特許第6250293号(P6250293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6250293超臨界水によるバイオマスガス化システム及びその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6250293
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】超臨界水によるバイオマスガス化システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/72 20060101AFI20171211BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20171211BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20171211BHJP
   C02F 11/08 20060101ALI20171211BHJP
   C10J 3/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   C10J3/72 HZAB
   C10J3/72 A
   C10J3/72 B
   C10J3/72 D
   C10J3/72 J
   B01J3/00 A
   B09B3/00 304Z
   C02F11/08
   C10J3/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-64656(P2013-64656)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189588(P2014-189588A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月15日
【審判番号】不服-6010(P-6010/J1)
【審判請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592148878
【氏名又は名称】株式会社東洋高圧
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】山村 幸政
(72)【発明者】
【氏名】内山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾山 圭二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】松村 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】美濃輪 智朗
(72)【発明者】
【氏名】野口 琢史
(72)【発明者】
【氏名】川井 良文
【合議体】
【審判長】 國島 明弘
【審判官】 井上 能宏
【審判官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−242696号(JP,A)
【文献】 特開2009−242697号(JP,A)
【文献】 特開平11−138198号(JP,A)
【文献】 特開2002−224690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水性バイオマス又はバイオマスのスラリー体に懸濁させた非金属系触媒を触媒として、前記バイオマスを超臨界水でガス化処理するガス化反応器と、
前記ガス化反応器にて生成された生成ガス及び灰分、並びに前記非金属系触媒が水に懸濁され、前記ガス化反応器から排出される混合物の熱を利用して、前記ガス化反応器で超臨界水によりガス化処理される前記含水性バイオマス又は前記スラリー体に前記非金属系触媒を懸濁させた懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、
を備え
前記懸濁液を、前記二重管式熱交換器における二重管の一方の流路を介して前記ガス化反応器に供給し、
前記ガス化反応器から排出される前記混合物を、前記二重管の他方の流路に供給する超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転中に、
前記懸濁液から清水に切り替えて、前記清水を、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に供給して前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを特徴とする超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法。
【請求項2】
前記清水を前記一方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記他方の流路に供給する前に、前記清水を前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に供給し、前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを特徴とする請求項に記載の超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法。
【請求項3】
前記二重管における前記流路内の流体が前記清水で置換された後に、前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法。
【請求項4】
含水性バイオマス又はバイオマスのスラリー体に懸濁させた非金属系触媒を触媒として、前記バイオマスを超臨界水でガス化処理するガス化反応器と、
前記ガス化反応器にて生成された生成ガス及び灰分、並びに前記非金属系触媒が水に懸濁され、前記ガス化反応器から排出される混合物の熱を利用して、前記ガス化反応器で超臨界水によりガス化処理される前記含水性バイオマス又は前記スラリー体に前記非金属系触媒を懸濁させた懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、
前記懸濁液を前記二重管式熱交換器を介して前記ガス化反応器に供給する供給ポンプと、
を備える超臨界水によるバイオマスガス化システムにおいて、
前記供給ポンプは、前記二重管式熱交換器における二重管の一方の流路を介して前記ガス化反応器に前記懸濁液を供給し、
前記ガス化反応器から排出される前記混合物は、前記二重管の他方の流路に供給され、
前記供給ポンプは、前記懸濁液から清水に切り替えて、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に前記清水を供給して前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを特徴とする超臨界水によるバイオマスガス化システム。
【請求項5】
前記供給ポンプは、前記一方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記他方の流路に清水を供給する前に、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に前記清水を供給し、前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを特徴とする請求項4に記載の超臨界水によるバイオマスガス化システム。
【請求項6】
前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加える振動装置をさらに備え、
前記振動装置は、前記二重管における前記流路内の流体が前記清水で置換された後に、前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加えることを特徴とする請求項4または5に記載の超臨界水によるバイオマスガス化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タール等による配管内の詰まり発生を抑制することが可能な超臨界水によるバイオマスガス化システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含水性バイオマス(焼酎残渣、採卵鶏糞等)を超臨界水でガス化する技術において、バイオマスを超臨界水でガス化することによって得られた生成物等の熱を利用して、超臨界水でガス化される含水性バイオマス又はバイオマスのスラリー体を加熱する二重管式熱交換器を備えた超臨界水によるバイオマスガス化システムが開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271146号公報
【特許文献2】特開2009−242697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような超臨界水によるバイオマスガス化システムにおいては、ガス化の際に触媒として使用される活性炭などの非金属系触媒の微細粉末や、ガス化の際に生成されるタールなどによって、二重管式熱交換器における二重管の管内に詰まりが生じる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、タール等による配管内の詰まり発生を抑制することが可能な超臨界水によるバイオマスガス化システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法は、含水性バイオマス又はバイオマスのスラリー体に懸濁させた非金属系触媒を触媒として、前記バイオマスを超臨界水でガス化処理するガス化反応器と、前記ガス化反応器にて生成された生成ガス及び灰分、並びに前記非金属系触媒が水に懸濁され、前記ガス化反応器から排出される混合物の熱を利用して、前記ガス化反応器で超臨界水によりガス化処理される前記含水性バイオマス又は前記スラリー体に前記非金属系触媒を懸濁させた懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、を備える超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転中に、前記懸濁液から清水に切り替えて、前記二重管式熱交換器を介して前記ガス化反応器に前記清水を供給して前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを含む。
【0006】
上記超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法において、前記懸濁液を、前記二重管式熱交換器における二重管の一方の流路を介して前記ガス化反応器に供給し、前記ガス化反応器から排出される前記混合物を、前記二重管の他方の流路に供給し、前記清水を、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に供給することとしてもよい。
【0007】
上記超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法において、前記清水を前記一方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記他方の流路に供給する前あるいは後に、前記清水を前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に供給し、前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することとしてもよい。また、上記超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法において、前記二重管における前記流路内の流体が前記清水で置換された後に、前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加えることとしてもよい。
【0008】
本発明に係る超臨界水によるバイオマスガス化システムは、含水性バイオマス又はバイオマスのスラリー体に懸濁させた非金属系触媒を触媒として、前記バイオマスを超臨界水でガス化処理するガス化反応器と、前記ガス化反応器にて生成された生成ガス及び灰分、並びに前記非金属系触媒が水に懸濁され、前記ガス化反応器から排出される混合物の熱を利用して、前記ガス化反応器で超臨界水によりガス化処理される前記含水性バイオマス又は前記スラリー体に前記非金属系触媒を懸濁させた懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、前記懸濁液を前記二重管式熱交換器を介して前記ガス化反応器に供給する供給ポンプと、を備え、前記供給ポンプは、前記懸濁液から清水に切り替えて、前記二重管式熱交換器を介して前記ガス化反応器に前記清水を供給して前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを含む。
【0009】
上記超臨界水によるバイオマスガス化システムにおいて、前記供給ポンプは、前記二重管式熱交換器における二重管の一方の流路を介して前記ガス化反応器に前記懸濁液を供給し、前記ガス化反応器から排出される前記混合物は、前記二重管の他方の流路に供給され、前記供給ポンプは、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に前記清水を供給することを含んでもよい。
【0010】
上記超臨界水によるバイオマスガス化システムにおいて、前記供給ポンプは、前記一方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記他方の流路に清水を供給する前あるいは後に、前記他方の流路及び前記ガス化反応器を順に介して前記一方の流路に前記清水を供給し、前記二重管式熱交換器及び前記ガス化反応器における配管を洗浄することを含んでもよい。また、上記超臨界水によるバイオマスガス化システムに、前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加える振動装置をさらに備え、前記振動装置は、前記二重管における前記流路内の流体が前記清水で置換された後に、前記二重管式熱交換器の前記配管に振動を加えることを含んでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タール等による配管内の詰まり発生を抑制することが可能な超臨界水によるバイオマスガス化システム及びその運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態において、超臨界水によるバイオマスガス化システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態において、二重管式熱交換器の概略構成を示す図である。
図3】本発明の他の一実施形態において、切替弁を備えた超臨界水によるバイオマスガス化システムの概略構成を示す図である。
図4】本発明の他の一実施形態として説明する、切替弁を備えた超臨界水によるバイオマスガス化システムにおいて、二重管式熱交換、予熱器、ガス化反応器などの配管を洗浄する際の該システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び図面等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0014】
==超臨界水によるバイオマスガス化システムの構成==
図1は、本発明の一実施形態として説明する超臨界水によるバイオマスガス化システム(以下、単に「システム」と称する。)の概略構成を示す図である。図1に示すように、本発明に係るシステム100は、調整タンク10、破砕機20、供給ポンプ30、二重管式熱交換器40、予熱器50、ガス化反応器60、冷却器70、減圧器80、気液分離器90、ガスタンク91などを備えており、供給ポンプ30と二重管式熱交換器40の間、二重管式熱交換器40と予熱器50、予熱器50とガス化反応器60の間、及びガス化反応器60と二重管式熱交換器40の間は、それぞれ配管によって接続されている。
【0015】
調整タンク10は、含水性バイオマス(バイオマスのスラリー体であってもよい。以下、同じ。)、非金属系触媒、水などを混合するタンクである。システム100において処理されるガス化原料は、調整タンク10に投入された含水性バイオマス及び非金属系触媒、並びに必要に応じて投入された水を混合して、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁することにより調製される。なお、水の投入は、バイオマスの含水率に応じて適宜行われる。上記含水性バイオマスは、例えば、焼酎残渣、採卵鶏糞、汚泥などである。また、上記非金属系触媒としては、例えば、活性炭、ゼオライト、これらの混合物などを用いることができるが、平均粒径200μm以下の粉末を用いることが好ましく、平均粒径200μm以下の多孔質の粒子を用いることがより好ましい。
【0016】
破砕機20は、調整タンク10で調製した懸濁液中のバイオマスを破砕して、バイオマスをあらかじめ均一な大きさ(好ましくは平均粒径が500μm以下、より好ましくは平均粒径が300μm以下)にするための装置である。なお、ガス化原料としてバイオマスのスラリー体を混合させる場合には、システム100に破砕機20を設けなくてもよい。
【0017】
ガス化反応器60は、調整タンク10で調製した懸濁液または破砕機20でバイオマスを破砕した懸濁液に懸濁させた非金属系触媒を触媒として、懸濁液中のバイオマスを超臨界水でガス化する装置である。バイオマスの超臨界水によるガス化は、前記非金属系触媒を利用して、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で行うことができるが、タールやチャーの発生を抑制するとともに反応効率を高めることができる温度及び圧力下(600℃以上、25〜35MPaの範囲内)で行うことが好ましい。このようにバイオマスを超臨界水で処理することにより、バイオマスを分解し、水素ガス、メタン、エタン、エチレン等の燃料ガスを生成することができる。なお、本実施の形態においては、ガス化反応器60として管状反応器を用いることとしているが、ガス化反応器60はこの管状反応器に限定されるものではない。
【0018】
二重管式熱交換器40は、ガス化反応器60で超臨界水によるガス化処理によって生成された生成ガス及び灰分、並びに非金属系触媒が水に懸濁され、かつ、ガス化反応器60から排出される排出物(混合物)の熱を利用して、ガス化反応器60で超臨界水によりガス化処理される含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を予熱する装置である。図2に示すように、二重管式熱交換器40における二重管41は、外管42と内管43とから構成されており、上記懸濁液及び上記混合物のうち一方が内管43内の流路を流れ、他方が外管42と内管43との間の流路を流れる。以下の実施の形態においては、内管43内の流路に上記懸濁液が流れて予熱器50に供給され、外管42と内管43との間の流路に対して、懸濁液が流れる方向とは逆方向に、上記混合物が流れて冷却器70に供給されるように、二重管式熱交換器40がシステム100に設けられている。
【0019】
なお、本実施の形態においては、図2に示すように、二重管41の外周面(すなわち外管42の外周面)に1又は複数の振動装置44を、二重管41の外管42と内管43との間にスペーサー45を、それぞれ設けて、二重管41における配管(外管42と内管43)に振動を加えることができるようにすることが好ましいが、二重管式熱交換器40において、外管42に振動を加える振動装置と、内管43に振動を加える別の振動装置とを、それぞれ1又は複数設けて、二重管41における配管(外管42と内管43)に振動を加えることができるようにしてもよい。
【0020】
予熱器50は、二重管式熱交換器40からガス化反応器60に供給される、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を所定の温度まで予め加熱する装置である。
冷却器70は、二重管式熱交換器40を介してガス化反応器60から供給される排出物を冷却するための装置である。冷却器70は、例えば、クーラーなどである。
減圧器80は、二重管式熱交換器40及び冷却器70を順に介してガス化反応器60から供給される排出物の圧力を減圧する装置である。
【0021】
気液分離器90は、ガス化反応器60から供給された排出物を、生成ガス(燃料ガス等)を含む気体成分と、灰分及び非金属系触媒が水に懸濁された液体成分とに分離する装置である。
ガスタンク91は、気液分離器90によって分離された気体成分(生成ガス)を貯える容器(好ましくは耐圧容器)である。
【0022】
ガス化反応器60に設けられた加熱器61は、ガスタンク91に貯えられた生成ガス(燃料ガス)の一部あるいは燃料ガス(例えばLPGなど)を酸素を含むガス中で燃焼してガス化反応器60を加熱し、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を所定の温度に加熱する装置である。また、予熱器50に設けられた加熱器51は、ガスタンク91に貯えられた生成ガス(燃料ガス)の一部あるいは燃料ガス(例えばLPGなど)を酸素を含むガス中で燃焼して予熱器50を加熱し、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を所定の温度に加熱する装置である。加熱器51,61は、例えば、バーナーなどの、燃料ガスを燃焼して加熱する既存の装置である。
【0023】
供給ポンプ30は、調整タンク10で調製した懸濁液または破砕機20でバイオマスを破砕した懸濁液、及び、各装置40,50,60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管を洗浄するための清水を、適宜切り替えて各装置40,50,60に供給する装置である。懸濁液は、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給され、清水は、タール等による詰まりが発生しやすい二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)に供給される。懸濁液から清水への切り替えは、システム100の管理者の指示あるいは定期的に行われ、清水から懸濁液への切り替えは、所定時間経過後に、あるいは、清水の供給によって二重管式熱交換器40から排出される排水の濁度等の性状(例えば、排水の濁度、排水における油分の有無、排水における固形分の有無)が問題ないと判断された場合(例えば規定値になった場合)に、清水の供給を中止して清水による配管洗浄を終了し、それから行われる。供給ポンプ30は、例えば、高圧ポンプやモーノポンプなどを用いることができる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、システム100に1つの供給ポンプ30を設けて、懸濁液又は清水を、各装置40,50,60に供給することとしているが、システム100に2つの供給ポンプを設けて、一方の供給ポンプによって懸濁液を二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給し、他方の供給ポンプによって清水を二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40に供給することとしてもよい。
【0025】
以上のように、本発明に係るシステム100は、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給していた懸濁液を清水に切り替えて、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40に清水を供給して二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管を洗浄する供給ポンプ30を備えることにより、システム100の運転中に、非極性有機溶媒や水溶性有機溶媒を用いることなく清水のみで、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管を洗浄して、タール等による配管内の詰まり発生を抑制し、設備信頼度の向上を図ることが可能になる。また、上記供給ポンプ30に、上記配管の洗浄が終了した後、清水から懸濁液に切り替えて、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に懸濁液を供給する機能を設けることにより、配管の洗浄後に超臨界水によるバイオマスのガス化を自動的に再開することができるようになる。なお、懸濁液から清水の切り替えは、システム100の運転を停止して各装置40,50,60における温度が常温まで冷却するのを待ってから行ってもよいが、連続運転・安定運転が可能なように、システム100の運転を停止することなく行ってもよい。
【0026】
また、本発明に係るシステム100は、上述のように、二重管式熱交換器40における二重管41の配管に振動を加える振動装置を1又は複数備えることにより、清水による洗浄時に、タール等による詰まりが特に発生しやすい二重管の配管に振動を加えることができるようになり、もって清水による配管洗浄を効率よく行うことが可能となる。
【0027】
なお、上述のガス化反応器60は、図1に示すように、加熱器51によりガスタンク91の生成ガスあるいは燃料ガスを燃焼することによって得られた排ガスの熱を利用して、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を加熱する熱交換器を備えてもよい。
【0028】
また、上述の実施形態においては、調整タンク10で含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を破砕機20によって処理し、供給ポンプ30によって二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給しているが、破砕機20で破砕した含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を、供給ポンプ30によって二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給してもよい。
【0029】
==超臨界水によるバイオマスガス化システムの運転方法==
次に、図1に示すシステム100の運転方法について以下に例を挙げて説明するが、本発明の方法は以下の方法に限定されるものではない。
システム100の運転を開始すると、含水性バイオマス及び非金属系触媒、並びに必要に応じて水が調整タンク10に投入される。調製タンク10に投入された含水性バイオマス、非金属系触媒、水などは混合され、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液が調製される。懸濁液は、必要に応じて破砕機20に供給され、懸濁液中のバイオマスが破砕される。その後、懸濁液は、供給ポンプ30によって、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)及び予熱器50を順に介して、ガス化反応器60に供給される。なお、懸濁液は、二重管式熱交換器40及び予熱器50で加熱される。
【0030】
ガス化反応器60に供給された懸濁液中のバイオマスは、該懸濁液に懸濁させた非金属系触媒及び超臨界水によって効率よくガス化される。超臨界水によるガス化によって生成された生成ガス及び灰分は、非金属系触媒及び水とともにガス化反応器60から排出される。ガス化反応器60から排出された排出物(生成ガス、灰分、非金属系触媒が水に懸濁された混合物)は、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)に供給され、供給ポンプ30によって二重管式熱交換器40に供給された懸濁液に熱を提供した後、冷却器70及び減圧器80に供給され、冷却・減圧される。冷却・減圧された排出物(混合物)は、気液分離器90によって生成ガスを含む気体成分と、灰分、非金属系触媒が水に懸濁された液体成分とに分離され、生成ガスはガスタンク91に貯えられ、液体成分は排出される。
【0031】
システム100の管理者の指示により、あるいは、システム100の運転から所定時間が経過すると、供給ポンプ30は、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60への懸濁液の供給を中止し、懸濁液から清水に切り替えて、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40に清水を供給し、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管、並びにそれらの装置間を接続する配管を洗浄する。
【0032】
所定時間経過後、あるいは、清水の供給によって二重管式熱交換器40から排出される排水の濁度等の性状が問題ないと判断された場合に、清水による配管の洗浄を終了し(清水の供給を中止し)、供給ポンプ30は、清水から懸濁液に切り替えて、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に懸濁液を供給する。
【0033】
以上のように、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に供給していた懸濁液を清水に切り替えて、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40に清水を供給することにより、非極性有機溶媒や水溶性有機溶媒を用いることなく清水のみで、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管を洗浄して、タール等による配管内の詰まり発生を抑制し、設備信頼度の向上を図ることが可能になる。また、配管の洗浄が終了した後、清水から懸濁液に切り替えて供給ポンプ30によって、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に懸濁液を供給することにより、配管の洗浄後に超臨界水によるバイオマスのガス化を自動的に再開することができるようになる。さらに、システム100の運転を止めることなく、懸濁液と清水を交互に切り替えて各装置40,50,60に懸濁液又は清水を供給することにより、連続運転・安定運転が可能となる。
【0034】
また、本発明に係るシステム100の二重管式熱交換器40に、上記振動装置44及びスペーサー45を設けて、各装置40,50,60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管を流れる流体が清水に置換された後に、タール等による詰まりが特に発生しやすい二重管41の配管に振動を加えながら清水を供給して清水による配管洗浄を行ってもよい。これにより、清水による配管洗浄を効率よく行うことができるようになる。
【0035】
さらに、後述するように、本発明に係るシステム100に切替弁を設けて、懸濁液から清水に切り替えると同時に、供給ポンプ30によって清水を、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)、ガス化反応器60及び予熱器50を順に介して二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)に流れるように切替弁を制御して、清水の逆流による配管洗浄を行ってもよい。なお、清水の逆流による配管洗浄は、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)に清水を供給して、清水による配管洗浄を行う前あるいは後に行われてもよい。このように、切替弁を設けて清水の逆流による配管洗浄を行うことにより、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管に付着したタール等を、非極性有機溶媒や水溶性有機溶媒を用いることなく清水のみで、効率よく除去することが可能となり、タール等による配管内の詰まり発生を抑制して設備信頼度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0036】
==他の実施形態==
上述の切替弁を備えたシステム100aについて説明する。図3及び図4に、本発明の他の一実施形態として説明する切替弁を備えたシステム100aの概略構成を示す。
図3及び図4に示すシステム100aは、上述の調整タンク10、破砕機20、供給ポンプ30、二重管式熱交換器40、予熱器50、ガス化反応器60、冷却器70、減圧器80、気液分離器90、ガスタンク91などの他に、切替弁である三方弁31,32,33を備える。三方弁31,32,33は、例えば、三方電磁弁などである。
【0037】
三方弁31,32は、供給ポンプ30が懸濁液を供給する場合、あるいは、供給ポンプ30が清水を供給して正流による配管洗浄を行う場合には、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に懸濁液あるいは清水が流れるように制御され、三方弁33は、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)を介してガス化反応器60から供給された排出物あるいは清水を冷却器70に流れるように制御される(図3参照)。なお、二重管式熱交換器40を介してガス化反応器60から供給された清水は、冷却器70ではなく外部に排出されるように、三方弁33を制御してもよい。
【0038】
一方、供給ポンプ30が清水を供給して逆流による配管洗浄を行う場合には、三方弁31,33は、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)、ガス化反応器60及び予熱器50を順に介して二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)に清水が流れるように制御され、三方弁32は、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)を介して予熱器50から供給された清水を排出されるように制御される(図4参照)。なお、三方弁31,32,33の制御は、供給ポンプ30が適宜行うこととしてもよいし、制御装置を別途設けて適宜行うこととしてもよい。
【0039】
次に、図3及び図4に示すシステム100aの運転方法について以下に例を挙げて説明するが、本発明の方法は以下の方法に限定されるものではない。
システム100aの運転を開始すると、含水性バイオマス及び非金属系触媒、並びに必要に応じて水が調整タンク10に投入される。調製タンク10に投入された含水性バイオマス、非金属系触媒、水などは混合され、含水性バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液が調製される。懸濁液は、必要に応じて破砕機20に供給され、懸濁液中のバイオマスが破砕される。その後、懸濁液が、供給ポンプ30によって、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に流れるように、また、ガス化反応器60から排出された排出物が、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)を介して冷却器70に流れるように、三方弁31,32,33がそれぞれ制御され、懸濁液は、供給ポンプ30によって、二重管式熱交換器40及び予熱器50を順に介して、ガス化反応器60に供給される。なお、懸濁液は、二重管式熱交換器40及び予熱器50で加熱される。
【0040】
ガス化反応器60に供給された懸濁液中のバイオマスは、該懸濁液に懸濁させた非金属系触媒及び超臨界水によって効率よくガス化される。超臨界水によるガス化によって生成された生成ガス及び灰分は、非金属系触媒及び水とともにガス化反応器60から排出される。ガス化反応器60から排出された排出物(生成ガス、灰分、非金属系触媒が水に懸濁された混合物)は、二重管式熱交換器40に供給され、供給ポンプ30によって二重管式熱交換器40に供給された懸濁液に熱を提供した後、冷却器70及び減圧器80に供給され、冷却・減圧される。冷却・減圧された排出物(混合物)は、気液分離器90によって生成ガスを含む気体成分と、灰分、非金属系触媒が水に懸濁された液体成分とに分離され、生成ガスはガスタンク91に貯えられ、液体成分は排出される。
【0041】
システム100aの管理者の指示により、あるいは、システム100aの運転から所定時間が経過すると、供給ポンプ30は、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60への懸濁液の供給を中止し、懸濁液から清水に切り替えて、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60を順に介して二重管式熱交換器40に清水を供給し、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60の配管、並びにそれらの装置間を接続する配管における流体を清水に置換する。
【0042】
上記配管における流体を清水に置換した後、二重管41の配管の加振を開始し、所定時間、あるいは、清水の供給によって二重管式熱交換器40から排出される排水の濁度等の性状が問題ないと判断されるまで、清水による洗浄を行う。洗浄後、供給ポンプ30は、清水の供給を中止し、清水が供給ポンプ30から、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)、ガス化反応器60及び予熱器50を順に介して二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)に流れるように三方弁31,33を制御し、また、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)を介して予熱器50から供給された清水が外部に排出されるように三方弁32を制御する。
【0043】
三方弁31,32,33を制御した後、二重管41の配管の加振を開始し、所定時間、あるいは、清水の供給によって二重管式熱交換器40から排出される排水の濁度等の性状が問題ないと判断されるまで、清水の逆流による配管洗浄を行う。逆流による配管洗浄が終了した後、供給ポンプ30は、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60への清水の供給を中止し、清水から懸濁液に切り替え、懸濁液が供給ポンプ30から、二重管式熱交換器40(二重管41の内管43内の流路)及び予熱器50を順に介してガス化反応器60に流れるように三方弁31,32を制御し、また、二重管式熱交換器40(二重管41の外管42と内管43との間の流路)を介してガス化反応器60から供給された排出物を冷却器70に流れるように三方弁33を制御する。
【0044】
以上のように、三方弁31,32,33などの切替弁をシステム100aに備えて、清水及び加振による洗浄と、清水の逆流及び加振による洗浄を行うことにより、二重管式熱交換器40、予熱器50及びガス化反応器60における配管並びにそれらの装置間を接続する配管に付着したタール等を、非極性有機溶媒や水溶性有機溶媒を用いることなく清水のみで、効率よく除去することが可能となり、タール等による配管内の詰まり発生を抑制して設備信頼度のさらなる向上を図ることが可能となる。なお、清水による配管洗浄及び清水の逆流による配管洗浄は、システム100aの運転を停止して各装置40,50,60における温度が常温まで冷却するのを待ってから行ってもよいが、連続運転・安定運転が可能なように、システム100aの運転を停止することなく行ってもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、システム100aの二重管式熱交換器40における二重管41の配管に振動を加えるための装置、例えば、振動装置44及びスペーサー45を、二重管式熱交換器40に設けて、清水の正流による配管洗浄及び清水の逆流による配管洗浄の際に二重管41の配管に振動を加えることとしているが、二重管41の配管に振動を加えるための装置を設ける必要がないときは、二重管式熱交換器40に設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 調整タンク、20 破砕機、30 供給ポンプ、31,32,33 三方弁、40 二重管式熱交換器、41 二重管、42 外管、43 内管、44 振動装置、45 スペーサー、50 予熱器、51 加熱器、60 ガス化反応器、61 加熱器、70 冷却器、80 減圧器、90 気液分離器、91 ガスタンク、100 超臨界水によるバイオマスガス化システム、100a 電磁弁を備えた超臨界水によるバイオマスガス化システム
図1
図2
図3
図4