特許第6253103号(P6253103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253103
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】浸水検知センサおよび浸水検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/38 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G01M3/38 D
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-178862(P2014-178862)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-53490(P2016-53490A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雅
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】泉田 史
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−104157(JP,A)
【文献】 特開2007−003232(JP,A)
【文献】 特開2005−257393(JP,A)
【文献】 特開2013−096734(JP,A)
【文献】 特開平07−120350(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0175437(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、
前記浸水検知対象光ファイバの上方に配置された断面逆U字形状の内壁と、
前記浸水検知対象光ファイバの下方に配置されたへりを有する受け皿部と
を少なくとも具備し、
前記内壁の下端は前記受け皿部のへりの高さよりも低く設定されている
ことを特徴とする浸水検知センサ。
【請求項2】
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、
全体密封構造を備え、その上部以外の部位に内側方向にのみ開閉自在な弁を有するケースと
を少なくとも具備し、
前記ケース内に前記浸水検知対象光ファイバおよび前記水素発生部を収納する
ことを特徴とする浸水検知センサ。
【請求項3】
前記水素発生部に接触配置された吸水材料をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浸水検知センサ。
【請求項4】
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、
前記水素発生部に接触配置された吸水材料と
を少なくとも具備する
ことを特徴とする浸水検知センサ。
【請求項5】
前記浸水検知対象光ファイバの上方に配置された断面逆U字形状の内壁、または前記浸水検知対象光ファイバの下方に配置されたへりを有する受け皿部をさらに具備する
ことを特徴とする請求項に記載の浸水検知センサ。
【請求項6】
前記水素発生部を構成する金属が粉末状または多孔質状である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の浸水検知センサ。
【請求項7】
前記浸水検知対象光ファイバの被覆に前記水素発生部を構成する金属を含有させた構造を有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の浸水検知センサ。
【請求項8】
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部を少なくとも具備する浸水検知センサを用い、
水素吸収損失を生じない少なくとも2つの波長である基準波長と水素吸収損失を生じる少なくとも1つの波長である検知波長とを含む少なくとも3つの波長により、曲げおよび浸水発生前の時点と時間を隔てたそれ以降の時点との少なくとも2回、前記浸水検知対象光ファイバの光損失を測定してその差を損失増加の測定値としてそれぞれ求める工程と、
波長λに対する曲げによる損失増加ΔL(λ)の推定式をΔL(λ)=Aexp(B/λ)として、損失増加ΔL(λ)が前記基準波長における損失増加の測定値に一致するように前記推定式の係数AおよびBを決定する工程と、
前記決定した係数AおよびBを含む前記推定式に波長λとして前記検知波長を代入して当該検知波長における損失増加の推定値を計算する工程と、
前記検知波長における損失増加の測定値と推定値とを比較し、測定値が推定値よりも大であることをもって前記浸水検知対象光ファイバへの浸水発生を判別する工程と
を少なくとも含む
ことを特徴とする浸水検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバへの浸水を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは水中に放置されると、機械的強度の低下および光損失の増加(非特許文献1参照)といった劣化が生じる。そこで、地下区間に布設された光ファイバケーブルの接続点には、当該接続点を浸水から保護する浸水防止構造を備えたクロージャが設置されているが、上記の浸水防止構造が機能しなかった場合、光ファイバは浸水する。従って、光ファイバの信頼性を確保するためには、浸水箇所をいち早く検知する必要がある。
【0003】
接続点の浸水箇所を検知するために、クロージャには浸水検知センサが設置されている(例えば特許文献1参照)。浸水検知センサは、吸水膨張材料と、光ファイバに所定の曲げを加えることが可能な曲げ部とを組み合わせて構成されており、浸水によって吸水膨張材料が膨張すると曲げ部が光ファイバに押しつけられ、光ファイバに曲げを生じさせ、その結果として生じる光損失を測定することで浸水検知を可能とするものである。
【0004】
光ファイバケーブル内の浸水を検知する方法として、光ファイバの周囲に水を吸収すると収縮する線材をらせん状に巻き付けた浸水検知センサをケーブル内に実装する方法がある(特許文献2参照)。これは浸水によって線材が収縮し、光ファイバに曲げを生じさせ、その結果として生じる光損失を測定することで浸水検知を可能とするものである。
【0005】
上記のいずれの方法も、水を吸収することで変形する部材を用いて光ファイバに曲げを加え、その結果として生じる光ファイバの光損失の変化を測定するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の、水を吸収することで変形する部材を用いて光ファイバに曲げを加え、その結果として生じる光ファイバの光損失の変化を測定するものでは、浸水することなく光ファイバに曲げが生じた場合でも、浸水が発生したと誤って検知してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、光ファイバへの浸水を単なる曲げと区別して検知可能な浸水検知センサおよび浸水検知方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、前記目的を達成するため、
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、前記浸水検知対象光ファイバの上方に配置された断面逆U字形状の内壁と、前記浸水検知対象光ファイバの下方に配置されたへりを有する受け皿部とを少なくとも具備し、前記内壁の下端は前記受け皿部のへりの高さよりも低く設定されていることを特徴とする浸水検知センサを提案する。
また、浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、全体密封構造を備え、その上部以外の部位に内側方向にのみ開閉自在な弁を有するケースとを少なくとも具備し、前記ケース内に前記浸水検知対象光ファイバおよび前記水素発生部を収納することを特徴とする浸水検知センサを提案する。
さらに、浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部と、前記水素発生部に接触配置された吸水材料とを少なくとも具備することを特徴とする浸水検知センサを提案する。
【0009】
また、
浸水検知対象光ファイバの近傍に配置された、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなる水素発生部を少なくとも具備する浸水検知センサを用い、
水素吸収損失を生じない少なくとも2つの波長である基準波長と水素吸収損失を生じる少なくとも1つの波長である検知波長とを含む少なくとも3つの波長により、曲げおよび浸水発生前の時点と時間を隔てたそれ以降の時点との少なくとも2回、前記浸水検知対象光ファイバの光損失を測定してその差を損失増加の測定値としてそれぞれ求める工程と、
波長λに対する曲げによる損失増加ΔL(λ)の推定式をΔL(λ)=Aexp(B/λ)として、損失増加ΔL(λ)が前記基準波長における損失増加の測定値に一致するように前記推定式の係数AおよびBを決定する工程と、
前記決定した係数AおよびBを含む前記推定式に波長λとして前記検知波長を代入して当該検知波長における損失増加の推定値を計算する工程と、
前記検知波長における損失増加の測定値と推定値とを比較し、測定値が推定値よりも大であることをもって前記浸水検知対象光ファイバへの浸水発生を判別する工程とを少なくとも含む浸水検知方法を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光ファイバの浸水と曲げを分離して検出できる浸水検知センサおよび浸水検知方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
図2】本発明の第1の実施の形態に係る浸水検知方法を示す処理の流れ図
図3】基準波長における損失増加の測定値から推定された検知波長における損失増加の推定値と検知波長における損失増加の測定値との関係を示すグラフ
図4】損失増加の測定値ΔLm/損失増加の推定値ΔLeのヒストグラム
図5】本発明の第2の実施の形態に係る浸水検知装置を示す構成図
図6】本発明の第5の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
図7】本発明の第6の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
図8】本発明の第7の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
図9】本発明の第8の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
図10】本発明の第9の実施の形態に係る浸水検知センサを示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る浸水検知センサを示すもので、本発明の浸水検知センサ10は、浸水検知対象光ファイバF(以下、単に光ファイバF)の近傍に配置された水素発生部11を少なくとも具備して構成されている。ここで、水素発生部11は、水素よりもイオン化傾向の高い金属または水素化金属からなっている。
【0013】
従来の浸水検知センサは浸水すると光ファイバに曲げが加わることによる損失(曲げ損失)が発生する。そのため、従来の浸水検知センサは、単に光ファイバに曲げが加わった場合に誤って浸水を検知する恐れがある。
【0014】
一方、本発明の浸水検知センサ10は、浸水すると水素発生部11から発生した水素が光ファイバFに吸収され、当該光ファイバF内の水素による吸収損失(水素吸収損失)が発生する。曲げ損失と水素吸収損失は次に述べる方法で判別できるため、光ファイバFが曲げられた場合と光ファイバFが浸水した場合とを判別して検知することができる。
【0015】
次に、前記浸水検知センサ10を用いた本発明の第1の実施の形態に係る浸水検知方法について、図2に従って説明する。
【0016】
まず、光ファイバの曲げ損失と水素吸収損失を判別するための、光損失の測定方法について述べる。
【0017】
光損失の測定は、光ファイバFの本来の光損失、即ち曲げおよび浸水発生前の時点における光損失を測定するために第一回目の測定を行う。第二回目以降の測定は、第一回目の測定時点から任意の時間を隔てたそれ以降の時点において行われる。そして、第一回目で測定した光損失と第二回目以降で測定した光損失との差を取り、この差を損失増加とする(s1,s2)。
【0018】
上記の測定は少なくとも3つの波長で行い、そのうち少なくとも2つの波長は水素吸収損失を生じない波長(以降、基準波長と呼ぶ。)とし、少なくとも1つの波長は水素吸収損失を生じる波長(以降、検知波長と呼ぶ。)とする(なお、厳密には水素吸収損失を全く生じないという波長はないので、水素吸収損失が小さい波長を基準波長、水素吸収損失が大きい波長を検知波長と言い換えても良い。)。
【0019】
例えば、基準波長には1.55μm、1.63μmを用い、検知波長には水素吸収損失のピーク波長である1.7μmを用いることができる。上記の結果、少なくとも3つの波長に対する光ファイバFの損失増加を得られる。
【0020】
次に曲げ損失と水素吸収損失を判別する方法について説明する。
【0021】
曲げ損失と水素吸収損失の判別は、検知波長の損失増加を測定しただけでは行うことができない。これは、曲げ損失は光ファイバに加えられた曲げの曲げ半径および区間長によって、水素吸収損失は光ファイバに吸収された水素の量によって、損失増加の大きさが異なるためである。
【0022】
そこで、まず、基準波長における損失増加から波長に対する損失増加の推定式の係数を決定する。ここで、波長に対する曲げによる損失増加ΔL(λ)の推定式を
ΔL(λ)=Aexp(B/λ) ……(1)
とすることができる。この推定式は波長に対する曲げ損失の損失増加に一致するものである。
【0023】
次に損失増加ΔL(λ)が基準波長における損失増加の測定値に一致するように前記推定式の係数AおよびBを決定する(s3)。そして、決定した係数AおよびBを含む式(1)に前記検知波長を代入して当該検知波長における損失増加の推定値ΔLeを求め(s4)、当該検知波長における損失増加の測定値ΔLmと比較を行うことで、曲げ損失か水素吸収損失かを判別する(s5〜s8)。
【0024】
ここで、光ファイバFの損失増加が曲げ損失である場合、ΔLm/ΔLeはほぼ1となる。それに対し、光ファイバFの損失増加が水素吸収損失(即ち、浸水)によるものである場合、図3に示すように、ΔLeと比較してΔLmが大きくなるため、ΔLm/ΔLeは1よりも大きな値となる。従ってΔLm/ΔLeを基準として曲げ損失と水素吸収損失を判別できる。
【0025】
ただし、前記推定値と前記測定値に誤差が存在する場合、誤差を考慮してΔLm/ΔLeの基準値を1より大きくする必要がある。
【0026】
光ファイバFに曲げ損失と水素吸収損失を発生させた際の、ΔLm/ΔLeのヒストグラムを図4に示す。曲げ損失のΔLm/ΔLeのヒストグラムは正規分布の形状をしており、その平均は1.02、標準偏差は0.26であった。従って、3σ相当である1.8以上を基準値とすれば、基準値よりΔLm/ΔLeが大きい場合はほぼ確実に水素吸収損失であると判別できる。
【0027】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態の構成では、光ファイバFの光損失の測定はその全長にわたる光損失の合計となる。従って、1本の光ファイバFに浸水検知センサ10を複数配置すると、光ファイバFのどの位置で光損失が発生したのか分からないという課題がある。
【0028】
そこで、この点を解決した本発明の第2の実施の形態に係る浸水検知装置の構成を図5に示す。
【0029】
本発明の浸水検知装置は、光ファイバFの複数の異なる箇所に配置された浸水検知センサ10と、所定のタイミングを表す制御信号を発生する制御部21と、前記所定の制御信号のタイミングでパルス光を発生するパルス光発生器22と、受光した光信号を電気信号に変換する受光部23と、パルス光発生器22からのパルス光を光ファイバFの一端に入射し、当該光ファイバFの一端に戻ってくる後方散乱光を受光部23に導くための光カプラ24と、受光部23で変換された(アナログの)電気信号を前記所定の制御信号のタイミングでデジタル信号に変換するAD変換部25と、変換後のデジタル信号を解析する解析部26とから構成されている。
【0030】
制御部21から出力される制御信号をトリガーとしてパルス光発生器21でパルス光を発生し、このパルス光を光ファイバFの一端に入射し、光ファイバFの一端に戻ってくる後方散乱光を光カプラ23によって受光部24に導いて当該後方散乱光の波形をアナログの電気信号に変換し、前記パルス光の出射タイミングと同期したタイミングでAD変換部25において前記電気信号を後方散乱光の波形のデジタル信号に変換し、解析部26に導く。
【0031】
後方散乱光の発生位置によって後方散乱光には遅延が発生するため、後方散乱光の波形は光ファイバFの長さ方向に対する後方散乱光の強度を表す。後方散乱光の強度は入射光の強度に比例するため、前記デジタル信号を解析部26で時間微分すれば、光ファイバFの長さ方向に対する光損失を測定することが可能である。すなわち、光ファイバFの長さ方向に対して複数の浸水検知センサ10を設置して、それぞれの光損失を測定するで浸水の発生位置を特定することが可能である。
【0032】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態に示した浸水検知センサ10の構成では、水素発生部11の形状によっては水と水素発生部11の接触面積が小さく、水素の発生速度が小さい場合がある。従って、光ファイバFの浸水を迅速に検知できないという課題がある。
【0033】
そこで、第3の実施の形態として、水素発生部11を構成する金属の形状を粉末状にする。
【0034】
水素発生部11で発生する水素は、水素発生部11と水の酸化還元反応によって生じる。その発生速度は水素発生部11と水の接触面積が大きい程大きくなる。従って、水素発生部11が表面積の大きい形状、具体的には粉末状であることによって、水素が短時間で多く発生し、迅速に光ファイバFの浸水を検知することが可能である。なお、水素発生部11の表面積が大きければ良いため、その形状は多孔質状などであっても良い。
【0035】
<第4の実施の形態>
第3の実施の形態までに示した浸水検知センサ10の構成では、水素発生部11で発生した水素は光ファイバFの被覆を経て当該光ファイバFのコアに吸収される。従って、裸光ファイバに比べて水素の吸収に時間がかかるという課題がある。
【0036】
そこで、第4の実施の形態として、光ファイバFの被覆に水素発生部11を構成する金属を含有させた構造とする。この構造をとることによって、水素は光ファイバFの被覆内部で発生するため、短時間で水素が光ファイバFのコアに吸収される。従って、迅速に光ファイバFの浸水を検知することが可能である。
【0037】
<第5の実施の形態>
第4の実施の形態までに示した浸水検知センサ10の構成では、発生した水素は拡散しながら光ファイバFと接触するため、水素の濃度が低いという課題がある。
【0038】
そこで、第5の実施の形態として、図6に光ファイバFの上方に断面逆U字形状の内壁12を具備した構造を示す。
【0039】
上記の構成とすることによって、水素発生部11で発生した水素が内壁12の下に溜まるため、多くが光ファイバFに触れる。従って、効率良く水素を光ファイバFに吸収させることができるため、効率的に浸水を検知することが可能となる。
【0040】
<第6の実施の形態>
第5の実施の形態までに示した浸水検知センサ10の構成では、水素発生部11と接触する水は流れ落ちるため、浸水が止まると水素の発生も止まる。従って、浸水が短時間で止まった場合に浸水を検知できないという課題がある。
【0041】
そこで、第6の実施の形態として、図7に光ファイバFの下方に、へり13aを具備した受け皿部13を具備する構成を示す。
【0042】
上記の構成をとることによって、浸水すると受け皿部13に水が溜まる。従って浸水が止まっても水素発生部11は水と接触しているため、浸水が短時間で止まった場合であっても浸水を検知することができる。
【0043】
<第7の実施の形態>
第5の実施の形態に示した浸水検知センサ10の構成では、水素が空気と分離されることなく内壁12の下に溜まるため、水素が拡散し、光ファイバFに接触する水素の濃度が低いという課題がある。
【0044】
そこで、第7の実施の形態として、図8に光ファイバFの上方に内壁12を具備するとともに、光ファイバFの下方に受け皿部13を具備する構造を示す。
【0045】
ここで、内壁12の下端は受け皿部13のへり13aよりも低く設定され、両者の間にオーバーラップ部分14が形成されるように構成する。この構成によって、内壁12の下端が受け皿部13に溜まった水面より下の位置となり、水素が空気と分離された状態で内壁12の下に溜まる。従って水素の濃度が高くなる。
【0046】
<第8の実施の形態>
第7の実施の形態までに示した浸水検知センサ10の構成では、周囲に他の光ファイバが存在する場合、当該他の光ファイバにも水素が吸収されるため、その光損失が増加してしまう。しかし、光ファイバFおよび水素発生部11を閉鎖空間に収納する構成とすると、発生した水素が他の光ファイバに吸収されない代わりに、水素発生部11が水と接触しないという課題がある。
【0047】
そこで、第8の実施の形態として、図9に全体密封構造を備え、その上部以外の部位に内側方向にのみ開閉自在な弁15aを有するケース15を具備し、当該ケース15内に光ファイバFおよび水素発生部11を収納する構造を示す。
【0048】
上記の構成とすることによって、浸水検知センサ10が浸水した場合、水素発生部11から発生した水素はケース15内に充満するため、ケース15内の光ファイバFのみに水素吸収による損失増加が発生する。ここで、弁15aがケース15の上部に設けられている場合、水が弁15aを通過する際に既に発生した水素が漏れ出るため適さない。なお、水素がケース15内に充満した場合、内側からの圧を受けるため、弁15aは開かない。そのためケース15から水素が漏れ出すことはない。
【0049】
<第9の実施の形態>
第8の実施の形態までに示した浸水検知センサ10の構成では、水素発生部11と接触する水は流れ落ちるため、浸水が止まると水素の発生も止まる。従って、効率的に水素を発生させることができないという課題がある。
【0050】
そこで、第9の実施の形態として、図10に第1の実施の形態の構成に加えて、水素発生部11に接触配置された吸水材料16を具備する構成を示す。
【0051】
上記の構成とすることによって、吸水部材16が浸水した水を水素発生部11に接触する位置へ集めるため、水素発生部11が効率的に水素を発生させることができる。
【0052】
なお、同様の構成を、第3乃至第8の実施の形態に示した浸水検知センサにおいても採用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
10:浸水検知センサ、11:水素発生部、12:内壁、13:受け皿部、13a:へり、14:オーバーラップ部分、15:ケース、15a:弁、16:吸水材料、
21:パルス光発生器、22:受光部、23:光カプラ、24:AD変換部、25:解析部、26:制御部、
F:浸水検知対象光ファイバ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2010−96553号公報
【特許文献2】特許2705186号公報
【非特許文献】
【0055】
【非特許文献1】N.Uchida, “Infrared optical loss increase in silica fibers due to hydrogen”, Journal of Lightwave Technology, Vol.LT-4, No.8, 1986.
【非特許文献2】M. K. Barnoski and S. M. Jensen, “Fiber waveguides: a novel technique for investigating attenuation characteristics,” Applied Optics, Vol.15, pp.2112-2115, 1976.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10