【実施例】
【0131】
以下、実施例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
[ジアミンの合成]
下記で用いた略号は以下の通りである。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
RT:室温(25℃)
【0132】
(合成実施例1)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドリン[Diamine−1]の合成
【0133】
【化24】
【0134】
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドリンの合成
【0135】
【化25】
【0136】
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)9.30g(213mmol)、脱水DMF100mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら5−ニトロインドリンのDMF溶液(5−ニトロインドリン:35.0g(213mmol)、DMF:100mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温にて2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:33.0g(234.5mmol)、DMF:100mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
【0137】
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体54.7g(収率90%)を得た。
【0138】
(第二工程) Diamine−1の合成
【0139】
【化26】
【0140】
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドリン15.0g(52.6mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.50gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
【0141】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−1)である薄紫色の固体10.5g(収率:89%)を得た。その構造は、分子内水素原子の核磁気共鳴スペクトルである
1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D
6]−DMSO)δ: 6.87−6.23(Aromatic−H、7H)、4.77−4.68(s−br、2H)、4.39−4.38(s−br、2H)、3,62−3,58(t、2H)、2.89−2.87(t、2H)
【0142】
(合成実施例2)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−2−メチル−5−アミノインドリン[Diamine−2]の合成(ラセミ混合)
【0143】
【化27】
【0144】
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−2−メチル−5−ニトロインドリンの合成
【0145】
【化28】
【0146】
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)2.45g(56.1mmol)、脱水DMF100mL加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2−メチル−5−ニトロインドリンのDMF溶液(2−メチル−5−ニトロインドリン:10.0g(56.1mmol)、DMF:50mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:8.7g(61.7mmol)、DMF:50mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
【0147】
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体14.4g(収率:86%)を得た。
【0148】
(第二工程)Diamine−2の合成
【0149】
【化29】
【0150】
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−2−メチル−5−ニトロインドリン10.0g(56.1mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
【0151】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−2)である薄ピンク色の固体7.03g(収率:89%)を得た。その構造は、
1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D
6]−DMSO)δ: 6.86−6.84(d、2H)、6.56−6.22(Aromatic−H、7H)、4.77−4.68(s−br、2H)、4.39−4.38(s−br、2H)、4.83−4.81(m、1H)、3,42−3,38(dd、1H)、2.89−2.87(dd、1H)1.48−1.47(s、3H)
【0152】
(合成実施例3)1−(4−アミノフェニル)−2,3,3−トリメチル−5−アミノインドリン[Diamine−3]の合成(ラセミ混合)
【0153】
【化30】
【0154】
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリンの合成
【0155】
【化31】
【0156】
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)2.16g(48.5mmol)、脱水DMF100mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリンのDMF溶液(2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリン:10.0g(48.5mmol)、DMF:50mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:7.52g(53.3mmol)、DMF:50mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
【0157】
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体13.5g(収率:85%)を得た。
【0158】
(第二工程)Diamine−3の合成
【0159】
【化32】
【0160】
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−2,3,3−ジメチル−5−ニトロインドリン10.0g(30.5mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
【0161】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−3)である薄紫色の固体7.50g(収率:92%)を得た。その構造は
1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D
6]−DMSO)δ: 6.86−6.22(Aromatic−H、7H)、4.74−4.66(s−br、2H)、4.41−4.39(s−br、2H)、4.23−4.21(m、1H)、1.48−1.14(s、9H)
【0162】
(合成実施例4)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン[Diamine−4]の合成
【0163】
【化33】
【0164】
(第一工程)6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノキノリンの合成
【0165】
【化34】
【0166】
200mL四口フラスコに6−アミノキノリン5.00g(34.7mmol)をTHF100mLに溶解させ、二炭酸tertブチルを7.57g(34.7mmol)加え、窒素雰囲気下にて20時間還流させた。
【0167】
反応終了後、ロータリーエバポレーターによりTHFを除去し、酢酸エチルを加え、純水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた。ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:4体積比)にて再結晶を行い、白色の固体7.29g(86%)を得た。
【0168】
(第二工程)6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの合成
【0169】
【化35】
【0170】
100mL二口フラスコに第一工程で得られた6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノキノリン5.00g(20.4mmol)と10質量%パラジウムカーボン0.50gを測り取り、メタノール50mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、60℃にて激しく撹拌させた。
【0171】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、白色のガラス状固体3.65g(収率:72%)を得た。
【0172】
(第三工程)1−(4−ニトロフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの合成
【0173】
【化36】
【0174】
100mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)0.615g(14.1mmol)、脱水DMF20mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら第二工程で得られた6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンのDMF溶液(6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン:3.50g(14.1mmol)、DMF:20mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:2.19g(15.5mmol)、DMF:20mL)を滴下し、窒素雰囲気下にて室温で20時間撹拌した。
【0175】
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水30mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水100mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより黄色の固体を得た。この固体に4N塩酸−酢酸エチル溶液を加え、40℃で2時間撹拌させた。反応溶液に純水を加え、水層を回収し、炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、酢酸エチルを加え抽出し、水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた。ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー法(酢酸エチルとジクロロエタンの混合溶媒1:1体積比)にて行い、黄色の固体2.20g(収率:58%)を得た。
【0176】
(第四工程)1−(4−アミノフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン[Diamine−4]の合成
【0177】
【化37】
【0178】
500mL四口フラスコに第三工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを10.0(37.1mmol)、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール300mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
【0179】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(5:1質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−4)である薄紫色の固体7.30g(収率:82%)を得た。その構造は
1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D
6]−DMSO)δ: 6.85−6.35(Aromatic−H、7H)、5.00−4.98(s−br、2H)、4.59−4.58(s−br、2H)、3,94−3,93(m、2H)、2.89−2.87(m、2H)、2.66−2.64(m、2H)
【0180】
(合成比較例1)1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドール[Diamine−5]の合成
【0181】
【化38】
【0182】
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドールの合成
【0183】
【化39】
【0184】
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)4.48g(101.8mmol)、脱水DMF50mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら5−ニトロインドールのDMF溶液(5−ニトロインドール:15.0g(92.5mmol)、DMF:100mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:13.1g(92.5mmol)、DMF:100mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
【0185】
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより黄色の固体25.0g(収率95%)を得た。
【0186】
(第二工程)1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドール[Diamine−5]の合成
【0187】
【化40】
【0188】
500mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドールを20.0g(70.6mmol)、10質量%パラジウムカーボン2.00gを測り取り、エタノール300mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、42時間還流させた。
【0189】
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、残渣をn−ヘキサンにて洗浄することにより、目的のジアミン(Diamine−5)である薄ピンク色の固体15.0g(収率:95%)を得た。その構造は
1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D
6]−DMSO)δ: 7.25−6.28(Aromatic−H、9H)、5.20(s−br、2H)、4.56(s−br、2H)
【0190】
[ポリアミック酸及びポリイミドの合成並びに液晶配向剤の調製]
下記に使用した化合物の略号は、以下のとおりである。また、各実施例及び比較例で合成した重合体の原料及び液晶配向剤の組成を表1及び表2に示す。
【0191】
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
CBDE:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジメチルエステル
【0192】
【化41】
【0193】
<ジアミン>
p−PDA:1,4−フェニレンジアミン
DDM:4,4−ジアミノジフェニルメタン
C16DAB:4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
【0194】
【化42】
【0195】
<縮合剤>
DMT−MM:4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
【0196】
<分子量の測定>
重合反応により得られたポリマーの分子量は、該ポリマーをGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC−101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0197】
<イミド化率の測定>
ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS混合品)0.53mLを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム(株)製NMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお、上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
【0198】
(実施例1)CBDA/Diamine−1を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を1.50g(6.65mmol)、NMPを15.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.22g(6.20mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−1)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0199】
このポリアミック酸(PAA−1)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−1)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−1を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,300、重量平均分子量は33,100であった。
【0200】
(実施例2)CBDA/Diamine−2を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を1.50g(6.25mmol)、NMPを15.0gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.14g(5.80mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−2)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0201】
このポリアミック酸(PAA−2)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−2)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−2を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,700、重量平均分子量は35,600であった。
【0202】
(実施例3)CBDA/Diamine−3を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を1.50g(5.80mmol)、NMPを14.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.02g(5.20mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−3)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0203】
このポリアミック酸(PAA−3)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−3)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−3を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は11,000、重量平均分子量は31,300であった。
【0204】
(実施例4)CBDA/Diamine−4を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を1.50g(6.25mmol)、NMPを15.0gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.14g(5.80mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−4)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0205】
このポリアミック酸(PAA−4)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−4)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−4を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は14,200、重量平均分子量は36,700であった。
【0206】
(比較例1)CBDA/Diamine−5を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を1.50g(6.75mmol)、NMPを15.4gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.23g(6.25mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−5)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0207】
このポリアミック酸(PAA−5)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−5)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、比較対象とする液晶配向剤−5を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,300、重量平均分子量は32,100であった。
【0208】
(実施例5)CBDA/Diamine−1、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を2.00g(8.88mmol)、C16DABを0.774g(2.22mmol)、NMPを27.2gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.81g(10.3mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−6)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0209】
ポリアミック酸(PAA−6)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.19gとピリジン0.90gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール180mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−1)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,200、重量平均分子量は23,500であった。また、イミド化率は81%であった。
【0210】
ポリイミド(SPI−1)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−1)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−6を得た。
【0211】
(実施例6)CBDA/Diamine−2、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を2.00g(8.36mmol)、C16DABを0.728g(2.09mmol)、NMPを6.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.90g(9.71mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−7)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0212】
ポリアミック酸(PAA−7)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.12gとピリジン0.88gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール160mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−2)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,800、重量平均分子量は24,200であった。また、イミド化率は80%であった。
【0213】
ポリイミド(SPI−2)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−2)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−7を得た。
【0214】
(実施例7)CBDA/Diamine−3、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を2.00g(7.47mmol)、C16DABを0.651g(1.87mmol)、NMPを24.7gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.51g(8.68mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−8)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0215】
ポリアミック酸(PAA−8)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.00gとピリジン0.83gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール160mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−3)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,500、重量平均分子量は22,200であった。また、イミド化率は81%であった。
【0216】
ポリイミド(SPI−3)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−3)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−8を得た。
【0217】
(実施例8)CBDA/Diamine−4、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を2.00g(8.36mmol)、C16DABを0.728g(2.09mmol)、NMPを6.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.90g(9.71mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−8)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0218】
ポリアミック酸(PAA−8)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.12gとピリジン0.88gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール180mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−4)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,200、重量平均分子量は28,900であった。また、イミド化率は82%であった。
【0219】
ポリイミド(SPI−4)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−4)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−9を得た。
【0220】
(比較例2)CBDA/Diamine−5、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を2.00g(8.96mmol)、C16DABを0.781g(2.24mmol)、NMPを27.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.04g(10.4mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−9)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0221】
ポリアミック酸(PAA−9)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.20gとピリジン0.91gを加え、40℃で反応させたが、しばらく経つとゲル化が始まり撹拌不能となった。可溶性ポリイミド(SPI−5)の調製はできなかった。よって比較対象となる液晶配向剤−10は調製できなかった。
【0222】
(実施例9)
<CBDA/Diamine−1、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を2.50g(11.1mmol)、DDMを0.943g(4.77mmol)、NMPを17.9g、γ−BLを17.9g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.89g(14.8mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−10)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0223】
このポリアミック酸(PAA−10)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−10)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,400、重量平均分子量は29,100であった。
【0224】
<TDA/p−PDA,C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを2.00g(18.5mmol)、C16DABを0.718g(2.06mmol)、NMPを35.4gを加え、約10℃に冷却し、TDAを6.12g(20.4mmol)加え、窒素雰囲気下40℃で20時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−15)の濃度20質量%の溶液を得た。
【0225】
ポリアミック酸(PAA−15)溶液40.0gに、NMPを93.3g加えて希釈し、無水酢酸9.51gとピリジン7.36gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール500mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール300mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−6)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,500、重量平均分子量は20,900であった。また、イミド化率は85%であった。
【0226】
ポリイミド(SPI−6)7.00gに、γ−BL80.5gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL29.2gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−6)が6質量%、γ−BLが94質量%の溶液とし、ブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)を得た。
【0227】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を200mL三角フラスコに40g測り取り、調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−1を得た。
【0228】
(実施例10)
<CBDA/Diamine−2、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を2.50g(10.4mmol)、DDMを0.887g(4.47mmol)、NMPを17.3g、γ−BLを17.3g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.72g(13.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−11)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0229】
このポリアミック酸(PAA−11)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−11)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は11,200、重量平均分子量は31,000であった。
【0230】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−2を得た。
【0231】
(実施例11)
<CBDA/Diamine−3、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を2.50g(9.35mmol)、DDMを0.794g(4.01mmol)、NMPを16.2g、γ−BLを16.2g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.43g(12.4mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−12)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0232】
このポリアミック酸(PAA−12)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−12)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を得たこのポリアミック酸の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は36,000であった。
【0233】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−3を得た。
【0234】
(実施例12)
<CBDA/Diamine−4、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を2.50g(10.4mmol)、DDMを0.887g(4.47mmol)、NMPを17.3g、γ−BLを17.3g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.72g(13.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−13)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0235】
このポリアミック酸(PAA−13)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−13)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,500、重量平均分子量は30,800であった。
【0236】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−4を得た。
【0237】
(比較例3)
<CBDA/Diamine−5、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を2.50g(11.2mmol)、DDMを0.952g(4.80mmol)、NMPを18.1g、γ−BLを18.1g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.92g(14.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−14)の濃度15質量%の溶液を得た。
【0238】
このポリアミック酸(PAA−14)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−14)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA5)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は37,700であった。
【0239】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−5を得た。
【0240】
(実施例13)
<ブレンド用PAE>
100mL四口フラスコにCBDEを6.35g(24.4mmol)、ジアミン成分として、p−PDAを250g(23.1mmol)、C16DABを0.896g(2.57mmol)、NMPを71.5g、トリエチルアミン0.60g(5.90mmol)を加え、約10℃に冷却し、DMT−MMを21.3g(77.1mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の濃度12質量%の溶液を得た。
【0241】
このポリアミック酸(PAE−1)溶液にNMPを81.2g加え、約10℃に冷やしたメタノール1.0L中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール500mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の白色粉末を得た。このポリアミック酸エステルの数平均分子量は12,300、重量平均分子量は27,000であった。
【0242】
このポリアミック酸エステル(PAE−1)7.00gに、γ−BL80.5gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL29.2gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリアミック酸エステル(PAE−1)が6質量%、γ−BLが94質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を得た。
【0243】
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を200mL三角フラスコに40g測り取り、調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−6を得た。
【0244】
(実施例14)
実施例10と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−7を得た。
【0245】
(実施例15)
実施例11と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−8を得た。
【0246】
(実施例16)
実施例12と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−9を得た。
【0247】
(比較例4)
比較例3と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA5)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−10(比較例)を得た。
【0248】
(試験例1)ワニス(液晶配向剤)印刷性試験
実施例1〜16及び比較例1〜4で調製した液晶配向剤を、洗浄したCr板上に配向膜印刷機(日本写真印刷社製「オングストローマー」)を用いてフレキソ印刷を行なうことにより塗布性試験を行なった。アニロックスロールに約1.0mLの液晶配向剤を滴下し、空運転を10回実施した後、10分間印刷機を止め、印刷版を乾燥させた。その後、Cr基板1枚に印刷を行い、印刷後の基板は70℃のホットプレート上に5分間放置して、塗膜の仮乾燥を行い、膜状態の観察を行った。観察は目視と光学顕微鏡(ニコン社製「ECLIPSE ME600」)にて50倍で観察した。ピンホールが観察されなかった場合を良好、ピンホールが観察された場合を不良とし、また、エッジ部の膜厚にムラが生じなかった場合を良好、エッジ部の膜厚にムラが生じた場合を不良として評価した。結果を表3に示す。
【0249】
[液晶セルの作製]
実施例1〜16及び比較例1〜4で調製した液晶配向剤について、以下のようにして液晶セルを作製した。液晶配向剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で70秒間乾燥させた後、220℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。ラビングによる液晶配向処理について、この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
【0250】
このように液晶配向処理を行なった液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせ(ツイストネマティック液晶セル)、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ツイストネマティックセルにおいては液晶MLC−2003(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
【0251】
(試験例2)高温エージング試験前後のイオン密度の測定
上記の[液晶セルの作製]に記載の方法で作製した液晶セルについて、初期状態のイオン密度を測定し、また、100℃で30時間保持(高温エージング)した後のイオン密度測定を行った。イオン密度測定においては、液晶セルに電圧±10V、周波数0.01Hzの三角波を印可した時のイオン密度を測定した。測定温度は80℃で行った。測定装置は、いずれの測定も東陽テクニカ社製6245型液晶物性評価装置を用いた。結果を表3に示す。
【0252】
(試験例3)高温エージング試験前後の蓄積電荷(RDC)測定
作製した液晶セルに、23℃の温度下で直流電圧を0Vから0.1V間隔で1.0Vまで印加し、各電圧でのフリッカー振幅レベルを測定し、フリッカー振幅と印加直流電圧における検量線を作成した。5分間アースした後、輝度が半分となる交流電圧(V
50)と、直流電圧5.0Vを印加し、1時間後のフリッカー振幅レベルを測定し、予め作成した検量線と照らし合わせる事によりRDCを見積もった(フリッカー参照法)。その後、直流電圧を0Vにし、同様の方法にて10分後のRDCを見積もることで、RDCの緩和を測定した。このようにして測定したRDCを、表3の「DCon 1h後(蓄積)及びDCoff 10min後のRDC(緩和)」の欄に示す。また、尚、表3に示したRDCのデータは液晶セルを100℃で30時間保持(高温エージング)した後のRDCの結果である。
【0253】
(試験例4)配向性の評価
作製した液晶セルを目視にて観察し、液晶の配向状態を観察した。液晶が欠陥なく配向していた場合を良好、配向欠陥が生じた場合を不良として、結果を表3に示す。
この結果、実施例1〜4及び比較例1は、ジアミンとCBDAのホモポリマー(ポリアミック酸)とした評価であるが、本発明のジアミン化合物を用いた実施例1〜4は、本発明のジアミン化合物を用いなかった比較例1と比較して、RDCの蓄積(DCon 1時間後のRDC値)と、緩和(DCoff 10分後のRDC値)が、顕著に小さかった。また、ポリアミック酸単独であるため印刷性に大きな差は確認できなかったが、実施例1〜4は、比較例1と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。そして、実施例1〜4では、液晶が欠陥無く配向していたが、比較例1では液晶に欠陥が生じ実施例1〜4と比較して配向性が悪かった。
【0254】
実施例5〜8及び比較例2は、可溶性ポリイミドとした評価であるが、本発明のジアミンを用いた実施例5〜8では、可溶性ポリイミドを作成でき、印刷時の相分離や析出は生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性が良好であった。また、実施例5〜8では、RDCの蓄積と緩和も、顕著に小さかった。そして、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。一方、特許文献3のジアミンであるDiamine−5を用いた比較例2では、可溶性ポリイミドを作成できなかった。また、実施例5〜8では、液晶が欠陥無く配向していた。
【0255】
実施例9〜12及び比較例3は、可溶性ポリイミドと、本発明のジアミンを用いたポリアミック酸とのブレンド系材料の評価であるが、本発明のジアミンは可溶性ポリイミドとの相溶性に優れるため、実施例9〜12の液晶配向剤においては、印刷時の相分離や析出は生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性は良好であった。一方、比較例3では、可溶性ポリイミドとポリアミック酸が局在化して相分離し、本印刷試験中に分離しエッジ部の印刷性が悪い結果となった。また、実施例9〜12では、RDCの蓄積と緩和が、比較例3と比較して顕著に小さかった。そして、実施例9〜12は、比較例3と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。また、実施例9〜12のいずれにおいても、液晶が欠陥無く配向していた。
【0256】
実施例13〜16及び比較例4においては、ポリアミック酸エステルと、本発明等のジアミンを用いたポリアミック酸とのブレンド系材料の評価であるが、本発明のジアミンはポリアミック酸エステルとの相溶性に優れるため、実施例13〜16の液晶配向剤においては、印刷時の相分離や析出が生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性は良好であった。一方、比較例4の液晶配向剤は、比較例3と同様に、相分離性が悪く、印刷時に分離する傾向にあり、エッジ部の印刷性が悪い結果となった。また、実施例13〜16では、RDCの蓄積と緩和が、比較例4と比較して顕著に小さかった。そして、実施例13〜16は、比較例4と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。また、実施例13〜16のいずれにおいても、液晶が欠陥無く配向していた。
【0257】
これらの結果より、本発明のジアミンを用いた液晶配向剤および液晶配向膜は、印刷性が良好で、かつ、蓄積電荷が少なく蓄積した電荷の緩和が早い液晶配向膜を得ることができることが確認された。
【0258】
【表1】
【0259】
【表2】
【0260】
【表3】