特許第6254821号(P6254821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6254821記録媒体加熱装置、及びそれを有するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254821
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】記録媒体加熱装置、及びそれを有するシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171218BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B41J2/01 125
   H05B3/00 335
   H05B3/00 365B
【請求項の数】6
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-224628(P2013-224628)
(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-184711(P2014-184711A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-30361(P2013-30361)
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健
(72)【発明者】
【氏名】川道 源一郎
(72)【発明者】
【氏名】中澤 安秀
(72)【発明者】
【氏名】長澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】永山 信治
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−175749(JP,U)
【文献】 特開平05−104706(JP,A)
【文献】 特開2011−225315(JP,A)
【文献】 特開平08−311782(JP,A)
【文献】 特開2009−234054(JP,A)
【文献】 特開2008−080579(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00488415(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−215
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送経路中に配置され、加熱手段を有する複数の加熱ローラと、
前記加熱手段を制御する制御手段と、を有し、
前記複数の加熱ローラは、前記記録媒体の一方の面に接する複数の加熱ローラで構成される一方面加熱ローラ群、及び前記記録媒体の他方の面と接する複数の加熱ローラで構成される他方面加熱ローラ群を有し、
前記制御手段は、
前記一方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの加熱手段と、前記他方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの加熱手段とを独立して制御し、
前記一方面加熱ローラ群の中で最も上流側に位置する前記加熱ローラが、前記一方面加熱ローラ群の中で最も低い温度となるように、又は/及び、前記他方面加熱ローラ群の中で前記搬送経路の最も上流側に位置する前記加熱ローラが、前記他方面加熱ローラ群の中で最も低い温度となるように、前記加熱手段を制御する、
記録媒体加熱装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記一方面加熱ローラ群の中で、前記搬送経路の下流に位置する前記加熱ローラの温度が上流に位置する前記加熱ローラの温度より高くなるように、又は/及び、前記他方面加熱ローラ群の中で、前記搬送経路の下流に位置する前記加熱ローラの温度が上流に位置する前記加熱ローラの温度より高くなるように、前記加熱手段を制御する、
請求項1に記載の記録媒体加熱装置。
【請求項3】
前記複数の加熱ローラが、千鳥状に配置される、
請求項1又は2に記載の記録媒体加熱装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記一方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの温度と、前記他方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの温度とが異なる温度になるように、前記加熱手段を制御する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録媒体加熱装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の記録媒体加熱装置と、
前記記録媒体加熱装置の前記記録媒体の前記搬送経路の上流に設けられた、前記記録媒体にインクを付着させる記録装置と、を有する、
システム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の記録媒体加熱装置と、
前記記録媒体加熱装置の前記記録媒体の前記搬送経路の上流に設けられた、前記記録媒体に前処理液を塗布する前処理装置と、を有する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体加熱装置、及びそれを有するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
輪転機等の印刷装置において、用紙に印刷したインクの溶剤を蒸発させるために、用紙の搬送経路中に設けられた複数の加熱ローラによって用紙を乾燥させる技術(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
しかし、上述した特許文献1の技術では、用紙が加熱ローラと接触する際に、熱により用紙にダメージが発生するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、記録媒体にダメージを生じさせずに記録媒体を加熱することが可能な、記録媒体加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、記録媒体加熱装置において、記録媒体の搬送経路中に配置され、加熱手段を有する複数の加熱ローラと、前記加熱手段を制御する制御手段と、を有し、前記複数の加熱ローラは、前記記録媒体の一方の面に接する複数の加熱ローラで構成される一方面加熱ローラ群、及び前記記録媒体の他方の面と接する複数の加熱ローラで構成される他方面加熱ローラ群を有し、前記制御手段は、前記一方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの加熱手段と、前記他方面加熱ローラ群の前記加熱ローラの加熱手段とを独立して制御し、前記一方面加熱ローラ群の中で最も上流側に位置する前記加熱ローラが、前記一方面加熱ローラ群の中で最も低い温度となるように、又は/及び、前記他方面加熱ローラ群の中で前記搬送経路の最も上流側に位置する前記加熱ローラが、前記他方面加熱ローラ群の中で最も低い温度となるように、前記加熱手段を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、記録媒体にダメージを生じさせずに記録媒体を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る記録媒体加熱装置を有するシステムの一例を示す概略図である。
図2図1のシステムのブロック図である。
図3】記録媒体が受け取る熱量と各加熱ローラセットとの関係を示すグラフである。
図4】本発明の第2実施形態に係る前処理装置を有するシステムの一例を示す概略図である。
図5図4のシステムのブロック図である。
図6図4の加熱装置を有する印刷システムの概略図である。
図7図6の印刷システムに設けられた前処理液塗布乾燥装置の概略構成図である。
図8図7の前処理液塗布乾燥装置に設けられた記録媒体の搬送経路中のパスシャフトとエッジガイドの概略斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る記録媒体加熱装置を有するシステムの一例を示す概略図である。
図10】開放状態の図4の加熱装置の分解図である。
図11図9のシステムの制御ブロック図である。
図12】記録媒体が受け取る熱量と図9の各加熱ローラセットとの関係を示すグラフである。
図13図11のシステムの動作に係るフローチャートである。
図14】本発明の第4実施形態に係る記録媒体加熱装置の、開放状態の分解図である。
図15図14の加熱装置が含まれた前処理装置を有する印刷システムの制御ブロック図である。
図16図15のシステムの動作に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1に第1実施形態に係る記録媒体加熱装置120を有するシステム100を示す。図1に示すように、第1実施形態に係るシステム100は、記録装置110及び加熱装置120を有する。
【0010】
記録装置110は、インク等を記録媒体10上に付着させることにより画像情報を形成する印刷装置、例えば、輪転機、インクジェットプリンタ、ファクシミリ等である。
【0011】
記録媒体10は、図1に矢印で示される記録媒体10の搬送方向20に、記録装置110から供給用搬送ローラ30によって加熱装置120に送られる。記録媒体10は、図1では長さが任意の連続紙であるが、比較的長尺の一枚の用紙であってもよい。記録媒体10の材質としては、紙の他、プラスチックシート等、熱によりシワや変形等のダメージ(損傷)を受けるおそれのあるものでもよい。
【0012】
加熱装置120は、第1段裏面加熱ローラ40a及び第1段表面加熱ローラ40bを備える第1段加熱ローラセット40、第2段裏面加熱ローラ50a及び第2段表面加熱ローラ50bを備える第2段加熱ローラセット50、第3段裏面加熱ローラ60a及び第3段表面加熱ローラ60bを備える第3段加熱ローラセット60、排出用搬送ローラ70、制御装置80を有する。
【0013】
第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50、第3段加熱ローラセット60は、記録媒体10の搬送経路中の搬送方向20の上流から下流に並べて配置される。
【0014】
各加熱ローラ40a、40b、50a、50b、60a、60b(以下、「40a〜60b」と表す)は、長手方向の両端部において軸受けによって回転可能に支持される。
【0015】
第1段裏面加熱ローラ40aと第1段表面加熱ローラ40b、第2段裏面加熱ローラ50aと第2段表面加熱ローラ50b、第3段裏面加熱ローラ60aと第3段表面加熱ローラ60bは、互いに離間して千鳥状に配置される。例えば、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60aそれぞれの回転中心を結ぶ線と、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bそれぞれの回転中心を結ぶ線とが平行且つ離間するように、配置される。
【0016】
各加熱ローラ40a〜60bは、ローラ内部の中央に配置されたハロゲンランプ等のヒータ41a、41b、51a、51b、61a、61b(以下、「41a〜61b」と表す)をそれぞれ有する。これにより、加熱ローラ40a〜60bの表面を加熱することができる。
【0017】
また、各加熱ローラの表面温度を検出するサーミスタやサーモパイル等の温度センサ(図示せず)が、加熱ローラ40a〜60bにそれぞれ設けられる。
【0018】
さらに、各加熱ローラ40a〜60bの内部にヒートパイプ(図示せず)が設けられていてもよい。このヒートパイプにより、各加熱ローラの長手方向に熱を効率良く伝達し、ローラ表面の温度を均一にすることができ、記録媒体10への効率的な熱供給を行うことができる。
【0019】
各加熱ローラ40a〜60bの表面は、フッ素樹脂等、非粘着性の膜でコーティングされる。このコーティングによって、ローラ表面へのインク等の付着を抑制し、ローラ表面の付着物による記録媒体10への熱伝達効率の低下を抑制することができる。
【0020】
記録媒体10は、搬送方向の上流から下流に、千鳥状に配置された第1段裏面加熱ローラ40a、第1段表面加熱ローラ40b、第2段裏面加熱ローラ50a、第2段表面加熱ローラ50b、第3段裏面加熱ローラ60a、第3段表面加熱ローラ60bに順に巻き付く。そして、記録媒体10は、各加熱ローラ40a〜60bをジグザグ状に順に通過する。
【0021】
したがって、搬送中、記録媒体10の図1中の下方に面する裏面(一方の面)は、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60aに接触する。また、記録媒体10の図1中の上方に面する表面(他方の面)は、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bに接触する。
【0022】
図2図1に示したシステム1のブロック図を示す。図2に示すように、制御装置80は、温度センサ42a、42b、52a、52b、62a、62b(以下、「42a〜62b」と表す)、ヒータ41a〜61b、排出用搬送ローラ70、供給用搬送ローラ30、及び記録装置110と接続する。
【0023】
制御装置80は、温度センサ42a〜62bの検出した各加熱ローラの温度、並びに、排出用搬送ローラ70及び/又は供給用搬送ローラ30の回転速度等の作動状態に基づいて、各加熱ローラの温度を制御する。
【0024】
制御装置80は、第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50、第3段加熱ローラセット60毎に、記録媒体10の搬送経路の下流に位置する加熱ローラセットの温度が搬送経路の上流に位置する加熱ローラセットの温度より高くなるように、各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0025】
すなわち、制御装置80は、第1段加熱ローラセット40の第1段裏面加熱ローラ40a及び第1段表面加熱ローラ40bの温度が第1段設定温度T1になるようにヒータ41a、41bを制御する。また、第2段加熱ローラセット50の第2段裏面加熱ローラ50a及び第2段表面加熱ローラ50bの温度が第2段設定温度T2になるようにヒータ51a、51bを制御する。さらに、第3段加熱ローラセット60の第3段裏面加熱ローラ60a及び第3段表面加熱ローラ60bの温度が第3段設定温度T3になるようにヒータ61a、61bを制御する。
【0026】
そして、制御装置80は、第3段設定温度T3は第2段設定温度T2以上に、第2段設定温度T2は第1段設定温度T1以上に、且つ第3段設定温度T3が第1段設定温度T1より高くなる(すなわち、T3≧T2≧T1、且つT3>T1となる)ように、各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0027】
なお、制御装置80は、各加熱ローラ40a〜60bの温度経過を監視し、各加熱ローラの設定温度T1、T2、T3と現時点での温度とを比較することで、或る期間先の温度を予測しながら各加熱ローラに配置した各ヒータ41a〜61bを制御する。或いは、制御装置80は、設定温度に到達するまで各ヒータをONにし続け、設定温度に到達したらヒータをOFFにする二値制御を行ってもよい。
【0028】
制御装置80は、図3に示すように、第1段加熱ローラセット40から記録媒体10に供給される熱量をW1、第2段加熱ローラセット50から記録媒体10に供給される熱量をW2、第3段加熱ローラセット60から記録媒体10に供給される熱量W3となるように制御する。更に、制御装置80は、記録媒体10に供給される総熱量W(=熱量W1+熱量W2+熱量W3)が、記録媒体10上に記録されたインクに含まれる水分や溶剤を所望の程度に蒸発させることができる十分な熱量を上回るように、各ヒータ41a〜61bを制御する。なお、各加熱ローラから記録媒体10に供給される熱量は、記録媒体10と各加熱ローラとが接触する時間(記録媒体10の搬送速度)によって変化するため、制御装置80は、排出用搬送ローラ70及び/又は供給用搬送ローラ30の回転速度に基づいて、各設定温度T1、T2、T3を変更する。
【0029】
記録装置110でインクを印刷された記録媒体10は、供給用搬送ローラ30によって加熱装置120に送られる。加熱装置120に送られた記録媒体10は、最初に制御装置80によって第1段設定温度T1に制御された第1段加熱ローラセット40の第1段裏面加熱ローラ40aに接触して加熱され、その後同様に第1段設定温度T1に制御された第1段表面加熱ローラ40bに接触して加熱される。
【0030】
そして、記録媒体10は、第2段設定温度T2に制御された第2段裏面加熱ローラ50aと第2段表面加熱ローラ50b、同様に第3段設定温度T3に制御された第3段裏面加熱ローラ60aと第3段表面加熱ローラ60bに順に接触して加熱される。そして、記録媒体10に印刷されたインクの溶剤成分は、第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50でそれぞれの加熱の程度に応じて蒸発する。更に、第3段加熱ローラセット60の加熱によって、記録媒体10上に残留するインクの溶剤成分が所定の値以下となるように、インクの溶剤成分を蒸発させる。その後、記録媒体10は、排出用搬送ローラ70によって加熱装置120から排出される。
【0031】
したがって、記録媒体10は、各加熱ローラセット40、50、60の中で最も温度の低い第1段設定温度T1に制御された第1の加熱ローラセット40に最初に接触することになり、記録媒体10と最初に接触する加熱ローラとの間の温度差を小さくできる。このため、全ての加熱ローラが最も高い設定温度T3に設定される場合に比べて、記録媒体10の急激な温度上昇を回避できるので、システム100は、記録媒体10に与える熱負荷を最小限に抑えることができる。また、システム100は、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生を抑えることができる。
【0032】
さらに、記録媒体10は、第3段加熱ローラセット60においてインク中の溶剤成分を所定の値以下になるように蒸発させることができる十分な熱量を供給される。このため、システム100は、記録媒体10上に形成された画像情報の印刷品質を向上させることができる。
【0033】
さらに、記録媒体10が第2段加熱ローラセット50、第3段加熱ローラセット60に搬送されるにつれて、記録媒体10と各加熱ローラとの間の温度差を順に小さくすることができる。そして、記録媒体10が各加熱ローラセット40、50、60から供給される熱量も、搬送方向の下流になるにしたがって少なくすることができる。このため、第2段加熱ローラセット50のヒータ51a及びヒータ51bへの熱負荷による断線等のダメージの発生、並びに第3段加熱ローラセット60のヒータ61a及びヒータ61bへの熱負荷による断線等のダメージの発生を抑えることができる。
【0034】
なお、上述の第1実施形態では、制御装置80は、各加熱ローラセット40、50、60がそれぞれの設定温度となるように各ヒータ41a〜61bを制御していたが、例えば、各加熱ローラ40a〜60bが異なる設定温度となるように、制御装置80が各ヒータ41a〜61bを制御してしても良い。この場合、制御装置80は、記録媒体10の搬送方向の上流から下流に向かって各加熱ローラ40a〜60bの設定温度が順に高くなるように、各ヒータ41a〜61bを制御する。これにより、システム100は、記録媒体10に与える熱負荷をより効果的に抑えることができ、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生をより効果的に抑えることができる。
【0035】
また、制御装置80は、記録媒体10の種類(用紙の種類)、インクの種類、画像形成領域の位置や面積(例えば、表側印刷、裏側印刷、両面印刷、印刷領域の大小)等に応じて、各ヒータ41a〜61bをそれぞれ制御するようにしてもよい。
【0036】
これにより、システム100は、記録媒体10に与える熱負荷をより効果的に抑えることができ、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生をより効果的に抑えることができ、印刷品質の向上をより効果的に達成することができる。
【0037】
<第2実施形態>
次に、図4に第2実施形態に係る前処理装置(前処理液塗布乾燥装置)220に含まれる加熱装置350を有するシステム200を示し、図5にそのブロック図を示す。なお、以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0038】
図6に、第2実施形態に係る印刷システム200の概略構成を例示する。図6に示す様に、印刷システム200は、給紙装置210、前処理装置220、第1インクジェットプリンタ230、反転装置240、第2インクジェットプリンタ250、後乾燥装置260、巻取装置270を有する。図7は、図6の印刷システムに備えられた第2実施形態に係る記録媒体加熱装置(加熱ユニット)350を含む前処理装置220の概略構成図である。
【0039】
給紙装置210は、ロール状に巻き回された長尺の連続紙等の記録媒体10を、後段に設けられている前処理装置220に供給する。
【0040】
前処理装置220は、記録媒体前処理装置の一例であり、後段の第1インクジェットプリンタ230等で記録媒体10に吐出されるインクジェットインクの滲みや裏写りを抑えるために、記録媒体10の表面に前処理液を塗布する。また、前処理装置220は、記録媒体10に塗布された前処理液を加熱して乾燥させた後、後段の第1インクジェットプリンタ230に記録媒体10を排出する。
【0041】
前処理装置220は前処理液を乾燥させるための加熱ユニット350を有する。(図4、7参照)ここで、前処理装置220に含まれている加熱ユニット350は、前出の加熱装置120と同じ構成であり、加熱ローラ40a〜60bを有する。また、加熱ユニット350においても、前出した制御装置80による制御処理(図3参照)が実行され、夫々の加熱ローラ40a〜60bの各ヒータ41a〜61bの加熱量(温度)を制御している。
【0042】
第1インクジェットプリンタ230は、前処理装置220において前処理液が塗布された記録媒体10の表面(他方の面)に、画像データに基づいてインク滴を吐出して所望の画像を形成する。
【0043】
反転装置240は、記録媒体10の表裏を反転させ、反転させた記録媒体10を後段の第2インクジェットプリンタ250に搬送する。また、反転装置240は、乾燥手段として不図示のドライヤを有し、第1インクジェットプリンタ230により形成された記録媒体10の他方面側の画像を乾燥させる。
【0044】
第2インクジェットプリンタ250は、反転装置240で表裏が反転された記録媒体10の反転前の裏面(一方の面)に、画像データに基づいてインク滴を吐出して所望の画像を形成する。
【0045】
後乾燥装置260は、乾燥手段としてドライヤを有し、記録媒体10の両面に形成された画像をドライヤからの熱風で乾燥させる。
【0046】
巻取装置270は、片面又は両面に画像が形成され、後乾燥装置260にて画像形成面のインクが乾燥された記録媒体10を巻取って回収する。
【0047】
次に、図7を参照して、前処理装置220について説明する。図7で示された前処理システムに該当する前処理装置220は前処理液を記録媒体10に塗布する前処理液塗布装置(前処理液塗布ユニット)330を有している。記録媒体10の前処理液を乾燥させるために加熱ユニット(記録媒体加熱装置)350は前処理液塗布ユニット330の記録媒体搬送方向の下流に設けられている。
【0048】
さらに、前処理装置220は、先に述べた前処理液塗布ユニット330と加熱ユニット350の他にエアループユニット320、前処理液供給ユニット340、ダンサーユニット380を有する。
【0049】
エアループユニット320は、回転自在に支持されたガイドローラ321、記録媒体10を狭持して搬送するフィードイン(FI)ローラ322、FIニップローラ323を有する。
【0050】
エアループユニット320では、ガイドローラ321、回転駆動するFIローラ322、従動回転するFIニップローラ323が給紙装置210から供給される記録媒体10を搬送し、エアループユニット320内に記録媒体10を引き込む。このとき、不図示の光学センサにより、記録媒体10の弛み量が一定となるエアループALが形成される様に、FIローラ322の回転が制御される。エアループALを通過した記録媒体10は、不図示のテンションシャフトにより搬送安定化のための張力が付加され、前処理液塗布ユニット330に搬送される。
【0051】
エアループALを経た記録媒体10は、図8に示すように2つのエッジガイド324との間を通り、且つ、長手方向が記録媒体10の搬送方向(矢印方向)と直交するように配置された2本のパスシャフト325の間をSの字状に通る。二本のパスシャフト325はエッジガイド324に支持され、エッジガイド対の間の間隔は記録媒体10の幅方向と略同寸にされる。なおエッジガイド324は、パスシャフト325に対して、例えば、ねじなどの固定手段によって移動可能に固定されており、使用する記録媒体10の幅寸法に応じてエッジガイド324の間の間隔は調整される。これらのパスシャフト325とエッジガイド324の働きにより、記録媒体10の幅方向の走行位置が規制され、安定した走行が可能となる。
【0052】
パスシャフト325とエッジガイド324との間を通過した記録媒体10は、固定状態にあるテンションシャフト(図示せず)により搬送安定化のための張力が付加される。
【0053】
前処理液塗布ユニット330は、回転駆動するインフィードローラ331、フィードニップローラ332、裏面塗布ユニット33、表面塗布ユニット34、回転駆動するアウトフィードローラ335、フィードニップローラ336を有する。フィードニップローラ332は、インフィードローラ331との間で記録媒体10を挟持搬送し、フィードニップローラ336はアウトフィードローラ335との間で記録媒体10を挟持搬送する。
【0054】
裏面塗布ユニット33は、スクイーズローラ337、塗布ローラ338、加圧ローラ339を有する。裏面塗布ユニット33に搬送される記録媒体10は、スクイーズローラ337により前処理液が供給される塗布ローラ338と加圧ローラ339との間で挟持搬送される際に、塗布ローラ338により一方面(裏面)側に前処理液が塗布される。裏面塗布ユニット33を通過した記録媒体10は、表面塗布ユニット34に搬送される。
【0055】
表面塗布ユニット34は、スクイーズローラ347、塗布ローラ348、加圧ローラ349を有し、記録媒体10の外面(表面)側に前処理液を塗布する。表面塗布ユニット34を通過した記録媒体10は、アウトフィードローラ335とフィードニップローラ336により、加熱装置である加熱ユニット350に搬送される。
【0056】
なお、裏面塗布ユニット33及び表面塗布ユニット34は、選択的に作動する様に制御され、記録媒体10は、他方面(表面)及び一方面(裏面)のいずれか片方又は両面に前処理液が塗布される。
【0057】
前処理液供給ユニット340は前処理液を貯留し、裏面塗布ユニット33及び表面塗布ユニット34に前処理液を適宜供給する。
【0058】
加熱ユニット350は、記録媒体加熱装置の一例であり、前出の第1実施形態における加熱装置120と類似の構造を有し、記録媒体10を加熱し、記録媒体10に塗布された前処理液を乾燥させる。ここで、加熱装置120と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより、重複した説明を省く。
【0059】
加熱ユニット350は、上述の加熱装置120と同じ構成であり、記録媒体10の搬送方向20の上流から、加熱ローラ40a、40b、50a、50b、60a、60bと制御装置80を有する。
【0060】
また、加熱ユニット350においても、前出した制御装置80による制御処理(図3参照)が実行され、夫々の加熱ローラ40a〜60bの各ヒータ41a〜61bの実施形態1のときと同様に加熱量(温度)を制御している。
【0061】
記録媒体10は、各加熱ローラ40a〜60bに順に千鳥掛け状に掛け渡され、アウトフィードローラ335及びフィードニップローラ336と、フィードローラ359及びフィードニップローラ360とにより、加熱ユニット350の中を搬送される。各加熱ローラ40a〜60bは、搬送される記録媒体10に従動して回転し、記録媒体10を加熱して記録媒体10に塗布されている前処理液を乾燥させる。
【0062】
なお、加熱ユニット350においても、各加熱ローラ40a〜60bは記録媒体10に従動して回転するため、各加熱ローラを回転駆動させる駆動手段として例えばモーター等を設ける必要がなく、モーター設置スペースが省略されて小型化が可能になっている。
【0063】
加熱ユニット350において表面に塗布された前処理液が乾燥した記録媒体10は、回転駆動するフィードローラ359及びフィードニップローラ360に挟持され、ダンサーユニット380に搬送される。
【0064】
ダンサーユニット380は、2つのガイドローラ381、382、可動フレーム384、可動フレーム384の位置を検出する不図示の位置検出手段、可動フレーム384に回転自在に取り付けられた2つのダンサーローラ385、386を有する。可動フレーム384は、下部に錘383が設けられ、ダンサーローラ385、386と共に矢印A方向に移動可能に設けられている。記録媒体10は、2つのガイドローラ381、382及び2つのダンサーローラ385、386にW字状に掛け渡される。
【0065】
ダンサーユニット380は、不図示の位置検出手段の出力に基づいて、フィードローラ359の搬送量を制御して、可動フレーム384の上下方向の位置を調整する。可動フレーム384の位置が調整されることで、前処理装置220と後段の第1インクジェットプリンタ230との間の記録媒体10のバッファが確保される。
【0066】
加熱ユニット350によって加熱された記録媒体10は、ダンサーユニット380にて冷却された後に、後段の第1インクジェットプリンタ230に搬送される。
【0067】
このような構成により、前処理装置220において、前処理液塗布ユニット330は、インクのにじみ防止や浸透補助等、画質向上のための前処理液を、記録媒体10に塗布する。その後、加熱ユニット350において前処理液を蒸発させ、ダンサーユニット380にて冷却された後に、後段の第1インクジェットプリンタ230に搬送される。
【0068】
なお、前処理液塗布ユニット330は、記録媒体10の表面、裏面、又は両面に前処理液を塗布する前処理部となる。加熱ユニット(記録媒体加熱装置)350は、前処理液を蒸発させる前処理液乾燥装置に該当する。
【0069】
このような構成の前処理装置220は、インクのにじみ防止や浸透補助等、画質向上のための前処理液を、記録媒体10に塗布する。前処理装置220は、記録媒体10の表面、裏面、又は両面に前処理液を塗布する。
【0070】
制御装置80は、記録媒体10に供給される総熱量W(=熱量W1+熱量W2+熱量W3)が、記録媒体10上に塗布された前処理液の水分を蒸発させる(前処理液を乾燥させる)ことができる十分な熱量を上回る熱量となるように、各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0071】
また、制御装置80は、各加熱ローラから記録媒体10に供給される熱量は、搬送速度、記録媒体10の種別(用紙種別)、前処理液の塗布量(例えば、両面への塗布、片面への塗布等の塗布パターン)等に基づいて、各設定温度T1、T2、T3を変更する。
【0072】
表1に、搬送速度、用紙種別、前処理液の塗布量と、第1段加熱ローラセット40の第1段裏面加熱ローラ40a及び第1段表面加熱ローラ40bの第1段設定温度T1、第2段加熱ローラセット50の第2段裏面加熱ローラ50a及び第2段表面加熱ローラ50bの第2段設定温度T2、第3段加熱ローラセット60の第3段裏面加熱ローラ60a及び第3段表面加熱ローラ60bの第3段設定温度T3の関係を示す。
【0073】
【表1】
表1に示すように、搬送速度が50m/分、記録媒体10がコート紙Aであり、前処理液塗布量がAパターンである場合、第1段設定温度T1は50℃、第2段設定温度T2は65℃、第3段設定温度T3は80℃に設定される。
【0074】
そして、同じ種別の記録媒体(コート紙A)に対して搬送速度が上述の場合より遅い30m/分であるとともに液塗布量がAパターンより少ないBパターンである場合、第1段設定温度T1は40℃、第2段設定温度T2は50℃、第3段設定温度T3は60℃に設定される。すなわち、搬送速度が高い上述の場合より各設定温度T1、T2、T3はそれぞれ低い温度に設定される。
【0075】
また、搬送速度が50m/分、記録媒体10がコート紙Bであり、前処理液塗布量がAパターンである場合、第1段設定温度T1は60℃、第2段設定温度T2は75℃、第3段設定温度T3は90℃に設定される。すなわち、上述の記録媒体10がコート紙Aである場合より各設定温度T1、T2、T3はそれぞれ高い温度に設定される。
【0076】
そして、記録媒体の種別がコート紙Bに対して搬送速度が30m/分であるとともに液塗布量がBパターンである場合、第1段設定温度T1は50℃、第2段設定温度T2は60℃、第3段設定温度T3は70℃に設定される。すなわち、搬送速度が高い場合より各設定温度T1、T2、T3はそれぞれ低い温度に設定される。
【0077】
さらに、搬送速度が50m/分、記録媒体10がコート紙Cであり、前処理液塗布量がAパターンである場合、第1段設定温度T1は90℃、第2段設定温度T2は105℃、第3段設定温度T3は120℃に設定される。すなわち、上述の記録媒体10がコート紙A、Bである場合よりさらに各設定温度T1、T2、T3はそれぞれ高い温度に設定される。
【0078】
そして、記録媒体の種別がコート紙Cに対して搬送速度が30m/分であるとともに液塗布量がBパターンである場合、第1段設定温度T1は80℃、第2段設定温度T2は90℃、第3段設定温度T3は100℃に設定される。すなわち、搬送速度が高い場合より各設定温度T1、T2、T3はそれぞれ低い温度に設定される。
【0079】
なお、上述の各設定温度の値は、単なる例示であり、この値に限定されるものではない。また、各設定温度は、実験等に基づいて、適宜設定されるものである。
【0080】
前処理塗布ユニット330で前処理液を塗布された記録媒体10は、供給用搬送ローラ30によって加熱ユニット350に送られる。加熱ユニット350に送られた記録媒体10は、最初に制御装置80によって第1段設定温度T1に制御された第1段加熱ローラセット40の第1段裏面加熱ローラ40aに接触して加熱され、その後同様に第1段設定温度T1に制御された第1段表面加熱ローラ40bに接触して加熱される。
【0081】
そして、記録媒体10は、制御装置80によって第2段設定温度T2に制御された第2段加熱ローラセット50の第2段裏面加熱ローラ50a、同様に第2段設定温度T2に制御された第2段表面加熱ローラ50bに順に接触して加熱される。また、同様に第3段設定温度T3に制御された第3段加熱ローラセット60の第3段裏面加熱ローラ60a、同様に第3段設定温度T3に制御された第3段表面加熱ローラ60bに順に接触して加熱される。
【0082】
これにより、記録媒体10に塗布された前処理液の水分は、第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50でそれぞれの加熱の程度に応じて蒸発する。更に、第3段加熱ローラセット60における加熱によって、記録媒体10上の前処理液の水分は、所定の値以下となるように蒸発する。その後、記録媒体10は、排出用搬送ローラ70によって加熱ユニット350から排出される。
【0083】
したがって、記録媒体10は、各加熱ローラセット40、50、60の中で最も温度の低い第1段設定温度T1に制御された第1の加熱ローラセット40に最初に接触することになり、記録媒体10と最初に接触する加熱ローラとの間の温度差を小さくできる。このため、全ての加熱ローラが最も高い設定温度T3に設定される場合に比べて、記録媒体10の急激な温度上昇を回避できるので、システム200は、記録媒体10に与える熱負荷を最小限に抑えることができ、また、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生を抑えることができる。
【0084】
さらに、記録媒体10は、第3段加熱ローラセット60において前処理液の水分を所定値以下となるように蒸発させることができる十分な熱量を供給される。このため、システム200は、記録媒体10に塗布された前処理液の乾燥を確実に行うことができ、その後の記録媒体10に印刷されるインクのにじみの抑制、浸透補助が可能となり、印刷品質を向上させることができる。
【0085】
なお、上述の第2実施形態では、制御装置80は、各加熱ローラセット40、50、60がそれぞれの設定温度となるように各ヒータ41a〜61bを制御していたが、例えば、各加熱ローラ40a、40b、50a、50b、60a、60b(以下、「40a〜60b」とする)が異なる設定温度となるように、制御装置80が各ヒータ41a〜61bを制御してしても良い。この場合、制御装置80は、記録媒体10の搬送方向の上流から下流に向かって各加熱ローラ40a〜60bの設定温度が高くなるように、各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0086】
これにより、システム200は、記録媒体10に与える熱負荷をより効果的に抑えることができ、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生をより効果的に抑えることができる。
【0087】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る記録媒体加熱装置(インク乾燥装置)120-Aを有するシステム100−Aについて説明する。図9に加熱装置120-Aを有するシステム全体の概略構成図を示す。なお、以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。図9に示すように、本実施形態の印刷システム100-Aは、記録装置110の上流に給紙装置130が配置され、インク乾燥装置である加熱装置120-Aの下流には、巻取装置140が配置されている。なお、巻取装置140の代わりに、印刷後の記録媒体を折りたたむ折機を設置してもよい。
【0088】
記録装置110は表面画像形成ユニット111、裏面画像形成ユニット112、搬送部113、画像形成制御部93、搬送制御部94を有している。記録装置110において、画像形成ユニット111、112は、例えばインクジェットヘッド部であり、記録媒体10にインク等の液体を吐出し付着させることで、記録媒体10に画像を形成する。
【0089】
加熱装置120-Aは、加熱ローラ40a及び40bを備える第1段加熱ローラセット40、加熱ローラ50a及び50bを備える第2段加熱ローラセット50、加熱ローラ60a及び60bを備える第3段加熱ローラセット60、排出用搬送ローラ70を有する。さらに、加熱装置120-Aは制御装置80−Aを備え、制御装置80−Aは上記ローラ40a〜60bおよび70を制御している。
【0090】
図10は開放状態の加熱装置120−Aの分解図である。図10において、加熱装置120−Aの上側は、表面加熱ユニット121になっており、表面加熱ユニット121は、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60b、を備えている。また、加熱装置120−Aの下側は、裏面加熱ユニット122になっており、裏面加熱ユニット122は、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60a、排出用搬送ローラ70を備えている。79は加熱装置120−Aの出口を示し、出口センサ71が周辺に設けられている。なお、制御装置80−A、出口センサ71はどちらのユニット121、122に存在してもよい。
【0091】
搬送中、記録媒体10の図9中の下方に面する裏面(一方の面)は、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60aに接触する。また、記録媒体10の図9中の上方に面する表面(他方の面)は、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bに接触する。
【0092】
また、図10は、表面加熱ユニット121、裏面加熱ユニット122を上下に離間する矢印Cの方向に移動した開放状態を示す。記録媒体10の装填する際、このような開放状態で記録媒体10を表面加熱ユニット121、裏面加熱ユニット122の間に通す。そして、記録媒体10を通した後、表面加熱ユニット121と裏面加熱ユニット122をそれぞれ接近する方向に移動させ、表面加熱ユニット121と裏面加熱ユニット122を図9に示す閉鎖状態にすることで行われる。このため、矢印で示される搬送方向20へ搬送される記録媒体10の装填を容易に行うことができる。
【0093】
図11に加熱装置120-Aを有するシステム全体のブロック図を示す。図11に示すように、加熱装置120−Aの制御装置80-Aは印刷システム100-Aの制御システム500に含まれている。
【0094】
加熱装置120-Aの制御装置80−Aは、表面加熱制御部81、裏面加熱制御部82、CPU83、メモリ84等を有している。また、図示はしていないが、制御装置80-Aは、さらに加熱を実行するプログラムを記憶させるRAM、ROMや、センサ等の電装品の入出力を制御するI/O(入力部)、印刷制御部90からのデータを受け取るI/F(インターフェイス部)等を有している。
【0095】
本システム100-Aの制御システム500は、加熱装置120-Aの制御装置80−Aの他に、記録装置110等を制御する印刷制御部90、画像形成制御部93、搬送制御部94を有している。
【0096】
また、印刷制御部90は、操作パネル91、パソコン(サーバー等も含む)92、給紙装置130及び巻き取り装置140等と複数のデータ線や制御線で接続し、インク乾燥を含む画像形成動作の総合的な制御を行っている。印刷制御部90は、例えばホスト装置から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理(ラスターイメージプロセッサ)を行い、印刷画像データである色ごとのビットマップデータを作成する。それと共に、印刷制御部90は、当該印刷ジョブデータやホスト装置の情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。なお、印刷制御部90を記録装置110の中に設けてもよい。
【0097】
記録装置110において、印刷制御部90と接続された画像形成制御部93は、表面画像形成ユニット111、裏面画像形成ユニット112を制御している。また、搬送制御部94は、搬送部113や加熱装置120−Aと接続された搬送ローラ30、70と接続し、搬送を制御している。
【0098】
加熱装置120-Aの制御装置80-Aにおいて、接続した印刷制御部90から得た情報を元に、CPU83が表面加熱制御部81及び裏面加熱制御部82を制御している。
【0099】
制御装置80-Aにおいて、表面加熱制御部81は、表面加熱ユニット121の中にある、各加熱ローラ40b、50b、60bの温度を検出する温度センサ42b、52b、62b、ヒータ41b、51b、61bと接続している。裏面加熱制御部82は、裏面加熱ユニットの122中にある、各加熱ローラ40a、50a、60aの温度を検出する温度センサ42a、52a、62a、ヒータ41a、51a、61aと接続している。
【0100】
本実施形態では、制御装置80−Aは、表面画像形成ユニット111及び裏面画像形成ユニット112の動作状態を監視し、各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを下記のように制御する。制御装置80−Aは、記録媒体10のインクが塗布された面(表面、裏面、或いは両面)が乾燥するよう、各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0101】
表面画像形成ユニット111のみ作動している場合、即ち、記録媒体10の表面側のみにインクが付着する場合、制御装置80−Aの表面加熱制御部81は、加熱ローラ40b、50b、60bがそれぞれ設定温度となるようにヒータ41b、51b、61bを作動させる。また加熱ローラ40b、50b、60bは、記録媒体10の表面側のみを加熱・インクを乾燥させる。
【0102】
また、裏面画像形成ユニット112のみ作動している場合、即ち、記録媒体10の裏面側のみにインクが付着する場合、裏面加熱制御部82は、加熱ローラ40a、50a、60aそれぞれが設定温度となるようにヒータ41a、51a、61aを作動させる。そして、加熱ローラ40a、50a、60aは、記録媒体10の裏面側のみを加熱・インクを乾燥させる。
【0103】
さらに、表面画像形成ユニット111及び裏面画像形成ユニット112の両方が作動している場合、即ち記録媒体10の両面にインクが付着する場合、制御装置80−Aは、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度となるように各ヒータ41a〜61bを作動させる。そして、各加熱ローラ40a〜60bは、記録媒体10の表裏両面を加熱・インクを乾燥させる。
【0104】
ここで、表面又は裏面の片面のみにインクが付着する場合、制御装置80−Aは、加熱装置120-Aから排出された記録媒体10の含水率が給紙装置130から送り出されたときの記録媒体10の含水率とほぼ同じになるよう各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0105】
さらに、表面又は裏面のみの乾燥を行う、或いは加熱装置120−Aの作動を停止する場合、制御装置80-Aは、作動させない各ヒータ41a〜61bを完全にOFFにする。
【0106】
或いは、表面又は裏面のみの乾燥を行う場合、制御装置80−Aは、記録媒体10のインク付着と反対面側の加熱ローラの温度が、インク付着面側で加熱される加熱ローラの設定温度より低い待機温度になるように、作動させない各ヒータを作動させても良い。例えば、インク付着面で加熱される側の温度を、例えば60℃〜120℃程度、待機温度を例えば40℃〜45℃程度とする。なお、45℃を超えると、記録媒体10が熱変形を起こし、40℃以下では加熱ローラ40a〜60bの保温効果が持続できないため、40℃〜45℃が最適な待機温度である。
【0107】
制御装置80−A、温度センサ42a〜62bの検出した各加熱ローラ40a〜60bの温度、並びに、排出用搬送ローラ70及び/又は供給用搬送ローラ30の回転速度等の作動状態に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bの温度を制御する。
【0108】
この時、制御装置80−Aにおいて、裏面加熱制御部82は、それぞれの段のローラセットにおいて、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第第3段裏面加熱ローラ60aを記録媒体裏面加熱ロール群としてまとめて制御している。また、表面加熱制御部81は、それぞれの段のローラセットにおいて、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bを記録媒体表面加熱ローラ群としてまとめて制御している。なお、記録媒体裏面加熱ロール群を一方面加熱ロール群、記録媒体表面加熱ロール群を他方面加熱ロール群とする。
【0109】
そのローラ群各々の中で記録媒体10の搬送経路の下流に位置する加熱ローラ60a、60bの設定温度が搬送経路の上流に位置する加熱ローラ40a、40bの設定温度より高くなるように各加熱制御部81、82は接続された各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0110】
図12は記録媒体が受け取る熱量と図9の各加熱ローラセットとの関係を示すグラフである。図12に示すように、裏面加熱制御部82は、記録媒体裏面加熱ローラ群の加熱ローラ40a、50a、60aのそれぞれの温度をT4a、T5a、T6aとなるように加熱ローラ40a、50a、60aに設けられているヒータ41a、51a、61aを制御する。表面加熱制御部81は、記録媒体表面加熱ローラ群の加熱ローラ40b、50b、60bのそれぞれの温度をT4b、T5b、T6bになるように、各加熱ローラ40b、50b、60bに設けられているヒータ41b、51b、61bを制御する。
【0111】
そして、制御装置80−Aは、各加熱ローラ40a〜60bの各設定温度を、以下の式(1)のような関係が成り立つように各ヒータ41a〜61bを制御する。
(各加熱ローラ40a〜60bの制御温度関係)
T4a≦T5a≦T6a 且つ T4b≦T5b≦T6b …(1)
この時、記録媒体裏面加熱ローラ群40a、50a、60a、記録媒体表面加熱ローラ群41b、51b、61bのいずれか片方又は両方を加熱しない制御も可能とする。
【0112】
なお、制御装置80−Aは、各加熱ローラ40a〜60bの温度経過を監視し、各加熱ローラ40a〜60bの設定温度T4a、T5a、T6a、T4b、T5b、T6bと現時点での温度とを比較する。この比較により、或る期間先の温度を予測しながら各加熱ローラ40a〜60bに配置した各ヒータ41a〜61bを制御する。
【0113】
或いは、制御装置80−Aは、設定温度に到達するまで各ヒータ41a〜61bをONにし続け、設定温度に到達したらヒータ41a〜61bをOFFにする二値制御を行ってもよい。
【0114】
制御装置80−Aは、記録媒体裏面加熱ローラ群の加熱ローラ40aから記録媒体10に供給される熱量をW4a、加熱ローラ50aから記録媒体10に供給される熱量をW5a、加熱ローラ60aから記録媒体10に供給される熱量W6aとなるように制御する。同様に、記録媒体裏面加熱ローラ群の加熱ローラ40bから記録媒体10に供給される熱量をW4b、加熱ローラ50bから記録媒体10に供給される熱量をW5b、加熱ローラ60bから記録媒体10に供給される熱量W6bとなるように制御する。
【0115】
このとき、裏面加熱による熱量Waと表面加熱による熱量Wbとの合算である記録媒体10に供給される総熱量Wが、記録媒体10上のインクに含まれる溶剤を所望の程度に蒸発させることができる十分な熱量を上回るように各ヒータ41a〜61bを制御する。
Wa(=熱量W4a+熱量W5a+熱量W6a)+熱量Wb(=熱量W4b+熱量W5b+熱量W6b)>蒸発させることができる十分な熱量 ・・・(2)
なお、各加熱ローラ40a〜60bから記録媒体10に供給される熱量は、記録媒体10と各加熱ローラとが接触する時間(記録媒体10の搬送速度)によって変化する。そのため、制御装置80−Aは、排出用搬送ローラ70及び/又は供給用搬送ローラ30の回転速度に基づいて、各設定温度を変更する。
【0116】
記録装置110の画像形成ユニット111、112でインクが付着された記録媒体10は、供給用搬送ローラ30によって加熱装置120-Aに送られる。加熱装置120-Aに送られた記録媒体10は、裏面加熱制御部82によって記録媒体10の裏側にて各温度T4a、T5a、T6aに制御された用紙媒体裏面加熱ローラ群40a、50a、60aに順に接触し加熱される。同様に、記録媒体10の表側では表面加熱制御部81によって各温度T4b、T5b、T6bに制御された用紙媒体表面加熱ローラ群40b、50b、60bに順に接触し加熱される。
【0117】
そして、記録媒体10に印刷されたインクの溶剤成分は、第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50でそれぞれの加熱の程度に応じて蒸発する。更に、第3段加熱ローラセット60の加熱によって、記録媒体10上に残留するインクの溶剤が所定の値以下となるように、インクの水分を蒸発させる。その後、記録媒体10は、排出用搬送ローラ70によって加熱装置120-Aから排出される。
【0118】
次に、図13に示すフローチャートに従って、印刷システム100-Aの動作を説明する。図13において、操作パネル91やPC又はサーバー92等から印刷開始を指示されると(ステップS100、以下単にステップをSで表す)、印刷システム100-Aは印刷準備を開始する(S101)。
【0119】
その場合、印刷制御部90は、操作パネル91やPC等92から各加熱ローラ40a〜60bの設定温度を判断する印刷形態の情報、記録媒体の情報、媒体の搬送情報、を認識する(S102)。印刷形態の情報とは、片面か裏面か両面印刷であり、記録媒体の情報とは、例えば種類(普通紙かコート紙か)幅・連量 等と意味し、媒体の搬送情報とは、例えば搬送速度、搬送量(何ページ分か)を意味する。
【0120】
次に、印刷制御部90は、操作パネル91やPC又はサーバー92等から記録装置110の情報、例えば記録の有無、有の場合の記録面(両面か片面か、表側か裏側か)等を認識する。印刷制御部90で認識した情報は、加熱装置120−Aの制御装置80-Aで、印刷形態より、記録媒体10を表側及び裏側の両側から加熱する必要がある両側印刷の場合と、片側のみ加熱する必要がある片面印刷の場合に振り分ける(S103)。
【0121】
そして、制御装置80-Aは、記録媒体10を両面より加熱する必要が有る場合には、例えば表1のように予め印刷形態によって設定された加熱ローラ設定温度になるように、各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを作動させる。この作動により、インク乾燥装置である加熱装置120-Aの温度立上げを行う(S104)。
【0122】
制御装置80−Aは、各温度センサ41a〜61bの出力に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されたか否かを判断する(S105)。
【0123】
また、S103で記録媒体10を片面のみ加熱する必要が有る場合には、制御装置80-AのCPU83は、記録媒体裏面加熱ローラ群40a、50a、60aを加熱するのか、記録媒体表面加熱ローラ群40b、50b、60bを加熱するのかを選択する(S106)。
【0124】
更に、制御装置80-Aは、例えば表1のように予め印刷形態によって設定された温度関係になるように、各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを作動させ、加熱装置の温度立上げを行う(S107a、S107b)。
【0125】
次に、制御装置80-Aは、各温度センサ42a〜62bの出力に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されたか否かを判断する(S108)。
【0126】
そして、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されている場合(S105もしくはS108においてYESの場合)、印刷制御部90は、搬送制御部94を介して給紙装置130、各搬送部113、30、および70を駆動させ記録媒体10を搬送させる。この時、記録装置110における画像形成ユニット111、112を作動させ、記録媒体10にインクを吐出し付着させる、印刷動作を開始させる(S109)。
【0127】
次に、制御システム500は、記録装置110でのインクの付着である印刷が終了したか否かを判断する(S110)。
【0128】
印刷が終了した後(S111)、制御装置500は、記録媒体10のインクが付着している終端部分がインク乾燥装置である加熱装置120-Aを出たか否かを判断する(S112)。記録媒体10のインクが付着している終端部分が加熱装置120-Aを出たかどうかの判断は、画像形成部111、112のインクの吐出タイミング、ローラ30や70等の各搬送部等に基づいて行う。例えば、記録媒体10の搬送距離、搬送速度から所要時間を計算し、所要時間と時間カウントの結果を比較することにより行なう。
【0129】
記録媒体10のインクが付着している終端部分が加熱装置120-Aの出口79を出た場合、制御装置80-Aは、各加熱ローラ40a〜60bの作動中の各ヒータ41a〜61bをOFFにして、乾燥装置である加熱装置120-Aを停止させる(S113)。
【0130】
その後、制御装置500の搬送制御部94は、給紙装置130、各搬送装置113、30、および70の駆動を中止させ、記録媒体10の搬送を停止させる(S114)。
【0131】
そして、制御装置500の印刷制御部90は、次のJOBの有無を判断する(S115)。次のJOBがある場合には、再度S101に戻って印刷準備を開始し、次のJOBがない場合は終了となる(S116)。
【0132】
上述の制御により、記録媒体10は、各加熱ローラセット40、50、60の中で最も温度の低い設定温度に制御された第1の加熱ローラセット40に最初に接触することになり、記録媒体10と最初に接触する加熱ローラとの間の温度差を小さくできる。このため、全ての加熱ローラが最も高い設定温度に設定される場合に比べて、記録媒体10の急激な温度上昇を回避できるので、加熱装置120−Aが含まれるシステム100-Aは、記録媒体10に与える熱負荷を最小限に抑えることができる。よって、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生を抑えることができる。
【0133】
また、第3実施形態においても、記録媒体10は、第3段加熱ローラセット60においてインク中の水分を所定の値以下になるように蒸発させることができる十分な熱量を供給される。このため、システム100-Aは、記録媒体10上に形成された画像情報の印刷品質を向上させることができる。
【0134】
さらに、制御装置80−Aは、記録媒体10の種類(用紙の種類)、画像形成領域の位置が異なる場合、例えば、表側印刷のみ、裏側印刷のみ、両面印刷、の印刷形態に応じて、各ヒータ41a〜61bをそれぞれ制御する。これにより、システム100-Aは、片面印刷時に両面印刷時と同じ制御を行う場合と比べて、記録媒体10に与える熱負荷をより効果的に抑えることができる。さらに、長さが任意の連続紙からなる記録媒体10で起きやすかった熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生をより効果的に抑えることができる。よって、印刷品質の向上をより効果的に達成することができる。
【0135】
<第4実施形態>
次に、図14〜16を参照して、第4実施形態に係る記録媒体加熱装置(加熱ユニット)350-Aを有するシステム200−Aについて説明する。図14は、開放状態の加熱装置350−Aの分解図である。本実施形態に係る加熱装置-Aは、第2実施形態に係る記録媒体加熱装置350とほぼ同一の構成を有し、制御装置80−Bが制御装置80の代わりに含まれることが異なる。
【0136】
また、加熱ユニット350−Aは加熱ユニット350の代わりに、図7で示された前処理液塗布乾燥装置220の中に含まれる。そして、本実施形態に係る前処理液塗布乾燥装置は、図6に示される印刷システム200の構成要素の一部となる。本実施形態について、印刷システムを200−A、前処理液塗布乾燥装置(前処理装置)を220-Aとよぶ。以下では、第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態では、加熱ユニット350-Aの概要、前処理液塗布乾燥装置220-A、印刷システム200-Aの構成は第2実施形態と同一なので、図4、6、7を参照して説明を割愛する。
【0137】
実施形態3と同様に、加熱ユニット350−Aの上側は、表面加熱ユニット351になっており、表面加熱ユニット351は、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bを備えている。また、加熱ユニット350−Aの下側は、裏面加熱ユニット352になっており、裏面加熱ユニット352は、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60a、および排出用搬送ローラ70を備えている。79は加熱ユニット350−Aの出口を示し、出口センサ71が周辺に設けられている。なお、制御装置80−B、出口センサ71はどちらのユニット351、352に存在してもよい。
【0138】
図15に、第4実施形態に係る印刷システム200−Aの制御ブロック図を示す。図15に示すように、加熱ユニット350-Aの制御装置80−Bは印刷システム200-Aの制御システム450に含まれている。加熱ユニット350−Aの制御装置80−Bは、表面加熱制御部81、裏面加熱制御部82、CPU83、メモリ84等を有している。また、図には示していないが、制御装置80−Bは、さらに、加熱システムを実行するプログラムを記憶させるためのRAM、ROMや、センサ等の電装品の入出力を制御するI/O、印刷制御部からのデータを受け取るI/Fを有している。
【0139】
前処理塗布乾燥装置220-Aの制御部として、加熱ユニット350-Aの制御装置80-B、前処理塗布ユニット33、34の塗布制御部221、搬送に係る搬送制御部222が含まれている。さらに、制御システム450は、前処理塗布乾燥装置220-Aが含まれる印刷システム200-A全体を制御する、制御を行う印刷制御部90等を有している。
【0140】
前処理塗布乾燥装置220-Aにおいて、塗布制御部221は、表面塗布ユニット34、裏面塗布ユニット33と接続し、塗布ユニット33、34を制御している。搬送制御部222は、前処理塗布乾燥装置220-Aの各搬送ローラ335、359、ダンサーユニット380、エアループユニット320等と接続し、搬送を制御している。
【0141】
さらに、本制御システム450は、前処理塗布乾燥装置220-Aが含まれる印刷システム200-Aと接続され、印刷システム200−A全体を制御する印刷制御部90等を有している。印刷制御部90は、操作パネル91、PCやサーバー92(PC等とする)、給紙装置210、第1のインクジェットプリンタ230、第2のインクジェットプリンタ250、後処理乾燥装置260、及び巻き取り装置270と複数のデータ線等で接続している。印刷制御部90は、前処理液の乾燥を含む画像形成動作の総合的な制御を行っている。
【0142】
加熱ユニット350-Aの制御装置80−Bは、内部に表面加熱制御部81、裏面加熱制御部82、CPU83、メモリ84等を有している。接続した塗布制御部221、搬送制御部222、印刷制御部90等から得た情報を元に、CPU83が、表面加熱制御部81、裏面加熱制御部82を制御している。
【0143】
制御装置80−Bは、温度センサ42a〜62bの検出した各加熱ローラ41a〜61bの温度、並びに、排出用搬送ローラ359及び/又は供給用搬送ローラ335の回転速度等の作動状態に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bの温度を制御する。
【0144】
裏面加熱制御部82は、それぞれのローラセットにおいて、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60aを記録媒体裏面加熱ロール群としてまとめて制御する。また、表面加熱制御部81は、それぞれのローラセットにおいて、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bを記録媒体表面加熱ローラ群としてまとめて制御する。なお、記録媒体表面加熱ロール群を他方面加熱ロール群、記録媒体裏面加熱ロール群を一方面加熱ロール群とする。
【0145】
本実施形態では、塗布された前処理液を乾燥するため、制御部81、82は、表面塗布ユニット34、裏面塗布ユニット33に対して、第3実施形態の表面画像形成ユニット111、裏面画像形成ユニット112に対して行った制御と同様の加熱制御を行う。
【0146】
詳細な制御方法は、図12で示して説明した第3実施形態での制御と同様なので、本実施形態での説明を割愛する。
【0147】
なお、第3実施形態では、インクの溶剤を蒸発させたが、第4実施形態では、前処理液の溶剤を蒸発させる点で異なる。しかし。温度設定方法はほぼ同様であり式(1)と図12で示したような制御値になるように、下記のような制御フローを実行する。
【0148】
ここで、図16に示すフローチャートに従って、印刷システム200-Aの動作を説明する。図16は印刷システム200−Aの制御フローチャートである。
図16において、操作パネル91やPC又はサーバー92等から印刷開始を指示されると(S200)、印刷制御部90により、印刷システム200-Aは印刷準備を開始する(S210)。
【0149】
その場合、印刷制御部90は、操作パネル91やPC等92から各加熱ローラ40a〜60bの設定温度を判断する印刷形態の情報、記録媒体の情報、媒体の搬送情報、を認識する(S220)。印刷形態の情報とは、片面か裏面か両面印刷であり、記録媒体の情報とは、例えば種類(普通紙かコート紙か)幅・連量 等と意味し、媒体の搬送情報とは、例えば搬送速度、搬送量(何ページ分か)を意味する。
【0150】
次に、印刷制御部90は、操作パネル91やPC又はサーバー92等から(インクジェットプリンタ230、250の情報、例えば記録の有無、有の場合の記録面(両面か片面か、表側か裏側か)等を認識する。そして、印刷制御部90は印刷形態より、加熱ユニット350−Aの制御装置80−Bは、記録媒体を表側及び裏側の両側から加熱する必要がある両側印刷の場合と、片側のみ加熱する必要がある片面印刷の場合に振り分ける(S230)。
【0151】
そして、記録媒体10を両面より加熱する必要が有る場合には、例えば表1のように予め印刷形態によって設定された加熱ローラ設定温度になるように、制御装置80−Bは各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを作動させる。この作動により、前処理液塗布乾燥装置220-Aの前処理液の乾燥部である加熱ユニット350−Aの温度立上げを行う(S240)。
【0152】
加熱装置350−Aの制御装置80−Bは、各温度センサ41a〜61bの出力に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されたか否かを判断する(S250)。
【0153】
また、S230で記録媒体10を片面のみ加熱する必要が有る場合には、制御装置80−BのCPU83は記録媒体裏面加熱ローラ群40a、50a、60aを加熱するのか、記録媒体表面加熱ローラ群40b、50b、60bを加熱するのかを選択する(S260)。
【0154】
更に、記録媒体裏面ローラ群内及び記録媒体表面加熱ローラ群内の各加熱ローラにおいて、例えば表1のように予め印刷形態によって設定された温度関係になるように、各加熱ローラ40a〜60bに設けられた各ヒータ41a〜61bを作動させる。この作動により、前処理液塗布乾燥装置220-Aの乾燥部である加熱ユニット350-Aの温度立上げを行われる(S270a、S270b)。
【0155】
次に、制御装置80-Bは、各温度センサ42a〜62bの出力に基づいて、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されたか否かを判断する(S280)。
【0156】
そして、各加熱ローラ40a〜60bが設定温度まで加熱されている場合(S250もしくはS280においてYESの場合)搬送制御部222等は、給紙装置210、各フィードローラ322、331、335、359を駆動して記録媒体10を搬送させる。同時に塗布制御部222は、前処理液塗布ユニット330を作動させ、記録媒体10に前処理液を塗布する(S290)。
【0157】
制御装置80-Bは、第1のインクジェットプリンタ230のインクジェットヘッド部(画像形成部)231に記録媒体10の前処理液が塗布された部分(先端部)が到達したか否かを判断する(S300)。ここで、記録媒体10の前処理液が塗布された部分がヘッド部231に到達したかどうかは、前処理液の塗布タイミング、各フィードローラ335、359、ガイドローラ382の送り量、可動フレーム384の位置等に基づいて行う。例えば、記録媒体10の搬送距離、搬送速度から所要時間を計算し、所要時間と時間カウントの結果を比較することにより行なう。
【0158】
そして、第1のインクジェットプリンタ230のヘッド部231に記録媒体10の前処理液が塗布された先端部分が到達すると、制御システム450の印刷制御部90は、第1のインクジェットプリンタ230を作動させ、印刷が開始される(S310)。なお、制御システム450の印刷制御部90は、第2のインクジェットプリンタ250のヘッド部251に記録媒体10の前処理液が塗布された先端部分が到達した場合には、同様に第2のインクジェットプリンタ250を作動させる。
【0159】
次に、制御システム450の印刷制御部90は、印刷が終了したか否かを判断する(S320)。
【0160】
印刷が終了すると、制御システム450の塗布制御部221は、前処理液塗布ユニット330での前処理液の塗布を終了させる(S330)。
【0161】
そして、制御システム450の制御装置80−Bは、記録媒体10の前処理液が塗布された終端部分が加熱ユニット350-Aを出たか否かを判断する(S340)。記録媒体10の前処理液が塗布された終端部分の加熱ユニット(乾燥部)350-Aを出た判断は、前処理液の塗布タイミング、各フィードローラ335、359、ガイドローラ382の送り量、可動フレーム384の位置等に基づいて行う。例えば、搬送距離、搬送速度から所要時間を計算し、所要時間と時間カウントの結果を比較することにより行う。
【0162】
記録媒体10の前処理液が塗布された終端部分が加熱ユニット350-Aを出た場合、加熱制御部81、82は、各加熱ローラ40a〜60bの作動中の各ヒータ41a〜61bをOFFにして、制御装置80−Bは、加熱ユニット350-Aを停止させる(S350)。
【0163】
その後、制御システム450の印刷制御部90は、前処理塗布乾燥装置220−Aの搬送制御部222や、その他搬送部355、70等の搬送制御部94を介して記録媒体10の搬送を停止させる(S360)。
【0164】
そして、制御システム450は、次のJOBの有無を判断する(S370)。次のJOBがある場合には、再度S210に戻って印刷準備を開始し、次のJOBがない場合は終了となる(S380)。
【0165】
上述の制御により、記録媒体10は、各加熱ローラセット40、50、60の中で最も温度の低い設定温度に制御された第1の加熱ローラセット40に最初に接触することになり、記録媒体10と最初に接触する加熱ローラとの間の温度差を小さくできる。このため、全ての加熱ローラが最も高い設定温度に設定される場合に比べて、記録媒体10の急激な温度上昇を回避できるので、加熱ユニット350−Aを有する前処理装置220−Aが含まれるシステム200-Aは、記録媒体10に与える熱負荷を最小限に抑えることができる。よって、記録媒体10の熱負荷によるシワや変形等のダメージの発生を抑えることができる。
【0166】
また、第4実施形態においても、記録媒体10は、第3段加熱ローラセット60において前処理液中の溶剤を所定の値以下になるように蒸発させることができる十分な熱量を供給される。このため、システム200-Aは、記録媒体10上に形成された画像情報の印刷品質を向上させることができる。
【0167】
さらに、制御装置80−Bは、記録媒体10の種類(用紙の種類)、画像形成領域の位置が異なる場合、例えば、表側印刷のみ、裏側印刷のみ、両面印刷、の印刷形態に応じて、各ヒータ41a〜61bをそれぞれ制御する。これにより、システム200-Aは、片面印刷時に両面印刷時と同じ制御を行う場合と比べて、記録媒体10に与える熱負荷をより効果的に抑えることができる。さらに、長さが任意の連続紙からなる記録媒体10で起きやすかったシワや変形等のダメージの発生をより効果的に抑えることができる。よって、印刷品質の向上をより効果的に達成することができる。
【0168】
なお、上述の第1、第2、第3及び第4及び第2実施形態では、システム100、200、100−A、200−Aは、3つの加熱ローラセット40、50、60を有しているが、例えば2つ或いは4つ以上の加熱ローラセットを有してもよい。
【0169】
また、上述の第1及び第2実施形態では、各加熱ローラセットはそれぞれ2つの加熱ローラを有しているが、各加熱ローラセットが3つ以上の加熱ローラをそれぞれ有していてもよく、さらに各加熱ローラセットがそれぞれ異なる数の加熱ローラを有していてもよい。
【0170】
上述したように、本発明の実施形態によれば、システム100、200、100−A、200−Aは、記録媒体にダメージを生じさせずに記録媒体を加熱することが可能となる。
【0171】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0172】
10 記録媒体
40 第1段加熱ローラセット(加熱ローラセット)
40a 第1段裏面加熱ローラ(加熱ローラ)
40b 第1段表面加熱ローラ(加熱ローラ)
41a ヒータ(加熱手段)
41b ヒータ(加熱手段)
50 第2段加熱ローラセット(加熱ローラセット)
50a 第2段裏面加熱ローラ(加熱ローラ)
50b 第2段表面加熱ローラ(加熱ローラ)
51a ヒータ(加熱手段)
51b ヒータ(加熱手段)
60 第3段加熱ローラセット(加熱ローラセット)
60a 第3段裏面加熱ローラ(加熱ローラ)
60b 第3段表面加熱ローラ(加熱ローラ)
61a ヒータ(加熱手段)
61b ヒータ(加熱手段)
80、80−A、80−B 制御装置(制御手段)
100、100−A システム
110 記録装置
120、120−A 加熱装置(記録媒体加熱装置)
200、200−A システム
220、220−A 前処理装置
350、350−A 加熱ユニット(記録媒体加熱装置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0173】
【特許文献1】特開平10−202839号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
図16