特許第6252106号(P6252106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252106
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】接触子のメンテナンス方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G01R31/28 K
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-226365(P2013-226365)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-87272(P2015-87272A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154933
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 利博
(74)【代理人】
【識別番号】100111866
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山下 宗寛
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−089858(JP,A)
【文献】 特開2003−172757(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/167693(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0097741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06− 1/073
G01R 31/02−31/06
G01R 31/26
G01R 31/28−31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に検査が行われる検査対象物と、該検査対象物と該検査を実施する検査装置とを接続する接続治具に設けられる接触子のメンテナンスを行う方法であって、
前記検査対象物に設けられる複数の検査点に対して、該検査点に対応する前記接続治具の複数の接触子を当接させ、
前記検査装置が、前記検査対象物から検査の対象となる検査対象部位を選出するとともに、前記接触子を介して該検査対象部位へ検査のための電力を供給し、
前記電力が供給されている際の前記接触子に係る電圧変化を検出し、
前記電圧変化が、継時的に増加しない箇所を検出した場合に、接触子の異常としてメンテナンス情報を発することを特徴とする接触子のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記検査対象部位の検査が、該検査対象部位の導通検査であることを特徴とする請求項1記載の接触子のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記電圧変化の検出が、予め設定される電圧値の増加区間にて、継時的に増加しない個所を検出した場合に、再度前記予め設定される電圧値から該電圧値よりも大きく設定される電圧値までの間にて、継時的に増加しない個所を検出した場合に、当該接触子の異常としてメンテナンス情報を発することを特徴とする請求項1又は2記載の接触子のメンテナンス方法。
【請求項4】
電気的に検査が行われる検査対象物と、該検査対象物と該検査を実施する検査装置とを接続する接続治具に設けられる接触子のメンテナンスを行うことのできる該検査装置であって、
前記検査対象物の導通検査を行うための電力を供給する電源手段と、
前記電源手段により前記検査対象物に印加される電圧値を検出する検出手段と、
前記電源手段が前記検査対象物に導通検査を行うための電力を供給する間に、前記検出手段が検出する電圧値が継時的に増加しない箇所を検出した場合に、該検査対象物と前記電源手段とを電気的に接続する接触子に異常ありとして判定する判定手段を備えることを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な特性を検査する検査装置と検査対象となる被検査物とを電気的に接続する接続治具に備えられる接触子のメンテナンス方法に関し、より詳しくは、接続治具に備えられる接触子の交換時期を把握し、接触子が接続不良となる前にメンテナンスを促す接触子のメンテナンス方法及びこのようなメンテナンス機能を有する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成される配線は、この基板に載置されるICや半導体部品又はその他の電子部品に電気信号を送受信するために用いられる。このような配線は、近年の電子部品の微細化に伴って、より微細に且つ複雑に形成されるようになるとともにより低抵抗に形成されている。このように基板の配線の微細化が進むにつれ、その配線の良/不良を検査する精度の高さが要求されている。この配線の良/不良を検査する方法には、配線の導通状態と絶縁状態を検査する方法がある。導通状態の検査は、配線上に設定される二つの検査点間の抵抗値を算出することによって判断される。絶縁状態の検査は、検査対象の配線と他の配線との抵抗値を算出することによって判断される。
【0003】
このような配線の検査が実施される場合には、上記の如く、配線上に設定される検査点に、導電性の接触子の先端が当接するように配置される。この接触子により、配線上の検査点と検査装置とが電気的に接続されることになる。この検査装置からの電気信号の送受信により、配線の導通検査・絶縁検査が実施されることになる。
【0004】
この接触子は、上記の如く、検査装置と検査点とを電気的に接続する。この接触子は、細長い棒形状に形成されており、例えば、導電性を有する針形状に形成されるものや、長手方向に伸縮するばね部を有して形成されるものがある。このような接触子は、複数の接触子を保持する検査用治具に備えられており、接触子の先端は検査点に当接するよう配置されており、接触子の後端は検査装置と電気的に接続される検査治具の電極部と当接するよう配置されている。実際に検査が実施される場合には、接触子が検査点とこの電極部とから押圧されることで電気的接触の安定性を確保する。
【0005】
検査治具は、基板の配線の検査点の数に応じて接触子の本数が備えられる。検査治具にもよるが、数百〜数千本の接触子を備えて形成されている。この検査治具に備えられる接触子は、基板の配線に対して当接離反を繰り返して多数の基板の検査に使用されることになる。接触子は、多いもので一日に五万個の基板を検査する場合があり、この場合、五万回の当接離反が繰り返し行われることになる。このため、接触子は、耐久性が要求されるとともに、接触子に異常が生じた場合には迅速に交換する必要がある。
【0006】
また、接触子は、上記の如く、検査点と接触離反を繰り返すが、検査点がはんだバンプにて形成されている場合には、接触子がはんだバンプに当接することによって、接触子にはんだバンプかすが付着する場合がある。このような場合、このはんだバンプかすが接触子と検査点の当接状態に影響を与え、検査を正確に行えなくなる場合もあった。また、上記の如き多数の接触離反を繰り返すため、接触子の先端が折れ曲がったりする問題がある。このような場合には、接触子を交換して対応することになるが、検査結果の不良が検出されて初めて配線の不良か接触子の異常かが検査されていた。
【0007】
このため、接触子の異常は、配線の不良が検出されて初めて確認されることになっていた。このようなことから、例えば、特許文献1に開示される技術が創出されている。この特許文献1に開示される技術では、接触子の先端をレーザ照射することにより、接触子の異常を検出しようとするものである。
【0008】
しかしながら、このような接触子の異常検出方法では、レーザを照射するレーザ照射機構(照射部や受光部)を設ける必要があること、また、接触子の異常を検出するための工程が必要になることなどの手間暇が生じることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−161783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、接触子を検査するための特別な工程を必要とすることなく、検査対象の配線の導通検査を行うと同時に、接触子の状態を把握して、交換の必要のある接触子を異常が生じる前に検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、電気的に検査が行われる検査対象物と、該検査対象物と該検査を実施する検査装置とを接続する接続治具に設けられる接触子のメンテナンスを行う方法であって、前記検査対象物に設けられる複数の検査点に対して、該検査点に対応する前記接続治具の複数の接触子を当接させ、前記検査装置が、前記検査対象物から検査の対象となる検査対象部位を選出するとともに、前記接触子を介して該検査対象部位へ検査のための電力を供給し、前記電力が供給されている際の前記接触子に係る電圧変化を検出し、前記電圧変化が、継時的に増加しない箇所を検出した場合に、接触子の異常としてメンテナンス情報を発することを特徴とする接触子のメンテナンス方法を提供する。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記検査対象部位の検査が、該検査対象部位の導通検査であることを特徴とする請求項1記載の接触子のメンテナンス方法を提供する。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記電圧変化の検出が、予め設定される電圧値の増加区間にて、継時的に増加しない個所を検出した場合に、再度前記予め設定される電圧値から該電圧値よりも大きく設定される電圧値までの間にて、継時的に増加しない個所を検出した場合に、当該接触子の異常としてメンテナンス情報を発することを特徴とする請求項1又は2記載の接触子のメンテナンス方法を提供する。
【0014】
請求項4記載の発明は、電気的に検査が行われる検査対象物と、該検査対象物と該検査を実施する検査装置とを接続する接続治具に設けられる接触子のメンテナンスを行うことのできる該検査装置であって、前記検査対象物の導通検査を行うための電力を供給する電源手段と、前記電源手段により前記検査対象物に印加される電圧値を検出する検出手段と、前記電源手段が前記検査対象物に導通検査を行うための電力を供給する間に、前記検出手段が検出する電圧値が継時的に増加しない箇所を検出した場合に、該検査対象物と前記電源手段とを電気的に接続する接触子に異常ありとして判定する判定手段を備えることを特徴とする検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び4記載の発明によれば、検査対象物に電気的に接触する接触子の異常を検出することができるので、接触子が使用不能になる前に新しい接触子に交換するタイミングを検出することができる。このため、導通検査や短絡検査等の不良状態が生じた後、初めて接触子の異常が検討するための検査が必要とされていたが、このような再検査は勿論、接触子による不良状態が無くなるため、接触子の異常による生産性の低減が無くなる。このため、生産性の高い(稼働率の高い)接触子のメンテナンス方法を提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、導通検査時に接触子のメンテナンス判断を行うことができるので、接触子の異常検査のための検査工程を設けることなく、接触子の検査を行うことができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、電圧変化の検出を多段階に設けることにより、第一電圧値に応じて継続的な検査時間を短くすることが可能となるとともに、第二電圧値を設けることによってより精度の高い接触子の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】導通検査を説明するための概略側面図である。
図2】本発明に係る検査装置の概略構成を示す。また、検査対象物として基板が設けられている。
図3】電圧変化の様子を示したグラフである。
図4】第一電圧値と第二電圧値を設定した場合の電圧変化の様子を示したグラフである。
図5】本発明にかかる検査装置での検査を実施する一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
まず、本発明の基本的な概念を説明する。本発明は、検査対象物の導通検査を行う場合に、導通検査を行うための電力の供給状態から、この検査対象物に接触している接触子のメンテナンスを管理しようとするものである。
【0021】
図1は、導通検査を説明するための概略側面図である。導通検査として、基板CBに形成される配線Tを検査対象物として実施される検査が示されている。この図1では、検査対象の基板CBに配線Tが形成されており、この配線Tの導通状態を検査する。このため、配線Tの両端には、接触子P(符号P1とP2)が配置されており、電流源CCが直列接続されて、配線T間に電力が供給される。この接触子P間の電圧を電圧計Vにより測定することができるように接続されている。この電圧計Vにより測定される電圧値と電流源CCの供給する電流値により、配線Tの抵抗値が算出される。この算出された抵抗値により、配線Tの導通状態が良好状態であるか、不良状態であるのかが判定されることになる。
【0022】
図1で示される如き導通検査では、電流源CCからの電力が供給され始めてから、所定の時間が経過後に、電圧計Vによる測定が実施される。これは、検査対象物の配線Tの電気的な特性を安定させるためであり、電気的な特性が安定した後に、電圧を測定することにより、精度の高い測定を行うことができる。
【0023】
本発明は、この配線Tの導通検査を実施するための電力を供給する際の電圧の変化を測定することにより、接触子Pのメンテナンス要否の判定を実施するものである。このため、詳細は後述するが、電圧計Vは、この供給される電圧の時系列的変化(継時的な変化)を測定することになる。
【0024】
本発明に関する基板検査装置1について説明する。図2は、本発明にかかる基板検査装置の概略構成図である。本基板検査装置1は、電源手段2と、検出手段3と、算出手段4と、判定手段5と、選出手段6と、記憶手段10と、表示手段11等を有している。なお、この基板検査装置1には、基板CBの配線Tとこの基板検査装置1とを電気的に接続するための治具(図示せず)が配置されており、その治具に備え付けられる接触子CPが配線Tの所定の検査点に当接するように設けられている。
【0025】
図2では、基板検査装置1が基板CBを導通検査する準備される様子を示しており、基板CBに二本の配線T1と配線T2が示されている。配線T1と配線T2は、二端子測定方法による導通検査が行われる状態を示している。なお、四端子測定方法により、配線Tを導通検査する場合は、例えば、配線T1の一端に二本の接触子CPを導通接触させ、他端にも二本の接触子CPを導通接触させることで計測を行うことができる。この場合には、一端と他端Pに接続される夫々の二本の接触子CPを一対の接触子として、電流供給用と電圧測定用として用いることで、四端子測定方法を実施することになる。
【0026】
電源手段2は、基板CBに形成される配線Tの導通状態を検査するための電力を供給する。この電源手段2は、第一電流と第二電流を少なくとも二種類の電流値の電流を供給す
ることができる。この電源手段2は、例えば、定電流源を用いることができる。この場合、電源手段2は、配線Tに供給する電流値を電流値情報として、後述する算出手段4等へ送信することになる。
【0027】
検出手段3は、電源手段2により検査対象の配線Tへ電力が供給されている時に、この配線Tの電圧を検出する。この検出手段3が検出する配線Tの電圧が検出されることにより、後述する制御手段6にて配線Tの抵抗値が算出されることになる。この検出手段3は、電圧計を用いることができる。なお、電源手段2と検出手段及び後述する電流検出手段12は、後述する算出手段4や記憶手段10等と接続されており、電流を供給する条件(電流値や電圧値)や検出した電流値や電圧値を情報として送信する。
【0028】
この検出手段3は、特に、配線Tに電力が供給される際の配線Tの電圧値を時系列的に測定する。この測定情報は、上記の如く、記憶手段10等へ測定情報として送信する。
【0029】
算出手段4は、検出手段3により検出された電圧値情報を基に、検査対象の配線Tの抵抗値を算出する。この算出手段4は、電源手段2が供給する電流値情報と検出手段3により検出される電圧値情報を基に、抵抗値を算出する。この算出手段4が抵抗値を算出する方法は、例えば、オームの法則を用いて算術処理できるように設定することができる。算出手段4が算出した算出結果(抵抗値情報)は、判定手段5及び/又は記憶手段10に送信される。
【0030】
判定手段5は、算出手段4により算出された抵抗値を用いて、検査対象の配線Tの導通状態の良否を判定する。この判定手段5が抵抗値情報を用いて判定する方法は、例えば、予良好状態の範囲を定めておき、この範囲に抵抗値情報が存在する場合には良好状態と判断することもできる。判定手段5が行う判定結果(判定情報)は、記憶手段10や表示手段11へ送信される。
【0031】
判定手段5は、また、検出手段3が検出する電圧値情報の変化から、接触子CPのメンテナンス情報を検出する。この判定手段5は、導通検査時に供給される配線Tの電圧値情報を時系列に監視しており、この電圧値情報の変化から接触子Pのメンテナンス情報(接触子の交換情報)を得ることができる。
【0032】
この判定手段5が行うメンテナンス情報の取得方法は、導通検査が実施される電力供給中に電圧値情報に所定の変化が生じた場合に、接触子CPの交換情報が発信されるように設定されている。
【0033】
判定手段5が行う交換情報の取得方法は、検査対象の配線Tに供給される電圧が時系列に増加することを利用して行われる。より具体的には、判定手段5は、検出手段3が検出する電圧値情報を時系列に記憶することで、時系列的な変化を算出して行われる。判定手段5は、この電圧値情報の時系列的な変化を基に、接触子CPの交換時期を検出することで行われる。このため、判定手段5は電圧値の時系列系な変化に応じて、接触子CPの交換要/交換不要判断を行うことができる。
【0034】
具体的には、接触子に異常がない場合には、この電圧値情報は一定の増加率にて増加する。図3(a)では、接触子に異常がない場合の電圧値情報の変化を示すグラフである。この図3(a)で示される如く、電圧の供給開始直後(時刻t1付近)と、導通検査が実施される所定の電圧に到達する直前(時刻t2付近)以外の電圧は、一定の傾きにて増加することになる。しかしながら、接触子に異常が存在する場合、この電圧は一定の増加傾きにて増加せず、例えば、図3(b)に示される如く、一部に減少する場合や、一部が増加・減少の現れない場合(例えば、時刻t4での電圧値の一時減少)が存在することになる。このように一定増加の傾きで電圧値が増加しない場合には、何らかの接触子CPの異常が存することが極めて多く、この現象を捉えることにより、接触子CPの交換時期を管理することができる。
【0035】
判定手段5は、上記の如く、電圧値が一定にて増加する場合には接触子CPに異常が無い(接触子を交換すること無い状態)であると判断し、電圧値が一定にて増加しない場合には接触子CPに異常がある(つまり、接触子が交換する必要のある状態)と判断することになる。
【0036】
この判定手段5が行う具体的な判断方法は、導電検査を実施するための電力が供給される始めてから導通検査のための測定が実施される間の電圧値の変化を監視する。この場合、判定手段5は、電圧値の変化が減少であるマイナス方向への傾きが検出された際に、接触子CPの交換時期であると判断されることになる。
【0037】
また、この判定手段5が行う具体的な判断方法は、電力が供給される一定期間の電圧値を監視し、この期間の電圧値の増加率を把握する方法を例示することができる。この場合、一定期間の電圧値が一定の増加率(傾き)を有していない際に、接触子CPの交換時期であると判断されることになる。
【0038】
判定手段5が、上記の如き交換時期の判断を行った場合には、その接触子CPと交換時期である旨の表示が、表示手段11にて表示されることになる。
【0039】
上記の判定手段5の判断方法は、電力を供給し始めてから導通検査が行われるまでの電圧値情報を監視することで行われるが、より正確に接触子CPの交換時期を精度良く検出するために、電圧を多段階に分けて監視することもできる。
【0040】
例えば、電圧値を導通検査が実施される場合の第一電圧値と、接触子CPの交換状態を検出するための第二電圧値として、夫々設定した二段階に監視することもできる。第一電圧値は、第二電圧値よりも小さく設定されており、電圧値が第一電圧値に到達するまでの間に上記の交換情報が検出された場合に、更に、電圧値を第二電圧値まで上昇させる。そして、この第一電圧値から第二電圧値までの間で、上記の交換情報が検出されるかを判定手段5が上記如き監視する。判定手段5が第一電圧値から第二電圧値までの間にて交換情報(電圧値の所定の変化)を検出した場合には、判定手段5は接触子CPの交換情報を発信する。このように設定することにより、第一電圧値までに発信される交換情報は事前交換情報として利用し、この事前交換情報を検出した場合に更に第二電圧値まで電圧値を上昇させて、この区間の電圧値の変化により交換の要否を判断するように設定することができる。
【0041】
例えば、図4で示される実施形態を説明する。この図4で示される実施形態では、第一電圧値としてV1を設定し、第二電圧値としてV2が設定される。第一電圧値V1までに電圧降下等の電圧変化の異常が検出されない場合には、図4(a)で示される如く、時刻t3にて導通検査が実施される。しかしながら、図4(b)で示される如く、第一電圧値V1に電圧を増加させる途中にて、電圧降下p1の減少を検出した場合には、電圧リミットを第二電圧値V2まで上昇させる。そして、第一電圧値V1と第二電圧値V2での電圧降下を監視する。この場合、第一電圧値V1から第二電圧値V2までの間にて、電圧降下が検出されなければ、接触子CPの交換は行われず、そのまま導通検査が実施される。なお、この場合、第二電圧値にて導通検査を実施するように設定することもできる。
【0042】
また、第一電圧値と第二電圧値の間にて電圧降下p2を検出した場合には、接触子CPに異常が検出されることになり、検査対象物に電気的に接続する接触子CPを交換する。なお、この場合、電圧降下p2を検出した時刻や電圧値を記憶することが好ましい。特に、電圧降下p2の電圧値を記憶することにより、更に精度の高い接触子CPの交換時期を検出することができる。
【0043】
また、第一電圧値から第二電圧値までの交換情報を検出する場合には、この区間での交換情報を検出した電圧値を基に、交換要否を判定手段5が再度判断するように設定することもできる。具体的には、第一電圧値から第二電圧値の区間にて交換情報が検出された電圧値を検出電圧値とした場合に、この検出電圧値の電圧値により、交換の要否及び交換時期を推測することもできる。例えば、検出電圧値が第二電圧値よりも第一電圧値に近い場合には交換不要と判断し、第二電圧値に近い場合には交換要と判断することもできる。
【0044】
また、この検出電圧値により、交換要否ではなく、交換時期を推定することもできる。例えば、検出電圧値が第二電圧値よりも第一電圧値に近い場合には交換不要にて使用を継続することが可能と判断し、第二電圧値に近くなればなるほど交換要と判断することもできる。この場合、第二電圧値以外の第三電圧値(第一電圧値<第三電圧値<第二電圧値)を設定しておき、交換情報の電圧値が第三電圧値を超えた位置(電圧値)にて検出された場合に、接触子CPを交換するように設定することできる。
【0045】
第一電圧値及び第二電圧値の具体的な電圧値は、検査対象物によって検査使用者により適宜に設定されるが、例えば、第一電圧値を150V、第二電圧値を250Vに設定することができる。なお、第一電圧値は検査対象物の導通検査が実施される場合の電圧リミット値であり、第二電圧値は接触子CPの異常を検出するための電圧値となる。このため、これらの電圧値は、検査の条件により適宜に設定されることになる。
【0046】
判定手段5は、上記の如く、検出される電圧値情報の変化から一定の増加率で無い状態を検出した場合に、交換情報を発信するよう設定されることにより、接触子CPの交換の必要性を促すことになる。なお、判定手段5の交換情報の処理する方法は、上記の如く、交換情報を直接的に接触子CPの交換時期と処理するよう設定されることもできるし、交換情報を一つのトリガーとして再度交換情報を受信した場合に接触子CPの交換時期と判断することもできる。なお、これら判定手段5の機能は、検査対象物が検査される前に予め設定されることになる。
【0047】
選出手段6は、基板CBの複数の配線Tから検査対象となる配線Tを選出し、検査対象の配線Tを特定する。この選出手段6が検査対象の配線Tを特定することにより、順次、導通検査が行われる配線が選出される。この選出手段6が行う検査対象の配線Tの選出方法は、予め記憶手段10に検査対象となる配線Tの順番が設定され、この順番に従って検査対象の配線Tが選出される方法を例示することができる。この選出方法は、上記の如き方法を採用することもできるが、検査対象となる配線Tが順序良く選出される方法であれば特に限定されない。
【0048】
この選出手段6が行う具体的な配線Tの選出は、切替手段7を用いることにより実施される。例えば、切替手段7の各スイッチ素子SWのON/OFF制御を行うことにより、検査対象となる配線Tを選出することができる。具体的な制御方法については後述する。
【0049】
電流供給端子8は、検査対象間の電流を供給するために、各配線Tと接触子CPを介して接続される。この電流供給端子8は、電源手段2の上流側(正極側)と配線Tを接続する上流側電流供給端子81と、電源手段2の下流側(負極側)又は電流検出手段12と配線Tとを接続する下流側電流供給端子82を有している。図2で示される如く、この電流供給端子8の上流側電流供給端子81及び下流側電流供給端子82は、夫々の配線Tの検査点に対して設けることができる。これらの上流側電流供給端子81と下流側電流供給端子82は、夫々に切替手段7のスイッチ素子SWを有しており、この切替手段7のスイッチ素子SWのON/OFF動作により、接続状態/未接続状態が設定されることになる。この電流供給端子8は、静電気放電(electro-static discharge)保護用の抵抗が配置されても良い。
【0050】
電圧検出端子9は、検査対象間の電圧を検出するために、各配線T又は検査点と接触子CPを介して接続される。この電圧検出端子9は、検出手段3の上流側(正極側)と配線Tを接続する上流側電圧検出端子91と、検出手段3の下流側(負極側)と配線パターンPを接続する下流側電圧検出端子92を有してなる。図2で示される如く、この電圧検出端子9の上流側電圧検出端子91及び下流側電圧検出端子92は、夫々の配線Tに対して設けることができる。これらの上流側電圧検出端子91と下流側電圧検出端子92は、電流供給端子8と同様、夫々に切替手段7のスイッチ素子SWを有しており、この切替手段7のスイッチ素子SWのON/OFF動作により、接続状態/未接続状態が設定されることになる。
【0051】
電流供給端子8と電圧検出端子9は、図2で示される如く、配線Tの検査点に導通接触する一本の接触子CPに対して、四つの端子が配置されることになるとともに、各端子のON/OFF制御を行う4つのスイッチ素子SWが備えられることになる。
【0052】
切替手段7は、上記した各接触子CPに導通接続される複数のスイッチ素子SWから構成されている。この切替手段7は、後述する選出手段6からの動作信号により、ON/OFFの動作が制御されることになる。
【0053】
次に、具体的な選出方法について説明する。
【0054】
例えば、図5で示される実施形態では、配線T1が導通検査の検査対象となる場合を示している。この実施形態では、検査対象となる配線T1の一端P1aが、電源手段2の上流側と接続されるための上流側電流供給端子81と接続されるように、スイッチ素子SW1がONされることになる。また同時に、上流側電圧検出手段91とこの配線Tの一端P1aが接続されるようにスイッチ素子SW2がONされる。また、一方、配線T1の他端P1bは、電源手段2の下流側(又は電流検出手段12)と接続されるための下流側電流供給端子82と接続されるように、スイッチ素子SW4がONされる。また同時に、検出手段3の下流側と接続されるための下流側電圧検出端子92と接続されるように、スイッチ素子SW3がONされる。このように選出手段6が、切替手段7へスイッチ素子SWをON/OFF信号を促すことにより、検査対象の配線Tを選出することができる。
【0055】
基板検査装置1は、電流検出手段12を設けることもできる。この電流検出手段12は、検査対象の配線Tを流れる電流を検出することができる。この電流検出手段12は、電源手段2から供給される電流を確認的に検出することができる。
【0056】
記憶手段10は、基板CBの配線Tの導通検査を行うための情報を格納する。この記憶手段10に格納される情報によって、全ての配線Tの検査が実施されることになる。この記憶手段10には、上記の各手段が行った処理の結果を受信して記憶することもできる。この記憶手段10は、判定手段5が行う電圧値の変化を算出するために、検出手段3の検出される検出結果を時系列に記憶される。なお、判定手段この記憶手段10に記憶される電圧値情報を基に、電圧値の変化を算出する。
【0057】
表示手段11は、電源手段2が供給する電流情報や、検出手段3が検出する検出情報や、判定手段6が判定する判定情報などを表示する。この表示手段11がこれらの情報を表示することによって、本基板検査装置1の使用者は検査の状態や導通検査の検査結果を知ることができる。
【0058】
本発明では、検査対象物Tに当接する接触子CPとして上記の説明を行ったが、図1で示される如く、検査対象物Tに接触する接触子CPは二本に限定されるものではない。例えば、検査対象物Tに当接する二本の接触子CPが存在する場合、接触子CPの異常をこれら二本の接触子CPと設定することもできるし、電源手段2のプラス側の電位に電気的に接続する接触子CPを基準としても良い。なお、電源手段2のプラス側の電位に電気的に接続する接触子CPを基準とする場合には、次の検査対象物Tの同一の検査では、極性を入れ替えて検査することで、二本目の接触子CPの異常を検出することができる。
【0059】
以上が本発明の基板検査装置の構成の説明である。
【0060】
次に、本基板検査装置の動作の説明を行う。なお、基板CBの配線Tは、検査対象の配線として選出された後に、導通検査が実施され、配線Tが良好状態と判断された際には、次の配線Tが検査対象の配線Tとして次々に導通検査が実施されることになるが、これらの説明については省略し、検査対象として選択された配線Tについて行われる導通検査について具体的に説明を行う。
【0061】
第一実施形態として、第一電圧値のみが設定される場合の基板検査装置1について説明する。この場合、例えば、第一電圧値が250Vに設定される。次に、第一電圧値が設定されると、検査対象の配線T導通検査が実施される。図5は、検査対象の配線として図中の配線T1が選出されて、導通検査が実施される状態と示している。このとき、上記の選出手段6により検査の順序に応じて切替手段7のスイッチ素子SWのON/OFF動作を促す信号が送信される。検査対象の配線Tが設定されると、まず、配線Tの導通検査が実施される(S1)。このとき、検出手段3は、検査対象の配線Tに供給される電圧値を検出する。なお、この場合、検出手段3は、配線Tに電圧が印加され始めてから、導通検査が実施されるまで、配線Tの電圧値を監視することになる。
【0062】
上記の電圧が印加されてから導通検査が実施されるまでの間、判定手段5は検出手段3が検出する電圧値の変化を監視する。このとき、判定手段5が配線Tから検出される電圧値が一定の増加率を有している場合には、判定手段5は交換情報を発信しないので、接触子CPに問題が無いことになり、継続的にこの接触子CPを使用することになる。
【0063】
また、判定手段5は、電圧値が一定の増加率を有していない場合、具体的には、電圧値が減少している場合には、判定手段5は交換情報を発信することになる。このため、接触子CPは異常ありと判断され、導通検査後にこの接触子CPは交換されることになる。このように、本発明のメンテナンス方法を用いることにより、検査対象物の検査が実施できなくなる前に、接触子CPの交換時期を判断することができるようになる。このため、検査対象物と接触子のコンタクト異常等の要因を低減することができ、コンタクト異常によるタクト低下を防止することができる。
【0064】
次に、第一電圧値と第二電圧値を設定する場合を説明する。第一電圧値と第二電圧値を用いて接触子のメンテナンス管理を行う場合には、第一電圧値には検査対象物の導通検査を行うための電圧リミット値が設定され、第二電圧値には接触子の異常を検査するための電圧値として設定される。この場合、例えば、第一電圧値は150Vに設定され、第二電圧値は250Vに設定される。
【0065】
次に、検査対象物の導通検査が実施されるため、電源手段2から電力が供給される。この電源手段2からの電力は、第一電圧値を電圧リミットとして供給される。このとき、検出手段3は検査対象物の電圧値を検出し続けており、電力が印加されてから導通検査が終了するまで、その電圧値を検出して送信する。判断手段5は、この時系列に記憶される電圧値の変化を算出する。そこで、判断手段5は、この時系列的な変化に対して、一定の増加率を有しているか監視する。判断手段5が、一定の増加率であれば接触子CPに異常無しとして、導通検査が実施される。
【0066】
判断手段5が一定の増加率で電圧値が変化していないこと(例えば、電圧降下を検出)を検出した場合には、電圧リミット値が第二電圧値へ切替られ、第一電圧値から第二電圧値までの電圧値の変化を判断手段5が監視することになる。判断手段5は、第一電圧値から第二電圧値までの電圧変化が一定の増加率であるかどうか監視する。この場合、一定の増加率であれば継続して導通検査が実施され、電圧降下等の一定の増加率でない場合には接触子CPの交換時期であると判断し、交換情報を送信することになる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・・・検査装置
2・・・・・電源手段
3・・・・・検出手段
5・・・・・判断手段
T・・・・・検査対象物
図1
図2
図3
図4
図5