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特許6249497面積が互いに異なる電極を含んでいる電極積層体及びこれを含む二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249497
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】面積が互いに異なる電極を含んでいる電極積層体及びこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20171211BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20171211BHJP
   H01M 2/18 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M4/13
   H01M4/131
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/485
   H01M10/0583
   H01M10/0525
   H01M10/0565
   H01M2/16 P
   H01M2/18 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-549287(P2015-549287)
(86)(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公表番号】特表2016-506603(P2016-506603A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】KR2014003029
(87)【国際公開番号】WO2014168398
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0039687
(32)【優先日】2013年4月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ヒー・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジヒュン・キム
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0225345(US,A1)
【文献】 特開2008−282739(JP,A)
【文献】 特開2012−243461(JP,A)
【文献】 特開2009−158335(JP,A)
【文献】 特開2012−033279(JP,A)
【文献】 特開2001−210324(JP,A)
【文献】 特開2003−045494(JP,A)
【文献】 特表2003−523060(JP,A)
【文献】 特開2011−065993(JP,A)
【文献】 特開2011−113961(JP,A)
【文献】 特開2001−229979(JP,A)
【文献】 特開2007−305581(JP,A)
【文献】 特表2013−524460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 2/16
H01M 2/18
H01M 4/13
H01M 4/131
H01M 4/485
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 10/0525
H01M 10/0565
H01M 10/0583
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極集電体上に陽極材コーティング層が形成されている陽極;陰極集電体上に陰極材コーティング層が形成されている陰極;及び陽極と陰極の間に挟まれている多孔性高分子膜;を含む電極積層体であって、
陽極、陰極及び多孔性高分子膜は、平面を基準に高さ方向に積層されており、
前記電極積層体の積層方向における両端が陰極であり、
陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広く、
前記陰極材コーティング層は、Li1.33Ti1.67またはLiTiを含み、
前記陽極材コーティング層は、下記化学式2で表現されるスピネル構造のリチウム金属酸化物を含んでおり、
陰極の全容量は陽極の全容量より少ないか同じ(N/P ratio≦1)ものであり、
前記電極積層体は、前記陰極が前記陽極間に位置し、前記陽極と前記陰極の間には前記多孔性高分子膜が挟まれている構造の第1単位体と、前記陽極が前記陰極の間に位置し、前記陽極と前記陰極の間には前記多孔性高分子膜が挟まれている構造の第2単位体との組合せからなっており、
前記第1単位体と前記第2単位体の間に挟まれている多孔性高分子膜は、電極端子が形成されていない前記第1単位体及び前記第2単位体のそれぞれの側面を包んでいる分離シートであることを特徴とする、電極積層体
LiNiMn2−y (2)
前記式で、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5である。
【請求項2】
単位面積当たり陽極活物質の質量が単位面積当たり陰極活物質の質量より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項3】
単位面積当たり陰極の可逆容量に対する単位面積当たり陽極の可逆容量の比は1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項4】
陽極厚さは陰極の厚さと同一であることを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項5】
陽極厚さは陰極の厚さより厚いことを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項6】
陽極材コーティング層の体積は陰極材コーティング層の体積と同一であることを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項7】
陽極材コーティング層の体積は陰極材コーティング層の体積より大きく、前記陰極材コーティング層のコーティング体積は、前記陽極材コーティング層のコーティング体積の90%であることを特徴とする、請求項1に記載の電極積層体。
【請求項8】
前記リチウム金属酸化物は、LiNi0.5Mn1.5またはLiNi0.4Mn1.6であることを特徴とする、請求項に記載の電極積層体。
【請求項9】
前記電極積層体は、分離シート上に第1単位体と第2単位体を配列し、分離シートを巻き取るか折り曲げることで製作されることを特徴とする、請求項に記載の電極積層体。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項による電極積層体をケースに内蔵された状態でケースを密封したことを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項11】
25℃の温度で1Cの充電速度で充電し1Cの放電速度で充放電を繰り返すとき、100回での容量維持率が70%以上であることを特徴とする、請求項10に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記リチウム二次電池はリチウムイオン電池であることを特徴とする、請求項10に記載のリチウム二次電池。
【請求項13】
前記リチウム二次電池はリチウムイオンポリマー電池であることを特徴とする、請求項10に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は陽極集電体上に陽極材コーティング層が形成されている陽極;陰極集電体上に陰極材コーティング層が形成されている陰極;及び陽極と陰極の間に挟まれている多孔性高分子膜;を含み、陽極、陰極及び多孔性高分子膜は、最外側電極が陰極となるように平面を基準に高さ方向に積層されており、陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より大きいことを特徴とする電極積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染の関心が高くなり、環境に優しい代替エネルギー源に対する要求が未来生活のための必須不可欠な要因となっている。よって、原子力、太陽光、風力、潮力などの多様な電力生産技術に対する研究が持続しており、このように生産されたエネルギーをもっと効率的に使うための電力貯蔵装置にも至大な関心が集まっている。
【0003】
特に、リチウム二次電池の場合、モバイル機器に対する技術開発及び需要が高くなるにつれてエネルギー源としての需要が急激に増加しており、近年には電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)の動力源としての使用が実現化しており、グリッド(Grid)化による電力補助電源などの用途にも使用領域が拡がっている。
【0004】
リチウム二次電池は、集電体上にそれぞれコーティング層が塗布されている陽極と陰極の間に多孔性の高分子膜が挟まれた電極組立体にリチウム塩を含む非水系電解質が含浸されている構造になっている。陽極コーティング層は主にリチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウムニッケル系酸化物、リチウム複合酸化物などからなっており、陰極コーティング層は主に炭素系物質からなっている。
【0005】
しかし、陰極コーティング層として炭素系物質を用いたリチウム二次電池においては、最初の充放電の際、炭素系物質の層状構造内に挿入された一部のリチウムイオンで非可逆容量が発生し、放電容量の低下がもたらされる。また、炭素材料は、酸化/還元電位がLi/Liの電位に対して0.1V程度と低いので、陰極表面で非水系電解液の分解が引き起こされ、リチウムと反応して炭素材料表面を被覆する層(passivating layerまたはsolid electrolyte interface;SEI膜)が形成される。このようなSEI膜は使用する電解液システムによってその厚さ及び境界面の状態が変わって充放電特性にも影響を及ぼす。さらに、パワーツールなどのように高出力特性が要求される分野に使われる二次電池においては、このような薄厚のSEI膜であっても、これによって抵抗が高くなってRDS(rate determining step)となることができる。また、陰極表面にリチウム化合物が生成することにより、充放電の繰り返しによってリチウムの可逆容量が徐々に減少し、放電容量が減少して、サイクル(cycle)劣化が発生するという問題がある。
【0006】
一方、構造的に安定してサイクル特性が良好な陰極コーティング層として、リチウムチタン酸化物(Lithium Titanium Oxide:LTO)が検討されている。このようなリチウムチタン酸化物を陰極コーティング層として含むリチウム二次電池は、陰極の酸化/還元電位がLi/Liの電位に対して1.5V程度と相対的に高くて電解液の分解がほとんど発生せず、結晶構造の安全性によってサイクル特性が優秀である。
【0007】
また、陽極コーティング層としてはLiCoOが主に使われたが、現在はその外に他の層状陽極コーティング層としてNi系(Li(Ni−Co−Al)O)、Ni−Co−Mn系(Li(Ni−Co−Mn)O)などと高安定性スピネル型Mn系(LiMn)などが使われている。特に、スピネル型マンガン系電池はひととき携帯電話にも適用されたが、高機能最優先の携帯電話市場に直面し、エネルギー密度が段々低下して、低価格という利点を活用することができなかった。これにより、スピネル型マンガン系陽極活物質のエネルギー密度を高める方法に対して多くの研究が進んでいる。
【0008】
一方、リチウム二次電池のエネルギー密度を高める方法にはいくつかのものを考慮することができるが、その中でも電池の作動電位を上昇させることが効果的な方法である。従来のLiCoO、LiNiO、LiMnを陽極材コーティング層として使用したリチウム二次電池は、作動電位がいずれも4V級のもので、平均作動電位が3.6〜3.8Vである。これはCoイオン、NiイオンまたはMnイオンの酸化還元によって電位が決定されるからである。これに対し、LiMnのMnの一部をNiなどに切り替えたスピネル構造を持つ化合物を陽極コーティング層として使えば、5V級の作動電位を持つリチウム二次電池を得ることが可能である。したがって、リチウムチタン酸化物の陰極コーティング層に対応する陽極コーティング層として近年に検討されているものがリチウムニッケルマンガン複合酸化物(LNMO)である。
【0009】
しかし、陽極及び陰極コーティング層として、前記リチウムチタン酸化物とリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含むリチウム二次電池の場合、陽極と陰極のコーティング面積及び配列によって総エネルギーと寿命安全性が影響を受けるので、前記陽極と陰極の適切なコーティング面積及び配列が重要である。
【0010】
したがって、このような要求を根本的に解決することができる技術の必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような従来技術の問題点と過去からあってきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0012】
本発明の発明者は、深い研究及び多様な実験を通じて、陽極、陰極、及び前記陽極と陰極の間に挟まれる多孔性高分子膜を含む電極積層体において、陽極材コーティング層のコーティング面積を陰極材コーティング層のコーティング面積より広く構成し、陽極、陰極及び多孔性高分子膜を、最外側電極が陰極になるように、平面を基準に高さ方向に積層することで、二次電池の寿命特性及びエネルギー性能を極大化させることができることを確認した。
【0013】
また、本発明の他の目的は、別途の装置や更なる工程の付加なく、陽極及び陰極の適切なコーティング面積及び配列によって所望の効果を発揮して、製造工程を簡素化し、製造コストを節減することができる電極積層体及びこれを含む二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明による電極積層体は、陽極集電体上に陽極材コーティング層が形成されている陽極;陰極集電体上に陰極材コーティング層が形成されている陰極;及び陽極と陰極の間に挟まれている多孔性高分子膜;を含み、
陽極、陰極及び多孔性高分子膜は、最外側電極が陰極になるように、平面を基準に高さ方向に積層されており、
陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広い構造になっている。
【0015】
従来、陰極活物質として炭素系物質を使う場合、陰極表面にリチウム化合物が生成することによる可逆容量の減少という問題のため、陰極の容量が陽極の容量より大きくなければならなかったが、LTOを使うことによってリチウムプレイティングを防止することができるようになり、陰極容量制限のセル設計が可能となった。
【0016】
したがって、高電圧陽極使用の際、問題となった電解液が酸化する電位でセルが作動して発生するガス放出及び副産物の生成は陰極の全容量を陽極の全容量より少なくするか同じにして(N/P ratio≦1)、陰極のカットオフ電圧(cut−off voltage)に先にかかるようにすることで、陽極の電位が高く上がることを防いで解決することができる。
【0017】
本発明による電極積層体及びこれを含む二次電池は、陰極の容量を陽極の容量より少なくするために、陽極材コーティング層のコーティング面積を陰極材コーティング層のコーティング面積より広く構成することができる。
【0018】
前記電極積層体は、単位面積当たり陽極活物質の質量が単位面積当たり陰極活物質の質量より大きくてよい。
【0019】
また、前記電極積層体は、単位面積当たり陰極の可逆容量に対する単位面積当たり陽極の可逆容量の比は1以下であることができる。
【0020】
このような場合、前記陽極の厚さは陰極の厚さと同一であるか、陰極の厚さより厚い構造であることができる。
【0021】
また、前記陽極材コーティング層の体積は陰極材コーティング層の体積と同一であるか、陰極材コーティング層の体積より大きい構造であることができる。
【0022】
一具体例において、前記電極積層体は、陰極が陽極間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性高分子膜が挟まれている構造の第1単位体と、陽極が陰極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性分離膜が挟まれている構造の第2単位体との組合せ構造であることができる。
【0023】
前記陽極材コーティング層は下記化学式1で表現されるスピネル構造のリチウム金属酸化物を含むことができる。
【0024】
LiMn2−y4−z (1)
【0025】
前記式で、0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0026】
また、前記化学式1の酸化物は下記化学式2で表現できる。
【0027】
LiNiMn2−y (2)
【0028】
前記式で、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5であり、
この場合、前記リチウム金属酸化物はLiNi0.5Mn1.5またはLiNi0.4Mn1.6であることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
他の具体例において、前記陰極材コーティング層は下記化学式3で表現されるリチウム金属酸化物を含むことができる。
【0030】
LiM’4−c (3)
【0031】
前記式で、M’はTi、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
a及びbは0.1≦a≦4;0.2≦b≦4の範囲でM’の酸化数(oxidation number)によって決定され、
cは0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0032】
また、前記化学式3の酸化物は下記化学式4で表現できる。
【0033】
LiM’4−c (4)
【0034】
前記式で、M’はTi、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
a及びbは0.5≦a≦3;1≦b≦2.5の範囲でM’の酸化数によって決定され、
cは0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0035】
このような場合、前記リチウム金属酸化物はLi1.33Ti1.67またはLiTiであることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
一具体例において、前記第1単位体と第2単位体の間に挟まれている多孔性高分子膜は、電極端子が形成されていない第1単位体及び第2単位体のそれぞれの側面を包んでいる分離シートであることができる。
【0037】
前記電極積層体は、分離シート上に第1単位体と第2単位体を配列し、分離シートを巻き取るか折り曲げることで製作できる。
【0038】
本発明による電極積層体のその他の成分については以下に説明する。
【0039】
前記陽極は、陽極集電体上に陽極活物質、導電材及びバインダーの混合物である陽極材を塗布した後、乾燥及びプレシングすることで製造され、必要によっては前記混合物に充填材をさらに添加することもある。
【0040】
前記陽極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製作する。このような陽極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも高伝導性を持つものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。集電体はその表面に微細な凹凸を形成して陽極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0041】
前記導電材は、通常的に陽極活物質を含む混合物の全重量を基準に1〜50重量%で添加される。このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を持つものであれば特に制限されるものではない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスキー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用できる。
【0042】
前記バインダーは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に役立つ成分で、通常、陽極活物質を含む混合物全重量を基準に1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0043】
前記充填材は陽極の膨脹を抑制する成分として選択的に使われ、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使われる。
【0044】
一方、前記陰極は、陰極集電体上に陰極活物質を含んでいる陰極材を塗布、乾燥及びプレシングすることで製造され、必要によって前記のような導電材、バインダー、充填材などが選択的にさらに含まれることができる。
【0045】
前記陰極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製作される。このような陰極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を持つものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、銅ステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが使用できる。また、陽極集電と同様に、表面に微細な凹凸を形成して陰極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に使用できる。
【0046】
前記多孔性高分子膜は陽極と陰極の間に挟まれ、高いイオン透過度と機械的強度を持つ絶縁性の薄膜が使われる。多孔性高分子膜の気孔の直径は一般的に0.01〜10μm、厚さは一般的に5〜300μmである。このような多孔性高分子膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラスまたはポリエチレンなどから作られたシートや不織布などが使われる。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使われる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0047】
また、本発明は、前記電極積層体をケースに内蔵した状態で電極リチウム塩含有電解液が含浸されており、前記ケースが密封されたリチウム二次電池を提供する。
【0048】
本発明による二次電池のその他の成分については以下に説明する。
【0049】
前記リチウム塩含有電解液は電解液とリチウム塩からなっており、前記電解液としては非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使われるが、これに限定されるものではない。
【0050】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイト、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネイト誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、ピロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
【0051】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテイションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが使用できる。
【0052】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸などが使用できる。
【0053】
前記リチウム塩は前記非水系電解質に溶解しやすい物質で、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用できる。
【0054】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善のために、例えば、ピリジン、亜リン酸トリエチル、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−Gleim(glyme)、ヘキサフォスフェートトリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもできる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含むこともでき、高温保存特性を向上させるために、二酸化炭酸ガスをさらに含むこともでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含むことができる。
【0055】
好ましい一例において、LiPF、LiClO、LiBF、LiN(SOCFなどのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるECまたはPCの環状炭酸エステルと低粘度溶媒であるDEC、DMCまたはEMCの線形カーボネイトの混合溶媒に添加してリチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0056】
前記リチウム二次電池は、25℃の温度で1Cの充電速度で充電し、1Cの放電速度で充放電を繰り返すとき、100回での容量維持率が70%以上であることができる。
【0057】
また、前記リチウム二次電池はリチウムイオン電池であるか、またはリチウムイオンポリマー電池であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明の一実施例による電極積層体の模式図である。
図2】本発明の他の実施例による電極積層体の模式図である。
図3】本発明のさらに他の実施例による電極積層体の模式図である。
図4】本発明の実施例1及び比較例1〜比較例3による電極積層体の模式図である。
図5】本発明の実施例1及び比較例2による電極積層体のサイクルによる性能実験結果を示す模式図である。
図6】本発明の比較例3及び比較例4による電極積層体のサイクルによる性能実験結果を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明するが、これは本発明のもっと容易な理解のためのもので、本発明の範疇がこれによって限定されるものではない。
【0060】
図1には本発明の一実施例による電極積層体の模式図が示されている。
【0061】
まず、図1を参照すれば、本発明による電極積層体100は、陽極集電体上に陽極材コーティング層が形成されている陽極130;陰極集電体上に陰極材コーティング層が形成されている陰極111、112;及び陽極130と陰極111、112の間に挟まれている多孔性高分子膜121、122;を含む構造になっており、前記陽極130、陰極111、112及び多孔性高分子膜121、122は、最外側電極が陰極111、112になるように、平面を基準に高さ方向に積層されており、前記陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広い構造になっている。
【0062】
すなわち、前記電極積層体100は、相対的にコーティング面積が小さな二つの陰極111、112の間に相対的にコーティング面積が広い一つの陽極130が多孔性高分子膜121、122を挟んで前記二つの陰極111、112と対面している構造になっている。
【0063】
このような場合、前記陽極130は活物質としてリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含んでおり、前記陰極111、112は活物質としてリチウムチタン酸化物を含んでいる。
【0064】
図2には本発明の他の実施例による電極積層体の模式図が示されている。
【0065】
図2を参照すれば、本発明による電極積層体200は、陰極が陽極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性高分子膜が挟まれている構造の第1単位体202、204と、陽極が陰極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性分離膜が挟まれている構造の第2単位体201、203、205との組合せ構造になっている。
【0066】
また、各単位体201、202、203、204、205を成す陽極及び陰極において、陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広い構造になっている。
【0067】
また、前記各単位体201、202、203、204、205を成す陽極は活物質としてリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含んでおり、陰極は活物質としてリチウムチタン酸化物を含んでいる。
【0068】
前記電極積層体200の第1単位体202、204と第2単位体201、203、205の間に挟まれている多孔性高分子膜206は、電極端子が形成されていない第1単位体202、204及び第2単位体201、203、205のそれぞれの側面を包んでいる分離シートである。
【0069】
また、前記電極積層体200は、分離シート上に第1単位体202、204と第2単位体201、203、205を配列し、分離シートを折り曲げることで製作される。
【0070】
図3には本発明のさらに他の実施例による電極積層体の模式図が示されている。
【0071】
図3を参照すれば、図2の電極積層体200と同様に、本発明による電極積層体300は、陰極が陽極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性高分子膜が挟まれている構造の第1単位体302、304と、陽極が陰極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性分離膜が挟まれている構造の第2単位体301、303、305との組合せ構造になっている。
【0072】
また、各単位体301、302、303、304、305を成す陽極及び陰極において、陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広い構造になっている。
【0073】
また、前記各単位体301、302、303、304、305を成す陽極は活物質としてリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含んでおり、陰極は活物質としてリチウムチタン酸化物を含んでいる。
【0074】
前記電極積層体300の第1単位体302、304と第2単位体301、303、305の間に挟まれている多孔性高分子膜306は、電極端子が形成されていない第1単位体302、304及び第2単位体301、303、305のそれぞれの側面を包んでいる分離シートである。
【0075】
また、前記電極積層体200は、分離シート上に第1単位体202、204と第2単位体201、203、205を配列し、分離シートを巻き取ることで製作される。
【0076】
以下、実施例に基づいて本発明の内容を詳細に説明するが、本発明の範疇がこれによって限定されるものではない。
【0077】
<実施例1>
LiNi0.5Mn1.5の組成を持つ陽極活物質を使用し、陽極活物質:Super−P:SBR/CMCの量が重量比で95:2.5:2.5となるように計量した後、ミキサーに入れてミキシング(mixing)して陽極合剤を製造した後、20μm厚さのアルミニウムホイルに前記陽極合剤を200μmの厚さでコートした後、圧延及び乾燥して陽極を製造した。
【0078】
Li1.33Ti1.67の組成を持つ陰極活物質を使用し、陰極活物質:Super−P:SBR/CMCの量が重量比で95:2.5:2.5となるように計量した後、ミキサーに入れてミキシングして陰極合剤を製造した後、20μm厚さの銅ホイルに前記陰極合剤を200μm厚さでコートした後、圧延及び乾燥することで、陰極材コーティング層のコーティング面積が前記陽極材コーティング層のコーティング面積の90%である陰極を製造した。
【0079】
前記二つの陰極の間に多孔性高分子膜を介して一つの陽極を挟んで電極積層体を製造した。
【0080】
前記電極積層体と電解質としてLiPFが1モル溶けており、EC:PCの量が1:1のカーボネイト電解液を用いて電池を製作した。
【0081】
<比較例1>
最外層と同様な方法で二つの陽極の間に多孔性高分子膜を介して一つの陰極を挟んだ電極積層体を使ったことを除き、実施例1と同様の方法で電池を製作した。
【0082】
<比較例2>
陽極材コーティング層のコーティング面積が陰極材コーティング層のコーティング面積の90%であり、二つの陽極の間に多孔性高分子膜を介して一つの陰極を挟んだ電極積層体を使ったことを除き、実施例1と同様の方法で電池を製作した。
【0083】
<比較例3>
陽極材コーティング層のコーティング面積が陰極材コーティング層のコーティング面積の90%である電極積層体を使ったことを除き、実施例1と同様の方法で電池を製作した。
【0084】
<実験例1>
実施例1と比較例1、2及び3の電池を用い、25℃の条件で、1C充電、1C放電の条件で充放電を100回繰り返し実施してサイクル特性を評価し、その結果を図5及び図6のグラフで示した。
【0085】
図5及び図6のグラフを参照すれば、陰極のコーティング面積が陽極のコーティング面積の90%である電極積層体410、420を含んでいる実施例1及び比較例1の電池が、陽極材コーティング面積が陰極のコーティング面積の90%である電極積層体430、440を含んでいる比較例2及び比較例3の電池より優れた寿命特性及びエネルギー性能を発揮する。
【0086】
特に、図5を参照すれば、実施例1の電池は相対的にコーティング面積が小さな二つの陰極の間に多孔性高分子膜を介して、相対的にコーティング面積が広い陽極を挟むように電極積層体410を構成することで、二次電池の寿命特性とエネルギー性能を極大化させることができる。
【0087】
したがって、本発明による電極積層体及びこれを含む二次電池は、陽極材コーティング層のコーティング面積を陰極材コーティング層のコーティング面積より広く構成し、陽極、陰極及び多孔性高分子膜を、最外側電極が陰極になるように平面を基準に高さ方向に積層することで、二次電池の寿命特性とエネルギー性能を極大化させることができ、別途の装置や更なる工程の付加なく、陽極及び陰極の適切なコーティング面積及び配列によって所望の効果を発揮することにより、製造工程が簡素化し、製造コストを節減することができる効果を提供することができる。
【0088】
本発明が属した分野で通常の知識を持つ者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明による電極積層体及びこれを含む二次電池は、陽極材コーティング層のコーティング面積を陰極材コーティング層のコーティング面積より広く構成し、陽極、陰極及び多孔性高分子膜を、最外側電極が陰極になるように平面を基準に高さ方向に積層することで、二次電池の寿命特性とエネルギー性能を極大化させることができ、別途の装置や更なる工程の付加なく、陽極及び陰極の適切なコーティング面積及び配列によって所望の効果を発揮することにより、製造工程が簡素化し、製造コストを節減することができる効果がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6