特許第6255544号(P6255544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255544
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20171218BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20171218BHJP
   B65G 17/00 20060101ALI20171218BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20171218BHJP
   B65G 17/32 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   C23C14/56 G
   H01L21/68 J
   B65G17/00 A
   B65G49/06 Z
   B65G17/32 A
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-548485(P2017-548485)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(86)【国際出願番号】JP2016087631
(87)【国際公開番号】WO2017104826
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-246779(P2015-246779)
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(72)【発明者】
【氏名】中尾 裕利
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−54569(JP,A)
【文献】 特開2013−80990(JP,A)
【文献】 特開昭58−141386(JP,A)
【文献】 特開2007−31821(JP,A)
【文献】 特開昭60−39162(JP,A)
【文献】 特開2008−231575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/56
B65G 17/00
B65G 17/32
B65G 49/06
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の真空雰囲気が形成される真空槽と、
前記真空槽内に設けられ、基板の平面的な処理面上に処理を行う処理源を有する処理領域と、
前記真空槽内に設けられ、前記処理領域を通過するように前記基板を搬送する搬送経路と
前記基板の搬送方向に対して直交する搬送直交方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を、前記搬送経路に沿って搬送するように構成された基板保持器搬送機構とを有し、
前記搬送経路は、当該搬送経路を搬送される前記基板の処理面上の任意点についての法線と、前記処理領域を直線的に通過する際に前記基板の処理面上の任意点が描く軌跡線分とを含む平面に対して投影した場合に一連の環状となるように形成され
前記基板保持器搬送機構に、処理前の基板を保持した前記基板保持器を当該基板保持器搬送機構に受け渡すための基板保持器導入部と、処理後の基板を保持した前記基板保持器を当該基板保持器搬送機構から取り出すための基板保持器排出部とが設けられ、
前記基板保持器は、前記搬送直交方向の両端部に当該搬送直交方向に延びる支持軸を有するとともに、前記基板保持器搬送機構において、当該基板保持器の支持軸が、前記搬送経路を構成する駆動部材に設けられた保持駆動部に、前記搬送直交方向に延びる回転軸線を中心として回転可能で着脱自在に保持されるように構成され、
前記保持駆動部が前記駆動部材の外方に設けられるとともに、当該保持駆動部の前記駆動部材からの脱落を阻止するためのガイド部材が設けられ、当該ガイド部材は、前記基板保持器が前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部において前記保持駆動部に保持され、かつ、前記基板保持器が前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部において前記保持駆動部から離脱されるように構成されている真空処理装置。
【請求項2】
前記基板保持器搬送機構は、前記搬送経路の往路及び復路のそれぞれに前記処理領域を有する請求項記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記基板保持器搬送機構は、前記基板保持器を前記搬送経路の往路から復路へ折り返して搬送する搬送折り返し部を有し、当該搬送折り返し部は、前記基板保持器の当該搬送方向に対する前後関係を維持した状態で当該基板保持器を搬送するように構成されている請求項記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記基板保持器搬送機構は、前記基板保持器を前記搬送経路の往路から復路へ折り返して搬送する搬送折り返し部を有し、当該搬送折り返し部は、前記基板保持器の当該搬送方向に対する前後関係を反転した状態で当該基板保持器を搬送するように構成されている請求項記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記基板保持器搬送機構は、処理前に前記基板を保持した前記基板保持器を加熱する加熱機構を有する請求項記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記基板保持器搬送機構は、前記真空槽に対して着脱自在のフレーム構造体に一体的に組み付けられている請求項記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記真空槽に対して雰囲気が連通又は隔離可能に構成され、当該真空槽に基板を搬入し且つ当該真空槽から基板を搬出するための基板搬入搬出室を有するとともに、前記真空槽内には、処理前の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出室内から当該真空槽内に搬入し、かつ、処理後の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出室に搬入する基板搬入搬出機構と、前記処理前の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出機構から前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部に受け渡し、かつ、前記処理後の基板を保持した基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部から取り出して前記基板搬入搬出機構に受け渡す搬送ロボットとを有する請求項記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記基板搬入搬出機構は、処理前の基板を保持した前記基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部に受け渡す基板保持器受け渡し位置と、処理後の基板を保持した前記基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部から取り出す基板保持器取り出し位置との間を移動する基板保持器支持部を有し、当該基板保持器支持部上に前記搬送ロボットが配置されている請求項記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記基板搬入搬出機構の基板保持器支持部は、前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に移動可能に構成され、当該基板保持器支持部を前記連通する位置に移動させ当該基板保持器支持部によって前記真空槽と前記基板搬入搬出室の連通口を塞ぐことにより、前記真空槽に対して前記基板搬入搬出室の雰囲気が隔離されるように構成されている請求項又はのいずれか1項記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に対する前記基板保持器受け渡し位置の距離が、前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に対する前記基板保持器取り出し位置の距離より小さい請求項記載の真空処理装置。
【請求項11】
前記搬送経路が、鉛直面に対して投影した場合に環状となるように形成されている請求項1記載の真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中で基板上に成膜等の真空処理を行う真空処理装置の技術に関し、特に複数の基板を保持した基板保持器を移動させながら処理を行う通過型の真空処理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の被処理基板をトレイ等の基板保持器に載置して通過しながら成膜等の処理を行う真空処理装置が知られている。
このような真空処理装置としては、環状の搬送経路を有するものも知られており、また従来技術では、被処理基板を移載する工程において、被処理基板を搬送経路に導入(ローディング)し、既処理基板を搬送経路から排出(アンローディング)していることも示されている。
【0003】
従来技術の構成では、被処理基板は、ローディング位置からアンローディング位置まで、その処理面が水平に保たれていて、水平面内に配置された環状の搬送経路を移動しながら、各プロセスを行うようになっている。
その結果、このような従来技術では、処理すべき基板表面のみならず、移載を含む付帯設備の面積も水平方向に加算される(処理面と平行な面内に環状軌道が設けられていれば、それが鉛直方向でも加算される)。
【0004】
また、このような従来技術では、トレイに複数行×複数列の基板が載置されるように構成されているので、処理領域および付帯設備のすべては当該トレイ表面積を完全にカバーできる大きさが必要になり、その結果、上述した問題を含めて設置スペースを小さくする上で、大きな障害となっていた。
【0005】
ところで、仮に、単列に被処理基板を載置するトレイがある場合において、このトレイを搬送方向に向けて複数載置する場合であっても、トレイ先頭に載置された基板に対する処理を開始し、トレイ後端に載置された基板に対する処理を完了するプロセスにおいては、トレイ先頭の基板が処理を開始する時には、2枚目〜後端基板の長さ、またトレイ後端の基板が処理を完了するときには、トレイ先頭の基板〜後端前基板の長さ、それらの双方をカバーする処理余剰領域を設けざるを得ず、省スペース化を十分に行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−31821号公報
【特許文献2】特開2002−288888号公報
【特許文献3】特開2004−285426号公報
【特許文献4】特開2002−176090号公報
【特許文献5】WO2008−50662号公報
【特許文献6】特開平8−96358号公報
【特許文献7】特開2004−285426号公報
【特許文献8】特開2013−131542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、通過型の真空処理装置において、省スペース化を十分に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明は、単一の真空雰囲気が形成される真空槽と、前記真空槽内に設けられ、基板の平面的な処理面上に処理を行う処理源を有する処理領域と、前記真空槽内に設けられ、前記処理領域を通過するように前記基板を搬送する搬送経路と、前記基板の搬送方向に対して直交する搬送直交方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を、前記搬送経路に沿って搬送するように構成された基板保持器搬送機構とを有し、前記搬送経路は、当該搬送経路を搬送される前記基板の処理面上の任意点についての法線と、前記処理領域を直線的に通過する際に前記基板の処理面上の任意点が描く軌跡線分とを含む平面に対して投影した場合に一連の環状となるように形成され、前記基板保持器搬送機構に、処理前の基板を保持した前記基板保持器を当該基板保持器搬送機構に受け渡すための基板保持器導入部と、処理後の基板を保持した前記基板保持器を当該基板保持器搬送機構から取り出すための基板保持器排出部とが設けられ、前記基板保持器は、前記搬送直交方向の両端部に当該搬送直交方向に延びる支持軸を有するとともに、前記基板保持器搬送機構において、当該基板保持器の支持軸が、前記搬送経路を構成する駆動部材に設けられた保持駆動部に、前記搬送直交方向に延びる回転軸線を中心として回転可能で着脱自在に保持されるように構成され、前記保持駆動部が前記駆動部材の外方に設けられるとともに、当該保持駆動部の前記駆動部材からの脱落を阻止するためのガイド部材が設けられ、当該ガイド部材は、前記基板保持器が前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部において前記保持駆動部に保持され、かつ、前記基板保持器が前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部において前記保持駆動部から離脱されるように構成されている真空処理装置である
発明では、前記基板保持器搬送機構は、前記搬送経路の往路及び復路のそれぞれに前記処理領域を有する場合にも効果的である。
本発明では、前記基板保持器搬送機構は、前記基板保持器を前記搬送経路の往路から復路へ折り返して搬送する搬送折り返し部を有し、当該搬送折り返し部は、前記基板保持器の当該搬送方向に対する前後関係を維持した状態で当該基板保持器を搬送するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記基板保持器搬送機構は、前記基板保持器を前記搬送経路の往路から復路へ折り返して搬送する搬送折り返し部を有し、当該搬送折り返し部は、前記基板保持器の当該搬送方向に対する前後関係を反転した状態で当該基板保持器を搬送するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記基板保持器搬送機構は、処理前に前記基板を保持した前記基板保持器を加熱する加熱機構を有する場合にも効果的である。
本発明では、前記基板保持器搬送機構は、前記真空槽に対して着脱自在のフレーム構造体に一体的に組み付けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記真空槽に対して雰囲気が連通又は隔離可能に構成され、当該真空槽に基板を搬入し且つ当該真空槽から基板を搬出するための基板搬入搬出室を有するとともに、前記真空槽内には、処理前の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出室内から当該真空槽内に搬入し、かつ、処理後の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出室に搬入する基板搬入搬出機構と、前記処理前の基板を保持した基板保持器を前記基板搬入搬出機構から前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部に受け渡し、かつ、前記処理後の基板を保持した基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部から取り出して前記基板搬入搬出機構に受け渡す搬送ロボットとを有する場合にも効果的である。
本発明では、前記基板搬入搬出機構は、処理前の基板を保持した前記基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器導入部に受け渡す基板保持器受け渡し位置と、処理後の基板を保持した前記基板保持器を前記基板保持器搬送機構の基板保持器排出部から取り出す基板保持器取り出し位置との間を移動する基板保持器支持部を有し、当該基板保持器支持部上に前記搬送ロボットが配置されている場合にも効果的である。
本発明では、前記基板搬入搬出機構の基板保持器支持部は、前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に移動可能に構成され、当該基板保持器支持部を前記連通する位置に移動させ当該基板保持器支持部によって前記真空槽と前記基板搬入搬出室の連通口を塞ぐことにより、前記真空槽に対して前記基板搬入搬出室の雰囲気が隔離されるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に対する前記基板保持器受け渡し位置の距離が、前記真空槽と前記基板搬入搬出室とが連通する位置に対する前記基板保持器取り出し位置の距離より小さい場合にも効果的である。
本発明では、前記搬送経路が、鉛直面に対して投影した場合に環状となるように形成されている場合にも効果的である。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、単一の真空雰囲気が形成される真空槽内において処理領域を通過するように基板を搬送する搬送経路を有し、この搬送経路は、当該搬送経路を搬送される基板の平面的な処理面上の任意点についての法線と、処理領域を直線的に通過する際に当該基板の処理面上の任意点が描く軌跡線分とを含む平面に対して投影した場合に一連の環状となるように形成されていることから、例えば基板の平面的な処理面と平行な平面に投影した場合に環状となるように形成された搬送経路を有する従来技術と比較して搬送経路が占有するスペースを大幅に削減することができ、これにより真空処理装置の大幅な省スペース化を達成することができる。
【0010】
また、本発明において、複数の基板を並べて保持する基板保持器を搬送経路に沿って搬送するように構成された基板保持器搬送機構、特に、基板の搬送方向に対して直交する搬送直交方向に複数の基板を並べて保持する複数の基板保持器を、搬送経路に沿って搬送するように構成された基板保持器搬送機構を有することから、基板の搬送方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を搬送して処理を行う場合と比較して、基板保持器の長さ及びこれに伴う余剰スペースを削減することができるので、更なる省スペース化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る真空処理装置の実施の形態の全体を示す概略構成図
図2】基板保持器搬送機構の第1例の概略構成を示す平面図
図3】同基板保持器搬送機構の要部を示す正面図
図4】本例に用いる基板保持器の構成を示す平面図
図5】(a)(b):本例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の構成を示すもので、図5(a)は平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A線断面図
図6】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その1)
図7】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その2)
図8】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その3)
図9】(a)(b):第1例の基板保持器搬送機構の動作説明図(その1)
図10】(a)〜(c):第1例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の動作説明図
図11】(a)(b):第1例の基板保持器搬送機構の動作説明図(その2)
図12】(a)(b):第1例の基板保持器搬送機構の動作説明図(その3)
図13】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その4)
図14】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その5)
図15】本実施の形態の真空処理装置の動作の説明図(その6)
図16】基板保持器搬送機構の第2例の概略構成を示す平面図
図17】同基板保持器搬送機構の要部を示す正面図
図18】本例に用いる基板保持器の構成を示す平面図
図19】(a)(b):第2例の基板保持器搬送機構の動作説明図(その1)
図20】(a)(b):第2例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の動作説明図(その1)
図21】(a)(b):第2例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の動作説明図(その2)
図22】(a)(b):第2例の基板保持器搬送機構の動作説明図(その2)
図23】基板に対して複数回の処理を行う場合の動作説明図(その1)
図24】基板に対して複数回の処理を行う場合の動作説明図(その2)
図25】(a)(b):本発明に用いる搬送ロボットの他の例を示すもので、図25(a)は平面図、図25(b)は正面図
図26】(a)(b):本例の搬送ロボットを用いた基板保持器の受け渡し動作を示す説明図で、図26(a)は同搬送ロボットの基板保持器導入機構の平面図、図26(b)は同搬送ロボットの正面図
図27】(a)(b):本例の搬送ロボットを用いた基板保持器の排出動作を示す説明図で、図27(a)は同搬送ロボットの基板保持器排出機構の平面図、図27(b)は同搬送ロボットの正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る真空処理装置の実施の形態の全体を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の真空処理装置1は、真空排気装置1aに接続された単一の真空雰囲気が形成される真空槽2を有している。
真空槽2の内部には、後述する基板保持器11を搬送経路に沿って搬送する基板保持器搬送機構3が設けられている。
【0014】
この基板保持器搬送機構3は、例えばトレイ等によって基板10を保持する基板保持器11を、複数個連続して搬送するように構成されている。
ここで、基板保持器搬送機構3は、その詳細な構成は後述するが、例えばスプロケット等からなる円形の第1及び第2の駆動輪31、32を有し、これら第1及び第2の駆動輪31、32が、それぞれの回転軸線を平行にした状態で所定距離をおいて配置されている。
【0015】
そして、これら第1及び第2の駆動輪31、32に例えばチェーン等からなる一連の搬送駆動部材33が架け渡され、これにより以下に説明するように鉛直面に対して一連の環状となる搬送経路が形成されている。
本実施の形態では、第1及び第2の駆動輪31、32に、図示しない駆動機構から回転駆動力が伝達されて動作するように構成されている。
【0016】
そして、搬送経路を構成する搬送駆動部材33のうち上側の部分に、第1の駆動輪31から第2の駆動輪32に向って移動して基板保持器11を搬送する往路側搬送部33aが形成されるとともに、第2の駆動輪32の周囲の部分の搬送駆動部材33によって基板保持器11の搬送方向を折り返して反対方向に転換する折り返し部33bが形成され、さらに、搬送駆動部材33のうち下側の部分に、第2の駆動輪32から第1の駆動輪31に向って移動する復路側搬送部33cが形成されている。
【0017】
また、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の外方側には、搬送する基板保持器11の脱落を防止するためのガイド部材38が設けられている。
このガイド部材38は、一連のレール状に形成され、第1の駆動輪31の上部の基板保持器導入部30Aから搬送折り返し部30Bを経て第1の駆動輪31の下部の基板保持器排出部30Cに渡って、搬送駆動部材33と平行に設けられている。
【0018】
真空槽2内には、第1及び第2の処理領域4、5が設けられている。
本実施の形態では、基板保持器搬送機構3を挟んで真空槽2内の上部に例えばスパッタリングターゲット(処理源)4Tを有する第1の処理領域4が設けられ、真空槽2の下部に例えばスパッタリングターゲット(処理源)5Tを有する第2の処理領域5が設けられている。
【0019】
ここで、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aは、第1の処理領域4を水平で直線的に通過するように構成され、復路側搬送部33cは、第2の処理領域5を水平で直線的に通過するように構成されている。
【0020】
そして、搬送経路を構成するこれら搬送駆動部材33の往路側搬送部33a及び復路側搬送部33cを基板保持器11が通過する場合に、基板保持器11に保持された基板10の平面的な処理面が水平になるように搬送されるようになっている。
【0021】
以上の構成より、本実施の形態の搬送経路は、当該搬送経路を搬送される基板10の平面的な処理面上の任意点についての法線と、第1及び第2の処理領域4、5を直線的に通過する際に当該基板10の処理面上の任意点が描く軌跡線分とを含む平面(本実施の形態では鉛直面)に対して投影した場合に一連の環状となるように形成されている。
【0022】
なお、後述するように、本実施の形態の基板保持器搬送機構3は、第1及び第2の処理領域4、5によって、基板10の一方の面に連続して成膜等の処理を行う構成と、基板10の両方の面にそれぞれ個別に成膜等の処理を行う構成のものを含むものである。
【0023】
真空槽2内の基板保持器搬送機構3の近傍の位置、例えば第1の駆動輪31に隣接する位置には、基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11を受け渡し且つ受け取るための基板搬入搬出機構6が設けられている。
【0024】
本実施の形態の基板搬入搬出機構6は、昇降機構60によって例えば鉛直上下方向に駆動される駆動ロッド61の先(上)端部に設けられた支持部(基板保持器支持部)62を有している。
【0025】
本実施の形態では、基板搬入搬出機構6の支持部62上に搬送ロボット64が設けられ、この搬送ロボット64上に上述した基板保持器11を支持して基板保持器11を鉛直上下方向に移動させ、かつ、搬送ロボット64によって基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11を受け渡し且つ受け取るように構成されている。
【0026】
本実施の形態では、後述するように、基板搬入搬出機構6から基板保持器搬送機構3の往路側搬送部33aの基板保持器導入部30Aに基板保持器11を受け渡し(この位置を「基板保持器受け渡し位置」という。)、かつ、基板保持器搬送機構3の復路側搬送部33cの基板保持器排出部30Cから基板保持器11を取り出す(この位置を「基板保持器取り出し位置」という。)ように構成されている。
【0027】
真空槽2の例えば上部には、真空槽2内に基板10を搬入し且つ真空槽2から基板10を搬出するための基板搬入搬出室2Aが設けられている。
この基板搬入搬出室2Aは、例えば上述した基板搬入搬出機構6の支持部62の上方の位置に連通口2Bを介して設けられており、例えば基板搬入搬出室2Aの上部には、開閉可能な蓋部2aが設けられている。
【0028】
そして、後述するように、基板搬入搬出室2A内に搬入された後述する処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11に受け渡して保持させ、かつ、後述する処理後の基板10bを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11から例えば真空槽2の外部の大気中に搬出するように構成されている。
【0029】
なお、本実施の形態の場合、基板搬入搬出機構6の支持部62の上部の縁部に、基板10を搬入及び搬出する際に基板搬入搬出室2Aと真空槽2内の雰囲気を隔離するための例えばOリング等のシール部材63が設けられている。
【0030】
この場合、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板搬入搬出室2A側に向って上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて連通口2Bを塞ぐことにより、真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離するように構成されている。
【0031】
そして、以上の構成を有する本実施の形態では、真空槽2と基板搬入搬出室2Aとが連通する位置(連通口2B)に対する基板保持器受け渡し位置(基板保持器導入部30A)の距離が、真空槽2と基板搬入搬出室2Aとが連通する位置(連通口2B)に対する基板保持器取り出し位置(基板保持器排出部30C)の距離より小さくなっている。
【0032】
一方、第1の処理領域4の近傍には、基板保持器11に保持された基板10を加熱及び冷却するための、それぞれ加熱機能及び冷却機能を有する一対の加熱冷却機構7a、7bが設けられている。
【0033】
図1に示す例では、加熱冷却機構7a、7bは第1の駆動輪31と第1の処理領域4との間で搬送経路を上下から挟むように配置され、第1の処理領域4による処理前の基板10aに対して処理面及び反対側の非処理面の両面を加熱又は冷却できるようになっている。
【0034】
この場合、加熱冷却機構7aあるいは7bによって処理前の基板10aの処理面あるいは非処理面を選択的に冷却することもできる。
さらに、この加熱冷却機構7bと同様の冷却機能を有する追加の冷却機構(図示せず)を第1の処理領域4の下方に設け、処理中の加熱されている基板10の非処理面を冷却するように構成することもできる。
【0035】
一方、上述した一対の加熱冷却機構7a、7bは、第2の駆動輪32と第1の処理領域4との間で搬送経路を上下から挟むように配置することもできる。
そして、この加熱冷却機構7a、7bによって、第1の処理領域4による処理後の基板10bの処理面及び非処理面の両方あるいは処理面又は非処理面の一方の冷却を行うように構成することもできる。
【0036】
なお、詳細な説明は省略するが、上述した構成の加熱冷却機構7a、7bを、第2の処理領域5の近傍(搬送方向上流側並びに下流側)に設け、上記同様に、第2の処理領域5による処理前の基板10aに対して処理面及び反対側の非処理面の両面を加熱又は冷却すること、また、加熱冷却機構7a又は7bによって処理前の基板10aの処理面又は非処理面を選択的に冷却すること、さらに、第2の処理領域5の上方に設けた追加の冷却機構によって処理中の加熱されている基板10の非処理面を冷却するように構成することもできる。
さらにまた、第2の処理領域5による処理後の基板10bに対し、その処理面及び非処理面の両方あるいは処理面又は非処理面の一方の冷却を行うように構成することもできる。
【0037】
そして、以上説明した加熱冷却機構7a、7bによる基板10に対する加熱・冷却は、後述するように基板10に対して複数回同一の処理を行う場合においても、それぞれ行うこともできるものである。
【0038】
図2は、基板保持器搬送機構の第1例の概略構成を示す平面図、図3は、同基板保持器搬送機構の要部を示す正面図、図4は、本例に用いる基板保持器の構成を示す平面図である。
また、図5(a)(b)は、本例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の構成を示すもので、図5(a)は平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A線断面図である。
【0039】
図2に示すように、本例では、水平面と平行に設けられた平板状の基部フレーム15上に、所定間隔をおいて鉛直方向で平行に設けられた一対の平板状の側部フレーム16を有するフレーム構造体8を備え、このフレーム構造体8に、後述する各部材が例えば搬送方向に対して対称となるように組み付けられ、一体的なユニットとして、第1例の基板保持器搬送機構3Aが構成されている。
そして、この基板保持器搬送機構3Aは、フレーム構造体8に設けられた取付部17によって真空槽2内に着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0040】
本例の基板保持器搬送機構3Aは、一対の側部フレーム16にそれぞれ設けられた同一径の一対の第1及び第2の駆動輪31、32を有している。
ここで、第1の駆動輪31は、搬送方向に対して直交する方向の回転軸線を中心として回転する駆動軸31aを有し、この駆動軸31aを中心として回転するようになっている。
【0041】
一方、第2の駆動輪32は、搬送方向に対して直交する同一の回転軸線を中心として回転駆動される駆動軸35をそれぞれ有し、各駆動軸35は連結部材34を介して第2の駆動輪32にそれぞれ連結されている(図2図5(a)(b)参照)。
【0042】
そして、一対の側部フレーム16にそれぞれ設けられた第1及び第2の駆動輪31、32にそれぞれ上述した搬送駆動部材33が架け渡され、これにより図4に示す基板保持器11Aを搬送する搬送経路が形成されている。
そして、本実施の形態の基板保持器搬送機構3は、各搬送駆動部材33の上側に位置する往路側搬送部33aと、各搬送駆動部材33の下側に位置する復路側搬送部33cとがそれぞれ対向し、鉛直方向に関して重なるように構成されている(図1図2参照)。
【0043】
一対の搬送駆動部材33には、それぞれ所定の間隔をおいて複数の保持駆動部36が設けられている。
これら保持駆動部36は、基板保持器11Aを保持して搬送駆動するためのもので、搬送駆動部材33の外方側に突出するように搬送駆動部材33に取り付けられ、その先端部には、図3に示すように、例えば搬送方向下流側に向けて形成された例えばJフック形状(搬送方向下流側の突部の高さが搬送方向上流側の突部の高さより低い形状)の保持凹部37が設けられている。
【0044】
また、図2に示すように、一対の搬送駆動部材33の内側の位置で、第1及び第2の駆動輪31、32の間には、搬送する基板保持器11Aを支持する一対の基板保持器支持機構18が設けられている。
各基板保持器支持機構18は、例えば複数のローラ等の回転可能な部材からなるもので、それぞれ搬送駆動部材33の近傍に設けられている。
【0045】
本例では、図2及び図3に示すように、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aの近傍に往路側基板保持器支持機構18aが設けられるとともに、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの近傍に復路側基板保持器支持機構18bが設けられ、搬送される基板保持器11Aの下面の両縁部を支持するように配置構成されている。
【0046】
ここで、往路側基板保持器支持機構18aは、基板保持器導入部30A内に設けた端部を始端部として第1の処理領域4(図1参照)を経由して搬送折り返し部30Bの直近の位置が終端部となるように直線状に設けられている。
【0047】
一方、復路側基板保持器支持機構18bは、搬送折り返し部30Bの第2の駆動輪32側の位置を始端部として第2の処理領域5(図1参照)を経由して基板保持器排出部30Cの位置が終端部となるように直線状に設けられている。
【0048】
また、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の周囲には、搬送する基板保持器11Aの脱落を防止するガイド部材38が設けられている。
このガイド部材38は、一連のレール状に形成され、図3に示すように、第1の駆動輪31の近傍の基板保持器導入部30Aから第2の駆動輪32の近傍の搬送折り返し部30Bを経由して第1の駆動輪31の近傍の基板保持器排出部30Cに渡って設けられている。
このガイド部材38は、図3に示すように、第1の駆動輪31の図1に示す基板搬入搬出機構6側の領域には設けられていない。
【0049】
図4に示すように、本例に用いる基板保持器11Aは、トレイ状のもので、例えば長尺枠状の本体部110に、その長手方向に複数の基板10を例えば一列に並べて保持するように構成されている。
【0050】
この基板保持器11Aの本体部110は、基板10の両面が露出するように形成され、これにより保持した基板10の両面の平面的な処理面に対して成膜等の処理を行うようになっている。
基板保持器11Aの本体部110の長手方向の両端部で且つ幅方向即ち搬送方向の一方の端部には、支持軸12がそれぞれ設けられている。
【0051】
これらの支持軸12は、本体部110の長手方向に延びる回転軸線を中心として断面円形状に形成され、それぞれの基部12aが両側に向って細くなるような円錐台形状に形成され、それぞれの先端部12bが基部12aより小径の円柱形状に形成されている。
【0052】
そして、基板保持器11Aの支持軸12の各先端部12bが、上述した搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌り、この支持軸12を中心として回転可能に保持されるように各部分の寸法が定められている。
【0053】
このような構成により、基板保持器11Aの支持軸12の各先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌って保持されて搬送される場合に、保持駆動部36の保持凹部37と上述した先細形状の支持軸12との当接によって基板保持器11Aの支持軸12の方向についての位置決めがなされるようになっている。
【0054】
また、本例では、基板保持器11Aの支持軸12の各先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌って支持された状態において、基板保持器11Aの支持軸12の先端部12bとガイド部材38との間に若干の隙間が形成されるように各部材の寸法が定められている。
【0055】
このような構成により、基板保持器11Aの支持軸12の各先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌って支持されて搬送される場合に、ガイド部材38と基板保持器11Aの支持軸12の先端部12bとの当接によって基板保持器11Aの搬送経路からの脱落が防止されるようになっている。
【0056】
本例の基板保持器搬送機構3Aの搬送折り返し部30Bは、以下に説明するように構成されている。
まず、図3及び図5(a)(b)に示すように、基板保持器搬送機構3Aにおける第2の駆動輪32に対して第1の駆動輪31側の隣接する位置には、基板10を折り返して搬送する際に基板保持器11Aを支持してその姿勢を制御する姿勢制御機構20が設けられている。
【0057】
この姿勢制御機構20は、搬送方向に対して直交する方向に延びる駆動軸21を有し、この駆動軸21は、一対の側部フレーム16を貫通して回転自在に支持されている。
そして、この駆動軸21に、一対の基板保持器支持機構18の間隔より小さい間隔をおいて、一対の支持アーム22が取り付けられている(図5(a)参照)。
これらの支持アーム22は、直線棒状の部材からなり、その両端部にそれぞれ支持ローラ23が設けられている(図5(b)参照)。
【0058】
一方、支持アーム22の駆動軸21は、第2の駆動輪32の駆動軸35と例えばベルト状の動力伝達部材24によって連結され、これにより、第2の駆動輪32と支持アーム22とが、後述するように、所定の関係で同期して同方向に回転するように構成されている。
【0059】
次に、第1例の基板保持器搬送機構3Aを有する本実施の形態の真空処理装置1の動作について説明する。
なお、本例では、理解を容易にするため、一つの基板保持器11Aに基板10を保持して処理を行う場合を例にとって説明する。
また、本例では、基板保持器11Aの支持軸12が設けられた側を前方にして基板保持器11Aの基板保持器導入部30Aへの導入動作を行う(図4参照)。
【0060】
まず、基板搬入搬出機構6の支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離した状態で、図6に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用いて処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11Aに装着して保持させる。
【0061】
そして、図7に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを閉じた後、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板保持器受け渡し位置まで下降させ、基板保持器11Aの高さが搬送駆動部材33の往路側搬送部33aと同等の高さ位置となるようにする。
【0062】
さらに、図8に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62に設けた搬送ロボット64によって基板保持器11Aを基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに配置する。
これにより、図9(a)に示すように、基板保持器11Aの下面11bが往路側基板保持器支持機構18aによって支持される。
【0063】
次に、基板保持器搬送機構3の第1及び第2の駆動輪31、32を動作させ、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aを第1の駆動輪31から第2の駆動輪32に向って移動させるとともに、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の駆動輪32から第1の駆動輪31に向って移動させる。
【0064】
これにより、図9(b)に示すように、搬送駆動部材33上に設けられた保持駆動部36の保持凹部37が基板保持器11Aの一対の支持軸12と嵌り合って当該支持軸12が保持駆動部36に保持され、基板保持器11Aが搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上を第2の駆動輪32近傍の搬送折り返し部30Bに向って搬送される。
【0065】
そして、基板保持器11A及び処理前の基板10aを、図8に示す加熱冷却機構7a、7bによって加熱した後に、第1の処理領域4の位置を通過する際に、基板保持器11Aに保持された処理前の基板10aの第1の処理領域4側の面(以下、「第1の処理面」という。)に対して所定の処理(例えば成膜)を行う。
【0066】
図10(a)〜(c)は、第1例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部の動作を示す説明図である。
本例では、上述したように、搬送駆動部材33の保持駆動部36によって基板保持器11Aの支持軸12が保持されるとともに、基板保持器11Aの下面11bが往路側基板保持器支持機構18aによって支持された状態で搬送折り返し部30Bに向って搬送される(図9(a)(b)参照)。
【0067】
本例においては、図10(a)に示すように、基板保持器11Aの支持軸12が搬送折り返し部30Bの第2の駆動輪32の上部に到達した時点で基板保持器11Aの後端部が、往路側基板保持器支持機構18aの終端部18cから外れるように、基板保持器11Aの寸法及び支持軸12の配置位置と、往路側基板保持器支持機構18aの寸法がそれぞれ設定されている。
【0068】
上述したように、基板保持器11Aは、一対の支持軸12の先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37に保持された状態において、支持軸12を中心として回転可能になっていることから、本例においては、基板保持器11Aが往路側基板保持器支持機構18aの終端部18cから外れた時点において、姿勢制御機構20の一対の支持アーム22の一方の端部に設けた支持ローラ23によって基板保持器11Aの支持軸12に対し後端部側の下面11bを支持して水平状態を保つように構成されている。
この姿勢制御機構20の一対の支持アーム22は、上述したように、第2の駆動輪32と同期して第2の駆動輪32と同一方向に回転するように構成されている。
【0069】
図10(b)に示すように、本例においては、搬送駆動部材33の移動に伴い、保持駆動部36が、往路側搬送部33aから折り返し部33bを経由して復路側搬送部33cに向って移動する。
この移動の際、基板保持器11Aの支持軸12は第2の駆動輪32の周囲を円弧状に移動して下降するが、本例では、その際、姿勢制御機構20の一対の支持アーム22の一方の端部の支持ローラ23によって基板保持器11Aの後端部側の下面11bを支持し、基板保持器11Aの姿勢がほぼ水平状態に保たれるように、姿勢制御機構20の支持アーム22の寸法及び回転角度を設定している。
【0070】
また、この移動の際には、保持駆動部36の保持凹部37に支持された基板保持器11Aの支持軸12が、保持駆動部36の保持凹部37より下方に位置するようになるため、重力の作用によって保持駆動部36の保持凹部37から離脱する方向の力が基板保持器11Aの支持軸12に働くが、本例においては、基板保持器11Aの支持軸12の各先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌って保持された状態において、基板保持器11Aの支持軸12の先端部12bとガイド部材38との間に若干の隙間が形成されるように構成されていることから、基板保持器11Aの支持軸12の先端部12bは、保持駆動部36の保持凹部37に対して若干隙間が生じた状態でガイド部材38の内側の部分に接触して支持される。
その結果、本例では、搬送折り返し部30Bを通過する際に、基板保持器11Aが搬送駆動部材33の保持駆動部36から脱落することはない。
【0071】
さらに、図10(c)に示すように、基板保持器11Aの支持軸12が搬送折り返し部30Bの第2の駆動輪32の下部に到達すると、基板保持器11Aの支持軸12が設けられた側と反対側の端部が搬送方向側の先端部となるが、本例では、この時点において、基板保持器11Aの当該先端部の下面11bが円滑に復路側基板保持器支持機構18bに支持されるとともに、支持アーム22の支持ローラ23が基板保持器11Aの下面11bから離れるように、姿勢制御機構20の支持アーム22の寸法及び回転角度を設定している。
【0072】
また、この時点では、この支持アーム22の他方側の端部の支持ローラ23aが、後続の基板保持器11Aの下面11bを支持するように姿勢制御機構20の支持アーム22の寸法及び回転角度を設定している。
【0073】
その後、基板保持器搬送機構3Aの第1及び第2の駆動輪31、32の動作を継続することにより、図11(a)(b)に示すように、復路側基板保持器支持機構18bに支持された基板保持器11Aを、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの保持駆動部36の動作によって搬送折り返し部30Bから基板保持器排出部30Cに向って移動させる。
この動作の際、基板保持器11A及び片面のみ処理した処理前の基板10aに対し、図7に示す第2の処理領域5の位置を通過する際に第2の処理源5Tによって所定の処理(例えば成膜)を行う。
【0074】
ここで、本例の基板保持器搬送機構3Aでは、上述したように、搬送折り返し部30Bにおいて基板保持器11Aの上下関係は変わらずに搬送方向についての前後関係が逆になるため、基板保持器11Aに保持された基板10aの第1の処理面と反対側の第2の面(以下、「第2の処理面」」という。)に対して所定の処理が行われ、これにより処理後の基板10bを得る。
【0075】
その後、基板保持器11Aが基板保持器排出部30Cに到達した後、基板保持器11Aが基板保持器排出部30Cのガイド部材38の終端部に到達すると、図12(a)に示すように、基板保持器11Aの搬送方向下流(前方)側の部分が復路側基板保持器支持機構18b及びガイド部材38の終端部から突出した状態になることから、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板保持器取り出し位置に配置し(図13参照)、上述した基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を構成する載置部65によって基板保持器11Aの下面11bを支持する。
【0076】
さらに、搬送駆動部材33の動作を継続すると、第1の駆動輪31の周囲の搬送駆動部材33と共に移動する保持駆動部36が円弧状の搬送駆動部材33と共に基板保持器11Aの支持軸12から離間して上方に移動することから、図12(b)に示すように、搬送駆動部材33の保持駆動部36と基板保持器11Aの支持軸12との嵌合が外れ、基板保持器11Aはその位置で停止する。
【0077】
そこで、基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を用い、図13に示すように、基板保持器11Aを基板保持器排出部30Cから基板搬入搬出機構6側に取り出して搬送ロボット64と共に支持部62上に配置する。
【0078】
その後、図14に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離する。
【0079】
そして、図15に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用い、処理後の基板10bを基板保持器11Aから大気中に取り出す。
これにより、処理前の基板10aに対する各工程が終了し、第1及び第2の処理面に所定の処理が行われた処理後の基板10bを用いることができる。
【0080】
以上述べたように第1例の基板保持器搬送機構3Aを有する本実施の形態によれば、搬送経路が、当該搬送経路を搬送される基板10の平面的な処理面上の任意点についての法線と、第1及び第2の処理領域4、5を直線的に通過する際に当該基板10の処理面上の任意点が描く軌跡線分とを含む平面(本実施の形態では鉛直面)に対して投影した場合に一連の環状となるように形成されていることから、例えば基板の平面的な処理面と平行な平面に投影した場合に環状となるように形成された搬送経路を有する従来技術と比較して搬送経路が占有するスペースを大幅に削減することができ、これにより真空処理装置1の大幅な省スペース化を達成することができる。
【0081】
また、本実施の形態においては、搬送方向に対して直交する搬送直交方向に複数の基板10を並べて保持する複数の基板保持器11Aを、搬送経路に沿って搬送するように構成されていることから、従来技術のような基板の搬送方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を搬送して成膜等の処理を行う場合と比較して、基板保持器の長さ及びこれに伴う余剰スペースを削減することができるので、更なる省スペース化を達成することができる。
【0082】
さらに、本実施の形態においては、基板10の両面に成膜等の処理を行うコンパクトな真空処理装置を提供することができる。
さらにまた、本実施の形態においては、基板保持器搬送機構3Aが、真空槽2に対して着脱自在のフレーム構造体8に一体的に組み付けられていることから、製造工程及びメンテナンスを容易に行うことができる。
【0083】
一方、本実施の形態においては、真空槽2に対して雰囲気が連通又は隔離可能に構成され、真空槽2に基板10を搬入し且つ真空槽2から基板10を搬出するための基板搬入搬出室2Aを有するとともに、真空槽2内には、処理前の基板10aを保持した基板保持器11Aを基板搬入搬出室2A内から真空槽2内に搬入して基板保持器搬送機構3Aの基板保持器導入部30Aに受け渡し、かつ、処理後の基板10bを保持した基板保持器11Aを基板保持器搬送機構3Aの基板保持器排出部30Cから取り出して基板搬入搬出室2Aに搬入する搬送ロボット64を有する基板搬入搬出機構6を備え、この基板搬入搬出機構6は、処理前の基板10aを保持した基板保持器11Aを基板保持器搬送機構3Aの基板保持器導入部30Aに受け渡す基板保持器受け渡し位置と、処理後の基板10bを保持した基板保持器11Aを基板保持器搬送機構3Aの基板保持器排出部30Cから取り出す基板保持器取り出し位置との間を移動する支持部62を有していることから、複数の基板保持器11Aの搬入/搬出効率ひいては基板10に対する処理効率を大幅に向上させることができる。
【0084】
さらに、真空槽2と基板搬入搬出室2Aとが連通する位置(連通口2B)に対する基板保持器受け渡し位置(基板保持器導入部30A)の距離が、真空槽2と基板搬入搬出室2Aとが連通する位置(連通口2B)に対する基板保持器取り出し位置(基板保持器排出部30C)の距離より小さくなっていることから、最適のタイミングで基板保持器11Aの受け渡しを行うことができ、これにより複数の基板保持器11Aの搬入/搬出効率を更に向上させることができる。
【0085】
一方、本実施の形態の場合、基板搬入搬出機構6の支持部62は、真空槽2と基板搬入搬出室2Aとが連通する位置に移動可能に構成され、この支持部62を連通位置に移動させ支持部62によって真空槽2と基板搬入搬出室2Aの連通口2Bを塞ぐことにより、真空槽2に対して基板搬入搬出室2Aの雰囲気が隔離されるように構成されていることから、構成が簡素な真空槽及びロードロック室を有する真空処理装置を提供することができる。
【0086】
さらに、本実施の形態では、処理前の基板10aを保持した基板保持器11Aを加熱するための加熱冷却機構7a、7bが設けられているが、本実施の形態では、真空槽2と大気中において基板保持器11Aの搬入/搬出を行わず、真空槽2と基板搬入搬出室2A間において基板保持器11Aの搬入/搬出を行うようにしており、その結果、基板10と比較して表面積及び熱容量が非常に大きい基板保持器11Aを大気中に取り出す場合と比べて処理環境の維持を容易に行うことができるとともに、加熱時間の短縮ひいては省エネルギーを図ることができる。
【0087】
さらにまた、本実施の形態では、基板搬入搬出機構6の鉛直上下方向に移動可能な支持部62上に搬送ロボット64が設けられ、この搬送ロボット64上に支持した基板保持器11Aを鉛直上下方向に移動させ、かつ、搬送ロボット64によって基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11Aを受け渡し且つ受け取るように構成されていることから、搬送ロボット64を構成するアクチュエータやリンク等の機構部品並びに電装部品等を一組で済ますことができ、これにより基板搬入搬出機構6における基板保持器の11Aの受け渡し/受け取り部分の構成を簡素にすることができるという効果がある。
【0088】
図16は、基板保持器搬送機構の第2例の概略構成を示す平面図、図17は、同基板保持器搬送機構の要部を示す正面図、図18は、本例に用いる基板保持器の構成を示す平面図、図19図22は、本例の動作を示す説明図である。
以下、上述した第1例の基板保持器搬送機構3Aと対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0089】
本例の基板保持器搬送機構3Bは、例えば図16に示すように、第1例と同様、一対の側部フレーム16にそれぞれ設けられた同一径の一対の第1及び第2の駆動輪31、32を有し、これら第1及び第2の駆動輪31、32は、基板搬送方向に対して直交する方向の回転軸線を中心として回転する駆動軸31a、32aを中心としてそれぞれ回転するように構成されている。
【0090】
本例の基板保持器搬送機構3Bは、一対の第1及び第2の駆動輪31、32にそれぞれ上述した搬送駆動部材33が架け渡され、これら各搬送駆動部材33上に、上述した複数の保持駆動部36と、保持駆動部36と同数の補助支持部39が設けられている。
これら保持駆動部36と補助支持部39とは対となって構成されている。
【0091】
図18に示すように、本例に用いる基板保持器11Bは、第1例の基板保持器11Aと同様の形状の本体部110を有し、この本体部110の長手方向に例えば一列に複数の基板10を並べて保持するように構成されている。
なお、本例の基板保持器11Bは、基板10の片面に膜を形成するためのもので、基板10の両面が露出されるように構成する必要はない。
【0092】
一方、本例の基板保持器11Bの本体部110の長手方向の両端部には、第1例の基板保持器11Aと同一構成の二組の一対の支持軸12A、12Bが本体部110の幅方向に所定の間隔をおいて設けられている。
ここで、一対の支持軸12A、12Bのうち、基板搬送方向に対して前方側のものを前方側支持軸12Aとし、後方側のものを後方側支持軸12Bと称する。
【0093】
図19(a)(b)に示すように、基板保持器11Bの前方側支持軸12Aは、第1例の基板保持器11Aの場合と同じく、各先端部12bが、搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌り、この前方側支持軸12Aを中心として回転可能に支持されるように構成されている。
【0094】
搬送駆動部材33の補助支持部39は、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bを支持するもので、例えばその頂部が平面状に形成されている。この補助支持部39は、搬送方向の長さが、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの外径より大きくなるように設定されている。
【0095】
また、本例においては、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの各先端部12bが搬送駆動部材33の補助支持部39に支持された状態において、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの先端部12bとガイド部材38との間に若干の隙間が形成されるように構成されている。
【0096】
そして、上述した搬送駆動部材33の保持駆動部36と補助支持部39のピッチについては、基板保持器11Bの前方側支持軸12Aと後方側支持軸12Bのピッチと同等となるように構成されている。
【0097】
次に、第2例の基板保持器搬送機構3Bを有する本実施の形態の真空処理装置1の動作について説明する。
なお、本例では、理解を容易にするため、一つの基板保持器11Bに基板10を保持して処理を行う場合を例にとって説明する。
【0098】
まず、第1例の基板保持器搬送機構3Aを有する場合と同一の方法により、基板保持器11Bを第2例の基板保持器搬送機構3Bの基板保持器導入部30Aに配置する(図6図8参照)。
これにより、図19(a)に示すように、基板保持器11Bの下面11bが往路側基板保持器支持機構18aによって支持される。
【0099】
次に、基板保持器搬送機構3Bの第1及び第2の駆動輪31、32を動作させ、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aを第1の駆動輪31から第2の駆動輪32に向って移動させるとともに、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の駆動輪32から第1の駆動輪31に向って移動させる。
【0100】
これにより、図19(b)に示すように、搬送駆動部材33上の保持駆動部36の保持凹部37が基板保持器11Bの前方側支持軸12Aと嵌り合って当該支持軸12Aが保持駆動部36に保持されるとともに、搬送駆動部材33上の補助支持部39の頂部が基板保持器11Bの後方側支持軸12Bと接触して当該支持軸12Bが補助支持部39の頂部に支持される。
そして、その状態で、基板保持器11Bが搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上を搬送折り返し部30Bに向って搬送される。
【0101】
さらに、基板保持器11B及び処理前の基板10aを、図8に示す加熱冷却機構7a、7bによって加熱した後に、第1の処理領域4の位置を通過する際に、基板保持器11Bに保持された処理前の基板10aの処理面に対して所定の処理(例えば第1層の膜の形成)を行う。
【0102】
図20(a)〜(b)並びに図21(a)〜(b)は、第2例の基板保持器搬送機構の搬送折り返し部30Bの動作を示す説明図である。
本例においては、図20(a)に示すように、搬送駆動部材33の保持駆動部36によって基板保持器11Bの前方側支持軸12Aが保持されるとともに、搬送駆動部材33の補助支持部39によって基板保持器11Bの後方側支持軸12Bが支持された状態で搬送折り返し部30Bに向って搬送される。
【0103】
搬送折り返し部30Bにおいては、図20(b)に示すように、搬送駆動部材33の保持駆動部36によって基板保持器11Bの前方側支持軸12Aが保持され、かつ、搬送駆動部材33の補助支持部39によって基板保持器11Bの後方側支持軸12Bが支持された状態で基板保持器11Bの移動方向側先端部が下降し始める。
【0104】
この移動の際には、保持駆動部36の保持凹部37に保持された基板保持器11Bの前方側支持軸12Aが、保持駆動部36の保持凹部37より下方に位置するようになるため、重力の作用によって保持駆動部36の保持凹部37から離脱する方向の力が基板保持器11Bの前方側支持軸12Aに働くが、本例においては、第1例と同様に、基板保持器11Bの前方側支持軸12Aの各先端部12bが搬送駆動部材33の保持駆動部36の保持凹部37にそれぞれ嵌って保持された状態において、基板保持器11Bの前方側支持軸12Aの先端部12bとガイド部材38との間に若干の隙間が形成されるように構成されていることから、基板保持器11Bの前方側支持軸12Aは、保持駆動部36の保持凹部37に対して若干隙間が生じた状態でガイド部材38の内側の部分に接触して支持される。
【0105】
一方、本例の場合、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの各先端部12bが搬送駆動部材33の補助支持部39に支持された状態において、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの先端部12bとガイド部材38との間に若干の隙間が形成されるように構成されていることから、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bは、補助支持部39に対して若干隙間が生じた状態でガイド部材38の内側の部分に接触して支持される。
【0106】
その結果、本例においては、図21(a)に示すように、基板保持器11Bの上下関係が反転した場合であっても、搬送折り返し部30Bを通過する際に、基板保持器11Bが保持駆動部36から脱落することはない。
【0107】
また、基板保持器11Bが搬送折り返し部30Bを通過する際に、曲線の軌跡を描く搬送経路を通過するため、搬送駆動部材33上の保持駆動部36と補助支持部39との間の距離が搬送経路の直線部分と曲線部分とで異なるが、本例においては、補助支持部39の搬送方向の長さが、基板保持器11Bの後方側支持軸12Bの外径より大きくなるように構成されていることから、搬送折り返し部30Bを通過する際に基板保持器11Bの後方側支持軸12Bと補助支持部39の頂部との接触部分が補助支持部39の頂部に沿って移動することにより、基板保持器11Bは、曲線状の搬送折り返し部30Bを円滑に通過することができる。
【0108】
その後、基板保持器搬送機構3Bの第1及び第2の駆動輪31、32の動作を継続することにより、図22(a)(b)に示すように、復路側基板保持器支持機構18bに支持された基板保持器11Bを、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの保持駆動部36の動作によって搬送折り返し部30Bから基板保持器排出部30Cに向って移動させる。
【0109】
この動作の際、基板保持器11B及び第1の処理済の基板10aに対し、図8に示す第2の処理領域5の位置を通過する際に第2の処理源5Tによって所定の処理(例えば成膜)を行う。
【0110】
ここで、本例の基板保持器搬送機構3Bでは、上述したように、搬送折り返し部30Bにおいて基板保持器11Bの搬送方向についての前後関係は変わらずに上下関係が逆になるため、基板保持器11Bに保持された上記基板10aの処理面上の例えば第1層の膜に対して例えば第2層の膜が形成され、これにより処理後の基板10bを得る。
【0111】
その後、基板保持器11Bが基板保持器排出部30Cに到達した後、基板保持器11Bが基板保持器排出部30Cのガイド部材38の終端部に到達すると、図22(b)に示すように、基板保持器11Bの搬送方向下流(前方)側の部分が復路側基板保持器支持機構18b及びガイド部材38の終端部から突出した状態になることから、上述した基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を構成する載置部65によって基板保持器11Bの上面11aを支持する。
【0112】
さらに、搬送駆動部材33の動作を継続すると、第1の駆動輪31の周囲の搬送駆動部材33と共に移動する保持駆動部36が円弧状の搬送駆動部材33と共に基板保持器11Bの前方側支持軸12Aから離間して上方に移動することから、搬送駆動部材33の保持駆動部36と基板保持器11Bの前方側支持軸12Aとの嵌合が外れ、基板保持器11Bはその位置で停止する。
【0113】
そこで、基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を用い、図13に示すように、基板保持器11Bを基板保持器排出部30Cから基板搬入搬出機構6側に取り出して搬送ロボット64と共に支持部62上に配置する。
【0114】
その後、図14に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離する。
【0115】
そして、図15に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用い、処理後の基板10bを基板保持器11Bから大気中に取り出す。
これにより、処理前の基板10aに対する各工程が終了し、一方の処理面に所定の処理が行われた(例えば2層の膜が形成された)処理後の基板10bを用いることができる。
その他の効果は第1例の場合と同一であるのでその詳細な説明は省略する。
【0116】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られず、種々の変更を行うことができる。
例えば上記実施の形態においては、搬送駆動部材33のうち上側の部分を往路側搬送部33aとするとともに、搬送駆動部材33のうち下側の部分を復路側搬送部33cとするようにしたが、本発明はこれに限られず、これらの上下関係を逆にすることもできる。
また、基板10を鉛直方向に配置して水平面に対して環状となるような搬送経路を形成することもできる。
【0117】
さらに、上記実施の形態では、基板保持器11A、11Bとして、長尺枠状の本体部110の長手方向に複数の基板10を一列に並べて保持するものを例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば本体部110の長手方向に複数の基板10を複数列(二〜三列)に並べて保持するように構成することもできる。
【0118】
さらにまた、上記実施の形態では、基板保持器11の受け渡しを行う搬送ロボット64を、昇降可能な基板搬入搬出機構6の支持部62上に設けるようにしたが、基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aと基板保持器排出部30Cの近傍に基板保持器11の受け渡しを行う搬送ロボットをそれぞれ設けることもできる。
【0119】
また、上記実施の形態では、真空中における処理として、スパッタリングを行う装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、プラズマ処理、イオン注入処理、蒸着処理、化学気相成長処理、集束イオンビーム処理、エッチング処理等の種々の処理を行う真空処理装置に適用することができる。
この場合、第1及び第2の処理領域4、5には、異なる処理を行う処理源を設けることもできる。
【0120】
一方、上記実施の形態では、基板10に対し、第1及び第2の処理領域4、5において1回の処理を行う場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、第1及び第2の処理領域4、5を複数回通過して複数回の処理を行うように構成することもできる。
【0121】
この場合は、例えば図23に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板保持器取り出し位置に配置して搬送ロボット64を用い、1回目の処理が終了した、即ち処理後の基板10bを保持した基板保持器11A(B)を、基板保持器排出部30Cから基板搬入搬出機構6側に取り出して搬送ロボット64と共に支持部62上に配置する。
【0122】
そして、図24に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板保持器受け渡し位置まで上昇させ、基板保持器11A(B)の高さが搬送駆動部材33の往路側搬送部33aと同等の高さ位置となるように配置し、基板搬入搬出機構6の支持部62上の搬送ロボット64によって基板保持器11A(B)を基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに配置する。
【0123】
その後、上述した工程を経ることにより、当該基板10bに対する2回目の処理を行う。
さらに、上述した動作及び工程を繰り返すことにより、基板10に対して3回以上の処理を行うことも可能である。
【0124】
図25(a)(b)は、本発明に用いる搬送ロボットの他の例を示すもので、図25(a)は平面図、図25(b)は正面図である。
図25(a)(b)に示すように、本例の搬送ロボット9は、基板搬入搬出機構6と基板保持器搬送機構3の近傍に設けられるもので、基板保持器搬送機構3の上部の基板保持器導入部30Aと同等の高さ位置に配置された基板保持器導入機構40と、基板保持器搬送機構3の下部の基板保持器排出部30Cと同等の高さ位置に配置された基板保持器排出機構50とを有している。
【0125】
基板保持器導入機構40は、基板搬入搬出機構6の支持部62の両側部(基板搬送方向に対して直交する方向の両側端部)から基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aの両側部(基板搬送方向に対して直交する方向の両側端部)にわたって基板搬送方向と平行に水平直線状に延びるように設けられた一対の導入レール41を有している。
【0126】
基板保持器導入機構40の各導入レール41には、各導入レール41に沿って、基板搬入搬出機構6の支持部62の上述した基板保持器受け渡し位置と、基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aとの間を移動可能な導入支持部材42がそれぞれ設けられている。
【0127】
これら導入支持部材42は、例えば平板状に形成され、水平面と平行に向けて例えば一対となって配置されている。
そして、一対の導入支持部材42によって例えば基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bを両側部側から支持した状態で搬送するように構成されている。
【0128】
なお、本例の導入支持部材42は、例えば基板搬送方向に対して直交する方向へそれぞれ離間するように移動させることにより、一対の導入支持部材42間の間隔を、基板搬入搬出機構6の支持部62の基板搬送方向に対して直交する方向の長さより大きくして、支持部62の昇降経路から退避できるように構成されている。
【0129】
一方、基板保持器排出機構50は、基板搬入搬出機構6の支持部62の両側部(基板搬送方向に対して直交する方向の両側端部)から基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cの両側部(基板搬送方向に対して直交する方向の両側端部)にわたって基板搬送方向と平行に水平直線状に延びるように設けられた一対の排出レール51を有している。
【0130】
基板保持器排出機構50の各排出レール51には、各排出レール51に沿って、基板搬入搬出機構6の支持部62の上述した基板保持器取り出し位置と、基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cとの間を移動可能な排出支持部材52がそれぞれ設けられている。
【0131】
これら排出支持部材52は、上述した基板保持器導入機構40の導入支持部材42と同一の構成を有している。
すなわち、排出支持部材52は、例えば平板状に形成され、水平面と平行に向けられて例えば一対となって配置されている。
そして、一対の排出支持部材52によって例えば上記第2例の基板保持器搬送機構3Bに用いる基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bを両側部側から支持した状態で搬送するように構成されている。
【0132】
また、本例の排出支持部材52についても、上述した導入支持部材42と同様に、例えば基板搬送方向に対して直交する方向へそれぞれ離間するように移動させることにより、一対の排出支持部材52間の間隔を、基板搬入搬出機構6の支持部62の基板搬送方向に対して直交する方向の長さより大きくして、支持部62の昇降経路から退避できるように構成されている。
【0133】
また、基板搬入搬出機構6の支持部62の上部の縁部には、基板10を搬入及び搬出する際に基板搬入搬出室2Aと真空槽2内の雰囲気を隔離するための例えばOリング等のシール部材(図示せず)が設けられている。
【0134】
図26(a)(b)は、本例の搬送ロボットを用いた基板保持器の受け渡し動作を示す説明図で、図26(a)は同搬送ロボットの基板保持器導入機構の平面図、図26(b)は同搬送ロボットの正面図である。
【0135】
本例において、基板搬入搬出室2A内にて既に基板10を保持した基板保持器(例えば基板保持器11B)を基板保持器搬送機構3の搬送経路に導入する場合には、まず、この基板保持器11Bを支持した基板搬入搬出機構6の支持部62を上述した基板保持器受け渡し位置まで下降させる。
【0136】
この動作の際、基板保持器導入機構40の導入支持部材42と基板搬入搬出機構6の支持部62との接触を回避するため、基板保持器導入機構40の導入支持部材42を、基板搬入搬出機構6の支持部62の昇降経路から予め退避させておく。
【0137】
そして、この基板保持器受け渡し位置において、基板搬入搬出機構6の支持部62上に支持された基板保持器11Bを、基板保持器導入機構40の導入支持部材42に受け渡して支持させる。
【0138】
この場合、例えば基板搬入搬出機構6の支持部62の昇降経路からそれぞれ退避させておいた基板保持器導入機構40の導入支持部材42同士を近づける方向に移動させることにより、これら導入支持部材42を、基板搬入搬出機構6の支持部62の表面と、この支持部62上に支持された基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bとの隙間に挿入し、さらに基板搬入搬出機構6の支持部62を下降させることにより、図26(a)に示すように、基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bを基板保持器導入機構40の導入支持部材42によって両側部側から支持させる。
【0139】
その後、基板搬入搬出機構6の支持部62を、図26(b)に示すように、基板保持器取り出し位置まで下降させておく。
そして、この状態で、基板保持器導入機構40の導入支持部材42を導入レール41に沿って基板保持器搬送機構3側に移動させ、導入支持部材42上に支持された基板保持器11Bを基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに配置する。
【0140】
その後、上述したように、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33を動作させることにより、基板保持器11Bを第1の処理領域4に向って搬送し、順次所定の処理を行う。
なお、上述した動作の際には、基板保持器排出機構50の排出支持部材52は、例えば基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cの位置に配置しておく。
【0141】
図27(a)(b)は、本例の搬送ロボットを用いた基板保持器の排出動作を示す説明図で、図27(a)は同搬送ロボットの基板保持器排出機構の平面図、図27(b)は同搬送ロボットの正面図である。
【0142】
本例において、上述した基板保持器11Bを搬送経路から排出する場合には、図27(a)(b)に示すように、基板保持器排出機構50の排出支持部材52を、基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cに配置しておくとともに、基板搬入搬出機構6の支持部62を、上述した基板保持器取り出し位置まで下降させておく。
そして、所定の処理が終了して搬送されてきた基板保持器11Bを、基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cにおいて、基板保持器排出機構50の排出支持部材52に受け渡して支持させる。
【0143】
この場合、図27(a)に示すように、基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bが、基板保持器排出機構50の排出支持部材52によって両側部側から円滑に支持されるように、各部材の寸法及び搬送速度等の条件を予め設定しておく。
【0144】
そして、この状態で、基板保持器排出機構50の排出支持部材52を排出レール51に沿って基板搬入搬出機構6側に移動させ、基板保持器取り出し位置に配置された基板搬入搬出機構6の支持部62の若干上方に基板保持器11Bを配置する(図27(a)(b)参照)。
【0145】
さらに、基板保持器排出機構50の排出支持部材52を、それぞれ離間させる方向へ移動させることにより、基板搬入搬出機構6の支持部62の昇降経路から退避させ、基板保持器11Bの前方側支持軸12A及び後方側支持軸12Bに対する支持を解除するとともに、当該支持部62を若干上昇させることにより、基板保持器11Bを基板搬入搬出機構6の支持部62上に載置する。
【0146】
その後、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させることにより、上述したように、雰囲気を隔離した基板搬入搬出室2A内に基板保持器11Bを配置した後、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用い、処理後の基板(図示せず)を基板保持器11Bから大気中に取り出す(図14図15参照)。
【0147】
なお、上述した動作の際には、基板保持器導入機構40の導入支持部材42は、例えば基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aの位置に配置しておく。
その一方で、この基板保持器11B内に保持された基板10に対して複数回の処理を行う場合には、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させて基板保持器受け渡し位置に配置し、図26(a)(b)を参照して説明した動作を行って基板保持器11を基板保持器導入機構40の導入支持部材42に受け渡して支持させ、さらに、導入支持部材42を動作させて基板保持器11Bを基板保持器搬送機構3の搬送経路に導入すればよい。
【0148】
以上述べた本例の搬送ロボット9を用いた場合には、以下のような効果がある。
すなわち、本例の搬送ロボット9を構成する基板保持器導入機構40及び基板保持器排出機構50は、基板保持器11Bを支持する支持部材(導入支持部材42、排出支持部材52)をレール(導入レール41、排出レール51)に沿って直線移動させることにより、基板保持器11Bを、基板保持器搬送機構3と基板搬入搬出機構6の支持部62との間において搬送するように構成されており、この点、基板保持器11A(11B)を搬送する搬送ロボット64を上下動可能な支持部62上に設けた上記基板搬入搬出機構6とは異なる構成を有している。
【0149】
このような構成を有する本例の搬送ロボット9によれば、基板保持器11Bの支持部材を駆動する駆動源及び駆動機構を大気側に固定して配置することができ、しかもシャフト等の駆動部材を用いる必要がないことから、真空槽2内における駆動部分の設計を特殊なものにする必要がなく設計を容易に行うことができるという効果がある。
【0150】
また、本例の搬送ロボット9によれば、基板搬入搬出機構6の支持部62の上下方向への動作に対し、基板保持器導入機構40と基板保持器排出機構50をそれぞれ独立して動作させることができるので、基板搬入搬出機構6の支持部62による基板保持器11Bの真空槽2内への搬入動作及び真空槽2外への搬出動作と、基板保持器11Bを基板搬入搬出機構6の支持部62から基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに受け渡す動作と、基板保持器11Bを基板保持器搬送機構3の基板保持器排出部30Cから取り出して基板搬入搬出機構6の支持部62に受け渡す動作について、それぞれ待ち時間が最短となるように最適のタイミングにで行うことができ、これにより真空処理のタクトタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0151】
1…真空処理装置
2…真空槽
2A…基板搬入搬出室
3…基板保持器搬送機構
3A…第1例の基板保持器搬送機構
3B…第2例の基板保持器搬送機構
4…第1の処理領域(処理領域)
5…第2の処理領域(処理領域)
6…基板搬入搬出機構
7a、7b…加熱冷却機構
8…フレーム構造体
9…搬送ロボット
10…基板
10a…処理前の基板
10b…処理後の基板
11、11A、11B…基板保持器
12…支持軸
12A…前方側支持軸
12B…後方側支持軸
30A…基板保持器導入部
30B…搬送折り返し部
30C…基板保持器排出部
33…搬送駆動部材
33a…往路側搬送部
33b…折り返し部
33c…復路側搬送部
36…保持駆動部
37…保持凹部
38…ガイド部材
39…補助支持部
40…基板保持器導入機構
41…導入レール
42…導入支持部材
50…基板保持器排出機構
51…排出レール
52…排出支持部材
62…支持部(基板保持器支持部)
63…シール部材
64…搬送ロボット
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