(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
縦方向と、前記縦方向と交差する横方向と、を有した吸収性物品であって、前記縦方向に沿って設けられ、排泄物を吸収する吸収性本体と、前記横方向に沿って設けられ、前記吸収性本体の前記縦方向の一端部を前記吸収性本体の非肌側から覆いながら前記一端部に前記横方向の中央部が固定された腹側帯部材と、前記腹側帯部材とは別部材として前記横方向に沿って設けられ、前記吸収性本体の前記縦方向の他端部を前記吸収性本体の非肌側から覆いながら前記他端部に前記横方向の中央部が固定された背側帯部材と、を有し、前記腹側帯部材には前記横方向に伸縮する腹側弾性部材が配置され、前記背側帯部材には前記横方向に伸縮する背側弾性部材が配置され、前記腹側帯部材、及び、前記背側帯部材は、前記腹側帯部材における前記横方向の両側縁の一部と前記背側帯部材における前記横方向の両側縁の一部とが接合される接合部と、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側に位置し、前記腹側帯部材における前記両側縁と前記背側帯部材における前記両側縁とが接合されない非接合部と、を有し、少なくとも前記接合部よりも前記縦方向の股下部側では、前記腹側弾性部材と前記背側弾性部材とが前記縦方向にずれて配置されていることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、腹側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)が腹側弾性部材の収縮により受ける影響と、背側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)が背側弾性部材の収縮により受ける影響とが異なるため、腹側帯部材の延出部の形状と背側帯部材の延出部の形状とを異ならせることができる。よって、吸収性物品に前後の違いがあることを使用者に認識させることができ、吸収性物品が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。
【0010】
かかる吸収性物品であって、前記腹側帯部材における前記縦方向の股下部側の端縁と、前記背側帯部材における前記縦方向の股下部側の端縁とが、前記縦方向にずれていることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、腹側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)の形状と、背側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)の形状とを、より異ならせることができ、吸収性物品が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記腹側帯部材における前記端縁に対して、前記背側帯部材における前記端縁が、前記縦方向の股下部側にずれていることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、一般的な下着の形状に近付けることができるため、吸収性物品が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。また、着用時に着用者の脚が腹側帯部材に引っ掛かり難くなり、且つ、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、背側帯部材による着用者の臀部の被覆性を高めることができる。
【0012】
かかる吸収性物品であって、前記縦方向の最も股下部側の前記腹側弾性部材に対して、前記縦方向の最も股下部側の前記背側弾性部材が、前記縦方向の股下部側にずれていることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、着用時に着用者の脚が腹側弾性部材に引っ掛かり難くなり、且つ、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、着用者のより股下部側の位置に背側帯部材をフィットさせることができ、着用者の臀部の被覆性を高めることができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体における前記横方向の側部には、前記縦方向に伸縮する脚周り弾性部材が配置され、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側において伸長状態で配置された前記背側弾性部材の一部と、伸長状態で配置された前記脚周り弾性部材の一部と、が交差して接合されていることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品に前後の違いを出す部位であり、背側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)が、着用時に、横方向及び縦方向に引っ張られるため、着用者の臀部に対する背側帯部材の延出部のフィット性が高まり、着用者の臀部の被覆性を高めることができる。
【0014】
かかる吸収性物品であって、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側において伸長状態で配置された前記背側弾性部材の一部と、伸長状態で配置された前記脚周り弾性部材の一部と、が交差して接合された領域の前記縦方向の長さの方が、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側において伸長状態で配置された前記腹側弾性部材の一部と、伸長状態で配置された前記脚周り弾性部材の一部と、が交差して接合された領域の前記縦方向の長さよりも長いことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、背側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)のフィット性をより高めることができる。また、同じく吸収性物品に前後の違いを出す部位であり、腹側帯部材のうち接合部よりも縦方向の股下部側の部位(延出部)のフィット性が高まるため、排泄物を吸収した吸収性本体のみが垂れ下がってしまうことを抑制できる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記腹側帯部材のうち前記接合部よりも前記縦方向の股下部側の部位の前記横方向の収縮力の方が、前記背側帯部材のうち前記接合部よりも前記縦方向の股下部側の部位の前記横方向の収縮力よりも高いことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、一般的な下着の形状に近付けることができるため、吸収性物品が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。また、着用時に着用者の脚が腹側帯部材に引っ掛かり難く、且つ、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、背側帯部材による着用者の臀部の被覆性を高めることができる。
【0016】
かかる吸収性物品であって、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側の前記腹側弾性部材のうち前記吸収性本体と重なる部位は、前記横方向に非連続となる部位を有することを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、接合部よりも縦方向の股下部側において、腹側帯部材と重なる吸収性本体の部位に皺が発生してしまうことを抑制できる。よって、例えば、腹側帯部材と重なる吸収性本体の部位に前後判断の為の文字やイラストが設けられている場合に、それらが見え難くなってしまうことを抑制でき、吸収性物品が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記接合部よりも前記縦方向の股下部側の前記腹側弾性部材及び前記背側弾性部材のデニールは、前記縦方向において前記接合部と重なる前記腹側弾性部材及び前記背側弾性部材のデニールよりも低いことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、縦方向において接合部と重なる腹側弾性部材及び背側弾性部材により、着用者への吸収性物品のフィット性を高めつつ、接合部よりも縦方向の股下部側の腹側弾性部材及び背側弾性部材の跡を着用者に付き難くさせることができる。
【0018】
===使い捨ておむつ1の構成===
図1は、本発明の吸収性物品の一例である使い捨ておむつ1(以下、おむつ1)の斜視図である。
図2は、展開状態のおむつ1を肌側(着用者に接触する内側)から見た平面図である。
図3は、展開状態のおむつ1を非肌側(外側)から見た平面図である。
図4Aは、
図2中のA−A断面図であり、
図4Bは、
図2中のB−B断面図である。おむつ1は、互いに直交する三方向として、縦方向と、横方向と、厚さ方向とを有する。また、おむつ1は、所謂3ピースタイプのおむつであり、着用者の股間部にあてがわれ尿等の排泄物を吸収する吸収性本体10と、着用者の腹側部を覆う腹側帯部材20と、着用者の背側部を覆う背側帯部材30と、を有する。
【0019】
図2,
図3に示すように、おむつ1は、展開状態において、腹側帯部材20と背側帯部材30とが互いに縦方向に間隔をあけて平行に並んだ状態で、これらの間に吸収性本体10が掛け渡されつつ、吸収性本体10の長手方向(縦方向)の各端部10ea,10ebがそれぞれ最寄りの帯部材20,30に接合固定されており、その外観形状は平面視略H形状をなしている。そして、この状態から、吸収性本体10がその長手方向の略中央部CLを折り位置として二つ折りされる。この二つ折りの状態において、互いに対向する腹側帯部材20と背側帯部材30とが、着用者の脇腹に当接すべき部分である腹側帯部材側縁部20eと背側帯部材側縁部30eと(つまり、横方向の各端部)にて接合・連結されると、帯部材20,30同士が環状に成形される。これにより、
図1に示すような胴周り開口1HB、及び、一対の脚周り開口1HLが形成される。
【0020】
以下、おむつ1の構成部品10,20,30について説明する。
吸収性本体10は、
図2や
図4Bに示すように、吸収性コア11と、表面シート12と、裏面シート13と、外装シート14と、脚周りギャザーLG用の脚周り弾性部材15と、立体ギャザーLSG用の立体ギャザー弾性部材16と、を有する。なお、
図2では、仮想的に吸収性コア11や脚周り弾性部材15を示している。
【0021】
吸収性コア11は、尿等の排泄物を吸収するものであり、例えば、パルプ繊維等の液体吸収性素材を積層したものが挙げられる。なお、吸収性コア11に例えば高吸収性ポリマーを含有させてもよいし、吸収性コア11をティッシュペーパー等の液透過性シート(不図示)で被覆してもよい。また、
図2や
図3に示すように、吸収性コア11の平面視形状を、縦方向の中央部がくびれた砂時計形状とすることで、着用者の脚と吸収性コア11との干渉を小さくし、着用者の脚を動かし易くさせることができる。
【0022】
表面シート12は、吸収性コア11を肌側から覆う液透過性のシートであり、例えば、不織布が挙げられる。裏面シート13は、吸収性コア11を非肌側から覆う液不透過性のシートであり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のシートが挙げられる。そして、表面シート12と裏面シート13との間に吸収性コア11を挟んだ状態において、吸収性コア11からはみだす両シート12,13の周縁が貼り合わされている。また、外装シート14は、裏面シート13を非肌側から覆って吸収性本体10の外装をなすシートであり、例えば、不織布が挙げられる。
【0023】
また、
図2や
図4に示すように、外装シート14によって、立体ギャザーLSG、及び、脚周りギャザーLGが形成される。立体ギャザーLSGは、表面シート12の横方向の各端部にそれぞれ起立して設けられた防漏壁部であり、脚周りギャザーLGは、一対の脚周り開口1HLにそれぞれ形成される脚周り伸縮部のことである。具体的に説明すると、外装シート14は、裏面シート13を非肌側から覆った際に裏面シート13の横方向の両側から横方向に大きくはみだし、このはみ出した部分が、吸収性本体10の横方向の端部10eをなす位置で横方向の中央側に折り返される。この折り返し位置10eの近傍であり、2層となった外装シート14の間に、脚周り弾性部材15(例えば糸ゴム)が縦方向に伸長した状態で固定され、これにより、脚周りギャザーLGが形成される。また、折り返された外装シート14の端部は、更に内側に折り返されて、表面シート12の横方向の端部に接合される。一方、2回目の折り返し位置の近傍であり、2層となった外装シート14の間に、立体ギャザー弾性部材16(例えば糸ゴム)が縦方向に伸長した状態で固定される。よって、立体ギャザー弾性部材16の収縮力によって、吸収性本体10が表面シート12側を内周側として湾曲すると共に、表面シート12と外装シート14の接合部を基端部LSGbとして、外装シート14の折り返し部分が立体ギャザーLSGとして表面シート12から起立する。なお、本実施形態では、脚周り弾性部材15の数、及び、立体ギャザー弾性部材16の数を、それぞれ2本としているが、これに限らない。
【0024】
腹側帯部材20は、長方形状の柔軟な2枚のシート、ここでは2枚の不織布21,22と、複数本の弾性部材23(例えば糸ゴム)と、を有する。そして、
図4に示すように、2枚の不織布21,22は、間に弾性部材23を介挿させた状態で重ねて接合されており、複数本の弾性部材23は、縦方向に間隔をあけて並び、且つ、横方向に伸長した状態で不織布21,22に固定されている。背側帯部材30も同様に、2枚の不織布31,32は、間に弾性部材33を介挿させた状態で重ねて接合されており、複数本の弾性部材33(例えば糸ゴム)は、縦方向に間隔をあけて並び、且つ、横方向に伸長した状態で不織布31,32に固定されている。ゆえに、腹側帯部材20及び背側帯部材30には横方向の伸縮性が付与され、おむつ1が着用者にフィットする構成となっている。以下の説明のため、腹側帯部材20に設けられた横方向に伸縮する弾性部材23を腹側弾性部材23と呼び、背側帯部材30に設けられた横方向に伸縮する弾性部材33を背側弾性部材33と呼ぶ。なお、
図2、
図3は、腹側帯部材20(腹側弾性部材23)及び背側帯部材30(背側弾性部材33)の伸長状態の平面図である。
【0025】
そして、横方向に沿って設けられる腹側帯部材20は、縦方向に沿って設けられる吸収性本体10の縦方向の一端部10eaを吸収性本体10の非肌側から覆いながら、その一端部10eaに横方向の中央部が固定されている。一方、横方向に沿って設けられる背側帯部材30は、縦方向に沿って設けられる吸収性本体10の縦方向の他端部10ebを吸収性本体10の非肌側から覆いながら、その他端部10ebに横方向の中央部が固定されている。なお、吸収性本体10は、腹側帯部材20及び背側帯部材30のうち縦方向の腰部側の端部20E,30Eに重ならないように配置されている。また、吸収性本体10と腹側帯部材20とが重なる部位、及び、吸収性本体10と背側帯部材30とが重なる部位は、その全域又は一部(周縁や中央部等)が接着剤等で接合されている。
【0026】
また、腹側帯部材20、及び、背側帯部材30は、腹側帯部材20における横方向の両側縁20eの一部と背側帯部材30における横方向の両側縁30eの一部とが接合される接合部40と、接合部40よりも縦方向の股下部側(中央側)に位置し、腹側帯部材20における両側縁20eと背側帯部材30における両側縁30eとが接合されない非接合部41と、を有する。なお、この実施形態では、腹側帯部材20及び背側帯部材30は縦方向腰部側の各端縁Eが揃えられた状態で接合されているが、これに限らず、腹側帯部材20及び背側帯部材30の縦方向腰部側の各端縁Eが縦方向にずれていてもよい。また、以下の説明のため、腹側帯部材20のうち、縦方向において接合部40と重なる部位を腹側本体部20Aと呼び、縦方向において非接合部41と重なる部位を腹側延出部20Bと呼ぶ。同様に、背側帯部材30のうち、縦方向において接合部40と重なる部位を背側本体部30Aと呼び、縦方向において非接合部41と重なる部位を背側延出部30Bと呼ぶ。
【0027】
なお、腹側帯部材20と背側帯部材30の接合方法としては、例えば、接着剤、ファスニングテープ、粘着テープ、ヒートシール、高周波シール、超音波シールによる接合方法等、公知の接合方法が挙げられる。また、腹側帯部材20と背側帯部材30を接合した状態、即ち、パンツ型の状態でおむつを使用者に提供してもよいし、腹側帯部材20と背側帯部材30を接合せずに使用者に接合してもらう状態で、即ち、オープン型の状態でおむつを使用者に提供してもよい。
【0028】
===腹側延出部20B及び背側延出部30Bについて===
図5は、腹側延出部20Bに配置される腹側弾性部材23及び背側延出部30Bに配置される背側弾性部材33を説明する図である。なお、
図5は、腹側帯部材20と背側帯部材30とが接合部40で接合されたパンツ型のおむつ1、即ち、腹側帯部材20と背側帯部材30とが重ね合わされて伸長した状態の図である。
図6は、自然状態の腹側延出部20B及び背側延出部30Bを説明する図である。ところで、おむつ1上における排尿位置は、おむつ1の縦方向の中央部CLよりも腹側である。そのため、おむつ1では、吸収性本体10のうち背側部分の液体吸収可能量よりも腹側部分の液体吸収可能量を多くする工夫が施されている。例えば、本実施形態のおむつ1では、
図2に示すように、おむつ1の縦方向の中央部CLよりも背側の位置において吸収性コア11が最もくびれている。そうすることで、吸収性本体10は速やかに且つ確実に尿を吸収できる。
【0029】
おむつ1には上述のような工夫が施されているため、おむつ1の前後を正しく着用してもらう必要がある。そのために、おむつ1では、例えば、
図3に示すように、裏面シート13のうち腹側帯部材20と重なる部位13fや背側帯部材30と重なる部位13bに、おむつ1の前後を判断するための文字やイラストが印刷されている。但し、3ピースタイプのおむつ1の場合、仮に、腹側帯部材20の形状と背側帯部材30の形状とを同じにしてしまうと、使用者は、おむつ1に前後の違いがあることを認識することなく、おむつ1に印刷された文字等を確認せずに、おむつ1を前後誤って着用させてしまう(又は着用してしまう)虞がある。
【0030】
そこで、本実施形態のおむつ1では、
図5に示すように伸長状態で、接合部40よりも縦方向の股下部側において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とを縦方向にずらして配置している。つまり、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23と背側延出部30Bの背側弾性部材33とで縦方向の位置が異なり、おむつ1の厚さ方向において腹側延出部20Bの腹側弾性部材23と背側延出部30Bの背側弾性部材33とが重ならない構成となっている。
【0031】
そうすることで、腹側延出部20Bが腹側弾性部材23の収縮により受ける影響と、背側延出部30Bが背側弾性部材33の収縮により受ける影響とが異なり、また、腹側延出部20Bと背側延出部30Bとは個別に変形可能なため、おむつ1の自然状態において(即ち、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが収縮した状態において)、腹側延出部20Bの形状と背側延出部30Bの形状とを異ならせることができる。具体的には、
図6に示すように、腹側延出部20Bの横方向の側縁20Beの波形状と背側延出部30Bの横方向の側縁30Beの波形状とを異ならせたり、腹側延出部20Bの縦方向股下部側の端縁20BEの波形状と背側延出部30Bの縦方向股下部側の端縁30BEの波形状とを異ならせたりすることができる。このように、腹側延出部20B及び背側延出部30Bによっておむつ1に前後の違いを出させ、おむつ1に前後の違いがあることを使用者に認識させることで、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。
【0032】
接合部40よりも縦方向の股下部側において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれているかの否かの判断は、以下に示す方法にて行うことができる。なお、以下に示す全ての方法において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれていると判断されたものに限らず、以下に示す何れかの方法において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれていると判断されたものであれば、上記効果が得られ、本発明に係るおむつ1(吸収性物品)に該当する。また、以下に示す方法は一例であり、これ以外の方法にて腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれているかの否かの判断を行ってもよい。
【0033】
まず、腹側帯部材20と背側帯部材30とが接合部40にて接合されている状態で、且つ、腹側帯部材20及び背側帯部材30を伸長させた状態で、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目(N=1、2、3…)に位置する腹側弾性部材23と、同じく接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目に位置する背側弾性部材33と、が縦方向にずれているか否かを目視にて確認する方法が挙げられる。また、目視にて確認するに限らず、例えば、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目(例えば3番目)に位置する腹側弾性部材23から、背側帯部材30の縦方向股下部側の端縁30BEまでの縦方向の距離(
図5のLa1)と、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目(例えば3番目)に位置する背側弾性部材33から、背側帯部材30の縦方向股下部側の端縁30BEまでの縦方向の距離(
図5のLb1)と、を比較して、その距離が異なる場合に、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれていると判断してもよい。また、背側帯部材30の縦方向股下部側の端縁30BEから弾性部材23,33までの距離を測定するに限らず、例えば、腹側帯部材20の縦方向股下部側の端縁20BEや、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aや、背側帯部材20又は腹側帯部材30の縦方向腰部側の端縁Eから、弾性部材23,33までの距離を測定してもよい。
【0034】
その他、おむつ1の接合部40を破って
図2や
図3に示すような展開状態にし、且つ、腹側帯部材20及び背側帯部材30を伸長させた状態で、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目(例えば1番目)に位置する腹側弾性部材23から、腹側帯部材20の縦方向腰部側の端縁Eまでの縦方向の距離(
図5のLa2)と、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから縦方向の股下部側にN番目(例えば1番目)に位置する背側弾性部材33から、背側帯部材30の縦方向腰部側の端縁Eまでの縦方向の距離(
図5のLb2)と、を比較して、その距離が異なる場合に、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向にずれていると判断してもよい。なお、腹側帯部材20の縦方向股下部側の端縁20BEや、接合部40の縦方向股下部側の端縁40aから、弾性部材23,33までの距離を測定してもよい。但し、その場合には、おむつ1を展開する前に、端縁20BE,40aの位置を腹側帯部材20や背側帯部材30にマークしておくとよい。
【0035】
また、上記方法を行う際に、腹側帯部材20及び背側帯部材30の伸長状態が保持されるように、例えば、表面に微細な凹凸が設けられた部材に、腹側帯部材20,背側帯部材30を固定した状態で行うとよい。また、腹側帯部材20,背側帯部材30の横方向の長さが、腹側帯部材20,背側帯部材30を構成する不織布であり弾性部材23,33が配置される前の不織布の横方向の長さ、又は、それに近い長さになるまで、腹側帯部材20,背側帯部材30を伸長させた状態で行うとよい。
【0036】
また、本実施形態のおむつ1では、伸長状態で、腹側本体部20Aの腹側弾性部材23と背側本体部30Aの背側弾性部材33とが縦方向にずれている。そのため、腹側本体部20Aに配置された腹側弾性部材23の収縮により腹側延出部20Bが受ける影響と、背側本体部30Aに配置された背側弾性部材33の収縮により背側延出部30Bが受ける影響とが異なり、腹側延出部20Bの形状と背側延出部30Bの形状とをより異ならせることができる。よって、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。但し、これに限らず、腹側本体部20Aの腹側弾性部材23と背側本体部30Aの背側弾性部材33とを縦方向に揃えて配置してもよい。
【0037】
また、本実施形態のおむつ1では、
図3や
図5に示すように、腹側帯部材20を構成する不織布21,22の縦方向の長さL20よりも、背側帯部材30を構成する不織布31,32の縦方向の長さL30の方が長く、且つ、腹側帯部材20及び背側帯部材30の縦方向腰部側の各端縁Eが揃っている。そのため、腹側帯部材20(腹側延出部20B)における縦方向の股下部側の端縁20BEと、背側帯部材30(背側延出部30B)における縦方向の股下部側の端縁30BEとが、縦方向にずれている。よって、腹側延出部20Bの形状と背側延出部30Bの形状とをより異ならせることができ、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。
【0038】
特に、腹側帯部材20における縦方向の股下部側の端縁20BEに対して、背側帯部材30における縦方向の股下部側の端縁30BEを、縦方向の股下部側にずらすことで、おむつ1の形状を一般的な下着の形状に近付けることができる。そのため、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制できる。また、使用者がおむつ1に印刷された文字等を確認しなくとも、おむつ1の前後が判別され易いため、素早くおむつ1が着用されたり、おむつ1から文字等をなくしたりすることができる。その他、腹側帯部材20における縦方向の股下部側の端縁20BEがより腰部側(上側)に位置するため、脚周り開口1HLが広がり、着用時に着用者の脚が腹側帯部材20に引っ掛かり難くなって、おむつ1が着用し易くなり、また、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、背側帯部材30における縦方向の股下部側の端縁30BEがより股下部側(下側)に位置するため、着用者の臀部の被覆性を高めることができる。但し、これに限らず、背側帯部材30の縦方向股下部側の端縁30BEよりも腹側帯部材20の縦方向股下部側の端縁20BEを縦方向の股下部側にずらしてもよい。
【0039】
また、本実施形態のおむつ1では、
図5に示すように、縦方向の最も股下部側の腹側弾性部材23eに対して、縦方向の最も股下部側の背側弾性部材33eを、縦方向の股下部側にずらして配置する。このように、縦方向の最も股下部側の腹側弾性部材23eをより腰部側(上側)に配置することで、着用時に着用者の脚が腹側弾性部材23に引っ掛かり難くなって、おむつ1が着用し易くなり、また、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、縦方向の最も股下部側の背側弾性部材33eをより股下部側(下側)に配置することで、着用者のより股下部側の位置に背側延出部30Bをフィットさせることができる。よって、背側延出部30Bのめくれ易い領域、即ち、縦方向の最も股下部側の背側弾性部材33eよりも股下部側の領域を狭くでき、着用者の臀部の被覆性を高めることができる。但し、これに限らず、縦方向の最も股下部側の腹側弾性部材23eを、縦方向の最も股下部側の背側弾性部材33eよりも、縦方向の股下部側に配置してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、腹側帯部材20と背側帯部材30とが重なる領域において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とが縦方向に交互に配置されているが、これに限らない。例えば、接合部40よりも縦方向の股下部側において、複数本の腹側弾性部材23がまとめて配置された領域よりも縦方向の股下部側に、複数本の背側弾性部材33をまとめて配置してもよい。また、前述のように、着用し易さや脚の可動性や臀部の被覆性を考慮すると、縦方向の最も股下部側の腹側弾性部材23eが脚の付け根に位置し、縦方向の最も股下部側の背側弾性部材33eが脚と臀部の境目に位置するように、腹側弾性部材23及び背側弾性部材33の配置や、腹側帯部材20及び背側帯部材30の縦方向の長さを決定するとよい。
【0041】
また、
図2や
図4に示すように、吸収性本体10における横方向の両側部には、縦方向に伸縮する脚周り弾性部材15が配置され、そして、背側延出部30Bのうち背側弾性部材33が伸長状態で配置された部位と、脚周り弾性部材15が伸長状態で配置された吸収性本体10の部位とが、接合されている。従って、背側延出部30Bに伸長状態で配置された背側弾性部材33の一部と、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15の一部とが、交差し、且つ、背側帯部材30を構成する不織布31や外装シート14を介して接合されている。従って、
図5に示すように、おむつ1の着用時には、背側弾性部材33が背側延出部30Bを横方向に引っ張る力Faと、脚周り弾性部材15が背側延出部30Bを縦方向に引っ張る力Fbとが働く。つまり、横方向と縦方向の合成方向に背側延出部30Bを引っ張る力Fabが働く。よって、おむつ1に前後の違いを出す部位である背側延出部30Bのフィット性が高まり、臀部の被覆性を高めることができる。
【0042】
なお、背側帯部材30に存在する背側弾性部材33は、全域に亘って伸長状態で配置されているのではなく、一部(例えば両端)は伸長状態で配置(固定)されておらず、その部分は背側帯部材30の伸縮性に寄与しない。同様に、腹側弾性部材23及び脚周り弾性部材15も伸長状態で配置されていない部位を有する。
図2、
図3、
図5では、腹側弾性部材23、背側弾性部材33、脚周り弾性部材15のうち、伸長状態で配置された部位のみを示す。
【0043】
また、背側と同様に腹側においても、腹側延出部20Bのうち腹側弾性部材23が伸長状態で配置された部位と、脚周り弾性部材15が伸長状態で配置された吸収性本体10の部位とが、接合されている。従って、腹側延出部20Bに伸長状態で配置された腹側弾性部材23の一部と、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15の一部とが、交差し、且つ、腹側帯部材20を構成する不織布21や外装シート14を介して接合されている。従って、おむつ1の着用時には、横方向と縦方向の合成方向に腹側延出部20Bを引っ張る力が働く。よって、腹側の吸収性本体10が尿を吸収した後も、吸収性本体10のみが垂れ下がって着用者とおむつ1との間に隙間が生じてしまうことを抑え、排泄物の漏れを抑制できる。
【0044】
但し、背側延出部30Bにおいて伸長状態で配置された背側弾性部材33の一部と、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15の一部と、が交差して接合された領域の縦方向の長さ(
図5のLc)を、腹側延出部20Bにおいて伸長状態で配置された腹側弾性部材23の一部と、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15の一部と、が交差して接合された領域の縦方向の長さ(
図5のLd)よりも長くしている。具体的には、脚周り弾性部材15と交差する腹側延出部20Bの腹側弾性部材23の数が3本であるのに対して、脚周り弾性部材15と交差する背側延出部30Bの背側弾性部材33の数が6本となっている。このことは、腹側帯部材20における縦方向股下部側の端縁20BEよりも、背側帯部材30における縦方向股下部側の端縁30BEの方が、縦方向の股下部側にずれていることからも言える。従って、腹側延出部20Bよりも背側延出部30Bのフィット性をより高めることができ、臀部の被覆性をより高めることができる。但し、これに限らず、例えば、伸長状態で配置される脚周り弾性部材15に腹側弾性部材23や背側弾性部材33を接合しなくてもよいし、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23と脚周り弾性部材15とが交差する領域の縦方向の長さを、背側延出部30Bの背側弾性部材33と脚周り弾性部材15とが交差する領域の縦方向の長さ以上にしてもよい。
【0045】
また、人間は腹側(前側)に足を動かすことが多く、吸収性本体10が腹側に引っ張られることが多い。そのため、背側において、吸収性本体10を横方向の外側に引っ張る力よりも縦方向の腹側に引っ張る力の方が支配的になり易く、吸収性本体10の位置がずれて排泄物が漏れ易くなってしまう。しかし、本実施形態のおむつ1では、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15と交差して接合される背側弾性部材33の数(
図5では10本)を、伸長状態で配置された脚周り弾性部材15と交差して接合される腹側弾性部材23の数(
図5では7本)よりも多くしている。そのため、着用者が脚を動かすことにより吸収性本体10が縦方向の腹側に引っ張られても、背側において吸収性本体10を横方向に引っ張る力も大きいため、吸収性本体10の位置ずれを抑え、排泄物の漏れを抑制できる。
【0046】
また、
図3に示すように、腹側帯部材20のうち縦方向において吸収性本体10と重ならない部位では、腹側弾性部材23が、腹側帯部材20の横方向の両端部間を横方向に連続して配置されている。一方、腹側帯部材20のうち縦方向において吸収性本体10と重なる部位では、腹側弾性部材23が、腹側帯部材20の横方向の両端部間を横方向に非連続で配置されている。詳しくは、吸収性本体10と重ならない横方向の両端領域20Cでは、それぞれ、腹側弾性部材23が横方向に連続して配置されているが、吸収性本体10と重なる中央領域20Dでは、腹側弾性部材23が横方向に非連続で配置されている。この実施形態では、中央領域20Dの横方向の両端部にだけしか腹側弾性部材23が存在しておらず、腹側弾性部材23が横方向に非連続で配置されている。その他、中央領域20Dの横方向の両端部間を連続し且つ伸長状態で配置された腹側弾性部材23を1箇所又は複数箇所で切断した場合にも、腹側弾性部材23が横方向に非連続で配置されることになる。
【0047】
このように、腹側帯部材20のうち吸収性本体10と重なる領域に配置される腹側弾性部材23を、横方向に非連続に配置することで、吸収性本体10が腹側弾性部材23により収縮してしまうことを抑制でき、吸収性本体10における皺の発生を抑え、吸収性本体10を平坦に保つことができる。ゆえに、腹側帯部材20と重なる裏面シートの部位13fに印刷された文字等が見え難くなってしまうことを防ぎ、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。また、排尿位置付近の吸収生本体10が平坦に保たれるため、尿の吸収性が向上し、且つ、吸収性本体10の皺に起因する尿漏れも抑制できる。
【0048】
また、この実施形態では、腹側帯部材20のうち吸収性本体10と重なる全域において、腹側弾性部材23が非連続で配置されているが、これに限らない。例えば、接合部40よりも縦方向の股下部側の腹側弾性部材23のうち、吸収性本体10と重なる部位だけが、横方向に非連続となる部位を有するようにしてもよい。この場合にも、接合部40よりも縦方向の股下部側の吸収性本体10が収縮してしまうことを抑制できる。また、接合部40よりも縦方向の股下部側において腹側弾性部材23が腹側帯部材20の横方向の両端部間を横方向に連続して配置されている場合に比べ、腹側延出部20Bによる脚の動きの規制が緩和され、着用者の脚の可動性を高めることができる。
【0049】
なお、背側弾性部材33も腹側弾性部材23と同じ構成となっている。簡単に説明すると、背側帯部材30のうち、吸収性本体10と重ならない部位では、背側弾性部材33が横方向に連続して配置され、吸収性本体10と重なる部位では、背側弾性部材33が横方向に非連続で配置されている。ゆえに、背側帯部材30と重なる吸収性本体10の部位も平坦に保たれ、背側帯部材30と重なる裏面シートの部位13bに印刷された文字等が見え難くなってしまうことを防ぎ、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。但し、これに限らず、例えば、接合部40よりも縦方向の股下部側の腹側弾性部材23や背側弾性部材33が、腹側帯部材20や背側帯部材30の横方向の両端部間を横方向に連続するようにしてもよい。
【0050】
また、腹側帯部材20のうち接合部40よりも縦方向の股下部側の部位(腹側延出部20B)の横方向の収縮力の方が、背側帯部材30のうち接合部40よりも縦方向の股下部側の部位(背側延出部30B)の横方向の収縮力よりも高くなっている。そのために、この実施形態では、腹側延出部20Bに配置(固定)する際の腹側弾性部材23の伸長倍率を、背側延出部30Bに配置する際の背側弾性部材33の伸長倍率よりも高くしている。伸長倍率とは、弾性部材23,33がその自然長から何倍伸長された状態にあるのかを示す指標であり、伸長状態の弾性部材23,33の長さ(LS)を、非伸長状態の弾性部材23,33の長さ(自然長)L0で除算した値(=LS/L0)とする。その他、例えば、腹側延出部20の腹側弾性部材23を、背側延出部30Bの背側弾性部材33よりも太くしてもよいし、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23の縦方向の間隔を、背側延出部30Bの背側弾性部材33の縦方向の間隔よりも狭くしてもよいし、腹側延出部20B近傍の腹側弾性部材23の収縮力を、背側延出部30B近傍の背側弾性部材33の収縮力よりも高めてもよい。
【0051】
つまり、腹側弾性部材23による腹側延出部20Bの収縮前の横方向の長さに対する収縮後の横方向の長さの比の方が、背側弾性部材33による背側延出部30Bの収縮前の横方向の長さに対する収縮後の横方向の長さの比よりも、小さくなっている。そのため、腹側帯部材20を構成する不織布21,22の横方向の長さと背側帯部材30を構成する不織布31,32の横方向の長さは等しいが、
図6に示すように、おむつ1の自然状態において、吸収性本体10よりも横方向一方側の腹側延出部20Bの縦方向股下部側の端縁20BEの横方向の長さLeを、吸収性本体10よりも横方向一方側の背側延出部30Bの縦方向股下部側の端縁30BEの横方向の長さLfよりも、短くすることができ、おむつ1の形状を一般的な下着の形状に近付けることができる。そのため、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことをより確実に抑制でき、また、使用者がおむつ1に印刷された文字等を確認しなくても、おむつ1の前後が判別され易くなる。その他、脚周り開口1HLが広がるため、着用時に着用者の脚が腹側帯部材20に引っ掛かり難くなって、おむつ1が着用し易くなり、また、着用者の脚の可動域を広げることができる。一方、背側延出部30Bの横方向の長さが長く保たれるため、着用者の臀部の被覆性を高めることができる。但し、これに限らず、背側延出部30Bの横方向の収縮力を腹側延出部20Bの横方向の収縮力以上にしてもよい。
【0052】
また、おむつ1に前後の違いを出す部位である腹側延出部20Bに配置される腹側弾性部材23、及び、背側延出部30Bに配置される背側弾性部材33は、着用者へのおむつ1のフィット性にあまり影響しない。そこで、本実施形態のおむつ1では、接合部40よりも縦方向の股下部側の腹側弾性部材23及び背側弾性部材33、即ち、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23及び背側延出部30Bの背側弾性部材33のデニール(太さ)を、縦方向において接合部40と重なる腹側弾性部材23及び背側弾性部材33、即ち、腹側本体部20Aの腹側弾性部材23及び背側本体部30Aの背側弾性部材33のデニール(太さ)よりも低くする(細くする)。
【0053】
そうすることで、腹側本体部20Aの腹側弾性部材23及び背側本体部30Aの背側弾性部材33によって、着用者へのおむつ1のフィット性を高めつつ、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23及び背側延出部30Bの背側弾性部材33による跡(ゴム跡)を着用者に付き難くさせることができる。特に、人間は腹側に足を動かすことが多いため、腹側延出部20Bの腹側弾性部材23のデニールを低くすることで、腹側延出部20Bによる脚の動きの規制が緩和され、着用者の脚の可動性を高めることができる。
【0054】
===変形例===
図7は、使い捨ておむつ1の変形例を説明する図である。上記実施例では、腹側帯部材20における縦方向股下部側の端縁20BEに対して、背側帯部材30における縦方向股下部側の端縁30BEを、縦方向の股下部側にずらし、また、腹側延出部20Bの横方向の収縮力を背側延出部30Bの横方向の収縮力よりも高くしているが、これに限らない。例えば、伸長状態において腹側帯部材20における縦方向股下部側の端縁と背側帯部材30における縦方向股下部側の端縁とを縦方向に揃え、また、腹側延出部20Bの横方向の収縮力と背側延出部30Bの横方向の収縮力とを同じにしてもよい。この場合にも、少なくとも接合部40よりも縦方向の股下部側において、腹側弾性部材23と背側弾性部材33とを縦方向にずらすことで、
図7に示すように、腹側延出部20Bの形状と背側延出部30Bの形状とを異ならせることができる。具体的には、腹側延出部20B及び背側延出部30Bの横方向の各両側縁の波形状を異ならせたり、腹側延出部20B及び背側延出部30Bの縦方向股下部側の各端縁の波形状を異ならせたりすることができる。よって、おむつ1に前後の違いがあることを使用者に認識させることができ、その結果、おむつ1が前後誤って着用されてしまうことを抑制できる。
【0055】
===その他の実施の形態===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0056】
例えば、上記実施形態では、腹側弾性部材23、背側弾性部材33、脚周り弾性部材15として糸ゴムを例示したが、これに限らない。例えば、弾性部材として、帯状のゴムや、伸縮性を有する帯状の不織布や樹脂フィルム等を用いてもよい。また、上記実施形態ではおむつを例示しているが、本発明に係る吸収性物品を例えば生理用ナプキンとして利用してもよい。