(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2コネクタ部に搭載され、前記第1電圧印加回路が電圧を印加する信号線を除く前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧を印加するための第2電圧印加回路と、
前記第1コネクタ部に搭載され、前記第2電圧印加回路により前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧が印加されたときに発光する第2発光回路と、をさらに備えた
請求項1または2記載の通信ケーブル用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のように判別用の信号線を付け加える場合、通常一般に用いられている汎用の通信ケーブルが使用できないこととなり、システム全体のコストが高くなってしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、汎用の通信ケーブルを使用しつつも、通信ケーブルの接続先を判別することが可能な通信ケーブル用コネクタ及びコネクタ付き通信ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、少なくとも2本以上の信号線を有する通信ケーブルの一端に接続される第1コネクタ部と、前記通信ケーブルの他端に接続される第2コネクタ部と、前記第1コネクタ部に搭載され、前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧を印加するための第1電圧印加回路と、前記第2コネクタ部に搭載され、前記第1電圧印加回路により前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧が印加されたときに発光する第1発光回路と、を備えた通信ケーブル用コネクタである。
【0010】
前記第1コネクタ部および前記第2コネクタ部と別体に設けられ、前記第1電圧印加回路に有線給電または無線給電により電源供給する給電装置をさらに備え、前記第1電圧印加回路は、前記給電装置から給電を受けて、前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧を印加するように構成されてもよい。
【0011】
前記第2コネクタ部に搭載され、前記第1電圧印加回路が電圧を印加する信号線を除く前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧を印加するための第2電圧印加回路と、前記第1コネクタ部に搭載され、前記第2電圧印加回路により前記通信ケーブルの任意の信号線間に直流電圧が印加されたときに発光する第2発光回路と、をさらに備えてもよい。
【0012】
前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部の少なくとも一方が、前記通信ケーブルの端部に一体に設けられたプラグからなってもよい。
【0013】
前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部の少なくとも一方が、2本の通信ケーブルを接続するために用いられる中継コネクタからなってもよい。
【0014】
また、本発明は、本発明の通信ケーブル用コネクタにおける前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部を、前記通信ケーブルの両端にそれぞれ一体に設けたコネクタ付き通信ケーブルである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、汎用の通信ケーブルを使用しつつも、通信ケーブルの接続先を判別することが可能な通信ケーブル用コネクタ及びコネクタ付き通信ケーブルを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る通信ケーブル用コネクタを示す図であり、(a)は送信装置、受信装置、通信ケーブルを含めた全体の回路図、(b)は第2コネクタ部の斜視図である。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、通信ケーブル2の一端に接続される第1コネクタ部3と、通信ケーブル2の他端に接続される第2コネクタ部4と、を備えている。
【0020】
通信ケーブル2としては、通常一般にLANケーブルとして用いられているものを用いることができる。本実施形態では、通信ケーブル2として、少なくとも2本以上の信号線2aを有するものを用いる必要がある。ここでは、通信ケーブル2として、4対(合計8本)の信号線2aを有するものを用いた。
図1(a)では、この4対の信号線2aのうち1対のみを示している。
【0021】
また、本実施形態では、第1コネクタ部3が送信装置10に、第2コネクタ部4が受信装置11に接続される場合を説明するが、第1コネクタ部3が受信装置11に、第2コネクタ部4が送信装置10に接続されていてもよい。
【0022】
さて、本実施形態に係る通信ケーブル用コネクタ1では、第1コネクタ部3に搭載され、通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧を印加するための第1電圧印加回路5と、第2コネクタ部4に搭載され、第1電圧印加回路5により通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧が印加されたときに発光する第1発光回路6と、を備えている。
【0023】
第1電圧印加回路5は、両信号線2aと送信装置10とをそれぞれ電気的に接続する主伝送路5aと、主伝送路5aから分岐し給電用の電極5cに接続される分岐伝送路5bと、を有している。
【0024】
分岐伝送路5bの分岐点よりも送信装置10側(通信ケーブル2と反対側)の主伝送路5aには、信号線2aが伝送する高周波信号を通し、給電用の電極5cを介して入力される直流信号を遮断する容量素子C1が設けられる。容量素子C1は、給電用の電極5cを介して入力される直流信号が送信装置10側に出力されてしまうことを抑制するためのものである。
【0025】
また、分岐伝送路5bには、給電用の電極5cを介して入力される直流信号を通し、信号線2aが伝送する高周波信号を遮断する誘導素子L1が設けられる。誘導素子L1は、信号線2aが伝送する高周波信号が給電用の電極5c側に出力されてしまうことを抑制するためのものである。
【0026】
本実施形態では、第1コネクタ部3および第2コネクタ部4と別体に設けられ、第1電圧印加回路5に有線給電により電源供給する給電装置7をさらに備えており、第1電圧印加回路5は、給電装置7から給電を受けて、通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧を印加するように構成されている。
【0027】
給電装置7は、バッテリ8と、バッテリ8に接続された電極9とを有し、この電極9を、第1電圧印加回路5の給電用の電極5cに接続することで、第1電圧印加回路5に給電し、通信ケーブル2の信号線2a間に直流電圧を印加するように構成されている。
【0028】
例えば、
図2(a)に示すように、給電装置7の電極9をピン形状とし、第1コネクタ部3に形成された接続穴21に電極9を差し込むことで、接続穴21内に設けられた第1電圧印加回路5の給電用の電極5cと電極9とが接触し、電気的に接続されるように構成してもよい。また、両電極5c,9を接続するためのコネクタを設け、そのコネクタにより接続を行うように構成しても構わない。
【0029】
本実施形態では、給電装置7から第1電圧印加回路5に有線給電により給電する場合を説明したが、
図2(b)に示すように、給電装置7から第1電圧印加回路5に無線給電(非接触給電)により給電するように構成することも可能である。
【0030】
この場合、給電装置7に、無線給電信号(連続的な正弦波であり振幅がほぼ一定の高周波)を生成する信号発生回路22と、信号発生回路22で生成した無線給電信号を送信するカプラ(またはアンテナ)23を設けるとよい。また、第1電圧印加回路5には、給電装置7から送信された無線給電信号を受信するカプラ(またはアンテナ)24と、カプラ24から出力される交流の電気信号を直流に整流する整流回路25と、を設けるとよい。整流回路25としては、公知の全波整流回路や半波整流回路を用いるとよい。
【0031】
図1に戻り、第1発光回路6は、両信号線2aと受信装置11とをそれぞれ電気的に接続する主伝送路6aと、主伝送路6aから分岐し発光ダイオード6cに接続される分岐伝送路6bと、を有している。
【0032】
分岐伝送路6bの分岐点よりも受信装置11側(通信ケーブル2と反対側)の主伝送路6aには、高周波信号を通し直流信号を遮断する容量素子C2が設けられる。容量素子C2は、第1電圧印加回路5から信号線2aを介して入力される直流信号が受信装置11側に出力されてしまうことを抑制するためのものである。
【0033】
また、分岐伝送路6bには、直流信号を通し高周波信号を遮断する誘導素子L2が設けられる。誘導素子L2は、信号線2aが伝送する高周波信号が発光ダイオード6c側に出力されてしまうことを抑制するためのものである。
【0034】
なお、ここでは、両分岐伝送路6b間に直接発光ダイオード6cを設ける場合を示しているが、発光ダイオード6cに適切な電流が供給されるように、電流調整回路を設けることが望ましい。電流調整回路の具体的な構成は特に限定するものではないが、例えば、発光ダイオード6cと直列にDC−DCコンバータや定電流ダイオードを接続したり、発光ダイオード6cと並列にツェナーダイオードを接続することで実現できる。
【0035】
本実施形態では、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4は、通信ケーブル2の両端にそれぞれ設けられたRJ45プラグからなる。通信ケーブル2の両端にそれぞれ第1コネクタ部3と第2コネクタ部4を一体に設けたものが、本実施形態に係るコネクタ付き通信ケーブル100である。
【0036】
第1電圧印加回路5は第1コネクタ部3の内部に設けられた基板に搭載され、第1発光回路6は、
図1(b)に示すように、第2コネクタ部4の内部に設けられた基板12に搭載される。第2コネクタ部4のハウジング13には、発光ダイオード6cでの発光が視認できるように、発光確認窓14が設けられている。なお、ここでは図示を省略しているが、第1コネクタ部3は第2コネクタ部4とほぼ同様の外観を有している。
【0037】
本実施形態に係る通信ケーブル用コネクタ1を用いて通信ケーブル2の接続先を判別する際には、給電装置7の電極9を、第1コネクタ部3の給電用の電極5cに接続して給電を行う。すると、バッテリ8から誘導素子L1を介して通信ケーブル2の信号線2a間に直流電圧が印加され、信号線2a、誘導素子L2を介して発光ダイオード6cに電流が流れて、発光ダイオード6cが発光する。作業者は、発光ダイオード6cの発光を発光確認窓14から確認することで、通信ケーブル2の接続先を判別することができる。
【0038】
図1では図示しなかったが、さらに、第1電圧印加回路5が電圧を印加する信号線2aを除く通信ケーブル2の任意の信号線2a間(第1電圧印加回路5が印加する対とは別の対の信号線2a間)に直流電圧を印加するための第2電圧印加回路を第2コネクタ部4に搭載し、かつ、第2電圧印加回路により通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧が印加されたときに発光する第2発光回路を第1コネクタ部3に搭載するように構成してもよい。
【0039】
このように構成することで、給電装置7から第2コネクタ部4の第2電圧印加回路に給電すると、第1コネクタ部3に搭載された第2発光回路が発光することとなり、通信ケーブル2の接続先を両方向で判別することが可能になる。
【0040】
また、本実施形態では、1対の信号線2a間に直流電圧を印加する場合を説明したが、
図3に示すように、対間に直流電圧を印加するように構成することも可能である。この場合、2本の信号線2aと2本の信号線2aとの間に直流電圧を印加するように構成することになる。例えば、4対の通信ケーブル2を用いる場合、4対のうち2対に第1電圧印加回路5により直流電圧を印加し、残りの2対に第2電圧印加回路により直流電圧を印加するように構成することもできる。
【0041】
また、本実施形態では、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4を通信ケーブル2に一体に設ける場合を説明したが、これに限らず、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4を通信ケーブル2と別体に設けてもよい。
【0042】
例えば、
図4に示すように、通信ケーブル2の両端に汎用のプラグ(RJ45プラグ)41を設けたものを用い、そのプラグ41と送信装置10や受信装置11との間に介在するように、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4を接続するように構成してもよい。この場合、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4には、プラグ41が差し込まれるレセプタクルと、送信装置10や受信装置11に設けられたレセプタクルに差し込まれるプラグと、が備えられる。
【0043】
第1コネクタ部3と第2コネクタ部4を通信ケーブル2と別体とした場合、既設の通信システムに適用する際に通信ケーブル2を交換する必要がなくなり、より低コストな導入が可能になる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る通信ケーブル用コネクタ1では、少なくとも2本以上の信号線2aを有する通信ケーブル2の一端に接続される第1コネクタ部3と、通信ケーブル2の他端に接続される第2コネクタ部4と、第1コネクタ部3に搭載され、通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧を印加するための第1電圧印加回路5と、第2コネクタ部4に搭載され、第1電圧印加回路5により通信ケーブル2の任意の信号線2a間に直流電圧が印加されたときに発光する第1発光回路6と、を備えている。
【0045】
このように構成することで、従来のように判別用の信号線を付け加えることなく、汎用の通信ケーブル2を使用しつつも、通信ケーブル2の接続先を判別することが可能になり、低コストに誤抜や誤接続を抑制することが可能になる。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
【0047】
図5(a),(b)に示す通信ケーブル用コネクタ51は、第1コネクタ部3と第2コネクタ部4とを、2本の通信ケーブル2を接続するために用いられる中継コネクタ52で構成したものである。この場合、
図4の場合と同様に汎用のプラグ41を一体に設けた通信ケーブル2を用いることになる。
【0048】
図5(b)では、第1コネクタ部3における第1電圧印加回路5と、第2コネクタ部4における第1発光回路6のみを示しているが、第2コネクタ部4に第2電圧印加回路、第1コネクタ部3に第2発光回路を搭載し、両方向での接続判別を可能とすることが望ましい。各回路の構成は
図1で説明したものと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
中継コネクタ52は、
図6(a)に示すように、通信ケーブル2のプラグ41を接続するためのレセプタクル53が2つ設けられたものであり、単にレセプタクルとも呼称されるものである。
図6(b)に示すように、中継コネクタ52を複数集積してパッチパネル54として用いることも可能であり、中継コネクタ52には、パネル55に取り付けるためのフランジ部56が設けられている。中継コネクタ52では、パッチパネル54として用いたときにも発光ダイオード6cの発光を確認できるように、パネル55の表面から露出される部分(フランジ部56よりも先端側の部分)の上部に発光確認窓14が設けられている。
【0050】
第1コネクタ部3を中継コネクタ52で構成する場合、2本の通信ケーブル2が接続されることになるため、どちらの通信ケーブル2に直流電圧を印加するかを選択できるように第1電圧印加回路5を構成してもよい。この場合、例えば、
図7(a)に示すように、主伝送路5aにおける分岐伝送路5bの分岐点の両方に容量素子C1を設け、容量素子C1と並列に短絡用のスイッチS1を接続するように構成することができる。
図7(a)の構成では、両スイッチS1を短絡すれば、両方の通信ケーブル2に直流電圧を印加することも可能である。
【0051】
同様に、第2コネクタ部4を中継コネクタ52で構成する場合、どちらの通信ケーブル2から直流電圧が入力されるかを選択可能に第1発光回路6を構成してもよい。この場合、例えば、
図7(b)に示すように、主伝送路6aにおける分岐伝送路6bの分岐点の両方に容量素子C2を設け、容量素子C2と並列に短絡用のスイッチS2を接続するように構成することができる。
図7(b)の構成では、両スイッチS2を短絡すれば、一方の通信ケーブル2から入力された直流電圧を他方の通信ケーブル2にそのまま出力することも可能である。
【0052】
図7(a),(b)に示したような構成の第1電圧印加回路5と第1発光回路6を用いることで、3つ以上の中継コネクタ52を用いた場合に、スイッチS1,S2を適宜切り替えることで様々なバリエーションの給電/発光パターンを実現できる。
【0053】
例えば、
図8(a)に示すように、直列に接続した3つの中継コネクタ52のうち中央の中継コネクタ52に第1電圧印加回路5を搭載し、両端の中継コネクタ52に第1発光回路6を搭載すれば、中央の中継コネクタ52に給電すると両端の中継コネクタ52が発光する構成とすることができる。
【0054】
また、例えば、
図8(b)に示すように、直列に接続した3つの中継コネクタ52の一端の中継コネクタ52に第1電圧印加回路5を搭載し、中央と他端の中継コネクタ52に第1発光回路6を搭載すれば、一端の中継コネクタ52に給電すると、その中継コネクタ52に接続された残りの中継コネクタ52が発光する、といった構成も実現できる。
【0055】
このように、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。