特許第6249875号(P6249875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249875コバルト化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法
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  • 特許6249875-コバルト化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 図000016
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249875
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】コバルト化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/06 20060101AFI20171211BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20171211BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   C07F15/06CSP
   C23C16/40
   H01L21/316 X
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-100607(P2014-100607)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218116(P2015-218116A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智晴
(72)【発明者】
【氏名】遠津 正揮
(72)【発明者】
【氏名】桜井 淳
(72)【発明者】
【氏名】畑▲瀬▼ 雅子
(72)【発明者】
【氏名】内生蔵 広幸
(72)【発明者】
【氏名】西田 章浩
【審査官】 奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0330473(US,A1)
【文献】 特開2013−216614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/06
C23C 16/40
H01L 21/316
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】
(式中、R〜Rは、各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるコバルト化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のコバルト化合物を含有する薄膜形成用原料。
【請求項3】
請求項2に記載の薄膜形成用原料を気化させることにより、コバルト化合物を含有する蒸気を得る工程と、
前記蒸気を基体と接触させることにより、前記コバルト化合物を分解及び/又は化学反応させて前記基体上に薄膜を形成する工程と
を含む薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極膜、抵抗膜、接着膜、磁気テープ、超硬工具部材などに使用される、コバルト化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コバルトを含有する薄膜は、電極膜、抵抗膜、接着膜、磁気テープ、超硬工具部材などに使用されている。この薄膜の製造法としては、火炎堆積法;スパッタリング法;イオンプレーティング法;塗布熱分解法やゾルゲル法などのMOD法(Metal Organic Decomposition:金属有機化合物分解法);ALD法(Atomic Layer Decomposition:原子層蒸着法)やCVD法(Chemical Vapor Decomposition:化学気相成長法)などの気相薄膜形成法などがある。その中でも気相薄膜形成法は、組成制御性及び段差被覆性に優れている点、量産化に適している点、ハイブリッド集積が可能である点などの多くの長所を有することから、最適な製造法である。
【0003】
MOD法や気相薄膜形成法においては、薄膜形成用原料に含有される、薄膜にコバルト原子を供給するプレカーサとして、有機配位子を有するコバルト化合物が使用されている。
例えば、特許文献1及び2には、第3級アミノアルコキシドを配位子としたコバルト化合物が報告されている。また、特許文献3には、第1級アミノアルコキシドを配位子としたコバルト化合物が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0675983号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0181566号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/147020号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄膜の各種製造法の中でも特に気相薄膜形成法においては、薄膜形成用原料に用いられるプレカーサには、融点が低く液体の状態で輸送が可能であること、低温で分解させることが可能であること、及び蒸気圧が大きく気化させ易いことが要求される。しかしながら、特許文献1〜3のコバルト化合物は、これらの要求を十分に満足するものではなかった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、融点が低く液体の状態で輸送ができ、低温で分解させることができ、しかも蒸気圧が大きく気化させ易いコバルト化合物及びそれを用いた薄膜形成用原料を提供することを目的とする。
また、本発明は、良質なコバルト含有薄膜を生産性良く製造することができる薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するアミノアルコールを配位子としたコバルト化合物が、上記の問題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R〜Rは、各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるコバルト化合物である。
また、本発明は、上記のコバルト化合物を含有する薄膜形成用原料である。
さらに、本発明は、上記の薄膜形成用原料を気化させることにより、コバルト化合物を含有する蒸気を得る工程と、前記蒸気を基体と接触させることにより、前記コバルト化合物を分解及び/又は化学反応させて前記基体上に薄膜を形成する工程とを含む薄膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、融点が低く液体の状態で輸送ができ、低温で分解させることができ、しかも蒸気圧が大きく気化させ易いコバルト化合物及びそれを用いた薄膜形成用原料を提供することができる。
また、本発明によれば、良質なコバルト含有薄膜を生産性良く製造することができる薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例8で使用した、本発明の薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコバルト化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0012】
本発明のコバルト化合物は、下記一般式(I)で表される。
【0013】
【化2】
【0014】
一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。R〜Rで表される炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第2級ブチル基、第3級ブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基などが挙げられる。また、一般式(I)で表されるコバルト化合物は、光学活性部位を有する場合があるが、その場合はR体若しくはS体のいずれか、又はR体とS体との任意の割合の混合物であることができる。特に、コバルト化合物がR体とS体との混合物である場合、製造コストの観点から、ラセミ体を用いることが好ましい。
上記のような構造を有するコバルト化合物であれば、融点が低く液体の状態で輸送ができ、低温で分解させることができ、しかも蒸気圧が大きく気化させ易くすることができる。
【0015】
また、コバルト化合物は、下記一般式(II)に表すように、配位子中の窒素原子がコバルト原子に配位して環構造を形成していてもよい。なお、本明細書において、上記一般式(I)で表されるコバルト化合物は、下記一般式(II)で表されるコバルト化合物を含む概念である。
【0016】
【化3】
【0017】
一般式(II)中、R〜Rは、各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。
【0018】
コバルト化合物を気化させて成膜する気相薄膜形成法を用いる場合、コバルト化合物は、常温常圧下において液体状態であるか又は固体状態であっても融点が低く、低温で分解させることができ、且つ蒸気圧が大きいという特性を有することが望ましいが、上記のような構造を有するコバルト化合物であれば、このような特性を一般に有する。特に、一般式(I)において、Rがメチル基又はエチル基であり、R及びRが各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるコバルト化合物;Rがイソプロピル基、イソブチル基、第2級ブチル基又は第3級ブチル基であり、R及びRが各々独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、且つR及びRの炭素原子数の和が3以上であるコバルト化合物は、融点が特に低いという特性を有する。また、一般式(I)において、Rがメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基又は第2級ブチル基であり、R及びRが各々独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、且つR及びRの炭素原子数の和が3又は4であるコバルト化合物;Rが第3級ブチル基であり、R及びRが各々独立に炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、且つRとRの炭素原子数の和が4又は5であるコバルト化合物は、融点が特に低く、且つ低温でより分解し易いという特性を有する。さらに、Rがイソプロピル基であり、Rがメチル基であり、Rがエチル基であるコバルト化合物;Rが第3ブチル基であり、Rがエチル基であり、Rがエチル基であるコバルト化合物は、低温でより分解し易いという特性を有する。
【0019】
他方、MOD法による成膜方法を用いる場合、コバルト化合物は、使用される溶媒に対する溶解性などに優れているという特性を有することが好ましいが、上記のような構造を有するコバルト化合物であれば、このような特性も有する。MOD法に特に適したコバルト化合物は、使用される溶媒の種類、薄膜形成反応などに応じて、一般式(I)のR〜Rを適宜選択することによって容易に得ることができる。
【0020】
本発明のコバルト化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.30が挙げられる。ただし、本発明のコバルト化合物は、以下の例示化合物により何ら限定されるものではない。なお、下記化学式において、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「iPr」はイソプロピル基を表し、「iBu」はイソブチル基を表し、「sBu」は第2級ブチル基を表し、「tBu」は第3級ブチル基を表す。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
本発明のコバルト化合物の製造方法は、特に限定されず、周知の反応を応用して製造することができる。具体的には、本発明のコバルト化合物は、アミノアルコールを用いた周知のアルコキシド化合物の合成方法を応用することによって製造することができる。例えば、コバルトのハロゲン化物、硝酸塩などの無機塩又はその水和物と、所定の配位子を与えるアミノアルコール化合物とを、ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア、アミンなどの塩基の存在下で反応させる方法;コバルトのハロゲン化物、硝酸塩などの無機塩又はその水和物と、所定の配位子を与えるアルコール化合物のナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどのアルカリ金属アルコキシドとを反応させる方法;コバルトのメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシドなどの低分子アルコールのアルコキシド化合物と、所定の配位子を与えるアルコール化合物とを交換反応させる方法;コバルトのハロゲン化物、硝酸塩などの無機塩と、反応性中間体を与える誘導体とを反応させて反応性中間体を得た後、この反応性中間体と所定の配位子を与えるアルコール化合物とを反応させる方法などが挙げられる。ここで、上記の反応性中間体としては、ビス(ジアルキルアミノ)コバルト、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)コバルトなどのコバルトのアミド化合物が挙げられる。
【0028】
上記のような特徴を有するコバルト化合物は、融点が低く液体の状態で輸送ができ、低温で分解させることができ、しかも蒸気圧が大きく気化させ易いため、薄膜の各種製造方法、特に気相薄膜形成法によって形成される薄膜にコバルトを供給する薄膜形成用原料として適している。
【0029】
本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(I)で表される本発明のコバルト化合物をプレカーサとして含有する。ここで、本発明の薄膜形成用原料の成分は、作製する薄膜の種類によって異なり、金属としてコバルトのみを含む薄膜を形成する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(I)で表されるコバルト化合物のみをプレカーサとして含有し、コバルト化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を含有しない。一方、金属としてコバルト及びコバルト以外の金属及び/又は半金属を含む薄膜を形成する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(I)で表されるコバルト化合物に加えて、コバルト以外の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、「他のプレカーサ」という)を含有する。
【0030】
本発明の薄膜形成用原料が他のプレカーサを含有する場合、他のプレカーサの含有量は、上記一般式(I)で表されるコバルト化合物1モルに対して、好ましくは0.01モル〜10モル、より好ましくは0.1〜5モルである。
また、本発明の薄膜形成用原料は、後述するように、有機溶剤及び/又は求核性試薬を更に含有してもよい。
【0031】
本発明の薄膜形成用原料は、上記説明のとおり、プレカーサである本発明のコバルト化合物の物性が、気相薄膜形成法、特にCVD法やALD法に適しているので、この形成法に用いられる原料(以下、「気相薄膜形成用原料」という)として特に有用である。
【0032】
本発明の薄膜形成用原料が気相薄膜形成用原料である場合、その形態は使用される気相薄膜形成法の輸送供給方法などの手法に応じて適宜選択される。
上記の輸送供給方法としては、気相薄膜形成用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することによって気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウムなどのキャリアガスと共に、基体が設置された成膜チャンバー内へと供給する気体輸送法;気相薄膜形成用原料を液体の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することによって気化させて、基体が設置された成膜チャンバー内へと供給する液体輸送法がある。
【0033】
気体輸送法の場合、加熱及び/又は減圧することによって気化させることができる気相薄膜形成用原料が用いられる。一方、液体輸送法の場合、常温常圧下において液体状態である気相薄膜形成用原料が用いられる。したがって、液体輸送法の場合、常温常圧下においてコバルト化合物が液体状であるなら、液体状のコバルト化合物を気相薄膜形成用原料として用いることができるが、常温常圧下においてコバルト化合物が固体状であるなら、有機溶剤に溶解したコバルト化合物を気相薄膜形成用原料として用いる。
【0034】
また、多成分系の気相薄膜形成法においては、各成分を個別に気化、供給する方法(以下、「シングルソース法」という。)と、各成分を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、「カクテルソース法」という。)がある。カクテルソース法の場合、本発明のコバルト化合物と他のプレカーサとの混合物、又はこれらの混合物に有機溶剤を加えた混合溶液が気相薄膜形成用原料として用いられる。
【0035】
本発明の薄膜形成用原料に用いられる有機溶剤としては、特に限定されず、当該技術分野において周知の一般的な有機溶剤を用いることができる。有機溶剤の例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチルなどの酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼンなどのシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジンなどが挙げられる。これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点及び引火点との関係などに応じて、単独又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。
【0036】
本発明の薄膜形成用原料が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤中の本発明のコバルト化合物及び他のプレカーサの合計量は、好ましくは0.01〜2.0モル/リットル、より好ましくは0.05〜1.0モル/リットルである。
【0037】
本発明の薄膜形成用原料に用いられる他のプレカーサとしては、特に限定されず、当該技術分野において周知の一般的なプレカーサを用いることができる。他のプレカーサの例としては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物、有機アミン化合物、ケトイミン化合物などの一種類又は二種類以上の有機配位化合物と、珪素や金属(但し、コバルトを除く)との化合物が挙げられる。金属種としては、特に限定されないが、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムなどが挙げられる。
【0038】
他のプレカーサの有機配位子を与えるアルコール化合物としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、第2級ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、第3級ペンチルアルコールなどのアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノールなどのエーテルアルコール類;1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1−エチルメチルアミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール、1−エチルメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−ブタノール、1−エチルメチルアミノ−2−ブタノール、1−ジエチルアミノ−2−ブタノール、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−ブタノール、1−エチルメチルアミノ−2−メチル−2−ブタノール、1−ジエチルアミノ−2−メチル−2−ブタノールなどのアミノアルコール類などが挙げられる。
【0039】
他のプレカーサの有機配位子を与えるグリコール化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0040】
他のプレカーサの有機配位子を与えるβ−ジケトン化合物としては、特に限定されないが、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオンなどのアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオンなどのフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオンなどのエーテル置換β−ジケトン類などが挙げられる。
【0041】
他のプレカーサの有機配位子を与えるシクロペンタジエン化合物としては、特に限定されないが、例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2級ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3級ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。
【0042】
他のプレカーサの有機配位子を与える有機アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第2級ブチルアミン、第3級ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0043】
他のプレカーサの有機配位子を与えるケトイミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、上述のβ−ジケトン化合物と有機アミン化合物との反応物が挙げられる。具体的には、アセチルアセトンとN,N−ジメチルエチレンジアミンとを塩化水素存在下で反応させることで得られるケトイミン化合物などを用いることができる。
【0044】
シングルソース法を用いる場合、他のプレカーサは、本発明のコバルト化合物と熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることが好ましい。また、カクテルソース法を用いる場合、他のプレカーサは、本発明のコバルト化合物と熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないことが好ましい。
【0045】
他のプレカーサの中でも、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを金属種として有するプレカーサは、下記の一般式(III−1)〜(III−5)で表される。
【0046】
【化10】
【0047】
上記一般式(III−1)〜(III−5)中、Mは、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを表し、R及びRは、各々独立に、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数2〜18の分岐してもよいアルキレン基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、pは0〜4の整数を表し、qは0又は2を表し、rは0〜3の整数を表し、sは0〜4の整数を表し、tは1〜4の整数を表す。
【0048】
上記一般式(III−1)〜(III−5)において、R及びRで表される、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第2級アミル、第3級アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第3級ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第3級オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、パーフルオロヘキシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、1−メトキシ−1,1−ジメチルメチル、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−エトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエチル、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエチルなどが挙げられる。
【0049】
また、Rで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第2級アミル、第3級アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第3級ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第3級オクチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
また、Rで表される炭素数2〜18の分岐してもよいアルキレン基とは、グリコールにより与えられる基であり、該グリコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−メチル−2,4−ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0050】
また、R及びRで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピルが挙げられる。
また、R、R、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、イソブチルが挙げられる。
【0051】
チタニウムを金属種として有するプレカーサの具体例としては、テトラキス(エトキシ)チタニウム、テトラキス(2−プロポキシ)チタニウム、テトラキス(ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第2級ブトキシ)チタニウム、テトラキス(イソブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3級ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3級アミル)チタニウム、テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)チタニウムなどのテトラキスアルコキシチタニウム類;テトラキス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウムなどのテトラキスβ−ジケトナトチタニウム類;ビス(メトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(第3級ブトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3級ブトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3級アミロキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3級ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3級アミロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウムなどのビス(アルコキシ)ビス(βジケトナト)チタニウム類;(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウムなどのグリコキシビス(βジケトナト)チタニウム類;(メチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウムなどの(シクロペンタジエニル)トリス(ジアルキルアミノ)チタニウム類;(シクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(プロチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(イソプロピルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(ブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(イソブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、第3級ブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウムなどの(シクロペンタジエニル)トリス(アルコキシ)チタニウム類などが挙げられる。ジルコニウム又はハフニウムを金属種として有するプレカーサの具体例としては、上記チタニウムを含むプレカーサとして例示した化合物におけるチタニウムを、ジルコニウム又はハフニウムに置き換えた化合物が挙げられる。
【0052】
また、他のプレカーサの中でも、希土類元素を金属種として有するプレカーサは、下記の一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される。
【0053】
【化11】
【0054】
上記一般式(IV−1)〜(IV−3)中、Mは、希土類原子を表し、R及びRは、各々独立に、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、p’は0〜3の整数を表し、r’は0〜2の整数を表す。
【0055】
上記一般式(IV−1)〜(IV−3)において、Mで表される希土類原子としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。
また、R、R、R、R、R、R及びRで表される基としては、前記のチタニウムなどを金属種として有するプレカーサで例示した基が挙げられる。
【0056】
本発明の薄膜形成用原料は、必要に応じて、本発明のコバルト化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。求核性試薬としては、特に限定されないが、例えば、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどのエチレングリコールエーテル類;18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8などのクラウンエーテル類;エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミンなどのポリアミン類;サイクラム、サイクレンなどの環状ポリアミン類;ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオランなどの複素環化合物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチルなどのβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類が挙げられる。
求核性試薬の使用量は、プレカーサ1モルに対して、通常0.1モル〜10モル、好ましくは1〜4モルの範囲で使用される。
【0057】
本発明の薄膜形成用原料は、上記の成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分を極力含有しないことが望ましい。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、本発明の薄膜形成用原料を用いてLSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層などを形成する場合、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び同属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が更に好ましい。
また、薄膜形成用原料中の水分は、薄膜形成用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際に予め出来る限り水分を取り除いた方がよい。プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下が更に好ましい。
【0058】
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルを極力含有しないことが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが更に好ましい。
【0059】
本発明の薄膜の製造方法は、本発明の薄膜形成用原料を用いて行われる。本発明の薄膜形成用原料を用いて行われる本発明の薄膜の製造方法としては、特に限定されず、塗布熱分解法やゾルゲル法などのMOD法;ALD法やCVD法などの気相薄膜形成法などを用いることができる。その中でも、組成制御性及び段差被覆性に優れている点、量産化に適している点、ハイブリッド集積が可能である点などの多くの長所を有する気相薄膜形成法が好ましい。
【0060】
気相薄膜形成法を用いて行われる本発明の薄膜の製造方法は、本発明の薄膜形成用原料を気化させることにより、コバルト化合物を含有する蒸気を得る工程と、前記蒸気を基体と接触させることにより、前記コバルト化合物を分解及び/又は化学反応させて前記基体上に薄膜を形成する工程とを含む。ここで、薄膜の形成は、一般に、基体が設置された成膜チャンバー内にて行われる。また、コバルト化合物を含有する蒸気と共に反応性ガスを必要に応じて成膜チャンバー内に供給することによって薄膜を形成してもよい。さらに、薄膜形成用原料は、上記で説明したような、気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法を用いて、基体が設置された成膜チャンバー内へと供給すればよい。
【0061】
気相薄膜形成法としては、原料ガス(気化させた薄膜形成用原料)又は原料ガスと反応性ガスとを熱のみを用いて反応させて薄膜を形成する熱CVD法;熱及びプラズマを用いるプラズマCVD法;熱及び光を用いる光CVD法;熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD法;CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD法が挙げられる。
【0062】
必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸などの酸化性ガス;水素などの還元性ガスが挙げられる。また、窒化物を含む薄膜を形成する場合、反応性ガスとして、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミンなどの有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニアなどを用いればよい。反応性ガスは、1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
成膜チャンバー内での成膜条件としては、特に限定されず、使用する装置及び原料の種類に応じて適宜設定すればよい。薄膜の製造装置としては、特に限定されず、当該技術分野において周知の化学気相成長法用装置などの気相薄膜形成装置を用いることができる。薄膜の製造装置の例としては、薄膜形成用原料をバブリング供給することが可能な気相薄膜形成装置、薄膜形成用原料を気化させる気化室を有する気相薄膜形成装置、プラズマ処理を行うことが可能な気相薄膜形成装置などが挙げられる。これらの装置は、枚葉式装置に限定されず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置であることができる。
【0064】
成膜条件としては、一般に、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度などが挙げられる。
反応温度としては、本発明のコバルト化合物などが充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、100℃〜400℃がより好ましい。
反応圧力としては、熱CVDや光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。
堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によって制御することができる。堆積速度は、大きすぎると、得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さすぎると、生産性に問題を生じる場合がある。そのため、堆積速度は、0.01〜5000nm/分が好ましく、0.1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALD法の場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数で制御すればよい。
【0065】
例えば、ALD法を用いて酸化コバルト薄膜を形成する場合、本発明の薄膜形成用原料を用いて前駆体薄膜を形成する。具体的には、本発明の薄膜形成用原料を気化させることにより、コバルト化合物を含有する蒸気を得た後、この蒸気を基体と接触させることにより、コバルト化合物を分解及び/又は化学反応させて基体上に前駆体薄膜を形成する(前駆体薄膜形成工程)。このとき、基体を加熱するか又は成膜チャンバーを加熱して熱を加えてもよい。基体温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。また、成膜チャンバー内の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。形成される前駆体薄膜は、コバルト化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的の酸化コバルト薄膜とは異なる組成を有する。
【0066】
次に、成膜チャンバーから未反応の原料ガスや副生したガスを排気する(排気工程)。未反応の原料ガスや副生したガスは、成膜チャンバー内から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより成膜チャンバー内をパージする方法、成膜チャンバー内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合、減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
【0067】
次に、成膜チャンバー内に反応性ガスを供給し、反応性ガス又は反応性ガス及び熱の作用により、前駆体薄膜から酸化コバルト薄膜を形成する(酸化コバルト薄膜形成工程)。このとき、加熱温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本発明のコバルト化合物は、水素、酸素及びオゾンに代表される反応性ガスとの反応性が良好であり、酸化コバルト薄膜やコバルト薄膜を効率良く形成することができる。
【0068】
酸化コバルト薄膜の製造において、上記のようにALD法を採用した場合、前駆体薄膜形成工程、排気工程、及び酸化コバルト薄膜形成工程からなる一連の工程を1サイクルとし、このサイクルを、必要な膜厚の酸化コバルト薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、成膜チャンバーから未反応の原料ガス、反応性ガス及び副生したガスを排気してから、次のサイクルを行うことが好ましい。
【0069】
また、ALD法を用いた酸化コバルト薄膜の製造方法では、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよい。エネルギーを印加するタイミングは、特には限定されず、例えば、各工程の間又は各工程中に行うことができる。
【0070】
また、本発明の薄膜の製造方法では、薄膜を形成した後、より良好な電気特性を得るために、不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、シリサイド化してもよい。また、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、通常200〜1000℃であり、250〜500℃が好ましい。
【0071】
本発明の薄膜形成用原料を用いた本発明の薄膜の製造方法によって製造される薄膜は、他のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件などを適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラスなどの所望の種類の薄膜とすることができる。具体的には、金属コバルト、コバルト系酸化物、コバルト系窒化物や、Co−Cr、Co−Fe、Co−Niのようなコバルト系合金などの薄膜を製造することができる。これらの薄膜の用途としては、抵抗膜、接着膜、超硬工具、磁性膜、磁石及びICリードフレームなどが挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例などに限定されるものではない。
【0073】
(実施例1:化合物No.7)
200mLの4つ口フラスコに、塩化コバルト(II)10.8g(0.079mol)、及びテトラヒドロフラン55.1gを仕込み、室温下で撹拌した。その中に、1−(エチル(メチル)アミノ)ブタン−2−オールを用いて調製して得たナトリウムアルコキシド25.6g(0.167mol)をテトラヒドロフラン48.6gで希釈した溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で21時間撹拌し、トルエン69.7gを加えて撹拌した後、ろ過を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、残渣をバス温度205℃、圧力40Pa、塔頂温度155℃で蒸留して、暗紫色粘性液体である目的物(化合物No.7)を得た。収量は8.23g、収率は34%であった。
【0074】
得られた目的物(化合物No.7)について元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:19.1質量%(理論値18.5質量%)
C:51.3質量%、H:10.3質量%、N:8.5質量%(理論値C:52.7質量%、H:10.1質量%、N:8.8質量%)
塩素:10ppm未満
【0075】
(実施例2:化合物No.12)
100mLの3つ口フラスコに、塩化コバルト(II)1.13g(8.27mmol)、及びテトラヒドロフラン15.3gを仕込み、室温下で撹拌した。その中に、1−(エチル(メチル)アミノ)−3−メチルブタン−2−オールを用いて調製して得たナトリウムアルコキシド2.90g(17.3mmol)をテトラヒドロフラン18.0gで希釈した溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で21時間撹拌し、ろ過を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、残渣をバス温度145℃、圧力25Pa、塔頂温度107℃で蒸留して、濃紫色粘性液体である目的物(化合物No.12)を得た。収量は0.42g、収率は14%であった。
【0076】
得られた目的物(化合物No.12)について元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:17.4質量%(理論値16.7質量%)
C:55.9質量%、H:10.9質量%、N:7.8質量%(理論値C:55.3質量%、H:10.4質量%、N:8.1質量%)
塩素:10ppm未満
【0077】
(実施例3:化合物No.14)
100mLの3つ口フラスコに、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)コバルト(II)1.00g(2.63mmol)及びトルエン10gを仕込み、その中に1−ジエチルアミノ)−3−メチルブタン−2−オール0.83g(5.26mmol)を室温下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で20時間撹拌した。バス温度110℃、減圧下で溶媒及び副生成物であるシラザン化合物を除去して濃紫色粘性液体である目的物(化合物No.14)を得た。収量は0.75g、収率は74%であった。
【0078】
得られた目的物(化合物No.14)について元素分析(金属分析:ICP−AES)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:16.2質量%(理論値15.7質量%)
C:57.5質量%、H:10.4質量%、N:7.9質量%(理論値C:57.6質量%、H:10.7質量%、N:7.5質量%)
【0079】
(実施例4:化合物No.17)
100mLの3つ口フラスコに、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)コバルト(II)1.00g(2.63mmol)及びトルエン10gを仕込み、その中に1−(エチル(メチル)アミノ)−4−メチルペンタン−2−オール0.87g(5.26mmol)を室温下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で20時間撹拌した。バス温度110℃、減圧下で溶媒及び副生成物であるシラザン化合物を除去して濃紫色粘性液体である目的物(化合物No.17)を得た。収量は0.80g、収率は81%であった。
【0080】
得られた目的物(化合物No.17)について元素分析(金属分析:ICP−AES)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:15.4質量%(理論値15.7質量%)
C:57.9質量%、H:10.6質量%、N:7.1質量%(理論値C:57.6質量%、H:10.7質量%、N:7.5質量%)
【0081】
(実施例5:化合物No.22)
200mLの3つ口フラスコに、塩化コバルト(II)3.95g(30.4mmol)、及びテトラヒドロフラン29.1gを仕込み、室温下で撹拌した。その中に、1−(エチル(メチル)アミノ)−3−メチルペンタン−2−オールを用いて調製して得たナトリウムアルコキシド10.7g(59.3mmol)をテトラヒドロフラン28.9gで希釈した溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で18時間撹拌し、ろ過を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、残渣をバス温度165℃、圧力65Pa、塔頂温度147℃で蒸留して、紫色粘性液体である目的物(化合物No.22)を得た。収量は1.42g、収率は13%であった。
【0082】
得られた目的物(化合物No.22)について元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:15.2質量%(理論値15.7質量%)
C:58.0質量%、H:10.8質量%、N:7.6質量%(理論値C:57.6質量%、H:10.7質量%、N:7.5質量%)
塩素:10ppm未満
【0083】
(実施例6:化合物No.27)
100mLの3つ口フラスコに、塩化コバルト(II)2.90g(0.022mol)、及びテトラヒドロフラン17.6gを仕込み、室温下で撹拌した。その中に、1−(エチル(メチル)アミノ)−3,3−ジメチルブタン−2−オールを用いて調製して得たナトリウムアルコキシド7.97g(0.044mol)をテトラヒドロフラン15.6gで希釈した溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で20時間撹拌し、ろ過を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、残渣をバス温度135℃、圧力17Paの条件下で蒸留して、暗赤色固体(融点69℃)である目的物(化合物No.27)を得た。収量は3.39g、収率は41%であった。
【0084】
得られた目的物(化合物No.27)について元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:15.9質量%(理論値15.7質量%)
C:57.9質量%、H:10.4質量%、N:7.6質量%(理論値C:57.6質量%、H:10.7質量%、N:7.5質量%)
塩素:10ppm未満
【0085】
(実施例7:化合物No.29)
200mLの3つ口フラスコに、塩化コバルト(II)5.95g(45.8mmol)、及びテトラヒドロフラン26.8gを仕込み、室温下で撹拌した。その中に、1−(ジエチルアミノ)−3,3−ジメチルブタン−2−オールを用いて調製して得たナトリウムアルコキシド17.2g(88.3mmol)をテトラヒドロフラン22.9gで希釈した溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、混合液を室温下で16時間撹拌し、ろ過を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、残渣をバス温度150℃、圧力40Pa、塔頂温度115℃で蒸留して、赤紫色粘性液体である目的物(化合物No.29)を得た。収量は7.59g、収率は43%であった。
【0086】
得られた目的物(化合物No.29)について元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)を行った。その結果を下記に示す。
コバルト:14.4質量%(理論値14.6質量%)
C:59.7質量%、H:10.7質量%、N:7.3質量%(理論値C:59.5質量%、H:11.0質量%、N:6.9質量%)
塩素:10ppm未満
【0087】
(比較例1及び2)
比較例1として下記の比較化合物No.1、比較例2として下記の比較化合物No.2を、周知の方法に準じてそれぞれ製造した。
【0088】
【化12】
【0089】
上記の実施例及び比較例で得られたコバルト化合物について、常温(30℃)における状態(固体状態であるか又は液体状態であるか)を目視にて観察し、固体状態のものについては、微小融点測定装置を用いて融点を測定した。
また、上記の実施例及び比較例で得られたコバルト化合物について、DSC測定装置を用いて熱分解が発生する温度(熱分解発生温度)を測定することにより、コバルト化合物の熱安定性を評価した。
【0090】
また、上記の実施例及び比較例で得られたコバルト化合物について、常圧及び減圧下でTG−DTAを行い、サンプルの重量が50%減少した際の温度を測定した。
<常圧TG−DTAの測定条件>
Ar流量:100mL/分
昇温速度:10℃/分
サンプル量:約10mg
<減圧TG−DTAの測定条件>
圧力:10Torr
Ar流量:50mL/分
昇温速度:10℃/分
サンプル量:約10mg
上記の評価結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
表1の結果に示されているように、比較例1のコバルト化合物は融点80℃、比較例2のコバルト化合物は融点が100℃以上であったのに対し、実施例1〜7のコバルト化合物は全て比較例1及び比較例2のコバルト化合物よりも融点が低かった。その中でも、実施例1〜5及び7のコバルト化合物は、常温常圧条件下で液体であることがわかった。常温常圧状態で液体、又は融点が低い薄膜形成用原料は輸送が容易であることから、実施例1〜7のコバルト化合物は、生産性を向上させることができる薄膜形成用原料と言える。
また、比較例2のコバルト化合物は、熱分解させるために300℃の加熱が必要であるのに対し、実施例1〜7のコバルト化合物は、比較例2のコバルト化合物よりも20〜30%程度も低い温度で分解させることができることを確認した。その中でも、実施例2及び7のコバルト化合物は、230℃という特に低い温度で分解させることができることがわかった。
さらに、実施例1〜7のコバルト化合物は、サンプルの重量が50%減少した際の温度が低いため、高い蒸気圧を示す薄膜形成用原料であると言える。
【0093】
(実施例8:熱CVD法による酸化コバルト薄膜の製造)
実施例1〜7のコバルト化合物を薄膜形成用原料として用い、図1に示すCVD装置において、熱CVD法により、下記の条件にてCu基板及びSiO基板上に酸化コバルト薄膜を形成した。
<条件>
原料容器温度:70℃
原料容器内圧力:100Pa
反応温度(基体温度):300℃
反応性ガス:なし
キャリアガス:アルゴンガス
<工程>
気化させた薄膜形成用原料の蒸気を成膜チャンバーに供給し、成膜チャンバー内の圧力100Paで8000秒間堆積させた。
【0094】
得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行った。その結果、単位時間当たりに得られる膜厚は、0.2〜1.0nm/分であり、得られた薄膜は全て酸化コバルト薄膜であった。
【0095】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、融点が低く液体の状態で輸送ができ、低温で分解させることができ、しかも蒸気圧が大きく気化させ易いコバルト化合物及びそれを用いた薄膜形成用原料を提供することができる。
また、本発明によれば、良質なコバルト含有薄膜を生産性良く製造することができる薄膜の製造方法を提供することができる。
図1