特許第6255504号(P6255504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6255504着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255504
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20171218BHJP
   C09B 11/28 20060101ALI20171218BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20171218BHJP
   C09D 11/328 20140101ALI20171218BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20171218BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   C09B67/20 F
   C09B11/28 C
   C09B67/46 A
   C09B67/20 L
   C09D11/328
   B41M5/00 120
   B41J2/01 501
【請求項の数】11
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2016-552157(P2016-552157)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2015077890
(87)【国際公開番号】WO2016052687
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-202535(P2014-202535)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-115102(P2015-115102)
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】藤江 賀彦
(72)【発明者】
【氏名】坂井 優介
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】立石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】小林 博美
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−005462(JP,A)
【文献】 特開2013−133394(JP,A)
【文献】 特開2011−148973(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02781514(EP,A1)
【文献】 特開平09−241553(JP,A)
【文献】 特開2004−285269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/20
B41J 2/01
B41M 5/00
C09B 11/28
C09B 67/46
C09D 11/328
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物とを含む着色組成物。
一般式(1):
【化1】

一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X及びXは各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキル基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリール基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルコキシ基を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(2):
【化2】

一般式(2)中、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、及びR40は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R12及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X及びXは各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキル基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリール基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルコキシ基を表す。ただし、R12、R15、X及びXのうち少なくとも2つはスルホ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキル基が置換したウレイド基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリール基が置換したウレイド基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキルスルホニルアミノ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールスルホニルアミノ基、又はスルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルコキシ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(3−1):
【化3】

一般式(3−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R301〜R304は水素原子を表し、L101は無置換のアルキレン基を表し、n101は2〜15を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
一般式(4−1):
【化4】

一般式(4−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X1aは無置換のアルキルカルボニル基を表し、L201は無置換のアルキレン基を表し、n201は2を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
一般式(4−4):
【化5】

一般式(4−4)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X1aは無置換のアルキルカルボニル基を表し、L204は無置換のアルキレン基を表し、n204は2を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
【請求項2】
前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が下記一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物である請求項1に記載の着色組成物。
一般式(1−1):
【化6】

一般式(1−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R101及びR102は各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニル基を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(2−1):
【化7】

一般式(2−1)中、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、及びR40は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R12及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R103及びR104は各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニル基を表す。ただし、R12、R15、R103及びR104のうち少なくとも2つはスルホ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたモノアルキルアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたジアルキルアミノカルボニル基、で置換されたモノアリールアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたジアリールアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールオキシカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキルスルホニル基、又はスルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールスルホニル基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
【請求項3】
前記一般式(1)、一般式(2)、一般式(1−1)又は一般式(2−1)中のR、R、R、R10、R31、R35、R36及びR40が各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す請求項1又は2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR及びRが各々独立にスルホ基を表す請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR12及びR15が各々独立にスルホ基を表す請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記ベタイン化合物が、下記一般式(A)で表される化合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物。
一般式(A):
(R−N−[L−(COOM
一般式(A)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミン若しくは含窒素へテロ環基、又は4級アンモニウムイオン基を表し、式中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。
qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3又は4である。p+rが4である場合は、N原子はプロトン化されたアンモニウム原子となる。
qが2以上のときは、COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上のときはL−(COOMは同じでも異なっていてもよい。pが2以上のときは、Rは同じでも異なっていてもよい。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種を1〜20質量%含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
前記ベタイン化合物を0.01〜20質量%含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
【請求項10】
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物と、水とを含有するインクジェット記録用インクであって、前記インクジェット記録用インク中の無機イオンの合計質量が、インクジェット記録用インクに対して2質量%以下である請求項記載のインクジェット記録用インク。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか1項に記載の着色組成物又は請求項若しくは請求項10に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、周知のごとくインクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この印刷方法は、安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速かつ簡便に印刷をする事ができ、特にカラー印刷においては、近年写真に代わりうる画像形成方法として技術開発が行われている。
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いるのが一般的である。これらのインクには粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあること、ノズルの目詰まり、保存安定性に優れ、かつ高い濃度の記録画像を与えること、また耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性に優れていること等の性質が要求される。
【0003】
これらの性能は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合液を主溶媒とする水性インクを用いることにより、要求される水準を満たすことが多いが、特に色調、鮮やかさ、耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性等は着色剤及び添加剤に左右されるところが大きく、従来さまざまな染料及び添加剤の研究がされてきている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、ベタイン化合物を含むインク組成物が開示されている。特許文献2には、特定の構造を有するキサンテン化合物を含むインク組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2004−285269号公報
【特許文献2】日本国特許第5451556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、染料の分野については更なる性能の向上が求められており、耐湿性、耐光性等の画像堅牢性をより向上させることができる着色組成物が要求されている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、耐湿性及び耐光性に優れた着色組成物を提供することを目的とする。また、上記着色組成物を含有するインクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定のキサンテン化合物とベタイン化合物を含む着色組成物によって耐光性、耐湿性を向上でき、しかもその効果が際立って優れていることを見出した。
即ち、本発明は下記事項に関するものである。
<1>
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物とを含む着色組成物。
一般式(1):
【化101】

一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X及びXは各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキル基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリール基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルコキシ基を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(2):
【化102】

一般式(2)中、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、及びR40は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R12及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X及びXは各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキル基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリール基が置換したウレイド基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルコキシ基を表す。ただし、R12、R15、X及びXのうち少なくとも2つはスルホ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキル基が置換したウレイド基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリール基が置換したウレイド基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキルスルホニルアミノ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールスルホニルアミノ基、又はスルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルコキシ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(3−1):
【化103】

一般式(3−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R301〜R304は水素原子を表し、L101は無置換のアルキレン基を表し、n101は2〜15を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
一般式(4−1):
【化104】

一般式(4−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X1aは無置換のアルキルカルボニル基を表し、L201は無置換のアルキレン基を表し、n201は2を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
一般式(4−4):
【化105】

一般式(4−4)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、X1aは無置換のアルキルカルボニル基を表し、L204は無置換のアルキレン基を表し、n204は2を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
<2>
前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が下記一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物である<1>に記載の着色組成物。
一般式(1−1):
【化106】

一般式(1−1)中、R、R、R、R、R、及びR10は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R、R、R12、及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R101及びR102は各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニル基を表す。ただし、R、R、R12、及びR15のうち少なくとも2つはスルホ基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
一般式(2−1):
【化107】

一般式(2−1)中、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、及びR40は各々独立に無置換のアルキル基を表し、R12及びR15は各々独立に水素原子又はスルホ基を表し、R11、R13、R14、R16〜R20は水素原子を表し、R103及びR104は各々独立に、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は下記置換基群A’から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された若しくは無置換のアリールスルホニル基を表す。ただし、R12、R15、R103及びR104のうち少なくとも2つはスルホ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたモノアルキルアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたジアルキルアミノカルボニル基、で置換されたモノアリールアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたジアリールアミノカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールオキシカルボニル基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアルキルスルホニル基、又はスルホ基若しくはカルボキシル基で置換されたアリールスルホニル基を表す。
置換基群A’:ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
<3>
前記一般式(1)、一般式(2)、一般式(1−1)又は一般式(2−1)中のR、R、R、R10、R31、R35、R36及びR40が各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す<1>又は<2>に記載の着色組成物。
<4>
前記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR及びRが各々独立にスルホ基を表す<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<5>
前記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR12及びR15が各々独立にスルホ基を表す<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<6>
前記ベタイン化合物が、下記一般式(A)で表される化合物である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色組成物。
一般式(A):
(R−N−[L−(COOM
一般式(A)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミン若しくは含窒素へテロ環基、又は4級アンモニウムイオン基を表し、式中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。
qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3又は4である。p+rが4である場合は、N原子はプロトン化されたアンモニウム原子となる。
qが2以上のときは、COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上のときはL−(COOMは同じでも異なっていてもよい。pが2以上のときは、Rは同じでも異なっていてもよい。
<7>
前記一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種を1〜20質量%含有する<1>〜<6>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<8>
前記ベタイン化合物を0.01〜20質量%含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<9>
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
<10>
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)で表される繰り返し単位を有する化合物、一般式(4−1)で表される化合物、及び一般式(4−4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物と、水とを含有するインクジェット記録用インクであって、前記インクジェット記録用インク中の無機イオンの合計質量が、インクジェット記録用インクに対して2質量%以下である<9>記載のインクジェット記録用インク。
<11>
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の着色組成物又は<9>若しくは<10>に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
本発明は、上記<1>〜<11>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても参考のため記載している。
【0009】
〔1〕
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物とを含む着色組成物。
一般式(1):
【0010】
【化1】
【0011】
一般式(2):
【0012】
【化2】
【0013】
一般式(1)及び一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X、X、X及びXは各々独立に、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、又は置換若しくは無置換のアリールチオ基を表す。
一般式(3):
【0014】
【化3】
【0015】
一般式(3)中、Lは2価の連結基を表し、Dは一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造を表す。nは、2〜100を表す。複数のL及び複数のDは、それぞれ、同じでも異なっていてもよい。
一般式(4):
【0016】
【化4】
【0017】
一般式(4)中、Lはn価の連結基を表し、Dは一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造を表す。nは、2〜6の整数を表す。複数のDは、同じでも異なっていてもよい。
〔2〕
上記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が下記一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物である〔1〕に記載の着色組成物。
一般式(1−1):
【0018】
【化5】
【0019】
一般式(2−1):
【0020】
【化6】
【0021】
一般式(1−1)及び一般式(2−1)中R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R101、R102、R103及びR104は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。
〔3〕
上記R101、R102、R103及びR104が各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す、〔2〕に記載の着色組成物。
〔4〕
上記一般式(1)、一般式(2)、一般式(1−1)又は一般式(2−1)中のR、R、R、R10、R31、R35、R36及びR40が各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔5〕
上記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR及びRが各々独立にスルホ基を表す〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔6〕
上記一般式(1)又は一般式(1−1)中のR12及びR15が各々独立にスルホ基を表す〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔7〕
上記ベタイン化合物が、下記一般式(A)で表される化合物である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
一般式(A):
(R−N−[L−(COOM
一般式(A)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミン若しくは含窒素へテロ環基、又は4級アンモニウムイオン基を表し、式中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。
qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3又は4である。p+rが4である場合は、N原子はプロトン化されたアンモニウム原子となる。
qが2以上のときは、COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上のときはL−(COOMは同じでも異なっていてもよい。pが2以上のときは、Rは同じでも異なっていてもよい。
〔8〕
上記一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種を1〜20質量%含有する〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔9〕
上記ベタイン化合物を0.01〜20質量%含有する〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
〔11〕
一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物と、水とを含有するインクジェット記録用インクであって、上記インクジェット記録用インク中の無機イオンの合計質量が、インクジェット記録用インクに対して2質量%以下である〔10〕記載のインクジェット記録用インク。
〔12〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の着色組成物又は〔10〕若しくは〔11〕に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、耐湿性及び耐光性に優れた着色組成物が提供できる。また、上記着色組成物を含有するインクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における置換基の具体例を、置換基群Aとして定義する。
【0024】
(置換基群A)
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0025】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
【0026】
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
【0027】
アラルキル基としては、置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられ、置換若しくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。例えばベンジル基及び2−フェネチル基を挙げられる。
【0028】
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を包含する。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
【0029】
アルキニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0030】
アリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0031】
ヘテロ環基としては、好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。非芳香族のヘテロ環基の例としては、モルホリニル基等が挙げられる。
【0032】
アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0033】
アリールオキシ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
【0034】
シリルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
アシルオキシ基としては、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
カルバモイルオキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、トリアジニルアミノ基等が挙げられる。
【0041】
アシルアミノ基としては、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0042】
アミノカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0043】
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0044】
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0046】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
【0047】
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0048】
ヘテロ環チオ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等が挙げられる。
【0049】
スルファモイル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等が挙げられる。
【0050】
アルキル又はアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0051】
アルキル又はアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0052】
アシル基としては、好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等が挙げられる。
【0053】
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0054】
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0055】
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等が挙げられる。
【0056】
アリール又はヘテロ環アゾ基としては、好ましくは炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等が挙げられる。
【0057】
イミド基としては、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
【0058】
ホスフィノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等が挙げられる。
【0059】
ホスフィニル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等が挙げられる。
【0060】
ホスフィニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等が挙げられる。
【0061】
ホスフィニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基が挙げられる。
【0062】
シリル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0063】
イオン性親水性基としては、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、4級アンモニウム基などが挙げられる。特に好ましくはスルホ基、カルボキシル基である。またイオン性親水性基はカチオン又はアニオンを含んでいてもよく、カチオン又はアニオンを含む状態を塩の状態と呼ぶ。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対カチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩又はナトリウム塩を主成分とする混合塩が更に好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
【0064】
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水溶性インク中では塩はイオンに解離して存在している。
【0065】
本発明は一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種と、ベタイン化合物とを含む着色組成物に関する。
【0066】
〔キサンテン化合物〕
本発明の着色組成物には、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物の少なくともいずれか1種のキサンテン化合物が含まれる。本発明の着色組成物には、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物から選ばれる1種のみを含むものであってもよいし、2種以上を含むものであってもよい。上記キサンテン化合物は水に可溶であることが好ましい。ここで、「水に可溶な」とは、25℃において、水に対し0.5質量%以上の割合で溶解することを意味する。
【0067】
(一般式(1)又は(2)で表される化合物)
一般式(1):
【0068】
【化7】
【0069】
一般式(2):
【0070】
【化8】
【0071】
一般式(1)及び一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X、X、X及びXは各々独立に、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、又は置換若しくは無置換のアリールチオ基を表す。
【0072】
一般式(1)及び一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40が置換基を表す場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0073】
一般式(1)及び一般式(2)中、R、R、R、R10、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基であり、特に好ましくは置換若しくは無置換のアルキル基である。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0074】
一般式(1)中、R及びRは、原材料の入手性と合成の容易性、耐光性、印画濃度、及び彩度の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、又はスルホ基であり、特に好ましくは水素原子又はスルホ基である。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0075】
一般式(1)中、R及びRは、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又はスルホ基であり、特に好ましくは置換若しくは無置換のアルキル基である。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0076】
一般式(1)及び一般式(2)中、R11、R14、R13、R16、R17、R18、R19及びR20は、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はスルホ基を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はスルホ基であり、特に好ましくは水素原子である。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0077】
一般式(1)及び一般式(2)中R12及びR15は、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、ハロゲン原子、又はスルホ基が好ましく、より好ましくは水素原子又はスルホ基である。また各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0078】
一般式(1)及び一般式(2)中、X、X、X及びXは各々独立に、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、又は置換若しくは無置換のアリールチオ基を表す。
【0079】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルコキシ基を表す場合のアルコキシ基としては、炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基としては直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。アルコキシ基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が好ましい。また、アルコキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0080】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアリールオキシ基を表す場合のアリールオキシ基としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましく、フェニルオキシ基が更に好ましい。また、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0081】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基を表す場合のヘテロ環オキシ基に含まれるヘテロ環基としてはトリアジン基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はチアジアゾリル基が好ましい。また、ヘテロ環オキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルファモイル基がより好ましく、イオン性親水性基(好ましくはカルボキシル基又はスルホ基、より好ましくはカルボキシル基)が置換した、アルキルアミノ基又はアルキルスルファモイル基が特に好ましい。
【0082】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す場合のアルキルアミノ基としては、ジアルキルアミノ基であってもモノアルキルアミノ基でもよいが、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノアルキルアミノ基であることが好ましい。アルキルアミノ基中のアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。また、アルキルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0083】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す場合のアリールアミノ基としては、ジアリールアミノ基であってもモノアリールアミノ基でもよいが、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノアリールアミノ基であることが好ましい。炭素数6〜14のアリールアミノ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールアミノ基がより好ましく、フェニルアミノ基が更に好ましい。また、アリールアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0084】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基を表す場合のヘテリルアミノ基に含まれるヘテロ環基としてはトリアジン基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はチアジアゾリル基が好ましい。また、ヘテリルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基が好ましい。
【0085】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基を表す場合、置換カルボニルアミノ基としては、置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。無置換のカルボニルアミノ基を表す場合は、−NHCO−となり、一般式(3)のL又は一般式(4)のLに結合することが好ましい。
【0086】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基を表す場合のアルキルカルボニルアミノ基としては、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノアルキルカルボニルアミノ基であることが好ましい。アルキルカルボニルアミノ基中のアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。また、アルキルカルボニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0087】
、X、X及び、Xが置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基を表す場合のアリールカルボニルアミノ基としては、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノアリールカルボニルアミノ基であることが好ましい。アリールカルボニルアミノ基中のアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、アリールカルボニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、より好ましくはシクロヘキシルオキシ基)が特に好ましい。
【0088】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアシルオキシ基を表す場合のアシルオキシ基としては、炭素数1〜18のアシルオキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアシルオキシ基がより好ましい。アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、ベンソイルオキシ基が具体的に挙げられ、アセチルオキシ基が好ましい。また、アシルオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0089】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基を表す場合のアミノカルボニルオキシ基としては、炭素数1〜18のアミノカルボニルオキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアミノカルボニルオキシ基がより好ましい。アミノカルボニルオキシ基としては、無置換のアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、フェニルアミノカルボニルオキシ基が具体的に挙げられ、無置換のアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基が好ましい。また、アミノカルボニルオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0090】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基を表す場合、置換スルホニルアミノ基としては、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、又は置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましい。無置換のスルホニルアミノ基を表す場合は、−NHSO−となり、一般式(3)のL又は一般式(4)のLに結合することが好ましい。
【0091】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基を表す場合のアルキルスルホニルアミノ基としては、炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基が好ましく、炭素数1〜3のアルキルスルホニルアミノ基がより好ましく、メチルスルホニルアミノ基が更に好ましい。また、アルキルスルホニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0092】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基を表す場合のアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数6〜14のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールスルホニルアミノ基がより好ましく、フェニルスルホニルアミノ基が更に好ましい。またアリールスルホニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基が特に好ましい。
【0093】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基を表す場合のアルコキシカルボニルアミノ基中のアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基としては直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。また、アルコキシカルボニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0094】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基を表す場合のアリールオキシカルボニルアミノ基中のアリールオキシ基としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、フェニルオキシカルボニルアミノ基が更に好ましい。また、アリールオキシカルボニルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0095】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のウレイド基を表す場合、置換ウレイド基が有する置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、ヘテロ環基、アルキル基、又はアリール基が好ましく、アルキル基又はアリール基がより好ましい。置換ウレイド基としては、ジ置換ウレイド基であってもモノ置換ウレイド基でもよいが、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノ置換ウレイド基であることが好ましい。
【0096】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアルキルチオ基を表す場合のアルキルチオ基としては、炭素数1〜18のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜8のアルキルチオ基がより好ましい。アルキルチオ基としては具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基が好ましく、メチルチオ基がより好ましい。また、アルキルチオ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0097】
、X、X及びXが置換若しくは無置換のアリールチオ基を表す場合のアリールチオ基としては、炭素数6〜14のアリールチオ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールチオ基がより好ましく、フェニルチオ基が更に好ましい。また、アリールチオ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基より好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
【0098】
、X、X及び、Xは、彩度及び耐光性の観点から、好ましくは、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルオキシ基、置換若しくは無置換のスルホニルアミノ基、及び置換若しくは無置換のウレイド基であり、より好ましくは、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、及び置換若しくは無置換のウレイド基であり、置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は置換若しくは無置換のウレイド基を表すことが特に好ましい。
【0099】
また、水への溶解性の観点から、一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R14、R13、R16、R17、R18、R19、R20、X、及びXの少なくとも1つ、又は一般式(2)中のR11、R14、R13、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、R40、X、及びXの少なくとも1つはカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水基を有することで水に可溶な化合物となる。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、25℃において、水に対して、1〜70質量%溶解することが好ましく、2〜50質量%溶解することがより好ましい。一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物中、イオン性親水基の数としては、1〜9であることが好ましく、より好ましくは1〜5である。
【0100】
上記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、彩度及び耐光性の観点から下記、一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1−1):
【0101】
【化9】
【0102】
一般式(2−1):
【0103】
【化10】
【0104】
一般式(1−1)及び一般式(2−1)中R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R101、R102、R103及びR104は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。
【0105】
一般式(1−1)及び一般式(2−1)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40の具体例及び好ましい範囲は、一般式(1)及び一般式(2)における、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R31、R32、R34、R35、R36、R37、R39及びR40と同じである。
【0106】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。また、アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0107】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアリール基を表す場合のアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。また、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0108】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す場合のヘテロ環基としては、トリアジン基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はチアジアゾリル基が好ましい。また、のヘテロ環基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基が好ましい。
【0109】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のカルボニル基を表す場合、置換カルボニル基としては、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基が好ましい。無置換のカルボニル基を表す場合は、−CO−となり、一般式(3)のL又は一般式(4)のLに結合することが好ましい。
【0110】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基を表す場合のアルキルカルボニル基中のアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。また、アルキルカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0111】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表す場合のアリールカルボニル基中のアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。アリールカルボニル基としては、具体的には、フェニルカルボニル基、ビフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基が好ましく、フェニルカルボニル基がより好ましい。また、アリールカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、より好ましくはシクロヘキシルオキシ基)が特に好ましい。
【0112】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のスルホニル基を表す場合、置換スルホニル基としては、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換若しくは無置換のアリールスルホニル基が好ましい。無置換のスルホニル基を表す場合は、−SO−となり、一般式(3)のL又は一般式(4)のLに結合することが好ましい。
【0113】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基を表す場合のアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜86のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が更に好ましい。また、アルキルスルホニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0114】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアリールスルホニル基を表す場合のアリールスルホニル基としては、炭素数6〜14のアリールスルホニル基が好ましく、炭素数6〜10のアリールスルホニル基がより好ましく、フェニルスルホニル基が更に好ましい。また、アリールスルホニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基が特に好ましい。
【0115】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基を表す場合のアルコキシカルボニル基中のアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。また、アルコキシカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0116】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基を表す場合のアリールオキシカルボニル基中のアリールオキシ基としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましい。アリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基が更に好ましい。また、アリールオキシカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、ニトロ基が特に好ましい。
【0117】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基を表す場合のモノアルキルアミノカルボニル基としては、−CONHR203で表されることが好ましい。ここでR203は炭素数1〜12のアルキル基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基が更に好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。また、モノアルキルアミノカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、フェニル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ヒドロキシル基が特に好ましい。
【0118】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基を表す場合のジアルキルアミノカルボニル基としては、−CONR204205で表されることが好ましい。ここでR204及びR205は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、イソプロピル基がより好ましい。また、ジアルキルアミノカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル基であり、より好ましくはエチルオキシカルボニル基)が特に好ましい。
【0119】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基を表す場合のモノアリールアミノカルボニル基としては、−CONHR206で表されることが好ましい。ここでR206は炭素数6〜14のアリール基を表し、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、モノアリールアミノカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、より好ましくはシクロヘキシルオキシ基)が特に好ましい。
【0120】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基を表す場合のジアリールアミノカルボニル基としては、−CONR207208で表されることが好ましい。ここでR207及びR208は各々独立に炭素数6〜14のアリール基を表し、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、ジアリールアミノカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0121】
101、R102、R103及びR104が置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す場合のアルキルアリールアミノカルボニル基としては、−CONR209210で表されることが好ましい。ここでR209は炭素数1〜12のアルキル基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。R210は炭素数6〜14のアリール基を表し、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、アルキルアリールアミノカルボニル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
【0122】
101、R102、R103及びR104は各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表すことが好ましく、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表すことがより好ましい。
【0123】
(一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物)
一般式(3):
【0124】
【化11】
【0125】
一般式(3)中、Lは2価の連結基を表し、Dは一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造を表す。nは、2〜100を表す。複数のL及び複数のDは、それぞれ、同じでも異なっていてもよい。
【0126】
一般式(3)中、Lは2価の連結基を表し、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価の連結基であることが好ましい。
【0127】
アルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基の好ましい炭素数は1〜18であり、より好ましくは2〜16であり、更に好ましくは4〜8である。アルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシレン基(好ましくは1,3−シクロヘキシレン基若しくは1,4−シクロヘキシレン基)が好ましい。アルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
【0128】
アリーレン基としては、炭素数6〜14のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜10のアリーレン基がより好ましく、フェニレン基(好ましくは1,3−フェニレン基若しくは1,4−フェニレン基)又はナフチレン基(好ましくは1,5−ナフチレン基)が更に好ましい。また、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、イオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基又はスルホ基がより好ましく、スルホ基が更に好ましい。
【0129】
アルケニレン基としては、炭素数は2〜18のアルケニレン基が好ましく、炭素数は2〜12のアルケニレン基がより好ましく、炭素数は2〜8のアルケニレン基が更に好ましい。アルケニレン基の好ましい具体例としては、ビニレン基、2−ブテニレン基が好ましい。アルケニレン基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
【0130】
また、Lは、上述の置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、及び置換若しくは無置換のアルケニレン基から選ばれる2種以上を組み合わせてなる2価の連結基であってもよい。
2価の連結基としては、以下の連結基が具体的には挙げられる。下記連結基中、*は結合位置を表す。
【0131】
【化12】
【0132】
一般式(3)中、Dは一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造を表す。一般式(1)及び一般式(2)は上述のとおりである。
溶解性の観点からは、Dが表す一般式(1)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つ、並びに一般式(2)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造中のR31、R32、R34、R35、R36、R37、R39、R40、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つはカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましく、少なくとも2つがイオン性親水性基であることがより好ましく、イオン性親水性基のなかでもスルホ基を表すことが好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられるが、合成の容易性(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。
【0133】
一般式(3)中、nは2〜100を表し、溶解性及び耐湿性の観点から2〜50が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜15が更に好ましい。nは整数である必要はなく、小数である場合は混合物の平均値を表しており、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量測定から算出できる。本明細書において、GPCは、特に断らない限り、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)で測定し、数平均分子量はポリスチレン換算により算出した。キャリアは適宜選定すればよいが、溶解可能であるかぎり、NMP(N−メチルピロリドン)を用いた。
【0134】
また、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物の末端の構造は、特に限定されず、合成に用いる化合物等によるものである。
【0135】
一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物は、彩度及び耐光性の観点から、下記一般式(3−1)〜(3−4)のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物であることが好ましい。
一般式(3−1):
【0136】
【化13】
【0137】
一般式(3−1)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R301、R302、R303及び304は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L101は2価の連結基を表し、n101は2〜100を表す。
【0138】
一般式(3−1)中、n101は一般式(3)におけるnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0139】
一般式(3−1)中、L101は一般式(3)におけるLと同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0140】
一般式(3−1)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、一般式(1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0141】
また、溶解性の観点からは、一般式(3−1)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つは、カルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましく、少なくとも2つがイオン性親水性基であることがより好ましく、イオン性親水性基のなかでもスルホ基を表すことが好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられるが、合成の容易性(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。
【0142】
一般式(3−1)中、R301、R302、R303及び304は各々独立に水素原子又は置換基を表し、原材料の入手性の観点から水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0143】
一般式(3−2):
【0144】
【化14】
【0145】
一般式(3−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L102は2価の連結基を表し、n102は2〜100を表す。
【0146】
一般式(3−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L102及びn102は、一般式(3−1)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L101及びn101と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0147】
一般式(3−3):
【0148】
【化15】
【0149】
一般式(3−3)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L103は2価の連結基を表し、n103は2〜100を表す。
【0150】
一般式(3−3)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L103及びn103は、一般式(3−1)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L101及びn101と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0151】
一般式(3−4):
【0152】
【化16】
【0153】
一般式(3−4)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R305及びR306は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L104は2価の連結基を表し、n104は2〜100を表す。
【0154】
一般式(3−4)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L104及びn104は、一般式(3−1)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、L101及びn101と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3−4)中、R305及びR306は各々一般式(3−1)中のR302及びR303と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0155】
(一般式(4)で表される化合物)
一般式(4):
【0156】
【化17】
【0157】
一般式(4)中、Lはn価の連結基を表し、Dは上記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造を表す。nは、2〜6の整数を表す。複数のDは、同じでも異なっていてもよい。
【0158】
一般式(4)中、Lはn価の連結基を表し、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、エーテル基、トリアジン基、シアヌル基、アミノ基、ペンタエリスリトール誘導体、ジペンタエリスリトール誘導体又はこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてなる2〜6価の連結基であることが好ましい。
一般式(4)におけるLがアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基であるときの具体例や好ましい範囲は、一般式(3)におけるLのアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基と同じである。
が表す連結基としては、以下の連結基が具体的には挙げられる。下記連結基中、*は結合位置を表す。
【0159】
【化18】
【0160】
一般式(4)中、Dは一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造を表す。一般式(1)又は一般式(2)は上述のとおりである。
溶解性の観点からは、Dが表す一般式(1)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つ、並びに一般式(2)で表される化合物から水素原子を2個取り除いた部分構造中のR31、R33、R24、R35、R36、R38、R39、R40、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つはカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましく、少なくとも2つがイオン性親水性基であることがより好ましく、イオン性親水性基のなかでもスルホ基を表すことが好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられるが、合成の容易性(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。
【0161】
一般式(4)中、nは、2〜6の整数を表し、原料入手性、合成の容易性、水への溶解性の観点から2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
【0162】
一般式(4)で表される化合物は、彩度及び耐光性の観点から、一般式(4−1)〜(4−4)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(4−1):
【0163】
【化19】
【0164】
一般式(4−1)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1aは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。n201は2〜6の整数を表す。
一般式(4−1)中、L201はn201価の連結基を表す。
【0165】
一般式(4−1)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、一般式(1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0166】
また、溶解性の観点からは、Dが表す一般式(1)で表される化合物から水素原子を1個取り除いた部分構造中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20の少なくとも1つはカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましく、少なくとも2つがイオン性親水性基であることがより好ましく、イオン性親水性基のなかでもスルホ基を表すことが好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられるが、合成の容易性(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。
【0167】
一般式(4−1)中、X1aは、一般式(1−1)におけるR101と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0168】
一般式(4−1)中、L201は一般式(4)におけるLと同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0169】
一般式(4−1)中、n201は一般式(4)におけるnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0170】
一般式(4−2):
【0171】
【化20】
【0172】
一般式(4−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1aは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。n202は2〜6の整数を表す。
一般式(4−2)中、L202はn202価の連結基を表す。
【0173】
一般式(4−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L202及びn202は一般式(4−1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L201及びn201同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0174】
一般式(4−3):
【0175】
【化21】

【0176】
一般式(4−3)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1aは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。n203は2〜6の整数を表す。
一般式(4−3)中、L203はn203価の連結基を表す。
【0177】
一般式(4−3)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L203及びn203は一般式(4−1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L201及びn201同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0178】
一般式(4−4):
【0179】
【化22】
【0180】
一般式(4−4)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1aは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表す。n204は2〜6の整数を表す。
一般式(4−4)中、L204はn204価の連結基を表す。
【0181】
一般式(4−4)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L204及びn204は一般式(4−1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X1a、L201及びn201同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
【0182】
以下に一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。下記具体的化合物の構造式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはイソプロピル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0183】
【化23】
【0184】
【化24】
【0185】
【化25】
【0186】
【化26】
【0187】
【化27】
【0188】
【化28】
【0189】
【化29】
【0190】
【化30】
【0191】
【化31】
【0192】
【化32】
【0193】
【化33】
【0194】
〔ベタイン化合物〕
本発明の着色組成物には、ベタイン化合物が含まれる。ただしベタイン化合物の中でも、特に油溶性基を有するベタイン型界面活性剤であることが好ましい。ベタイン化合物の中でも、後記の一般式で表される化合物を本発明では好ましく用いる。
本発明で好ましく使用されるベタイン化合物は、界面活性能を有するベタイン型界面活性剤であることが好ましい。
ここで言うベタイン化合物とは、分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有する化合物を表す。カチオン性の部位としてはアミン性の窒素原子、ヘテロ芳香族環の窒素原子、炭素との結合を4つ有するホウ素原子、リン原子などを挙げることができる。この中で好ましくはアミン性の窒素原子又はヘテロ芳香族環の窒素原子である。中でも特に第4級の窒素原子であることが好ましい。アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。分子全体としての荷電は、カチオン、アニオン、中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
【0195】
ベタイン化合物としては、下記一般式(A)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(A):
【0196】
(R−N−[L−(COOM
【0197】
一般式(A)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミン若しくは含窒素へテロ環基、又は4級アンモニウムイオン基を表し、式中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。
qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3又は4である。p+rが4である場合は、N原子はプロトン化されたアンモニウム原子(=N=)となる。
qが2以上のときは、COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上のときはL−(COOMは同じでも異なっていてもよい。pが2以上のときは、Rは同じでも異なっていてもよい。
【0198】
本発明に使用するベタイン化合物としては、一般式(A)で表される化合物の中でも、特に下記一般式(A2)または(A3)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(A2):
【0199】
【化34】
【0200】
一般式(A2)中、Ra1、Ra2及びRa3は各々独立に、アルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1ないし20の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6ないし20の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、又はヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2ないし20の基である。例えばピリジル基、キノリル基など。)を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。
この中で特に好ましくはアルキル基である。
【0201】
は2価の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基を基本的な構成単位として含む2価の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。
として好ましくは、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキレン基であり、より好ましくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、特に好ましくはメチレン基、またはエチレン基である。
【0202】
a1、Ra2、Ra3及びLaには種々の置換基が置換可能である。
例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)、等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、Ra1、Ra2、Ra3又はLaを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
【0203】
本発明で使用するベタイン化合物においては、Ra1、Ra2、Ra3及びLa中の少なくとも1つに、炭素数8以上の基を含有する。中でも特に、Ra1、Ra2又はRa3に長鎖アルキル基が含有されるものが好ましい。
【0204】
一般式(A3):
【0205】
(Rap1−N−[La−(COOMr1
【0206】
一般式(A3)中、Ra、La、及びqは一般式(A)におけるRa、La、及びqと同義である。
はアルカリ金属イオン又は水素原子である。
p1は0以上2以下の整数を表し、r1は1以上3以下の整数を表す。但し、p1+r1は3である。
p1が2以上のときは、Raは同じでも異なっていてもよい。
【0207】
一般式(A)及び一般式(A3)について以下に説明する。
【0208】
一般式(A)及び一般式(A3)中、Raはアルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1ないし20の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6ないし20の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、ヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2ないし20の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。この中で特に好ましくはアルキル基である。
【0209】
は2価以上の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基等を基本的な構成単位として含む2価以上の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。
として好ましくは、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキレン基であり、より好ましくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、特に好ましくはメチレン基、またはエチレン基である。
【0210】
及びLには種々の置換基が置換可能である。R及びLが取り得る置換基としては、上述の一般式(A2)中のRa1、Ra2、Ra3及びLaが取り得る置換基が挙げられ、好ましい例も同様である。
また、Ra又はLaを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
【0211】
aは水素原子、アルカリ金属カチオン(たとえばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン)、アンモニウムイオン、アミン性の有機カチオン(1ないし3級アミンの場合、プロトン化されたものを表す。たとえばプロトン化されたメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピラジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン等。4級アンモニウム塩の場合、たとえばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、メチルピリジニウムイオン、ベンジルピリジニウムイオン等。)を表す。中でも特にアルカリ金属イオン又は水素原子が好ましい。
【0212】
qは1以上(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1又は2)の整数を表し、rは1以上4以下(好ましくは1又は2)の整数を表す。pは0以上4以下(好ましくは1又は2)の整数を表し、p+rは3又は4である。
p+rが4の場合、N原子は4級アンモニウムカチオンとなり、Mのうちの1つが解離状態のアニオンとなる。qが2以上のときは、COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上のときは、L−(COOMは同じでも異なっていてもよい。pが2以上のときは、Rは同じでも異なっていてもよい。
p1は0以上2以下の整数を表し、r1は1以上3以下の整数を表す。但し、p1+r1は3である。p1が2以上のときは、Raは同じでも異なっていてもよい。
【0213】
さらに、R又はLに炭素数8以上の炭化水素基が含まれていることが好ましく、一般式(A3)で表される化合物の中でも、下記一般式(A4)で表される化合物が最も好ましく使用される。
【0214】
一般式(A4):
【0215】
−N−(L−COOM
【0216】
一般式(A4)中、R、L及びMは先述の一般式(A3)中のR、L及びMと同様である。二つの(L−COOM)は同じでも異なっていてもよい(二つの、L及びMは同じでも異なっていてもよい)。Rは特にアルキル基が好ましく、Lはアルキレン基であることが好ましい。
【0217】
以下にベタイン化合物として好ましい例を列挙するが、本発明は勿論これによって限定されるものではない。
【0218】
【化35】
【0219】
【化36】
【0220】
【化37】
【0221】
【化38】
【0222】
【化39】
【0223】
【化40】
【0224】
【化41】
【0225】
【化42】
【0226】
【化43】
【0227】
【化44】
【0228】
〔着色組成物〕
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種のキサンテン化合物(好ましくは水に可溶なキサンテン化合物)と、ベタイン化合物とを含有する。
本発明で使用する特定のキサンテン化合物と、ベタイン化合物とを組み合わせることで、耐光性が良好で、高湿条件下でも画像のにじみを起こしにくい、すなわち耐湿性にも優れた着色組成物が得られた。
本発明で使用する特定のキサンテン化合物は、特徴的な置換基又は連結基を有することにより耐光性の良化に作用し、ベタイン化合物を使用することにより耐湿性が良化しているものと推察されるが、この両者を併用することによる耐光性、耐湿性の向上は、作用機構は不明だが、予想外にも際立って優れたものであった。
本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
【0229】
本発明において、着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物から選択される水に可溶なキサンテン化合物の含有量は、用いられるキサンテン化合物の種類、及び着色組成物を製造するために用いる溶媒成分の種類等により決められるが、着色組成物中のキサンテン化合物の含有量が、着色組成物の総質量に対して1〜20質量%含まれることが好ましく、1〜10質量%含まれることがより好ましく、2〜6質量%含まれることが更に好ましい。
【0230】
着色組成物中に含まれる水に可溶なキサンテン化合物の含有量を1質量%以上にすることで、印刷したときの記録媒体上におけるインクの発色性を良好にでき、かつ必要とされる画像濃度を確保できる。また、着色組成物中に含まれる水に可溶なキサンテン化合物の合計量を20質量%以下にすることで、インクジェット記録方法に用いた場合に着色組成物の吐出性を良好にでき、しかもインクジェットノズルが目詰まりしにくい等の効果が得られる。
【0231】
本発明において、着色組成物中に含まれるベタイン化合物の含有量としては、発明の効果を奏する範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.01〜20質量%である。2種以上を併用する場合、最大使用量の化合物は最小使用量の化合物に対して、重量比で1〜10000倍の重量比で使用される。この範囲とすることにより、良好な耐湿性を有する記録画像を実現できる。
【0232】
本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、後述のインクジェット記録用インクに使用しうる添加剤が挙げられる。
【0233】
[インクジェット記録用インク]
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、本発明の着色組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
本発明のインクジェット記録用インクは、本発明の一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれか少なくとも1種のキサンテン化合物(好ましくは水に可溶なキサンテン化合物)と、ベタイン化合物とを含有する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に本発明の化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。インクジェット記録用インクは、好ましくは水性媒体を用いたインクである。
インクジェット記録用インクは必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0234】
本発明で使用される添加剤としては、特開2013−133394公報〔0091〕〜〔0101〕記載の添加剤を使用することができる。使用形態や使用方法などについては、上記特許文献に記載されている内容を好ましく使用することができる。
【0235】
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中、水に可溶なキサンテン化合物を0.2質量%以上10質量%以下含有するのが好ましく、1質量%以上6質量%以下含有するのがより好ましい。また、本発明のインクジェット記録用インクには、水に可溶なキサンテン化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が上記範囲となっているのが好ましい。
【0236】
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中、ベタイン化合物の好ましい添加量は発明の効果を奏する範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.01〜20質量%である。2種以上を併用する場合、最大使用量の化合物は最小使用量の化合物に対して、重量比で1〜10000倍の重量比で使用される。
【0237】
特に本発明中、本発明で使用されるキサンテン化合物と、ベタイン化合物と、水とを含有するインクジェット記録用インクにおいては、ベタイン化合物(特にベタイン界面活性剤)などからインク中に混入する無機イオンの合計質量をインク総重量に対して2質量%以下に抑えることが好ましい。ここでいう無機イオンとは、染料のカウンターイオンの無機イオン、ベタイン界面活性剤に含まれる不純物である無機塩由来の無機イオン、ベタイン化合物のイオン当量からはずれたイオン成分のカウンターイオンとなる無機イオン、pH調節に使用する無機塩類から導入される無機イオン、キレート剤、防腐剤などのインク添加剤から導入される無機イオンの総和を表す。ただし、本発明においては、アンモニウムイオンを揮発性の化合物として取り扱い、この無機イオンから除外する。
無機イオン総量としては、インクの2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは、0.5質量%以下である。
インクに含まれる無機イオン濃度が高いと、ベタイン化合物によるにじみ抑止効果が妨げられる。
【0238】
無機イオンのインク中の含有量を極力低減させるためには、種々の手法を用いることができる。
第一に、インクに使用する素材(例えば、ベタイン化合物)に含有される無機イオンを素材合成時に除去する方法を挙げることができる。水溶性インク素材の場合、特に水溶性を向上させる目的でイオン解離性基を数多く導入する場合が多い。このとき、素材合成時に多量の無機物を含んだり、カウンターイオンとして必然的に無機イオンが含まれてきたりする。前者のイオンを除くためには、イオン選択性透過膜を用いた電気分解透析法による脱塩精製法や、イオン交換樹脂による方法、ゲル濾過法による脱塩精製などを行うことができる。
また、合成時に積極的にイオン交換する方法も使用することができる。たとえば、過剰のアンモニアや有機アミン類を添加して金属イオンと交換する方法や、アニオンの場合ならば有機カルボン酸と交換する方法を挙げることができる。また、合成時における脱塩法として有機溶媒により積極的に塩を析出させ濾過により除去する方法も利用できる。
【0239】
第二に、この脱塩精製を、インク原材料の状態、すなわち各種素材を水などの溶媒に溶解した濃厚な水溶液(インク原液)で行うことも好ましい。場合によっては、完成インクでの脱塩精製も可能である。
【0240】
本発明のベタイン化合物を使用した場合、インクにおいて気泡が発生する場合がある。この気泡は、インクジェット記録において印字欠陥を生じさせることがあるため、インクに泡を消す作用を有する化合物(=消泡剤)を添加することにより、この問題を解決することができる。消泡剤としては、プルロニック系消泡剤(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン型消泡剤)、やシリコーン型消泡剤など、種々のものを使用することができる。
【0241】
本発明のインクジェット記録用インクは、粘度が30mPa・s以下であるのが好ましい。また、その表面張力は25mN/m以上70mN/m以下であるのが好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤を添加することによって、調整できる。
【0242】
本発明のインクジェット記録用インクは、様々な色調のインク用いることができるが、マゼンタ色調インクに用いることが好ましい。また、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0243】
適用できる色素としては、任意のものを使用することが出来る。例えば、特開2013−133394公報〔0105〕〜〔0108〕記載の色素などが挙げられる。
【0244】
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピングなどの記録方法に使用でき、特にインクジェット記録方法における使用に適する。
【0245】
[インクジェット記録方法]
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
【0246】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特願2000−363090号、同2000−315231号、同2000−354380号、同2000−343944号、同2000−268952号、同2000−299465号、同2000−297365号等の各明細書に記載された方法を好ましく用いることができる。
【0247】
[インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物]
本発明のインクジェット記録用インクカートリッジは、上記した本発明のインクジェット記録用インクを充填したものである。また、本発明のインクジェット記録物は、上記した本発明のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したものである。
【0248】
本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについては、例えば、特開2013−133394公報〔0112〕〜〔0121〕に記載のものを適用することができる。
【0249】
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【実施例】
【0250】
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0251】
(合成例1)例示化合物(1−11)の合成
特開2011−148973号公報の合成例2の方法に従って、合成することができる。
【0252】
(合成例2)例示化合物(1−12)の合成
例示化合物(1−12)は、例えば下記スキームに従い、合成することができる。
【0253】
【化45】
【0254】
(中間体(B)の合成)
中間体(A)23.0g(特開2011−148973号公報の第17頁の段落番号0065記載の方法で合成)を、10%発煙硫酸420gに添加して、室温にて48時間反応させた。反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。ろ別した結晶を500mLのメタノールに溶解させ、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いてpH7に調整し、析出した硫酸ナトリウムをろ過により取り除いた。ろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、中間体(B)の結晶を得た。収量21.0g、収率68%、MS(m/z)=793([M−2Na+H]、100%)。
【0255】
(例示化合物(1−12)の合成)
中間体(B)20gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)120mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル(東京化成製)10mLを、内温を5℃以下に保ちながら滴下した後に、0〜5℃で90分反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した後に水200mLに溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)を通液することにより脱塩精製を繰り返し、塩を除いたことをイオンクロマトグラフにて確認した。その後、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、例示化合物(1−12)の緑色光沢固体を得た。収量24g、収率93%。MS(m/z)=1054([M−Na]、100%)。例示化合物(1−12)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は531nmであった。
【0256】
(合成例3)例示化合物(1−10)の合成
例示化合物(1−10)は下記スキームに従い、合成することができる。
【0257】
【化46】
【0258】
前述の例示化合物(1−12)の合成中間体として得られた中間体(B)4gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)56mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル(東京化成製)4.8mLを内温を5℃以下に保ちながら滴下した後に、室温で90分反応させた。再度内温を0℃まで冷却し、イソプロピルアミン(和光純薬製)4.0mLを内温10℃以下で滴下した後に、室温で30分撹拌した。得られた反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、析出した固体をろ別した。得られた固体を水に溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、例示化合物(1−10)の緑色光沢固体を得た。収量3.1g、収率67%。MS(m/z)=962([M−1]、100%)。例示化合物(1−10)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は531nm、モル吸光係数は65000であった。別途、pHを7に調整する前に、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)の通液を繰り返すことにより脱塩精製した以外は合成例3と同様にして、例示化合物(1−10)を合成した。無機イオンの減少は、イオンクロマトグラフにて確認した。
【0259】
(例示化合物(1−13)の合成)
例示化合物(1−13)は、例えば下記スキームに従い、合成することができる。
【0260】
【化47】
【0261】
〔例示化合物(1−13)の合成〕
例示化合物(1−12)3g、5−アミノサリチル酸1.7g、炭酸水素ナトリウム1.4gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15mLに添加し、60℃で6時間反応させた。反応液に2−プロパノール30mLを滴下し、得られた結晶をろ別した後に、カラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、例示化合物(1−13)の結晶を得た。収量3.0g、収率86%、MS(m/z)=1237([M−H]、100%)。例示化合物(1−13)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は534nm、モル吸光係数は81200であった。
【0262】
(例示化合物(1−3)及び例示化合物(1−4)の合成)
例示化合物(1−3)及び(1−4)は、例えば下記スキームに従い、合成することができる。
【0263】
【化48】
【0264】
〔中間体(C)の合成〕
ジクロロスルホフタレイン(中外化成製、DCSF(商品名))20g、2,4−ジアミノメシチレン−6−スルホン酸46g、ジアザビシクロウンデセン(DBU)30g、塩化亜鉛6.7gをエチレングリコール250gに添加し、150℃で6時間反応させた。得られた反応液を室温に冷却し、アセトニトリル1Lに注ぎ入れ、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(C)を得た。収量7.7g、収率19%、MS(m/z)=836([M−1]、100%)。
【0265】
〔例示化合物(1−3)の合成〕
中間体(C)3gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)20mLに溶解させ、0℃まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル1.7gを滴下し、0℃で1時間反応させた。反応液を酢酸エチル150mLに滴下し、析出した結晶をろ別し、酢酸エチルで洗浄した後に、得られた結晶を60℃で6時間乾燥し、例示化合物(1−3)の結晶を得た。収量3.4g、収率88%、MS(m/z)=1076([M−H]、100%)。例示化合物(1−3)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は530nm、モル吸光係数は93400であった。
【0266】
〔例示化合物(1−4)の合成〕
例示化合物(1−3)3g、5−アミノサリチル酸1.7g、炭酸水素ナトリウム1.4gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15mLに添加し、60℃で6時間反応させた。反応液に2−プロパノール30mLを滴下し、得られた結晶をろ別した後に、カラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、例示化合物(1−4)の結晶を得た。収量3.1g、収率90%、MS(m/z)=1237([M−H]、100%)。例示化合物(1−4)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は529nm、モル吸光係数は92800であった。
【0267】
(合成例4)例示化合物(3−6)の合成
前述の例示化合物(1−12)3.0gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)30mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここに1,3−シクロへキサンジアミン0.32gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)10mLに溶解させた液を30分間かけて滴下したのちに室温で24時間反応させた。反応液を300mLのイソプロピルアルコール中に注ぎ入れ析出した結晶をろ別し、水100mLに再溶解させた。強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR−124H(商品名)、オルガノ製)に通液した後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを7.0に調整した。水溶液を透析膜(分画分子量3500、Spectra/Por3 Dialysis Membrane(商品名、スペクトラム=ラボラトリー社製))を用いて、無機塩を除去した後に、濃縮乾固し例示化合物(3−6)の金属光沢結晶2.5gを得た。GPC測定によるポリスチレン換算の分子量から繰り返し単位が6.5であると見積もった。また例示化合物(3−6)の希薄水溶液のUV-Visスペクトルの吸収極大波長は532nmであった。
【0268】
(合成例5)例示化合物(4−5)の合成
例示化合物(4−5)は例えば以下スキームに従って合成することができる。
【0269】
【化49】
【0270】
〔中間体(D)の合成〕
中間体(B)20gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)120mLに溶解させ、内温を0まで冷却した。ここにイソブチリルクロリド(東京化成製)10mLを内温を5以下に保ちながら滴下した後に、0〜5で90分反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した後に水200mLに溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)を通液させた後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、中間体(D)の緑色光沢固体を得た。収量22g、MS(m/z)=884.2([M−Na]、100%)。
【0271】
〔中間体(E)の合成〕
中間体(D)22gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)120mLに溶解させ、内温を0まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル(東京化成製)5mLを内温を5以下に保ちながら滴下した後に、0〜5で90分反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した後に水200mLに溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR124−H(商品名)、オレガノ社製)を通液させた後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、中間体(E)の緑色光沢固体を得た。収量20g、MS(m/z)=1004([M−Na]、100%)。
【0272】
〔例示化合物(4−5)の合成〕
中間体(E)3.0gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)30mLに溶解させ、内温を0まで冷却した。ここにエチレンジアミン0.2gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)10mLに溶解させた液を30分間かけて滴下したのちに室温で24時間反応させた。反応液を300mLのイソプロピルアルコール中に注ぎ入れ析出した結晶をろ別し、水100mLに再溶解させた。強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR−124H(商品名)、オルガノ製)に通液した後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを7.0に調整した。水溶液を透析膜(分画分子量3500、Spectra/Por3 Dialysis Membrane(商品名、スペクトラム=ラボラトリー社製))を用いて、無機塩を除去した後に、濃縮乾固し例示化合物(4−5)の金属光沢結晶2.5gを得た。例示化合物(4−5)の希薄水溶液のUV-Visスペクトルの吸収極大波長は532nmであった。
【0273】
その他の例示化合物に関しても、上記方法に準じて合成することができる。
なお、下記実施例5、9、22及び26は、それぞれ参考例5、9、22及び26に読み替えるものとする。
【0274】
〔実施例1〜34、比較例1〜2〕
<インク組成物の調製>
下記の組成からなるインク組成物を、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液を調製した。調製したマゼンタ用インク液をインクジェット記録用インクとして用いた。
【0275】
インク組成物
表1記載の染料化合物 3.5質量%
表1記載のベタイン化合物 1質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10質量%
グリセリン 10質量%
トリエチレングリコール 5質量%
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業製)
2質量%
水 残量
【0276】
なお、このとき、各インクに含まれる無機イオン濃度をイオンクロマトグラフによって分析し、その総和を質量%濃度として、表1中にまとめて記載した。
【0277】
【表1】
【0278】
(画像記録及び評価)
以上の各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、耐光性及び耐湿性は、各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSON))に画像を記録した後で評価したものである。
【0279】
<耐光性>
OD(Optical Density)が0.9〜1.1の範囲に入るように印加Dutyを調整して、マゼンタのベタ印字を行い、得られた印刷物を、Xenon耐光性試験機XL−75s(商品名:(株)スガ試験機製)を用い、23℃相対湿度50%、照度75000lux条件にて20日間の曝露を行った。
曝露後、印刷物のOD値を、反射濃度計(「Spectrilino」(商品名:Gretag社製)を用いて測定し、次式より光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により評価した。
ROD(%)=(D/D0)×100
D:暴露試験後のOD D0:暴露試験前のOD
(測定条件 光源:D50、視野角:2°、DIN−NB)
A: RODが90%以上の場合
B: RODが80%以上90%未満の場合
C: RODが70%以上80%未満の場合
D: RODが60%以上70%未満の場合
E: RODが60%未満の場合
【0280】
<耐湿性>
高湿条件下での画像のにじみについては、マゼンタの1mm×1mmの正方形を、正方形同士の間に0.5mmの白地隙間が形成されるように配置した、3cm×3cmの印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃相対湿度90%の条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察した。
具体的には、上記高湿条件に晒す前と晒した後の印刷物のOD値を、反射濃度計(「Spectrilino」(商品名:Gretag社製)を用いて測定し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加が、ステータスAのグリーンフィルターにおいて、0.01未満の場合をA、0.01以上0.05未満の場合をB、0.05以上の場合をC、にじみの状態がひどく、画像全体にマゼンタがしみ出した状態のものをDとした。
【0281】
本願例示化合物以外に、比較例に用いた化合物を以下に示す。
【0282】
【化50】
【0283】
結果からわかるように、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する化合物、及び一般式(4)で表される化合物のいずれかと、ベタイン化合物とを含む本発明の着色組成物を用いた実施例のインクは、比較例のインクに比べて、耐光性及び耐湿性が際立って優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0284】
本発明の着色組成物は、耐湿性及び耐光性に優れた画像を形成することができる。
【0285】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2014年9月30日出願の日本特許出願(特願2014−202535)及び2015年6月5日出願の日本特許出願(特願2015−115102)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。