(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生成部は、前記第1のオブジェクトの属性が、テキスト、または、ベクトルデータで表現されるオブジェクトを示すグラフィックスオブジェクトである場合は、前記第3のオブジェクトの属性も、前記第1オブジェクトの属性と同じにする、
請求項1に記載の情報処理装置。
前記生成部は、前記第1のオブジェクトの属性が、ピクセルデータで表現されるオブジェクトを示すイメージオブジェクトである場合は、前記第3のオブジェクトの属性を、前記グラフィックスオブジェクトにする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装
置およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0011】
まず、本実施形態の画像形成システムの構成について
図1を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の画像形成システム1は、ホスト装置10、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)(以下、DFEと称する)30、インタフェースコントローラ(MIC:Mechanism I/F Controller)(以下、MICと称する場合がある)40、および、印刷装置60を備える。ホスト装置10、DFE30、MIC40、及び印刷装置60は、互いにデータ授受可能に有線または無線の通信回線を介して接続されている。
【0013】
DFE30は、MIC40を介して印刷装置60と通信を行い、印刷装置60での画像の形成を制御する。また、DFE30には、PC(Personal Computer)等のホスト装置10が接続されている。DFE30は、ホスト装置10から画像データを受信する。そして、DFE30は、当該画像データを用いて、印刷装置60がCMYKの各トナー及びクリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データを生成する。さらに、DFE30は、生成した画像データを、MIC40を介して印刷装置60に送信する。
【0014】
図1の例では、印刷装置60は、プリンタ機50と、後処理機75とを含んで構成される。プリンタ機50には、CMYKの各トナーとクリアトナーとが少なくとも搭載されており、各トナーに対して感光体、帯電器、現像器及び感光体クリーナーを含む作像ユニット、及び露光器等が搭載されている。プリンタ機50は、MIC40を介してDFE30から送信された画像データに応じて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成してこれを記録紙などの記録媒体に転写する。転写されたトナー像は、不図示の定着機において、所定の範囲内の温度(通常温度)での加熱および加圧が加えられて記録媒体上に定着する。これにより、記録媒体上に画像が形成される。
【0015】
ここで、クリアトナーとは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
【0016】
図1の例では、後処理機75は、プリンタ機50に接続されるグロッサ70と、グロッサ70に接続される通常定着後処理装置80と、通常定着後処理装置80に接続される低温定着後処理装置90とを含んで構成されるが、これに限られるものではなく、公知の様々な構成を採用することが可能である。グロッサ70は、DFE30によりオン又はオフが制御され、オンにされた場合に、プリンタ機50により記録媒体に形成された画像を再定着する。これにより、記録媒体に形成された画像全体において所定量以上のトナーが付着した各画素のトナーの総付着量は均一に圧縮される。
【0017】
通常定着後処理装置80には、クリアトナー及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、DFE30が生成したクリアトナー版の画像データ(クリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データ)が入力される。通常定着後処理装置80は、入力されたクリアトナー版の画像データを用いて、クリアトナーによるトナー像を、グロッサ70により加圧された記録媒体上に形成された画像に重ねて形成する。そして、記録媒体上に形成されたトナー像は、定着機において通常温度での加熱および加圧が加えられて記録媒体上に定着する。
【0018】
低温定着後処理装置90には、クリアトナー及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、DFE30が生成したクリアトナー版の画像データが入力される。低温定着後処理装置90は、入力されたクリアトナー版の画像データを用いてクリアトナーによるトナー像を、グロッサ70および通常定着後処理装置80により加圧された記録媒体上に形成された画像に重ねて形成する。そして、記録媒体上に形成されたトナー像は、定着機において通常温度よりも低い温度(低温)での加熱および加圧が加えられて記録媒体上に定着する。
【0019】
ここで、ホスト装置10がDFE30へ出力する画像データについて説明する。
【0020】
ホスト装置10は、ユーザの指定に応じて、有色版画像データに、特色版の情報(後述の特色版画像データ)を付加した原稿データを生成する。特色版とは、CMYKなどの基本的なカラーの他に、白、金、銀といった特殊なトナーやインクを付着させるための画像データであり、このような特殊なトナーやインクを搭載したプリンタ向けのデータである。特色版は色再現性を向上させるためにCMYKの基本カラーにRを追加することや、RGBの基本カラーにYを追加することもある。通常、クリアトナーも特色の1つとして取り扱われていた。本実施形態の画像形成システム1では、CMYKの基本カラーのトナーである有色現像剤に加えて、特色としてのクリアトナーである透明現像剤を用いる。本実施形態の画像形成システム1においては、クリアトナーを用いることにより、異なる複数種類の透明処理(クリア処理ともいう)を実行する。クリア処理としては、クリアトナーを用いることにより、紙に付与する視覚的または触覚的な効果である光沢効果を形成する処理や、透明画像を形成する処理がある。このクリア処理は、公知の様々な技術を利用することができる。
【0021】
有色版画像データとは、有色トナー等の有色現像剤によって形成する画像を規定した画像データである。有色版画像データは、詳細には、描画領域毎にRGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである。
図2は、有色版画像データの一例を示す説明図である。
図2において、「A」、「B」、「C」等の描画領域(オブジェクト)ごとにユーザが指定した色に対応する濃度値が付与される。各描画領域の濃度値は、例えば0〜100%の濃度値で表される(「0」〜「255」等で表してもよい)。
【0022】
特色版画像データは、クリアトナーを用いて実現する透明領域を規定したデータである。特色版画像データは、光沢制御版画像データと、クリア版画像データと、を含む。これらの光沢制御版画像データ、及びクリア版画像データは、ユーザの指定に基づいて生成される。光沢制御版画像データは、紙に付与する光沢効果を規定した画像データである。光沢制御版画像データは、詳細には、紙に付与する視覚的または触覚的な効果である光沢効果に応じたクリアトナーの付着制御を行うため、当該光沢効果の与えられる領域および当該光沢効果の種類を特定した画像データである。クリア版画像データとは、上記光沢効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を特定した画像データである。なお、以下の説明では、特色版画像データとして、光沢制御版画像データのみが用いられる場合を例に挙げて説明する。
【0023】
光沢制御版画像データは、RGBやCMYK等の有色版画像データと同様に、クリアトナーが付与される領域を示す光沢領域(描画領域)の濃度値は、例えば、0〜100%の濃度値(「0」〜「255」等で表してもよい)で表され、この濃度値に、光沢効果の種類が対応付けられる。
【0024】
ここで、光沢効果の種類としては、大別して、光沢の有無に関するものや、表面保護や、情報を埋め込んだ透かしや、テクスチャなどがある。光沢の有無に関する光沢効果については、
図3に例示されるように、大別して4種類あり、光沢の度合い(光沢度)の高い順に、鏡面光沢(PG:Premium Gross)、ベタ光沢(G:Gross)、網点マット(M:Matt)及びつや消し(PM:Premium Matt)等の各種類がある。これ以降、鏡面光沢を「PG」、ベタ光沢を「G」、網点マットを「M」、つや消しを「PM」と呼ぶ場合がある。
【0025】
鏡面光沢やベタ光沢は、光沢を与える度合いが高く、逆に、網点マットやつや消しは、光沢を抑えるためのものであり、特に、つや消しは、通常の紙が有する光沢度より低い光沢度を実現するものである。同図中において、鏡面光沢はその光沢度Gsが80以上、ベタ光沢は一次色あるいは二次色のなすベタ光沢度、網点マットは一次色、かつ網点30%の光沢度、つや消しは光沢度10以下を表している。また、光沢度の偏差をΔGsで表し、10以下とした。
【0026】
このような光沢効果の各種類に対して、光沢を与える度合いが高い光沢効果に対しては高い濃度値が対応付けられ、光沢を抑える光沢効果に対しては低い濃度値が対応付けられる。その中間の濃度値に対しては、透かしやテクスチャなどの光沢効果が対応付けられる。透かしとしては、例えば、文字や地紋などが用いられる。テクスチャは、文字や模様を表すものであり、視覚的効果の他、触覚的効果を与えることが可能である。例えば、ステンドグラスのパターンをクリアトナーによって実現することができる。表面保護は、鏡面光沢やベタ光沢で代用される。
【0027】
なお、有色版画像データ内のどのオブジェクトに光沢効果を与えるのか、そのオブジェクトにどの種類の光沢効果を与えるのかについては、ユーザの指定に応じて決定される。ホスト装置10は、光沢効果を付与する対象となる各描画領域について、ユーザより指定された光沢効果に対応する濃度値を設定することにより、ベクタ形式の光沢制御版画像データを生成する。
【0028】
図4は、光沢制御版画像データの一例を示す説明図である。
図4の光沢制御版画像データの例では、ユーザの指定に応じて、描画領域「ABC」に光沢効果「PG(鏡面光沢)」が付与され、描画領域「(長方形の図形)」に光沢効果「G(ベタ光沢)」が付与され、描画領域「(円形の図形)」に光沢効果「M(網点マット)」が付与された例を示している。
【0029】
有色版画像データ、光沢制御版画像データは、例えばPDF(Portable Document Format)形式で頁単位に生成される。そして、これらの有色版画像データおよび光沢制御版画像データを統合して、原稿データが生成される。そして、生成された原稿データはDFE30へ送信される。なお、各版画像データのデータ形式は、PDFに限定されるものではなく、任意の形式を用いることができる。
【0030】
本実施形態のホスト装置10には、ユーザの指定に応じて、有色版画像データ(この例では、請求項の「対象画像データ」に対応)内のどのオブジェクトに光沢効果を与えるのか、そのオブジェクトにどの種類の光沢効果を与えるのかを決定するためのアプリケーション(以下の説明では、「特色オブジェクト作成アプリ」と称する場合がある)が搭載される。以下、この特色オブジェクト作成アプリに関する機能を中心に、ホスト装置10が有する機能を説明する。なお、この例では、ホスト装置10は、請求項の「情報処理装置」に対応していると考えることができる。
【0031】
図5は、ホスト装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、ホスト装置10は、操作手段101と、データ入力手段102と、操作制御手段103と、生成手段104と、表示手段106と、データ記録手段107とを備える。
【0032】
操作手段101は、ユーザが各種指示や各種設定の入力に用いる入力デバイスであり、例えばキーボードやマウス等で構成され得る。以下においては、操作手段101はマウスで構成される場合を例に挙げて説明する。
【0033】
データ入力手段102は、操作手段101の操作に応じて指定された電子データ(例えば不図示のメモリに記憶された有色版画像データなど)を不図示のメモリから読み込み、その読み込んだ電子データをデータ記録手段107に記録する。また、データ入力手段102は、その読み込んだ電子データを、表示手段106で扱えるデータ形式のプレビュー表示用データに変換し、変換したデータを、表示手段106に表示する制御を行う。この例では、データ入力手段102は、
図6に例示される画面を表示手段106に表示させる。
図6は、Adobe Systems(R)社が販売しているIllustratorにプラグインを組み込んだ場合に表示される画面の例である。
図6に示される画面では、操作手段101を介してユーザが指定した有色版画像データによって表される画像(以下の説明では、「対象画像」と称する場合がある)が表示されている。
【0034】
図7は、電子データ(電子画像ファイル)としてデータ記録手段107に格納された有色版画像データの構成の一例を示す図である。有色版画像データは、同一ページ中に含まれるオブジェクトごとの描画情報を含んでいる。例えば描画情報は、描画領域の位置や、色空間や、濃度を示す情報を含む。
図7の例では、オブジェクト1は、ピクセルデータで表現されるオブジェクトを示すイメージオブジェクトであり、描画情報として、描画位置、および、RGBの色空間を示す情報を含む。オブジェクト2も、イメージオブジェクトであり、描画情報として、描画位置、および、RGBの色空間を示す情報を含む。また、オブジェクト3は、ベクトルデータで表現されるオブジェクトを示すグラフィックスオブジェクトであり、描画情報として、直線を描画する位置、線幅、CMYKの色空間、各画素の濃度を示す情報を含む。
【0035】
図5に戻って説明を続ける。操作制御手段103は、操作手段101より受け付けた操作を、利用可能なイベント情報に変換し、生成手段104に通知する。この例では、ユーザは、表示手段106に表示された対象画像を確認しながらマウスを操作して、マウス入力の現在地を表すマウスカーソルを移動させ、対象画像上の任意の位置に合わせてクリック操作を行うことで、その任意の位置を指定することができる。この場合のイベント情報は、対象画像に対してユーザが指定した位置を示す指定位置情報を少なくとも含む情報であればよい。また、ここでは、ユーザがクリック操作を行っていない状態(ユーザが、対象画像上の任意の位置を指定する操作を行っていない状態)でのマウスカーソルの位置は、対象画像のうち、現在、ユーザが指し示している位置(「ユーザが指定した位置」とは区別する)を表していると考えることもできる。
【0036】
また、操作制御手段103は、操作手段101より受け付けたユーザ操作に応じて、各種の画像を表示手段106に表示する制御を行うこともできる。例えば
図6において、ユーザが操作手段101を介して、特色オブジェクト作成アプリを選択するためのボタン画像(不図示)を押下すると、操作制御手段103は、オブジェクト作成アプリに関するUI画像を表示手段106に表示する制御を行う。特色オブジェクト作成アプリを選択するためのボタン画像が押下されると、特色オブジェクト作成アプリが実行(起動)され、ユーザは、操作手段101を介した操作入力を行うことで、有色版画像データ内のどのオブジェクトに光沢効果を与えるのか、そのオブジェクトにどの種類の光沢効果を与えるのかを指定することができる。そして、後述するように、ホスト装置10は、このユーザの指定に応じて、特色オブジェクトを生成する。
【0037】
なお、この例では、操作制御手段103は、特色オブジェクト作成アプリが起動した状態で、ユーザによるマウスのクリック操作を受け付けた場合、特色オブジェクトの作成を指示する特色オブジェクト作成指示と、少なくとも指定位置情報を含むイベント情報とを生成手段104に対して通知する。
【0038】
図5に戻って説明を続ける。生成手段104は、オブジェクト特定手段105を有する。また、生成手段104は、操作制御手段103からのイベント情報を受け付ける機能(つまり、指定位置情報を受け付ける機能)を有する。この例では、生成手段104は、請求項の「受付部」に対応する機能を有していると考えることができる。
【0039】
生成手段104は、操作制御手段103から、特色オブジェクト作成指示とイベント情報とを受け付けた場合、オブジェクト特定手段105に対して、受け付けたイベント情報に含まれる指定位置情報が示す位置を含むオブジェクト(以下の説明では、「第1のオブジェクト」と称する場合がある)を特定することを要求する。この要求を受けたオブジェクト特定手段105は、対象画像の電子画像ファイル(この例では
図7に例示された有色版画像データ)をデータ記録手段107から取得し、取得した電子画像ファイルに含まれるオブジェクトごとの描画情報と、指定位置情報とに基づいて、第1のオブジェクトを特定する。この例では、オブジェクト特定手段105は、請求項の「第1特定部」に対応する機能を有していると考えることができる。
【0040】
次に、生成手段104は、オブジェクト特定手段105により特定されたオブジェクト(第1のオブジェクト)と同形のオブジェクト(以下の説明では、「第3のオブジェクト」と称する場合がある)を生成する。例えば生成手段104は、第1のオブジェクトの外形(輪郭)を示す外形情報を有するグラフィックスオブジェクトを、第3のオブジェクトとして生成する。なお、この外形情報を取得する方法は、公知の様々な技術を利用することができる。また、生成手段104は、生成した第3のオブジェクトを、第1のオブジェクトの真上に配置する。例えば、第1のオブジェクトよりも表示の優先順位が高いオブジェクト(以下の説明では、「第2のオブジェクト」と称する場合がある)の一部が、第1のオブジェクトに重なっているような場合、第3のオブジェクトの表示の優先順位は、第1のオブジェクトの表示の優先順位よりも高く、かつ、第2のオブジェクトの表示の優先順位よりも低くなるように設定される。
【0041】
次に、生成手段104は、ユーザより指定された光沢効果の種類に応じて、第3のオブジェクトの色空間および濃度値を設定する。このようにして生成手段104は、光沢制御版画像データを生成する。そして、ホスト装置10は、対象画像データである有色版画像データと、光沢制御版画像データとを統合して原稿データを生成する。
【0042】
例えば
図7に示すオブジェクト3が、上述の第1のオブジェクトである場合を想定する。この例では、オブジェクト3の一部は、オブジェクト3よりも表示の優先順位が高いオブジェクト2と重なっているものとする。この場合、生成手段104は、オブジェクト2よりも表示の優先順位が低く、かつ、オブジェクト3よりも表示の優先順位が高いオブジェクトであって、オブジェクト3と同形のオブジェクトを示す第3のオブジェクトを生成する。そして、生成手段104は、ユーザより指定された光沢効果の種類に応じて、第3のオブジェクトの色空間および濃度を設定することで、第3のオブジェクトを特色オブジェクトに変更する。ここでは、この特色オブジェクトを「オブジェクト4」と称する。
図8は、この場合の原稿データの構成の一例を示す図である。原稿データは、同一ページ中に含まれるオブジェクトごとの描画情報を含んでいる。
【0043】
各オブジェクトは、有色版画像データ、光沢制御版画像データによって特定される。オブジェクト1〜3は、
図7に例示した内容と同様である。新たに追加されたオブジェクト4は、上述の第3のオブジェクトの色空間を、光沢効果を与える光沢領域を表すR−effectの色空間に設定するとともに、上述の第3のオブジェクトの濃度値を、ユーザより指定された光沢効果の種類に対応する濃度値に設定したオブジェクト(特色オブジェクト)を表している。オブジェクト4の描画情報としては、直線を描画する位置、線幅、R−effectの色空間、各画素の濃度を示す情報を含む。なお、オブジェクト4では、R−effectを色版として定義しているが、これは、印刷時にはCMYKでは表現不可能な色版である。一般に、CMYK以外のトナー(例えば赤トナー)を用いて印刷する場合、電子画像ファイルにおいては赤を色版定義する。クリアトナーにおいても同様に、電子画像ファイル内において、クリアトナーを用いる箇所の出力の色空間はCMYKではなく、特殊な定義を使う。
【0044】
図9は、本実施形態による特色オブジェクトの生成方法を示す概念図である。
図9に示すように、オブジェクトBの一部が、オブジェクトBよりも表示の優先順位が高いオブジェクトAと重なっている場合において、ユーザが、オブジェクトBに含まれる位置をマウスでクリックすると、オブジェクトBと同形のグラフィックスオブジェクトを示す第3のオブジェクトがオブジェクトBの真上に配置される。そして、第3のオブジェクトの色空間および濃度が、ユーザにより指定された表面効果の種類に応じて設定される。これにより、オブジェクトBの真上に特色オブジェクトが配置されることになる。上述したように、第3のオブジェクト(特色オブジェクト)の表示の優先順位は、オブジェクトBの表示の優先順位よりも高く、かつ、オブジェクトAの表示の優先順位よりも低くなるように設定されるので、表示の優先度が高いオブジェクトAが、生成された特色オブジェクトによって隠れることはない。
【0045】
図5に戻って説明を続ける。表示手段106は、各種の画像を表示するデバイスであり、例えば液晶型ディスプレイ装置などで構成され得る。
【0046】
データ記録手段107は、各種のデータを記録するデバイスであり、例えばハードディスクドライブ装置(HDD)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成され得る。この例では、データ記録手段107は、各オブジェクトの表示の優先順位を示す情報や、1以上の画像が描画される仮想的なシートを表すレイヤーごとに、当該レイヤーの編集を禁止するか否かを示す保護情報が対応付けられたレイヤー情報などを保持する。
【0047】
ここで、本実施形態の操作制御手段103は、ユーザがクリック操作を行っていない状態でのマウスカーソルの位置(対象画像データによって表される画像のうち、現在、ユーザが指し示している位置)を含むオブジェクトを示す第4のオブジェクトを特定する機能を有する。そして、操作制御手段103は、上記レイヤー情報を参照して、第4のオブジェクトが属するレイヤーの編集が禁止されている場合、その旨を通知する制御を行う。なお、この例では、操作制御手段103は、請求項の「第2特定部」に対応する機能と、「通知制御部」に対応する機能とを兼ね備えていると考えることができるが、これに限らず、例えば請求項の「第2特定部」に対応する機能と、請求項の「通知制御部」に対応する機能とが別々に設けられる形態であってもよい。
【0048】
上述の第4のオブジェクトが属するレイヤーの編集が禁止されている場合は、特色のオブジェクトを生成して当該レイヤーに配置することができないため、操作制御手段103は、マウスカーソルの表示を変更(例えば色や形状を変更)する制御を行う。より具体的には、
図10に示すように、操作制御手段103は、処理禁止を示すマウスカーソルM1を表示する制御を行う。
【0049】
また、操作制御手段103は、上述の第4のオブジェクトが存在しない場合、その旨を通知する制御を行う。より具体的には、
図11に示すように、操作制御手段103は、処理対象のオブジェクトが、マウス入力の現在地に存在しないことを示すマウスカーソルM2を表示する制御を行う。一方、上述の第4のオブジェクトが存在する場合、操作制御手段103は、処理対象のオブジェクトが、マウス入力の現在地に存在することを示すマウスカーソルM3を表示する制御を行う。
【0050】
図12は、ホスト装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、ホスト装置10は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM111やRAM112、VRAM113などのメモリと、HDD等の記憶部114と、ディスプレイなどの表示部115と、キーボードやマウスなどの操作部116と、入出力インタフェースI/O117とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0051】
本実施形態では、CPU110が、ROM111等に格納されたプログラムをRAM112上に読み出して実行することにより、上述のデータ入力手段102、操作制御手段103、生成手段104(オブジェクト特定手段105)の各々の機能が実現されているが、これに限らず、例えば上述のデータ入力手段102、操作制御手段103、および、生成手段104のうちの少なくとも一部が専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路等)で実現されてもよい。また、この例では、上述の操作手段101は、操作部116により実現され、上述の表示手段106は、表示部115により実現される。また、上述のデータ記録手段107は、例えば記憶部114等により実現することができる。
【0052】
なお、上述のCPU110が実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、上述のCPU110が実行するプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述のCPU110が実行する制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0053】
図13は、ホスト装置10が、特色オブジェクトを生成する手順の一例を示す図である。まず、操作手段101を介して、不図示のメモリに記憶された有色版画像データを指定する操作を受け付けた場合(ステップS1)、データ入力手段102は、指定された有色版画像データを不図示のメモリから読み込み、その読み込んだ有色版画像データを示す電子画像ファイルをデータ記録手段107に記録する(ステップS2)。また、データ入力手段102は、その読み込んだ有色版画像データを、表示手段106で扱えるデータ形式のプレビュー表示用データに変換し、変換したデータを、表示手段106に表示する制御を行う(ステップS3)。
【0054】
次に、操作手段101を介して、特色オブジェクト作成アプリを選択するためのボタン画像(不図示)を押下する操作を受け付けた場合(ステップS4)、操作制御手段103は、特色オブジェクト作成アプリに関するUI画像を表示手段106に表示する制御を行う(ステップS5)。このとき、特色オブジェクト作成アプリが起動(実行)される。
【0055】
次に、操作手段101を介して、マウスのクリック操作を受け付けた場合(ステップS6)、操作制御手段103は、上述の指定位置情報(マウスでクリックした位置を示す情報)を含むイベント情報とともに特色オブジェクト作成指示を、生成手段104へ通知する(ステップS7)。この特色オブジェクト生成指示とイベント情報とを受け付けた生成手段104は、オブジェクト特定手段105に対して、受け付けたイベント情報に含まれる指定位置情報が示す位置を含む第1のオブジェクトを特定することを要求する(ステップS8)。この要求を受けたオブジェクト特定手段105は、ユーザより指定された有色版画像データを示す電子画像ファイルをデータ記録手段107から取得し(ステップS9)、取得した電子画像ファイルに含まれるオブジェクトごとの描画情報と、受け付けたイベント情報に含まれる指定位置情報とに基づいて、第1のオブジェクトを特定する。
【0056】
次に、生成手段104は、オブジェクト特定手段105により特定された第1のオブジェクトの外形(輪郭)を示す外形情報を有するグラフィックスオブジェクトを、第3のオブジェクトとして生成する。次に、生成手段104は、ユーザより指定された光沢効果の種類に応じて、第3のオブジェクトの色空間および濃度値を設定することで、第3のオブジェクトを特色オブジェクトに変更する(ステップS10)。そして、生成手段104は、生成した特色オブジェクトをデータ記録手段107に記録した上で(ステップS11)、表示手段106に表示する制御を行う(ステップS12)。
【0057】
図14は、特色オブジェクト生成指示とイベント情報を受け付けた場合の生成手段104による処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、特色オブジェクト生成指示とイベント情報とを受け付けた生成手段104は、オブジェクト特定手段105に対して、受け付けたイベント情報に含まれる指定位置情報が示す位置を含む第1のオブジェクトを特定することを要求する。この要求を受けたオブジェクト特定手段105は、対象画像データである有色版画像データを示す電子画像ファイルを参照し、オブジェクトごとの描画情報と、受け付けたイベント情報に含まれる指定位置情報とに基づいて、指定位置情報が示す位置を含む第1のオブジェクトが存在するか否かを判断する(ステップS701)。第1のオブジェクトが存在しない場合(ステップS701:No)、処理は終了する。
【0058】
第1のオブジェクトが存在する場合(ステップS701:Yes)、オブジェクト特定手段105は、第1のオブジェクトの描画情報を参照して、第1のオブジェクトがイメージオブジェクトであるか否かを判断する(ステップS702)。第1のオブジェクトがイメージオブジェクトの場合(ステップS702:Yes)、生成手段104は、第1のオブジェクトの外形情報を取得する(ステップS703)。次に、生成手段104は、第3のオブジェクトとして、取得した外形情報を有するグラフィックスオブジェクトを生成し、生成した第3のオブジェクトを第1のオブジェクトの真上に配置する(ステップS704)。要するに、生成手段104は、第1のオブジェクトの属性が、ピクセルデータで表現されるオブジェクトを示すイメージオブジェクトである場合は、第3のオブジェクトの属性を、グラフィックスオブジェクトにする。
【0059】
一方、上述のステップS702において、第1のオブジェクトがグラフィックスオブジェクトの場合(ステップS702:No)、生成手段104は、第1のオブジェクトをコピーし(ステップS705)、コピーした第1のオブジェクトを、第3のオブジェクトとして第1のオブジェクトの真上に配置する(ステップS706)。要するに、生成手段104は、第1のオブジェクトの属性が、テキスト、または、ベクトルデータで表現されるオブジェクトを示すグラフィックスオブジェクトである場合は、第3のオブジェクトの属性も、第1オブジェクトの属性と同じにする。
【0060】
上述のステップS704、または、ステップS706の後、生成手段104は、第3のオブジェクトの色空間および濃度を、ユーザより指定された光沢効果の種類に応じて設定することで、第3のオブジェクトを特色オブジェクトに変更する(ステップS707)。
【0061】
次に、
図15を参照しながら、ユーザが、クリック操作を行わずに(対象画像上の任意の位置を指定する操作を行わずに)マウスカーソルを移動させる操作を行っている状態での操作制御手段103による処理の一例を説明する。この例では、操作制御手段103は、ユーザがクリック操作を行っていない状態でのマウスカーソルの位置を示す入力位置情報を取得する機能を有している。
【0062】
図15に示すように、操作制御手段103は、対象画像データである有色版画像データを示す電子画像ファイルを参照し、オブジェクトごとの描画情報と、ユーザがクリック操作を行っていない状態でのマウスカーソルの位置を示す入力位置情報とに基づいて、入力位置情報が示す位置を含む第4のオブジェクトが存在するか否かを判断する(ステップS801)。第4のオブジェクトが存在しない場合(ステップS801:No)、操作制御手段103は、処理対象のオブジェクトが、マウス入力の現在地に存在しないことを示すマウスカーソルM2(
図11参照)を表示する制御を行う(ステップS802)。
【0063】
一方、第4のオブジェクトが存在する場合(ステップS801:Yes)、操作制御手段103は、第4のオブジェクトが属するレイヤーの編集が禁止されているか否かを判断する(ステップS803)。第4のオブジェクトが属するレイヤーの編集が禁止されていない場合(ステップS803:No)、操作制御手段103は、処理対象のオブジェクトが、マウス入力の現在地に存在することを示すマウスカーソルM3(
図11参照)を表示する制御を行う(ステップS804)。第4のオブジェクトが属するレイヤーの編集が禁止されている場合(ステップS803:Yes)、操作制御手段103は、処理禁止を示すマウスカーソルM1(
図10参照)を表示する制御を行う(ステップS805)。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態では、対象画像データである有色版画像データに含まれるオブジェクトのうち、マウスのクリック位置を含む第1のオブジェクトと同形の第3のオブジェクトを生成し、第1のオブジェクトの真上に配置する。例えば第1のオブジェクトの一部が、第1のオブジェクトよりも表示の優先順位が高い第2のオブジェクトと重なっている場合においては、第3のオブジェクトの表示の優先順位は、第1のオブジェクトの表示の優先順位よりも高く、かつ、第2のオブジェクトの表示の優先順位よりも低くなるように設定される。そして、第3のオブジェクトの色空間および濃度を、ユーザにより指定された光沢効果の種類に応じて設定することで、第3のオブジェクトを特色オブジェクトに変更する。ここでは、第2のオブジェクトが、追加された特色オブジェクトによって隠れることは無いので、第1のオブジェクトのうち、第2のオブジェクトと重ならない部分にのみ特色オブジェクトを追加することができる。すなわち、本実施形態によれば、ユーザはクリック操作を行うだけで、第1のオブジェクトのうち第2のオブジェクトと重ならない部分にのみ特色オブジェクトを追加することが可能になる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0066】
なお、上述の各実施形態では、有色版画像データに、特色版の情報(特色版画像データ)を付加した原稿データを生成する構成を例に挙げて説明したが、本発明が適用され得る構成は、これに限られるものではなく、例えば特色版画像データが生成されない構成であってもよい。