【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、特定の有機半導体層形成用溶液を用いて、連続的な相分離構造を有する有機半導体層を形成することで、得られる有機薄膜トランジスタが優れた半導体・電気特性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
(ここで、置換基R
1およびR
2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数3〜9のアルキル基を示し、T
1〜T
4は、各々同一でも異なっていてもよく、酸素原子または硫黄原子を示す。)
で示されるヘテロアセン誘導体、JIS R3257記載の方法に従って測定した水の接触角が70°以上を有する高分子化合物、および有機溶媒を含む有機半導体層形成用溶液、それを用いて形成した連続的な相分離構造を有する有機半導体層、並びに有機薄膜トランジスタに関するものである。
【0010】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0011】
本発明の有機半導体層形成用溶液は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体、JIS R3257記載の方法に従って測定した水の接触角が70°以上を有する高分子化合物、および有機溶媒を含むこと特徴とする。
【0012】
本発明の有機半導体層形成用溶液を構成するヘテロアセン誘導体は、一般式(1)で示される縮合環骨格を有していることを特徴とする。
【0013】
一般式(1)中、R
1およびR
2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数3〜9のアルキル基を示し、炭素数4〜8のアルキル基であることが好ましい。R
1およびR
2が、炭素数2以下のアルキル基である場合、ヘテロアセン誘導体の有機溶媒に対する溶解性が劣り、安定的な有機半導体層形成用溶液を調製することが困難となる。一方、R
1およびR
2の炭素数が10以上のアルキル基である場合、得られる有機薄膜トランジスタの半導体・電気特性が劣る。
【0014】
R
1およびR
2の具体例として、例えばn−プロピル、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基などを挙げることができ、特に、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基であることが好ましい。
【0015】
一般式(1)中、T
1〜T
4は各々同一でも異なっていてもよく、酸素原子又は硫黄原子を示す。T
1〜T
4がすべて硫黄原子の場合、一般式(1)は、ジチエノベンゾジチオフェン骨格を示す。
【0016】
一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の具体例として、特に限定はなく、以下の化合物を挙げることができる。
【0017】
【化2】
【0018】
なお、一般式(1)で示される有機ヘテロアセン誘導体の特に好ましい例として、例えば2,7−ジ(n−ブチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ペンチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−ヘプチル)ジチエノベンゾジチオフェン、2,7−ジ(n−オクチル)ジチエノベンゾジチオフェンを挙げることができる。
【0019】
本発明の有機半導体層形成用溶液を構成する成分の一つである、水の接触角が70°以上の高分子化合物とは、シート化またはフィルム化した高分子化合物の水の接触角が70°以上を示す高分子化合物を示す。
【0020】
水の接触角とは、高分子化合物のシートまたはフィルムの表面に水を滴下して形成した液滴の成す角度を示しており、水の接触角の測定は、一般に公知の固体表面の接触角の測定方法に従って測定することが可能であり、本発明で用いる高分子化合物の水の接触角は、JIS R3257した値が70°以上である。
【0021】
なお、水の接触角が70°未満の高分子化合物を用いて、有機半導体層形成用溶液を調製した場合、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物の連続的な相分離構造が形成されず、得られる有機薄膜トランジスタの特性が劣る。
【0022】
また、本発明で用いる高分子化合物は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物の連続的な相分離構造が形成されることから、重量平均分子量(Mw)が50,000〜2,000,000の範囲にあることが好ましく、100,000〜2,000,000であることが更に好ましい。高分子化合物の重量平均分子量がこの範囲内であれば、有機半導体層形成用溶液は特に優れた塗工性を発現する。
【0023】
高分子化合物を用いることで、有機半導体層内の一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の結晶化速度を調整することができ、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体のグレインサイズが大きくなり、優れた半導体・電気物性を示すことが可能となる。
【0024】
本発明で用いることが可能な高分子化合物の具体的な例として、特に制限はなく、例えばポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(1-ビニルナフタレン)、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−コ−2,4−ジメチルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(スチレン−コ−α−メチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−ノルボルネン)、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジメチルトリアリールアミン)またはポリ(N−ビニルカルバゾール)等が挙げることができ、好ましくはポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)を挙げることができる。
【0025】
なお、本発明で用いる高分子化合物は、1種類の高分子化合物を単独で使用、または2種類以上の高分子化合物の混合物として使用することが可能である。更に、異なる分子量の高分子化合物を混合して使用することも可能である。
【0026】
本発明の有機半導体層形成用溶液の構成成分として用いる有機溶媒は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体、および高分子化合物を溶解することが可能な有機溶媒であれば如何なる有機溶媒を使用してもよく、有機半導体層を形成する際、有機溶媒の乾燥が早くなりすぎず、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物の連続的な相分離構造を形成できることから、有機溶媒の常圧での沸点が140℃以上であることが好ましい。
【0027】
本発明で用いることが可能な有機溶媒として、特に制限はなく、例えばテトラリン、メシチレン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、酢酸フェニル、アニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、デカン、ドデカン、デカリン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3ブチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチレンなどが挙げられることができ、その中でも好ましくはテトラリン、メシチレン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、酢酸フェニル、アニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソールであり、特に好ましくは、テトラリン、メシチレン、キシレン、アニソール等である。
【0028】
なお、本発明で用いる有機溶媒は、1種類の有機溶媒の単独使用、若しくは沸点、極性、溶解度パラメーターなど性質の異なる有機溶剤を2種類以上混合して使用することも可能である。
【0029】
本発明の有機半導体層形成用溶液は、上記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体、高分子化合物、および有機溶媒を混合、溶解することで調製する。
【0030】
有機半導体層形成用溶液を調製する方法について、特に制限はなく、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物を有機溶媒に溶解することが可能な方法であれば、如何なる方法を用いてもよい。
【0031】
有機半導体層形成用溶液を調製する方法として、特に制限はなく、例えば一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物の混合物を同時に有機溶媒に溶解して有機半導体層形成用溶液を調製する方法、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の有機溶媒溶液に高分子化合物を溶解して有機半導体層形成用溶液を調製する方法、高分子化合物の有機溶媒溶液に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を溶解する方法などを挙げることができる。
【0032】
一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物を有機溶媒に混合溶解する際の温度として、0〜100℃の温度範囲で行うことが好ましく、10〜80℃の温度範囲で行うことが更に好ましい。
【0033】
また、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物を有機溶媒に溶解混合する時間は、1分〜2日間で溶解することが好ましい。
【0034】
一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物の混合組成比は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物との合計100質量部に対して、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の含有割合が、5〜95質量部の範囲であることが好ましく、30〜70質量部の範囲であることが更に好ましい。
【0035】
本発明の有機半導体層形成用溶液における一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の濃度が0.01〜20.0重量%の範囲であると、取り扱いの容易さ、有機半導体層を形成する際の効率に優れる。また、有機半導体層形成用溶液の粘度が0.3〜100mPa・sの範囲であると、好適な塗工性を発現する。
【0036】
本発明の有機半導体層形成用溶液を用いて、有機半導体層を形成する方法について、有機半導体層を形成可能な方法であれば、有機半導体層形成用溶液の塗布方法に特に制限はなく、例えばドロップキャスト、スピンコート、キャストコート、インクジェット、スリットコート等の方法により有機半導体層を形成することが可能である。
【0037】
特に、ドロップキャストやスピンコートにより、高キャリア移動度を有する有機半導体層を容易に形成することが可能である。また、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などの印刷技術を用いても有機半導体層を形成することが可能である。
【0038】
本発明の有機半導体層形成用溶液を塗布後、有機溶媒を乾燥除去することにより有機半導体層を形成することが可能である。
【0039】
塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去する際、乾燥する条件に制限はなく、例えば、常圧下、もしくは減圧下で有機溶媒の乾燥除去を行うことが可能である。
【0040】
塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去する温度に制限はなく、例えば、10〜150℃の温度範囲で行うと、効率よく塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去することができ、有機半導体層を形成することが可能である。
【0041】
塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去する際、除去する有機溶媒の気化速度を調節することで、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体の結晶成長を制御することが可能である。
【0042】
本発明の有機半導体層形成用溶液により形成される有機半導体層の膜厚に制限はなく、1nm〜1μmの範囲であることが好ましく、10〜300nmの範囲であることが更に好ましい。
【0043】
また、得られる有機半導体層は、有機半導体層を形成後、40〜150℃でアニール処理を行ってもよい。
【0044】
本発明で得られる有機半導体層は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物が連続的な相分離構造を有することを特徴とする。
【0045】
本発明で示す有機半導体膜の連続的な相分離構造とは、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体から形成される層と高分子化合物から形成される層に明確な界面が存在せず、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体と高分子化合物が連続的に変化していく傾斜濃度構造を有することを示す。
【0046】
連続的に変化していく傾斜濃度構造は、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体および高分子化合物の成分を有機半導体層の縦方向に分析することで確認することが可能である。
【0047】
有機半導体層の縦方向に分析する方法として、例えばESCA(X線光電子分光分析装置)を用いた深さ方向の分析(アルゴンイオン銃を用いたエッチングにより深さ方向の分析を行う)により、有機半導体層の有機半導体と高分子化合物の組成比を分析することで分析することが可能である。
【0048】
本発明で得られる有機半導体層の構成として、(A)上層に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層が形成され、連続的に高分子化合物からなる層に変化し、下層に高分子化合物からなる層から形成される層、(B)上層に高分子化合物からなる層が形成され、連続的に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層に変化し、下層に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層から形成された層、(C)上層に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体層からなる層が形成され、連続的に高分子化合物からなる層に変化し、中間層に高分子化合物からなる層を有し、再度、連続的に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体層からなる層が形成され、下層に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層から形成される層、および(D)上層に高分子化合物からなる層が形成され、連続的に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層に変化し、中間層に一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体からなる層を有し、再度、連続的に高分子化合物からなる層に変化してゆき、下層に高分子化合物からなる層から形成される層などを形成することが可能である。
【0049】
本発明の有機半導体層形成用溶液より形成される有機半導体層は、有機半導体デバイス、特に有機薄膜トランジスタの有機半導体層として使用することが可能である。
【0050】
有機薄膜トランジスタは、基板上に、ソース電極およびドレイン電極を付設した有機半導体層とゲート電極とを絶縁層を介し積層することにより得ることができ、該有機半導体層に本発明の有機半導体層形成用溶液により形成した有機半導体層を用いることにより、有機薄膜トランジスタとすることが可能である。
【0051】
図1に一般的な有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す。ここで、(A)は、ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)は、トップゲート−トップコンタクト型、(D)は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタであり、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示し、本発明の有機半導体層形成用溶液より形成される有機半導体層は、いずれの有機薄膜トランジスタにも適用することが可能である。
【0052】
基板の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板、等を挙げることができる。なお、ハイドープシリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることができる。
【0053】
ゲート電極の具体例としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、酸化モリブデン、クロム、チタン、タンタル、クロム、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機材料;ドープされた導電性高分子(例えばPEDOT−PSS)等の有機材料を挙げることができる。
【0054】
ゲート絶縁層の具体例としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス等の無機材料基板;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン等のプラスチック材料を挙げることができる。また、これらのゲート絶縁層の表面は、例えばオクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。
【0055】
一般的にゲート絶縁層の表面処理を行うことにより、有機半導体層を構成する材料の結晶粒径の増大および分子配向の向上が起こるため、キャリア移動度および電流オン・オフ比の向上、並びに閾値電圧の低下という好ましい結果が得られる。
【0056】
ソース電極およびドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同様の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極材料に表面処理を実施することもできる。例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオールを挙げることができる。
【0057】
そして、有機半導体層として、本発明の有機半導体層形成用溶液よりなる有機半導体層とする際には、例えばスピンコート、キャストコート、インクジェット、スリットコート等のドロップキャスト法;ブレードコート;ディップコート、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、等の方法を用いることが可能であり、中でも容易に効率よく有機半導体層とすることが可能となることから、スピンコート、キャストコート、インクジェット等のドロップキャスト法であることが好ましく、特にインクジェットであることが好ましい。また、その際の有機半導体層の膜厚に制限はなく、好ましくは1nm〜1μm、特に好ましくは10〜300nmである。
【0058】
本発明の有機半導体層形成用溶液およびそれよりなる有機半導体層は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)、センサー用等のトランジスタの有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料に利用することができる。