特許第6251000号(P6251000)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251000
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】走査画像補正方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20171211BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B41J29/393 101
   G06T1/00 310A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-201746(P2013-201746)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-66757(P2015-66757A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄士
(72)【発明者】
【氏名】野村 星也
(72)【発明者】
【氏名】山中 一記
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214807(JP,A)
【文献】 特開2008−034950(JP,A)
【文献】 特開2006−137075(JP,A)
【文献】 特開2008−080678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送路にて搬送される印刷媒体の幅方向に走査を行う走査部を備えた印刷装置における走査画像補正方法であって、
前記印刷媒体の幅方向及び前記印刷媒体の搬送方向の線からなる方眼線が描かれた検査用チャートを、その方眼線が前記印刷媒体の搬送方向及び印刷媒体の幅方向に一致するように前記搬送路に配置する過程と、
前記検査用チャートを前記走査部で走査し、前記検査用チャートの走査画像を取得する過程と、
前記検査用チャートの方眼線に対する前記走査画像の方眼線のずれ量を取得する過程と、
前記走査部で走査して得られる、印刷を調整するための調整用チャートの走査画像を前記ずれ量で補正する過程と、
を備え
前記配置する過程は、前記印刷媒体の幅方向に一列に並んだ前記検査用チャートの方眼線の交点に形成された開口部を、検査用チャート保持部材の、前記印刷媒体の幅方向における端面に配置し、前記検査用チャートの前記印刷媒体の幅方向の線と、前記開口部を通して視認される前記検査用チャート保持部材の端面とを一致させた状態で、前記検査用チャート保持部材と前記検査用チャートとを前記搬送路に配置することを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項2】
請求項1に記載の走査画像補正方法において、
前記搬送路は、傾斜していることを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の走査画像補正方法において、
前記走査部は、前記印刷媒体の幅方向に長軸が配置された移動軸と、前記搬送路に沿って長手方向を配置され、その一端側が前記移動軸に結合されたスキャナと、を備えていることを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項4】
請求項に記載の走査画像補正方法において、
前記検査用チャートは、前記印刷媒体の幅方向に配置された搬送ローラに対して、前記検査用チャート保持部材を係止することにより配置されることを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の走査画像補正方法において、
前記検査用チャートは、前記搬送路に吸着されて固定されることを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の走査画像補正方法において、
前記ずれ量は、補正テーブルとして保存されることを特徴とする走査画像補正方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の走査画像補正方法において、
前記ずれ量で補正する過程は、前記ズレ量の補正の方向を前記走査部が撓んでいる方向とすることを特徴とする走査画像補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整用チャートを走査し、その読み取った画像に基づいて印刷時の補正を行う走査画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の方法として、印刷用紙に調整用チャートを印刷し、印刷された調整用チャートを読み取り、その結果により印刷の調整を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
調整用チャートを読み取るには、印刷用紙のうち調整用チャートが印刷された部分を傾斜姿勢の吸着板に吸着させる。読み取りは、走査部で行われる。この走査部は、吸着板の上部にて、印刷用紙の幅方向(水平方向)に長軸が向けられた姿勢で配置され、回転自在に構成された螺軸と、この螺軸に懸垂姿勢で取り付けられたスキャナとで構成されている。そして、螺軸を回転させることにより、スキャナを幅方向に移動させて、調整用チャートを読み取らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、水平方向に長軸が向けられた螺軸の中央部が下方に向かって撓んでしまうため、螺軸を水平方向に精度よく、印刷用紙の搬送方向に直交するように配置することは困難である。そのため、スキャナで読み取った調整用チャートの走査画像に歪みや傾斜が生じ、これに基づいて求められる印刷の調整のための補正データの精度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構造に起因する歪みや傾斜を補正することにより、調整用チャートから得られる補正データの精度を向上することができる走査画像補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、送路にて搬送される印刷媒体の幅方向に走査を行う走査部を備えた印刷装置における走査画像補正方法であって、前記印刷媒体の幅方向及び前記印刷媒体の搬送方向の線からなる方眼線が描かれた検査用チャートを、その方眼線が前記印刷媒体の搬送方向及び印刷媒体の幅方向に一致するように前記搬送路に配置する過程と、前記検査用チャートを前記走査部で走査し、前記検査用チャートの走査画像を取得する過程と、前記検査用チャートの方眼線に対する前記走査画像の方眼線のずれ量を取得する過程と、前記走査部で走査して得られる、印刷を調整するための調整用チャートの走査画像を前記ずれ量で補正する過程と、を備え、前記配置する過程は、前記印刷媒体の幅方向に一列に並んだ前記検査用チャートの方眼線の交点に形成された開口部を、検査用チャート保持部材の、前記印刷媒体の幅方向における端面に配置し、前記検査用チャートの前記前記印刷媒体の幅方向の線と、前記開口部を通して視認される前記検査用チャート保持部材の端面とを一致させた状態で、前記検査用チャート保持部材と前記検査用チャートとを前記搬送路に配置することを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、検査用チャートの方眼線が印刷媒体の搬送方向及び印刷媒体の幅方向に一致するように検査用チャートを搬送路に配置し、検査用チャートを走査部で走査して検査用チャートの走査画像を取得する。次に、検査用チャートの方眼線に対する走査画像の方眼線のずれ量を取得し、印刷を調整するための調整用チャートの走査部による走査画像を、取得したずれ量で補正する。構造に起因する歪みや傾斜が反映されたずれ量により調整用チャートの走査画像を補正するので、調整用チャートの補正画像から得られる補正データの精度を向上することができる。また、検査用チャートの開口部を通して視認される検査用保持部材の端面を一致させるので、検査用チャートと検査用チャート保持部材とを精度よく位置合わせすることができる。したがって、検査用保持部材に固定された検査用チャートを搬送路に正確に配置する事が可能なため、印刷媒体の搬送方向及びその幅方向に対する走査画像補正データを精度よく求めることができる。その結果、ずれ量を精度よく求めることができる。
【0009】
(削除)
【0010】
(削除)
【0011】
また、本発明において、前記搬送路は、傾斜していることが好ましい(請求項)。
【0012】
省スペースのため傾斜した搬送路に走査部が設けられているので、構造的に歪みや傾斜が生じる。したがって、調整用チャートの走査画像に歪みや傾斜が生じるので、ずれ量により補正する必要性が生じる。
【0013】
また、本発明において、前記走査部は、前記前記印刷媒体の幅方向に長軸が配置された移動軸と、前記搬送路に沿って長手方向を配置され、その一端側が前記移動軸に結合されたスキャナと、を備えていることが好ましい(請求項)。
【0014】
省スペースのため螺軸が撓むので、スキャナの位置が構造的に設計値からずれる。この構造的なずれをずれ量として取得して補正に用いる。
【0015】
また、本発明において、前記検査用チャートは、前記印刷媒体の幅方向に配置された搬送ローラに対して、前記検査用チャート保持部材を係止することにより配置されることが好ましい(請求項)。
【0016】
搬送ローラは、搬送路に対して精度良く組み付けられている。したがって、この搬送ローラに対して検査用チャート保持部材を係止することで、検査用チャートを搬送路に対して精度良く配置することができる。
【0017】
また、本発明において、前記検査用チャートは、前記搬送路に吸着されて固定されることが好ましい(請求項)。
【0018】
検査用チャートを搬送路に吸着固定することで、精度良く走査画像を取得できる。
【0019】
また、本発明において、前記ずれ量は、補正テーブルとして保存されることが好ましい(請求項)。
【0020】
補正テーブルにずれ量を保存することで、容易に読み出すことができるので、調整用チャートの補正を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明において、前記ずれ量で補正する過程は、前記ズレ量の補正の方向を前記走査部が撓んでいる方向とすることが好ましい(請求項)。
【0022】
走査部で読み取られた走査画像は、走査部が撓んでいる方向とは逆方向に撓んで取得される。したがって、ズレ量の補正の方向を撓んでいる方向にすることで、調整用チャートから構造的な歪みをキャンセルできる。
【0023】
(削除)
【0024】
(削除)
【0025】
(削除)
【0026】
(削除)
【0027】
(削除)
【0028】
(削除)
【0029】
(削除)
【0030】
(削除)
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る走査画像補正方法によれば、検査用チャートの方眼線が印刷媒体の搬送方向及び印刷媒体の幅方向に一致するように検査用チャートを搬送路に配置し、検査用チャートを走査部で走査して検査用チャートの走査画像を取得する。次に、検査用チャートの方眼線に対する走査画像の方眼線のずれ量を取得し、印刷を調整するための調整用チャートの走査部による走査画像を、取得したずれ量で補正する。構造に起因する歪みや傾斜が反映されたずれ量により調整用チャートの走査画像を補正するので、調整用チャートの補正画像から得られる補正データの精度を向上することができる。また、検査用チャートの開口部を通して視認される検査用保持部材の端面を一致させるので、検査用チャートと検査用チャート保持部材とを精度よく位置合わせすることができる。したがって、検査用保持部材に固定された検査用チャートを搬送路に正確に配置する事が可能なため、印刷媒体の搬送方向及びその幅方向に対する走査画像補正データを精度よく求めることができる。その結果、ずれ量を精度よく求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例に係るインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図である。
図2】検査部の概略構成を示す正面図である。
図3】検査部の概略構成を示す側面図である。
図4】走査補正検査部材の概略構成を示す正面図である。
図5】走査補正検査部材の位置合わせの状態を示す一部拡大図である。
図6】走査補正検査部材を吸着板に取り付けた状態を示す側面図である。
図7】走査画像補正処理の動作を示すフローチャートである。
図8】走査時の移動軌跡例を示した模式図である。
図9】取得した走査画像の一例を示す模式図である。
図10】方眼線のうち、搬送方向に直交する方向の線を抽出する処理の説明に供する図である。
図11】ずれ量を取得する処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図である。
【0034】
本実施例に係るインクジェット印刷装置1は、給紙部3と、印刷ユニット5と、排紙部7とを備えている。
【0035】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを供給する。印刷ユニット5は、例えば、インクジェット式で構成され、連続紙WPに対して印刷を行う。排紙部7は、表面の印刷を終えた連続紙WPをロール状に巻き取る。
【0036】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持し、印刷ユニット5に対して連続紙WPを巻き出して供給する。排紙部7は、印刷が行われた連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。
【0037】
印刷ユニット5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ9を上流側に備えている。駆動ローラ9によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ11に沿って、下流側の排紙部7に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ11と排紙部7との間には、駆動ローラ13が配置されている。この駆動ローラ13は、搬送ローラ11上を搬送されている連続紙WPを排紙部7に向かって送り出す。
【0038】
印刷ユニット5は、駆動ローラ9と駆動ローラ13との間に、印刷部15と、乾燥部17と、検査部19とを上流側からその順で備えている。乾燥部17は、印刷部15によって印刷された部分の乾燥を行う。検査部19は、印刷された部分に汚れや抜け等がないかを検査する他、印刷の調整を行うために使用する調整用チャートを読み取ったり、後述する検査用チャートを読み取ったりする。
【0039】
印刷部15は、インク滴を吐出するインク滴を吐出する印刷ヘッド21を備えている。印刷部15は、連続紙WPの搬送方向に沿って複数個配置されているのが一般的である。例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)について個別に4個の印刷部15を備えている。しかし、以下の説明においては、発明の理解を容易にするために、1個の印刷部15だけを備えているものとして説明する。また、印刷部15は、連続紙WPの幅方向(紙面の奥手前方向)における印刷領域を移動することなく印刷できるだけの印刷ヘッド21を複数個備えている。つまり、本実施例における印刷ユニット5は、印刷部15が連続紙WPの搬送方向と直交する方向に主走査のために移動することがなく、位置が固定のままで連続紙WPを副走査方向に送りながら連続紙WPに対して印刷を行う。なお、このような構成は、1パス機と呼ばれる。
【0040】
検査部19は、案内ローラ23と、下部ローラ25と、吸着板27と、上部ローラ29と、走査部31とを備えている。
【0041】
案内ローラ23は、乾燥部17から水平に送られてきた連続紙WPを、下方に向けて案内する。下部ローラ25は、下方に送られてきた連続紙WPを斜め上方に向かって傾斜姿勢で送る。上部ローラ29は、斜め下方から送られてきた連続紙WPを水平方向に案内する。
【0042】
ここで、さらに図2及び図3を参照して、検査部19について説明する。なお、図2は、検査部の概略構成を示す正面図であり、図3は、検査部の概略構成を示す側面図である。
【0043】
下部ローラ25と上部ローラ29との間の搬送路に相当する位置には、吸着板27が配置されている。吸着板27は、その表面SPを連続紙WPが搬送される搬送路に沿って配置されている。また、吸着板27は、その表面SPの全体にわたって、図示しない吸引手段(例えば、吸引ポンプ)により吸引されて負圧となる吸引口(不図示)が複数個形成されている。
【0044】
吸着板27の表面SPから若干離間した位置には、走査部31が配置されている。この走査部31は、螺軸33と、回転モータ35と、スキャナ37とで構成されている。
【0045】
螺軸33は、吸着板27の上部にて、連続紙WPの幅方向に長軸が向けられた姿勢で配置されている。ここでいう幅方向とは、図1における紙面の奥手前方向であり、図2の左右方向である。回転モータ35は、螺軸33に回転軸が連結され、螺軸33を長軸周りに回転させる。スキャナ37は、イメージセンサで構成され、螺軸33に懸垂姿勢で取り付けられている。また、スキャナ37は、読み取り面を連続紙WP側(吸着板27の表面SP側)に向けられた姿勢で螺軸33に取り付けられている。上述した螺軸33は、搬送方向と直交する方向に長軸が向けられた姿勢で取り付けられている関係で、中央部が下方に撓むように歪んでいる。したがって、スキャナ37で走査した際に得られる走査画像は、歪みを有することになる。
【0046】
なお、スキャナ37を移動させる構成は、上述した螺軸33(ボールネジ)に限定されない。螺軸33に代えて、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、リニアガイドとコグドベルトの組合せなど、所望の手法を選択しうる。
【0047】
上述した駆動ローラ9,13の搬送制御と、印刷ヘッド21によるインク滴の吐出制御と、乾燥部17による乾燥処理と、検査部19による検査処理等は、制御部39によって統括的に制御される。制御部39は、CPUやメモリなどによって構成されている。制御部39には、情報を記憶するための記憶部41が接続されている。
【0048】
制御部39は、印刷ヘッド21や駆動ローラ9,13を操作して、連続紙WPに対して調整用チャートを印刷させ、その調整用チャートを検査部19に読み取らせ、その結果に基づいて印刷ヘッド21や駆動ローラ9,13を調整することにより、連続紙WPに対して通常の印刷を精度良く行うことができる。なお、その調整に先立って、制御部39は、後述するように、検査用チャートを検査部19に読み取らせ、検査用チャートに基づいてずれ量を求める。次に、制御部39は、求めたずれ量を補正テーブルとして記憶部39に保存し、調整用チャートを読み取った際に、記憶部39のずれ量に基づいて調整用チャートを補正する。制御部39は、補正された調整用チャートに基づいて、印刷時の調整を行って精度良く印刷を行う。
【0049】
なお、上述した印刷部15が本発明における「印刷手段」に相当し、記憶部41が本発明における「記憶手段」に相当し、制御部39が本発明における「補正手段」及び「調整手段」に相当する。
【0050】
ここで図4図6を参照して、ずれ量を求めるための走査補正検査部材について説明する。なお、図4は、走査補正検査部材の概略構成を示す正面図であり、図5は、走査補正検査部材の位置合わせの状態を示す一部拡大図であり、図6は、走査補正検査部材を吸着板に取り付けた状態を示す側面図である。
【0051】
走査補正検査部材45は、検査用チャート板47と、保持部材49とを備えている。検査用チャート板47は、枚葉状を呈した薄版であり、搬送路に直交する方向(連続紙WPの搬送方向であり、連続紙WPの幅方向)の水平線HL及び搬送路に平行な方向(連続紙WPの搬送方向)の垂直線VLを有する方眼線からなる検査用チャートESがその面に描かれている。検査用チャート板47は、搬送路と直交する方向に一列に並んだ方眼線の各交点に開口部51が形成されている。この例では、検査用チャート板47の上部にある水平線と垂直線との各交点に開口部51が形成されている。各開口部51は、検査用チャート板47の表面から裏面に貫通し、隣接する開口部51に接しない程度の直径を有する。保持部材49は、長軸を有する棒状を呈し、検査用チャート板47の幅より若干長く形成されている。保持部材49は、長軸における一端側から他端側にわたって同じ厚さを有する。
【0052】
走査補正検査部材45は、検査用チャート板47が保持部材49に取り付けられている。その取り付けは、検査用チャート板47の開口部51を通して視認される保持部材49の端面のうち、搬送路と直交する方向の端面49aと、検査用チャート板47に描かれた検査用チャートESのうち、搬送路と直交する線HL(水平線)とが一致するように行われる。検査用チャート板47と保持部材49とは、ネジ止めあるいは接着などによって一体的に固定されている。
【0053】
上記のように構成された走査補正検査部材45は、図6に示すように取り付けられる。なお、図6は、走査補正検査部材を吸着板に取り付けた状態を示す側面図である。
【0054】
すなわち、走査補正検査部材45は、上部ローラ29の上縁に保持部材49の下面が接する姿勢で係止される。さらに、検査用チャート板47の検査用チャートESの水平線及び垂直線が、搬送路の水平及び垂直に一致する姿勢とされた状態で、吸着板27の吸着により走査補正検査部材45の姿勢で固定される。
【0055】
次に、図7から図11を参照して上述した走査補正検査部材45を用いた走査画像補正処理について説明する。なお、図7は、走査画像補正処理の動作を示すフローチャートであり、図8は、走査時の移動軌跡例を示した模式図であり、図9は、取得した走査画像の一例を示す模式図であり、図10は、方眼線のうち、搬送方向に直交する方向の線を抽出する処理の説明に供する図であり、図11は、ずれ量を取得する処理の説明図である。
【0056】
ステップS1
インクジェット印刷装置1において、連続紙WPを除去した状態で走査補正検査部材45を図6に示したように吸着板27に取り付ける。
【0057】
ステップS2
制御部39は、検査部19を操作して検査用チャートESの走査を行わせる。これにより、制御部39は、検査部19から検査用チャートESの走査画像を取得する。このとき、上述した理由により、スキャナ37は、図8に点線で示すような軌跡を描いて走査することになる。この例では、螺軸33が下方に撓んでいるので、スキャナ37の移動軌跡も下方に撓むことになる。
【0058】
その結果、走査画像は、図9に示すようなものとなる。つまり、走査画像における検査用チャートESは、検査用チャート板47の検査用チャートESの水平線HLが水平線HL−のように、上に湾曲したように歪むことになる。これは、スキャナ37が下方に撓んだ軌跡に沿って移動するので、スキャナ37が中央に移動するにつれて、同じ位置の水平線HLが徐々に上の画素で読み取られることになるからである。
【0059】
ステップS3
制御部39は、取得した検査用チャートESの走査画像の中から、連続紙WPの幅方向における一つのライン領域を特定する。具体的には、複数本ある水平線HL−のうちから、水平線HL−を一つだけを含む領域を抽出する処理を行う。
【0060】
具体的には、走査画像を水平方向に平均化して二値化処理を行う。そして、濃度が低い領域のうち、一つのライン領域SAだけを特定する(図10の二点鎖線で示した部分)。水平方向に平均化して二値化処理を行うと、水平線HL−のある領域は濃度が低くなるので、湾曲した水平線HL−が存在するライン領域SAを特定することができる。ここでは、複数個の濃度が低い領域のうち、最上位にあるライン領域SAを選択するようにしているが、これに代えて他の一つの領域を選択してもよい。また、複数のライン領域SAを特定し、各ライン領域SAから求めた補正テーブルを平均化して、一つの補正テーブルとして記憶部41に格納するようにしてもよい。
【0061】
ステップS4
制御部39は、ライン領域SAに基づいてずれ量を取得する。具体的には、図11に示すように、ライン領域SAに対して二値化処理を行い、濃度が低い部分(水平線HL−)について、左端の画素位置(x=0)を基準にして、搬送方向と直交する方向の各画素位置における濃度が低い部分の搬送方向へのずれ量を搬送路の幅方向にわたって求める。このようにして求められた連続紙WPの幅方向におけるスキャナ37の各画素に対応する位置の各ずれ量は、画素に対応する位置ごとに補正テーブルとして記憶部41に格納される。
【0062】
上述したようにして補正テーブルとしてずれ量が記憶部41に記憶された後、インクジェット印刷装置1では、例えば、次のようにして印刷の調整が行われる。
【0063】
まず、連続紙WPを印刷ユニット5に供給しつつ、印刷を調整するための調整用チャートを印刷部15で描画させる。この調整用チャートは、例えば、印刷ヘッド21による搬送方向への位置ずれ量(段差ずれとも呼ばれる)を読み取ることができるような図形を含む。その後、調整用チャートが検査部19に送られ、その部分が吸着板27に吸着された状態で、走査部31による調整用チャートの走査が行われる。制御部39は、記憶部41の補正テーブルを参照し、調整用チャートの走査画像をずれ量で補正する。これにより、螺軸33の撓みに起因する歪みが調整用チャートの走査画像から取り除かれる。なお、具体的には、補正テーブルの各ずれ量を、螺軸33の撓みと同方向にひくことにより、補正を行うことができる。制御部39は、補正された調整用チャートの走査画像に基づき、印刷部15からのインク滴の吐出タイミングの補正データを求める。そして、その補正データで補正しつつ、製品となる印刷物を印刷部15で印刷させる。
【0064】
本実施例によると、記憶部41に記憶されたずれ量を用いて、制御部39が印刷部15による印刷を調整するための調整用チャートの走査画像を補正する。この補正された調整用チャートの走査画像に基づいて、印刷部15による印刷を制御部39が調整する。したがって、螺軸33の構造に起因する歪みや傾斜が反映されたずれ量により調整用チャートの走査画像を補正するので、調整用チャートの補正画像から得られる補正データの精度を向上することができる。その結果、印刷部15による印刷を精度良く行うことができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0066】
(1)上述した実施例では、水平線HLの搬送方向への撓みをずれ量として求める場合を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、搬送方向と直交する方向への垂直線VLの撓みをずれ量として求める場合にも適用することができる。つまり、螺軸33が傾斜して取り付けられていた場合、または、スキャナ37が螺軸33に対して傾斜して取り付けられていた場合には、方眼線が平行四辺形の走査画像として取得されることになる。その平行四辺形の走査画像から、搬送方向に位置するスキャナの画素位置ごとに傾斜度合いを求め、それをずれ量として補正テーブルに格納すればよい。
【0067】
(2)上述した実施例では、インクジェット式の印刷部15を備えたインクジェット印刷装置1を例にとって説明したが、本発明はインクジェット式の印刷装置以外でも適用することができる。
【0068】
(3)上述した実施例では、走査補正検査部材45を図4及び図5に示す構成としたが、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、保持部材49と検査用チャート板47の組み付け精度が十分に得られる場合には、検査用チャート板47に開口部51を必ずしも備える必要はない。
【符号の説明】
【0069】
WP … 連続紙
1 … インクジェット印刷装置
5 … 印刷ユニット
15 … 印刷部
19 … 検査部
21 … 印刷ヘッド
23 … 案内ローラ
25 … 下部ローラ
27 … 吸着板
29 … 上部ローラ
31 … 走査部
33 … 螺軸
35 … 回転モータ
37 … スキャナ
39 … 制御部
41 … 記憶部
45 … 走査補正検査部材
47 … 検査用チャート板
49 … 保持部材
HL … 水平線
VL … 垂直線
ES … 検査用チャート
51 … 開口部
49a … 端面
HL− … 走査画像における水平線
SA … ライン領域
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