特許第6252173号(P6252173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252173
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】プロジェクタ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20171218BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20171218BHJP
   G02B 13/16 20060101ALI20171218BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
   G02B13/16
   G03B21/14 Z
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-273045(P2013-273045)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-127750(P2015-127750A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】窪田 高士
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−152277(JP,A)
【文献】 特開2010−271558(JP,A)
【文献】 特開2006−091480(JP,A)
【文献】 特開2007−304290(JP,A)
【文献】 特開2003−337283(JP,A)
【文献】 特開2009−210594(JP,A)
【文献】 特開2005−106948(JP,A)
【文献】 特開2010−078696(JP,A)
【文献】 特開2013−148812(JP,A)
【文献】 特開2011−053498(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/061536(WO,A1)
【文献】 特開2004−117519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示素子に表示された画像を、投射用光学系により、被投射面に拡大画像として投射して拡大表示するプロジェクタ装置であって、
投射用光学系が、6群または7群のレンズ群と開口絞りとを有してなり、
拡大側から縮小側に向かって順に、第1レンズ群ないし第6レンズ群、もしくは第1レンズ群ないし第7レンズ群が配され、
第1レンズ群は負の屈折力、第2レンズ群は正の屈折力、第3レンズ群は負の屈折力、第4レンズ群は正または負の屈折力、第5レンズ群は正の屈折力を有し、最も縮小側に配される第6レンズ群もしくは第7レンズ群は正の屈折力を有し、
最も拡大側に配された第1レンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と最も縮小側のレンズ群が固定され、残りのレンズ群が移動し、
第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2が、条件:
(3)−0.5 < F1/F2 < −0.3
を満足する投射用ズーム光学系であることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系が、拡大側から、縮小側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群が配置されたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項3】
画像表示素子に表示された画像を、投射用光学系により、被投射面に拡大画像として投射して拡大表示するプロジェクタ装置であって、
投射用光学系が、7群のレンズ群と開口絞りとを有してなり、
拡大側から縮小側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群が配置され、
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と最も縮小側のレンズ群が固定され、残りのレンズ群が移動する投射用ズーム光学系であることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項4】
請求項3記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2が、条件:
(3)−0.5 < F1/F2 < −0.3
を満足することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の最も拡大側のレンズ群が、3枚以下のレンズで構成されていることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
広角端から望遠端への変倍に際して移動する全てのレンズ群が、拡大側に移動することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の第1レンズ群の焦点距離:F1、広角端における全系の焦点距離:Fwが、条件:
(1)−1.5 < F1/Fw < −1.0
を満足することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の第2レンズ群の焦点距離:F2、広角端における全系の焦点距離:Fwが、条件:
(2) 2.0 < F2/Fw < 4.1
を満足することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の開口絞りが、最も縮小側のレンズ群に配されることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系の、変倍に際して移動するレンズ群は何れも、3枚以下のレンズで構成されていることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系が、拡大側から、縮小側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群が配置されたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1項に記載のプロジェクタ装置において、
投射用ズーム光学系が、拡大側から、縮小側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群が配置されたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はプロジェクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置前方のスクリーン上に拡大画像を投射するフロント投射型のプロジェクタ装置は、企業でのプレゼンテーション用や学校での教育用、家庭用に近年広く普及している。
【0003】
投射される画像をスクリーン上に結像させる投射用光学系として「斜光線による結像」を行うものを用いるプロジェクタ装置が実用化されている。
【0004】
近来、プロジェクタ装置により投射される拡大画像の「さらなる大画面化」が要請されている。
【0005】
上述の「斜光線による結像を行う投射用光学系」を用いるプロジェクタ装置では、画像が投射される領域は「投射用光学系光軸を中心とする大きな領域」の一部である。
【0006】
このため、投射される拡大画像のサイズを大きくするには投射用光学系が「広画角」であること」が求められる。
【0007】
また、投射距離に応じて投射倍率を変化させ得るズーム機能も要請されている。
【0008】
広角端での半画角:30度程度以上の広画角を達成した投射用ズーム光学系としては、従来、特許文献1ないし4に記載されたものが知られている。
【0009】
近時、プロジェクタ装置のさらなる大画面化・短い投射距離が求められ、「更なる広画角の投射用ズーム光学系」の使用が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、より広画角での投射を実現できるプロジェクタ装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のプロジェクタ装置は、画像表示素子に表示された画像を、投射用光学系により、被投射面に拡大画像として投射して拡大表示するプロジェクタ装置であって、投射用光学系が、6群または7群のレンズ群と開口絞りとを有してなり、拡大側から縮小側に向かって順に、第1レンズ群ないし第6レンズ群、もしくは第1レンズ群ないし第7レンズ群が配され、第1レンズ群は負の屈折力、第2レンズ群は正の屈折力、第3レンズ群は負の屈折力、第4レンズ群は正または負の屈折力、第5レンズ群は正の屈折力を有し、最も縮小側に配される第6レンズ群もしくは第7レンズ群は正の屈折力を有し、最も拡大側に配された第1レンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と最も縮小側のレンズ群が固定され、残りのレンズ群が移動し、第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2が、条件:
(3)−0.5 < F1/F2 < −0.3
を満足する投射用ズーム光学系であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、より広画角での投射を実現できるプロジェクタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図2】実施例1の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図3】実施例2の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図4】実施例2の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図5】実施例3の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図6】実施例3の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図7】実施例4の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図8】実施例4の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図9】実施例5の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図10】実施例5の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図11】実施例6の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図12】実施例6の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図13】実施例7の投射用ズーム光学系の構成を示す断面図である。
図14】実施例7の投射用ズーム光学系の収差曲線図である。
図15】画像表示装置としてのプロジェクタ装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施する形態を説明する。
【0015】
この発明のプロジェクタ装置は、斜光線により被投射面(スクリーン)に拡大画像を結像する投射用ズーム光学系を用いる。
【0016】
図1図3図5図7図9図11図13に、プロジェクタ装置に用いる投射用ズーム光学系の実施の形態を7例示す。
【0017】
これらの図に実施の形態を示す投射用ズーム光学系は、上記図の順序に、後述する具体的な実施例1ないし7に相当する。
上記各図において、図の左方が「拡大側(被投射面側)」、右方が「縮小側」である。繁雑を避けるために、これらの図において符号を共通化する。
上記各図において、符号Giにより「拡大側から数えて第i番目のレンズ群」を示す。また、符号Ljにより「拡大側から数えて第j番目のレンズ」を示す。
符号Sにより「開口絞り」を示す。また、符号CGにより「画像表示素子(以下、「ライトバルブ」とも言う)のカバーガラス」を示す。
図1図3図5図7図9に示す投射用ズーム光学系は、拡大側から縮小側に向かって、第1レンズ群G1ないし第7レンズ群G7を有する7レンズ群構成である。
【0018】
これらの図の投射用ズーム光学系において、開口絞りSは「最も縮小側のレンズ群」である第7レンズ群G7に配置されている。
【0019】
図11図13に示す投射用ズーム光学系は、拡大側から縮小側に向かって、第1レンズ群G1ないし第6レンズ群G6を有する6レンズ群構成である。
【0020】
図11図13の投射用ズーム光学系においては、開口絞りSは「最も縮小側のレンズ群」である第6レンズ群G6に配置されている。
【0021】
上記各図において、上段の図は「広角端におけるレンズ群配置(広角と表示)」を示し、下段の図は「望遠端におけるレンズ群配置(望遠と表示)」を示す。
【0022】
中段の図は「中間焦点距離におけるレンズ群配置(中間と表示)」を示している。
【0023】
これらの図における上段・中段・下段の図の間に描かれた矢印は、広角端から望遠端への変倍の際の、第iレンズ群Giの変位の向きを示す。
【0024】
何れの例でも、最も拡大側の第1レンズ群G1と、最も縮小側のレンズ群G7もしくはG6は、変倍に際して固定であり、これらのレンズ群の間にあるレンズ群が移動する。
【0025】
即ち、図1図3図5図7図9に示す投射用ズーム光学系では、第1レンズ群G1と第7レンズ群G7が固定され、第2レンズ群G2から第6レンズ群G6が移動する。
【0026】
第2レンズ群G2ないし第6レンズ群G6の移動方向は、広角端から望遠端側への変倍に際して「拡大側へ向かう方向」である。
移動するレンズ群G2ないしG6の移動する方向が同一方向であるので、変倍時にレンズの群間隔が急激に変化することが無い。
【0027】
従って、レンズ群を通過する軸外の光線の高さも急激に変化することが無い。
従って、変倍に際して収差の補正が容易である。
【0028】
図11図13に示す投射用ズーム光学系では、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6が固定され、第2レンズ群G2から第5レンズ群G5が移動する。
【0029】
第2レンズ群G2ないし第5レンズ群G5の移動方向は、広角端から望遠端側への変倍に際して「拡大側へ向かう方向」である。
【0030】
移動するレンズ群G2ないしG5の移動する方向が同一方向であるので、変倍時にレンズの群間隔が急激に変化することが無い。
【0031】
従って、レンズ群を通過する軸外の光線の高さも急激に変化することが無い。
従って、変倍に際して収差の補正が容易である。
【0032】
上記の如く、この発明のプロジェクタ装置で用いられる投射用ズーム光学系は、画像表示素子に表示された画像を被投射面に拡大画像として投射して拡大表示する。
【0033】
投射用ズーム光学系は、6群または7群のレンズ群と開口絞りSとを有してなる。
【0034】
図11図13に示す例では、拡大側から縮小側に向かって順に、第1レンズ群G1ないし第6レンズ群G6が配される。
【0035】
図1図3図5図7図9に示す例では、第1レンズ群G1ないし第7レンズ群G7が配される。
【0036】
これらのレンズ群の屈折力は以下の通りである。
【0037】
第1レンズ群G1は負の屈折力、第2レンズ群G2は正の屈折力、第3レンズ群G3は負の屈折力、第4レンズ群G4は「正または負」の屈折力である。
【0038】
また、第5レンズ群G5は正の屈折力である。
そして、最も縮小側に配されるレンズ群(図1図3図5図7図9の例では第7レンズ群G7、図11図13の例では第6レンズ群G6)は正の屈折力を持つ。
【0039】
最も拡大側のレンズ群(第1レンズ群G1)と最も縮小側のレンズ群である第6レンズ群G6もしくは第7レンズ群G7は正の屈折力を有する。
【0040】
これら最も拡大側と最も縮小側のレンズ群は、広角端から望遠端への変倍に際して固定され、残りのレンズ群が拡大側に移動する。
【0041】
上記の如く、この発明の投射用ズーム光学系は、第1レンズ群G1の屈折力を負として「負レンズ群先行」としている。
【0042】
さらに、第3レンズ群G3も負レンズ群とすることにより「主光線高さをより低くして、小さいレンズ有効径を実現」し、投射用ズーム光学系をコンパクトに実現する。
【0043】
このようにコンパクトな投射用ズーム光学系を用いることにより、プロジェクタ装置の小型化が実現される。
【0044】
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3の屈折力は「負・正・負」のようになっている。
【0045】
従って、画像を投射する際に、結像光束の光束径は、第3レンズ群G3により発散され、第2レンズ群G2で収斂されたのち、第1レンズ群で発散される。
【0046】
従って、画像投射時の第3レンズ群G3から第1レンズ群G1への「光束の跳上げ角」を小さく抑えることができ、第1レンズ群G1のレンズ径が小さく抑えられる。
【0047】
この発明のプロジェクタ装置に用いられる投射用ズーム光学系は、上記構成において、以下の条件(1)〜(3)の1以上を満足することが好ましい。
【0048】
(1) −1.5 < F1/Fw < −1.0
(2) 2.0 < F2/Fw < 4.1
(3) −0.5 < F1/F2 < −0.3 。
【0049】
条件(1)ないし(3)の各パラメータにおける記号の意味は以下の通りである。
【0050】
即ち、「Fw」は広角端における全系の焦点距離、「F1」は第1レンズ群の焦点距離、「F2」は第2レンズ群の焦点距離である。
【0051】
条件(1)は、最も拡大側に配置される第1レンズ群の屈折力(以下、「パワー」とも言う。)と、広角端における全系の屈折力を良好にバランスさせる条件である。
【0052】
条件(1)の上限を超えると、第1レンズ群の負のパワーが強くなり、非点隔差が大きくなりがちになる。
【0053】
条件(1)の下限を超えると、広角端の焦点距離が小さくなり、像面湾曲が大きくなやすい。
【0054】
従って、投射用ズーム光学系の高性能化には、条件(1)を満足することが好ましい。
【0055】
条件(1)を満足することにより、広画角かつ高変倍で、高性能を達成することが可能となる。
【0056】
第2レンズ群は、投射用ズーム光学系では「補正群の役割」を荷っており、条件(2)は、特に「変倍時のコマ収差」の良好な補正に有効な条件である。
【0057】
条件(2)の上限を超えると、望遠側の球面収差が補正不足となり易い。
【0058】
また、条件(2)の上限を超えても、下限を超えても、コマ収差が大きく発生し易い。
【0059】
条件(3)は、第1レンズ群と第2レンズ群の好適なパワー配分を規定する条件であり、条件(3)が満足されないと、レンズ群の移動量に影響が出る。
条件(3)の下限を超えると、第1レンズ群の負のパワーが弱くなり、補正群の役割を荷う第2レンズ群の「正のパワー」が強くなる。
【0060】
このため、補正群である第2レンズ群は、正のパワーの増大分に応じて「変倍時の移動量が小さく」なる。
【0061】
このため、第2レンズ群の「移動における位置ずれの感度」が高くなり、第2レンズ群の移動に高精度が要求される。
【0062】
条件(3)の上限を超えると、第1レンズ群の負のパワーが強くなり、第2レンズ群の正のパワーが弱くなる。このため、第2レンズ群の変倍時の移動量が大きくなり易い。
【0063】
上記各図に示す投射用ズーム光学系では、開口絞りが「最も縮小側のレンズ群」に配される。
【0064】
このように、最も縮小側のレンズ群に開口絞りを配することによって、Fno.を変化させること無く変倍を行うことが可能となる。
【0065】
また、各レンズ群のレンズ枚数を3枚以下とすることによって、自重による偏芯発生を低減出来、製造時のレンズの偏心による性能劣化を抑制することができる。
【0066】
図15を参照して、この発明のプロジェクタ装置の実施の1形態を説明する。
【0067】
図15に示すプロジェクタ装置1は、ライトバルブ3として、微小ミラーデバイスであるDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス テキサスインスツルメント社製)を採用した例である。
【0068】
プロジェクタ装置1は、照明系2と、ライトバルブであるDMD3と、投射用ズーム光学系4とを有する。
【0069】
投射用ズーム光学系4としては、請求項1ないし12の何れか1項に記載されたもの、具体的には実施例1〜7の何れかのものを用いる。
【0070】
照明系2から「RGB3色の光」を時間的に分離してDMD3に照射し、各色光が照射されるタイミングで個々の画素に対応するマイクロミラーの傾斜を制御する。
【0071】
このようにしてDMD3に「投射されるべき画像」が表示され、該画像により強度変調された光が、投射用ズーム光学系4により、被投射面であるスクリーン5に拡大画像として投射されて拡大表示される。
【0072】
照明系2は、光源21、コンデンサーレンズCL、RGBカラーホイールCW、ミラーMを備えており、これを配置するスペースを「ある程度大きく確保」する必要がある。
【0073】
このため、照明系2からDMD3に入射させる照明光の入射角を、ある程度大きくする必要がある。
投射用ズーム光学系4と照明系2のスペースの上記の如き関係上、投射用ズーム光学系4のバックフォーカスをある程度確保する必要がある。
【0074】
実施例1〜5の投射用ズーム光学系では、広角端から望遠端への変倍に際して、第2レンズ群G2ないし第6レンズ群G6が拡大側に移動する。
【0075】
実施例6と7の投射用ズーム光学系では、広角端から望遠端への変倍に際して、第2レンズ群G2ないし第5レンズ群G5が拡大側に移動する。
なお、以下に挙げる実施例において、ライトバルブとしては「DMD」を想定しているが、勿論、ライトバルブがこれに限定される訳ではない。
【0076】
また、以下において、投射用ズーム光学系を構成するレンズ群のなかで「正の屈折力を持つレンズ群」を「正群」と称し、「負の屈折力を持つレンズ群」は「負群」と称する。
【実施例】
【0077】
以下、この発明のプロジェクタ装置に用いられる投射用ズーム光学系の、具体的な実施例を7例挙げる。
【0078】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
【0079】
F:光学系全体の焦点距離
Fno:開口数
R:曲率半径(非球面にあっては「近軸曲率半径」)
D:面間隔
Nd:d線に対する屈折率
νd:d線のアッベ数
BF:バックフォーカス 。
【0080】
非球面は、周知の次式により表される。
【0081】
X=(H/R)/[1+{1−K(H/r)}1/2
+c4・H+c6・H+c8・H+c10・H10+・・・ 。
【0082】
この式において、Xは「面頂点を基準としたときの光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位」、Kは「円錐係数」、c4、c6、c8、c10・・は非球面係数である。
【0083】
「実施例1」
実施例1の投射用ズーム光学系は、図1に示したものである。
【0084】
図1に示すように、第1レンズ群G1は3枚のレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0085】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0086】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL6で構成されている。
【0087】
第5レンズ群G5は1枚のレンズL7で構成されている。
【0088】
第6レンズ群G6は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0089】
第7レンズ群G7は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0090】
投射用ズーム光学系において結像の物体となる画像は、ライトバルブのカバーガラスCGの、図において右側の面に表示される。
【0091】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2ないし第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0092】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側に凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0093】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
【0094】
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
第4レンズ群G4は負群で、1枚の負レンズL6で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0095】
第6レンズ群G6は正群で、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10で構成されている。
両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0096】
第7レンズ群G7は正群で、両凹レンズL11、拡大側が凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側の凹面を向けた負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12とは接合されている。
開口絞りSは、第6レンズ群G6と第7レンズ群G7との間に配置され、第7レンズ群G7と共に固定されている。この状態を「開口絞りが、最も縮小側の第7レンズ群に配される。」と称する。
【0097】
実施例1〜7に関する説明において、「両凸レンズ」は正レンズの1形態であり、「両凹レンズ」は負レンズの1形態である。
【0098】
実施例1の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0099】
F=15.9〜23.6mm、Fno=2.5一定、ωw=36.5°
実施例1のデータを表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1において、左欄の「S」は拡大側から数えた面の番号であり、開口絞りの面(表中の面番号:20)、カバーガラスCGの面(表中の面番号:30、31)を含む。
【0102】
「Group」はレンズ群を意味する。また、表中における「INF」は、曲率半径が無限大であることを示す。
【0103】
さらに、「*」は、この記号が付された面が「非球面」であることを示す。
【0104】
これらの事項は、実施例2以下の各実施例においても同様である。
【0105】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
上記の非球面のデータの表示において、例えば「8.2325E-21」は「8.2325×10-21」を意味する。表2の一番上の欄は面番号である。以下においても同様である。
【0108】
表1において、S6、S8、S10、S12、S14、S19は、変倍に際して変化するレンズ面間隔を表す。
【0109】
投射距離を1950mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表4に示す。
【0112】
【表4】
【0113】
図2に、実施例1の収差図を示す。
図2の上段は「広角端(広角と表示)」、中段は「中間焦点距離(中間と表示)」、下段は「望遠端(望遠と表示)」の収差を示している。
【0114】
各段の収差図において、左側の図は「球面収差」、中央の図は「非点収差」、右側の図は「歪曲収差」である。
【0115】
「球面収差」の図におけるR、G、Bはそれぞれ、波長:R=625nm、G=550nm、B=460nmを表す。
「非点収差」の図における「T」はタンジェンシアル、「S」はサジタルの各光線に対するものであることを示す。
【0116】
なお、非点収差および歪曲収差については、波長:550nmについて示す。
【0117】
収差図におけるこれ等の表示は以下の実施例2〜7の収差図においても同様である。
【0118】
「実施例2」
実施例2の投射用ズーム光学系は、図3に示したものである。
【0119】
図3に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0120】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0121】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL6で構成されている。
【0122】
第5レンズ群G5は1枚のレンズL7で構成されている。
【0123】
第6レンズ群G6は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0124】
第7レンズ群G7は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0125】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズグG2〜第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0126】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側が凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0127】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
【0128】
第4レンズ群G4は負群で、1枚の負レンズL6で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0129】
第6レンズ群G6は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL9、両凸レンズL10で構成されている。負メニスカスレンズL9と両凸レンズL10は接合されている。
【0130】
第7レンズ群G7は正群で、縮小側が凸の正レンズL11、両凹レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL15で構成されている。正レンズL11と両凹レンズL12は接合されている。
なお、開口絞りSは第6レンズ群G6と第7レンズ群G7の間に配し、第7レンズ群と共に固定されている。
【0131】
実施例2の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0132】
F=15.9〜23.8mm、Fno=2.52一定、ωw=36.5°
実施例2のデータを表5に示す。
【0133】
【表5】
【0134】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表6に示す。
【0135】
【表6】
【0136】
投射距離を1950mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表7に示す。
【0137】
【表7】
【0138】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表8に示す。
【0139】
【表8】
【0140】
図4に、実施例2の収差図を図2に倣って示す。
【0141】
「実施例3」
実施例3の投射用ズーム光学系は、図5に示したものである。
【0142】
図5に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0143】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0144】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL6で構成されている。
【0145】
第5レンズ群G5は1枚のレンズL7で構成されている。
【0146】
第6レンズ群G6は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0147】
第7レンズ群G7は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0148】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2〜第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0149】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側が凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0150】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
【0151】
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
第4レンズ群G4は負群で、1枚の負レンズL6で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0152】
第6レンズ群G6は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10で構成されている。両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0153】
第7レンズ群G7は正群で、両凹レンズL11、拡大側が凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12は接合されている。
開口絞りSは、第6レンズ群と第7レンズ群の間に配し、第7レンズ群と共に固定されている。
【0154】
実施例3の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0155】
F=16.3〜21.1mm、Fno=2.45一定、ωw=35.9°
実施例3のデータを表9に示す。
【0156】
【表9】
【0157】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表10に示す。
【0158】
【表10】
【0159】
投射距離を2000mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表12に示す。
【0160】
【表11】
【0161】
各条件のパラメータの値
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表12に示す。
【0162】
【表12】
【0163】
図6に、実施例3の収差図を図2に倣って示す。
【0164】
「実施例4」
実施例4の投射用ズーム光学系は、図7に示したものである。
【0165】
図7に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0166】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0167】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL6で構成されている。
【0168】
第5レンズ群G5は1枚のレンズL7で構成されている。
【0169】
第6レンズ群G6は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0170】
第7レンズ群G7は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0171】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2〜第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0172】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側に凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0173】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
【0174】
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
第4レンズ群G4は負群で、1枚の負レンズL6で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0175】
第6レンズ群G6は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10で構成されている。両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0176】
第7レンズ群G7は正群で、両凹レンズL11、拡大側が凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側が凹の負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12は接合されている。
開口絞りSは第6レンズ群と第7レンズ群の間に配置され、第7レンズ群と共に固定されている。
【0177】
実施例4の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0178】
F=17.1〜25.6mm、Fno=2.52一定、ωw=34.5°
実施例4のデータを表13に示す。
【0179】
【表13】
【0180】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表14に示す。
【0181】
【表14】
【0182】
投射距離を2100mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表17に示す。
【0183】
【表15】
【0184】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表16に示す。
【0185】
【表16】
【0186】
図8に、実施例4の収差図を図2に倣って示す。
【0187】
「実施例5」
実施例5の投射用ズーム光学系は、図9に示したものである。
【0188】
図9に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0189】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0190】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL6で構成されている。
【0191】
第5レンズ群G5は1枚のレンズL7で構成されている。
【0192】
第6レンズ群G6は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0193】
第7レンズ群G7は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0194】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2〜第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0195】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側が凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0196】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
【0197】
第4レンズ群G4は負群で、1枚の負レンズL6で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0198】
第6レンズ群G6は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側が凹の負メニスカスレンズL10で構成されている。両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0199】
第7レンズ群G7は正群で、両凹レンズL11、拡大側に凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側が凹の負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12は接合されている。
開口絞りSは、第6レンズ群G6と第7レンズ群G7の間に配置され、第7レンズ群G7と共に固定されている。
【0200】
実施例5の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0201】
F=13.1〜19.5mm、Fno=2.52一定、ωw=42.1°
実施例5のデータを表17に示す。
【0202】
【表17】
【0203】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表18に示す。
【0204】
【表18】
【0205】
投射距離を1600mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表19に示す。
【0206】
【表19】
【0207】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表20に示す。
【0208】
【表20】
【0209】
図10に、実施例5の収差図を図2に倣って示す。
【0210】
「実施例6」
実施例6の投射用ズーム光学系は、図11に示したものである。
【0211】
図11に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0212】
第3レンズ群G3は2枚のレンズL5とL6で構成されている。
【0213】
第4レンズ群G4は1枚のレンズL7で構成されている。
【0214】
第5レンズ群G5は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0215】
第6レンズ群G6は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0216】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2〜第5レンズ群G5は拡大側に移動する。
【0217】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側が凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0218】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
【0219】
第3レンズ群G3は負群で、負メニスカスレンズL5と両凹レンズL6で構成されている。
第4レンズ群G4は正群で、1枚の正レンズL7で構成されている。
【0220】
第5レンズ群G5は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側が凹面の負メニスカスレンズL10で構成されている。両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0221】
第6レンズ群G6は正群で、両凹レンズL11、拡大側が凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側が凹の負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12は接合されている。
開口絞りSは第5レンズ群G5と第6レンズ群G6の間に配置され、第6レンズ群G6と共に固定されている。
【0222】
実施例6の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0223】
F=15.9〜23.8mm、Fno=2.52一定、ωw=36.5°
実施例6のデータを表21に示す。
【0224】
【表21】
【0225】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表22に示す。
【0226】
【表22】
【0227】
投射距離を1950mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表23に示す。
【0228】
【表23】
【0229】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表24に示す。
【0230】
【表24】
【0231】
図12に、実施例6の収差図を図2に倣って示す。
【0232】
「実施例7」
実施例7の投射用ズーム光学系は、図13に示したものである。
【0233】
図13に示すように、第1レンズ群G1はレンズL1〜L3で構成され、第2レンズ群G2はレンズL4で構成されている。
【0234】
第3レンズ群G3は1枚のレンズL5で構成されている。
【0235】
第4レンズ群G4は2枚のレンズL6とL7で構成されている。
【0236】
第5レンズ群G5は3枚のレンズL8〜L10で構成されている。
【0237】
第6レンズ群G6は5枚のレンズL11〜L15で構成されている。
【0238】
広角端から望遠端に変倍する際、第2レンズ群G2〜第5レンズ群G5は拡大側に移動する。
【0239】
第1レンズ群G1は負群で、拡大側が凸の正メニスカスレンズL1、縮小側に凹でレンズ周辺部分が縮小側変曲されている偏肉比が小さいメニスカスレンズL2、両凹レンズL3で構成されている。
【0240】
第2レンズ群G2は正群で、1枚の両凸レンズL4で構成されている。
【0241】
第3レンズ群G3は負群で、1枚の負メニスカスレンズL5で構成されている。
第4レンズ群G4は正群で、両凹レンズと正レンズL7で構成されている。
第5レンズ群G5は正群で、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8、両凸レンズL9、拡大側が凹の負メニスカスレンズL10で構成されている。両凸レンズL9と負メニスカスレンズL10は接合されている。
【0242】
第6レンズ群G6は正群で、両凹レンズL11、拡大側に凸の正レンズL12、両凸レンズL13、両凸レンズL14、拡大側が凹の負メニスカスレンズL15で構成されている。両凹レンズL11と正レンズL12は接合されている。
開口絞りSは、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6の間に配置され、第6レンズ群G6と共に固定されている。
【0243】
実施例7の、全系の焦点距離:Fの範囲、Fナンバ、広角端における半画角:ωwは、以下のとおりである。
【0244】
F=15.0〜22.7mm、Fno=2.58一定、ωw=38.0°
実施例7のデータを表25に示す。
【0245】
【表25】
【0246】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表26に示す。
【0247】
【表26】
【0248】
投射距離を1850mmとしたときの、上記レンズ面間隔を、広角端・中間・望遠端について、表27に示す。
【0249】
【表27】
【0250】
「各条件のパラメータの値」
条件(1)〜(3)のパラメータの値を、表28に示す。
【0251】
【表28】
【0252】
各収差図に示すように、各実施例の投射用ズーム光学系とも、諸収差は高レベルで補正され、球面収差、非点収差、像面湾曲、倍率色収差、歪曲収差も十分に補正されている。
【0253】
実施例1〜7の投射用ズーム光学系は何れも、条件(1)〜(3)を満足しており、広角端における半画角が34度以上と「従来に無い広画角」を実現できている。
【0254】
変倍比も1.29(実施例3)〜1.51(実施例7)と高変倍が実現できている。
【0255】
実施例1〜7に示されたように、最も拡大側のレンズ群である第1レンズ群G1は「3枚のレンズで構成」されている。
【0256】
第1レンズ群は、レンズ径の大きいレンズが用いられるが、各実施例のように、第1レンズ群の構成を3枚とすることで、第1レンズ群を軽量化できる。
【0257】
この軽量化により、自重によるレンズの偏心を抑えることができる。
第1レンズ群は「3枚以下のレンズ」即ち、1枚または2枚のレンズで構成することも可能であり、この場合にも勿論「軽量化」による「レンズ偏心の抑制」を実現できる。
【0258】
実施例1〜7において、第1レンズ群G1には「非点収差と歪曲収差の補正効果」を持たせ、第1レンズ群G1の「最も拡大側の面を、拡大側に凸面形状、最も縮小側の面は凹面形状」としている。
【0259】
このようにすることにより、変倍時における「像面湾曲と歪曲収差の変動を低減」させる効果を得ることができている。
【0260】
実施例1〜5の投射用ズーム光学系は何れも、広角端から望遠端への変倍の際、第1レンズ群G1と第7レンズ群G7は固定で、第2レンズ群G2から第6レンズ群G6は拡大側に移動する。
【0261】
実施例6、7の投射用ズーム光学系は何れも、広角端から望遠端への変倍の際、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6は固定で、第2レンズ群G2から第5レンズ群G5は拡大側に移動する。
【0262】
このように良好な性能を有し、コンパクトな投射用ズーム光学系を用いることにより、コンパクトで広画角の投射が可能なプロジェクタ装置を実現できる。
【符号の説明】
【0263】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
G7 第7レンズ群
S 開口絞り
【先行技術文献】
【特許文献】
【0264】
【特許文献1】特許4700957号公報
【特許文献2】特許5053694号公報
【特許文献3】特許5302123号公報
【特許文献4】特開2011−22282号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15