特許第6258982号(P6258982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6258982-低ディッシング銅化学機械平坦化 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258982
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】低ディッシング銅化学機械平坦化
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171227BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20171227BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-11561(P2016-11561)
(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公開番号】特開2016-208005(P2016-208005A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】62/153,213
(32)【優先日】2015年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/001,846
(32)【優先日】2016年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】シャオボー シー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アレン シュルーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ローズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク レオナルド オニール
(72)【発明者】
【氏名】マルコム グリーフ
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−302551(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/098951(WO,A1)
【文献】 特開2007−326916(JP,A)
【文献】 特開2013−258430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.001〜0.25wt%の粒状物質と、
0.01〜16wt%の少なくとも2種のアミノ酸と、
0.25〜5wt%の酸化剤と、
0.00001〜2wt%の腐食防止剤と、
残りの水と
を含み、前記粒状物質が、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイドアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、雲母、水和ケイ酸アルミニウム、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記アミノ酸が、アミノ酢酸(グリシン)、セリン、リジン、グルタミン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン、及びそれらの混合物からなる群より独立して選択され、
のpHを有する、銅化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項2】
前記配合物で使用される一方のアミノ酸ともう一方のアミノ酸の質量濃度比が1:99〜99:1である、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項3】
前記酸化剤が、過酸化水素、重クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、酸化第二鉄、塩化第二鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素−過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ−t−ブチル、一過硫酸塩、二過硫酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項4】
前記腐食防止剤が、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5ーメチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール、ベンズイミダゾール、5−アミノトリアゾール、ベンゾチアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオールからなる群より選択される窒素含有環状化合物;イソシアヌレート;並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項5】
フェニルエトキシレート界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、硫酸塩又はスルホン酸塩界面活性剤、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート、ポリソルベート界面活性剤、非イオン性アルキルエトキシレート界面活性剤、グリセロールプロポキシレート−ブロック−エトキシレート、アミンオキシド界面活性剤、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、エトキシ化アルコール、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、ポリエーテル消泡分散物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項6】
前記粒状物質がコロイドシリカであり、前記アミノ酸がアミノ酢酸(グリシン)、アラニン、ビシン及びサルコシンからなる群より選択され、前記酸化剤が過酸化水素であり、前記腐食防止剤が1,2,4−トリアゾール及び5−アミノトリアゾールからなる群より選択され、前記界面活性剤がフェニルエトキシレート界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、ポリエーテル分散物からなる群より選択され、前記水が脱イオン水であり、前記pHが6〜8である、請求項5に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項7】
pH調整剤、殺生物剤、分散剤、及び湿潤剤からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)配合物。
【請求項8】
銅含有表面を有する半導体基材を提供する工程、
研磨パッドを提供する工程、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学機械研磨(CMP)配合物を提供する工程、
前記半導体基材の表面を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨配合物と接触させる工程、並びに
半導体の表面を研磨する工程
を含み、前記銅含有表面の少なくとも一部が、前記研磨パッドと前記化学機械研磨配合物の両方に接触している、銅含有半導体基材を化学機械研磨する方法。
【請求項9】
銅含有表面を有する半導体基材、
研磨パッド、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学機械研磨(CMP)配合物、
を含み、前記銅含有表面の少なくとも一部が、前記研磨パッドと前記化学機械研磨配合物の両方に接触している、化学機械研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年4月27日に出願された米国仮特許出願第62/153,213号の利益を主張する。本仮出願の開示は、参照のため本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、半導体ウェーハーの化学機械平坦化(CMP)に関する。さらに詳しくは、本発明は、CMP銅(Cu)含有基材について使用される低ディッシング配合物に関する。CMP研磨配合物、CMP研磨組成物、又はCMP研磨スラリーは、本発明において相互に変換可能である。
【背景技術】
【0003】
銅は、その低い抵抗性、高い信頼性、及び拡張性のために、集積電子装置の製作で使用される配線金属用の現在の最適な材料である。銅化学機械平坦化プロセスは、少ない金属損失でグローバル平坦化を達成しながら、象眼トレンチ構造から銅の過大な負担を取り除くために必要である。
【0004】
テクノロジー・ノードの進歩により、金属ディッシングと金属損失を低下させる必要性がより重要になる。すべての新しい研磨配合物は、高い除去率、バリア材料に対する高い選択性、及び低い欠陥品率も維持しなければならない。
【0005】
銅CMPのCMP配合物は、例えばUS20040175942、US6773476、及びUS8236695の先行技術に開示されている。しかし、開示された配合物は、テクノロジー・ノードにとってより困難になっている、高除去率と低ディッシングの性能要件を満たすことができなかった。
【0006】
本発明は、テクノロジー・ノードについての低ディッシングと高除去率の困難な要件を満たすために開発されているバルク銅CMP研磨配合物を開示する。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様では、本発明は、
粒状物質と、
少なくとも2つのアミノ酸と、
酸化剤と、
腐食防止剤と、
残りの水と
を含む銅化学機械研磨(CMP)配合物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、
銅含有表面を有する半導体基材を提供する工程、
研磨パッドを提供する工程、
粒状物質と、
少なくとも2種のアミノ酸と、
酸化剤と、
腐食防止剤と、
残りの水と
を含む化学機械研磨(CMP)配合物を提供する工程、
前記半導体基材の表面を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨配合物と接触させる工程、並びに
半導体の表面を研磨する工程
を含み、前記銅含有表面の少なくとも一部が、前記研磨パッドと前記化学機械研磨配合物の両方に接触している、銅含有半導体基材を化学機械研磨する方法を提供する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、
銅含有表面を有する半導体基材、
研磨パッドを提供すること、
粒状物質と、
少なくとも2種のアミノ酸と、
酸化剤と、
腐食防止剤と、
残りの水と
を含む化学機械研磨(CMP)配合物を提供すること、
を含み、前記銅含有表面の少なくとも一部が、前記研磨パッドと前記化学機械研磨配合物の両方に接触している、化学機械研磨システムを提供する。
【0010】
粒状物質としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイドアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、雲母、水和ケイ酸アルミニウム、及びそれらの混合物が挙げられる。粒状物質濃度は、0.001〜0.25wt%でもよい。
【0011】
誘導体を含む種々のアミノ酸は、アミン及びカルボン酸官能基を有する有機化合物である。アミノ酸構造中に追加の官能基も存在してもよい。組成物中にアミノ酸を使用することができ、特に限定されないが、アミノ酢酸(グリシンとしても知られている)、セリン、リジン、グルタミン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン、及びそれらの混合物が挙げられる。アミノ酸の好適な組み合わせは、グリシン(アミノ酢酸)、アラニン、ビシン、及びサルコシンを含む。アミノ酸の濃度は、約0.01wt%〜約8wt%、好ましくは0.05wt%〜約5wt%、より好ましくは約0.25wt%〜約2wt%の範囲内である。スラリーで使用される1つのアミノ酸と別のアミノ酸の質量濃度比は、1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは25:75〜75:25の範囲である。
【0012】
腐食防止剤としては、特に限定されないが、窒素含有環状化合物、例えば1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5ーメチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール、及びベンズイミダゾールが挙げられる。ベンゾチアゾール類、例えば2,1,3−ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオールも使用することができる。好適な防止剤は、1,2,4−トリアゾール、5−アミノトリアゾール、及びイソシアヌレート化合物、例えば1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである。腐食防止剤は、約0.1重量ppm〜約20,000重量ppm、好ましくは約20重量ppm〜約10,000重量ppm、より好ましくは約50重量ppm〜約1000重量ppmの範囲の濃度レベルで取り込まれる。
【0013】
酸化剤としては、特に限定されないが、過酸化水素、重クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、酸化第二鉄、塩化第二鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素−過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ−t−ブチル、一過硫酸塩と二過硫酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。酸化剤は、約0.1wt%〜約20wt%、好ましくは約0.25wt%〜約5wt%の範囲の濃度を有する。
【0014】
CMP配合物はさらに、界面活性剤、特に限定されないが、フェニルエトキシレート界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、硫酸塩又はスルホン酸塩界面活性剤、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート、ポリソルベート界面活性剤、非イオン性アルキルエトキシレート界面活性剤、グリセロールプロポキシレート−ブロック−エトキシレート、アミンオキシド界面活性剤、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、エトキシ化アルコール、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、ポリエーテル消泡分散物、及び他の界面活性剤を含む。界面活性剤は、0.001〜0.5wt%、好ましくは0.01〜0.25wt%の範囲であることができる。
【0015】
CMP配合物はさらに、pH調整剤、殺生物剤又は生物学的防腐剤、分散剤、及び湿潤剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0016】
本明細書の重要な部分を構成する添付図面において以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】2つのアミノ酸を含む配合物Iと1つのみのアミノ酸を含む配合物IIの銅研磨速度を示す。
図2】2つのアミノ酸を含む配合物Iと1つのみのアミノ酸を含む配合物IIのディッシング性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
進歩したテクノロジー・ノード用に開発されたバルク銅CMP研磨組成物は、本明細書に開示される。この配合物は、改良されたディッシング性能、低い銅エッチング速度を示している。
【0019】
配合物は、粒状物質、2種以上のアミノ酸、酸化剤、銅腐食防止剤を含み、残りの配合物は液体担体である。
【0020】
一般に、広範囲の粒状物質又は粒子を使用することができる。粒子は、種々の製造法及び加工法、特に限定されないが、熱プロセス、溶液成長プロセス、原石の採掘と一定の大きさへの粉砕、そして迅速な熱分解を含む方法により、得ることができる。材料は、一般に製造業者によって供給されたまま組成物に組み込むことができる。特定の種類の粒状物質は、研磨剤としてより高い濃度で組成物中で使用される。しかし、伝統的にCMPスラリー中で研磨剤として使用されてこなかった他の粒状物質も、有利な結果を提供するために使用することができる。
【0021】
代表的な粒状物質は、本発明のスラリーの使用条件下で不活性な、種々の無機及び有機物質を含む。粒状物質には、特に限定されないが、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイドアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、雲母、水和ケイ酸アルミニウム、及びそれらの混合物が挙げられる。粒状物質は、約4nm〜約10,000nm、好ましくは約4nm〜約1,000nm、より好ましくは約4nm〜約400nmの範囲の粒子サイズを有する。粒子は、特に限定されないが、小板、フラクタル凝集体、及び球状分子種などの物理的形態で存在してもよい。
【0022】
好適な粒状物質はコロイドシリカである。さらに好適なのは、非常に低レベルの微量金属不純物を有するシリカである。使用可能な高純度コロイドシリカの例は、Fuse Chemical Company、Japanから得られるFuse PL-3、PL2、PL3H、及びPL3L高純度コロイドシリカ粒子である。
【0023】
異なる粒子サイズと異なる種類のコロイドシリカ粒子の混合物も、改良された性能を与えることができる。
【0024】
粒状物質濃度は、0.001〜0.25wt%の範囲であることができる。
【0025】
配合物は、少なくとも2種の酸又は少なくとも2種のキレート剤を含む(アミノ酸はキレート剤である)。
【0026】
種々のアミノ酸及び誘導体(本発明においてアミノ酸と呼ぶ)を、CMP配合物の調製において使用することができる。アミノ酸は、アミンとカルボン酸官能基とを含有する有機化合物として定義される。アミノ酸構造中に追加の官能基が存在してもよい。組成物中でアミノ酸が使用でき、特に限定されないが、アミノ酢酸(グリシンとしても知られている)、セリン、リジン、グルタミン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン、及びそれらの混合物が挙げられる。アミノ酸の好適な組み合わせは、グリシン(アミノ酢酸)、アラニン、ビシン、及びサルコシンを含む。
【0027】
配合物中のアミノ酸の存在は、CMPプロセス中の銅除去の速度に影響を与えることがわかっている。しかしアミノ酸レベルの上昇は、銅のエッチング速度を上昇させ、これは好ましくない。従って濃度レベルは、銅の除去速度とエッチング速度との許容されるバランスを達成するように調整される。
【0028】
典型的にはアミノ酸の濃度は、約0.01wt%〜約16wt%、好ましくは0.05wt%〜約5wt%、より好ましくは約0.25wt%〜約2wt%である。
【0029】
スラリーで使用される1つのアミノ酸と別のアミノ酸の質量濃度比は、1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは25:75〜75:25の範囲である。
【0030】
配合物は、CMPプロセス中の金属腐食とエッチングを制限するために、腐食防止剤を含むことができる。腐食防止剤は、物理的吸着又は化学的吸着により、金属表面上に保護膜を形成する。すなわち腐食防止剤は、CMPプロセス中のエッチングと腐食の影響から銅表面を保護するように機能する。
【0031】
腐食防止剤としては、特に限定されないが、窒素含有環状化合物、例えば1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5ーメチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール、5−アミノトリアゾール、及びベンズイミダゾールが挙げられる。ベンゾチアゾール類、例えば2,1,3−ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオールも使用することができる。好適な防止剤は、1,2,4−トリアゾール及び5−アミノトリアゾールである。
【0032】
イソシアヌレート化合物、例えば1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートもまた、腐食防止と性能の改良に有用であることがわかっている。
【0033】
腐食防止剤は、約0.1重量ppm〜約20,000重量ppm、好ましくは約20重量ppm〜約10,000重量ppm、より好ましくは約50重量ppm〜約1000重量ppmの範囲の濃度レベルで取り込まれる。
【0034】
酸化剤は、酸化機能を実行し、CuOH、Cu(OH)2、CuO、又はCu20のいずれかの水和銅化合物への、ウェーハー表面上の銅の変換を促進する。
【0035】
酸化剤としては、特に限定されないが、過酸化水素、重クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、酸化第二鉄、塩化第二鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素−過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ−t−ブチル、一過硫酸塩と二過硫酸塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
好ましくは、酸化剤は、使用時に現場で又はその少し前に、製剤中に取り込まれる。酸化剤は、他の成分を組み合わせる時に取り込むことも可能であるが、このように形成された組成物の長期保存の安定性を考慮しなければならない。
【0037】
酸化剤は、約0.1wt%〜約20wt%、好ましくは約0.25wt%〜約5wt%の範囲の濃度を有する。
【0038】
界面活性剤もまた、これらの配合物に添加されると、ディッシングと欠陥を低下させる有用な影響を有することがわかっている。界面活性剤は、非イオン性でも、陽イオン性でも、又は双性イオン性でもよい。
【0039】
界面活性剤の例としては、特に限定されないが、フェニルエトキシレート型界面活性剤、例えばノニデット(Nonidet)(登録商標)TM P40(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)、及びアセチレンジオール界面活性剤、例えばディノール(Dynol)(登録商標)TM607、ディノール(登録商標)TM 800、ディノール(登録商標)TM 810、ディノール(登録商標)TM 960、ディノール(登録商標)TM 980、スルフィノール(Surfynol)104E、スルフィノール465、スルフィノール485、スルフィノールPSA 336、スルフィノールFS85、スルフィノールSE、スルフィノールSE-F;陰イオン性界面活性剤、例えば硫酸塩及びスルホン酸塩界面活性剤;グリセロールプロポキシレート;グリセロールエトキシレート;ポリソルベート界面活性剤、例えばツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80、非イオン性アルキルエトキシレート型界面活性剤、例えばBrij LA-4;グリセロールプロポキシレート−ブロック−エトキシレート;アミンオキシド界面活性剤、例えばトマミン(Tomamine)AO-455及びトマミンAO-405;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル界面活性剤;ポリエチレングリコール;酸化ポリエチレン;エトキシ化アルコール、ら,トマドール(Tomadol)23-6.5、トマドール91-8、カルボウェット13-40;エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、例えばテルギトールミンフォーム(Tergitol Minfoam)1X、テルギトールミンフォーム2X;ポリエーテル消泡分散物、例えばDF204、及び他の界面活性剤が挙げられる。Cuラインディッシングを有効に低下させるための好適な界面活性剤には、フェニルエトキシレート(例えば、ノニデットP40)、アセチレンジオール界面活性剤(例えば、スルフィノール104E、ディノール(登録商標)TM607、ディノール(登録商標)TM800、ディノール(登録商標)TM810、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、例えばテルギトールミンフォーム(Tergitol Minfoam)1X、ポリエーテル消泡性分散物(例えばDF204)、及び他の界面活性剤がある。Cuラインディッシングを有効に低下させる好適な界面活性剤には、フェニルエトキシレート(例えば、ノニデットP40)、アセチレンジオール界面活性剤(例えば、スルフィノール104、ディノール(登録商標)TM 607、ディノール(登録商標)TM 800、ディノール(登録商標)TM 810)、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、例えばテルギトールミンフォーム1X、ポリエーテル分散物(例えば、DF204)がある。界面活性剤濃度は、0.001〜0.5%、より好ましくは0.01〜0.25%の範囲でもよい。
【0040】
Cuラインディッシングを有効に低下させるための好適な界面活性剤には、フェニルエトキシレート(例えば、ノニデットP40)、アセチレンジオール界面活性剤(例えば、スルフィノール104E、ディノール(登録商標)TM607、ディノール(登録商標)TM 800、ディノール(登録商標)TM 810)、エトキシレート−プロポキシレート界面活性剤、例えばテルギトールミンフォーム1X、ポリエーテル分散物(例えばDF204)がある。界面活性剤濃度は、0.001〜0.5%、より好ましくは0.01〜0.25%の範囲でもよい。
【0041】
配合物はまた、殺生物剤又は生物学的防腐剤、分散剤、湿潤剤、pH調整剤などの他の任意の添加剤を含んでよい。
【0042】
CMP組成物は、殺生物剤、すなわち保存中の細菌及び真菌の増殖を防ぐための、生物学的増殖阻害剤又は防腐剤を含んでよい。生物学的増殖阻害剤としては、特に限定されないが、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、及び水酸化アルキルベンジルジメチルアンモニウム(アルキル鎖は1〜約20個の範囲の炭素原子である)、水酸化物、亜塩素酸ナトリウム、及び次亜塩素酸ナトリウムがある。市販の防腐剤のいくつかは、Dow Chemicalsのカトン(Kathon)(登録商標)(例えばカトンII)及びネオレン(NEOLENE)(登録商標)製品ファミリー、及びLanxessのプレベントール(Preventol)(登録商標)ファミリーを含む。さらに多くが、米国特許第5,230,833号(Rombergerら)及び米国特許出願第US20020025762号に開示されている。これらの内容は、参照のためその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
pH調整剤には、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化アンモニウム、4級有機アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
分散剤は、粒子のコロイド安定性を改良するために使用することができる。分散剤は、界面活性剤及びポリマーを含んでもよい。分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸が挙げられる。
【0045】
製剤の残りの部分は、液体成分の主要部分を提供する水である。有利には、水は脱イオン水(DI)である。
【0046】
配合物のpHは、2〜12、より好ましくは4〜9、最も好ましくは6〜8の範囲でもよい。
【0047】
配合物は、濃縮された形で作製され、出荷及び取扱いに関連するコストを削減するために、研磨時にDI水で希釈することができる。希釈は、スラリー濃縮物1部:水0部の〜スラリー濃縮物1部:水1000部、又はスラリー濃縮物1部:水3部〜スラリー濃縮物1部:水100部、又はスラリー濃縮物1部:水5部〜スラリー濃縮物1部:水50部の範囲でもよい。
【0048】
本発明の配合物は、銅の高い除去率と低いディッシングを提供するために、銅相互接続ラインでパターン化ウェーハーを研磨するのに使用される。
【0049】
銅CMPは一般に、3工程で行われる。第1工程では.高い除去率を有する研磨条件を用いて、パターン化ウェーハーからバルク銅が除去され、平坦化表面が形成される。第2工程では、残りの銅を除去してバリア層でディッシングを低下させ次に停止させるために、より制御された研磨が行われる。第3工程は、バリア層の除去を含む。本発明の配合物は、上記したように工程1と2で使用することができる。工程1では、高い除去率で銅を研磨するためにより大きな下向きの力又はテーブル速度が使用され、銅CMPの工程2についてはより小さい下向きの力又は小さいテーブル速度が使用される。典型的には、第1工程の研磨は、2.5psi以上の下向きの力で行われる。第2工程の研磨は、1.5psi以下の下向きの力で行われる。ウェーハー製造について許容される処理能力を得るために、銅除去速度が大きいことが好ましい。好ましくは、第2工程CMPの所望のCMP除去速度は、好ましくは少なくとも3000Å/分以上であり、より好ましくは4000Å/分超である。第1の工程について、所望の除去速度は、6000Å/分超である。
【0050】
本発明の配合物は、バリア層又は研磨停止層に対して高い選択性で銅を研磨することができる。銅とバリア層との間の好適な除去速度選択性は、50より大きい。これらの配合物は、種々の統合スキームで、特に限定されないが、Ta、TaN、Ti、TiN、Co、Ruを含むある範囲の可能なバリア層/研磨停止層を用いて、配線材料として銅又は銅系合金を使用してもよい。
【0051】
2種以上のアミノ酸を含む本発明の配合物は、除去速度が、1種類のみのアミノ酸を含む配合物で得られたものに匹敵するが、ディッシング性能の大きな低下を提供するように、スラリーが調製されることを可能にする。好適な実施態様において、2種以上のアミノ酸を含むスラリー配合物の除去速度は、単一のアミノ酸を含むスラリー配合物と比較して、100×100μmのライン構造上で75%未満のディッシングと少なくとも70%の除去速度を提供する。より好適な実施態様において、2種以上のアミノ酸を含むスラリー配合物の除去速度は、単一のアミノ酸を含むスラリー配合物と比較して、100×100μmのライン構造上で60%未満のディッシングと少なくとも75%の除去速度を提供する。
【0052】
本発明はさらに、以下の例により実証される。
【0053】
[一般的な実験手順]
本明細書に記載の関連方法は、銅からなる基材の化学機械平坦化のための上記スラリーの使用を伴う。
【0054】
本方法において、基材(例えば、銅表面を有するウェーハー)は、CMP研磨機の回転可能プラテンに固定的に取り付けられた研磨パッド上で、下向きに配置される。こうして、研磨し平坦化すべき基材は、研磨パッドと直接接触して配置される。プラテンと基材を回転させながら、CMP処理中に所定の位置に基材を保持し、基材の裏面に対して下向きの圧力を適用するために、ウェーハーキャリアシステム又は研磨ヘッドが使用される。材料を除去して基材を平坦化するために、CMP処理中にパッド上に研磨配合物が適用される(通常は連続的に)。
【0055】
本明細書に記載の研磨スラリー及び関連する方法は、銅基材を研磨するのに特に有用な、基材の大部分を含む多種多様な基材のCMPのために有効である。
【0056】
以下に示す例では、CMP実験は、下記の手順及び実験条件を用いて行われた。
【0057】
例で使用されたCMPツールは、Applied Materials(3050 BoweresAvenue, Santa Clara, California, 95054)製のMirraR(登録商標)である。
【0058】
Dow ChemicalsのIC1010(登録商標)上で200mL/分のスラリー流速を用いて、93RPMのテーブル速度で研磨を行なった。除去速度データについては、電気めっき銅ウェーハーを研磨に使用した。ディッシングデータは、TEOS誘電体中にCuラインを有するMIT854パターン化ウェーハーで、Ta/TaNバリア層を用いて得られた。パターン化ウェーハー研磨は、研磨の第1工程について2.5psiの下向きの力で1分の研磨、次に研磨の規定の終点まで1.5psiでの研磨を含んだ。規定の終点は、Mirra(登録商標)上の光学的終点法により検出されるパターン化ウェーハー表面から除去された後20秒であった。ディッシング測定は、プロフィロメトリー法を用いて行われた。
【実施例】
【0059】
[例1]
腐食防止剤として215ppmの1,2,4−トリアゾール、63ppmのコロイドシリカ(平均粒子サイズ−MPSは約48nmであり、Fusoにより供給された);550ppmのディノール607、1wt%過酸化水素と、残りの水を含むすべてのCMP配合物は、表1に記載される。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
配合物からの100×100μmのライン構造についての1.5psiと2.5psiの下向きの力のCu除去速度とディッシングデータは、表2に示される。1.5の下向きの力でパターン化ウェーハーを研磨しバリア層で停止させながら、ディッシングデータが得られた。
【0063】
組み合わせたアミノ酸を有する配合物が、除去速度を犠牲にすることなくディッシングの低下をもたらしたことは、データ結果から明らかである。配合物3に示したように、アミノ酸の組み合わせを用いてディッシングを低下させながら、除去速度を上昇させることさえ可能であった。
【0064】
これらの2重キレート剤の組み合わせのうちで、グリシン/ビシン又はグリシン/サルコシンは、それぞれ465Åと437Åで100×100μmラインについて比較的低く広い銅ラインディッシングを与えた。
【0065】
[例2]
グリシン、腐食防止剤として215ppmの1,2,4−トリアゾール、殺生物剤として1.9ppmのカトンII、研磨剤として62.5ppmのコロイドシリカ(MPSは約48nmであり、Fusoにより供給された)、酸化剤として1.0wt%のH22、残りの水を含む、すべての配合物9〜14は、表3に記載される。すべての配合物は、種々の添加剤を用いて作製された。配合物12〜16はすべて、ビシンを含有した。
【0066】
【表3】
【0067】
グリシンを含む配合物を用いて得られたものと同様の除去速度を与えるために、種々の量のグリシンとビシンを用いて配合物を作製した。
【0068】
表4は、表3に列記した配合物についてのCu除去速度と100×100μmラインについてのディッシングを要約する。データは、ビシンを使用しない配合物に対して記載された。
【0069】
表4に示されるように、匹敵する除去速度を与えるように選択された濃度のグリシンとビシンとの組み合わせを使用すると、ディッシングの劇的な低下が得られた。最適なディッシング性能は、ノニデットP40添加剤、及びグリシンとビシンの組み合わせとを用いて得られた。
【0070】
【表4】
【0071】
[例3]
1つのアミノ酸を含む配合物を2つのアミノ酸の組み合わせと比較するために、配合物を調製した。
【0072】
表5に示すように、配合物15〜17は、腐食防止剤として215ppmの1,2,4−トリアゾール、殺生物剤として1.9ppmのカトンII、ディッシング低下剤として0.1%ノニデットP40、研磨剤として62.5ppmのコロイドシリカ(MPSは約48nmであり、Fusoにより供給された)、酸化剤として1.0wt%のH22、及び残りの水を含んだ。
【0073】
【表5】
【0074】
本配合物によるCu除去速度と100×100μmラインについてのディッシングは、表6に示される。
【0075】
【表6】
【0076】
グリシンとアラニンとを含む配合物(配合物17)は、グリシン又はアラニンのみを含む配合物と比較して、Cu除去速度を大きく犠牲にすることなく、顕著に低下したディッシングを証明した。
【0077】
[例4]
1.5psiの下向きの力で高い銅除去速度を与えるために、配合物18(1つのアミノ酸、グリシンのみ)及び19(2つのアミノ酸、グリシンとビシン)を作製した。配合物はまた、水、0.215wt%の1,2,4−トリアゾール、1.9ppmのカトンII、0.025wt%の高純度コロイドシリカ(MPSは約48nmであり、Fusoにより供給された)、及び1.0wt%のH22を含有した。両方の配合物とも、約7.25のpHを有した。
【0078】
これらの配合物は表7に示される。
【0079】
【表7】
【0080】
これらの配合物によるCu除去速度と100×100μmラインについてのディッシングは、表8に示される。
【0081】
【表8】
【0082】
表8に示されるように、グリシンとビシンの組み合わせ(配合物19)は、100×100μmラインフィーチャについて、グリシンのみに基づく配合物より顕著に低下したCuラインディッシングを与えた。
【0083】
[例5]
1.5psiの下向きの力で高い銅除去速度を与えるために、配合物20(1つのアミノ酸、グリシンのみ)及び21(2つのアミノ酸、グリシンとDL−アラニン)を作製した。配合物はまた、水、0.215wt%の1,2,4−トリアゾール、1.9ppmのカトンII、0.025wt%の高純度コロイドシリカ(MPSは約48nmであり、Fusoにより供給された)、及び1.0wt%のH22を含有した。両方の配合物とも、約7.25のpHを有した。
【0084】
これらの配合物は表9に示される。
【0085】
【表9】
【0086】
これらの配合物によるCu除去速度と100×100μmラインについてのディッシングは、表10に示される。
【0087】
【表10】
【0088】
再度、表10に示されるように、2つのアミノ酸、すなわちグリシンとアラニンの組み合わせ(配合物21)は、100×100μMラインフィーチャについて、グリシンのみに基づく配合物より顕著に低下したCuラインディッシングを与えた。
【0089】
[例6]
具体的な配合物I及びIIは、表11に示される。
【0090】
配合物Iは、2重キレート剤、すなわち2つのアミノ酸を含有した。配合物IIは、1つのみのアミノ酸を有した。配合物のpHは約6.15〜6.25であった。
【0091】
2つのアミノ酸を含む配合物IによるCMP性能を、1つのみのアミノ酸を含む配合物IIと比較した。結果は図1と2に示される。
【0092】
【表11】
【0093】
さらに詳しくは、銅研磨速度は図1に示される。ディッシング性能は図2に示される。
【0094】
図1及び2から明らかなように、2種類のアミノ酸を有するスラリーを用いて、種々のライン幅にわたって除去速度(上昇)とディッシングに関して、明瞭な改善(劇的な低下)が得られた。
【0095】
本発明の配合物作成と最適化は、ディッシング性能の顕著な改善を与えた。改善は、ディッシングがフィーチャのサイズに対する不応答性を示す点までの、広範囲の銅ライン幅にわたっていた。
【0096】
実施例を含む上記の本発明の実施態様は、本発明から作製され得る多数の実施態様の例示である。本プロセスの多数の他の構成が使用でき、そのプロセスで使用される材料が、具体的に開示されたもの以外の多数の物質から選択され得ることが、企図される。
図1
図2