特許第6253340号(P6253340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253340
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0452 20170101AFI20171218BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20171218BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H04B7/0452
   H04L27/26 100
   H04J1/00
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-218614(P2013-218614)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82697(P2015-82697A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年1月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127535
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 義元
(74)【代理人】
【識別番号】100159190
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 泰司
(72)【発明者】
【氏名】福園 隼人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 笑子
(72)【発明者】
【氏名】溝口 匡人
【審査官】 吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/165342(WO,A1)
【文献】 特表2009−520429(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/082637(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0452
H04J 1/00
H04L 27/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成部と、
前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部と、
前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報を記憶する伝搬チャネル記憶部と、
前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に付加して出力する伝搬チャネル付加部と、
前記伝搬チャネル付加部から出力される伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、
前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信部と
を備え、
前記基地局装置は、
前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数と同じ周波数の伝搬チャネル情報であって前記伝搬チャネル記憶部に記憶されている伝搬チャネル情報と、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報とに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する伝搬チャネル相関算出部を更に備え、
前記伝搬チャネル付加部は、
前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に付加して出力し、
前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報のみを出力する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成部と、
前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部と、
前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、
前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトを記憶する送信ウエイト記憶部と、
前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに付加して出力する送信ウエイト付加部と、
前記送信ウエイト付加部が出力した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信部と
を備え、
前記基地局装置は、
前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数と同じ周波数の送信ウエイトであって前記送信ウエイト記憶部に記憶されている送信ウエイトと、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトとに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する送信ウエイト相関算出部を更に備え、
前記送信ウエイト付加部は、
前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに付加して出力し、
前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトのみを出力する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項又は請求項のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
前記周波数チャネル指定信号生成部は、
複数の前記周波数帯域のうち相関値が低い周波数帯域の周波数を優先的に、前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数に指定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムにおいて前記基地局装置が行う無線通信方法であって、
前記端末局装置から自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成ステップと、
前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定ステップと、
前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部に記憶させる伝搬チャネル記憶ステップと、
前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報に付加して出力する伝搬チャネル付加ステップと、
前記伝搬チャネル付加ステップにおいて出力した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、
前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信ステップと
を有し、
前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報の周波数と同じ周波数の伝搬チャネル情報であって前記伝搬チャネル記憶部に記憶されている伝搬チャネル情報と、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報とに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する伝搬チャネル相関算出ステップを更に有し、
前記伝搬チャネル付加ステップでは、
前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報に付加して出力し、
前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報のみを出力する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項5】
基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムにおいて前記基地局装置が行う無線通信方法であって、
前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成ステップと、
前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定ステップと、
前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、
前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトを送信ウエイト記憶部に記憶させる送信ウエイト記憶ステップと、
前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトに付加して出力する送信ウエイト付加ステップと、
前記送信ウエイト付加ステップにおいて出力した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信ステップと
を有し、
前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトの周波数と同じ周波数の送信ウエイトであって前記送信ウエイト記憶部に記憶されている送信ウエイトと、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトとに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する送信ウエイト相関算出ステップを更に有し、
前記送信ウエイト付加ステップでは、
前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトに付加して出力し、
前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトのみを出力する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5GHz(ギガヘルツ)帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11a規格がある。このシステムは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbps(メガビット毎秒)のスループットを実現している(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
更に、IEEE802.11nでは、複数のアンテナを用いて同一時刻及び同一周波数チャネルを用いて空間多重を実現することが可能なMIMO(Multiple input multiple output)技術や、これまで個別に用いられていた20MHz(メガヘルツ)の周波数チャネルを2つ同時に利用して40MHzの周波数チャネルを利用する技術により高速通信の実現を目指し、最大600Mbpsの伝送速度を実現することが可能である(例えば、非特許文献1)。
【0004】
更に、現在、規格が策定中であるIEEE802.11acでは、20MHzの周波数チャネルを4つ同時に利用して80MHzの周波数チャネルとして利用する通信技術や、同一周波数チャネル、同一時刻に、複数の無線局と通信を行うMU−MIMO(Multi-User MIMO)技術により、IEEE802.11nより高速な無線通信の実現を目指している。
【0005】
MU−MIMOでは、事前に取得した下り回線伝搬チャネル情報を用いて、端末局装置間の干渉を抑圧できる送信ウエイトを算出し、該送信ウエイトを用いて送信することで高速な通信を実現できる(非特許文献2)。ここで、下り回線とは基地局装置から端末局装置への回線を示しており、上り回線とは端末局装置から基地局装置への回線を示している。基地局装置が下り回線の伝搬チャネル情報を取得する方法には、端末局装置が算出した伝搬チャネル情報を基地局装置に通知する方法(端末局推定法)と、端末局装置が基地局装置に送信した信号から基地局装置が算出して取得する方法(基地局推定法)とがある。
【0006】
端末局推定法では、基地局装置から伝搬チャネル情報を推定するための既知信号を所望の端末局装置に送信するステップと、端末局装置が受信信号と既知信号との差分から下り回線の伝搬チャネル情報を推定するステップと、端末局装置が下り伝搬のチャネル情報を基地局装置に通知するステップとから構成される。
【0007】
一方、基地局推定法では、端末局から伝搬チャネル情報推定用の既知信号を基地局に送信するステップと、基地局が受信信号と既知信号の差分から上り回線伝搬チャネル情報を推定するステップと、基地局が上り回線から下り回線の伝搬チャネル情報に校正を行うステップとから構成される。
【0008】
また、将来の無線通信システムにむけて、複数の無線局のデータを異なるサブキャリアに割り当てて伝送を行うことで、効率的な通信を実現するOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)の検討も行われている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】守倉正博、久保田周治(監修)「改訂三版802.11高速無線LAN教科書」、株式会社インプレスR&D、2008年4月11日
【非特許文献2】Quentin H. Spencer, A. Lee Swindlehurst, and Martin Haardt, "Zero-Forcing Methods for Downlink Spatial Multiplexing in Multiuser MIMO Channels," IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, FEBRUARY 2004, VOL. 52, NO. 2, pp.461-471
【非特許文献3】服部武(編)、「OFDM/OFDMA教科書」、株式会社インプレスR&D、2008年9月21日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
MU−MIMOでは、下り回線の伝搬チャネル情報を取得するために端末局推定法と基地局推定法とのどちらかの推定法を用いる。端末局推定法では、基地局装置からの信号から下り回線伝搬チャネル情報を推定することとなるため、基地局装置が生成する既知信号は基地局装置自身で生成することができる。したがって、MU−MIMOに必要なすべてのサブキャリアに対応する既知信号を送信することで、すべてのサブキャリアに対応する下り回線の伝搬チャネル情報を取得することができる。
【0011】
しかしながら、基地局推定法では既知信号を送信するのは端末局装置となるため、必ずしもMU−MIMOで伝送する際に必要なすべての送信ウエイトに対応するサブキャリアに既知信号が生成されるとは限らない。例えば、端末局装置がOFDMAを用いて伝送を行った場合、一部のサブキャリアを用いて伝送を行うため、MU−MIMOで必要となる伝搬チャネル情報が不足して送信ウエイトが得られないという問題がある。
【0012】
上記事情に鑑み、本発明は、複数の端末局装置が基地局装置に対しOFDMA伝送(同一時刻に異なる周波数を用いた周波数多重伝送)を用いる場合においても、MU−MIMO(同一時刻に同一周波数を用いた空間多重伝送)で必要となる送信ウエイトを取得できる無線通信システム、及び無線通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成部と、前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部と、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報を記憶する伝搬チャネル記憶部と、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に付加して出力する伝搬チャネル付加部と、前記伝搬チャネル付加部から出力される伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数と同じ周波数の伝搬チャネル情報であって前記伝搬チャネル記憶部に記憶されている伝搬チャネル情報と、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報とに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する伝搬チャネル相関算出部を更に備え、前記伝搬チャネル付加部は、前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に付加して出力し、前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報のみを出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成部と、前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部と、前記伝搬チャネル推定部が推定した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトを記憶する送信ウエイト記憶部と、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに付加して出力する送信ウエイト付加部と、前記送信ウエイト付加部が出力した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数と同じ周波数の送信ウエイトであって前記送信ウエイト記憶部に記憶されている送信ウエイトと、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトとに基づいて、前記空間多重伝送において用いる周波数を分けた複数の周波数帯域の相関値を算出する送信ウエイト相関算出部を更に備え、前記送信ウエイト付加部は、前記周波数帯域それぞれの相関値が予め定めた閾値以上の場合、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトに付加して出力し、前記周波数帯域それぞれの相関値が前記閾値未満の場合、前記送信ウエイト算出部が算出した送信ウエイトのみを出力することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記周波数チャネル指定信号生成部は、複数の前記周波数帯域のうち相関値が低い周波数帯域の周波数を優先的に、前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数に指定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様は、基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムにおいて前記基地局装置が行う無線通信方法であって、前記端末局装置から自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成ステップと、前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定ステップと、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部に記憶させる伝搬チャネル記憶ステップと、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報の周波数以外の周波数における伝搬チャネル情報を前記伝搬チャネル記憶部から読み出して、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報に付加して出力する伝搬チャネル付加ステップと、前記伝搬チャネル付加ステップにおいて出力した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信ステップとを有することを特徴とする無線通信方法である。
【0019】
また、本発明の一態様は、基地局装置から複数の端末局装置にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いて空間多重伝送を行い、前記端末局装置から前記基地局装置にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送を行う無線通信システムにおいて前記基地局装置が行う無線通信方法であって、前記端末局装置が自装置にデータを送信する際に利用する周波数を指定する周波数チャネル指定信号であって前記端末局装置が自装置にデータを送信するごとに当該周波数を変更させる周波数チャネル指定信号を生成する周波数チャネル指定信号生成ステップと、前記周波数チャネル指定信号で指定した周波数を用いて前記端末局装置が送信した信号に基づいて当該端末局装置と自装置との間における伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定ステップと、前記伝搬チャネル推定ステップにおいて推定した伝搬チャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトを送信ウエイト記憶部に記憶させる送信ウエイト記憶ステップと、前記空間多重伝送において用いる周波数のうち前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトの周波数以外の周波数における送信ウエイトを前記送信ウエイト記憶部から読み出して、前記送信ウエイト算出ステップにおいて算出した送信ウエイトに付加して出力する送信ウエイト付加ステップと、前記送信ウエイト付加ステップにおいて出力した送信ウエイトに基づいて多重化されたデータを複数の前記端末局装置に送信する送信ステップとを有することを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基地局装置は、端末局装置が基地局装置にデータを送信する際に用いる周波数を送信ごとに変更させて、データを受信した際に周波数の伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを取得して記憶する。また、基地局装置は、受信したデータから得られなかった周波数の伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを、記憶している伝搬チャネル情報又は送信ウエイトで補うことにより、端末局装置が周波数多重伝送(OFDMA)を行う場合であっても、空間多重伝送(MU−MIMO)で必要となる送信ウエイトを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る無線通信システムの概要を示す図である。
図2】第1の実施形態における基地局装置100の構成例を示すブロック図である。
図3】複数の帯域に端末局装置200を割り当てる組み合わせと識別番号(ID)とを対応付けたテーブルの一例を示す図である。
図4】同実施形態における端末局装置200の構成例を示すブロック図である。
図5】同実施形態における無線通信システムの通信動作例を示すタイムチャートである。
図6】第2の実施形態における基地局装置300の構成例を示すブロック図である。
図7】第3の実施形態における基地局装置400の構成例を示すブロック図である。
図8】第4の実施形態における基地局装置500の構成例を示すブロック図である。
図9】第5の実施形態における基地局装置600の構成例を示すブロック図である。
図10】第6の実施形態における基地局装置700の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における無線通信システム、及び無線通信方法を説明する。以下に説明する無線通信システムにおいて、基地局装置は、端末局装置に対して上り回線におけるOFDMAを用いて伝送する際のサブキャリアを伝送ごとに変更させる。基地局装置は、上り回線において使用されたサブキャリアの伝搬チャネル情報に基づいて、下り回線における各サブキャリアの伝搬チャネル情報又は下り回線における各サブキャリアの送信ウエイトを取得するとともに、伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを記憶し、下り回線におけるMU−MIMO伝送で利用する。
【0023】
図1は、本発明に係る無線通信システムの概要を示す図である。同図に示すように、基地局装置100、並びに、基地局装置100と無線パケット通信を行う端末局装置200−1及び端末局装置200−2を備えている。基地局装置100と、端末局装置200−1及び端末局装置200−2とは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance;搬送波検知多重アクセス/衝突回避)方式を用いて、同一周波数チャネルを用いて無線パケット通信を行う。基地局装置100は、端末局装置200−1及び端末局装置200−2にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数を用いた空間多重伝送(MU−MIMO)を行う。端末局装置200−1及び端末局装置200−2は、基地局装置100にデータを送信する際には同一時刻に異なる周波数を用いて周波数多重伝送(OFDMA)を行う。
【0024】
無線パケット通信において送受信される無線パケットには、送信局と宛先局とを示す識別子が含まれる。ここで、送信局とは無線パケットを生成し送信した装置である。宛先局とは無線パケットの宛先となる装置である。例えば、基地局装置100は無線LANにおけるアクセスポイントなどであり、端末局装置200−1及び端末局装置200−2は無線LANにおけるコンピュータや携帯型の情報電子機器などである。図1においては、無線通信システムが二台の端末局装置200(200−1、200−2)を備える例を示しているが、三台以上の端末局装置200を備えていてもよいし、一台の端末局装置200を備えていてもよい。
【0025】
以下の説明において、基地局装置100と端末局装置200−1との間のサブキャリア番号kの下り回線における伝搬チャネル情報をHd1,kとし、基地局装置100と端末局装置200−2との間のサブキャリア番号kの下り回線における伝搬チャネル情報をHd2,kとする。また、基地局装置100と端末局装置200−1との間のサブキャリア番号kの上り回線における伝搬チャネル情報をHu1,kとし、基地局装置100と端末局装置200−2との間のサブキャリア番号kの上り回線における伝搬チャネル情報をHu2,kとする。
【0026】
[第1の実施形態]
第1の実施形態における無線通信システムは、図1に示したように、基地局装置100と複数の端末局装置200を備えている。図2は、第1の実施形態における基地局装置100の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置100は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部102と、変調部103と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜107−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109と、伝搬チャネル校正部110と、伝搬チャネル記憶部111と、伝搬チャネル付加部112と、送信ウエイト算出部113とを備えている。
【0027】
ネットワークインターフェース101は、外部の装置から入力されるパケットをデータ信号に変換し、変換により得られたデータ信号を変調部103に出力する。また、ネットワークインターフェース101は、復調部108から入力されるデータ信号を外部の装置において用いられるパケットに変換し、変換により得られたパケットを外部の装置や外部のネットワークに出力する。
【0028】
周波数チャネル指定信号生成部102は、端末局装置200が応答確認信号を自装置に対して送信する際に用いるサブキャリア(周波数チャネル)を示す周波数チャネル指定信号を生成し、生成した周波数チャネル指定信号を変調部103に出力する。周波数チャネル指定信号には、アドレスなどの端末局装置200の識別子と、端末局装置200が送信に用いるサブキャリアを示す情報とが含まれる。周波数チャネル指定信号生成部102は、端末局装置200が自装置へ信号を送信する際に用いるサブキャリアを送信の都度に変更させる周波数チャネル指定信号を生成するとともに、無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアが一定の期間において少なくとも一回以上選択されるようにする。
【0029】
なお、図3に示すように、上り回線において用いる複数の帯域(サブキャリア)に端末局装置200を割り当てる組み合わせに対して識別番号(ID)を対応付けたテーブルを基地局装置100と端末局装置200とに備え、周波数チャネル指定信号生成部102は識別番号を含む周波数チャネル指定信号を生成するようにしてもよい。図3は、複数の帯域に端末局装置200を割り当てる組み合わせと識別番号(ID)とを対応付けたテーブルの一例を示す図である。同図には、上り回線において4つの帯域(サブキャリア)を用いる場合のテーブルの一例が示されている。
【0030】
変調部103には、ネットワークインターフェース101からデータ信号が入力され、周波数チャネル指定信号生成部102から周波数チャネル指定信号が入力される。変調部103は、データ信号と周波数チャネル指定信号とを変調して無線パケット信号を生成し、生成した無線パケット信号をウエイト乗算部104に出力する。
【0031】
ウエイト乗算部104には、変調部103から無線パケット信号が入力され、送信ウエイト算出部113から送信ウエイトが入力される。ウエイト乗算部104は、送信ウエイトごとに無線パケット信号を乗算し、送信部105−1〜105−Nに乗算結果を示す送信信号を出力する。
【0032】
送信部105−1〜105−Nそれぞれは、ウエイト乗算部104から入力される送信信号を無線通信システムにおいて規定されている無線周波数に変換するとともに、送信電力の調整などを行い、アンテナ106−1〜106−Nから送出する。
【0033】
受信部107−1〜107−Nそれぞれは、接続されているアンテナ106−1〜106−Nを介して受信した受信信号の周波数をベースバンド周波数に変換するとともに、受信電力の調整などを行い、復調部108に出力する。
【0034】
復調部108は、受信部107−1〜107−Nそれぞれから入力される受信信号を復調する。復調部108は、復調により得られたデータ信号のうち、伝搬チャネル推定用の信号(既知信号)を伝搬チャネル推定部109に出力し、他のデータ信号をネットワークインターフェース101に出力する。
【0035】
伝搬チャネル推定部109は、復調部108から入力される伝搬チャネル推定用の信号と、既知の伝搬チャネル推定用の信号とを比較することにより、アンテナ106−1〜106−Nそれぞれと端末局装置200との間の上り回線におけるサブキャリアごとの伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部109は、推定した伝搬チャネル情報を伝搬チャネル校正部110に出力する。
【0036】
伝搬チャネル校正部110は、伝搬チャネル推定部109から入力される伝搬チャネル情報に対して予め定められた校正値を用いて、上り回線における伝搬チャネル情報から下り回線における伝搬チャネル情報を算出する。伝搬チャネル校正部110は、算出した下り回線の伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部111に出力して記憶させる。また、伝搬チャネル校正部110は、算出した下り回線の伝搬チャネル情報を伝搬チャネル付加部112に出力する。下り回線の伝搬チャネル情報Hd,kは、次式(1)を用いて算出される。
【0037】
【数1】
【0038】
式(1)における行列Cは、上り回線の伝搬チャネル情報Hu,kを下り回線の伝搬チャネル情報Hd,kへの校正を行うための校正行列(校正値)である。
【0039】
伝搬チャネル記憶部111は、伝搬チャネル校正部110から入力される下り回線の伝搬チャネル情報をサブキャリアごとに記憶する。周波数チャネル指定信号生成部102が上り回線における送信の都度異なるサブキャリアを用いるように制御することにより、すべてのサブキャリアを用いた上り回線の送信が行われた後には、無線通信システムにおいて用いるすべてのサブキャリアの伝搬チャネル情報が伝搬チャネル記憶部111に記憶されることになる。
【0040】
伝搬チャネル付加部112には、伝搬チャネル校正部110から伝搬チャネル情報が入力される。無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアのうち伝搬チャネル校正部110から入力された伝搬チャネル情報のサブキャリア以外のサブキャリア(以下、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリア)に対する伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル付加部112は伝搬チャネル記憶部111から読み出す。伝搬チャネル付加部112は、入力された伝搬チャネル情報に、読み出した伝搬チャネル情報を付加して送信ウエイト算出部113に出力する。すなわち、伝搬チャネル付加部112は、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアの伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル記憶部111から読み出し付加することにより補う。伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号がkである場合、次式(2)により伝搬チャネル情報の付加が行われる。
【0041】
【数2】
【0042】
式(2)において「^(ハット)」が上に付されている行列Hd,kは、伝搬チャネル記憶部111に記憶されている伝搬チャネル情報であって既に行われた上り回線の通信から式(1)などを用いて算出された伝搬チャネル情報である。伝搬チャネル付加部112が、伝搬チャネル校正部110が算出した伝搬チャネル情報に対して、伝搬チャネル記憶部111から読み出した伝搬チャネル情報を付加することにより、すべてのサブキャリアにおける下り回線の伝搬チャネル情報が送信ウエイト算出部113に入力される。
【0043】
送信ウエイト算出部113は、伝搬チャネル付加部112から入力される下り回線の伝搬チャネル情報に基づいて、各サブキャリアに対応する送信ウエイトを算出する。送信ウエイト算出部113は、算出した送信ウエイトをウエイト乗算部104に出力する。送信ウエイト算出部113が送信ウエイトを算出する方法として、線形演算ではZF(Zero Forcing)法やMMSE(Minimum Mean Squared Error)法などを用い、非線形演算ではTHP(Tomlinson Harashima Precoding)法やVP(Vector Perturbation)法などを用いることができる。なお、送信ウエイト算出部113では、前述の手法のいずれか、又は他の手法を用いて送信ウエイトを算出する。
【0044】
図4は、本実施形態における端末局装置200の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、端末局装置200は、アンテナ201と、受信部202と、復調部203と、ネットワークインターフェース204と、周波数帯域指定信号検出部205と、周波数チャネル指示部206と、伝搬チャネル情報推定信号生成部207と、OFDMA変調部208と、送信部209とを備えている。
【0045】
受信部202は、接続されているアンテナ201を介して受信した受信信号の周波数をベースバンド周波数に変換するとともに、受信電力の調整などを行い、復調部203に出力する。
【0046】
復調部203は、受信部202から入力される受信信号を復調する。復調部203は、復調により得られたデータ信号のうち、周波数チャネル指定信号を周波数帯域指定信号検出部205に出力し、他のデータ信号をネットワークインターフェース204に出力する。
【0047】
ネットワークインターフェース204は、復調部203から入力されるデータ信号を外部の装置において用いられるパケットに変換し、変換により得られたパケットを外部の装置や外部のネットワークに出力する。
【0048】
周波数帯域指定信号検出部205は、復調部203から入力される周波数チャネル指定信号から、自装置が送信に用いるサブキャリアの指定を検出する。周波数帯域指定信号検出部205は、検出した自装置が用いるサブキャリアを示すチャネル情報を周波数チャネル指示部206に出力する。
【0049】
周波数チャネル指示部206は、周波数帯域指定信号検出部205から入力されるチャネル情報に従い、送信の際に用いるサブキャリアをOFDMA変調部208に指示する。
伝搬チャネル情報推定信号生成部207は、基地局装置100において上り回線の伝搬チャネル情報を推定する際に用いる伝搬チャネル推定用の信号を生成し、生成した信号をOFDMA変調部208に出力する。
【0050】
OFDMA変調部208は、周波数チャネル指示部206から指示されるサブキャリアにおいて、伝搬チャネル情報推定信号生成部207から生成される信号を変調して無線パケット信号を生成する。OFDMA変調部208は、生成した無線パケット信号を送信部209に出力する。
送信部209は、OFDMA変調部208から入力される無線パケット信号を無線通信システムにおいて規定されている無線周波数に変換するとともに、送信電力の調整などを行い、アンテナ201から送出する。
【0051】
図5は、本実施形態における無線通信システムの通信動作例を示すタイムチャートである。同図に示す通信動作例では、基地局装置100において端末局装置200−1及び端末局装置200−2宛のパケットが連続的に生起し、MU−MIMOを用いた下り回線のデータ信号の送信と、OFDMA伝送を用いた応答確認信号(Block Acknowledge;BA)の送信と交互に行われる場合を示している。
【0052】
同図において、基地局装置100は端末局装置200−1及び端末局装置200−2にデータ信号と周波数チャネル指定信号とを送信し、端末局装置200−1及び端末局装置200−2は基地局装置100が指定したサブキャリアにて応答確認信号を送信する。時刻Tにおける応答確認信号の送信では、端末局装置200−1が無線通信システムにおいて利用する周波数帯の周波数が低い下側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信し、端末局装置200−2が周波数帯の周波数が高い上側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信する。
【0053】
時刻Tにおける応答確認信号の送信では、端末局装置200−1が上側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信し、端末局装置200−2が下側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信する。時刻Tにおける応答確認信号の送信では、端末局装置200−1が下側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信し、端末局装置200−2が上側半分の周波数帯域を用いて応答確認信号を送信する。
【0054】
基地局装置100では、応答確認信号を受信するごとに、応答確認信号に含まれる伝搬チャネル推定用の信号に基づいて得られる下り回線の伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部111が記憶する。応答確認信号ごとに得られる伝搬チャネル情報のサブキャリア(周波数チャネル)は異なっているので、複数回の応答確認信号を受信することにより、端末局装置200−1及び端末局装置200−2それぞれに対する下り回線の伝搬チャネル情報を通信に利用するすべてのサブキャリアの伝搬チャネル情報を得ることができる。
【0055】
例えば、同図に示す通信動作例では、時刻Tにおける応答確認信号を受信すると基地局装置100は、端末局装置200−1及び端末局装置200−2それぞれに対するすべてのサブキャリアにおける下り回線の伝搬チャネル情報が得られる。具体的には、時刻Tにおいて、無線通信システムにおいて利用する周波数帯の周波数が低い下側半分の周波数帯域における各サブキャリアの端末局装置200−1に対する伝搬チャネル情報と、上側半分の周波数帯域における各サブキャリアの端末局装置200−2に対する伝搬チャネル情報とが伝搬チャネル記憶部111に記憶されている。また、上側半分の周波数帯域における各サブキャリアの端末局装置200−1に対する伝搬チャネル情報と、下側半分の周波数帯域における各サブキャリアの端末局装置200−2に対する伝搬チャネル情報とが伝搬チャネル校正部110により算出される。
【0056】
基地局装置100では、伝搬チャネル記憶部111に記憶されている各サブキャリアの伝搬チャネル情報と、伝搬チャネル校正部110が算出する各サブキャリアの伝搬チャネル情報とに基づいて、各サブキャリアに対する送信ウエイトとを送信ウエイト算出部113が算出する。算出された送信ウエイトを端末局装置200−1及び端末局装置200−2それぞれに対する無線パケット信号にウエイト乗算部104が乗算して得られた送信信号を送信部105−1〜105−Nが送信することによりMU−MIMOを用いた下り回線のデータ信号の送信が行われる。
【0057】
以上のように、上り回線における信号の送信(例えば、応答確認信号の送信)において送信ごとにサブキャリアを変更させることにより、基地局装置100は、下り回線の伝搬チャネル情報を取得し、当該伝搬チャネル情報から算出した送信ウエイトを用いて端末局装置200−1及び端末局装置200−1宛の信号を多重化した送信をMU−MIMOで行うことができる。すなわち、本実施形態の無線通信システムによれば、上り回線においてOFDMA伝送を用いた場合においても、下り回線におけるMU−MIMOで必要となる伝搬チャネル情報を取得して送信ウエイトを算出することができ、MU−MIMOを用いた伝送を行うことができる。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態における無線通信システムは、第1の実施形態における無線通信システムが備える基地局装置100に代えて、以下に説明する基地局装置を備える。図6は、第2の実施形態における基地局装置300の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置300は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部102と、変調部103と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜107−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109、伝搬チャネル校正部110、送信ウエイト算出部313と、送信ウエイト記憶部314と、送信ウエイト付加部315とを備えている。
【0059】
本実施形態における基地局装置300は、送信ウエイト算出部113に代えて送信ウエイト算出部313を備えている点と、伝搬チャネル記憶部111及び伝搬チャネル付加部112に代えて送信ウエイト記憶部314及び送信ウエイト付加部315を備えている点とが第1の実施形態における基地局装置100(図2)と異なっている。基地局装置300において、ウエイト乗算部104には送信ウエイトが送信ウエイト付加部315から入力され、伝搬チャネル校正部110は伝搬チャネル情報を送信ウエイト算出部313に出力する。なお、基地局装置300において、基地局装置100が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
送信ウエイト算出部313には、伝搬チャネル校正部110から入力される下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。送信ウエイト算出部313は、入力される伝搬チャネル情報に基づいて、各アンテナ106−1〜106−Nに対応する送信ウエイトを算出する。送信ウエイト算出部313は、算出した送信ウエイトを送信ウエイト記憶部314に出力して記憶させる。また、送信ウエイト算出部313は、算出した送信ウエイトを送信ウエイト付加部315に出力する。
【0061】
送信ウエイト記憶部314は、送信ウエイト算出部313から入力される送信ウエイトを記憶する。周波数チャネル指定信号生成部102が上り回線における送信の都度異なるサブキャリアを用いるように制御することにより、すべてのサブキャリアを用いた上り回線の送信が行われた後には、無線通信システムにおいて用いるすべてのサブキャリアの送信ウエイトが端末局装置200ごとに送信ウエイト記憶部314に記憶されることになる。
【0062】
送信ウエイト付加部315には、送信ウエイト算出部313から送信ウエイトが入力される。無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアのうち送信ウエイト算出部313から入力された送信ウエイトのサブキャリア以外のサブキャリア(以下、送信ウエイトが不足しているサブキャリア)に対する送信ウエイトを、送信ウエイト付加部315は送信ウエイト記憶部314から読み出す。送信ウエイト付加部315は、入力された送信ウエイトに、読み出した送信ウエイトを付加してウエイト乗算部104に出力する。すなわち、送信ウエイト付加部315は、送信ウエイトが不足しているサブキャリアの送信ウエイトを、送信ウエイト記憶部314から読み出し付加することにより補う。送信ウエイトが不足しているサブキャリアのサブキャリア番号がkである場合、次式(3)により送信ウエイトWの付加が行われる。
【0063】
【数3】
【0064】
式(3)において「^(ハット)」が上に付されている送信ウエイトWは、送信ウエイト記憶部314に記憶されているサブキャリア番号kの送信ウエイトであって、既に行われた上り回線の通信に基づいて算出された送信ウエイトである。以下、数式などにおいて「^(ハット)」が上に付されている文字は、「^」を文字の前に記して表す。例えば、式(3)の右辺における送信ウエイトは、「^W」と表す。送信ウエイト付加部315が、送信ウエイト算出部313が算出した送信ウエイトに不足する送信ウエイトを付加することにより、すべてのサブキャリアにおける下り回線の送信ウエイトがウエイト乗算部104に入力される。
【0065】
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第1の実施形態における無線通信システムの通信動作と同様であるので説明を省略する。本実施形態における基地局装置300では、伝搬チャネル情報を記憶することに代えて、送信ウエイトを送信ウエイト記憶部314に記憶させている。送信ウエイトを記憶させることにより、上り回線における伝搬チャネル情報が得られる都度送信ウエイトを算出する場合に比べ、下り回線における送信の際における演算量を削減することができる。
【0066】
[第3の実施形態]
第3の実施形態における無線通信システムは、第1の実施形態における無線通信システムが備える基地局装置100に代えて、以下に説明する基地局装置を備える。図7は、第3の実施形態における基地局装置400の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置400は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部102と、帯域切替型変調部403と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜1−7−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109と、伝搬チャネル校正部110と、伝搬チャネル記憶部111と、伝搬チャネル相関算出部412と、切替型伝搬チャネル付加部413と、送信ウエイト算出部113とを備えている。
【0067】
本実施形態における基地局装置400は、変調部103に代えて帯域切替型変調部403を備えている点と、伝搬チャネル付加部112に代えて切替型伝搬チャネル付加部413を備えている点と、伝搬チャネル相関算出部412を更に備えている点とが、第1の実施形態における基地局装置100(図2)と異なっている。基地局装置400において、ウエイト乗算部104には無線パケット信号が帯域切替型変調部403から入力され、送信ウエイト算出部113には下り回線の伝搬チャネル情報が切替型伝搬チャネル付加部413から入力される。伝搬チャネル校正部110は、伝搬チャネル記憶部111、伝搬チャネル相関算出部412、及び切替型伝搬チャネル付加部413に下り回線の伝搬チャネル情報を出力する。なお、基地局装置400において、基地局装置100が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
【0068】
帯域切替型変調部403には、ネットワークインターフェース101からデータ信号が入力され、周波数チャネル指定信号生成部102から周波数チャネル指定信号が入力され、伝搬チャネル相関算出部412から各周波数帯域の相関値が入力される。周波数帯域は、無線通信システムにおいて利用する周波数帯を複数に分割して予め定めたものであり、サブキャリアはいずれかの周波数帯域に含まれる。帯域切替型変調部403は、周波数帯域の相関値が予め定められた閾値未満の周波数帯域を用いるように、データ信号と周波数チャネル指定信号とを変調して無線パケット信号を生成する。帯域切替型変調部403は、生成した無線パケット信号をウエイト乗算部104に出力する。
【0069】
伝搬チャネル相関算出部412には、伝搬チャネル校正部110から下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。伝搬チャネル相関算出部412は、入力された伝搬チャネル情報のサブキャリアと同じサブキャリアの伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部111から読み出す。伝搬チャネル相関算出部412は、入力された伝搬チャネル情報と、読み出した伝搬チャネル情報とに基づいて、周波数帯域ごとに相関値を算出する。伝搬チャネル相関算出部412は、算出した各周波数帯域の相関値を切替型伝搬チャネル付加部413と帯域切替型変調部403とに出力する。伝搬チャネル相関算出部412は、例えば、次式(4)を用いて、周波数帯域ごとの相関値Sを算出する。
【0070】
【数4】
【0071】
式(4)において、Aは行列Hd,k(サブキャリア番号kの下り回線の伝搬チャネル情報)の行数であり、Bは行列Hd,kの列数であり、hd,k,a,bは行列Hd,kにおけるa行b列の要素である。^hd,k,a,bは、行列^Hd,k(伝搬チャネル記憶部111に記憶されているサブキャリア番号kの伝搬チャネル情報)におけるa行b列の要素である。また、^hd,k,a,bは^hd,k,a,bの複素共役である。式(4)におけるkは周波数帯域それぞれに含まれるサブキャリアのサブキャリア番号kである。
【0072】
切替型伝搬チャネル付加部413には、伝搬チャネル校正部110から伝搬チャネル情報が入力され、伝搬チャネル相関算出部412から各周波数帯域の相関値が入力される。切替型伝搬チャネル付加部413は、入力される各周波数帯域の相関値が閾値以上の場合、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアに対する伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部111から読み出す。切替型伝搬チャネル付加部413は、入力された伝搬チャネル情報に、読み出した伝搬チャネル情報を付加して送信ウエイト算出部113に出力する。
【0073】
また、切替型伝搬チャネル付加部413は、入力される各周波数帯域の相関値が閾値未満の場合、伝搬チャネル校正部110から入力される伝搬チャネル情報のみを送信ウエイト算出部113に出力する。切替型伝搬チャネル付加部413において用いる閾値は、帯域切替型変調部403において用いる閾値と同じ値である。
【0074】
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第1の実施形態における無線通信システムの通信動作と同様であるので説明を省略する。本実施形態における基地局装置400では、伝搬チャネル情報に基づいて周波数帯域それぞれにおける相関値を算出し、相関値が低い周波数帯域を用いたMU−MIMOでデータ信号を送信することにより、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0075】
[第4の実施形態]
第4の実施形態における無線通信システムは、第2の実施形態における無線通信システムが備える基地局装置300に代えて、以下に説明する基地局装置を備える。図8は、第4の実施形態における基地局装置500の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置500は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部102と、帯域切替型変調部403と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜107−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109と、伝搬チャネル校正部110と、送信ウエイト算出部313と、送信ウエイト記憶部314と、送信ウエイト相関算出部512と、切替型送信ウエイト付加部515とを備えている。
【0076】
本実施形態における基地局装置500は、変調部103に代えて帯域切替型変調部403を備えている点と、送信ウエイト付加部315に代えて切替型送信ウエイト付加部515を備えている点と、送信ウエイト相関算出部512を更に備えている点とが、第2の実施形態における基地局装置300(図6)と異なっている。基地局装置500において、帯域切替型変調部403から無線パケット信号がウエイト乗算部104に入力され、切替型送信ウエイト付加部515から送信ウエイトがウエイト乗算部104に入力される。送信ウエイト相関算出部512から各周波数帯域における相関値が帯域切替型変調部403と切替型送信ウエイト付加部515とに入力される。送信ウエイト算出部313は、送信ウエイト記憶部314と送信ウエイト相関算出部512と切替型送信ウエイト付加部515とに送信ウエイトを出力する。なお、基地局装置500において、基地局装置300及び基地局装置400が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】
送信ウエイト相関算出部512には、送信ウエイト算出部313から送信ウエイトが入力される。送信ウエイト相関算出部512は、入力された送信ウエイトのサブキャリアと同じサブキャリアの送信ウエイトを送信ウエイト記憶部314から読み出す。送信ウエイト相関算出部512は、入力された送信ウエイトと、読み出した送信ウエイトとに基づいて、周波数帯域ごとに相関値を算出する。送信ウエイト相関算出部512は、算出した各周波数帯域の相関値を切替型送信ウエイト付加部515と帯域切替型変調部403とに出力する。送信ウエイト相関算出部512は、例えば、次式(5)を用いて、周波数帯域ごとの相関値Sを算出する。
【0078】
【数5】
【0079】
式(5)において、Aは行列W(サブキャリア番号kの送信ウエイト)の行数であり、Bは行列Wの列数であり、wk,a,bは行列Wにおけるa行b列の要素である。^wk,a,bは行列^W(送信ウエイト記憶部314に記憶されているサブキャリア番号kの送信ウエイト)におけるa行b列の要素である。また、^wk,a,bは^wk,a,bの複素共役である。式(5)におけるkは周波数帯域それぞれに含まれるサブキャリアのサブキャリア番号kである。
【0080】
切替型送信ウエイト付加部515には、送信ウエイト算出部313から送信ウエイトが入力され、送信ウエイト相関算出部512から各周波数帯域の相関値が入力される。切替型送信ウエイト付加部515は、入力される各周波数帯域の相関値が閾値以上の場合、送信ウエイトが不足しているサブキャリアに対する送信ウエイトを送信ウエイト記憶部314から読み出す。切替型送信ウエイト付加部515は、入力された送信ウエイトに、読み出した送信ウエイトを付加してウエイト乗算部104に出力する。
【0081】
また、切替型送信ウエイト付加部515は、入力される各周波数帯域の相関値が閾値未満の場合、送信ウエイト算出部313から入力される送信ウエイトのみをウエイト乗算部104に出力する。切替型送信ウエイト付加部515において用いる閾値は、帯域切替型変調部403において用いる閾値と同じ値である。
【0082】
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第1の実施形態における無線通信システムの通信動作と同様であるので説明を省略する。本実施形態における基地局装置500では、送信ウエイトに基づいて周波数帯域それぞれにおける相関値を算出し、相関値が低い周波数帯域を用いたMU−MIMOでデータ信号を送信することにより、信頼背の高い通信を行うことができる。
【0083】
[第5の実施形態]
第5の実施形態における無線通信システムは、第3の実施形態における無線通信システムが備える基地局装置400に代えて、以下に説明する基地局装置を備える。図9は、第5の実施形態における基地局装置600の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置600は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部602と、帯域切替型変調部403と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜1−7−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109と、伝搬チャネル校正部110と、伝搬チャネル記憶部111と、伝搬チャネル相関算出部412と、切替型伝搬チャネル付加部413と、送信ウエイト算出部113とを備えている。
【0084】
本実施形態における基地局装置600は、周波数チャネル指定信号生成部102に代えて周波数チャネル指定信号生成部602を備えている点が第3の実施形態における基地局装置400(図7)と異なっている。基地局装置600において、帯域切替型変調部403には周波数チャネル指定信号が周波数チャネル指定信号生成部602から入力される。伝搬チャネル相関算出部412は、帯域切替型変調部403と切替型伝搬チャネル付加部413と周波数チャネル指定信号生成部602とに各周波数帯域の相関値を出力する。なお、基地局装置600において、基地局装置400が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
周波数チャネル指定信号生成部602には、伝搬チャネル相関算出部412から各周波数帯域の相関値が入力される。周波数チャネル指定信号生成部602は、周波数チャネル指定信号生成部102と同様に、端末局装置200が応答確認信号を自装置に対して送信する際に用いるサブキャリアを示す周波数チャネル指定信号を生成する。また、周波数チャネル指定信号生成部602は、周波数チャネル指定信号を生成する際に、入力される各周波数帯域の相関値に基づいて応答確認信号の送信に用いるサブキャリアを決定する。周波数チャネル指定信号生成部602は、生成した周波数チャネル指定信号を帯域切替型変調部403に出力する。
【0086】
周波数チャネル指定信号生成部602は、例えば、相関値が低い周波数帯域のサブキャリアを優先的に選択したり、相関値が低い周波数帯域のサブキャリアが選択される機会を相関値が高い周波数帯域のサブキャリアが選択される機会より多くしたりする。なお、相関値が高い周波数帯域のサブキャリアであっても、伝搬チャネル記憶部111には各サブキャリアの伝搬チャネルを記憶させておく必要があるので、相関値が低い周波数帯域のサブキャリアのみが選択されないようにする。
【0087】
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第3の実施形態における無線通信システムの通信動作と同様であるので説明を省略する。本実施形態における基地局装置600では、周波数帯域の相関値に基づいて、端末局装置200が応答確認信号を自装置に送信する際に用いるサブキャリアを選択することにより、MU−MIMOにおける通信品質を高めることができるサブキャリアにおける伝搬チャネル情報の更新頻度を多くすることができ、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0088】
[第6の実施形態]
第6の実施形態における無線通信システムは、第4の実施形態における無線通信システムが備える基地局装置500に代えて、以下に説明する基地局装置を備える。図10は、第6の実施形態における基地局装置700の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置700は、ネットワークインターフェース101と、周波数チャネル指定信号生成部602と、帯域切替型変調部403と、ウエイト乗算部104と、送信部105−1〜105−Nと、アンテナ106−1〜106−Nと、受信部107−1〜107−Nと、復調部108と、伝搬チャネル推定部109と、伝搬チャネル校正部110と、送信ウエイト算出部313と、送信ウエイト記憶部314と、送信ウエイト相関算出部512と、切替型送信ウエイト付加部515とを備えている。
【0089】
本実施形態における基地局装置700は、周波数チャネル指定信号生成部102に代えて周波数チャネル指定信号生成部602を備えている点が第4の実施形態における基地局装置500(図8)と異なっている。基地局装置700において、帯域切替型変調部403には周波数チャネル指定信号が周波数チャネル指定信号生成部602から入力される。送信ウエイト相関算出部512は、帯域切替型変調部403と切替型送信ウエイト付加部515と周波数チャネル指定信号生成部602とに各周波数帯域の相関値を出力する。なお、基地局装置700において、基地局装置500及び基地局装置600が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
【0090】
本実施形態における基地局装置700は、第5の実施形態における基地局装置600(図9)と同様に、周波数チャネル指定信号生成部602を備えることにより、端末局装置200が自装置に対して応答確認信号を送信する際に用いるサブキャリアを相関値に応じて選択することになる。
【0091】
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第4の実施形態における無線通信システムの通信動作と同様であるので説明を省略する。本実施形態における基地局装置700では、周波数帯域の相関値に基づいて、端末局装置200が応答確認信号を自装置に送信する際に用いるサブキャリアを選択することにより、MU−MIMOにおける通信品質を高めることができるサブキャリアにおける伝搬チャネル情報の更新頻度を多くすることができ、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0092】
各実施形態における無線通信システムでは、端末局装置が基地局装置に対して応答確認信号を送信する際に利用するサブキャリアを、応答確認信号の送信が行われるごとに基地局装置が変更させることにより、無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアに対する伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを基地局装置が取得して記憶する。基地局装置は、受信した応答確認信号に含まれる既知信号に基づいて伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを取得し、伝搬チャネル情報及び送信ウエイトが得られなかったサブキャリアに関しては記憶している伝搬チャネル情報又は送信ウエイトを利用することにより、端末局装置が基地局装置に対しOFDMA伝送を用いる場合においても、MU−MIMOで必要となる送信ウエイトを取得することができる。
【0093】
なお、上記の各実施形態において、周波数チャネル指定信号を用いて端末局装置200が応答確認信号を送信する際に用いるサブキャリアを指定する構成を説明したが、応答確認信号以外にも基地局装置に対して送信するデータ信号を送信する際に用いるサブキャリアを指定するようにしてもよい。この場合には、伝搬チャネル情報を推定するための既知信号をデータ信号に付加することになる。
【0094】
上述した実施形態における基地局装置及び端末局装置をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0095】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0096】
100、300、400、500、600、700…基地局装置
101、204…ネットワークインターフェース
102、602…周波数チャネル指定信号生成部
103…変調部
104…ウエイト乗算部
105、105−1、105−N、209…送信部
106、106−1、106−N、201…アンテナ
107−1、107−N、202…受信部
108、203…復調部
109…伝搬チャネル推定部
110…伝搬チャネル校正部
111…伝搬チャネル記憶部
112…伝搬チャネル付加部
113、313…送信ウエイト算出部
200、200−1、200−2…端末局装置
205…周波数帯域指定信号検出部
206…周波数チャネル指示部
207…伝搬チャネル情報推定信号生成部
208…OFDMA変調部
314…送信ウエイト記憶部
315…送信ウエイト付加部
403…帯域切替型変調部
412…伝搬チャネル相関算出部
413…切替型伝搬チャネル付加部
512…送信ウエイト相関算出部
515…切替型送信ウエイト付加部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10