【実施例】
【0040】
以下、実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下において、原料や生成物の純度としてガスクロマトグラフィ−(GC)分析によって得られた値を用い%GCと表記する。
【0041】
実施例1 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドの合成1
下記式に示すように、3−メチル−3−ブテニルマグネシウム=ブロミドと2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンを反応させて7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドを得る。
【0042】
【化6】
【0043】
窒素雰囲気下、3−メチル−3−ブテニル=ブロミド34.0g(99.3%GC)、1,2−ジブロモエタン(このものはマグネシウムの活性化に使用)8.5g、テトラヒドロフラン300mlの混合物をマグネシウム6.64gとテトラヒドロフラン10mlの混合物に滴下して、Grignard試薬3−メチル−3−ブテニルマグネシウム=ブロミドを調製した。このGrignard試薬を窒素雰囲気下かき混ぜながら、氷冷した2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテン24.8g、ヨウ化銅(I)160mg、亜リン酸トリエチル240mgとテトラヒドロフラン250mlの混合物中に25℃以下に保ちながら30分間で滴下した。反応混合物を室温まで上昇させつつ1時間かき混ぜた後、再び氷冷して混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。分離した有機層から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリド29.3g(78%GC、収率98%)を得た。
【0044】
7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリド
淡黄色油状物(yellowish oil)
IR(D−ATR):ν=3074,2966,2937,1649,1451,889cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.54−1.62(2H,m),1.72(3H,s),1.99−2.05(4H,m),2.49(2H,t,J=7Hz),3.61(2H,t,J=7.5Hz),4.68(1H,s−like),4.72(1H,s−like),4.82(1H,s−like),4.87(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=22.32,25.49,33.32,37.26,39.06,42.76,110.05,111.63,145.52,145.56ppm。
GC−MS(EI,70eV):68(ベースピーク),81,95,109,119,129,144,157,172(M
+)。
GC−MS(CI,イソブタン):69,81,95,109,123,137(ベースピーク),145,159,173[(M+H)
+]。
【0045】
実施例2 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドの合成2
下記式に示すように、3−メチル−3−ブテニルマグネシウム=ブロミドと4−クロロ−2−クロロメチル−1−ブテンを反応させて7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドを得る。
【0046】
【化7】
【0047】
実施例1において2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンの代わりに4−クロロ−2−クロロメチル−1−ブテン7.30g(94%GC)を用いて、実施例1と同様の反応により、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリド9.71g(88%GC、定量的収率)を得た。この生成物は、実施例1の生成物と同じものであった。こ
【0048】
実施例3 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドの合成1
下記式に示すように、3−メチル−3−ブテニルマグネシウム=ブロミドと4−ブロモ−2−ブロモメチル−1−ブテンを反応させて7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドを得る。
【0049】
【化8】
【0050】
実施例1において2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンの代わりに4−ブロモ−2−ブロモメチル−1−ブテン7.46gを用いて、実施例1と同様の反応により7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミド10.42g(90.2%GC、定量的収率)を得た。
【0051】
7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミド
淡黄色油状物
IR(D−ATR):ν=3075,2968,2936,1647,1447,889cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.54−1.62(2H,quintet−like m),1.72(3H,s),1.98−2.06(4H,m),2.58(2H,t,J=8Hz),3.46(2H,t,J=7.5Hz),4.68(1H,s−like),4.72(1H,s−like),4.81(1H,s−like),4.87(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=22.34,25.47,30.92,35.16,37.26,39.33,110.07,111.59,145.51,146.32ppm。
GC−MS(EI,70eV):27,41,53,68,81(ベースピーク),95,109,121,137,160,175,188,201,216(M
+)。
【0052】
実施例4 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドの合成2
下記式に示すように、3−メチル−3−ブテニルマグネシウム=ブロミドと2−クロロメチル−4−ブロモ−1−ブテンを反応させて7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドを得る。
【0053】
【化9】
【0054】
実施例1において2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンの代わりに2−クロロメチル−4−ブロモ−1−ブテン2.79gを用いて、実施例1と同様の反応により7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミド3.75g(88%GC、定量的収率)を得た。この生成物は、実施例3の生成物と同じものであった。
【0055】
実施例5 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドと7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドの混合物の合成
下記式に示すように、工程5−1で2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンから2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートを得た後、工程5−2で2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートと2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテートの混合物から7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドと7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドの混合物を得る。
【0056】
【化10】
【0057】
工程5−1
窒素雰囲気下、2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテン43.2g、酢酸ナトリウム30.0gとN,N−ジメチルアセトアミド100gの混合物を85℃で140分間かき混ぜた。反応混合物を冷却後、水にあけn−ヘキサンで抽出した。ヘキサン溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物として2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートと2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテートの57:43の混合物46.85gを得た。次いで、この生成物を減圧蒸留して2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートと2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテートの混合比87:13から11:89のフラクションを得た。2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートとしての収率55.4%、2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテートとしての収率33%、2種合計収率88%。
【0058】
2−メチレン−4−クロロブチル=アセテート(74.1%GC)
無色油状物(colorless oil)
IR(D−ATR):ν=1741,1654,1440,1374,1228,1029,915cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=2.08(3H,s),2.54(2H,t,J=7.3Hz),3.63(2H,t,J=7.3Hz),4.53(2H,s),5.06(1H,s−like),5.18(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=20.84,36.26,42.22,66.50,115.73,140.00,170.53ppm。
GC−MS(EI,70eV):27,43(ベースピーク),53,71,83,102,120,133,147,162(M
+)。
【0059】
2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテート(81.2%GC)
無色油状物
IR(D−ATR):ν=1741,1655,1437,1374,1228,1030,914cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=2.08(3H,s),2.64(2H,t,J=7Hz),3.48(2H,t,J=7.3Hz),4.54(2H,s),5.05(1H,s−like),5.18(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=20.86,30.11,36.48,66.36,115.69,140.69,170.54ppm。
GC−MS(EI,70eV):29,43(ベースピーク),55,72,84,126,144,168。
【0060】
工程5−2
実施例1において2−ブロモメチル−4−クロロ−1−ブテンの代わりに2−メチレン−4−クロロブチル=アセテートと2−メチレン−4−ブロモブチル=アセテートの混合物7.88g(クロリド34.1%GC、ブロミド61.9%GC)を用いて、実施例1と同様の反応により7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドと7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドの混合物8.95g(クロリド28.6%GC、ブロミド51.4%GC、収率95%)を得た。この生成物は、実施例1の生成物と3の生成物の混合物であった。
【0061】
実施例6 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージドの合成
下記式に示すように、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドから7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージドを得る。
【0062】
【化11】
【0063】
窒素雰囲気下、実施例3で得た7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミド9.20g(90.2%GC)、ヨウ化ナトリウム10.0gとアセトン300mlの混合物を還流しながら90分間、更に室温で15.5時間かき混ぜた。反応混合物を水にあけn−ヘキサンで抽出した。ヘキサン溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージド10.82g(90.1%GC、収率97%)を得た。
【0064】
7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージド
無色油状物
IR(D−ATR):ν=3074,2966,2935,1647,1444,1170,889cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.54−1.62(2H,m),1.72(3H,s),2.01(4H,t−like,J=7.7Hz),2.59(2H,t,J=8Hz),3.24(2H,t,J=7.7Hz),4.68(1H,s−like),4.72(1H,s−like),4.80(1H,s−like),4.87(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=3.56,22.35,25.48,34.90,37.29,40.36,110.07,111.21,145.52,147.85ppm。
GC−MS(EI,70eV):27,41,67,81(ベースピーク),95,109,137,155,208,264(M
+)。
GC−MS(CI,イソブタン):69,81,95,109,123,137(ベースピーク),209,223,237,251,265[(M+H)
+]。
【0065】
実施例7 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートの合成1
下記式に示すように、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリドから7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートを得る。
【0066】
【化12】
【0067】
窒素雰囲気下、実施例1で得た7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=クロリド28.8g(78%GC)、プロピオン酸ナトリウム19.0g、ヨウ化ナトリウム0.8gとN,N−ジメチルホルムアミド300mlの混合物を80〜110℃で8時間、更に室温で14時間かき混ぜた。反応混合物を水にあけn−ヘキサンで抽出した。ヘキサン溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物を得た。次いで、この粗生成物を減圧蒸留して、脱離反応による副生生物である8−メチル−3−メチレン−1,7−オクタジエン1.94g(99%GC,収率11%)と目的物7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネート20.14g(95%GC、収率74%)を得た。
【0068】
8−メチル−3−メチレン−1,7−オクタジエン
無色油状物
IR(D−ATR):ν=3777,2970,2937,1650,1595,1449,1374,991,889cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.61−1.69(2H,m),1.73(3H,s),2.06(2H,t,J=7.7Hz),2.21(2H,t−like,J=8Hz),4.71(2H,d−like,J=13Hz),5.01(2H,d−like,J=8Hz),5.06(1H,d−like,J=11Hz),5.24(1H,d,J=18Hz),6.38(1H,dd,J=10.7,17.5Hz)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=22.37,26.06,30.90,37.62,109.96,113.10,115.64,138.94,145.72,146.32ppm。
GC−MS(EI,70eV):27,41,68,79(ベースピーク),93,107,121,136(M
+)。
【0069】
7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネート
無色油状物
IR(D−ATR):ν=3075,2981,2938,1739,1645,1462,1375,1349,1182,1084,889cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.12(3H,t,J=7.6Hz),1.53−1.61(2H,m),1.71(3H,s),1.97−2.06(4H,m),2.31(2H,q,J=7.6Hz),2.33(2H,t−like,J=7Hz),4.17(2H,t,J=7.1Hz),4.67(1H,s−like),4.70(1H,s−like),4.77(1H,s−like),4.81(1H,s−like)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=9.10,22.32,25.51,27.56,34.95,35.86,37.29,62.73,109.96,111.18,145.44,145.60,174.41ppm。
GC−MS(EI,70eV):29,41,57(ベースピーク),68,79,93,107,121,136,210(M
+)。
【0070】
実施例8 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートの合成2
下記式に示すように、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミドから7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートを得る。
【0071】
【化13】
【0072】
窒素雰囲気下、実施例4で得た7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ブロミド3.70g(88%GC)、プロピオン酸ナトリウム2.50g、とN,N−ジメチルアセトアミド30mlの混合物を92℃で2.5時間かき混ぜた。反応混合物を冷却後、水にあけジエチル=エーテルで抽出した。ジエチル=エーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物を得た。この粗生成物は、8−メチル−3−メチレン−1,7−オクタジエン(14%GC,収率24%)と7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネート(85%GC、収率85%)の混合物であった。
【0073】
実施例9 7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートの合成3
下記式に示すように、7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージドから7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネートを得る。
【0074】
【化14】
【0075】
窒素雰囲気下、実施例6で得た7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=ヨージド10.0g(90.1%GC)、プロピオン酸ナトリウム8.00g、とN,N−ジメチルアセトアミド50mlの混合物を90℃で4時間かき混ぜた。反応混合物を冷却後、水にあけジエチル=エーテルで抽出した。ジエチル=エーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物を得た。この粗生成物は、8−メチル−3−メチレン−1,7−オクタジエン(26%GC,収率44%)と7−メチル−3−メチレン−7−オクテニル=プロピオネート(65%GC、収率70%)の混合物であった。