【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明による電極積層体は、陽極集電体上に陽極材コーティング層が形成されている陽極;陰極集電体上に陰極材コーティング層が形成されている陰極;及び陽極と陰極の間に挟まれている多孔性高分子膜;を含み、
陽極、陰極及び多孔性高分子膜は、最外側電極が陰極になるように、平面を基準に高さ方向に積層されており、
陽極材コーティング層のコーティング面積は陰極材コーティング層のコーティング面積より広い構造になっている。
【0015】
従来、陰極活物質として炭素系物質を使う場合、陰極表面にリチウム化合物が生成することによる可逆容量の減少という問題のため、陰極の容量が陽極の容量より大きくなければならなかったが、LTOを使うことによってリチウムプレイティングを防止することができるようになり、陰極容量制限のセル設計が可能となった。
【0016】
したがって、高電圧陽極使用の際、問題となった電解液が酸化する電位でセルが作動して発生するガス放出及び副産物の生成は陰極の全容量を陽極の全容量より少なくするか同じにして(N/P ratio≦1)、陰極のカットオフ電圧(cut−off voltage)に先にかかるようにすることで、陽極の電位が高く上がることを防いで解決することができる。
【0017】
本発明による電極積層体及びこれを含む二次電池は、陰極の容量を陽極の容量より少なくするために、陽極材コーティング層のコーティング面積を陰極材コーティング層のコーティング面積より広く構成することができる。
【0018】
前記電極積層体は、単位面積当たり陽極活物質の質量が単位面積当たり陰極活物質の質量より大きくてよい。
【0019】
また、前記電極積層体は、単位面積当たり陰極の可逆容量に対する単位面積当たり陽極の可逆容量の比は1以下であることができる。
【0020】
このような場合、前記陽極の厚さは陰極の厚さと同一であるか、陰極の厚さより厚い構造であることができる。
【0021】
また、前記陽極材コーティング層の体積は陰極材コーティング層の体積と同一であるか、陰極材コーティング層の体積より大きい構造であることができる。
【0022】
一具体例において、前記電極積層体は、陰極が陽極間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性高分子膜が挟まれている構造の第1単位体と、陽極が陰極の間に位置し、陽極と陰極の間には多孔性分離膜が挟まれている構造の第2単位体との組合せ構造であることができる。
【0023】
前記陽極材コーティング層は下記化学式1で表現されるスピネル構造のリチウム金属酸化物を含むことができる。
【0024】
Li
xM
yMn
2−yO
4−zA
z (1)
【0025】
前記式で、0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0026】
また、前記化学式1の酸化物は下記化学式2で表現できる。
【0027】
Li
xNi
yMn
2−yO
4 (2)
【0028】
前記式で、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5であり、
この場合、前記リチウム金属酸化物はLiNi
0.5Mn
1.5O
4またはLiNi0.4Mn
1.6O
4であることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
他の具体例において、前記陰極材コーティング層は下記化学式3で表現されるリチウム金属酸化物を含むことができる。
【0030】
Li
aM’
bO
4−cA
c (3)
【0031】
前記式で、M’はTi、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
a及びbは0.1≦a≦4;0.2≦b≦4の範囲でM’の酸化数(oxidation number)によって決定され、
cは0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0032】
また、前記化学式3の酸化物は下記化学式4で表現できる。
【0033】
Li
aM’
bO
4−cA
c (4)
【0034】
前記式で、M’はTi、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
a及びbは0.5≦a≦3;1≦b≦2.5の範囲でM’の酸化数によって決定され、
cは0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され、
Aは−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0035】
このような場合、前記リチウム金属酸化物はLi
1.33Ti
1.67O
4またはLiTi
2O
4であることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
一具体例において、前記第1単位体と第2単位体の間に挟まれている多孔性高分子膜は、電極端子が形成されていない第1単位体及び第2単位体のそれぞれの側面を包んでいる分離シートであることができる。
【0037】
前記電極積層体は、分離シート上に第1単位体と第2単位体を配列し、分離シートを巻き取るか折り曲げることで製作できる。
【0038】
本発明による電極積層体のその他の成分については以下に説明する。
【0039】
前記陽極は、陽極集電体上に陽極活物質、導電材及びバインダーの混合物である陽極材を塗布した後、乾燥及びプレシングすることで製造され、必要によっては前記混合物に充填材をさらに添加することもある。
【0040】
前記陽極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製作する。このような陽極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも高伝導性を持つものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。集電体はその表面に微細な凹凸を形成して陽極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0041】
前記導電材は、通常的に陽極活物質を含む混合物の全重量を基準に1〜50重量%で添加される。このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を持つものであれば特に制限されるものではない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスキー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用できる。
【0042】
前記バインダーは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に役立つ成分で、通常、陽極活物質を含む混合物全重量を基準に1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0043】
前記充填材は陽極の膨脹を抑制する成分として選択的に使われ、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使われる。
【0044】
一方、前記陰極は、陰極集電体上に陰極活物質を含んでいる陰極材を塗布、乾燥及びプレシングすることで製造され、必要によって前記のような導電材、バインダー、充填材などが選択的にさらに含まれることができる。
【0045】
前記陰極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製作される。このような陰極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を持つものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、銅ステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが使用できる。また、陽極集電と同様に、表面に微細な凹凸を形成して陰極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に使用できる。
【0046】
前記多孔性高分子膜は陽極と陰極の間に挟まれ、高いイオン透過度と機械的強度を持つ絶縁性の薄膜が使われる。多孔性高分子膜の気孔の直径は一般的に0.01〜10μm、厚さは一般的に5〜300μmである。このような多孔性高分子膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラスまたはポリエチレンなどから作られたシートや不織布などが使われる。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使われる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0047】
また、本発明は、前記電極積層体をケースに内蔵した状態で電極リチウム塩含有電解液が含浸されており、前記ケースが密封されたリチウム二次電池を提供する。
【0048】
本発明による二次電池のその他の成分については以下に説明する。
【0049】
前記リチウム塩含有電解液は電解液とリチウム塩からなっており、前記電解液としては非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使われるが、これに限定されるものではない。
【0050】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイト、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネイト誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、ピロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
【0051】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテイションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが使用できる。
【0052】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸などが使用できる。
【0053】
前記リチウム塩は前記非水系電解質に溶解しやすい物質で、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用できる。
【0054】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善のために、例えば、ピリジン、亜リン酸トリエチル、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−Gleim(glyme)、ヘキサフォスフェートトリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもできる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含むこともでき、高温保存特性を向上させるために、二酸化炭酸ガスをさらに含むこともでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含むことができる。
【0055】
好ましい一例において、LiPF
6、LiClO
4、LiBF
4、LiN(SO
2CF
3)
2などのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるECまたはPCの環状炭酸エステルと低粘度溶媒であるDEC、DMCまたはEMCの線形カーボネイトの混合溶媒に添加してリチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0056】
前記リチウム二次電池は、25℃の温度で1Cの充電速度で充電し、1Cの放電速度で充放電を繰り返すとき、100回での容量維持率が70%以上であることができる。
【0057】
また、前記リチウム二次電池はリチウムイオン電池であるか、またはリチウムイオンポリマー電池であることができる。