(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定電極又は前記信号取り出し電極の一方に前記収容凹部が形成されており、前記測定電極又は前記信号取り出し電極の他方が前記収容凹部内に挿入される挿入部を有し、
前記可撓性接続部材が前記収容凹部と前記挿入部との間に設けられている請求項1記載の静電容量型圧力センサ。
前記可撓性接続部材が、弾性体で形成されており、その弾性力で前記測定電極及び前記信号取り出し電極と接触するように構成されている請求項1記載の静電容量型圧力センサ。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造工程等でガスの圧力を測定するために用いられる静電容量型圧力センサとしては、円筒状のボディの一端に接合されたダイヤフラムと、ボディの他端側に信号取り出し側が絶縁体により固定され、電極面がボディ内で前記ダイヤフラムとギャップを形成して対向するように設けられる電極体とを備えている。
ところで、このような静電容量型圧力センサでは、前記電極体の信号取り出し側の固定が何らかの原因でずれてしまうと、それに伴ってボディ内の電極面の位置が変化し、ギャップが設計値から大きくずれて圧力の測定精度が悪くなってしまうという問題がある。
【0003】
また、特許文献1や
図7に示されるような静電容量型圧力センサもある。より具体的には、
図7に示される静電容量型圧力センサ100Aは、ステンレス等の金属で形成あれた概略円筒形状のボディ1Aと、前記ボディ1Aの先端側を塞ぐように接合されたダイヤフラム2Aと、前記ダイヤフラム2Aに対して所定のギャップを形成して対向する電極面3SAを有した電極体3AAと、前記ボディ1Aに支持されており、前記電極面3SAを前記ボディ1A内の所定の位置に配置するガラス又はセラミックス等から形成される絶縁配置体4Aと、を備えている。
【0004】
前記電極体3AAは、前記絶縁配置体4Aの先端面に蒸着された金属膜である電極面3SAと、前記ボディ1Aの他端側を封止するガラスである絶縁封止体6Aに固定されており、前記ボディ1Aの外部へ信号を取り出すための信号取り出し電極32Aと、前記電極面3SAと前記信号取り出し電極32Aとの間を電気的に接続するものであり、前記信号取り出し電極32Aに一端が固定されたスプリング33Aと、から構成されている。このように構成することで、前記ボディ1Aの熱変形により前記ダイヤフラム2Aと前記電極面3SAとのギャップに変化が生じにくくすることが意図されている。
【0005】
しかしながら、
図7に示されるような前記スプリング33Aによる前記電極面3SAと前記信号取り出し電極32Aとの接続構造では、前記スプリング33Aが空気中に露出しているので、空気中の電磁波ノイズを拾ってしまい、前記電極面3SAから得られる信号のS/N比が悪くなる。その結果、圧力の測定精度が悪化してしまうことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、温度変化の影響だけでなく、空気中の電磁波ノイズの影響が圧力の測定値に表れるのを防ぐことができる静電容量型圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の静電容量型センサ、圧力により変形するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムとギャップを形成して対向する電極面を有した電極体と、一端側に前記ダイヤフラムが接合され、前記電極体の少なくとも一部が内部に収容されるボディと、を備え、前記電極体が、前記電極面を有し、前記ボディ内に設けられる測定電極と、前記ボディの他端側に固定され、前記測定電極から信号を取り出すための信号取り出し電極と、前記測定電極及び前記信号取り出し電極を電気的に接続する可撓性接続部材と、を具備し、前記測定電極又は前記信号取り出し電極に形成された収容凹部に前記可撓性接続部材が収容されていることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、前記可撓性接続部材が金属で形成されている前記測定電極又は前記信号取り出し電極に形成された収容凹部内に収容されているので、前記可撓性部材は静電遮蔽されることになり、空気中の電磁波ノイズを拾わないようにすることができる。したがって、前記信号取り出し電極から取得される信号のS/N比を改善することができ、圧力の測定精度を向上させることができる。
【0010】
また、前記電極体が、前記測定電極と前記信号取り出し電極に分割されているので、前記ボディの熱変形の影響が前記電極面には表れにくい。このため、前記ダイヤフラムと前記電極面とのギャップ、及び、圧力の測定精度も温度変化の影響を受けにくい。また、前記信号取り出し電極の前記ボディに対する絶縁体等による固定が熱変形以外の理由でずれたとしても、分割されている前記測定電極にはそのずれの影響が表れず、圧力の測定精度が悪化しない。これらのことから、温度変化、空気中の電磁波ノイズの双方に対してロバストな静電容量型圧力センサを実現することができる。
【0011】
前記測定電極と前記信号取り出し電極からなる分割構造を実現しつつ、前記可撓性接続部材が収容されている場所に空気中から電磁波ノイズが入り込む隙間をほとんど形成しないようにするには、前記測定電極又は前記信号取り出し電極の一方に前記収容凹部が形成されており、前記測定電極又は前記信号取り出し電極の他方が前記収容凹部内に挿入される挿入部を有し、前記可撓性接続部材が前記収容凹部と前記挿入部との間に設けられていればよい。
【0012】
前記ボディの熱変形の影響で前記信号取り出し電極の固定位置が変化したとしても、その移動量が前記測定電極へほとんど伝達されないようにし、前記ダイヤフラムと前記電極面との間のギャップが変化しないようにするには、前記可撓性接続部材が、弾性体で形成されており、その弾性力で前記測定電極及び前記信号取り出し電極と接触するように構成されていればよい。このようなものであれば、前記可撓性部材は、前記測定電極及び前記信号取り出し電極のいずれにも固定されておらず単に接触しているだけなので、電気的な接続は常に維持しつつ、前記信号取り出し電極の変位については前記電極面へと伝達されにくくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明の静電容量型圧力センサによれば、前記電極体が前記測定電極と前記信号取り出し電極に分割されており、これらの間を接続する可撓性接続部材が、前記測定電極又は前記信号取り出し電極に形成された収容凹部内に収容されているので、静電遮蔽により前記可撓性接続部材が空気中の電磁波ノイズを拾うのを防ぐことができる。したがって、前記信号取り出し電極から取り出される信号におけるS/N比を改善し、圧力の測定精度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る静電容量型圧力センサ100について
図1乃至4を参照しながら説明する。
前記静電容量型圧力センサ100は、例えばマスフローコントローラ等の流量制御装置や圧力制御装置において流体の圧力を測定するために用いられるものである。このものは、
図1に示すように流体の圧力により変形が生じるダイヤフラム2と、前記ダイヤフラム2と対向して設けられた電極面3Sとを有し、前記ダイヤフラム2及び前記電極面3S間の静電容量の変化から圧力を測定するものである。
【0017】
より具体的には前記静電容量型圧力センサ100は、
図1に示すように流体の流れる流路に対して取り付けられる概略中空円筒状の取付部ATと、前記取付部ATの上側に設けられ、内部に各部材が収容されるボディ1とを備えたものである。前記ボディ1はステンレス等の金属で形成された概略円筒状のものであって、一端側開口を塞ぐように前記ダイヤフラム2が接合してあり、他端側開口は蓋体12で塞ぐように封止してある。また、前記ボディ1の内部には、
図1及び
図2に示すように前記電極面3Sを有する電極体3の一部と、前記電極体3の一部を配置する絶縁配置体4と、前記絶縁配置体4を図面視において左右方向に挟んで押圧する押圧機構5とが収容してある。前記ボディ1に収容されている各部材については前記ボディ1の中心軸線CNに対して左右対称となるように構成してある。
【0019】
前記電極体3は、前記ボディ1と線膨張係数の値が近い金属で形成されたものであって、前記電極面3Sを有し、前記絶縁配置体4に取り付けられる測定電極31と、前記測定電極31から信号を取り出すためのものであり、前記蓋体12によって前記ボディ1の他端側に固定される信号取り出し電極32と、前記測定電極31及び前記信号取り出し電極32を電気的に接続する可撓性接続部材であるスプリング33と、から構成してある。
【0020】
前記測定電極31は、
図2の縦断面拡大図において概略逆T字状をなすものであり、前記ダイヤフラム2と所定のギャップを形成して対向する円形状の前記電極面3Sを有する概略円板状の対向部3Aと、前記対向部3Aの中央から前記絶縁封止体6側へと突出し、前記絶縁配置体4を貫通させて取り付けられる円柱状の貫通部3Bとからなる。前記貫通部3Bの外側周面中央部には、ねじ部3Cが形成してあり、このねじ部3Cにナット部材3Dを螺合させていくことで前記対向部3Aの上面側と前記ナット部材3Dとで前記絶縁配置体4を挟持するように固定ねじ機構を構成してある。すなわち、前記測定電極31は前記絶縁配置体4と一体となっており、実質的に前記絶縁配置体4からのみ力を受けて前記ボディ1内の位置が決定されるものである。
【0021】
前記信号取り出し電極32は、前記ダイヤフラム2と前記電極面3Sとのギャップが変化して静電容量が変化したことを電圧値として外部に取り出すためのものである。
図1及び
図2に示すように前記信号取り出し電極32は、その外側を金属製の中空円筒形状のシールドキャップ7で覆われており、信号取り出し電極32と前記シールドキャップ7との間は絶縁封止体6によって封止及び固定してある。そして、前記信号取り出し電極32は一端部が前記絶縁封止体6内に配置してあり、他端部は前記ボディ1の外部に露出するようにしてある。また、前記信号取り出し電極32の一端部には前記スプリング33が収容される概略円筒形状の収容凹部3Eが形成してあり、組み付けられた状態で、前記貫通部3Bの先端部分を挿入部3Fとして前記収容凹部3E内まで挿入してある。
【0022】
前記スプリング33は、前記収容凹部3Eの底面と前記挿入部3Fとの離間距離よりも自然長が長いものであって、
図2に示すように予め縮ませた状態で前記収容凹部3E及び前記挿入部3F間に設けてある。そして、前記スプリング33は、前記収容凹部3Eの底面と前記挿入部3Fの先端面との間に固定せずにその伸びによって接触を維持し続けるように構成してある。
図2から分かるように前記スプリング33の周囲は略金属で囲われており、下側の前記凹部の内側周面と前記挿入部3Fの外側周面との間にわずかな隙間が存在するだけである。言い換えると、前記収容凹部3E内にある前記スプリング33に対して空気中の電磁波ノイズが入りにくいように静電遮蔽構造が形成してある。
【0023】
次に前記絶縁配置体4、及び、静電容量型圧力センサ100に温度変化があった場合でも前記電極面3Sと前記ダイヤフラム2とのギャップに変化が生じないようにするための支持構造SPについて詳述する。
【0024】
図2に示すように前記絶縁配置体4は、ガラス又はセラミックスで形成された中央部に前記貫通部3Bを通すための穴を有する円板状の部材である。前記絶縁配置体4の上面には後述する位置調整体5Aを挿入されるように45°で角を切り落としてあり、前記ダイヤフラム2側の先端には平坦面41が形成してある。そして、この絶縁配置体4は、前記ダイヤフラム2から前記ボディ1の他端側へ所定離間した支持面PLと前記平坦面41が略一致するように前記ボディ1から内周側へと突出させてある支持部11によって支持されるようにしてある。
図2から分かるように前記絶縁配置体4は、前記ダイヤフラム2から前記支持部11の上面に設定される前記支持面PLまでの間には配置されないようにしてある。また、
図2に示すように前記支持部11の軸方向(前記ダイヤフラム2の上下面での圧力が平衡状態となっており、薄平板状となっている状態における当該ダイヤフラム2に対して垂直な方向)の寸法は、前記対向部3Aの軸方向の寸法と略同じに設定してある。すなわち、前記支持部11の上面である前記支持面PLを基準として前記ダイヤフラム2側を見た場合、前記電極体3の一部のみが前記ダイヤフラム2側へと突出するように構成してある。
【0025】
このような絶縁配置体4を支持するための支持構造SPによって、温度変化による熱変形がボディ1に生じたとしても前記ダイヤフラム2と前記電極面3Sとの間のギャップがほとんど変化しない理由について説明する。
【0026】
設計上の前記ダイヤフラム2から前記支持部11の上面である支持面PLまでの軸方向の寸法がL
1だったとし、前記ボディ1に温度上昇があり、当該ボディ1の熱膨張により前記ダイヤフラム2から前記支持部11の上面までの寸法L
1+ΔL
1となったとする。この場合、前記平坦面41は前記支持面PLからΔL
1だけ上昇することになり、もし前記対向部3Aに熱膨張がなかったら前記ギャップはΔL
1だけ広がることになる。本実施形態では、前記対向部3Aは金属で形成されているため実際には熱膨張が生じ、設計上での前記対向部3Aの軸方向の寸法がL
2だったとすると熱膨張後はL
2+ΔL
2になる。したがって、前記ギャップの設計上での値をG
D、前記ボディ1の熱膨張後の値をG
Tとすると、G
D=L
1−L
2、G
T=(L
1+ΔL
1)―(L
2+ΔL
2)と表すことができる。これらの式から前記ボディ1の熱変形後のギャップは、G
D=G
T+(ΔL
1−ΔL
2)となる。ここで、前記ギャップは静電容量を測定できるように数十ミクロン程度と非常に小さく設定されるので、L
1とL
2は略等しく、前記ボディ1と前記電極体3の材質を線膨張係数の値が近い金属に設定することで、ΔL
1−ΔL
2≒0とすることができるので、G
D≒G
Tとなる。なお、前記ボディ1に熱収縮が生じた場合も同様の議論が成り立つ。
【0027】
このように前記支持構造SPでは前記ダイヤフラム2から前記支持部11の上面である支持面までの間には、金属で形成された前記ボディ1と前記対向部3Aしか存在せず、線膨張係数が大きく異なる部材は存在しないため、前記ギャップを温度変化によらず常に一定に保つことができる。
【0028】
次に前記押圧機構5について説明する。
【0029】
前記押圧機構5は、
図2に示すように前記絶縁配置体4の上面における角部分に挿入される楔部材である2つの概略C字リング状の部材からなる位置調整体5Aと、前記位置調整体5Aの上面を前記ダイヤフラム2側へと押圧する押圧板53とから構成してある。ここで、前記押圧板53は、前記位置調整体5Aの各上面を覆うように設けられており、この押圧板53が前記ボディ1に対して固定ねじSCにより軸方向へねじ止めされ、締めあげられていくことで介在体5Tを介して前記位置調整体5Aを前記ダイヤフラム2側へと押圧するようにしてある。
【0030】
前記位置調整体5Aは、前記絶縁配置体4の上面において外周端に配置される第1リング状部材51と、前記絶縁配置体4の上面において内周端に配置される第2リング状部材52とから構成してあり、それぞれの部材は
図2及び
図3に示すよう上面に前記押圧板53によって軸方向の力で押圧される被押圧面5Pを有している。また、
図3(b)及び
図3(c)の縦断面図及び
図4(a)、(b)の斜視図に示すように前記第1リング状部材51は内側側面に、前記第2リング状部材52は外側側面に前記絶縁配置体4と接触して斜め方向に押圧する接触面5Cを有している。前記第1リング状部材51の外側側面は前記ボディ1と接触し、前記第2リング状部材52の内側側面は前記貫通部3Bの外側周面に接触するようにしてある。すなわち、各リング状部材51、52が前記押圧板53により前記ダイヤフラム2側へと押圧されると楔のように前記ダイヤフラム2側へと食い込んでいくよう構成してあるので、前記各接触面5Cにより力が分解されて、前記絶縁配置体4は軸方向及び半径方向(前記ダイヤフラム2の上下面での圧力が平衡状態となっており、薄平板状となっている状態における当該ダイヤフラム2に対して平行な方向)に同時に押圧される。別の観点から表現すると、各リング状部材51、52は、概略C字リング状で切欠き部分が存在する楔状部材であるので、前記押圧板53により押し込み量によってその広がり具合が変化しつつ、食い込み量が変化し、軸方向と半径方向の双方に前記絶縁配置体4を押圧することになる。
【0031】
このように構成された押圧機構5により、前記電極面3Sの中心と前記ダイヤフラム2の中心が中心軸線CN上に揃うように保たれる作用について説明する。
【0032】
図2及び
図3(a)に示すように、前記第1リング状部材51の接触面5Cと前記第2リング状部材52の接触面5Cによって前記絶縁配置体4は前記半径方向(前記平行な方向)に対して挟まれており、双方からそれぞれ逆向きの方向の力が加えられている。仮に前記絶縁配置体4の位置が図面視において右方向にずれたとすると、前記絶縁配置体4は、第1リング状部材51のみと当接することになる。したがって、前記絶縁配置体4は前記第1リング状部材51により前記第2リング状部材52側へと押し戻される。そして、前記絶縁配置体4の移動は各リング状部材51、52からの力が釣り合う位置である、前記絶縁配置体4の中心が中心軸線CN上に配置されるまで続く。また、前記絶縁配置体4が図面視において左方向にずれたとしても同様に前記絶縁配置体4は前記押圧機構5により当初の位置に戻されることになる。したがって、この押圧機構5により前記絶縁配置体4の中心は中心軸上に常に配置されるので、当該絶縁配置体4に固定されている前記測定電極31及び前記電極面3Sも半径方向に対して常に同じ位置に配置されることになる。
【0033】
このように本実施形態の静電容量型圧力センサ100によれば、前記ボディ1内に収容されている前記絶縁配置体4及び前記測定電極31を支持するための前記支持構造SPによって、温度変化により前記ボディ1に熱変形が生じたとしても前記ダイヤフラム2と前記電極面3Sとのギャップをほとんど変化させないようにすることができる。したがって、測定される圧力の値には温度変化の影響はほとんど表れないようにできる。
【0034】
また、前記押圧機構5によって前記ダイヤフラム2に平行な方向に対して前記電極面3Sがずれることを防ぎ、前記ダイヤフラム2の中心と前記電極面3Sの中心が中心軸線CN上に揃った状態を保つことができる。したがって、前記電極面3Sは前記ダイヤフラム2が圧力の変化により最も大きく変形する中心領域と略常に対向し続けることができ、圧力以外の要因による静電容量の変化が検出されないようになる。
【0035】
さらに、前記電極体3は前記測定電極31と前記信号取り出し電極32に分割されており、前記測定電極31は自由に動くことができるので、前記支持構造SP及び前記押圧機構5による作用が阻害されず、上述した効果をより得やすくできる。
【0036】
加えて、前記測定電極31と前記信号取り出し電極32との間を接続するスプリング33は、前記収容凹部3E内に収容されて略静電遮蔽されているので、前記電極面3Sで取得できた信号に対して空気中の電磁波ノイズが重畳することによって、測定される圧力のS/N比が低下するのを防ぐことができる。
【0037】
これらのことから、本実施形態の静電容量型圧力センサ100であれば、非常に高精度に圧力の測定を行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態では前記絶縁配置体4の下面は平坦面41として形成してあるので、例えば平面度等の精度を出しつつ形成しやすい。この平坦面41に前記測定電極31の対向部3Aが取り付けられるので前記電極面3Sと前記ダイヤフラム2との間の平行度も出しやすく、圧力の測定精度も高めやすい。
【0039】
また、前記測定電極31を前記絶縁配置体4へ固定する方法としてねじ止めを採用しているので、組立精度を確保しつつその組立作業を簡単なものにしやすい。
【0040】
その他の実施形態について説明する。なお、前記実施形態の各部材と対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0041】
前記実施形態では前記電極体3は前記測定電極31と前記信号取り出し電極32に分割されていたが、
図5に示すようにそれぞれを一体にしてしまっても構わない。
図5のようなものであっても前記実施形態と同様の支持構造SPを有しているので、温度変化があったとしても前記ダイヤフラム2と前記電極面3Sとのギャップを略一定に保つことができ、圧力の測定値を温度変化に対してロバストなものにできる。
【0042】
さらに、
図6に示すように前記収容凹部3Eは前記信号取り出し電極32と前記測定電極31の両方にわたって設けて、その中に前記可撓性接続部材としてスプリング33を設けてもよい。ここで、前記可撓性接続部材は、収容凹部3内に完全に収容されているものだけでなく、少なくともその一部が収容されて一部が外部へ露出しているものであっても構わない。加えて、前記可撓性接続部材はスプリング33に限られるものではなく、導電性を有する紐や導線等であっても構わない。要するに、可撓性接続部材は電気的な接続を保てるものであって、前記測定電極31及び前記信号取り出し電極32の双方に実質的にほとんど力を作用させないようなものであればよい。また、前記固定ねじ機構としては、前記絶縁配置体4が前記貫通部3Bに形成されたねじ部3Cと螺合するナット部材3Dとしての機能を兼ねるようにしてもよい。
【0043】
前記各実施形態から分かるように前記収容凹部は前記測定電極又は前記信号取り出し電極に形成されたものであればよい。より厳密に記載すると前記収容凹部は前記測定電極及び/又は前記信号取り出し電極に形成されるものであってもよい。また、前記可撓性接続部材が前記収容凹部内に収容されているとは、前記収容凹部内に前記可撓性接続部材の全体が収容されている場合だけでなく、当該可撓性接続部材の一部が外部へ露出するような態様で収容されている場合も含む概念である。
【0044】
前記押圧機構についても前記実施形態に記載したものに限られない。例えば前記接触面を傾斜面ではなく曲面として形成し、前記絶縁配置体の断面に対して線接触又は点接触するように構成してもよい。また、前記第1リング状部材のみで前記位置調整体を構成しても構わない。要するに前記押圧機構は、前記絶縁配置体を半径方向に挟んでそれぞれ逆向きの力がかかるように構成したものであればよい。さらに、前記実施形態ではリング状部材はC字リング状に形成したが、例えば完全にリング状に形成しても構わない。加えて、前記絶縁配置体に形成する角は45度に傾斜したものに限られず、その他の角度にして軸方向と半径方向の力の分配を適宜調節しても構わない。
【0045】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。