(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶媒が、1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のゲル電解質。
モノマーa2)のモノマーa1)に対する比が、1:1から1:100(質量%/質量%)までであり、好ましくは10:100から1:100(質量%/質量%)までである、請求項1から6のいずれか一項に記載のゲル電解質。
モノマーa2)のモノマーa1)に対する比が、1:1から1:100(質量%/質量%)までであり、好ましくは10:100から1:100(質量%/質量%)までである、請求項17から20のいずれか一項に記載の電極。
セラミック層が、Li、P、N、O、SまたはSeから選択される少なくとも1種の元素を含有するイオン伝導性セラミック層であり、好ましくは、セラミック層が、LiPON、Li2OまたはLi3Nから選択される、請求項17から21のいずれか一項に記載の電極。
溶媒が、1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される、請求項26から29のいずれか一項に記載の電気化学セル。
モノマーa2)のモノマーa1)に対する比が、1:1から1:100(質量%/質量%)までであり、好ましくは10:100から1:100(質量%/質量%)までである、請求項35から38のいずれか一項に記載の電気化学セル。
溶媒が、1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される、請求項40から42のいずれか一項に記載の電気化学セル。
モノマーa2)のモノマーa1)に対する比が、1:1から1:100(質量%/質量%)までであり、好ましくは10:100から1:100(質量%/質量%)までである、請求項53から56のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一利点は、利用されるポリマーが、求核攻撃に対して安定であり、好ましくは、硫黄主体型電極を含む電気化学セル中、特にLi/S電池内部における可溶性の多硫化リチウムによる求核攻撃に対して安定なことである。上記ポリマーは、アクリレートを主体とするポリマーに対して改良された安定性をもたらすが、理由として、本発明において利用されるポリマーのアミド結合が、例えば可溶性の多硫化リチウムによる求核攻撃中の安定性が向上しているという点がある。
【0012】
利用すべきモノマーを迅速に重合することができるという別の利点も、認めることができる。この迅速な重合は、電極の表面上、特にリチウムアノードの表面上でさえも実施することができる。迅速な重合は、より大規模な製造のために重要である。さらに、本発明のアミド基含有ポリマーは、電極の表面上、特にリチウムアノードの表面上への良好な接着を示すが、これもまた、大規模製造に関する一利点である。
【0013】
さらに、利用されるポリマーは、特に液体有機溶媒電解質中での良好な膨潤挙動を有する。結果として、上記ポリマーは、本発明によるゲル電解質中にうまく利用することができるが、このゲル電解質は、上記ポリマーの少なくとも1つの層、少なくとも1種の導電性塩および1種の溶媒を含む。
【0014】
本発明の第1の態様によるゲル電解質は、各ゲル電解質が、例えば損傷済み電気化学セルまたは動作中に損傷した状態になった電気化学セル中で利用されている場合でも、溶媒等の電解質の液体構成要素がポリマーによって留め置かれるため、安全面の観点からも有益である。結果として、各電気化学セルの液体構成要素の漏れは観察されず、または少なくとも低減された漏れしか観察されない。さらに、本発明によるゲル電解質の(イオン)伝導性は、従来の純粋な液体電解質の(イオン)伝導性と同様である。結果として、本発明によるゲル電解質は、高い安定性という観点と、高い導電性という観点とを兼ね備える。
【0015】
「ゲル電解質」という用語は、本発明において、構成要素a)による各ポリマー(層)が、溶媒の存在のため、膨潤した状態(「ゲル」)であるように強制されていることを意味する。構成要素a)によるポリマーは、従来の電解質が通常イオンに解離するのと同じようにイオンに解離することがない(まったく解離することがないまたは非常に限定された量でしか解離することがない)ため、(古典的な意味での)電解質として機能するためには、導電性塩もまた、必要とされる。
【0016】
本発明のさらなる利点は、上記ポリマーの少なくとも1つの層、少なくとも1つの電気活性層および少なくとも1つのセラミック層を含む、電極(本発明の第2の態様)と関連付けられている。こうした電極の内部において、ポリマー層は、セラミック層単独またはセラミック層および電気活性層によって完全に被覆されている(遮へいされている)。後者の実施形態は、例えば、各ポリマー層の1つの面は、電気活性層によって完全に被覆されているが、各層の残りの面は、セラミック層によって完全に被覆されている(囲まれている)/保護されていることを意味する。
【0017】
アミド結合によって改良された安定性に加えて、ポリマー層は、ポリマー層と例えばポリスルフィド等の求核剤を含有する従来の液体電解質との直接接触が、電気化学セルにおける動作中の本発明の電極内部で最小限しか発生せず、または発生しないため、セラミック層および任意で電気活性層によってさらに保護されている。したがって、本発明の第2の態様による電極内部の構成要素a)によるポリマー層に関しては、膨潤は観察されず、または(非常に)低減された膨潤しか観察されない。結果として、本発明の第2の態様による電極もまた、「固体ポリマー電極」として指定され得る。本発明の電極もまた、高い安定性という観点と、高い導電性という観点とを兼ね備える。
【0018】
さらに、相異なる本発明の態様を組み合わせることもできるが、これは、別の利点でもある。これは、ゲル電解質(本発明の第1の態様)が、電極(本発明の第2の態様、「固体ポリマー電極」)と組み合わされ得ることを意味する。しかしながら、本発明によるゲル電解質は、例えば当業者に公知の従来の(通例の)電極を有する電気化学セルの中に利用することもできる。同じことは、例えば当業者に公知の従来の電解質を含有する電気化学セル内部に利用され得る本発明による電極にも当てはまる。上記組合せにおける各構成要素a)は、ポリマー層の数、層(複数可)の寸法および/またはポリマーの種類に関して同じまたは異なる定義を有し得る。
【0019】
これは、言い換えると、本発明の第1の態様によるゲル電解質は、従来の電極を代わりに利用することができるため、このような固体ポリマー電極、好ましくは固体ポリマー型Liアノードが存在しなくても電気化学セル中で機能することを意味する。一方、このような固体ポリマー電極、好ましくは固体ポリマー型Liアノードは、本発明の第1の態様によるこのようなゲル電解質が存在しなくても従来の電解質を代わりに利用することができるため、電気化学セル中で機能する。しかしながら、(本発明の両方の態様に関する)好ましい一実施形態において、ゲル電解質は、少なくとも1個の固体ポリマー電極、好ましくは固体ポリマー型Liアノードと一緒に利用される。固体ポリマー電極が固体ポリマー型Liアノードである場合、固体ポリマー電極は、従来のカソードと組み合わせることもできるし、または固体ポリマー型カソード、好ましくは硫黄を主体とする固体ポリマー型カソードと組み合わせることもできる。
【0020】
本発明において、例えば式(I)中のR
5ラジカルに関して下記で定義されたC
1〜C
18アルキル等の定義は、この置換基(ラジカル)が、1から18までの炭素原子数を有するアルキルラジカルであることを意味する。アルキルラジカルは、線形であってもよいし、または分岐状および任意で環式であってもよい。環式構成要素と線形構成要素の両方を有するアルキルラジカルも同様に、上記定義によって包摂される。同じことは、他のアルキルラジカル、例えばC
1〜C
5アルキルラジカルまたはC
1〜C
10アルキルラジカルにも当てはまる。アルキルラジカルはまた、任意で、アミノ、第四級アンモニウム、ヒドロキシル、ハロゲン、アリールまたはヘテロアリール等の官能基によって一置換または多置換されていてもよい。特に明記しない限り、アルキルラジカルは、好ましくは、置換基としてのいかなる官能基も有さない。アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、tert−ブチル(tert−Bu/t−Bu)、シクロヘキシル、オクチル、ステアリルまたはベヘニルである。
【0022】
本発明の第1の態様による主題は、構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) 少なくとも1種の導電性塩、
c) 少なくとも1種の溶媒
を含む、ゲル電解質である。
【0023】
構成要素a)は、a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層である。
【0024】
構成要素a)によるポリマー自体ならびに利用されるモノマーa1)、a2)および任意でa3)を含むこれらのポリマーを製造するための各方法は、当業者に公知である。モノマーa2)は、少なくとも2個のエチレン性不飽和単位を含有するため、架橋特性を有しており、したがって、本発明においては、やはり「架橋剤」として指定されている。上記ポリマーは、例えば本発明のゲル電解質を製造するための方法に関する下記および本出願の実験の部においてさらに詳細に示されている、各モノマーを重合させることによって得ることができる。
【0025】
好ましくは、モノマーa1)は、式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、C
1〜C
10アルキル、−(CHR
4)
m−X−R
5、−(CHR
6−CHR
7−O)
m−R
5または−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、H、C
1〜C
10アルキル、−(CHR
4)
m−X−R
5、−(CHR
6−CHR
7−O)
m−R
5または−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
3、R
4およびR
6からR
11はそれぞれ独立に、HまたはC
1〜C
3アルキルであり、
R
5は、HまたはC
1〜C
18アルキルであり、
Xは、O、NHまたはSであり、
mおよびnはそれぞれ独立に、1から16までの整数であり、
oは、0から10までの整数である)
の化合物から選択される。
【0026】
式(I)のモノマーa1)において、
R
1が、−(CHR
4)
m−O−R
5、−(CHR
6−CHR
7−O)
m−R
5または−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2が、HまたはC
1〜C
5アルキルであり、
R
3、R
4およびR
6からR
11がそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、
R
5が、C
1〜C
5アルキルであり、
mおよびnがそれぞれ独立に、1から10までの整数であり、
oが、0から10までの整数である
ことは、より好ましい。
【0027】
式(I)のモノマーa1)において、
R
1が、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2が、Hであり、
R
3、R
9およびR
11がそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5が、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7が、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoがそれぞれ独立に、2から8までの整数である
ことは、さらにより好ましい。
【0028】
最も好ましくは、モノマーa1)は、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリルアミド(TEGMAm)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリルアミド(DEGBAm)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアクリルアミド(TETGMAm)、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアクリルアミド(TEGBAm)またはポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)モノブチルエーテルアクリルアミド(PEPPGBAm)から選択される。
【0029】
後者のモノマーは、スキームIに図示されている。
【0030】
【化2】
モノマーa2)は、好ましくは、式(II)
【0031】
【化3】
(式中、
Kは、−C(O)−L−、−C(O)−L−C(O)−または−L−であり、
Lは、−(CHR
4)
m−、−O−(CHR
6−CHR
7−O)
m−、−O−(CH
2)
o−(シクロヘキシレン)−(CH
2)
o−O−、−NR
2−(CHR
4)
p−NR
2−、−NR
2−(CHR
4)
p−O−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
4)
p−NR
2−、−NR
2−(CHR
6−CHR
7−O)
m−CHR
8−CHR
9−NR
2−または−NR
2−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−CHR
13−CHR
14−NR
2−であり、
R
2は、H、C
1〜C
10アルキル、−(CHR
4)
m−X−R
5、−(CHR
6−CHR
7−O)
m−R
5または−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
3、R
4およびR
6からR
14はそれぞれ独立に、HまたはC
1〜C
3アルキルであり、
R
5は、HまたはC
1〜C
18アルキルであり、
m、nおよびpはそれぞれ独立に、1から16までの整数であり、
oは、0から10までの整数である)
の化合物から選択される。
【0032】
式(II)のモノマーa2)において、
Kが、−C(O)−L−C(O)−または−L−であり、
Lが、−O−(CHR
6−CHR
7−O)
m−、−NR
2−(CHR
4)
p−O−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
4)
p−NR
2−、−NR
2−(CHR
6−CHR
7−O)
m−CHR
8−CHR
9−NR
2−または−NR
2−(CHR
6−CHR
7−O)
m−(CHR
8−CHR
9−O)
n−(CHR
10−CHR
11−O)
o−CHR
13−CHR
14−NR
2−であり、
R
2が、HまたはC
1〜C
5アルキルであり、好ましくはHであり、
R
3、R
4およびR
6からR
14がそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、
m、nおよびpがそれぞれ独立に、1から10までの整数であり、
oが、0から10までの整数である
ことは、より好ましい。
【0033】
式(II)のモノマーa2)において、
Kが、−C(O)−L−C(O)−または−L−であり、
Lが、−O−(CH
2−CH
2−O)
m−、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12がそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
6、R
11およびR
14がそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはメチルであり、
mおよびoがそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nが、7から10までの整数であり、
pが、1から3までの整数である
ことは、さらにより好ましい。
【0034】
式(II)のモノマーa2)において、
Kが、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lが、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12がそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14がそれぞれ、メチルであり、
mおよびoがそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nが、7から10までの整数であり、
pが、1から3までの整数である
ことは、さらにいっそうより好ましい。
【0035】
最も好ましくは、モノマーa2)は、トリエチレングリコールジアクリルアミド(TEGDAm)、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアクリルアミド(TOTDAm)、テトラエチレングリコールジアクリルアミド(TETGDAm)またはポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)ジアクリルアミド(PEPPGDAm)から選択される。
【0036】
後者のモノマーは、スキームIIに図示されている。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態において、構成要素a)によるポリマーは、a1)およびa2)の重合単位
a1)上記で定義された式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の少なくとも1種のモノマー、
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の少なくとも1種のモノマーa2)
を含む。
【0039】
この実施形態において、構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはモノマーa2)が、上記で定義されたスキームIおよびIIで定義されたモノマーから選択されることは、好ましい。
【0040】
構成要素a)によるポリマーは、a3)の重合単位:
a3)エチレン性不飽和単位を含有する、少なくとも1種のさらなるモノマー
をさらに含み得る。
【0041】
構成要素a)によるポリマーがa3)の重合単位をさらに含み得るという上記事項は、構成要素a)によるポリマーが、本発明のこの実施形態において、a1)、a2)およびa3)の重合単位を含むことを意味する。本発明によるモノマーa3)の定義に該当するモノマーは、当業者に公知である。遺漏をなくすために、各モノマーa3)は、それぞれモノマーa1)またはa2)の定義に該当しないことを指摘しておく。モノマーa3)は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリエチレングリコールエステル等のアクリレートモノマーも含み得る。しかしながら、任意でのモノマーa3)としてこのようなアクリレートモノマーを利用することは、例えばポリスルフィドによる求核攻撃に関する上記課題のため、好ましさが減じている。アクリレートが構成要素a)による本発明のポリマー中に任意でのモノマーa3)として利用される場合、このようなアクリレートの量は、好ましくは、任意でのモノマーa3)の総質量に対して5質量%を超過しない。より好ましくは、このようなアクリレートの量は、すべてのモノマーa1)からa3)までの総質量に対して5質量%を超過しない。さらにより好ましくは、このようなアクリレートの量は、任意でのモノマーa1)からa3)までの総質量に対して1質量%を超過しない。最も好ましくは、任意でのモノマーa3)は、いかなるアクリレートも含まない。
【0042】
好ましくは、モノマーa3)は、スチレン
であり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸もしくはマレイン酸から選択されるアニオン性モノマー
であり、または前記アニオン性モノマーの塩である。
【0043】
構成要素a)によるポリマーを得るために重合すべきモノマーa1)、a2)および任意でa3)の(質量%における)量は、構成要素a)によるこのようなポリマーを得るための当業者に公知の任意の量(比)であり得る。モノマーa1)の量が、モノマーa2)の量より多いことは、好ましい。モノマーa3)が利用される場合、それぞれの量は通常、モノマーa1)および/またはモノマーa2)の量より少ない。好ましくは、モノマーa3)の量は、(すべてのモノマーa1)からa3)までの合計量に対して)25wt%を超過せず、より好ましくは15wt%を超過せず、より好ましくは5wt%を超過せず、最も好ましくは、モノマーa3)の量は、0wt%である。
【0044】
モノマーa2)のモノマーa1)に対する比が、1:1から1:100(質量%/質量%)までであり、好ましくは10:100から1:100(質量%/質量%)までであることもまた、好ましい。
【0045】
本発明によるゲル電解質は通常、構成要素a)による1種のポリマーを含有するが、この定義に該当するさらなるポリマー、例えば、前記ポリマーのうちの2種、3種または4種以上の混合物を含有してもよい。しかしながら、本発明によるゲル電解質は、好ましくは、構成要素a)として1種のポリマーを含有する。本発明において、構成要素a)によるポリマーは、少なくとも2種の異なるモノマーを主体とすることが強制されているため、やはり「コポリマー」として指定されている。
【0046】
構成要素a)によるポリマーは、各ポリマーの層(これらのポリマーが、積層構造を形成する)として本発明のゲル電解質中に存在する。ゲル電解質は、構成要素a)の定義に該当する少なくとも1種のポリマーの1つの層のみを含むことができる。しかしながら、ゲル電解質は、構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの2つ、3つまたは4つ以上の層を含有してもよい。個別の層は、構成要素a)によるこうしたポリマーのうちの1種のみから形成されてもよいし、または前記ポリマーのうちの2種、3種もしくは4種以上の混合物から形成されてもよい。結果として、例えば、構成要素a)の定義に該当するポリマーの3つの個別の層を構成要素a)として含有するゲル電解質を得ることができる。個別の層は、同じであっても異なっていてもよい。第1の層は、例えば、第1のポリマーから作製することができるが、第2の層は、第2のポリマーと第3のポリマーとの混合物から作製することができ、一方で、第3の層もやはり、第1のポリマーから作製することができる。本発明によるゲル電解質が、構成要素a)の定義に該当する1種のポリマーの1つの層を構成要素a)として含有することは、好ましい。
【0047】
本発明によるゲル電解質の構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの個別の層は、当業者に公知の任意の寸法を有し得る。このような層の好ましい厚さは、乾燥状態において1μmから20μmまでの範囲であり、膨潤した(ゲル)状態において10μmから50μmまでの範囲である。
【0048】
本発明によるゲル電解質の構成要素b)は、少なくとも1種の導電性塩である。
【0049】
導電性塩自体は、当業者に公知である。導電性塩もまた、イオン伝導率を増大させるために利用されるイオン性電解質塩(すなわち、溶解されるイオン性塩)として、当技術分野で公知である。導電性塩は好ましくは、電気化学セル中、より好ましくはLi/S電池内部に利用され得る導電性塩から選択される。リチウムイオンを主体とする導電性塩を利用することは、好ましい。
【0050】
リチウムイオンを主体とする好ましい導電性塩の例は、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiI(ヨウ化リチウム)、LiPF
6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiAsF
6(ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム)、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)およびこれらの誘導体である。
【0051】
より好ましくは、導電性塩は、LiPF
6、LiBOBまたはLiTFSIであり、最も好ましくはLiTFSIである。
【0052】
本発明によるゲル電解質は、構成要素b)として1種の導電性塩のみを含有してもよいが、さらなる導電性塩、例えば前記導電性塩のうちの2種、3種または4種以上の混合物を含有してもよい。本発明によるゲル電解質は好ましくは、好ましくはLiTFSIである1種の導電性塩のみを含有する。
【0053】
本発明によるゲル電解質の構成要素c)は、少なくとも1種の溶媒である。
【0054】
本発明において、例えばゲル電解質の使用および/または電気化学セルにおける使用に関して、特に電池における使用に関して当業者に公知の任意の溶媒は、溶媒として利用することができる。本発明によるゲル電解質は、構成要素c)として1種の溶媒のみを含有してもよいが、さらなる溶媒、例えば2種、3種または4種以上の溶媒の混合物を含有してもよい。構成要素c)が、少なくとも2種の溶媒の混合物であることは、好ましい。溶媒は通常、非水性の液体電解質溶媒として当技術分野でやはり公知の非水性溶媒である。
【0055】
有用な非水性溶媒の例には、限定されるわけではないが、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のN−メチルアセトアミド、アセトニトリル、アセタール、ケタール、エステル、カルボネート、スルホン、スルフィット、スルホラン、脂肪族エーテル、非環式エーテル、環式エーテル、グリム、ポリエーテル、リン酸エステル、シロキサン、ジオキソラン、N−メチルピロリドン(NMP)等のN−アルキルピロリドン、前述のものの置換された形態およびこれらの配合物等、非水性有機溶媒が挙げられる。
【0056】
使用され得る非環式エーテルの例には、限定されるわけではないが、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン(DME)、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシプロパンおよび1,3−ジメトキシプロパンが挙げられる。使用され得る環式エーテルの例には、限定されるわけではないが、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン(DOL)およびトリオキサンが挙げられる。使用され得るポリエーテルの例には、限定されるわけではないが、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグリム)、より高級のグリム、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよびブチレングリコールエーテルが挙げられる。使用され得るスルホンの例には、限定されるわけではないが、スルホラン、3−メチルスルホランおよび3−スルホレンが挙げられる。前出のもののフッ素化誘導体もまた、液体電解質溶媒として有用である。本明細書で記述された溶媒の混合物もまた、使用することができる。
【0057】
本発明の構成要素c)による溶媒が、1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、より好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択されることは、好ましい。
【0058】
本発明によるゲル電解質が、構成要素f)として添加剤等のさらなる化合物を含むこともまた、可能である。このようなさらなる化合物、特に添加剤は、当業者に公知であり、電気化学セルに関して下記でさらに詳細に定義されている。
【0059】
本発明の一実施形態において、ゲル電解質は、構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) LiPF
6、LiBOBまたはLiTFSIから選択され、好ましくはLiTFSIである、少なくとも1種の導電性塩、
c) 1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される少なくとも1種の溶媒
を含む。
【0060】
この実施形態において、構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはa2)が、上記で示されたスキームIおよびIIに図示されたモノマーから選択されることは、好ましい。
【0061】
本発明の別の主題は、上記で定義されたゲル電解質を製造するための方法である。本発明のゲル電解質を製造するこの方法において、個別の構成要素a)からc)までは、混合等の当業者に公知の方法によって互いに組み合わせられる。個別の構成要素は、任意の順序および/または任意の量で一緒に組み合わせることができる。構成要素a)によるポリマーをインサイチューで、例えば、構成要素c)による溶媒中でおよび/または導電性塩の存在下で得るための重合方法を実施することもできる。構成要素a)によるポリマー層が、ラジカル重合によって得られることは、好ましい。ラジカル重合が、電極の表面上、好ましくはLiアノードの表面上で実施されることは、さらに好ましい。
【0062】
本発明の第1の態様のさらなる主題は、i)電気化学セル中または電池中に上記で定義されたゲル電解質を使用する方法、ii)このようなゲル電解質を含む電気化学セルおよびiii)このようなゲル電解質を含む電池である。電気化学セル自体および電池自体は、当業者に公知であり、好ましくは、電気化学セルは、電池である。電池自体は、好ましくは、Li/S電池である。
【0063】
「Li/S電池」または「リチウム/硫黄電池」という用語は、それぞれ、各電池が、アノードおよびカソードを含有することを意味する。アノード自体は、リチウムを含むが、カソード自体は、硫黄を含む。このようなLi/S電池の特定の実施形態は、下記でより詳細に定義されている。
【0064】
本発明の第1の態様による電気化学セルおよび/または電池は、上記で定義された本発明によるゲル電解質に加えて、少なくとも1個の電極、さらなる任意の従来の電解質および/または少なくとも1個のセパレータ等のさらなる構成要素を含有し得る。電気化学セルおよび/または電池のこうしたさらなる構成要素は通常、従来のものであり、したがって、当業者に公知である。電気化学セルにおいて使用すべきセパレータは、例えばP.Aroraら(Chem.Rev.2004年、104、4419〜4462頁)で定義されている。
【0065】
通常、電気化学セルおよび/または電池は、2個の電極を含み、これらの電極は、1個のアノードおよび1個のカソードである。各電極は、少なくとも1つの電気活性層を含み、この電気活性層は、同様に、少なくとも1種の電気活性材料を含む。各電極は、好ましくは層、例えばポリマー層として保護構造をさらに含み得る。このような保護構造は、当業者に公知である。
【0066】
本発明によるゲル電解質は通常、各電気化学セルおよび/または各電池の一方にあるアノードと、他方にあるカソードとの間に配置されている。ゲル電解質は、上記で定義された電極のうちの少なくとも1個と直接接触していてもよい。しかしながら、ゲル電解質と各電極とが直接接触していることは、電気化学セルおよび/または電池が、ゲル電解質と電極との間の空間を埋め合わせることができる少なくとも1種の従来の電解質、保護層および/またはセパレータをさらに含有し得るため、必要とされない。
【0067】
電気化学セル、特に電池が、Liアノードまたは硫黄カソードである電極を含有することは、好ましい。より好ましくは、電気化学セルは、Liアノードである1個の電極および硫黄カソードである1個の電極を含有する。
【0068】
電気化学セル内部、特に電池内部の電極が、上記で定義された構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層をさらに含有することは、さらに好ましい。層またはポリマーの数、層の寸法および/またはポリマーの種類は、ゲル電解質内部の構成要素a)の各定義に比較される電極内部の構成要素a)の各定義に関して同じであっても異なっていてもよい。
【0069】
電極の一部である構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの個別の層は、当業者に公知の任意の寸法を有し得る。このような層の好ましい厚さは、乾燥状態において1μmから20μmまでの範囲であり、膨潤した(ゲル)状態において10μmから50μmまでの範囲である。
【0070】
構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層を含有する各電極が、構成要素d)およびe)
d) 少なくとも1つの電気活性層、
e) 少なくとも1つのセラミック層
をさらに含有し、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されていることは、さらにより好ましい。構成要素d)およびe)は、本発明の第2の態様(「固体ポリマー電極」/構成要素a)、d)およびe)を含む電極)に関して下記でさらに詳細に定義されている。
【0071】
本発明によるゲル電解質が、構成要素f)として添加剤等のさらなる化合物を含むこともまた、可能である。このようなさらなる化合物、特に添加剤は、当業者に公知であり、電気化学セルに関して下記でさらに詳細に定義されている。
【0072】
電気化学セルは、好ましくは添加剤である少なくとも1種のさらなる化合物を構成要素f)としてさらに含有してもよいし、および/または、電気化学セルがLiアノード等のリチウムを主体とする少なくとも1個の電極を含有する場合ではリチウムを含有する。構成要素f)による化合物の例は、硝酸グアニジニウム、LiNO
3、LiBF
4、LiClO
4、Li
2SiF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、LiCF
3SO
3、LiN(SO
2F)
2、LiC(C
nF
2n+1SO
2)
3(式中、nは、1から20までの範囲の整数である)および一般式(C
nF
2n+1SO
2)
mXLi(式中、nは、1から20までの範囲の整数であり、mは、Xが酸素または硫黄から選択される場合に1であり、mは、Xが窒素またはリンから選択される場合に2であり、mは、Xが炭素またはケイ素から選択される場合に3であり、nは、1から20までの範囲の整数である)の塩から選択される。適切な塩は、LiC(CF
3SO
2)
3、LiN(CF
3SO
2)
2から選択される。
【0073】
本発明の第1の態様による一実施形態において、電気化学セルは、
i)構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) LiPF
6、LiBOBまたはLiTFSIから選択され、好ましくはLiTFSIである、少なくとも1種の導電性塩、
c) 1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される少なくとも1種の溶媒
を含む、少なくとも1種のゲル電解質ならびに
ii)構成要素a)、d)およびe)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
d) リチウム金属またはリチウム金属合金から選択される少なくとも1つの電気活性層、
e) LiPON、Li
2OまたはLi
3Nから選択される少なくとも1つのセラミック層
を含む、少なくとも1個の電極であって、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されている、電極
を含む。
【0074】
この実施形態における各構成要素a)は、層またはポリマーの数、層の寸法および/またはポリマーの種類に関して同じまたは異なる定義を有し得る。
【0075】
この実施形態において、ゲル電解質(構成要素i))内部と電極(構成要素ii))内部の両方において、各構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはa2)が、上記で示されたスキームIおよびIIに図示されたモノマーから選択されることは、好ましい。電極は、好ましくは、Liアノードである。
【0076】
本発明の第2の態様による主題は、構成要素a)、d)およびe)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
d) 少なくとも1つの電気活性層、
e) 少なくとも1つのセラミック層
を含む、電極であって、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されている、電極である。
【0077】
本発明の第2の態様による電極は、構成要素a)に関する(上記の)「固体ポリマー電極」として考えることができる。これは、構成要素a)によるポリマーの層が、セラミック層単独またはセラミック層(構成要素e))および電気活性層(構成要素d))によって完全に被覆されている(遮へいされている)ためである。こうしたセラミック層および任意で電気活性層による保護のため、構成要素a)によるポリマー層と例えば溶媒および/または従来の液体電解質との直接接触は、例えば電気化学セルにおける動作中に最小限しか発生せず、または発生しない。結果として、ポリマーは、上記保護のため、膨潤せず(まったく膨潤せず、または低減された量しか膨潤しない)、したがって、固体状のまたは乾燥した(ポリマー)層であると考えることができる。(低減された)膨潤の量(度合い)は、種類および/または厚さ等、利用されるセラミック層(構成要素e))のパラメータによって制御することができる。
【0078】
本発明の第2の態様による電極の二次元的透視図において、構成要素a)による前記(乾燥)ポリマー層は、i)一方の面の電気活性層と他方の面の前記セラミック層との間またはii)2つのセラミック層間に挟まれている。上記の2つのセラミック層間に挟まれている場合、2つのセラミック層は、同じであっても異なっていてもよい。通常、前記2つのセラミック層のうちの1つは、(構成要素a)によるポリマー層に対して)反対側の面において、電気活性層と接続されている。しかしながら、本発明の第2の態様による電極の三次元的透視図において、前記(乾燥)ポリマー層は、前記(乾燥)ポリマーの膨潤を起こすことになる何らかの溶媒と最小限しか直接接触していない状態または直接接触していない/保護されていない形態である。構成要素a)によるポリマー層の保護(被覆)は、例えば電気化学セルおよび/または電池のハウジングによって部分的に実施することができる。このように保護(被覆)を部分的に実施できることは、上記の2つのセラミック層間に挟まれている場合、セラミック層(構成要素e))の一部および任意で電気活性層(構成要素d))の一部が、電気化学セルおよび/または電池のハウジングによって置きかえられていることを意味する。
【0079】
構成要素a)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、a1)およびa2)および任意でa3)の重合単位を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層である。
【0080】
本発明による電極の構成要素d)は、少なくとも1つの電気活性層である。適切な電気活性層(電気活性材料)は、当業者に公知であり、例えば本発明において記述された電気化学セルおよび/または電池のカソード中のカソード活物質および/またはアノード中のアノード活物質として利用することができる。本発明による電極は通常、構成要素d)による1つの電気活性層のみを含有するが、さらなる電気活性層、例えば2つまたは3つ以上の電気活性層を含有してもよい。しかしながら、本発明による電極は、好ましくは、構成要素d)による1つの電気活性層のみを含有する。アノードである電極が、カソードである電極に比較して異なる電気活性層を含有することもまた、好ましい。
【0081】
電極がカソードである場合におけるカソード活物質としての使用のための適切な電気活性層には、限定されるわけではないが、電気活性な遷移金属のカルコゲニド、電気活性な導電性ポリマー、硫黄、炭素および/またはこれらの組合せを挙げることができる。本明細書で使用されているとき、「カルコゲニド」という用語は、酸素、硫黄およびセレンの元素のうちの1種または複数を含有する化合物に関する。適切な遷移金属のカルコゲニドの例には、限定されるわけではないが、Mn、V、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、OsおよびIrからなる群より選択される遷移金属の電気活性な酸化物、硫化物およびセレン化物が挙げられる。一実施形態において、遷移金属のカルコゲニドは、ニッケル、マンガン、コバルトおよびバナジウムの電気活性な酸化物ならびに鉄の電気活性な硫化物からなる群より選択される。一実施形態において、カソードは、次の材料のうちの1種または複数を含む:二酸化マンガン、ヨウ素、クロム酸銀、酸化銀および五酸化バナジウム、酸化銅、オキシリン酸銅、硫化鉛、硫化銅、硫化鉄、ビスマス酸鉛、三酸化ビスマス、二酸化コバルト、塩化銅、二酸化マンガンおよび炭素。別の実施形態において、カソード活性層は、電気活性な導電性ポリマーを含む。適切な電気活性な導電性ポリマーの例には、限定されるわけではないが、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリチオフェンおよびポリアセチレンからなる群より選択される電気活性で導電性のポリマーが挙げられる。導電性ポリマーの例には、ポリピロール、ポリアニリンおよびポリアセチレンが挙げられる。
【0082】
一部の実施形態において、本発明による電極におけるカソード活性層(材料)としての使用のための電気活性層は、電気活性な硫黄含有材料を含む。本明細書で使用されている「電気活性な硫黄含有材料」は、その電気化学的活性が硫黄原子または硫黄部分の酸化または還元に関与する、任意の形態の元素状硫黄を含むカソード活性層に関する。本発明の実践に有用な電気活性な硫黄含有層の性質は、当技術分野で公知のように、多種多様であり得る。例えば、一実施形態において、電気活性な硫黄含有層は、元素状硫黄を含む。別の実施形態において、電気活性な硫黄含有層は、元素状硫黄と硫黄含有ポリマーとの混合物を含む。したがって、適切な電気活性な硫黄含有層は、限定されるわけではないが、元素状硫黄、ならびに、ポリマーであってもポリマーでなくてもよい硫黄原子および炭素原子を含む有機材料を含み得る。適切な有機材料には、ヘテロ原子、導電性ポリマーセグメント、複合材および導電性ポリマーをさらに含む有機材料が挙げられる。
【0083】
本発明による電極におけるアノード活性層(材料)としての使用のための適切な電気活性層(材料)には、限定されるわけではないが、リチウム箔および導電性基材上に堆積されたリチウム等のリチウム金属ならびにリチウム合金(例えば、リチウム−アルミニウム合金およびリチウム−スズ合金)が挙げられる。上記電気活性層(材料)は、好ましい材料であるが、他のセル用化学物質もまた、想定される。一部の実施形態において、アノードは、1種または複数のバインダー材料(例えば、ポリマー等)を含み得る。
【0084】
好ましくは、電気活性層は、リチウム金属またはリチウム金属合金から選択される。本発明による電極がアノードである場合、電極は、好ましくは、Liアノードである。本発明による電極がカソードである場合、電極は、好ましくは、硫黄カソードである。
【0085】
本発明による電極の構成要素e)は、少なくとも1つのセラミック層である。セラミック層自体は、当業者に公知である。本発明による電極は通常、構成要素i)による1つのセラミック層のみを含有するが、構成要素i)による2つ、3つまたは4つ以上のセラミック層を含有してもよい。本発明による電極が2つまたは3つ以上のセラミック層を含有する場合、個別の層は、同じであっても異なっていてもよい。構成要素i)によるセラミック層は、本発明の電極内部の構成要素a)によるポリマー層を少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆することを意図されている。
【0086】
セラミック層が、Li、P、N、O、SまたはSeから選択される少なくとも1種の元素を含有するイオン伝導性セラミック層であり、より好ましくは、セラミック層が、LiPON、Li
2OまたはLi
3Nから選択されることは、好ましい。
【0087】
本発明による電極が、上記で定義された構成要素b)による少なくとも1種の導電性塩または下記で定義された構成要素f)によるさらなる任意の化合物、特に添加剤等のさらなる化合物/構成要素を含むこともまた、可能である。しかしながら、本発明による電極が、さらなる任意の導電性塩および/または添加剤を、特に構成要素a)によるポリマー層内部に含まないことは、好ましい。
【0088】
電極は、(電気化学セル、特に電池内部に利用される場合)アノードであってもカソードであってもよい。電極がアノードである場合、電極は、好ましくは、Liアノードである。電極がカソードである場合、電極は、好ましくは、硫黄カソードである。
【0089】
本発明の一実施形態において、電極は、構成要素a)、d)およびe)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
d) リチウム金属またはリチウム金属合金から選択される少なくとも1つの電気活性層、
e) LiPON、Li
2OまたはLi
3Nから選択される少なくとも1つのセラミック層
を含み、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されている。
【0090】
この実施形態において、構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはa2)が、上記で示されたスキームIおよびIIに図示されたモノマーから選択されることは、好ましい。電極は、好ましくは、Liアノードである。
【0091】
本発明の別の主題は、上記で定義された電極を製造するための方法である。本発明の電極を製造する方法において、個別の構成要素a)、d)およびe)は、当業者に公知の方法によって互いに組み合わせられる。個別の構成要素は、任意の順序および/または任意の量で一緒に組み合わせることができる。構成要素a)によるポリマーをインサイチューで、例えば、構成要素d)による電気活性層の表面上または構成要素e)によるセラミック層の表面上で得るための重合方法を実施することもできる。構成要素a)によるポリマー層が、ラジカル重合によって得られることは、好ましい。ラジカル重合が、電極の表面上、好ましくはLiアノードの電気活性層の表面上で実施されることは、さらに好ましい。
【0092】
本発明の第2の態様のさらなる主題は、i)電気化学セル中または電池中に上記で定義された電極を使用する方法、ii)このような電極を含む電気化学セルおよびiii)このような電極を含む電池である。電気化学セル自体および電池自体は、当業者に公知である。好ましくは、電気化学セルは、電池である。電池自体は、好ましくは、Li/S電池である。
【0093】
「Li/S電池」または「リチウム/硫黄電池」という用語は、それぞれ、各電池が、アノードおよびカソードを含有することを意味する。アノード自体は、リチウムを含むが、カソード自体は、硫黄を含む。このようなLi/S電池の特定の実施形態は、下記でより詳細に定義されている。
【0094】
本発明の第2の態様による電気化学セルおよび/または電池は、上記で定義された本発明による(少なくとも1個の)電極に加えて、少なくとも1個の従来の電極、少なくとも1個の電解質および/または少なくとも1個のセパレータ等のさらなる構成要素を含有し得る。電気化学セルおよび/または電池のこうしたさらなる構成要素は通常、従来のものであり、したがって、当業者に公知である。電気化学セルにおいて使用すべきセパレータは、例えばP.Aroraら(Chem.Rev.2004年、104、4419〜4462頁)で定義されている。
【0095】
通常、電気化学セルおよび/または電池は、2個の電極を含み、これらの電極は、1個のアノードおよび1個のカソードである。これらの電極のうちの少なくとも1個は、上記で定義された本発明の第2の態様による電極である。従来の電極または本発明の第2の態様による電極のいずれかである各電極は、少なくとも1つの電気活性層を含み、この電気活性層は、同様に、少なくとも1種の電気活性材料を含む。従来の各電極は、好ましくは層、例えばポリマー層として保護構造をさらに含み得る。このような保護構造は、当業者に公知である。
【0096】
電気化学セル、特に電池が、Liアノードまたは硫黄カソードである本発明の第2の態様による電極を含有することは、好ましい。より好ましくは、電気化学セルは、Liアノードである本発明の第2の態様による1個の電極および硫黄カソードである本発明の第2の態様による1個の電極を含有する。
【0097】
電気化学セル、特に電池が、上記で定義された構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つのさらなる層をさらに含有することは、さらに好ましい。構成要素a)によるさらなるポリマー層は、例えば電解質中に、特に本発明の第1の態様の定義によるゲル電解質として存在し得る。層またはポリマーの数、層の寸法および/またはポリマーの種類は、電極内部の構成要素a)の各定義に比較して、例えば電解質内部のさらなる構成要素a)の各定義に関して同じであっても異なっていてもよい。
【0098】
本発明による電極の構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの個別の層は、当業者に公知の任意の寸法を有し得る。このような層の好ましい厚さは、乾燥状態において1μmから20μmまでの範囲である。
【0099】
各電解質が、構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) 少なくとも1種の導電性塩、
c) 少なくとも1種の溶媒
を含む、ゲル電解質であることは、さらにより好ましい。
【0100】
構成要素b)およびc)は、本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記でさらに詳細に定義されている
本発明の第2の態様による一実施形態において、電気化学セルは、
i)構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) LiPF
6、LiBOBまたはLiTFSIから選択され、好ましくはLiTFSIである、少なくとも1種の導電性塩、
c) 1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される少なくとも1種の溶媒
を含む、少なくとも1種のゲル電解質ならびに
ii)構成要素a)、d)およびe)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
d) リチウム金属またはリチウム金属合金から選択される少なくとも1つの電気活性層、
e) LiPON、Li
2OまたはLi
3Nから選択される少なくとも1つのセラミック層
を含む、少なくとも1個の電極であって、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されている、電極
を含む。
【0101】
この実施形態における各構成要素a)は、層またはポリマーの数、層の寸法および/またはポリマーの種類に関して同じまたは異なる定義を有し得る。
【0102】
この実施形態において、ゲル電解質(構成要素i))内部と電極(構成要素ii))内部の両方において、各構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはa2)が、上記で示されたスキームIおよびIIに図示されたモノマーから選択されることは、好ましい。電極は、好ましくは、Liアノードである。
【0103】
本発明の第3の態様による主題は、構成要素a)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層
を含む、電気化学セルである。
【0104】
構成要素a)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、a1)およびa2)および任意でa3)の重合単位を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層である。
【0105】
本発明の第3の態様による電気化学セルは、構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層に加えて、次の構成要素b)からf)までのうちの少なくとも1種を含み得る。
【0106】
構成要素b)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、少なくとも1種の導電性塩である。
【0107】
構成要素c)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、少なくとも1種の溶媒である。
【0108】
構成要素d)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第2の態様(固体ポリマー電極)に関して上記で定義された、少なくとも1つの電気活性層である。
【0109】
構成要素e)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第2の態様(固体ポリマー電極)に関して上記で定義された、少なくとも1つのセラミック層である。
【0110】
構成要素f)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、添加剤等のさらなる化合物である。
【0111】
好ましくは、電気化学セルは、電池である。電池自体は、好ましくは、Li/S電池である。
【0112】
本発明の第3の態様による電気化学セルおよび/または電池は、構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの上記で定義された少なくとも1つの層に加えて、本発明の第1の態様によるゲル電解質、従来の電解質、本発明の第2の態様による少なくとも1個の電極および/または少なくとも1個のセパレータ等のさらなる構成要素を含有し得る。電気化学セルおよび/または電池のこうしたさらなる構成要素は通常、従来のものであり、したがって、当業者に公知である。電気化学セルにおいて使用すべきセパレータは、例えばP.Aroraら(Chem.Rev.2004年、104、4419〜4462頁)で定義されている。
【0113】
通常、電気化学セルおよび/または電池は、2個の電極を含み、これらの電極は、1個のアノードおよび1個のカソードである。各電極は、少なくとも1つの電気活性層を含み、この電気活性層は、少なくとも1種の電気活性材料を含む。各電極は、好ましくは層、例えばポリマー層として保護構造をさらに含み得る。このような保護構造は、当業者に公知である。
【0114】
電気化学セル、特に電池が、Liアノードまたは硫黄カソードである電極を含有することは、好ましい。より好ましくは、電気化学セルは、Liアノードである1個の電極および硫黄カソードである1個の電極を含有する。
【0115】
電気化学セル内部、特に電池内部の電極が、上記で定義された構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層を含有することは、さらに好ましい。構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層を含有する各電極が、構成要素d)およびe)
d) 少なくとも1つの電気活性層、
e) 少なくとも1つのセラミック層
をさらに含有し、構成要素a)が、i)構成要素e)またはii)構成要素d)および構成要素e)によって完全に被覆されていることは、さらにより好ましい。構成要素d)およびe)は、本発明の第2の態様(「固体ポリマー電極」/構成要素a)、d)およびe)を含む電極)に関して上記でさらに詳細に定義されている。
【0116】
電気化学セル、特に電池が、上記で定義された構成要素a)による少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層をさらに含有し、構成要素a)によるポリマー層が、電解質中、特にゲル電解質中に存在することは、さらに好ましい。
【0117】
各電解質が、構成要素a)からc)まで
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) 少なくとも1種の導電性塩、
c) 少なくとも1種の溶媒
を含む、ゲル電解質であることは、さらにより好ましい。
【0118】
構成要素a)からc)までは、上本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記でさらに詳細に定義されている
本発明の第3の態様による一実施形態において、電気化学セルは、構成要素a)、b)、c)、d)およびe)
a) a1)およびa2)の重合単位:
a1)上記式(I)
(式中、
R
1は、−(CH
2−CH
2−O)
m−R
5または−CH
2−CHR
7−O−(CH
2−CHR
9−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−R
5であり、
R
2は、Hであり、
R
3、R
9およびR
11はそれぞれ独立に、Hまたはメチルであり、より好ましくはHであり、
R
5は、C
1〜C
5アルキルであり、
R
7は、Hまたはメチルであり、好ましくはメチルであり、
m、nおよびoはそれぞれ独立に、2から8までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーおよび
a2)上記で定義された式(II)
(式中、
Kは、−C(O)−L−C(O)−であり、
Lは、−NH−(CH
2)
p−O−(CH
2−CH
2−O)
m−(CH
2)
p−NH−、−NH−(CH
2−CH
2−O)
m−CH
2−CH
2−NH−または−NH−(CHR
6−CH
2−O)
m−(CH
2−CH
2−O)
n−(CH
2−CHR
11−O)
o−CH
2−CHR
14−NH−であり、
R
3およびR
12はそれぞれ、Hであり、
R
6、R
11およびR
14はそれぞれ、メチルであり、
mおよびoはそれぞれ独立に、2から5までの整数であり、
nは、7から10までの整数であり、
pは、1から3までの整数である)
の化合物から選択される少なくとも1種のモノマー
を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層、
b) LiPF
6、LiBOBまたはLiTFSIから選択され、好ましくはLiTFSIである、少なくとも1種の導電性塩、
c) 1,3−ジオキソラン(DOL)および1,2−ジメトキシエタン(DME)、好ましくは1,3−DOLと1,2−DMEとの1:1混合物から選択される少なくとも1種の溶媒、
d) リチウム金属またはリチウム金属合金から選択される少なくとも1つの電気活性層、
e) LiPON、Li
2OまたはLi
3Nから選択される少なくとも1つのセラミック層
を含む。
【0119】
この実施形態において、構成要素a)が、a1)およびa2)の重合単位を含む1種のポリマーの1つの層を含有し、ならびに/または、モノマーa1)および/もしくはa2)が、上記で示されたスキームIおよびIIに図示されたモノマーから選択されることは、好ましい。電極は、好ましくは、Liアノードである。
【0120】
本発明の別の主題は、上記で定義された電気化学セルを製造するための方法である。本発明の電気化学セルを製造するこの方法において、構成要素a)ならびにb)、c)、d)およびe)等の何らかの任意での構成要素は、当業者に公知の方法によって互いに組み合わせることができる。個別の構成要素は、任意の順序および/または任意の量で一緒に組み合わせることができる。構成要素a)によるポリマーをインサイチュー、例えば、構成要素c)による溶媒中および/もしくは導電性塩の存在下で得るための重合方法または構成要素d)による電気活性層の表面上もしくは構成要素e)によるセラミック層の表面上で得るための重合方法を実施することもできる。構成要素a)によるポリマー層が、ラジカル重合によって得られることは、好ましい。ラジカル重合が、電極の表面上、好ましくはLiアノードの表面上で実施されることは、さらに好ましい。
【0121】
本発明の第4の態様による主題は、a1)およびa2)の重合単位:
a1) i)エチレン性不飽和単位およびii)アミド基を含有する、少なくとも1種のモノマーであって、アミド基の炭素原子が、エチレン性不飽和単位の炭素原子のうちの1個に化学結合を介して結合している、モノマーおよび
a2) i)少なくとも2個のエチレン性不飽和単位およびii)少なくとも2個の炭素原子を有するスペーサーを含有する、少なくとも1種の架橋剤であって、エチレン性不飽和単位のうちの2個が、スペーサーを介して結合している、架橋剤
を含む、少なくとも1種のポリマーを、電極中、電解質中、セパレータ中、電池中、電気化学セルにおいて使用される物品中または電気化学セル中のポリマー層として使用する方法である。
【0122】
構成要素a)は、好ましい各定義、より好ましい各定義等を含めて本発明の第1の態様(ゲル電解質)に関して上記で定義された、a1)およびa2)および任意でa3)の重合単位を含む、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの層である。
【0123】
本発明の第4の態様において、ポリマーが、上記の各用途において層として(積層された形態で)使用されることは、好ましい。ポリマー層が、ラジカル重合によって得られることは、好ましい。ラジカル重合が、電極の表面上、好ましくはLiアノードの表面上で実施されることは、さらに好ましい。
【0124】
本明細書で記述された実施形態のいずれかにおいて、ポリマー層の導電率は、約10
−6S/cm
2以上、約10
−5S/cm
2以上、約10
−4S/cm
2以上または約10
−3S/cm
2以上であり得る。例えば、ポリマー層の導電率は、約10
−4S/cm
2以上であり得る。
【0125】
一部の実施形態において、導電率(例えば、イオン伝導率)は、例えば、1S/cm以下、10
−1S/cm以下、10
−2S/cm以下、10
−3S/cm以下、10
−4S/cm以下または10
−5S/cm以下であり得る。上記範囲の組合せ(例えば、10
−5S/cm以上で10
−3S/cm以下の導電率)もまた、可能である。他の導電率もまた、可能である。
【0126】
ポリマー層の導電率は、乾燥状態で決定することができる。一部の実施形態において、導電率は、(例えば、本明細書で記述されている)ポリマーを含む層が2個の電極間に挟まれている「キャパシタ」型セルにおいて、(例えば、乾燥状態で)測定することができる。これらの電極は、不活性(例えば、Ni、Pt、Cuまたは炭素を含む)であっても活性(例えば、Li、Li合金)であってもよい。フルスペクトルの電気化学インピーダンスは、ある範囲の周波数(例えば、0.1Hzから最大1MHzまで)において、例えば約5mV〜10mVまでの電圧振幅によって測定することができる。インピーダンスの虚数部は、全周波数域の実数部に対比させてプロットすることができる。導電率の計算に関しては、高周波数におけるグラフの実軸との切片の値R(Ohm)は、式:s=1/R×T/A(式中、sは、導電率(S/cm)であり、Rは、高周波数における切片の値(Ohm)であり、Tは、ポリマー層の厚さ(cm)であり、Aは、電極間に挟まれたポリマーフィルムの面積(cm
2)である)に使用される。
【0127】
本明細書で記述されたポリマーが、特定の電気化学系のための他の材料に比較して有利な特性を有するかどうかを判定することは、望ましいこともある。したがって、簡便なスクリーニング試験を利用して、候補材料間での選出を補助することができる。1種の簡便なスクリーニング試験は、電気化学セルにおいて望ましい化学的性質を有する得られたポリマーの層を、例えばゲル電解質層または保護層としてセル中に配置することを含む。次いで、電気化学セルに複数の放電/充電サイクルを施してもよいし、電気化学セルを、対照系における阻害的挙動または他の破壊的挙動(例えば、電気活性材料表面の状態悪化)と比較して阻害的挙動または他の破壊的挙動が起きるかどうかについて観察してもよい。対照系と比較して阻害的挙動または他の破壊的挙動がセルのサイクリング中に観察される場合、こうした挙動の観察は、組み立てられた電気化学セル内部におけるポリマーの分解機構または他の可能な劣化機構を表し得る。同じ電気化学セルを使用すれば、当業者に公知の方法を使用してポリマーの導電率およびイオン伝導率を評価することもできる。測定された値は、候補材料間で選出するために比較してもよいし、対照中のベースライン材料との比較のために使用してもよい。本明細書で記述されている他の試験もまた、材料をスクリーニングするために使用することができる。
【0128】
本明細書で記述されているとき、イオン伝導性層等の保護構造/層には、例えば、セラミック層、ガラス質層、ガラス−セラミック層またはポリマー層を挙げることができる。適切なイオン伝導性材料には、例えば、シリカ、アルミナ、または、リン酸リチウム、アルミン酸リチウム、ケイ酸リチウム、酸窒化リンリチウム、酸化タンタルリチウム、アルミノ硫化リチウム(lithium aluminosulfide)、酸化チタンリチウム、珪硫化リチウム(lithium silcosulfide)、ゲルマノ硫化リチウム(lithium germanosulfide)、アルミノ硫化リチウム、硼硫化リチウム(lithium borosulfide)および燐硫化リチウム(lithium phosphosulfide)ならびに前出のもののうちの2種以上の組合せ等のリチウム含有ガラス質材料を挙げることができる。本明細書で記述された実施形態における使用のための適切なリチウム合金は、リチウムと、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、インジウムおよび/またはスズとの合金を含み得る。上記材料は、一部の実施形態において好ましいこともあるが、他のセル用化学物質もまた、想定される。
【0129】
適切なガラスおよび/またはセラミックには、限定されるわけではないが、「改質剤」部分および「網目構造」部分を含有するものであると考えることができる当技術分野で公知のガラスおよび/またはセラミックが挙げられる。改質剤は、ガラスまたはセラミック中で金属イオンを伝導する金属酸化物を含み得る。網目構造部分は、例えば金属酸化物または金属硫化物等の金属カルコゲニドを含み得る。リチウム金属および他のリチウム含有電極の場合、イオン伝導性層は、リチウムイオンが当該イオン伝導性層を通過できるようにするために、リチウム化されていてもよいし、またはリチウムを含有してもよい。イオン伝導性層は、窒化リチウム、ケイ酸リチウム、ホウ酸リチウム、アルミン酸リチウム、リン酸リチウム、酸窒化リンリチウム、シリコ硫化リチウム、ゲルマノ硫化リチウム、酸化リチウム[例えば、Li
2O、LiO、LiO
2、LiRO
2、(式中、Rは、希土類金属である)]、酸化ランタンリチウム、酸化チタンリチウム、ボロ硫化リチウム、アルミノ硫化リチウムおよびホスホ硫化リチウムおよびこれらの組合せ等の材料を含む層を含み得る。イオン伝導性材料の選択は、セル中に使用される電解質およびカソードの特性を含めたいくつかの要素に依存するが、これらに限定されない。
【0130】
イオン伝導性層がポリマー(例えば、構成要素a)に関して本明細書で記述された構造を有しても有さなくてもよい二次的なポリマー)である特定の実施形態において、ポリマーは、例えば、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を非常によく伝導するが電子を最小限にしか伝導しないポリマーを含み得る。このような二次的なポリマーの例には、イオン伝導性ポリマー、スルホン化ポリマーおよび炭化水素ポリマーが挙げられる。ポリマーの選択は、セル中に使用される電解質およびカソードの特性を含めたいくつかの要素に依存する。適切なイオン伝導性ポリマーには例えば、例えばポリエチレンオキシド等、リチウム電気化学セルのための固体ポリマー電解質およびゲルポリマー電解質に有用であると知られたイオン伝導性ポリマーを挙げることができる。適切なスルホン化ポリマーには、例えば、スルホン化シロキサンポリマー、スルホン化ポリスチレン−エチレン−ブチレンポリマーおよびスルホン化ポリスチレンポリマーを挙げることができる。適切な炭化水素ポリマーには、例えば、エチレン−プロピレンポリマーおよびポリスチレンポリマー等を挙げることができる。
【0131】
ポリマーは、例えばアルキルアクリレート、グリコールアクリレート、ポリグリコールアクリレート、ポリグリコールビニルエーテルおよびポリグリコールジビニルエーテルおよびポリジビニルポリ(エチレングリコール)等のモノマーの重合から形成された、架橋ポリマー材料も含み得る。架橋ポリマー材料は、本明細書で記述されているように、イオン伝導率を高めるための塩、例えばリチウム塩をさらに含み得る。
【0132】
保護層(例えば、イオン伝導性層)は、プラズマ式変換法の使用に基づいた技法(例えば、プラズマ支援化学蒸着(PECVD))、電子ビーム蒸着、マグネトロンスパッタリング、化学気相成長(例えば、レーザー支援化学気相成長)、熱蒸着、ジェット蒸着、レーザーアブレーションおよび任意の他の適切な形成技法、堆積技法ならびに/またはこれらの任意の適切な組合せ等の任意の適切な方法によって形成し、または堆積させることができる。使用される技法は、堆積させる材料の種類、層の厚さ等に依存し得る。代替的には、電気活性材料の層を、適切な条件下で窒素等の気体に曝露して、電気活性材料層の表面で電気活性材料と反応させ、これによって、イオン伝導性層を形成してもよい。
【0133】
保護層(例えば、イオン伝導性材料層)の厚さは、約1nmから約10ミクロンまでの範囲にわたって多様であり得る。例えば、保護層(例えば、イオン伝導性材料層)の厚さは、厚さ1nm〜10nmの間、厚さ10nm〜100nmの間、厚さ100nm〜1000nmの間、厚さ1ミクロン〜5ミクロンの間または厚さ5ミクロン〜10ミクロンの間であり得る。一部の実施形態において、保護層(例えば、イオン伝導性材料層)の厚さは、例えば、10ミクロン以下、5ミクロン以下、1000nm以下、500nm以下、250nm以下、100nm以下、50nm以下、25nm以下または10nm以下であり得る。特定の実施形態において、保護層(例えば、イオン伝導性層)は、10nm以上、25nm以上、50nm以上、100nm以上、250nm以上、500nm以上、1000nm以上または1500nm以上の厚さを有し得る。上記範囲の組合せもまた、可能である(例えば、10nm以上で500nm以下の厚さ)。他の厚さもまた、可能である。
【0134】
一部の実施形態において、本明細書で記述された保護層(例えば、イオン伝導性層)は、少なくとも約10
−7S/cm、少なくとも約10
−6S/cm、少なくとも約10
−5S/cm、少なくとも約10
−4S/cm、少なくとも約10
−3S/cm、少なくとも約10
−2S/cm、少なくとも約10
−1S/cm、少なくとも約1S/cmまたは少なくとも約10S/cmの平均イオン伝導率(例えば、リチウムイオン伝導率)を有し得る。平均イオン伝導率は、約20S/cm以下、約10S/cm以下または1S/cm以下。導電率は、室温(例えば、25セルシウス度)で測定することができる。
【0135】
特許請求の範囲および上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「具備する」、「有する」、「含有する」、「伴う」および「保持する」等のすべての移行句は、オープンエンド形式であると理解すべきであり、すなわち、限定されるわけではないが、を含んだ意味であると理解すべきである。
【実施例】
【0137】
a)一般手順
本発明の構成要素a)によるポリマー層(フィルム)を、選定した基材上にジオキサンまたはメチルエチルケトン(MEK)のような比較的沸点が低くて不活性の溶媒中の各モノマー組成物の5〜50wt%溶液をキャストすることによって製造する。この溶液は、導電性塩として5wt%から10wt%までのLiTFSIをさらに含有し得る。試験が電解質中で実施される場合、LiNO
3、硝酸グアニジニウムまたは多様な鎖長のポリスルフィドのような物質を含めるさらなる添加剤が任意が存在してもよい。新たにキャストされたポリマー層の硬化は、UV供給源としてLEDランプを使用して、ラジカル光開始剤Irgacure819によって達成する。照射プロセスは、λ=385nmにおいて20mW/cm
2のパワー密度を用いて2.5分実行する。乾燥状態における導電率の決定のために、ガラスプレート上の導電性ポリマー層をキャストし、分析する。下記の実験において、利用したモノマーには、スキームIおよびIIに関して上記の略語を割り当てている。
【0138】
b)乾燥状態における導電率
比較例b1: 100%PEPPGBAm+0%モノマーa2)
4.00mlのジオキサン中1.00gのPEPPGBAmおよび100mgのLiTFSIの溶液に、MEK中Irgacure819(UV開始剤)の0.5wt%溶液0.2mlを添加する。この均一な混合物を、200μmのスリットに調節したドクターブレードにかけることによってガラスとPETのそれぞれの上にキャストする。続いて、塗り広げたフィルムを、最大強度における2.5分間のUV光への露光によって硬化させる。次いで、得られたフィルムを、60℃のオーブン内で乾燥させる。乾燥状態におけるイオン伝導率を、それぞれ、4点抵抗率またはリング−ディスク電極を用いたインピーダンス分光法によって決定する(HighResta(登録商標))。導電率は、6.5×10
−6S/cmと決定される。フィルム(構成要素a)のポリマー層)は、非常に柔らかくてねばついているように見え、機械的完全性が構成されていなかった。
【0139】
実施例b2: 80%PEPPGBAm+20%PEPPGDAm
10.6mlのジオキサン中1.70gのPEPPGBAm、0.22gのPEPPGDAmおよび196mgのLiTFSIの溶液に、MEK中Irgacure819の0.5wt%溶液0.38mlを添加する。この均一な混合物を、200μmのスリットに調節したドクターブレードにかけることによってガラスとPETのそれぞれの上にキャストする。続いて、塗り広げたフィルムを、最大強度における2.5分間のUV光への露光によって硬化させる。次いで、得られたフィルムを、60℃のオーブン内で乾燥させる。乾燥状態におけるイオン伝導率を、それぞれ、4点抵抗率またはリング−ディスク電極を用いたインピーダンス分光法によって決定する(HighResta(登録商標))。導電率は、3.6×10
−6S/cmと決定される。フィルム(構成要素a)のポリマー層)は、良好な機械的完全性を示した。
【0140】
実施例b3: 80%PEPPGBAm+20%TOTDAm
8.9mlのジオキサン中1.28gのPEPPGBAm、0.35gのTOTDAmおよび160mgのLiTFSIの溶液に、MEK中Irgacure819の0.5wt%溶液0.33mlを添加する。この均一な混合物を、200μmのスリットに調節したドクターブレードにかけることによってガラスとPETのそれぞれの上にキャストする。続いて、塗り広げたフィルムを、最大強度における2.5分間のUV光への露光によって硬化させる。次いで、得られたフィルムを、60℃のオーブン内で乾燥させる。乾燥状態におけるイオン伝導率を、それぞれ、4点抵抗率またはリング−ディスク電極を用いたインピーダンス分光法によって決定する(HighResta(登録商標))。導電率は、3.9×10
−6S/cmと決定される。フィルム(構成要素a)のポリマー層)は、良好な機械的完全性を示した。
【0141】
比較例b4: 0%モノマーa1)+100%TOTDAm
4.00mlのジオキサン中1.00gのTOTDAmおよび110mgのLiTFSIの溶液に、MEK中Irgacure819の0.5wt%溶液0.2mlを添加する。続いて、塗り広げたフィルムを、最大強度における2.5分間のUV光への露光によって硬化させる。次いで、得られたフィルムを、60℃のオーブン内で乾燥させる。乾燥状態におけるイオン伝導率を、それぞれ、4点抵抗率またはリング−ディスク電極を用いたインピーダンス分光法によって決定する(HighResta(登録商標))。導電率は、10
−9S/cm未満と決定される。フィルム(構成要素a)のポリマー層)は、良好な機械的完全性を示した。
【0142】
上記実施例b1)からb4)までのそれぞれの乾燥状態における導電率を、表1に要約している。表1は、実施例b1)からb4)までに関する具体的な開示に従って実施/製造されたさらなる例のそれぞれの値も収載している。実施例は、それぞれ80mol%モノマーa1)および20mol%モノマーa2)(「架橋剤」)を主体とする。比較例は、それぞれ100mol%モノマーa1)または100mol%架橋剤のいずれかを主体とする。
【0143】
【表1】
【0144】
c)ゲル状態における導電率およびフルセル測定
本節において、上記材料の性能は、ニッケル製ポーチセルとLi/Sフルセル測定のそれぞれについて評価する。ニッケル製ポーチセルにおいて、構成要素a)によるポリマー層を、モノマー堆積および後続するUV硬化によってニッケル基材上に直接製造する。構築したセルは、次の積層体を含む:ニッケル/ポリマー層(フィルム)/セパレータ/ニッケル。これらの実験に関しては、ショートカットを回避するためにポリオレフィンセパレータ(Celgard2325)が必要となる。すべてのセルには、(質量に対して)39.5%DOL、39.5%DME、16%LiTFSI、4%LiNO
3および1%硝酸グアニジニウムからなる標準電解質を充填する。充填済みセルは通常、2時間放置して、ポリマーフィルムの完全で均一な電解質の取り込みを実現する。結果として、1種のポリマー(構成要素a))、1種の導電性塩(構成要素b))および溶媒(構成要素c))の1つの層を含む、本発明によるゲル電解質が得られる。
【0145】
【表2】
【0146】
理想的には酸化/還元プロセスが起きないため、ニッケル製ポーチセルの機能は、電気化学セルの機能ではない点については、言及しておかなければならない。実際、ニッケル製ポーチセルは原則的に、2個のニッケル電極間に電圧を印加することによって、膨潤したポリマーメンブレンの端から端までのイオン伝導率を測定するための媒体である。単一の層の厚さを考慮すれば、単一の層の抵抗率、したがって、単一の層の導電率を決定することができる。表2において、分析データの生成が示されている。さらに、表2において、純粋な標準電解質(ゲルなし)のイオン伝導率が8.4mS/cmであることも述べておく。予想されていたとおり、ポリマーゲルの取り込みにより、イオン移動度が顕著に低下し、この結果、ゲル電解質のイオン伝導率も、おおよそ1桁低下する。1つの例外は、ポリアクリルアミドフィルムが純粋な一官能性モノマーc4である実施例c2である。2.5mS/cmという値は、ポリマーがDOL/DME混合物中に完全に溶解するという単純な理由のため、純粋な液体電解質の範囲であるように思われる。興味深い発見が、実施例c7およびc8において見受けられる。これらの実施例c7およびc8においては、架橋剤PEPPGDAmが、柔軟な構築ブロックをもたらしており、架橋フィルムと無架橋フィルムが、非常に良好な、ゲル状態における導電率をもたらしている。
【0147】
表2に示された実験を実施するためのより具体的な開示を、下記で提供/例示している。
【0148】
比較例c1: 100%架橋剤TEGDAm
0.30gのジオキサン中1.00gのTEGDAmの溶液を製造し、31.2mgのUV開始剤Irgacure819を添加する。この溶液から、フィルムを、ドクターブレード(30μmのスリット)を用いてニッケル箔上に手動で引き伸ばすと、硬化後に厚さ約10μmの乾燥したポリマー層が得られる。硬化は、385nmの波長および20mW/cm
2のパワー密度で動作するUV−LEDランプを用いて2.5分の照射時間にして、モノマー堆積の直後に達成される。硬化後、溶媒を室温で蒸発させ、完全な乾燥を、70℃の真空オーブン内で終夜実施する。次いで、乾燥済みフィルム(ポリマー層)を、25μmのCelgard2325セパレータを有するポーチセル内の電極になるようにさらに製造する。これによって、1個の電極は、ポリマーコーティング付き(ポリマー層付き)Ni箔になっており、第2の電極は、新品状態の未コーティングニッケル基材になっている。次いで、構築されたセルには、上記組成物の0.5mlの標準電解質を充填する。ポーチセルは、電解質構成要素を完全かつ均一に順応させるために2時間休止し得る。この後ならば、セルは、Zahner Elektrik IM6デバイスを使用するインピーダンス分光法によって導電率測定できるようになっている。ゲルのイオン伝導率は、0.078mS/cm(低すぎる導電率)であることがわかる。フィルムは、電解質溶媒中で安定である。
【0149】
比較例c2: 100%TEGBAm
0.46gのジオキサン中1.52gのモノマーTEGBAmの溶液を製造し、24.5mgのUV開始剤Irgacure819を添加する。この溶液から、フィルムを、ドクターブレード(30μmのスリット)を用いてニッケル箔上に手動で引き伸ばすと、硬化後に厚さ約10μmの乾燥したポリマー層が得られる。硬化、乾燥およびセル製造を、比較例6と同じように実施する。ゲルのイオン伝導率は、2.5mS/cmであることがわかる。フィルムは、電解質溶媒中に容易に溶解する(不安定なポリマー層)。
実施例c8: 80%TEGMAm+20%架橋剤PEPPGDAm
0.52gのジオキサン中1.00gのモノマーTEGMAmおよび748mgの架橋剤PEPPGDAmの溶液を製造し、24.1mgのUV開始剤Irgacure819を添加する。この溶液から、フィルムを、ドクターブレード(30μmのスリット)を用いてニッケル箔上に手動で引き伸ばすと、硬化後に厚さ約10μmの乾燥したポリマー層が得られる。硬化、乾燥およびセル製造を、比較例6と同じように実施する。ゲルのイオン伝導率は、2.9mS/cmであることがわかる。フィルムは、電解質溶媒中で安定である。
【0150】
比較例c9: ポリマー層がない純粋な電解質
液体型標準電解質のイオン伝導率を、ポーチセルにおいて測定する。このイオン伝導率は、実測値8.4mS/cmであった。
【0151】
d)Li/Sフルセル測定
フルセル測定のサイクリングデータ
Li/Sフルセルを、7倍に増やした上記標準電解質、Celgard2325セパレータおよび標準カソード(55%S、20%Printex XE2、20%Vulcan XC72、5%PVOH;ロット番号LRSFC9xB220G Al、両面7−25−12)を含有するポーチセルとして製造する。アノードとして、Sion Power Corporationから得た(銅箔上に)気相成長させたリチウムを使用する。すべてのコーティング実験およびセル設計を、アルゴン雰囲気下で動作するグローブボックス内で実施する。リチウムは、非常に柔らかい金属であるため、Mayerロッド(40μm)によるコーティング方法を、表面を損傷させないためまたは表面に擦り傷を付けないために最大の注意を払って達成する。ジオキサンまたはメチルエチルケトン(MEK)中20wt%モノマー溶液をドクターブレードにかけ、続いてUV硬化(λ=385nm、t=2,5分、S=20mW/cm
2)させると、3μmから15μmまでの乾燥フィルム厚さがもたらされる。上記実験の目的は、ポリアクリルアミドコーティング付きLiアノードがLi/Sセルとして機能するかどうかと、ポリアクリルアミドがポリスルフィド環境下でより高い加水分解安定性を示すかどうかとを判明させることである。
【0152】
【表3】
【0153】
すべてのコーティング(ポリマー層)は、導電率決定のための前述のニッケル製ポーチセル測定の組成物と同一である。コーティング付きアノードは、コーティングなしのLi基材に対比させれば、評価することができる。組成物の概略は、表3に見出すことができる。比容量保持率の見積もりとして、放電容量を、20回目のサイクルの後および60回目のサイクルの後に表記する。さらに、セルの寿命が切れたときの最大サイクル数も取得する。この後、良好な比較を、ニッケル製ポーチセルのデータ分析に由来したイオン伝導率値によってもたらす。
【0154】
表3の実施例d0は、未コーティングリチウムアノードである。実施例d0は、1175mAh/g放電容量が、20サイクル後の1007mAh/gから60サイクル後の896mAh/gまで一定で低下することから始まった。全容量は、80サイクル後に不可逆的に喪失され、セルは、非常に急激に。TEGDAm(Sartomer259)/(実施例1)の薄いコーティングにより、ゲル電解質として比較的低いイオン伝導率が生じたが、実際、セルの高い分極化により、放電容量が、測定の初期段階においてすでに劇的に減少していた。20サイクル後にはすでに、性能の半分が消失している。予想されていたとおり、リチウムアノード上に無架橋で可溶性のポリマーをコーティングすると、低い総合的抵抗率および分極化(実施例d2)がもたらされている。実際、性能は、未コーティングLiアノードの標準用実施例d0の性能に非常によく似ていた。実施例d8により、安定なポリマーとしてゲルコーティングがLiアノード上に生じた。イオン伝導度は、大容量Li/Sセルの性能を可能にするのに十分なほど良好である。