【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、画像中のタイリング又はブロックノイズによって生成されるスペクトラム・シグナチャを見つけるためのブロック・エッジにおける1次元ベクトルを用いた、スペクトラム・パワー・シグナチャによるタイリング又はブロックノイズ検出処理を提供する。シグナチャとは、同一性を示す独特の特徴のことである。輝度のような画像のベースバンド成分(コンポーネント)のエッジの値を増加させ、各水平ラインに沿った画素値が合算されて、その画像に関するエッジ値の合計である1次元の列ベクトルが形成される。列ベクトルのパワーと、列ベクトル内の選択された周波数成分のパワーが求められる。続いて、これらパワーは、合成されて、次元のない(無次元)値に変換され、上記選択周波数のそれぞれに関連するタイリング又はブロックノイズ値を生成する。
【0011】
より具体的には、本発明の概念1は、画像中のタイリング又はブロックノイズを検出する方法であって、
上記画像に関する複数のエッジ値からなる列ベクトルを生成するステップと、
上記列ベクトルから、該列ベクトルのパワー値と、複数の所定周波数からなるグループそれぞれに関するパワー値とを決定するステップと、
上記所定周波数のそれぞれに関するタイリング又はブロックノイズ値を生成するために、上記パワー値を合成するステップと
を具えている。
【0012】
本発明の概念2は、上記概念1による方法であって、上記生成するステップが、
上記画像の水平ラインのそれぞれに沿ってエッジの値を増加させ、増加した値を有するエッジ画素を生成するステップと、
上記水平ラインのそれぞれに関する画素の和を生成するために、上記水平ラインのそれぞれに沿って上記エッジ画素を加算するステップとを有し、このとき、上記水平ラインの全てについての複数の上記画素の和が、上記列ベクトルの複数の上記エッジ値を形成している。
【0013】
本発明の概念3は、上記概念2による方法であって、上記生成するステップが、上記増加した値を、上記加算するステップの前に、上記エッジ画素に関する増加した値の絶対値に変換するステップを更に有している。
【0014】
本発明の概念4は、上記概念3による方法であって、上記生成するステップが、ダイナミック・レンジを減らすために、上記加算するステップの前に、上記増加した値の絶対値をクリップする(clip:切り詰める)ステップを更に有している。
【0015】
本発明の概念5は、上記概念1による方法であって、上記決定するステップが、
上記列ベクトルのAC成分から上記パワー値を計算するステップと、
上記所定周波数のそれぞれにおいて上記列ベクトルの上記AC成分のI及びQ成分に関するパワー値を計算するステップと、
上記所定周波数のそれぞれの上記I及びQ成分に関する上記パワー値を加算し、上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を生成するステップと
を有している。
【0016】
本発明の概念6は、上記概念5による方法であって、上記列ベクトルのパワー値を計算するステップが、
複数の上記エッジ値から上記列ベクトルに関する平均値を求めるステップと、
上記列ベクトル中の上記エッジ値のそれぞれから上記平均値を引き算し、上記列ベクトルの上記AC成分を生成するステップと、
上記列ベクトルに関する上記パワー値を、上記列ベクトルの上記AC成分に関する値の2乗の和(合計)として生成するステップと
を有している。
【0017】
本発明の概念7は、上記概念6による方法であって、上記I及びQ成分のパワー値を計算するステップが、
上記列ベクトルの上記AC成分をブロック・サイズ及び所定周波数に応じてダウン・コンバートし、上記所定周波数のそれぞれに関するI及びQ成分を生成するステップと、
上記I及びQ成分に関する値の2乗の和として、上記I及びQ成分のそれぞれに関する上記パワー値を生成するステップと、
上記所定周波数のそれぞれに関する上記I及びQ成分を加算して、上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を生成するステップと
を有している。
【0018】
本発明の概念8は、上記概念1による方法であって、上記合成するステップが、
上記列ベクトル及び上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を無次元量に変換するステップと、
上記所定周波数に関する上記無次元量のそれぞれから、上記列ベクトルに関する上記無次元量を引き算し、上記所定周波数のそれぞれに関するタイリング又はブロックノイズ値を生成するステップと
を有している。
【0019】
本発明の概念9は、画像中のタイリング又はブロックノイズを検出する装置であって、
上記画像に関する複数のエッジ値からなる列ベクトルを生成する手段と、
上記列ベクトルから、該列ベクトルのパワー値と、複数の所定周波数からなるグループそれぞれに関するパワー値とを決定する手段と、
上記パワー値を合成し、上記所定周波数のそれぞれに関するタイリング又はブロックノイズ値を生成する手段と
を具えている。
【0020】
本発明の概念10は、上記概念9による装置であって、上記生成する手段が、
上記画像の水平ラインのそれぞれに沿ってエッジの値を増加させ、増加した値を有するエッジ画素を生成する手段と、
上記水平ラインのそれぞれに関する画素の和を生成するために、上記水平ラインのそれぞれに沿って上記エッジ画素を加算する手段とを有し、このとき、上記水平ラインの全てについての複数の上記画素の和が、上記列ベクトルの複数の上記エッジ値を形成している。
【0021】
本発明の概念11は、上記概念10による装置であって、上記生成する手段が、上記加算する手段に入力する前に、上記増加した値を、上記エッジ画素に関する増加した値の絶対値に変換する手段を更に有している。
【0022】
本発明の概念12は、上記概念11による装置であって、上記生成する手段が、ダイナミック・レンジを減らすために、上記加算する手段の前に、上記増加した値の絶対値をクリップする(clip:切り詰める)手段を更に有している。
【0023】
本発明の概念13は、上記概念9による装置であって、上記決定する手段が、
上記列ベクトルのAC成分から上記パワー値を計算する手段と、
上記所定周波数のそれぞれにおいて上記列ベクトルの上記AC成分のI及びQ成分に関するパワー値を計算する手段と、
上記所定周波数のそれぞれの上記I及びQ成分に関する上記パワー値を加算し、上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を生成する手段と
を有している。
【0024】
本発明の概念14は、上記概念13による装置であって、上記列ベクトルのパワー値を計算する手段が、
複数の上記エッジ値から上記列ベクトルに関する平均値を求める手段と、
上記列ベクトル中の上記エッジ値のそれぞれから上記平均値を引き算し、上記列ベクトルの上記AC成分を生成する手段と、
上記列ベクトルに関する上記パワー値を、上記列ベクトルの上記AC成分に関する値の2乗の和として生成する手段と
を有している。
【0025】
本発明の概念15は、上記概念14による装置であって、I及びQ成分のパワー値を計算する手段が、
上記列ベクトルの上記AC成分をブロック・サイズ及び所定周波数に応じてダウン・コンバートし、上記所定周波数のそれぞれに関するI及びQ成分を生成する手段と、
上記I及びQ成分に関する値の2乗の和として、上記I及びQ成分のそれぞれに関する上記パワー値を生成する手段と、
上記所定周波数のそれぞれに関する上記I及びQ成分を加算して、上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を生成する手段と
を有している。
【0026】
本発明の概念16は、上記概念9による装置であって、上記合成する手段が、
上記列ベクトル及び上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を無次元量に変換する手段と、
上記所定周波数に関する上記無次元量のそれぞれから、上記列ベクトルに関する上記無次元量を引き算し、上記所定周波数のそれぞれに関するタイリング又はブロックノイズ値を生成する手段と
を有している。
【0027】
本発明の概念17は、画像中のタイリング又はブロックノイズを検出する装置であって、
上記画像を表すデータを入力とし、上記画像に関する複数のエッジ値からなる列ベクトルを出力として供給する列ベクトル生成部と、
上記列ベクトルを入力とし、上記列ベクトル及び該列ベクトル内の所定周波数に関するパワー値を出力として供給するパワー決定部と、
上記列ベクトル及び上記所定周波数に関する上記パワー値を入力とし、上記所定周波数のそれぞれに関するタイリング又はブロックノイズ値を出力として供給する合成部と
を具えている。
【0028】
本発明の概念18は、上記概念17による装置であって、上記列ベクトル生成部が、
上記画像を表すデータを入力とし、上記画像の上記水平ラインのそれぞれに沿ってエッジの値を増加させ、増加した値を有するエッジ画素を出力とするエッジ・フィルタと、
上記水平ラインに沿った複数の上記エッジ画素を入力とし、上記水平ラインのそれぞれに関する画素の和を出力とする加算部とを有し、
上記水平ラインの全てについての複数の上記画素の和が、上記列ベクトルの複数の上記エッジ値を形成している。
【0029】
本発明の概念19は、上記概念18による装置であって、上記列ベクトル生成部が、上記増加した値を入力とし、上記エッジ画素に関する上記増加した値の絶対値を出力として上記加算部に入力させる絶対値コンバータを有している。
【0030】
本発明の概念20は、上記概念19による装置であって、上記列ベクトル発生部は、上記加算部への入力の前に、上記増加した値の絶対値を入力とし、ダイナミック・レンジを低減するために、上記増加した値の絶対値のクリップ値を出力とするクリッパを更に有している。
【0031】
本発明の概念21は、上記概念17による装置であって、上記パワー決定部が、
上記列ベクトルのAC成分を入力とし、上記列ベクトルに関する上記パワー値を出力とする第1パワー計算部と、
上記列ベクトルの上記AC成分を入力とし、上記所定周波数のそれぞれにおける上記列ベクトルのI及びQ成分に関する上記パワー値を出力とする第2パワー計算部と、
上記所定周波数のそれぞれの上記I及びQ成分に関する上記パワー値を入力とし、上記所定周波数のそれぞれに関する上記パワー値を出力とする加算部と
を有している。
【0032】
本発明の概念22は、上記概念21による装置であって、上記第1パワー計算部が、
上記列ベクトルの複数の上記エッジ値を入力とし、出力として上記エッジ値の平均値を生成するDC決定部と、
上記列ベクトルの複数の上記エッジ値を第1入力とし、上記平均値を第2入力とし、上記エッジ値と上記平均値の差として上記列ベクトルの上記AC成分を生成して出力とする減算部と、
上記AC成分を入力とし、上記列ベクトルの上記AC成分に関する上記エッジ値の2乗の和として上記列ベクトルの上記パワー値を生成して出力とするパワー生成部と
を有している。
【0033】
本発明の概念23は、上記概念22による装置であって、上記第2パワー計算部が、
ブロック・サイズ及び上記所定周波数に応じた局部発振周波数と共に上記列ベクトルの上記AC成分を入力とし、上記所定周波数に関するI及びQ成分を出力とする上記所定周波数それぞれについてのダウン・コンバータと、
上記所定周波数に関する上記I及びQ成分を入力とし、上記I及びQ成分の値の2乗の和として上記I及びQ成分のそれぞれに関する上記パワー値を生成して出力とするパワー生成部と、
上記所定周波数に関する上記I及びQ成分を入力とし、上記所定周波数に関する上記パワー値を出力とする上記所定周波数のそれぞれについての合成部と
を有している。
【0034】
本発明の概念24は、上記概念17による装置であって、上記合成部が、
上記所定周波数のそれぞれ及び上記列ベクトル用であって、それぞれの上記パワー値を入力とし、無次元値を出力とするコンバータと、
上記所定周波数のそれぞれ用であって、上記列ベクトル及び上記所定周波数に関する上記無次元値を入力とし、上記所定周波数に関するタイリング又はブロックノイズ値を出力とする減算部と
を有している。
【0035】
本発明の目的、効果及び他の新規な点は、以下の詳細な説明を添付の特許請求の範囲及び図面とともに読むことによって明らかとなろう。