特許第6249524号(P6249524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249524
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】毛髪改質剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/605 20060101AFI20171211BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171211BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20171211BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20171211BHJP
   A61K 135/00 20060101ALN20171211BHJP
【FI】
   A61K36/605
   A61P17/00
   A61K8/9789
   A61Q5/12
   A61K135:00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-45693(P2014-45693)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-168657(P2015-168657A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000241278
【氏名又は名称】豊玉香料株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597040773
【氏名又は名称】トヨタマ健康食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内舘 道正
(72)【発明者】
【氏名】小藤田 久義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸一
(72)【発明者】
【氏名】徐 萍
(72)【発明者】
【氏名】満月 眞寿
(72)【発明者】
【氏名】近藤 ひかり
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−47130(JP,A)
【文献】 特開2007−51120(JP,A)
【文献】 特開2010−116394(JP,A)
【文献】 Food and chmemical Toxicology,2011年,Vol.49, No.4,pp.785-790
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/605
A61K 8/9789
A61P 17/00
A61Q 5/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
桑枝の抽出物を有効成分とする毛髪改質剤。
【請求項2】
毛髪改質剤が傷んだキューティクルの修復剤である請求項1記載の毛髪改質剤。
【請求項3】
毛髪改質剤が経口摂取するものである請求項1または2記載の毛髪改質剤。
【請求項4】
桑枝の抽出物が抽出溶媒として含水アルコールを用いたものである請求項1乃至3のいずれかに記載の毛髪改質剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪改質剤に関する。より詳細には、傷んだキューティクルの修復が可能な天然成分由来の毛髪改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
3層構造を有する毛髪の最も外側に位置し、毛髪を保護する役割を担っているキューティクルが、洗髪時の摩擦などが原因で傷んでしまうと、毛髪がダメージを受けてハリやコシが損なわれる。従って、キューティクルのケアは、毛髪の健康状態を保つために重要であり、そのための様々なヘアケア製品が市販されている。また、近年、キューティクルのケアを細胞レベルで行う試みもなされており、例えば特許文献1では、キューティクルのもととなる細胞の分化を促進させる物質として、ヨモギやセイヨウトチノキなどに含まれる、エスクレチン、クエルセチン、バイカレインが報告されている。しかしながら、傷んだキューティクルの修復が可能な天然成分の探索は今なお意義深い状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−12645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、傷んだキューティクルの修復が可能な天然成分由来の毛髪改質剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、桑枝(Ramulus Mori)の含水エタノール抽出物が、経口摂取による傷んだキューティクルの修復作用を有することを見出した。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明の毛髪改質剤は、請求項1記載の通り、桑枝の抽出物を有効成分とする。
また、請求項2記載の毛髪改質剤は、請求項1記載の毛髪改質剤において、毛髪改質剤が傷んだキューティクルの修復剤である。
また、請求項3記載の毛髪改質剤は、請求項1または2記載の毛髪改質剤において、毛髪改質剤が経口摂取するものである。
また、請求項4記載の毛髪改質剤は、請求項1乃至3のいずれかに記載の毛髪改質剤において、桑枝の抽出物が抽出溶媒として含水アルコールを用いたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、傷んだキューティクルの修復が可能な天然成分由来の毛髪改質剤として、桑枝の抽出物を有効成分とする毛髪改質剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における桑枝の抽出粉末のHPLCクロマトグラムである。
図2】同、桑枝の抽出粉末をマウスに経口投与する前後の体重変化を示すグラフである。
図3】同、マウスの毛髪の摩擦係数に対する桑枝の抽出粉末の経口投与による作用を示すグラフである。
図4】同、マウスの毛髪のキューティクルに対する桑枝の抽出粉末の経口投与による作用を示す走査型プローブ顕微鏡写真(表面トポグラフィー)とグラフ(横断面プロファイル)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の毛髪改質剤は、桑枝の抽出物を有効成分とする。桑枝の抽出物が有する薬理作用としては、美白作用が知られているが(特許第3549717号公報)、毛髪改質作用はこれまでのところ知られていない。
【0010】
本発明において用いることができる桑としては、例えば、カラヤマグワ(Morus alba L.)、ヤマグワ(Morus bombycis koidz)、ログワ(Morus latifolia Poir.)、シマグワ(Morus acidosa Griff.)、これらの交配種や交雑種などが挙げられる。
【0011】
本発明において、桑枝の抽出物は、例えば、葉を除去した桑の枝を1〜5cm程度の大きさに切断して自然乾燥した後、抽出溶媒としての、水や、各種の有機溶媒、例えばメタノールやエタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール(水を含んでいてもよい)、アセトン(水を含んでいてもよい)、アセトニトリル(水を含んでいてもよい)、エーテル、ヘキサン、酢酸エチルなどに投入し、3〜100℃で1時間〜1週間震盪や静置させて成分抽出することで得ることができる。抽出溶媒は、単一の溶媒を用いてもよいし、複数の溶媒を混合して用いてもよい。こうして得られる抽出液は、そのまま液状抽出物として用いてもよいし、減圧濃縮を行って濃縮液にして用いてもよいし、凍結乾燥を行って固形物や粉末にして用いてもよい。なお、こうして得られる抽出液を、さらに硫安分画、ゲルろ過、イオンクロマトグラフィーなどによって精製し、得られた画分を液状抽出物として用いてもよい。また、例えば、最初にヘキサンを用いて抽出操作を行った後、順次、酢酸エチル、アセトン、水といったように、用いる抽出溶媒の極性をだんだんと高くして抽出操作を行い、いずれかの抽出溶媒を用いることで得られた抽出液を液状抽出物として用いてもよい。好適な抽出溶媒としては、40〜70℃に加温した含水アルコールが挙げられる。含水アルコールのアルコール濃度は、20〜80%が望ましく、30〜70%がより望ましく、40〜60%がさらに望ましい。
【0012】
本発明の毛髪改質剤の有効成分である桑枝の抽出物は、例えば、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、液剤などの経口剤の形態で摂取することで、傷んだキューティクルの修復作用を発揮する。経口剤の製剤組成は特段限定されるものではなく、自体公知の一般的なものを採用することができる。また、桑枝の抽出物は、各種の飲食品の成分として経口摂取してもよい。桑枝の抽出物の摂取量は、適用対象者の年齢や性別、症状の程度などに基づいて適宜決定すればよい。なお、桑枝の抽出物は、ヘアケア製品、例えばシャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなどに添加するなどして毛髪に直接適用してもよい。また、桑枝の抽出物は、ウシやブタなどの家畜、ニワトリなどの家禽、イヌやネコなどのペットなどのヒト以外の哺乳動物のための毛髪改質剤の有効成分として用いることもできる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0014】
実施例1:桑枝の抽出物の経口投与がマウスの毛髪に与える作用
(実験方法)
1.供与試料
岩手県のあおばねずみ(Morus alba,‘Aobanezumi’)の枝先端から1〜1.5mの新鮮な枝の部分を用いた。葉を除去した枝を2〜3cmサイズに切断し、自然乾燥させた。得られた乾燥チップを50±5℃の50%含水エタノールに浸漬して静置し、2時間かけて成分抽出した。この操作を合計3回行った。3回分の抽出液を混合し、真空濃縮して黄土色〜茶色の懸濁濃縮液(Mulberry Twig Extract,‘MTE’)を得た。得られた懸濁濃縮液500gを凍結乾燥し、回収した147.6gの茶色の粉末をマイナス20℃の冷凍庫で保存し、実験に用いた。
【0015】
2.実験動物
10週齡の、SAM系統の正常老化マウスSAM−R1(体重27〜32g:雄)と、老化促進マウスSAM−P8(体重23〜29g:雄)を、日本SLC社より購入した。正常老化マウス群(NC;SAM−R1)、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)、ポジティブコントロール群(老化促進マウスにN−アセチル−L−システィン(シグマ社)を100mg/kg体重/日で経口投与する群、NAC;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を5mg/kg体重/日で経口投与する群(5mg/kgMTE;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を25mg/kg体重/日で経口投与する群(25mg/kgMTE;SAM−P8)の5群に分け、1ケージに1頭ずつ飼育しながら、15週齢から実験を行った。動物飼育室は、室温を23±2℃、照明時間を12時間(朝7時に自動的に照明点灯、夜19時に自動的に消灯)に保った。飼育飼料(MFオリエンタル酵母工業社)とソフトチップ(日本SLC社)は滅菌して用いた。飲水は水道水を自由に行わせた。実験中、体重は毎日、摂食量と飲水量は隔日、計測した。なお、マウスの飼育および取り扱いは、国立大学法人岩手大学動物実験委員会認可のもとに行った。
【0016】
3.供試試料の投与
15週齢から、5mg/kgMTE群および25mg/kgMTE群に、滅菌水で溶解した桑枝の抽出粉末を、それぞれ5mg/kg体重/日および25mg/kg体重/日の投与量で12週間経口投与した。NAC群には滅菌水で溶解したN−アセチル−L−システィンを100mg/kg体重/日の投与量で12週間経口投与した。NC群およびAC群には生理食塩水(扶桑薬品工業社)を0.1mL/10g体重/日の投与量で12週間経口投与した。なお、マウスへの供試試料の経口投与は、胃ゾンデを用いて胃に直接行った。
【0017】
4.毛髪の摩擦係数(Coefficient of friction,COF)の測定
毛髪の表皮は損傷すればするほど摩擦係数が増加することが知られている(Bhushan B,et al.(2005)Wear,259,1012−1021)。供試試料の毛髪への作用を調べるために、Yamamoto K,et al.(2012)International Journal of Industrial Entomology,23,201−206に記載の携帯型摩擦計(ハンディラブテスターTL701、トリニティーラボ社)を用いてマウスの毛髪の摩擦係数を測定した。この摩擦計を用いれば、髪の束や顔面の肌などの部位の摩擦係数を測定できる(内舘道正ら(2008)日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集,455−456)。この摩擦計は、指先接触子(指先に見合った硬度と指紋パターンを模したもの)を利用して触覚を測定するものである。ジエチルエーテルでマウスを麻酔している間に、およそ0.5N荷重でマウスの頭頸部を滑走接触し、測定した。
【0018】
5.走査型プローブ顕微鏡(Scanning probe microscope,SPM)による毛髪の観察
マウスの頭頸部の毛髪をマウス用ハサミで根元から切断して採取し、タッピングモード走査型プローブ顕微鏡(SPA400,SII Nano−Technology社)を用いて観察した。毛髪は両面テープで観察プレートに固定し、SPMの試料台に載せ、微細な探針と毛髪根元の表面を微小な力で接触させて、水平(X,Y)に走査することで、表面性状Z(X,Y)を画像化した。
【0019】
6.毛髪性状パラメータの算出法
得られた表面性状データZ(X,Y)に対し、Sq:二乗平均平方根粗さ、SΔq:二乗平均平方根傾斜、Ssk:スキューネス、Sku:クルトシスの4つの表面性状(微細凹凸)に関するパラメータを算出し、それぞれの毛髪性状の特徴量とした。なお、これらのパラメータは以下の数式で定義される(以下の数式において、MとNはそれぞれX方向とY方向のデータ個数を意味し、ΔxとΔyはそれぞれX方向とY方向のデータ間隔を意味する)。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
【数3】
【0023】
【数4】
【0024】
7.統計分析
マウスの体重測定および摩擦係数測定において、JMP8ソフトウエア(SAS Institue Inc.,USA)を用いて分散分析(ANOVA)を行った。なお、有意差が認められた場合はDunnettの方法で事後検定(Post−hoc test)を行った。
【0025】
(実験結果)
1.桑枝の抽出粉末のChemical profilingによる特性評価
図1は桑枝の抽出粉末の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムである。図1(A)に示すように、桑枝の抽出粉末には、アザ糖として、1−デオキシノジリマイシン(DNJ)、2−O−α−ガラクトピラノシル−DNJ(Gal−DNJ)、ファゴミン(Fagomine)が存在することを確認した。また、図1(B)に示すように、オキシレスベラトロール(Oxyresveratrol)とレスベラトロール(Resveratrol)を同定することができた。なお、HPLCによるこれらの同定は、GL−7400シリーズ(GL Sciences Inc.)を用いて次のようにして行った。桑枝の抽出粉末を蒸留水5μLに溶解し、アザ糖は、カラムとしてInertsil ODS−3(φ4.6mm×150mm、5μm)(GL Sciences Inc.)を用い、移動相として0.1v/v%酢酸水溶液とアセトニトリルによるグラジエントを行い、カラム温度を35℃、流速を1mL/minとし、蛍光検出器による励起波長254nmと蛍光波長322nmで測定することで同定した。オキシレスベラトロールとレスベラトロールは、上記と同じカラムと同じ移動相によるグラジエントを行い、カラム温度を40℃、流速を0.6mL/minとし、UV検出器によるUV吸収波長310nmで測定することで同定した。
【0026】
2.マウスへの桑枝の抽出粉末の経口投与前後の体重変化
正常老化マウス群(NC;SAM−R1)、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)、ポジティブコントロール群(NAC;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を5mg/kg体重/日で経口投与した群(5mg/kgMTE;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を25mg/kg体重/日で経口投与した群(25mg/kgMTE;SAM−P8)の5群それぞれについて、供試試料を12週間経口投与する前後の体重変化を調べた結果を図2に示す。図2から明らかなように、いずれの群においても体重減少は認められず、桑枝の抽出粉末を経口投与したことによる健康への悪影響はないと判断した。
【0027】
3.マウスの毛髪の摩擦係数(COF)に対する桑枝の抽出粉末の経口投与による作用
正常老化マウス群(NC;SAM−R1)、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)、ポジティブコントロール群(NAC;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を5mg/kg体重/日で経口投与した群(5mg/kgMTE;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を25mg/kg体重/日で経口投与した群(25mg/kgMTE;SAM−P8)の5群それぞれについて、供試試料を12週間経口投与した後、201日齢から208日齢の間に毛髪の摩擦係数を測定した結果を図3に示す。図3から明らかなように、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)のCOFは、他の群と比較して有意に高く(P<0.001)、正常老化マウス群(NC;SAM−R1)のCOFよりも31%高かった。この結果から、老化が毛髪の損傷を伴うことが確認できた。しかしながら、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を25mg/kg体重/日で経口投与した群(25mg/kgMTE;SAM−P8)のCOFは、ポジティブコントロール群(NAC;SAM−P8)のCOFと同程度であり、桑枝の抽出粉末の経口投与によって老化に伴う毛髪の損傷が改善されることがわかった。
【0028】
4.走査型プローブ顕微鏡(SPM)によって観察されたマウスの毛髪のキューティクルに対する桑枝の抽出粉末の経口投与による作用
正常老化マウス群(NC;SAM−R1)、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)、ポジティブコントロール群(NAC;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を5mg/kg体重/日で経口投与した群(5mg/kgMTE;SAM−P8)、老化促進マウスに桑枝の抽出粉末を25mg/kg体重/日で経口投与した群(25mg/kgMTE;SAM−P8)の5群それぞれについて、供試試料を12週間経口投与した後、201日齢から208日齢の間に毛髪を観察した結果を図4に示す。なお、観察は各群2匹以上で行い、図4はそのうちの2匹の結果である(一方の結果が(a)と(b)で他方の結果が(c)と(d))。(a)と(c)は表面トポグラフィーを示すSPM写真であり、(b)と(d)はそれぞれ(a)と(c)から抽出した横断面プロファイルを示すグラフである。図4から明らかなように、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)では、キューティクルが不鮮明((a)と(c))で三次元的形状((b)と(d))も不揃いであった。しかしながら、老化促進マウスに桑枝の抽出物を経口投与した群(5mg/kgMTE;SAM−P8、25mg/kgMTE;SAM−P8)では、正常老化マウス群(NC;SAM−R1)と同程度にキューティクルが鮮明となり、揃いもきれいであった。
【0029】
表面性状(微細凹凸)に関する4つのパラメータの算出結果を表1に示す。表1から明らかなように、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)のスキューネス(Ssk)は、他の群と比較して高かった。Sskは凹凸の分布の偏りを示すものであるので、Sskの高さから、老化促進マウス群(AC;SAM−P8)の毛髪には特異な山部が存在していることがわかった。しかしながら、老化促進マウスに桑枝の抽出物を経口投与した群(5mg/kgMTE;SAM−P8、25mg/kgMTE;SAM−P8)のSskは、ポジティブコントロール群(NAC;SAM−P8)のSskと同程度であり、桑枝の抽出粉末の経口投与によって老化に伴う傷んだキューティクルが修復されることがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】
(考察)
以上の結果から、桑枝の抽出物は、経口摂取によって傷んだキューティクルの修復が可能な毛髪改質剤の有効成分として有用であることがわかった。その作用機序の全容は明らかではないが、桑枝の抽出物に含まれているオキシレスベラトロールとレスベラトロールが抗酸化作用を有することも、桑枝の抽出物の毛髪改質作用の一因として考えられた。
【0032】
製剤例1:錠剤
以下の成分組成からなる毛髪改質のための錠剤を自体公知の方法で製造した。
桑枝の50%含水エタノール抽出粉末 1
乳糖 80
ステアリン酸マグネシウム 19(単位:重量%)
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、傷んだキューティクルの修復が可能な天然成分由来の毛髪改質剤として、桑枝の抽出物を有効成分とする毛髪改質剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4