特許第6252803号(P6252803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252803
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】オレフィン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20171218BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20171218BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20171218BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20171218BHJP
   C08F 255/00 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K5/5425
   C08K5/544
   C08F2/44 C
   C08F255/00
   H01L23/30 R
   H01L23/30 F
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-549273(P2015-549273)
(86)(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公表番号】特表2016-503089(P2016-503089A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】KR2013012118
(87)【国際公開番号】WO2014104718
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0151830
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104465
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104466
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104467
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104464
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0162471
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チョン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ジュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・サム・ゴン
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−086830(JP,A)
【文献】 特開2007−177034(JP,A)
【文献】 特開平04−114019(JP,A)
【文献】 特開2011−108790(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/131716(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/140343(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/018839(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/051930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00−23/36
C08K 5/00−5/59
C08F 2/44
C08F 255/00
H01L 23/29
H01L 23/31
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン樹脂、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物及びラジカル開始剤を含む、オレフィン樹脂組成物であって、アミノシラン化合物は、全体のオレフィン樹脂組成物中のシラン化合物100重量部に対して1〜40重量部で含まれる、オレフィン樹脂組成物
【請求項2】
不飽和シラン化合物は、下記化学式1に表される化合物である、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物:
[化学式1]
DSiR(3−l)
(前記化学式1において、
Dは、ケイ素原子に結合されているアルケニルであり、
は、ケイ素原子に結合されているヒドロキシ基、ハロゲン、アミン基または−Rであり、
は、酸素または硫黄原子であり、
は、アルキル基、アリール基またはアシル基であり、
は、ケイ素原子に結合されている水素、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、
lは1〜3の整数である)。
【請求項3】
不飽和シラン化合物がビニルアルコキシシランである、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項4】
アミノシラン化合物は、下記化学式2に表される化合物である、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物:
[化学式2]
SiR(4−m)
(前記化学式2において、
は、ケイ素原子に結合されている−(CHNRであり、
及びRは、それぞれ独立的に窒素原子に結合されている水素またはRNHであり、
は、アルキレンであり、
は、ケイ素原子に結合されているハロゲン、アミン基−R1011または−R11であり、
10は、酸素または硫黄原子であり、
11は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基であり、
mは、1〜4の整数であり、nは、0以上の整数である)。
【請求項5】
オレフィン樹脂がエチレン/α−オレフィン共重合体を含む、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項6】
エチレン/α−オレフィン共重合体の密度が0.85〜0.96g/cmである、請求項に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項7】
エチレン/α−オレフィン共重合体のMFRが190℃の温度及び2.16kgの荷重下で1.0〜50.0g/10分である、請求項に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項8】
ラジカル開始剤は、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物及びアゾ化合物からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項9】
ラジカル開始剤は、全体のオレフィン樹脂組成物中の固形分100重量部に基づいて0.001〜5重量部で含まれる、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項10】
光安定剤、UV吸収剤及び熱安定剤からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のオレフィン樹脂組成物を押出反応させて変性オレフィン樹脂を製造する段階を含む、光電子装置用封止材の製造方法。
【請求項12】
変性オレフィン樹脂に非変性オレフィン樹脂をさらに添加し、フィルムまたはシート状に成形する段階をさらに含む、請求項11に記載の光電子装置用封止材の製造方法。
【請求項13】
変性オレフィン樹脂を製造する段階及びフィルムまたはシート状に成形する段階は、インサイチュ(in−situ)工程で行われる、請求項12に記載の光電子装置用封止材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、オレフィン樹脂組成物(OLEFIN RESIN COMPOSITION)及び光電子装置用封止材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電池(Photovoltaic cell)、発光ダイオード(LED:Light emitting diode)または有機発光ダイオード(Organic LED)などのような光電子装置(Optoelectronic device)は、装置の光放出または光感知部位をカプセル化(Encapsulation)する封止材(Encapsulant)を含むことができる。
【0003】
例えば、太陽電池モジュールは、通常、受光基板である透明前面基板、封止材、光起電力素子、封止材及び裏面シートを積層した後、積層体を真空吸引しながら、加熱圧着するラミネーション(lamination)法で製造することができる。
【0004】
太陽電池モジュールに用いられる封止材としては、加工性、施工性及びコストなどの観点からEVA(ethylene−vinyl acetate)樹脂が最も多く使用される。
【0005】
しかし、EVA樹脂は、前面基板または裏面シートなどのように光電子装置に含まれて封止材と接触する要素との接着強度が弱い。そのため、モジュールが屋外で長期間露出されると、層間剥離が発生しやすいという問題がある。また、EVA樹脂を含む封止材を用いて太陽電池モジュールを製造する過程においては、加熱圧着条件によってはEVA樹脂が熱分解されて、硝酸ガスなどが生じ得る。このような硝酸ガスは、作業環境を悪化させるだけでなく、太陽電池モジュールに含まれる光起電力素子または電極などに悪い影響を及ぼし、且つモジュールの劣化及び発電効率の低下などを誘発する問題がある。
したがって、長期接着特性が向上した光電子装置用封止材に対する要求は持続している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願に係る実施形態は、オレフィン樹脂組成物及び光電子装置用封止材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願に係る一実施形態は、オレフィン樹脂組成物を提供し、前記オレフィン樹脂組成物により、基板に対して優れた接着力を有する光電子装置用封止材を製造することができる。
【0008】
本明細書において「変性オレフィン樹脂」及び「変性エチレン/α−オレフィン共重合体」は不飽和シラン化合物がグラフティングされたオレフィン樹脂の一部のシリル基の炭化水素基がヒドロキシ基に変換されたモイエティ(部分)を含みながら、アミン官能基を有するモイエティも一緒に含む共重合体を意味し、後述する化学式1に表される分枝を含む共重合体と同じ意味として使用される。上記の変性オレフィン樹脂または変性エチレン/α−オレフィン共重合体と区別するために、アミノシラン化合物の存在なしに不飽和シラン化合物だけがグラフティングされたエチレン/α−オレフィン共重合体を、「シラン変性オレフィン樹脂」または「シラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体」と定義する。
【0009】
本出願に係る一実施形態によるオレフィン樹脂組成物は、オレフィン樹脂、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物及びラジカル開始剤を含む。
【0010】
前記オレフィン樹脂は、オレフィンとして分類される樹脂であれば特に制限されないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6−フェニル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3、3−ジメチル−1−ペンテン、3、4−ジメチル−1−ペンテン、4、4−ジメチル−1−ペンテンまたはビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィン類と、1、3−ブタジエン、1、4−ブタジエン、1、5−ヘキサジエンなどのジエン類と、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1、1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレンまたは3、4−ジクロロ−1−ブテンなどのハロゲン置換α−オレフィン類と、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5、6−ジメチルノルボルネンまたは5−ベンジルノルボルネンなどの環状オレフィン類とから選択される1種以上のオレフィン系単量体の単独重合体または共重合体であってもよい。
【0011】
また、前記オレフィン樹脂は同じ組成の単量体(など)から製造されたとしても配列の形態が異なる重合体をすべて含む。例えば、本出願に係る実施形態では用途に応じて樹脂組成物の粘度または物性を適切に調節するために前記オレフィン樹脂に含まれる共重合体の配列をランダム形態、交差形態、ブロック形態または相違するセグメントなどに調節して使用することができる。
【0012】
本出願に係る実施形態において、前記オレフィン樹脂は、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体またはエチレン−ビニルアセテート共重合体であってもよく、一実施形態としてはエチレン/α−オレフィン共重合体であってもよい。
【0013】
前記「エチレン/α−オレフィン共重合体」は、主成分としてエチレン及びα−オレフィンを重合された形態で含むポリオレフィンを意味し、具体的にエチレンの単一重合体(homopolymer)は勿論、少なくとも50mol%以上のエチレンを重合単位で含みながら3つ以上の炭素原子を有するオレフィン単量体またはそれ以外の他の共単量体を重合単位で一緒に含む共重合体(copolymer)を意味することができる。
【0014】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、例えば、低密度エチレン/α−オレフィン共重合体、中密度エチレン/α−オレフィン共重合体、高密度エチレン/α−オレフィン共重合体、超低密度エチレン/α−オレフィン共重合体、極超低密度エチレン/α−オレフィン共重合体及び直鎖状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体からなる群から選択される1種または2種以上であってもよい。
【0015】
側鎖が多いエチレン/α−オレフィン共重合体は、一般に密度が低く、側鎖が少ないエチレン/α−オレフィン共重合体は、一般に密度が高い。また、側鎖が多いほどグラフティングの効率が高くなる。よって、本出願の一実施形態においては、不飽和シラン化合物及びアミノシランがグラフティングされるオレフィン樹脂として側鎖が多い低密度のエチレン/α−オレフィン共重合体が使用され、これを介してグラフティングの効率を高めて封止材の接着力を向上することができる。
【0016】
これにより、本出願に係る実施形態においては、具体的に密度が約0.85〜0.96g/cm、例えば、密度が約0.85〜0.92g/cm、0.86〜0.91g/cm、0.87〜0.90g/cm、0.88〜0.91g/cmまたは0.87〜0.905g/cmであるエチレン/α−オレフィン共重合体が使用されるが、これに制限されない。
【0017】
また、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、MFR(Melt Flow Rate)が190℃の温度及び2.16kgの荷重下で、約1.0〜約50.0g/10分、約1.0〜30.0g/10分、約1.0〜約10.0g/10分、約1.0〜8.0g/10分、または約3.0〜7.0g/10分であってもよい。このような範囲のMFRを有する場合、例えば、前記オレフィン樹脂が低い分子量を有し、オレフィン樹脂組成物が優れた成形性などを示す。このようなMFR(溶融流動速度)は、例えば、エチレン/α−オレフィン共重合体の場合、190℃において2.16kgの荷重で測定することができるが、これに制限されない。
【0018】
前記オレフィン樹脂組成物に含まれる不飽和シラン化合物は、下記化学式1に表される不飽和シラン化合物であって、前記オレフィン樹脂にラジカル開始剤などの存在下でオレフィン系単量体の重合単位を含む主鎖にグラフティング(grafting)されて、得られる変性オレフィン樹脂またはシラン変性オレフィン樹脂中に、重合された形態で含まれることとなる化合物である。すなわち、本出願のオレフィン樹脂組成物は、オレフィン樹脂に下記化学式1に表される不飽和シラン化合物がグラフティングされるグラフト重合体を提供することができる。
【0019】
【化1】
【0020】
前記化学式1において、Dはケイ素原子に結合されているアルケニルである。前記アルケニルは、少なくとも1つ以上の不飽和基、例えば、二重結合を有する作用基を意味し、前記アルケニルの炭素数は2〜20、2〜12または2〜6であってもよい。前記アルケニルは、例えば、前記Dは、ビニル、アリール、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニルまたはγ−メタクリルオキシプロピルなどであってもよく、一例としてビニルであってもよい。
【0021】
は、ケイ素原子に結合されているヒドロキシ基、ハロゲン、アミン基または−Rであり、Rは、酸素または硫黄原子であり、Rはアルキル基、アリール基またはアシル基であり、Rはケイ素原子に結合されている水素、アルキル基、アリール基またはアラルキル基である。
【0022】
一例として、前記Rは、系に存在する水分の接近によって加水分解されることができる反応性官能基であってもよく、前記Rは、例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、またはアミン基であってもよい。この場合、アルコキシ基の例としては、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、アシルオキシ基の例としては、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアシルオキシ基が挙げられ、アルキルチオ基の例としては、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキルチオ基が挙げられる。
【0023】
また、一実施形態としては、前記化学式1におけるRは、アルコキシ基であってもよく、具体的には、炭素数1〜12、または炭素数1〜8のアルコキシ基であってもよく、他の実施形態としては、炭素数1〜4のアルコキシ基であってもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基またはブトキシ基などが挙げられ、例えば、一部の実施形態においてメトキシ基またはエトキシ基などが使用される。
【0024】
また、前記Rは、非反応性官能基であってもよく、例えば、前記Rは、水素、アルキル基、アリール基またはアラルキル基(aralkyl group)であってもよい。上記においてアルキル基は、例えば、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基であってもよい。また、前記アリール基は、炭素数6〜18、または炭素数6〜12のアリール基、例えばフェニル基であってもよく、アラルキル基は、炭素数7〜19、または炭素数7〜13のアラルキル、例えばベンジル基であってもよい。
【0025】
また、前記化学式1において、lは1〜3の整数であり、一部の実施形態では3であってもよい。
【0026】
前記化学式1の不飽和シラン化合物の具体的な例は、ビニルアルコキシシランであってもよい。例えば、前記不飽和シラン化合物は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、またはビニルトリアセトキシシランなどが挙げられ、一例としては、この中のビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランが使用されるが、これに制限されない。
【0027】
一例として、前記オレフィン樹脂組成物は、前記化学式1の不飽和シラン化合物を全体のオレフィン樹脂組成物中の固形分100重量部に基づいて0.1〜10.0重量部、0.5〜7.0重量部、1.0〜5.5重量部または0.5〜5.0重量部で含むことができる。このような範囲において、前記共重合体の接着性、例えば、ガラス基板、裏面シートなどに対する接着性を良好に維持することができる。
【0028】
特に他に規定しない限り、本明細書において単位重量部は重量比を意味する。
【0029】
一例として、前記オレフィン樹脂組成物は、アミノシラン化合物を含む。前記アミノシラン化合物は、オレフィン樹脂、例えば、エチレン/α−オレフィン共重合体のグラフティング変性段階において前記オレフィン樹脂にグラフティングされた不飽和シラン化合物のアルコキシ基のような反応性官能基をヒドロキシ基に転換する加水分解反応を促進させる触媒として作用することで、上下部のガラス基板またはフッ素樹脂で構成される裏面シートとの接着強度をより向上させることができる。また、それと共に、前記アミノシラン化合物は直接共重合反応に反応物として関与することで、後述する本出願の新規共重合体にアミン官能基を有するモイエティを提供することができる。
前記アミノシラン化合物は、下記化学式2に表される化合物であってもよい。
【0030】
【化2】
【0031】
前記化学式2において、Rは、ケイ素原子に結合されている−(CHNRであり、R及びRは、それぞれ独立的に窒素原子に結合されている水素またはRNHであり、Rは炭素数1〜6のアルキレンである。
【0032】
また、Rは、ケイ素原子に結合されているハロゲン、アミン基−R1011または−R11であり、R10は、酸素または硫黄原子であり、R11は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基である。
【0033】
この場合、前記mは、1〜4の整数であり、nは0以上の整数である。
【0034】
上記において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及びアルキレンは、上述のように同じであるため、これについての説明は省略する。
【0035】
好ましくは、前記化学式2において、Rは、ケイ素原子に結合されている−R1011であり、R10は酸素原子であり、R11は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基であり、Rは、ケイ素原子に結合されている−(CHNRであり、R及びRは水素であるか、またはRは、水素、RはRNHであり、上記でRは、炭素数1〜3のアルキレンであってもよい。また、この場合、nは、2〜5の整数であってもよい。
【0036】
前記アミノシラン化合物は、オレフィン樹脂の変性段階、すなわち、変性オレフィン樹脂の製造段階で投入される。
【0037】
また、前記アミノシラン化合物は、組成物に含まれる他の成分、例えば、後述するようなUV安定剤などにも悪影響を及ぼさず、全体的な組成物の物性を意図したとおり安定的に維持することができる。
【0038】
本出願に係る実施形態において使用可能なアミノシラン化合物としては、アミン基を含むシラン化合物であって、1次アミン、2次アミンであれば、特に制限されない。例えば、アミノシラン化合物としては、アミノトリアルコキシシラン、アミノジアルコキシシランなどが使用され、例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimethoxysilane;APTMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3−aminopropyltriethoxysilane;APTES)、ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(N−[3−(Trimethoxysilyl)propyl]ethylenediamine;DAS)、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレンアミノメチルメチルジエトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルトリエトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルメチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルメチルジエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、及びN−(N−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上が挙げられる。前記アミノシラン化合物は、単独または混合して使用することができる。
【0039】
前記アミノシラン化合物は、全体のオレフィン樹脂組成物中の固形分100重量部に基づいて0.01〜2.0重量部で含まれ、0.01〜0.5重量部、0.1〜0.25重量部、0.2〜0.5重量部、0.5〜1.25重量部、0.1〜1.5重量部または0.2〜2.0重量部で含まれることができる。このような重量比で樹脂組成物の物性を効果的に調節し、上述の前面基板と裏面シートとの接着力を高め、樹脂組成物に含まれる他の添加剤の活性も良好に維持することができる。添加されるアミノシラン化合物の含量が過量の場合、樹脂が早期に変色したり、工程中に多量のゲルが形成されて製造されるシートの外形に悪影響を与える場合がある。
【0040】
前記アミノシラン化合物は、全体のオレフィン樹脂組成物中の不飽和シラン化合物100重量部に対して1〜35重量部、例えば、2〜6重量部、2〜5.5重量部、5〜5.5重量部、2〜15重量部、5〜15重量部、10〜35重量部、5〜35重量部、15〜33.3重量部または2〜33.3重量部の含量で含まれ、また、前記アミノシラン化合物は、全体のオレフィン樹脂組成物内のシラン化合物100重量部に対して1〜40重量部、例えば、2〜30重量部、2〜25重量部、1〜25重量部、2〜6重量部、1〜10重量部、4〜12重量部、5〜10重量部、2〜10重量部または2〜5重量部の含量で含まれる。前記アミノシラン化合物の含量範囲に調節されたオレフィン樹脂組成物を反応押出させる場合、製造された光電子装置用封止材と前面基板との間の接着力が良好であって、前記アミノシラン化合物が過剰に含まれる場合、製造された封止材の黄色度指数(Yellowness Index)が高くなって、封止材の他の物性に影響を及ぼす場合がある。
【0041】
前記アミノシラン化合物と前記不飽和シラン化合物は、シリル基を含む側面では類似するが、それぞれアミン官能基を含み、不飽和基を有する点が相違するものであって、前記オレフィン樹脂組成物には2つの物質が全て含まれていて、この場合、2つのうちの1つの物質だけが含まれた場合に比べて優れた接着性能を提供することができる。ここで、アミノシラン化合物が添加されることで、不飽和シラン化合物の含量とは無関係に、絶対的に接着性能が向上するが、同一含量条件の不飽和シラン化合物を使用する場合でも、アミノシラン化合物が添加された場合は接着性能がより向上することができる。
【0042】
さらに、本出願に係る実施形態によれば、単純にアルキルシラン、アルキルアミンを用いて封止材を製造した場合に比べてはるかに優れた接着性能を有する封止材を提供することができる。例えば、アルキルアミンだけを用いた場合には、前記アルキルアミンがビニルシランまたはアミノシラン化合物と違って、グラフティング重合反応に参与せず、系に残存する物質として残り、その後変性オレフィン樹脂の表面に移動したり、シート状の封止材で製造する際、シートの表面に移動したりすることになる。よって、系に残存する物質によって長期耐久性が低下する結果をもたらす。さらに、一部のアルキルアミンの場合には、融点が約27〜29℃で、それ以下の温度範囲では他の反応物質、例えば液状のシラン化合物との混和性が低下する問題点もある。
【0043】
一例として、前記オレフィン樹脂組成物は、ラジカル開始剤を含む。前記ラジカル開始剤は、前記オレフィン樹脂に不飽和シラン化合物がグラフトされる反応を開始する役割をする。
【0044】
前記ラジカル開始剤としては、ビニル基のラジカル重合を開始することができれば、特に制限されず、例えば、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物またはアゾ化合物からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。具体的には、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド類と、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド類と、ビス−3、5、5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2、4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類と、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、2、5−ジメチル−2、5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのパーオキシエステル類と、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物とからなる群から選択された1種以上が挙げられるが、これに制限されない。
【0045】
上記のようなラジカル開始剤は、全体のオレフィン樹脂組成物中の固形分100重量部に基づいて0.001〜5重量部で含まれる。
【0046】
本出願に係る実施形態によるオレフィン樹脂組成物は、必要に応じて光安定剤、UV吸収剤及び熱安定剤などから選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0047】
前記光安定剤は、前記組成物が適用される用途に応じてオレフィン樹脂の光劣化開始の活性種を捕捉して、光酸化を防止する役割をする。使用可能な光安定剤の種類は特に制限がなく、例えば、ヒンダードアミン系化合物またはヒンダードピペリジン系化合物などのような公知の化合物が使用される。
【0048】
前記UV吸収剤は、組成物の用途に応じて、太陽光などからの紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギに変換させて、オレフィン樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されることを防止する役割をする。使用可能なUV吸収剤の具体的な種類は、特に制限がなく、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタンまたは超微粒子酸化亜鉛などの無機系UV吸収剤などの1種または2種以上の混合物が使用される。
【0049】
また、前記熱安定剤の例としては、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2、4−ビス(1、1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1、1−ビフェニル]−4、4’−ジイルビスホスホナート及びビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジフォスファイトなどのリン系熱安定剤と、8−ヒドロキシ−5、7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物などのラクトン系熱安定剤とを有することができ、上記のうちの1種または2種以上が使用される。
【0050】
前記オレフィン樹脂組成物において、前記光安定剤、UV吸収剤及び/または熱安定剤の含量は、特に限定されない。すなわち、前記添加剤の含量は、樹脂組成物の用途、添加剤の形状や密度などを考慮して適切に選択することができ、通常、樹脂組成物の全体固形分100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内で適切に調節することができる。
【0051】
また、例示的な前記オレフィン樹脂組成物は、前記成分外にも、樹脂成分が適用される用途に応じて、当該分野で公知されている多様な添加剤を適切に、さらに含むことができる。
【0052】
本出願のまた一実施形態は、上述のオレフィン樹脂組成物を用いて光電子装置用封止材を製造する方法を提供する。一例として、前記光電子装置用封止材を製造する方法は、変性オレフィン樹脂を製造する段階を含む。
【0053】
変性オレフィン樹脂の製造方法は、特に制限されないが、例えば、オレフィン樹脂、不飽和シラン化合物及びアミノシラン化合物を含む前記オレフィン樹脂組成物を反応器に添加し、反応器内で混合した後、適切なラジカル開始剤の存在下で加熱溶融を介してグラフティング押出反応して製造することができる。
【0054】
前記変性オレフィン樹脂を製造する反応器の種類は、加熱溶融または液相状態の反応物を反応させて目的とする樹脂を製造するものであれば、特に制限されない。例えば、前記反応器は、押出機またはホッパを備えた押出機であってもよい。このような反応器を使用する場合、前記変性オレフィン樹脂は、例えば押出機を介して加熱溶融されたオレフィン樹脂に液状の不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物及びラジカル開始剤を投入して押出加工するか、またはホッパでオレフィン樹脂、ラジカル開始剤、アミノシラン化合物及び不飽和シラン化合物を混合して投入した後、押出機内で加熱溶融して反応させて製造することができる。
【0055】
上記のように製造した変性オレフィン樹脂に紫外線吸収剤、熱安定剤またはUV安定剤などの他の添加剤を添加することができ、前記添加剤は変性オレフィン樹脂が形成される前または形成された後に前記反応器内に添加することができる。一例として、1つの反応器内で変性オレフィン樹脂の製造及び添加剤との混合を同時に行うことで、工程を単純化することができる。
【0056】
上記において、他の添加剤は、反応器内にそのまま投入されるか、またはマスターバッチ(master batch)の形態で投入されて混合される。上記において、マスターバッチは投入しようとする添加剤を高濃度に濃縮して分散させておいたペレット(pellet)状の原料を意味し、通常押出または射出などの方法でプラスチック原料を加工成形するにおいて、完成製品に特定機能の添加剤を取り入れようとする際に使用する。
【0057】
上記において、変性オレフィン樹脂が形成される反応器内に添加剤を投入する方法は、特に制限がなく、例えば、押出機またはシリンダの適切な位置にサイドフィーダ(side feeder)を設置し、前記供給器を介してマスターバッチ形態の添加剤を投入する方法またはホッパからオレフィン樹脂などと混合して投入する方法などが使用される。
【0058】
上記の方法において、反応器の具体的な種類及び設計、加熱溶融、混合または反応温度及び時間などの条件や、マスターバッチの製造方法は、特に制限がなく、使用する原料などを考慮して適切に選択することができる。
【0059】
本出願に係る実施形態では、本出願に係るオレフィン樹脂組成物をフィルムまたはシート状に成形することで、光電子装置用封止材を製造することができる。このような成形方法は、特に制限がなく、例えば、T-ダイ工程または押出などのような通常の工程でシート化またはフィルム化して封止材を製造することができる。本出願に係る実施形態では、上述のオレフィン樹脂組成物を用いた変性オレフィン樹脂の製造及びフィルム化またはシート化工程が互いに連結されている装置を用いてインサイチュ(in situ)工程で行うことができる。
【0060】
本出願によれば、前記オレフィン樹脂組成物を用いて上述の製造方法に従って後述する共重合体、すなわち変性オレフィン樹脂を提供することができ、前記共重合体は、例えば光電子装置用封止材に含まれることができる。前記共重合体は、多様な光電子装置(optoelectronic device)で素子をカプセル化する封止材(Encapsulant)として使用されるが、これに制限されず、例えば昇温ラミネーション工程などに適用される産業用素材としても使用することができる。
【0061】
一例として、前記共重合体は、オレフィン系単量体の重合単位を含む主鎖(main chain)と、前記主鎖に結合され、下記化学式3に表される分枝(branched chain)を含む。
【0062】
【化3】
【0063】
前記化学式3において、R12及びR13は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているハロゲン、アミン基、−R1516または−R16であり、R15は、酸素または硫黄原子であり、R16は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基を示し、oは、1または2の整数であり、R14は、ケイ素原子に結合されている−OSiR1718(2−p)19であり、R17及びR18は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているハロゲン、アミン基、−R2021または−R21であり、R20は、酸素または硫黄原子であり、R21は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基であり、R19はケイ素原子に結合されている−(CHNR2223であり、R22及びR23は、それぞれ独立的に窒素原子に結合されている水素またはR24NHを示し、R24はアルキレンであり、前記pは、1または2の整数であり、qは、0以上の整数である。
【0064】
前記共重合体は、例えばオレフィン系単量体の重合単位を含む主鎖にグラフティングされた前記化学式3に表される分枝を含み、前記分枝は、一部のシリル基の炭化水素基がヒドロキシ基に転換されたモイエティを含みながら、且つアミン官能基を有するモイエティも一緒に含む構造を有することができる。前記共重合体がヒドロキシ基に転換されたモイエティだけでなく、アミン官能基まで含むことで、例えば光電子装置内で封止材の下部のガラス基板表面のヒドロキシ基とアミン官能基との間に水素結合が形成されてより優れた接着強度を提供することができ、封止材の上部のフッ素樹脂で構成される裏面シートとさらに多くの水素結合を形成して優れた接着強度を提供することができる。
【0065】
一例として、前記化学式3において、アルキル基の炭素数は、1〜20、1〜12、1〜8または1〜4であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であってもよいが、これに制限されない。
【0066】
また、前記アリール基の炭素数は、6〜20、6〜18または6〜12であってもよく、例えば、フェニル基またはナフチル基であってもよいが、これに制限されない。
【0067】
前記アラルキル基は、前記アルキル基の炭化水素基の水素原子のうちの少なくとも1つ以上がアリールラジカルにより置換されたアルキル基を意味し、前記アラルキル基の炭素数は、7〜40、7〜19または7〜13であってもよい。前記アラルキル基の炭素数は、アルキル基とアリールラジカルに含まれた炭素数を全部合わせた個数を意味する。
【0068】
前記アルキレン基は、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜6または炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキレン基であってもよく、例えば、エチレン基またはプロピレン基であってもよいが、これに制限されない。
【0069】
また、前記アシル基は、RC=Oとして表現される作用基であって、前記Rは、アルキル基またはアリール基であり、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニルまたはベンゾイルを含むが、これらに制限されない。前記アシル基に含まれるアルキル基及びアリール基の炭素数は上述と同一である、
【0070】
一例として、前記R12及びR13の少なくとも1つ以上は、系に存在する水分の接近によって加水分解されることができる反応性官能基であってもよく、これに対する説明は上述の反応性官能基と同一であるので、省略する。
【0071】
また、前記R12またはR13は、非反応性官能基であってもよく、これに対する説明は上述の非反応性官能基と同一であるので、省略する。
【0072】
上記において、R14は、上述のヒドロキシ基に転換されたモイエティとアミン官能基を有するモイエティを一緒に含む官能基であって、これを介して、本出願の共重合体は、上述のように、光電子装置内で封止材の下部のガラス基板表面のヒドロキシ基とアミン官能基との間に、水素結合が形成されてより優れた接着強度を提供することができ、封止材の上部のフッ素樹脂で構成される裏面シートとさらに多くの水素結合を形成して優れた接着強度を提供することができる。
【0073】
また、前記化学式3において、oは、1または2の整数であって、一部の実施形態では2であってもよい。
【0074】
一例として、好ましくは、前記化学式3において、R12及びR13は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているヒドロキシ基または−R1516であり、R15は、酸素であり、R16は、アルキル基であり、R14は、ケイ素原子に結合されている−OSiR1718(2−p)19であり、R17及びR18は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているヒドロキシ基または−R2021であり、R20は酸素であり、R21はアルキル基であり、R19は、ケイ素原子に結合されている−(CHNR2223であり、R22及びR23は、それぞれ独立的に窒素原子に結合されている水素またはR24NHであり、R24はアルキレンである。
【0075】
また、より好ましくは、前記化学式3において、R12及びR13は、ヒドロキシ基であり、R14は、ケイ素原子に結合されている−OSiR1718(2−p)19であり、R17及びR18はヒドロキシ基であり、R19はケイ素原子に結合されている−(CHNR2223であり、R22は水素、R23はR24NHであり、R24はアルキレンである。
【0076】
上記において、アルキル基及びアルキレンは上述と同一である。
【0077】
また、一例として、前記共重合体は、主鎖に結合され、下記化学式4に表される分枝をさらに含むことができる。
【0078】
【化4】
【0079】
前記化学式4において、
25及びR26は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているハロゲン、アミン基、−R2728または−R28であり、R27は、酸素または硫黄原子であり、R28は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基であり、rは、1〜3の整数である。
【0080】
好ましくは、前記化学式4において、R25及びR26は、それぞれ独立的にケイ素原子に結合されているヒドロキシ基または−R2728であり、R27は、酸素であり、R28は、アルキル基である。
【0081】
上述のように、本出願の共重合体は、ヒドロキシ基に転換されたモイエティだけでなく、アミン官能基まで含むことで、前記化学式4に表される分枝のみを含む共重合体、例えば、オレフィン樹脂にビニル基を有する不飽和シラン化合物だけが共重合された共重合体と比べて、シリル基の一部の炭化水素基がヒドロキシ基に転換される速度が非常に早くなる。これにより、前記共重合体が光電子装置の封止材に含まれる場合、化学式4に表される分枝のみを含む共重合体と比べて、封止材下部のガラス基板表面のヒドロキシ基とアミン官能基との間に水素結合がさらに多く形成されてより優れた接着強度を提供することができ、封止材の上部のフッ素樹脂で構成される裏面シートともさらに多くの水素結合を形成して優れた接着強度を提供することができる。
【0082】
また、本出願のオレフィン組成物を用いた上述の光電子装置用封止材の製造方法によれば、前記共重合体を含む光電子装置用封止材を提供することができる。
【0083】
一例として、前記光電子装置用封止材は、本出願に係るオレフィン樹脂組成物をグラフティング押出反応させて製造した変性オレフィン樹脂、すなわち、上述の共重合体を含む。前記共重合体は、上述のように、オレフィン系単量体の重合単位を含む主鎖に前記化学式1に表される不飽和シラン化合物及び前記化学式4に表されるアミノシラン化合物がグラフティングされて形成され、前記化学式3の分枝を含むことで、一部のシリル基の炭化水素基がヒドロキシ基に転換されたモイエティ(A)及び末端アミン官能基が導入されたモイエティ(B)をすべて含む。シラン変性モイエティ(A)とアミン基が導入されたシラン変性モイエティ(B)は、99:1〜40:60の割合であってもよい。
【0084】
一例として、前記共重合体に重合された形態で含まれる一部のシリル基の炭化水素基がヒドロキシ基に転換されたモイエティ(A)及び末端アミン官能基が導入されたモイエティ(B)と、前記封止材のラミネーション過程で、アミノシラン化合物により加水分解が促進されてメトキシシリル基(Si−O−CH)がシラノール基(Si−OH)に転換された程度は、FT−IR分析によって測定することができる。
【0085】
例えば、前記共重合体は、ATR法によりFT−IRで測定した波数(wave number)が705〜735cm−1領域でのメチレン基(CH)のピーク面積(S)に対する波数が3100〜3600cm−1領域でのシラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)のピーク面積(S)の比率S/Sが、1.5以上、例えば、2.0以上、2.5以上、2.85以上、3.5以上、5.0以上、5.25以上、6.0以上、6.5以上、または7.0以上であってもよい。前記共重合体のピーク面積の割合S/Sの上限は、特に制限されず、例えば、面積比S/Sは、10.0以下、9.0以下または8.0以下であってもよい。前記共重合体のFT−IRで測定したシラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)のピーク面積(S)はアミノシラン化合物の含量によって増加することができる。
【0086】
また、前記封止材は、ATR法によりFT−IRで測定した波数が705〜735cm−1領域でのメチレン基(CH)のピーク面積(S)に対する波数が3100〜3600cm−1領域でのシラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)のピーク面積(S)の比率S/Sが0.6以上、例えば、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.25以上、1.5以上または2.0以上であってもよい。前記封止材フィルムのピーク面積の割合S/Sの上限は、特に制限されず、例えば、面積比S/Sは、10.0以下、9.0以下、8.0以下、6.0以下、5.0以下、または4.0以下であってもよい。前記共重合体と同様に、前記封止材のFT−IRで測定したシラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)のピーク面積(S)は、アミノシラン化合物の含量によって増加することができる。
【0087】
前記ATR法(減衰全反射吸収分光法、Attenuated Total Reflection absorption spectroscopy)は、石英など屈折率が大きい透明物質と試料(固体または液体)を密着させて透明物質側から入射光を照射すると全反射が起きるが、反射光は密着面近方で極めて一部試料により吸収される現象を用いて分光測定をする方法を意味する。本出願のFT−IR測定方法において、前記透明物質はダイヤモンド/ジンクセレナイド(diamond/ZnSe)、光の入射角は45゜であってもよく、ピーク値は32回反射して測定された値であってもよい。
【0088】
一例として、前記シラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)のピーク面積とメチレン基のピーク面積は、FT−IR機器で波数(wave number)が600cm−1から4000cm−1領域の赤外線の吸収率を測定し、これを用いて各ピーク面積を測定して計算することができる。例えば、シラノール基(Si−OH)とアミノ基(NH)のピーク面積は、波数が2400cm−1から3800cm−1まで基準線を設け、波数が3100cm−1から3600cm−1までピーク面積を積分して計算することができ、メチレン基(CH)のピーク面積は、波数が690cm−1から760cm−1まで基準線を設け、波数が705cm−1から735cm−1までピーク面積を積分して計算することができる。上記において、波数(wave number)は、照射される赤外線波長の逆数(1/λ)を意味する。
【0089】
一例として、本出願に係る封止材は、上述の共重合体を含むことで、低いラミネーション温度でラミネートされても前面基板、例えば、ガラス基板に対して優れた接着力を有し、110℃以上、例えば、110℃、130℃、140℃、150℃または160℃の温度でラミネーションした後に測定した、90゜の剥離角度及び50mm/minの剥離速度で測定された前記ガラス基板に対する前記光電子装置用封止材の剥離力は、50N/15mm以上、60N/15mm以上、70N/15mm以上、80N/15mm以上、90N/15mm以上、100N/15mm以上、110N/15mm以上、60N/15mm以上、120N/15mm以上、130N/15mm以上、140N/15mm以上、150N/15mm以上、160N/15mm以上、165N/15mm以上、170N/15mm以上、180N/15mm以上、または200N/15mm以上であってもよい。
【0090】
前記封止材とガラス基板との間の接着力は、ラミネーション温度が上昇するに従って上昇し、例えば、前記封止材の剥離力及びガラス基板とのラミネーション温度との間では、下記式1のような関係式が満たされる。すなわち、本出願の封止材は、例えば、下記式1を満たすことができる。
【0091】
【数1】
【0092】
前記式1において、Pは、90゜の剥離角度及び50mm/minの剥離速度で測定したガラス基板に対する封止材の剥離力であり、Tは、封止材とガラス基板のラミネーション温度であり、αは1以上であり、βは40以上である。
【0093】
好ましくは、前記式1において、αは1.5〜4であり、βは50〜150であり、より好ましくは、αは2.5〜3.3であり、βは70〜130である。
【0094】
前記式1において、封止材とガラス基板のラミネーション温度は、100℃以上の温度、例えば、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、または170℃であってもよく、また、前記ラミネーションは15分30秒、例えば、真空で5分、圧力条件で30秒及び残留圧力条件で10分間行うことができる。
【0095】
本出願の封止材は、前記式1が満たされることで、100℃以上の温度、特に、110℃程度の低い温度でラミネートした場合にもガラス基板に対して優れた接着力を有し、また、ラミネーション温度の上昇による接着強度の増加量が大きいので、多様な条件のラミネーション工程に優秀に適用できる長所があり、生産性が向上し、これにより製造原価を節減することができる。
【0096】
また、本出願の封止材は、0.5〜2.5、例えば、0.5〜1.0、0.5〜1.5、1.0〜1.5、1.25〜1.5または1.25〜2.5の黄色度指数(Yellowness Index、以下、YI)値を有することができる。前記YI値が小さいほど、光電子装置は優れた発電効率を有することができる。
【0097】
前記黄色度指数とは、紫外線に露出した場合、前記封止材の黄変現象を定量化した値として、ASTM D1925に基づいて、UV/Visスペクトロメータを用いて測定することができる。例えば、前記UV/Visスペクトロメータを用いて、前記封止材の400〜700nmの波長領域の反射率を測定し、これを用いて下記式2により黄色度指数値を計算することができる。
【0098】
【数2】
【0099】
前記式2において、YIは、UV/VIS/NIRスペクトロメータで色差分析プログラムを用いて計算した値で、XCIE、YCIE、ZCIEは、それぞれ赤、緑、青座標を示す相対的な値である。
【0100】
また、本出願の封止材は優れた光透過度を有する。例えば、前記封止材は、全光線透過度の値が、90.0%以上、例えば91.0%以上、91.2%以上、91.3%以上、91.5%以上、91.7%以上、91.9%または92、1%以上であり、光電子装置の光電効率を考慮して、上述の範囲の全光線透過度を有するように調節することができる。
【0101】
また、前記封止材は、さらに、低いヘーズ値を有し、優れた透明度を示す。例えば、前記封止材は、4.0%以下、例えば3.5%以下、3.0%以下、2.5%以下、2.0%以下または1.5%以下であり、光電子装置の光電効率を考慮し、上述の範囲のヘーズ値を有するように調節することができる。
【0102】
前記全光線透過度及びヘーズは、200nm以上の波長の光、例えば、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nmまたは600nmの光の波長に対して、ヘーズメーターで測定した値であってもよく、好ましくは550nm波長の光に対して、ヘーズメーターで測定した値であってもよい。また、例えば、前記全光線透過度及びヘーズは110℃、130℃または150℃の温度でガラス基板にラミネートされた後に測定した値であってもよいが、これに制限されない。
【0103】
また、前記全光線透過度は、UV/Visスペクトロスコピーを用いて測定することができる。この場合、前記全光線透過度は、200nm以上の波長の光、例えば200〜1300nm、250〜1300nm、または300〜1100nmの波長の光に対してUV/Visスペクトロスコピーを用いて測定した値であってもよい。
【0104】
前記光電子装置用封止材は、前記変性オレフィン樹脂以外の非変性オレフィン樹脂を含むことができる。使用可能な非変性オレフィン樹脂の具体的な種類は特に制限されない。例えば、前記非変性オレフィン樹脂として、ポリエチレンを使用することができ、具体的には、上記において変性オレフィン樹脂の製造時に用いたエチレン/α−オレフィン共重合体と同じ範疇に属するエチレン/α−オレフィン共重合体を使用することができる。
【0105】
前記非変性オレフィン樹脂及び変性オレフィン樹脂の含量比は、1:1〜20:1、例えば、1:1〜10:1、1:1〜5:1または2:1〜5:1であってもよい。非変性オレフィン樹脂が多すぎると変性オレフィン樹脂から発現される接着性能が低下しやすく、非変性樹脂が少なすぎると、変性オレフィン樹脂から発現される接着性能が早期発現されて加工性が低下し、ゲルなどが発生してシート成形性が好ましくない場合がある。
【0106】
前記非変性オレフィン樹脂の含量は、特に制限がなく、目的とする物性を考慮して選択することができる。例えば、前記非変性オレフィン樹脂は、前記変性オレフィン樹脂100重量部に対して、0.01〜3000重量部、100〜2000重量部または90〜1000重量部の範囲内で含まれる。
【0107】
前記封止材には、各成分がそのままの状態で均一に混合された状態で含まれることもでき、加熱溶融押出、T-ダイ成形などの多様な成形方法により成形された状態で含まれることもできる。
【0108】
前記封止材の形状には、特に制限がなく、例えば、シートまたはフィルム状であってもよい。この場合、前記封止材の厚さは、素子の支持効率及び破損可能性、装置の軽量化や作業性などを考慮して、約10〜2、000μm、または約100〜1250μmで調節することができる。しかし、封止材の厚さは、適用される具体的な用途に応じて変更することができる。
【0109】
本出願によれば、上述のオレフィン樹脂組成物から製造される封止材によりカプセル化されている光電子素子を含む光電子装置を提供することができる。
【0110】
カプセル化される光電子素子は、例えば、光電池、発光ダイオードまたは有機発光ダイオードなどの光放出または光感知部位であってもよい。
【0111】
前記光電子装置の具体的な構造または本出願に係る実施形態によるオレフィン樹脂組成物を用いて光電子素子をカプセル化する方法は、特に制限されず、当該装置に応じて目的に合わせて適用すれば良い。
【0112】
例えば、前記光電子装置が光電池である場合、前記光電子装置は、図1または2に示すように、前面基板11、21、裏面シート12、22及び前記前面基板11、21と裏面シート12、22との間で封止材14(a)、14(b)、24によりカプセル化されている光起電力素子13、23を含む太陽電池モジュールであってもよく、この場合、前記封止材は、本出願に係る実施形態によるオレフィン樹脂組成物から製造されたものであってもよい。
【0113】
上記のような太陽電池モジュールは、目的とする構造に応じて、前面基板、封止材、光起電力素子及び裏面シートなどを積層し、続いて、これを一体として真空吸引しながら加熱圧着するラミネーション法などの通常の成形法で製造することができる。この場合、前記ラミネーション法の工程条件には、特に制限がなく、通常90℃〜230℃、または110℃〜200℃の温度で1分〜30分、または1分〜10分間行うことができる。
【0114】
本出願に係る実施形態によるオレフィン樹脂組成物の場合、押出過程を経ながら化学的に不安定な変性オレフィン樹脂のシラン変性モイエティの反応性シリル基、例えばメトキシシリル基(Si−O−CH)が上記のようなラミネーションなどのモジュール化過程でアミノシラン化合物により加水分解が促進されてシラノール基(Si−OH)に転換されると、光電子装置の前面基板表面のヒドロキシ基などの残基と脱水縮合による化学的共有結合を形成して高い接着力を示す。
【0115】
それだけでなく、近年多く用いられるフッ素重合体を含有する表面層を有する裏面シートとの界面にもフッ素とシラノール基が水素結合を形成することで、従来の封止材とは違って高い界面接着力を示す。また、少量のアミノシラン化合物により導入されたアミン官能基を有するモイエティによってフッ素との非共有結合サイトが増加されて高い接着強度を提供することができる。
【0116】
上記において、使用可能な前面基板、裏面シート及び光起電力素子などの具体的な種類は、特に制限されない。例えば前面基板は、通常的な板ガラス、または、ガラス、フッ素系シート、耐侯性フィルムとバリアフィルムを積層した透明複合シートであってもよく、裏面シートは、アルミニウムなどのような金属、フッ素系樹脂シート、耐侯性フィルムとバリアフィルムなどを積層した複合シートであってもよく、フッ素重合体を含む表面層を有する。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面に、フッ素重合体層が形成された多層フィルムであってもよい。また、前記光起電力素子は、例えば、シリコンウエハ系の活性層または化学蒸着(CVD)などにより形成された薄膜活性層であってもよい。
【発明の効果】
【0117】
本出願に係る実施形態としては、各種光電子装置に含まれる前面基板と裏面シートとの優れた接着力、特に長期接着特性及び耐熱性が向上した封止材を提供することができる。また、光電子装置でカプセル化される光電子素子または配線電極などのような部品及び作業環境に悪影響を及ぼさず、装置製造の作業性及び経済性などを良好に維持することができる封止材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】本出願の一実施形態に係る光電子装置の太陽電池モジュールを例示的に示す断面図である。
図2】本出願の一実施形態に係る光電子装置の太陽電池モジュールを例示的に示す断面図である。
図3】本出願に係る実施例及び比較例の封止材のガラス基板に対するラミネーション温度による接着強度を示すグラフである。
図4】本出願に係る実施例及び比較例の封止材のFT−IR測定結果を示すグラフである。
図5】本出願に係る製造例及び比較製造例の変性オレフィン樹脂のFT−IR測定結果を示すグラフである
図6】本出願に係る実施例3で製造されたサンプルのUV/Visスペクトロスコピーを示すグラフである。
図7】本出願の比較例1で製造されたサンプルのUV/Visスペクトロスコピーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下に、本出願の実施例及び比較例を介して本出願をより詳細に説明するが、本出願の範囲が下記提示した実施例によって制限されない。
【0120】
<変性エチレン/α−オレフィン共重合体の製造>
製造例1
密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で5g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体95.01重量部、ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane;VTMS)4.79重量部、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimethoxysilane;APTMS)0.1重量部及び2、5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2、5−ジメチルヘキサン(2、5−Bis(tert−butylperoxy)−2、5−dimethylhexane、Luperox(登録商標)101)0.1重量部を、二軸押出機を用いて220℃の温度で、180rpmでグラフティング反応押出(加熱溶融撹拌)して、変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した(全体100重量部に基づいて、それぞれの重量部はwt%を示す)。
【0121】
製造例2、3及び10
製造例1で用いたビニルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリメトキシシランの含量を下記表1に示すように変更したことを除き、製造例1と同様に実施して変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0122】
製造例4及び5
製造例3で用いた3−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、それぞれ3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3−aminopropyltriethoxysilane;APTES)及びN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(N−[3−(Trimethoxysilyl)propyl]ethylenediamine;DAS)を用いたことを除き、製造例3と同様に実施して変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0123】
製造例6及び7
それぞれ製造例1及び3で用いたエチレン/α−オレフィン共重合体の代わりに密度が0.882g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体を用いたことを除き、それぞれ製造例1及び3と同様に実施して変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0124】
製造例8及び9
それぞれ製造例1及び3で用いたエチレン/α−オレフィン共重合体の代わりに密度が0.902g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体を用いたことを除き、それぞれ製造例1及び3と同様に実施して変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0125】
比較製造例1
製造例1で用いた3−アミノプロピルトリメトキシシランを使用せず、ビニルトリメトキシシランを4.89重量部で用いたことを除き、製造例1と同様に実施してシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0126】
比較製造例2及び3
製造例3で用いた3−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、それぞれドデシルアミン(dodecylamine;DA)及びトリメトキシプロピルシラン(Trimethoxypropylsilane;TMS)を用いたことを除き、製造例3と同様に実施してシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0127】
比較製造例4
比較製造例1で用いたエチレン/α−オレフィン共重合体の代わりに密度が0.882g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体を用いたことを除き、比較製造例1と同様に実施してシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0128】
比較製造例5
比較製造例1で用いたエチレン/α−オレフィン共重合体の代わりに密度が0.902g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体を用いたことを除き、比較製造例1と同様に実施してシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0129】
比較製造例6及び7
製造例1で用いたビニルトリメトキシシランを使用せず、3−アミノプロピルトリメトキシシランをそれぞれ4.89重量部及び0.49重量部で用いたことを除き、製造例1と同様に実施してエチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0130】
比較製造例8
製造例1で用いたビニルトリメトキシシラン4.79重量部及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.1重量部の代わりにビニルトリメトキシシラン2.44重量部と3−アミノプロピルトリメトキシシランを2.45重量部で用いたことを除き、製造例1と同様に実施して変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを製造した。
【0131】
【表1】
【実施例】
【0132】
<封止材及び光電池モジュールの製造>
実施例1〜5
それぞれ前記製造例1〜5で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと、密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で5g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂に、最終シート内に光安定剤(Uvinul 5050H)1000ppm、UV吸収剤(TINUVIN UV531)1000ppm、酸化防止剤1(Irganox 1010)500ppm及び酸化防止剤2(Irgafos 168)500ppmを含むようにする添加剤マスターバッチ18gを添加して混合した後、これを二軸押出機(φ19mm)及びT-ダイス(幅:200mm)を有するフィルム成形機のホッパに投入して、押出温図180℃、取り出し速度3m/minで加工して厚さ約500μmのシート状封止材を製造した。
【0133】
板ガラス(厚さ:約3mm)、上記で製造された厚さ500μmの封止材、結晶系シリコンウエハ光起電力素子、前記製造された厚さ500μmの封止材及び裏面シート(厚さ20μmのポリフッ化ビニル樹脂シート、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート及び厚さ20μmのポリフッ化ビニル樹脂シートの積層シート;PVDF/PET/PVDF)をこの順に積層し、真空ラミネートで150℃で15分30秒間圧搾して光電池モジュールを製作した。
【0134】
実施例6及び7
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、それぞれ前記製造例6及び7で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.882g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0135】
実施例8及び9
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、それぞれ前記製造例8及び9で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.902g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0136】
実施例10
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、製造例3で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で5g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ100g及び500g準備して1:5の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0137】
実施例11
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、製造例3で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で5g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ54.5g及び545.5g準備して1:10の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0138】
実施例12
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、前記製造例10で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0139】
比較例1〜3
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチの代わりに、それぞれ前記比較製造例1〜3で製造されたシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0140】
比較例4
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、前記比較製造例4で製造されたシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.882g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0141】
比較例5
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、前記比較製造例5で製造されたシラン変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.902g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0142】
比較例6及び7
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチの代わりに、それぞれ前記比較製造例6及び比較製造例7で製造されたエチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0143】
比較例8
実施例1で用いた変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチとエチレン/α−オレフィン共重合体の混合樹脂の代わりに、前記比較製造例8で製造された変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと密度が0.870g/cmで、MFRが190℃、2.16kgの荷重下で3g/10分のエチレン/α−オレフィン共重合体をそれぞれ200g及び400g準備して1:2の割合で混合した樹脂を用いたことを除き、実施例1と同様に実施してシート状封止材及び光電池モジュールを製作した。
【0144】
【表2】
【0145】
実験例
1.90度剥離強度の測定
前記実施例1〜12、比較例1〜8で製造された封止材の剥離強度を測定するために、製造された光電池モジュールと類似の試験片を別に製造した。試験片は、板ガラス(厚さ:約3mm)、上記で製造された厚さ500μmの封止材及び裏面シート(厚さ20μmのポリフッ化ビニル樹脂シート、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート及び厚さ20μmのポリフッ化ビニル樹脂シートの積層シート;PVDF/PET/PVDF)を順に積層し、真空ラミネートで150℃で15分30秒間ラミネーションして製造した。製造された試験片の下部ガラス板を固定した後、ASTM D1897に基づいて、裏面シートだけ接着された封止材を裏面シートと同時に15mm幅の直四角形、50mm/minの引張速度及び90度の剥離角度で剥離しながら測定した剥離強度を下記表3に示す。
【0146】
【表3】
【0147】
APSの含量範囲による平均接着強度は下記表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】
前記表3のように、ビニルトリメトキシシラン及びアミノシランを全部使用して製造した変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを用いたシート状封止材の接着強度が、ビニルトリメトキシシラン、アルキルシラン、アミノシランを単独に用いた比較例1、比較例3〜7の封止材シートに比べて優れていることを確認することができる。また、変性エチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチと非変性エチレン/α−オレフィン共重合体の含量が1:2の場合に接着強度が最も優れていることを確認することができる。アルキルアミンを単独に用いた比較例2の場合には、たとえ初期剥離強度は一定水準以上とすることができても、系に残存するアルキルアミンにより長期耐久性が低下し、苛酷条件で放置した後に測定した剥離強度の低下が大きくなる可能性がある。
【0150】
また、表4に示すように、オレフィン樹脂組成物内におけるアミノシラン化合物の含量範囲が2〜25重量%範囲では、平均接着強度が約200N/15mm以上であって、非常に優れた接着強度を示すことを確認することができる。
【0151】
すなわち、前記実施例1〜12及び比較例1〜8と、これに対する実験例を介して、ビニルシラン、アルキルアミン、アミノシランまたはアルキルシランを単独で使用した場合よりも、ビニルシラン及びアミノシランを両方とも使用して変性させたエチレン/α−オレフィン共重合体のマスターバッチを非変性エチレン/α−オレフィン共重合体と特定含量範囲で使用した場合、封止材の上部の裏面シート及び下部のガラス基板との接着強度が優れることを確認することができる。
【0152】
2.ラミネーション条件を変化させながら90度剥離強度の測定
実験例1で、実施例1及び3の封止材を用いて製造した光電池モジュールと類似の試験片製作時にラミネーション条件を下記表5に示すように変更して110℃、130℃、140℃、150℃、160℃で、それぞれ6分30秒、10分30秒、15分30秒の間行ったことを除き、実験例1と同様に実施して測定した90度剥離強度を下記表5に示し、ラミネーション温度による接着強度を測定したグラフを図3に示す。
【0153】
また、実験例1で、比較例1の封止材を用いて製造した光電池モジュールと類似の試験片製作時にラミネーション条件を下記表5に示すように変更して110℃、130℃、140℃、150℃、160℃でそれぞれ6分30秒、10分30秒、15分30秒の間行ったことを除き、実験例1と同様に実施して測定した90度剥離強度を下記表5に示し、ラミネーション温度による接着強度を測定したグラフを図3に示す。
【0154】
【表5】
【0155】
前記表5に示すように、ビニルトリメトキシシランだけ単独に用いた比較例1に比べてアミノシランをビニルトリメトキシシランと同時に用いた実施例1、3の場合、多様なラミネーション温度及び時間条件でも優れた接着強度を示し、また、110℃の低いラミネーション温度でラミネーションした場合にも、50 N/15mm以上の優れた接着強度を有することを確認することができる。
【0156】
3.黄色度指数の測定
実施例及び比較例で製造された光電子装置用封止材フィルムを、ASTM 1925に基づいて、Colorflex(Hunter lab)を用いて400〜700nm領域の反射率を測定し、これを用いて、YI値(黄色度指数、Yellowness Index)を得た(下記式2参照)。
【0157】
【数3】
【0158】
前記YIは、UV/VIS/NIRスペクトロメータで色差分析プログラムを用いて計算された値で(ASTM、D1925)、XCIE、YCIE、ZCIEはそれぞれ赤、緑、青座標を示す相対的な値である。
【0159】
APSの含量範囲によるYI値は、下記表6に示す。
【0160】
【表6】
【0161】
前記表6から分かるように、アミノシラン化合物の含量がシランマスターバッチ全体のシラン化合物中に過剰に含まれた場合、YI値が増加するものと示された。
【0162】
4.IR分析
変性マスターバッチ内で一部のシリル基の炭化水素基がヒドロキシ基に転換されたモイエティを含みながら、且つアミン官能基を有するモイエティも一緒に含む分枝を検出し、前記封止材フィルムのラミネーション過程において、アミノシラン化合物により加水分解が促進されてメトキシシリル基(Si−O−CH)がシラノール基(Si−OH)に転換された程度を測定するために、製造例1〜3及び比較製造例1の変性マスターバッチと実施例1〜3及び比較例1で製造された封止材フィルムに対して、前記変性マスターバッチ及び封止材内のメチレン基(CH)とシラノール基(Si−OH)及びアミン基(NH)の各ピーク面積をそれぞれ測定した。前記各ピーク面積は、次のような方法及び下記条件で測定した。
【0163】
Varian 660−IRを用いてATR(Attenuated Total Reflection)モードでダイヤモンド/ジンクセレナイド(diamond/ZnSe)と製造された変性マスターバッチ及び封止材の試験片を密着させ、前記ダイヤモンド/ジンクセレナイド側から45゜の入射光を照射して、波数が600cm−1から4000cm−1領域の赤外線吸収率を測定し、これを用いて各ピーク面積を測定した。このとき、ピーク値は、32回反射して測定された値の平均値を測定した。シラノール基(Si−OH)とアミノ基(NH)のピーク面積は、波数が2400cm−1から3800cm−1まで基準線を設け、波数が3100cm−1から3600cm−1までピーク面積を積分し、メチレン基(CH)のピーク面積は、波数が690cm−1から760cm−1まで基準線を設け、波数が705cm−1から735cm−1までピーク面積を積分した。
【0164】
<測定条件>
照射回数:32
分解能:4
【0165】
封止材フィルムに対する測定結果は下記表7及び図4に示し、変性マスターバッチに対する測定結果は表8及び図5に示す。
【0166】
【表7】
【0167】
【表8】
【0168】
5.光透過度の測定
前記実施例3及び比較例1で製造された封止材の光透過度を測定するために、別途の試験片を別に製造した。試験片は2個のオプティックス顕微鏡用スライドガラス(厚さ:約1mm)の間に、上記で製造された厚さ500μmの封止材を2枚重畳して入れて、真空ラミネートでラミネーション温度を下記表9の条件のように相違するようにラミネーションして製造するが、ガイドを用いて2枚の重畳した封止材シートの厚さの合計が約500±50μmになるように製造し、ヘーズメーター(Haze meter)を用いて前記試験片の550nmの波長の光に対する全光線透過率及びヘーズ値を測定して下記表9に示す。この場合、透過率及びヘーズ値は、前記試験片を試験片ホルダに入れて3回測定した後、これらの平均値を求め、JIS K 7105の規格条件で測定した。ラミネーション工程時間は、5min vacuum/30sec press/10min retain pressureで固定した。
【0169】
<UV/Visスペクトロスコピー装備測定条件>
Slit width:32nm
Detector unit:External(2D detectors)
Time constant:0.2sec
【0170】
【表9】
【0171】
前記表9及び図6〜7で確認することができるように、アミノシランの添加有無とは無関係に、低い温度の110℃でラミネーションしたサンプルが低いヘーズと、高い全光線透過度を示す。
【0172】
ビニルトリメトキシシランを単独に用いた比較例1の場合には、110℃のラミネーション工程温度で低い接着強度により太陽光封止材として使用が困難であるが、アミノシランを添加した実施例3の場合、低いラミネーション温度でも高い接着強度を示し、且つ高い光透過度を示すことを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7