(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハンドル部(41)に対し上下動可能に取り付けられて、前記先端(34a)に係合することによって前記シャッタアーム(16)に対する前記先端(34a)の係止状態を保持するストッパ部(45)を備える、請求項1に記載の背負式動力散布機。
前記ストッパ部(45)と前記ハンドル部(41)との間には、前記ストッパ部(45)が前記先端(34a)に係合する方向に前記ストッパ部(45)を付勢するばね部材(47)が設けられている、請求項2または3に記載の背負式動力散布機。
前記ストッパ部(45)は、前記リンクロッド(30)の前記上端部(34)に沿って前記ストッパ部(45)が上下動するように、前記上端部(34)が嵌り込むガイド凹部(45e)または前記上端部(34)が挿通されるガイド孔部を有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の背負式動力散布機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
散布機には、背負枠が設けられる。背負枠は、作業者に背負われて、作業者の背中に面する部材である。上記した従来の散布機では、リンクロッド(又は操作ロッド)は、背負枠とファンケースとの間の狭いスペースに配置される。この場合、リンクロッドの上端部(先端部)がリンクレバーに係止された状態でその係止状態を解除する、または、リンクロッドの上端部をリンクレバーに係止させる等の作業を行うためには、狭いスペースに手を入れる必要がある。しかも、リンクロッドとリンクレバーとの係止部分は、奥まったところに位置する。そのため、リンクロッドを扱う際の作業性が悪いといった問題がある。
【0006】
本発明は、リンクロッドを扱う際の作業性を向上させることができる背負式動力散布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の背負式動力散布機は、作業者によって背負われ、散布剤タンク(7)に貯留される散布剤が送風機(6)によって散布される背負式動力散布機において、散布剤タンク(7)と、送風機(6)と、これらの間に設けられるシャッタケース(10a)とを有する散布機本体(8)と、散布機本体(8)に取り付けられて、作業者によって背負われる背負枠(1)と、背負枠(1)と散布機本体(8)との間のスペース(S)に配置されて、シャッタケース(10a)から突出する弁軸(11a,12a)に連結されたシャッタアーム(16)と、スペース(S)で上下方向に延び、作業者によって操作される操作レバー(21)に下端部が連結されると共にシャッタアーム(16)に上端部(34)の先端(34a)が係止するリンクロッド(30)と、リンクロッド(30)に設けられて、スペース(S)において側方に延びるハンドル部(41)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この背負式動力散布機によれば、散布機本体(8)と背負枠(1)との間のスペース(S)には、シャッタアーム(16)と、シャッタアーム(16)に係止されるリンクロッド(30)とが配置される。このリンクロッド(30)の下端部は操作レバー(21)に連結されており、上端部(34)の先端(34a)がシャッタアーム(16)に係止される。作業者によって操作レバー(21)が操作されると、リンクロッド(30)とシャッタアーム(16)を介して、弁軸(11a,12a)が回転させられる。これにより、シャッタケース(10a)における弁の開度が変化させられる。リンクロッド(30)には、散布機本体(8)と背負枠(1)との間のスペース(S)において側方に延びるハンドル部(41)が設けられている。よって、リンクロッド(30)が狭いスペース(S)に存在する場合でも、ハンドル部(41)を持つことによって、リンクロッド(30)を動かすことができる。その結果として、リンクロッド(30)を扱う際の作業性が向上する。
【0009】
背負式動力散布機は、ハンドル部(41)に対し上下動可能に取り付けられて、先端(34a)に係合することによってシャッタアーム(16)に対する先端(34a)の係止状態を保持するストッパ部(45)を備える。この構成によれば、ストッパ部(45)によって、シャッタアーム(16)に対する先端(34a)の係止状態が保持される。ストッパ部(45)は、ハンドル部(41)に対して上下動可能に取り付けられているため、たとえば、ハンドル部(41)を持ちながらストッパ部(45)を上下動させて、シャッタアーム(16)に対する先端(34a)の係止状態を解除することができる。このように、リンクロッド(30)の上端部(34)をシャッタアーム(16)から取り外したい場合等に、作業性が向上する。
【0010】
ハンドル部(41)に対し揺動可能に取り付けられて、リンクロッド(30)の先端(34a)に向けて延びるストッパアーム(43)を備え、ストッパアーム(43)の先端部には上記のストッパ部(45)が設けられている。この構成によれば、ハンドル部(41)にストッパアーム(43)が取り付けられ、そのストッパアーム(43)の先端部にストッパ部(45)が設けられる。ストッパアーム(43)がハンドル部(41)に対して揺動可能であるため、たとえば、ハンドル部(41)を持ちながらストッパアーム(43)を動かす(握る)ことにより、ストッパ部(45)を上下動させることができる。よって、シャッタアーム(16)に対する先端(34a)の係止状態を一層容易に解除することができる。
【0011】
ストッパ部(45)とハンドル部(41)との間には、ストッパ部(45)が先端(34a)に係合する方向にストッパ部(45)を付勢するばね部材(47)が設けられている。この構成によれば、ストッパ部(45)はばね部材(47)によって付勢されて、リンクロッド(30)の先端(34a)に係合する。これにより、通常時はリンクロッド(30)の先端(34a)がシャッタアーム(16)に係止する係止状態を保持しつつ、係止状態を解除したい場合には、ばね部材(47)の付勢力に抗してストッパ部(45)を上方または下方に移動させるだけでよい。したがって、たとえば、作業者の片手のみによって係止状態を解除させることもできる。
【0012】
ストッパ部(45)は、リンクロッド(30)の上端部(34)に沿ってストッパ部(45)が上下動するように、上端部(34)が嵌り込むガイド凹部(45e)または上端部(34)が挿通されるガイド孔部を有する。この構成によれば、ガイド凹部(45e)またはガイド孔部によって、ストッパ部(45)がリンクロッド(30)に沿うように案内される。よって、ストッパ部(45)を安定して移動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、散布機本体(8)と背負枠(1)との間のスペース(S)に配置されたリンクロッド(30)を扱う際の作業性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明において、上下、前後、左右の語は、背負式動力作業機を背負った作業者を基準とした方向を表すものとする。
【0016】
図1に示されるように、背負式動力散布機100は、作業者によって背負われ作業者の背中に面する背負部材である背負枠1と、背負枠1を背負うための一対の背負バンド2と、背負枠1の下端部から後方に延びた架台3と、背負枠1の前側に取り付けられ作業者の背中に当接する背当部材4と、を備えている。架台3の上には、たとえば内燃機5等の動力源により駆動される送風機6が搭載され、送風機6の上には、散布剤等を貯留する散布剤タンク7が搭載されている。背負枠1は、送風機6のファンケース6aに取り付けられている。また、この背負式動力散布機100は、送風機6により送り出された薬剤等を作業者が散布するための散布噴頭を備えている。なお、ここでは散布噴頭は取り外されている。
【0017】
背負式動力散布機100は、送風機6で発生する加圧空気によって散布剤を散布噴頭から吐出することにより、農地等に散布剤を散布する。散布剤は、たとえば紛体または粒体からなる。なお、散布剤が液体であってもよい。散布剤タンク7と送風機6との間には、散布剤の吐出流量を調整するための調量部10が設けられている。
【0018】
図1および
図5に示されるように、調量部10は、散布剤タンク7と送風機6との間に設けられたシャッタケース10aと、シャッタケース10a内に配置された第1バタフライ弁11および第2バタフライ弁12とを有する。第1バタフライ弁11は、第1弁軸11aによってシャッタケース10aに支持されている。第2バタフライ弁12は、第2弁軸12aによってシャッタケース10aに支持されている。第1バタフライ弁11および第2バタフライ弁12は、第1弁軸11aおよび第2弁軸12aを中心にそれぞれ回動可能である。
【0019】
図6に示されるように、第1弁軸11aおよび第2弁軸12aは、シャッタケース10aから前方に突出している。第1弁軸11aの突出した部分には第1ギヤ13が固定されている。第2弁軸12aの突出した部分には第2ギヤ14が固定されている。第1ギヤ13には、左側側方に向けて延びるシャッタアーム16が形成されている。第1ギヤ13およびシャッタアーム16は、一体的に形成されている。これらの第1ギヤ13、第2ギヤ14およびシャッタアーム16は、たとえば樹脂製である。第1ギヤ13およびシャッタアーム16は、一体成形されてもよいし、個別に成形された後に接合されてもよい。
【0020】
シャッタアーム16は、第1弁軸11aの軸線方向に直交するように延在するアーム板部16aと、アーム板部16aに形成された複数の係止孔16bとを有する。複数の係止孔16bは、左右方向に並んでいる。複数の係止孔16bのそれぞれは、アーム板部16aを前後方向に貫通している。いずれかの係止孔16bに、リンクロッド30(後述する)の先端34aが係止されることにより、シャッタアーム16を介して、リンクロッド30と第1弁軸11aとが連結される。また、リンクロッド30の先端34aを係止させる係止孔16bを変更することにより、操作レバー21(後述する)の操作量に対するシャッタアーム16の揺動量が変化する。
【0021】
第1ギヤ13の第1ギヤ歯13aと、第2ギヤ14の第2ギヤ歯14aとは互いに噛み合う。第1ギヤ歯13aと第2ギヤ歯14aとが噛み合うことにより、第1ギヤ13およびシャッタアーム16を介して、リンクロッド30と第2ギヤ14とが連結される。すなわち、シャッタアーム16にリンクロッド30の先端34aが係止された状態でリンクロッド30が上方に移動されると、シャッタアーム16および第1ギヤ13が一体となって第1弁軸11aを中心に回動し、第1ギヤ13の回動に伴って第2ギヤ14が第2弁軸12aを中心に回動する。
【0022】
上記のようにして、調量部10において、第1バタフライ弁11および第2バタフライ弁12の開度が調整される。なお、第2ギヤ14は前後方向に進退可能になっており、第2ギヤ14が後方に押し込まれることにより、第1ギヤ歯13aと第2ギヤ歯14aとの噛み合いは解除可能である。第1ギヤ歯13aと第2ギヤ歯14aとの噛み合いが解除された場合は、第1ギヤ13のみがリンクロッド30に連動して回動するので、第2バタフライ弁12の開度は不変のまま、第1バタフライ弁11の開度のみを変更できる。これにより、吐出流量の微調整が可能である。
【0023】
次に、
図1および
図2を参照して、背負式動力散布機100に設けられた操作部20およびリンクロッド30について説明する。操作部20は、散布剤の吐出流量を調整するために、作業者によって操作される部分である。操作部20は、ファンケース6aの左下の端部から左前方に突出する操作レバー21を有する。操作レバー21は、作業者によって把持される把持部21aと、把持部21aに連結された第1棒状部21bと、第1棒状部21bに連設された第2棒状部21cとを含む。
【0024】
図2に示されるように、第2棒状部21cは、略水平方向に延びている。第2棒状部21cの途中の部分は、固定部材23および取付ビス24によって、ファンケース6aに固定されている。より詳しくは、固定部材23の取付板部23aが取付ビス24によってファンケース6aに取り付けられ、取付板部23aの下端に連設された断面U字状の軸受部23bに、第2棒状部21cが収容される。第2棒状部21cは、軸受部23bによって支持されて、第2棒状部21cの軸線Lを中心に回動可能である。
【0025】
第2棒状部21cの先端21dは、リンク部材22の後端の孔部に挿入されて、リンク部材22に固定されている。リンク部材22の前端の孔部には、ボールジョイントの一方を構成するスタッドボルト25の左端が挿入される。スタッドボルト25の左端は、ナット26によってリンク部材22に係止される。スタッドボルト25の右端に形成されたボール部25aは、ボールジョイントの他方を構成するソケット31に嵌入されている。ソケット31には、蝶ねじ32を用いて、主ロッド部33の下端が固定される。主ロッド部33は、上下方向に延在しており、その軸線を中心に回転可能である。また、主ロッド部33すなわちリンクロッド30は、上下方向に配置されながらも、水平方向に延びる第2棒状部21cおよびスタッドボルト25に対して傾動可能である。
【0026】
上記のようにして、リンクロッド30は、上下方向に延びており、リンクロッド30の下端部は操作レバー21に連結され、上端部34の先端34aはシャッタアーム16に係止される。ファンケース6aの左側部には、開度設定枠27が固定されている(
図1参照)。操作レバー21の第1棒状部21bは、作業者による操作に伴って上下に揺動可能であり、開度設定枠27に形成された複数の係止凹部に係止される。操作レバー21は、リンク部材22と一体になって第2棒状部21cの軸線Lを中心に回動可能であるため、開度設定枠27のいずれかの係止凹部に第1棒状部21bが係止されると、リンク部材22の向き(すなわち軸線Lを中心に揺動するリンク部材22の前端の高さ)が定まる。リンク部材22の向きが定まると、主ロッド部33すなわちリンクロッド30の上下方向の位置が定まる。これにより、シャッタアーム16の向き(すなわち第1弁軸11aを中心とするシャッタアーム16の回動角度)が定まり、第1バタフライ弁11および第2バタフライ弁12の開度が定まる。
【0027】
図1に示されるように、背負式動力散布機100では、散布剤タンク7とシャッタケース10aと送風機6とを有してなる散布機本体8と、背負枠1との間に、一定のスペースSが形成されている。このスペースSは、左右方向および上下方向に延びている。散布機本体8(たとえば、ファンケース6aまたはシャッタケース10a)と背負枠1とは近接しているため、スペースSの前後方向の長さは短くなっている。
【0028】
上記した第1ギヤ13、第2ギヤ14、シャッタアーム16およびリンクロッド30は、前後方向に狭いスペースSに配置されている。
【0029】
次に、
図3〜
図7を参照して、リンクロッド30の上部の構造について詳細に説明する。
図3、
図6および
図7に示されるように、主ロッド部33の上端には、前方から見て三角形状をなすストッパASSY40が設けられている。ストッパASSY40は、シャッタアーム16に対するリンクロッド30の先端34aの連結状態(係止状態)を保持・解除するために設けられる。
【0030】
ストッパASSY40には、リンクロッド30の上端部34が組み込まれている。より詳細に説明すると、主ロッド部33の上端部である結合端部33aには、ハンドル部41の筒状部41aが螺合等によって結合している。L字状の上端部34は、この筒状部41aと一体的に形成されて、筒状部41aから上方に延びている。
【0031】
図6および
図7に示されるように、リンクロッド30の上端部34は、主ロッド部33と一直線状に延在する起立棒状部34dと、起立棒状部34dの上端から前方に延びる係止棒状部34cとを有する。係止棒状部34cの先端34aには、円環状の係合溝34b(
図2参照)が形成されている。このように、係止棒状部34cは前後方向に延在しており、先端34aは、後方から前方に向けて、シャッタアーム16の係止孔16bに挿入され、係止される。
【0032】
図3、
図6および
図7に示されるように、ストッパASSY40は、リンクロッド30の上端部34と、リンクロッド30から左側方(
図3に示す右側)に延びるハンドル部41と、ハンドル部41の左端(すなわち先端)から上端部34の先端34aに向けて延びるストッパアーム43とを有する。
【0033】
ハンドル部41は、リンクロッド30の上端部34に設けられて、スペースSにおいて側方に延びている。ハンドル部41は、主ロッド部33の上端部に結合された筒状部41aと、筒状部41aから左側方に延びる把持部41bと、把持部41bの先端(すなわち左側端部)に形成された軸部41cとを有する。把持部41bは、主ロッド部33に対して、たとえば垂直に延びる。軸部41cは、把持部41bの先端から前方に突出する。把持部41bは、スペースS内に収まってもよいし、その先端がスペースSから側方に突出してもよい。
【0034】
ストッパアーム43は、軸部41cに嵌合された基端部43bと、基端部43bから斜め右上に延びるアーム部43aとを有する。基端部43bが軸部41cに対して回動可能であることにより、ストッパアーム43は、軸部41cを中心に揺動する。アーム部43aの先端部には、ストッパ部45が一体的に設けられている。ストッパ部45は、シャッタアーム16に対するリンクロッド30の先端34aの連結状態(係止状態)を保持する。すなわち、ストッパ部45は、シャッタアーム16からリンクロッド30の先端34aが脱落するのを防止する。
【0035】
ハンドル部41とストッパアーム43とは、所定の角度をなしている。ハンドル部41とストッパアーム43の位置関係(すなわち離間距離)は、たとえば、大人の片手で握れる位置関係(すなわち離間距離)にある。
【0036】
図6および
図7に示されるように、ストッパ部45は、アーム部43aの先端に連設されて上方に延びる係合板部45aと、係合板部45aの後面に連設されて後方に延びる平板部45cと、平板部45cの後端部から下方に突出するように形成された円筒状のガイド部45dとを有する。係合板部45aは、前後方向に垂直な方向に延在しており、その上端には係合凹部45b(
図8も参照)が形成されている。係合板部45aに係合凹部45bが形成されることにより、係合板部45aは、シャッタアーム16の係止孔16bから前方に突出した先端34aの係合溝34bに対して嵌合可能である。
【0037】
ガイド部45dには、左側方に向けて開放されたガイド凹部45eが形成されている。ガイド凹部45eはU字状に形成されており、その幅はリンクロッド30の上端部34の直径よりも大きい。ガイド凹部45eには、上端部34の起立棒状部34dが嵌り込んでいる。これにより、ストッパ部45の前後方向の移動が規制されている。ガイド部45dには、下方に向けて開放された円柱状のばね収容部45fが形成されている。ばね収容部45fの直径はガイド凹部45eの幅よりも大きい。言い換えれば、ガイド凹部45eとばね収容部45fとは連通しているが、それらの間には段差が形成されている。
【0038】
ストッパ部45のガイド部45dと、ハンドル部41の筒状部41aとの間には、圧縮コイルばねであるばね部材47が設けられている。ばね部材47には、リンクロッド30の起立棒状部34dが貫通している。ばね部材47の上端は、ばね収容部45fに収容されて段差に当接しており、ばね部材47の下端は、筒状部41aの上面に当接している。このばね部材47は、ストッパ部45が先端34aに係合する方向、すなわち上方に、ストッパ部45を付勢する。
【0039】
以上の構成により、ストッパアーム43は、軸部41cを中心として上方に揺動するように付勢されている。ストッパアーム43の先端部に設けられたストッパ部45は、起立棒状部34dに沿って上下動可能であり、上方に移動するように付勢されている。
【0040】
上記のストッパASSY40によれば、
図8に示されるように、操作者が、ハンドル部41の把持部41bを把持しつつ、ストッパアーム43のアーム部43aに親指をかけて、ハンドル部41およびストッパアーム43間の角度が小さくなる方向に握ることにより、ストッパアーム43はばね部材47の付勢力に抗して下方に揺動する。これに伴い、ストッパ部45の係合凹部45bがリンクロッド30の先端34aから離脱し、先端34aは、係止孔16bから後方に向けて引き抜き可能になる。なお、この作業は、作業者が背負式動力散布機100を降ろした状態で行われる。
【0041】
ここで、ストッパアーム43が下方に揺動すると(すなわちストッパ部45が円弧を描きながら下方に移動すると)、ガイド部45dの下端が筒状部41aの上端に当接することにより、ストッパアーム43は制止される。
【0042】
言い換えれば、ストッパアーム43は、係合板部45aが先端34aに係合する係合位置P1(
図8において実線で示される)と、ストッパアーム43が制止された制止位置P2(
図8において仮想線で示される)との間で揺動可能である。制止位置P2では、ストッパ部45はシャッタアーム16の下端よりも下に位置している。さらに、ストッパASSY40においては、リンクロッド30の先端34aの挿抜方向と、ストッパ部45の係止方向(ストッパアーム43の揺動方向)とは異なっている。
【0043】
以上説明した背負式動力散布機100によれば、散布機本体8と背負枠1との間のスペースSには、シャッタアーム16と、シャッタアーム16に係止されるリンクロッド30とが配置される。このリンクロッド30の下端部は操作レバー21に連結されており、上端部34の先端34aがシャッタアーム16に係止される。作業者によって操作レバー21が操作されると、リンクロッド30とシャッタアーム16を介して、第1弁軸11aが回転させられる。これにより、シャッタケース10aにおける第1バタフライ弁11の開度が変化させられる。リンクロッド30には、散布機本体8と背負枠1との間のスペースSにおいて側方に延びるハンドル部41が設けられている。よって、リンクロッド30が狭いスペースSに存在する場合でも、ハンドル部41を持つことによって、リンクロッド30を動かすことができる。その結果として、リンクロッド30を扱う際の作業性が向上している。
【0044】
たとえば、ハンドル部41によって、リンクロッド30の軸方向を中心とした回転角度を自在に調整できる。すなわち、リンクロッド30にハンドル部41を設けたことにより、リンクロッド30の回転をハンドル部41でコントロールすることができる。よって、先端34aをシャッタアーム16の係止孔16bに合わせやすい。
【0045】
また、ストッパ部45によって、シャッタアーム16に対する先端34aの係止状態が保持される。ストッパ部45は、ハンドル部41に対して上下動可能に取り付けられているため、たとえば、ハンドル部41を持ちながらストッパ部45を上下動させて、シャッタアーム16に対する先端34aの係止状態を解除することができる。このように、リンクロッド30の上端部34をシャッタアーム16から取り外したい場合等に、作業性が向上する。しかも、リンクロッド30の先端34aの挿抜方向と、ストッパ部45の係止方向(ストッパアーム43の揺動方向)とが異なっているので、先端34aの着脱が非常に容易である。
【0046】
また、ハンドル部41にストッパアーム43が取り付けられ、そのストッパアーム43の先端部にストッパ部45が設けられる。ストッパアーム43がハンドル部41に対して揺動可能であるため、たとえば、ハンドル部41を持ちながらストッパアーム43を動かす(すなわち握る)ことにより、ストッパ部45を上下動させることができる。よって、シャッタアーム16に対する先端34aの係止状態を一層容易に解除することができる。
【0047】
また、ストッパ部45はばね部材47によって付勢されて、リンクロッド30の先端34aに係合する。これにより、通常時はリンクロッド30の先端34aがシャッタアーム16に係止する係止状態を保持しつつ、係止状態を解除したい場合には、ばね部材47の付勢力に抗してストッパ部45を下方に移動させるだけでよい。したがって、たとえば、作業者の片手のみによって係止状態を解除させることができる。しかも、スペースSの深部に手を入れることなく、リンクロッド30をシャッタアーム16に着脱できる。
【0048】
また、ガイド凹部45eによって、ストッパ部45がリンクロッド30の起立棒状部34dに沿うように案内されるため、ストッパ部45を安定して移動させることができる。
【0049】
さらには、ストッパASSY40はリンクロッド30に組み付けられているので、ハンドル部41を介してリンクロッド30をシャッタアーム16から抜くことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、ストッパ部45とハンドル部41との間にばね部材47が設けられる場合に限られず、ストッパアーム43のアーム部43aとハンドル部41との間にばね部材が設けられてもよい。ストッパ部45を係合位置P1に向けて付勢するばね部材であれば、どの位置に設けられてもよい。
【0051】
ストッパアーム43は、ハンドル部41に対して揺動する場合に限られず、ハンドル部41から離間するように(たとえば平行に延在するように)設けられて、上下動してもよい。この場合、ストッパアーム43とハンドル部41との間にばね部材が設けられてもよい。
【0052】
ストッパアーム43が設けられる場合に限られず、リンクロッド30に沿って上下動するストッパ部45のみが設けられてもよい。ストッパ部45において、ガイド凹部45eが省略されてもよい。ストッパ部45は、リンクロッド30の起立棒状部34dが挿通されるガイド孔部を有してもよい。ストッパアーム43の先端にストッパ部45が設けられる場合には、起立棒状部34dの円弧状の動きを許容するように、起立棒状部34dの直径に対してガイド孔部の直径を大きくし、ガイド孔部内に起立棒状部34dを遊嵌させてもよい。ストッパアーム43が設けられない場合には、起立棒状部34dの直径に対してガイド孔部の直径を僅かに大きくし、ガイド孔部内で起立棒状部34dの前後方向および左右方向の動きを規制してもよい。
【0053】
シャッタアーム16に対するリンクロッド30の先端34aの係止状態は、係止孔16bに挿入される場合に限られず、アーム板部16aに引っ掛かるような態様でもよい。