば、有機性廃棄物の量の週単位での変動に応じて、第1投入量及び第2投入量を適切に設定することができる。
【0012】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記第1投入量の1.5〜2倍の範囲に前記第2投入量を設定する、ことを特徴とする乾式メタン発酵装置の運転方法である。
このような特徴によれば、第2運転日におけるバイオガス発生量の一時的な増加を極力小さくしつつ、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給できるという作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】乾式メタン発酵装置の概略構成図。
図2】比較例1と実施例1におけるバイオガスの計測結果を図示した棒グラフ。
図3】比較例2と実施例2におけるバイオガスの計測結果を図示した棒グラフ。
図4】比較例2と実施例2におけるバイオガスの計測結果を図示した折れ線グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0016】
<乾式メタン発酵装置の構成>
乾式メタン発酵装置の概略構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、乾式メタン発酵装置の概略構成図である。
【0017】
乾式メタン発酵装置は、破砕装置11、供給装置12、混合装置13、投入装置14、乾式メタン発酵槽15及び汚泥引抜装置16を備える。
【0018】
破砕装置11は、微生物の分解速度を上げる等の目的で、生ゴミ等の有機性廃棄物を破砕する装置である。破砕装置11によって破砕された有機性廃棄物は、さらに必要に応じて選別が行われて異物が除去される。供給装置12は、破砕装置11で破砕した有機性廃棄物を混合装置13へ供給する装置である。
【0019】
混合装置13は、供給装置12から供給される有機性廃棄物と汚泥引抜装置16により乾式メタン発酵槽15から引き抜かれた返送汚泥とを混合する装置である。この返送汚泥には、嫌気性微生物(メタン生成菌)が含まれている。混合装置13においては、有機性廃棄物の温度や水分をメタン発酵に適した温度や水分に調整するために、加温や水を添加する等の調質も行われる。
【0020】
投入装置14は、混合装置13で返送汚泥と混合された有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15へ投入する装置であり、その投入量は任意の量に調整することができる。乾式メタン発酵槽15は、嫌気性微生物によって有機性廃棄物をメタン発酵処理して分解する装置である。乾式メタン発酵槽15から発生するバイオガスは、図示していないバイオガス処理設備へ送出される。プラグフロー(押し出し流れ)の乾式メタン発酵槽15の汚泥は、有機性廃棄物の投入に応じて、乾式メタン発酵槽15の底部から汚泥引抜装置16によって引き抜かれる。汚泥引抜装置16によって引き抜かれた汚泥は、一部は返送汚泥として混合装置13へ投入され、その他は余剰汚泥として系外へ排出される。
【0021】
<乾式メタン発酵装置の運転方法>
本発明は、上記説明したような構成の乾式メタン発酵装置において、乾式メタン発酵槽15に投入する有機性廃棄物の投入量の設定方法に特徴がある。
【0022】
まず一週間のうち一又は連続する二の曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行わない休日、それ以外の曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行う運転日に設定する。より具体的には、例えば日曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行わない休日に設定し、月曜日〜土曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行う運転日に設定する。あるいは土曜日及び日曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行わない休日に設定し、月曜日〜金曜日を乾式メタン発酵装置の運転を行う運転日に設定する。
【0023】
さらに運転日のうち休日の前日又は休日の前日及び前々日を第2運転日、それ以外の運転日を第1運転日に設定する。より具体的には、例えば月曜日〜土曜日を運転日とした場合には、月曜日〜金曜日を第1運転日、土曜日を第2運転日に設定するか、月曜日〜木曜日を第1運転日、金曜日及び土曜日を第2運転日に設定する。また例えば月曜日〜金曜日を運転日とした場合には、月曜日〜木曜日を第1運転日、金曜日を第2運転日に設定するか、月曜日〜水曜日を第1運転日、木曜日及び金曜日を第2運転日に設定する。
【0024】
そして第1運転日には、第1投入量の有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15に投入し、第2運転日には、第1投入量より多い第2投入量の有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15に投入する。より具体的には、例えば一週間分の有機性廃棄物の総量を七等分した量を第1投入量に設定し、第1投入量に第1運転日の日数を乗算した量を一週間分の有機性廃棄物の総量から減算した量を得、これを第2運転日の日数で除算した量を第2投入量に設定することができる。それによって有機性廃棄物の量の週単位での変動に応じて、第1投入量及び第2投入量を適切に設定することができる。さらに第2投入量は、第1投入量の1.5〜2倍の範囲に設定するのが好ましい。それによって第2運転日におけるバイオガス発生量の一時的な増加を極力小さくしつつ、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給することができる。
【0025】
例えば月曜日〜金曜日を第1運転日、土曜日を第2運転日に設定した場合には、一週間分の有機性廃棄物の総量の1/7を第1投入量として月曜日〜金曜日の各曜日に投入し、残りの2/7を第2投入量(第1投入量の2倍の量)として土曜日に投入するのが好ましい。また月曜日〜木曜日を第1運転日、金曜日及び土曜日を第2運転日に設定した場合には、一週間分の有機性廃棄物の総量の1/7を第1投入量として月曜日〜木曜日の各曜日に投入し、残りの3/7の半分を第2投入量(第1投入量の1.5倍の量)として金曜日と土曜日にそれぞれ投入するのが好ましい。
【0026】
以上説明したように本発明に係る乾式メタン発酵装置の運転方法は、第1運転日には、第1投入量の有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15に投入し、第2運転日には、第1投入量より多い第2投入量の有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15に投入する。それによって休日におけるバイオガス発生量が増加するので、休日明けの運転日におけるバイオガス発生量の減少幅を小さくすることができる。つまり休日明けの運転日に一定量以上のバイオガスを供給できない虞を低減することができる。またそれによって運転日におけるバイオガス発生量の変動幅が小さくなるので、運転日におけるバイオガス発生量が平準化され、安定的にバイオガスを供給することが可能になる。
【0027】
また運転日を第1運転日と第2運転日に分類し、第1運転日の投入量として第1投入量を設定し、第2運転日の投入量として第2投入量を設定することによって、各運転日に乾式メタン発酵槽15に投入する有機性廃棄物の投入量を現場の作業者が誤る虞を低減することができる。つまり各運転日における有機性廃棄物の投入パターンを単純化することによって、現場の作業者の作業負担を軽減することができるとともに、現場の作業者が有機性廃棄物の投入量を誤る虞を低減することができる。
【0028】
このようにして本発明によれば、乾式メタン発酵装置におけるバイオガス発生量を平準化して、一定量以上のバイオガスを安定的に供給できる。
【0029】
<実施例>
本発明に係る乾式メタン発酵装置の運転方法の実施例について、図2図4を参照しながら説明する。
【0030】
出願人は、図1に図示した構成の乾式メタン発酵装置を用いて、バイオガス発生量を計測する試験を行った。乾式メタン発酵槽15に投入する有機性廃棄物は、生ゴミと紙ゴミを主な成分構成とするもので、分解速度が比較的遅い有機性廃棄物(生ゴミの比率が相対的に高い有機性廃棄物)と、分解速度が比較的速い有機性廃棄物(生ゴミの比率が相対的に低い有機性廃棄物)の2種類を用いた。処理する有機性廃棄物の量は一週間当たり約27トンとした。
【0031】
日曜日を休日、月曜日〜土曜日を運転日に設定して乾式メタン発酵装置を運転し、一日当たりのバイオガス発生量(Nm3/日)を2週間にわたり計測した。そして計測期間におけるバイオガス発生量の平均値を基準とし、その平均値に対する最大値及び最小値の比率(以下、「バイオガス発生量の変動幅」という。)を求めて、従来技術による方法と本発明に係る方法とを比較して評価を行った。
【0032】
乾式メタン発酵槽15に対する有機性廃棄物の投入パターンは、均等投入パターン(比較例1、2)、第1増量パターン(実施例1)及び第2増量パターン(実施例2)の3パターンとした。均等投入パターンは、一週間分の有機性廃棄物を月曜日〜土曜日に均等に割り振って1/6ずつ投入する従来技術のパターンである。第1増量パターンは、月曜日〜金曜日を第1運転日、土曜日を第2運転日に設定し、一週間分の有機性廃棄物の総量の1/7を第1投入量として月曜日〜金曜日の各曜日に投入し、残りの2/7を第2投入量(第1投入量の2倍の量)として土曜日に投入するパターンとした。第2増量パターンは、月曜日〜木曜日を第1運転日、金曜日及び土曜日を第2運転日に設定し、一週間分の有機性廃棄物の総量の1/7を第1投入量として月曜日〜木曜日の各曜日に投入し、残りの3/7の半分を第2投入量(第1投入量の1.5倍の量)として金曜日と土曜日にそれぞれ投入するパターンとした。
【0033】
(1)比較例1、2
図2(a)は、比較例1におけるバイオガス発生量の計測結果を図示した棒グラフである。図3(a)は、比較例2におけるバイオガス発生量の計測結果を図示した棒グラフである。
比較例1、2は、従来の均等投入パターンで有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15へ投入して、一日当たりのバイオガス発生量(Nm3/日)を15日間計測したものである。また比較例1は、分解速度が比較的遅い有機性廃棄物を用いた場合の計測結果であり、比較例2は、分解速度が比較的速い有機性廃棄物を用いた場合の計測結果である。バイオガス発生量の変動幅は、比較例1が0.90〜1.18、比較例2が0.84〜1.21であった。
【0034】
(2)実施例1
図2(b)は、実施例1におけるバイオガス発生量の計測結果を図示した棒グラフである。
実施例1は、本発明の一例として前述した第1増量パターンで有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15へ投入して、一日当たりのバイオガス発生量(Nm3/日)を15日間計測したものである。また実施例1は、分解速度が比較的遅い有機性廃棄物を用いた場合の計測結果である。バイオガス発生量の変動幅は、0.93〜1.05であった。
【0035】
(3)実施例2
図3(b)は、実施例2におけるバイオガス発生量の計測結果を図示した棒グラフである。
実施例2は、本発明の一例として前述した第2増量パターンで有機性廃棄物を乾式メタン発酵槽15へ投入して、一日当たりのバイオガス発生量(Nm3/日)を15日間計測したものである。また実施例2は、分解速度が比較的速い有機性廃棄物を用いた場合の計測結果である。バイオガス発生量の変動幅は、0.91〜1.14であった。
【0036】
(4)評価
分解速度が比較的遅い有機性廃棄物を用いた比較例1と実施例1とを比較すると、バイオガス発生量の変動幅は、比較例1が0.90〜1.18であるのに対し、実施例1は0.93〜1.05であり、実施例1の方が平準化されていることが分かる(図2)。また比較例1では、バイオガス発生量が水曜日に180Nm3/日未満になるまで低下している。それに対して実施例1では、全ての曜日において180Nm3/日を優に超えるバイオガス発生量を確保することができている(図2)。これは実施例1が一定量以上のバイオガスを安定的に得ることができることを意味している。
【0037】
また分解速度が比較的速い有機性廃棄物を用いた比較例2と実施例2とを比較すると、バイオガス発生量の変動幅は、比較例2が0.84〜1.21であるのに対し、実施例2は0.91〜1.14であり、実施例2の方が平準化されていることが分かる(図3)。また比較例2では、バイオガス発生量が月曜日に160Nm3/日近傍まで低下している。それに対して実施例2では、全ての曜日において180Nm3/日以上のバイオガス発生量をほぼ確保することができている(図3)。これは実施例2が一定量以上のバイオガスを安定的に得ることができることを意味している。
【0038】
図4は、比較例2と実施例2のそれぞれについて、一時間当たりのバイオガス発生量(Nm3/h)の変化を図示した折れ線グラフである。図4においては、波線で図示した折れ線グラフが比較例2であり、実線で図示した折れ線グラフが実施例2である。
比較例2では、一時間当たりのバイオガス発生量が月曜日〜火曜日にかけて約10Nm3/hまで低下している。それに対して実施例2では、全ての曜日において20Nm3/h以上のバイオガス発生量をほぼ確保することができている(図4)。これは実施例2が一定量以上のバイオガスを安定的に得ることができることを意味している。
【符号の説明】
【0039】
11 破砕装置
12 供給装置
13 混合装置
14 投入装置
15 乾式メタン発酵槽
16 汚泥引抜装置
図1
図2
図3
図4