(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259483
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】エフェクト顔料
(51)【国際特許分類】
C09C 3/06 20060101AFI20171227BHJP
C09C 1/00 20060101ALI20171227BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20171227BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20171227BHJP
C09D 11/02 20140101ALI20171227BHJP
C09C 1/28 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
C09C3/06
C09C1/00
C09D201/00
C09D7/12
C09D11/02
C09C1/28
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-74173(P2016-74173)
(22)【出願日】2016年4月1日
(62)【分割の表示】特願2014-2606(P2014-2606)の分割
【原出願日】2007年6月8日
(65)【公開番号】特開2016-172857(P2016-172857A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】102006027025.8
(32)【優先日】2006年6月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアハルト プファフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ディッツ
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ドレーン ヴァルトヘ
【審査官】
吉田 邦久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−075941(JP,A)
【文献】
特開平05−017329(JP,A)
【文献】
特開平05−230394(JP,A)
【文献】
特開平05−156174(JP,A)
【文献】
特開平05−186705(JP,A)
【文献】
特表平07−504932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/06
C09C 1/00
C09C 1/28
C09D 7/12
C09D 11/02
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の90%が2から40μmの範囲である面積相当直径分布、および粒子の90%が100から3500nmの範囲である厚さ分布を有する合成雲母フレークに、
二酸化チタンの第1層と、
酸化亜鉛または1種もしくは複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物、あるいは酸化亜鉛および1種もしくは複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物の第2層と、を含む≧1.9の屈折率のコーティング層を有し、
該低溶解性アルカリ土類金属化合物が、
チタン酸アルカリ土類金属塩、
スズ酸アルカリ土類金属塩、
ジルコン酸アルカリ土類金属塩
または該化合物の混合物である
前記二酸化チタンの第1層は、40〜70nmの膜厚を有する
ことを特徴とする、銀白色エフェクト顔料。
【請求項2】
前記≧1.9の屈折率のコーティング層は、40〜70nmの合計厚さを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項3】
前記第2層は、4〜10nmの膜厚を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項4】
前記二酸化チタンの第1層は、厚さが<10nmの薄い二酸化スズ膜上に形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項5】
前記雲母フレークのアスペクト比(直径/厚さ比)が、5〜200である
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項6】
前記合成雲母が、フッ素金雲母である
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項7】
前記チタン酸アルカリ土類金属塩が、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムまたはチタン酸バリウムである
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項8】
前記スズ酸アルカリ土類金属塩が、スズ酸マグネシウム、スズ酸カルシウム、スズ酸ストロンチウムまたはスズ酸バリウムである
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項9】
前記ジルコン酸アルカリ土類金属塩が、ジルコン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムまたはジルコン酸バリウムである
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項10】
前記コーティング層が、90から99.8重量%までの二酸化チタンおよび0.2から10重量%までの酸化亜鉛および/または1種もしくは複数の前記低溶解性アルカリ土類金属化合物からなる
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項11】
前記合成雲母フレークが、二酸化チタンの第1層およびチタン酸カルシウムの第2層を有する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項12】
前記合成雲母フレークが、二酸化チタンの第1層および酸化亜鉛の第2層を有する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項13】
前記合成雲母フレークが、
TiO2(アナターゼ)+チタン酸カルシウム
TiO2(ルチル)+チタン酸カルシウム
TiO2(アナターゼ)+ジルコン酸カルシウム
TiO2(ルチル)+ジルコン酸カルシウム
TiO2(アナターゼ)+スズ酸カルシウム
TiO2(ルチル)+スズ酸カルシウム
TiO2(アナターゼ)+酸化亜鉛
TiO2(ルチル)+酸化亜鉛
TiO2(アナターゼ)+酸化亜鉛+チタン酸カルシウム
TiO2(ルチル)+酸化亜鉛+チタン酸カルシウム
TiO2(アナターゼ)+チタン酸カルシウム+酸化亜鉛
TiO2(ルチル)+チタン酸カルシウム+酸化亜鉛
の群から選択されるコーティングを有する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料。
【請求項14】
前記合成雲母フレークのコーティングが、水性媒体中での金属塩の加水分解による湿式化学法によって実施される
ことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料の調製方法。
【請求項15】
ペイント、ボタンペースト、ラッカー、印刷インキ、セキュリティインキ、プラスチック、セラミック材料、ガラスにおける、
種子粉衣用の、
プラスチックおよび紙のレーザーマーキング用ドーパントとしての、
プラスチックのレーザー溶接用添加剤としての、
食品および医薬品セクターの着色用添加剤としての、
化粧品配合物における、または
顔料組成物および乾燥調合物の調製用の、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料の使用。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の1種または複数の銀白色エフェクト顔料を含む配合物。
【請求項17】
前記銀白色エフェクト顔料以外に、
吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、制汗剤、消泡剤、ふけ防止活性成分、静電防止剤、バインダー、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、皮膚軟化薬、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、塗膜形成剤、充填剤、香気物質、香味物質、防虫剤、保存料、耐食剤、整髪油、溶剤、オキシダント、植物成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、推進剤ガス、不透明剤、UVフィルタおよび紫外線吸収剤、変性剤、粘度調節剤、香料およびビタミンの群から選択される少なくとも1種の成分を含む
ことを特徴とする、請求項16に記載の配合物。
【請求項18】
1種または複数のバインダー、請求項1〜13のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料を含み、
さらに1種または複数の添加剤を含んでもよい顔料組成物。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の銀白色エフェクト顔料を含む乾燥調合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成雲母フレークをベースとする、高白色度を有する、耐黄変性の銀白色エフェクト顔料、ならびに、特にペイント、ラッカー、印刷インキ、プラスチックにおける、プラスチックおよび紙のレーザーマーキング用ドーパントとしての、食品および医薬品セクターにおけるおよび化粧品配合物における添加剤としての、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
銀白色光沢またはエフェクト顔料(effect pigment)は、工業の多くの分野において、特に自動車用塗料、化粧塗料の分野において、プラスチック、ペイント、印刷インキにおいて、および化粧品配合物において使用されている。天然雲母(白雲母)および合成雲母ベースの銀白色エフェクト顔料(真珠光沢顔料)が知られている。
【0003】
市販の銀白色エフェクト顔料は、一般的に、薄い二酸化チタン層で覆われた天然雲母フレークからなる。自然形成のために、白雲母は、常に例えば一般的にかすかな着色をもたらす鉄化合物等の異物を含んでいる。対照的に、合成金雲母は事実上異物を含まないように調製することができる。従ってそれは通常着色がない。ゆえに、合成雲母は特に銀白色エフェクト顔料の開発のために、天然雲母に対する良好な代替物を提供する。
【0004】
市販の合成雲母は、一般的に酸化物、炭酸塩およびフッ化物を出発原料として溶融法によって調製される。溶融物が冷えた後、雲母フレークは、溶融後に形成される粗製雲母小片を原料として特殊な機械的粉砕法を用いて好ましい形で製造されうる。フレークは、分別され、一定の粒子サイズフラクションおよび厚さが得られる。続いて、それらは、エフェクト顔料の調製用の基材として役立ちうる。この場合、続いて、雲母フレークは、金属酸化物でコートされる。このタイプの顔料は市販されている。これらの顔料は、広い粒子サイズおよび厚さ分布によって特徴付けられる。
【0005】
二酸化チタンでコートした合成雲母フレークは、例えば特許文献1から4にも記載されている。
【0006】
しかし、TiO
2でコートした合成雲母フレークをベースとする、先行技術から知られているエフェクト顔料の欠点は、ポリマー系中のこれらの顔料の低い耐黄変性、および強い散乱効果の発生である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許3087828号
【特許文献2】欧州特許0723997B1号
【特許文献3】国際特許公開2002/033007号
【特許文献4】中国特許1664021A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、高白色度および光沢を有し、同時に高い耐黄変性を有し、上記の欠点をもたない銀白色エフェクト顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、正確に規定した粒子サイズを有する合成雲母フレークを、二酸化チタンおよび低溶解性アルカリ土類金属化合物の高屈折率のコーティング材料でコーティングすることが、その白色度のみならずその高い耐黄変性によって特徴付けられる銀白色エフェクト顔料をもたらすことをこのたび見出した。先行技術から知られるTiO
2でコートした合成雲母フレークと比較して、本方法で調製したエフェクト顔料は、
純白の実体色
非常に明るく強い光沢、および
高隠ぺい力
を示す。
【0010】
従って、本発明は、粒子の90%が2から40μmの範囲である相当直径分布、および粒子の90%が100から3500nmの範囲である厚さ分布を有し、屈折率≧1.9を有し、二酸化チタンおよび1種または複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物および/または酸化亜鉛を含むコーティングを有する合成雲母フレークをベースとするという事実によって特徴付けられる、高白色度を有する耐黄変性の銀白色エフェクト顔料に関する。
【0011】
本発明は、更に、ペイント、ラッカー、印刷インキ、プラスチック、ボタンペースト、セラミック材料、ガラスにおける、種子粉衣用の、プラスチックのレーザー溶接用添加剤としての、プラスチックおよび紙のレーザーマーキングまたはレーザー溶接用ドーパントとしての、食品および医薬セクターにおける、および化粧品配合物における着色用添加剤としての、本発明による銀白色エフェクト顔料の使用に関する。本発明による顔料は、更に、顔料組成物の調製、および、例えば、顆粒、チップ、ペレット、ブリケット等の乾燥調合物(dry preparation)の調製にも適している。乾燥調合物は、特に印刷インキ用および化粧品配合物用に適している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による銀白色エフェクト顔料の必須の要素は、その基材および粒子サイズである。市販されている合成雲母ベースのエフェクト顔料、例えばSky Chemicalおよびトピー工業株式会社のものは、非常に広い粒子サイズおよび厚さ分布によって特徴付けられる。
【0013】
本発明による銀白色エフェクト顔料の高白色度を達成するためには、しかしながら、出発基材の粒子サイズの正確な設定が重要である。顔料または充填剤等の純粋な粉末材料の測定のみならず、顔料または充填剤を含む適用媒体の測定にも関係して、白色度の定義のために、約25の白色度の公式が存在する。白色度は、一般的に白色顔料および充填剤において重要な役割を果たす。白色度の測定方法は、ASTM E313−73に記載されている。種々の白色度は、目視による生理的および精神的知覚を、物理的に測定された明度に関連付けるのに役立つ。更に、白色度の公式は、多かれ少なかれ着色された成分も考慮する。「白色度」という用語自体は、直接入手できる測定量ではない。それは、用途分野に応じて、色の測定値の助けを借りて公式から算出しうる値である。これらの公式は、一定の着色された成分により多くまたはより少なく重点を置くという点において異なる。
【0014】
本発明による銀白色エフェクト顔料に適した雲母フレークは、粒子の90%が、2から40μm、好ましくは5から40μm、特には3から35μm、更に特に好ましくは5から30μmの範囲である相当直径分布を有する。相当直径分布以外に、雲母フレークの厚さ分布も同様に一定の役割を果たす。従って、適切な基材は、好ましくは、粒子の90%が、100から3500nm、好ましくは200から2600nm、特には250から2200nmの範囲である厚さ分布を有する。
【0015】
合成雲母フレークのアスペクト比(直径/厚さの比)は、好ましくは5〜200、特には7〜150および特に好ましくは10〜100である。
【0016】
これらの直径を有する合成雲母フレークは、当分野の技術者に周知の研削法および分級法によって調製しうる。
【0017】
合成雲母は、好ましくは通常の薬剤耐性の組成のフッ素金雲母である。
【0018】
次いで、正確に設定した粒子サイズを有する合成雲母フレークは、二酸化チタンに加えて少なくとも1種の低溶解性アルカリ土類金属化合物を含む高屈折率層でコーティングされる。この層の屈折率は、≧1.9、好ましくは≧2.0および特には≧2.1である。この高屈折率コーティングは、TiO
2および低溶解性アルカリ土類金属化合物および/または酸化亜鉛の混合物、あるいは2つの別々な層からなりうる。この場合、低溶解性アルカリ土類金属化合物または酸化亜鉛の薄層が、TiO
2層に塗られる。
【0019】
高屈折率コーティングは、一般的に20〜130nm、好ましくは30〜100nmおよび特には40〜70nmの層厚を有する。
【0020】
高屈折率コーティング中の二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ変種、好ましくはルチル型でよい。ルチルの調製方法は、例えば、米国特許5433779号、米国特許4038099号、米国特許6626989号、ドイツ特許2522572C2号、欧州特許0271767B1号の先行技術に記載されている。雲母フレーク上へのTiO
2の析出の前に、薄い二酸化スズ層(<10nm)が好ましくは塗られ、ルチル相としてのTiO
2を得るための添加剤として役立つ。
【0021】
二酸化チタン以外に、高屈折率コーティングは、更に重要な成分として、1種または複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物を含む。高屈折率コーティングは、好ましくはTiO
2および低溶解性チタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩からなる。別法として、酸化亜鉛も、前記アルカリ土類金属化合物と共にまたは代わりに使用しうる。別々の層の場合、低溶解性チタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩および/または酸化亜鉛がTiO
2層に塗られるが、このTiO
2層はルチル型が好ましい。
【0022】
特に好ましい一実施形態においては、高屈折率コーティング中のチタン酸アルカリ土類金属塩は、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムまたはチタン酸バリウムからなり、スズ酸アルカリ土類金属塩は、スズ酸マグネシウム、スズ酸カルシウム、スズ酸ストロンチウムまたはスズ酸バリウムからなり、ジルコン酸アルカリ土類金属塩は、ジルコン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムまたはジルコン酸バリウムからなる。前記アルカリ土類金属化合物の混合物も、更に可能である。
【0023】
特に好ましいエフェクト顔料は、二酸化チタン、およびMgTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3、BaTiO
3、MgSnO
3、CaSnO
3、SrSnO
3、BaSnO
3、MgZrO
3、CaZrO
3、SrZrO
3またはBaZrO
3の群から選択される少なくとも1種の低溶解性アルカリ土類金属化合物を含む高屈折率コーティングを有する。
【0024】
好ましいエフェクト顔料は、
TiO
2(アナターゼ)+チタン酸カルシウム
TiO
2(ルチル)+チタン酸カルシウム
TiO
2(アナターゼ)+ジルコン酸カルシウム
TiO
2(ルチル)+ジルコン酸カルシウム
TiO
2(アナターゼ)+スズ酸カルシウム
TiO
2(ルチル)+スズ酸カルシウム
TiO
2(アナターゼ)+酸化亜鉛
TiO
2(ルチル)+酸化亜鉛
TiO
2(アナターゼ)+酸化亜鉛+チタン酸カルシウム
TiO
2(ルチル)+酸化亜鉛+チタン酸カルシウム
TiO
2(アナターゼ)+チタン酸カルシウム+酸化亜鉛
TiO
2(ルチル)+チタン酸カルシウム+酸化亜鉛
からなる高屈折率コーティングを有する。
【0025】
高屈折率コーティングは、好ましくは排他的に二酸化チタンおよび酸化亜鉛および/または1種または複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物、特にチタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩からなる。特に好ましいコーティングは、90.0から99.8重量%の二酸化チタンおよび0.2から10重量%の酸化亜鉛および/または1種または複数の低溶解性アルカリ土類金属化合物、好ましくは低溶解性チタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩からなる。酸化亜鉛および低溶解性アルカリ土類金属化合物の混合物の場合においては、酸化亜鉛:アルカリ土類金属化合物の重量比は、9:1から1:9、特に1:1から5:1である。このタイプの一層は、好ましくはチタン酸カルシウムおよび酸化亜鉛からなる。複数の層を本発明では連続的にまたは混合層の形態でかのいずれかで塗ることができる。酸化亜鉛層をこの場合に二酸化チタン層に直接またはアルカリ土類金属化合物の外層として塗ることができる。
【0026】
二酸化チタンおよび低溶解性アルカリ土類金属化合物は、単一層中の混合物として存在してよく、または2つの別々の層として基材に塗ってもよい。高屈折率コーティングが2層からなる場合、二酸化チタン層は、好ましくは20〜100nm、好ましくは30〜80nmおよび特には40〜60nmの層厚を有する。低溶解性アルカリ土類金属化合物および/または酸化亜鉛を含む第2層は、一般的に1〜30nm、好ましくは3〜15nmおよび特には4〜10nmの層厚を有する。第2層の総厚は、この層が、1種または複数のアルカリ土類金属化合物、または酸化亜鉛から、またはアルカリ土類金属化合物および酸化亜鉛の混合物からなるか、あるいはアルカリ土類金属化合物および酸化亜鉛の別々の層が係わっているかに関係なく、30nmを超えるべきではない。
【0027】
本発明による銀白色エフェクト顔料は、比較的容易に調製することができる。
【0028】
最初に、市販の合成雲母粒子または合成雲母小片を機械的に微粉砕し、沈殿、デカンテーション、空気分級および/またはふるい分けによって、フレークの相当直径および厚さに関しての要件に従って分類する。
【0029】
次いで、雲母フレークを、好ましくは真珠光沢顔料の調製用に開発された湿式化学コーティング法の使用が可能である、湿式化学法によって塗られる高屈折率コーティングでコートする。このタイプの方法は、例えばドイツ特許1467468号、ドイツ特許1959988号、ドイツ特許2009566号、ドイツ特許2214545号、ドイツ特許2215191号、ドイツ特許2244298号、ドイツ特許2313331号、ドイツ特許2522572号、ドイツ特許3137808号、ドイツ特許3137809号、ドイツ特許3151343号、ドイツ特許3151354号、ドイツ特許3151355号、ドイツ特許3211602号、ドイツ特許3235017号中に、または当分野の技術者に周知の更なる特許文献および他の出版物中に記載されている。
【0030】
合成雲母フレークは、好ましくは塩化物または硫酸塩プロセスによる湿式化学法によって、二酸化チタンでコートされる。
【0031】
アルカリ土類金属層を生成するためには、水溶性アルカリ土類金属塩、または水溶性アルカリ土類金属塩と水溶性の亜鉛、チタン、スズおよび/もしくはジルコニウムの塩との混合物を、適切なpHにおいて、TiO
2でコートした合成雲母フレークを含む水性懸濁液に添加する。水の代わりに、例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはイソブタノール等の短鎖アルコールベースの含水溶剤を溶媒として使用することも可能である。適切なアルカリ土類金属塩は、とりわけアルカリ土類金属塩化物、更にはアルカリ土類金属硝酸塩および他の水溶性アルカリ土類金属化合物である。チタン酸アルカリ土類金属塩、ジルコン酸アルカリ土類金属塩およびスズ酸アルカリ土類金属塩の調製中に、対応するチタン、スズおよび/またはジルコニウムの塩化物、硫酸塩および硝酸塩は、通常純粋に水性の媒体中で使用される。
【0032】
アルカリ土類金属層を生成するためには、好ましくは溶解性アルカリ土類金属化合物、およびチタン、スズおよび/またはジルコニウムの可溶性化合物に加えて、過酸化水素が、二酸化チタンでコートした雲母フレークの懸濁液に添加される過酸化物プロセスが使用される。
【0033】
本発明による銀白色エフェクト顔料は、一般的に、析出に適し、金属酸化物または金属酸化物水和物が著しい二次的な析出を発生することなくフレーク上に直接堆積するように選択されるpHにおいて、合成雲母フレークを水中に懸濁させ、1種または複数の加水分解可能なチタン塩を添加することによって調製される。pHは、通常、塩基および/または酸の同時の計量添加によって一定に保たれる。続く酸化亜鉛および/またはチタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩によるコーティングは、通常TiO
2でコートした雲母顔料の事前処理なしで実施される。このコーティングは、一般的に溶解させたアルカリ土類金属塩化物、チタン、スズおよび/またはジルコニウムの溶解させた塩化物の添加、ならびに過酸化水素の添加によって実施される。
【0034】
チタン酸カルシウムが、好ましくはTiO
2でコートした雲母フレークに適用される。このタイプのチタン錯体の析出は、例えばG.Pfaff、Z.Chem.28(1988年)76およびZ.Chem.29(1989年)およびその引用文中に記載されている。
【0035】
ろ過および洗浄後、最初に、コートした基材を、50〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で20〜60分間乾燥し、続いて600から1200℃で、好ましくは700から1000℃で、特には700〜900℃で、0.3〜1時間、好ましくは0.5〜0.8時間焼成する。
【0036】
TiO
2層のコーティングは、更に、例えば真珠光沢顔料の調製用に欧州特許0045851A1号および欧州特許0106235A1号で提案されたプロセスを同様に使用しうる気相コーティングによって、流動床反応機中で実施することもできる。
【0037】
高白色度以外に、本方法で調製された銀白色エフェクト顔料は、市販の合成雲母ベースの銀白色エフェクト顔料に比べて、有意により高い耐黄変性および有意により低い表面活性によって特徴付けられる。高い耐黄変性以外に、本方法で調製された顔料は、粉末中のみならずプラスチック、ラッカーまたは印刷インキ等の用途系中での非常に良好な光安定性も有する。
【0038】
増加した白色度は、プラスチック小板、ラッカーフィルムまたはプリントにおいて、本方法で調製されたエフェクト顔料の直接目視の比較で最も良く実証しうる。二酸化チタンおよびチタン酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩および/またはジルコン酸アルカリ土類金属塩からなる同じ層構造を有する天然雲母ベースの類似形態を有するエフェクト顔料は、本発明で比較として役立つ。
【0039】
通常の銀白色エフェクト顔料と比較した本発明によるエフェクト顔料の高い耐黄変性は、プロパノールおよびフタル酸ジブチル中の顔料懸濁液と、没食子酸プロピル溶液との反応において、目視でまたは比色分析で実証することができ、この反応で、黄色への変色(目視)またはb値(L
*a
*b
*表色系)の+bへのシフト(例えばJohne−Reilhofer機器を用いた比色分析の)が、観測され比較される。
【0040】
また耐光、耐水および耐候性を増すためには、用途分野に応じて、完成した銀白色エフェクト顔料を後コーティングまたは後処置にかけることがしばしば望ましい。適切な後コーティングまたは後処置は、例えば、ドイツ特許2215191号、ドイツ特許A3151354号、ドイツ特許A3235017号またはドイツ特許A3334598号に記載されているプロセスである。この後コーティングは、更に顔料の耐化学薬品性を増加し、または顔料の取扱い、特に種々の媒体への組込みを単純化する。湿潤性、分散性および/または適用媒体との相溶性を改良するためには、Al
2O
3またはZrO
2またはそれらの混合物もしくは混合相を含む機能性コーティングを顔料表面に塗ることができる。更に、例えば欧州特許0090259号、欧州特許0634459号、国際特許公開99/57204号、国際特許公開96/32446号、国際特許公開99/57204号、米国特許5759255号、米国特許5571851号、国際特許公開01/92425号に、またはJ.J.Ponjee、Philips Technical Review、Vol.44、No.3,81ff.およびP.H.Harding J.C.Berg、J.Adhesion Sci.Technol.Vol.11、No.4、471〜493頁に記載されているように、例えばシランを用いた、有機後コーティングまたは組み合わせた有機/無機後コーティングが可能である。
【0041】
本発明による銀白色エフェクト顔料は、高い耐黄変性以外に、明るく強い光沢と純白の実態色(mass tone)を組み合わせるので、種々の適用媒体中での特に有効な効果を、それらと共に達成することができる。
【0042】
本発明によるエフェクト顔料は、例えば、透明および不透明白色、着色および黒色顔料等の、有機染料、有機顔料もしくは無機顔料との、ならびにフレーク状酸化鉄、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)、金属酸化物でコートした雲母、ガラス、Fe
2O
3、Al
2O
3およびSiO
2フレーク等をベースとした透明、着色および黒色光沢の顔料とのブレンドとしての種々の用途に有利に使用することもできることは言うまでもない。
【0043】
本発明による銀白色エフェクト顔料は、市販の顔料および充填剤と任意の重量比で混合することができる。この比は、好ましくは1:1から9:1である。本発明によるエフェクト顔料を充填剤と混合する場合、混合比は、99:1から1:99でよい。
【0044】
種々の用途においては、本発明によるエフェクト顔料は、例えば、有機および/または無機吸収顔料および染料、例えば、Timiron(登録商標)、Iriodin(登録商標)(Merck KGaA)、Sicopearl(登録商標)(BASF AG)、ChromaFlair(登録商標)(Flex Products Inc.)、BiOCl顔料、パールエッセンス、例えばEckartからの金属顔料等の多層干渉顔料のような、任意のタイプの更なる着色剤と組み合わせることもできる。この混合比および濃度は、本発明では制限されない。
【0045】
本発明による銀白色エフェクト顔料は、非常に多数の着色系、好ましくはペイント、ラッカーおよび印刷インキの分野からの着色系と相溶性がある。例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、オフセットオーバープリントワニス用の印刷インキの調製のためには、非常に多数のバインダー、特に水溶性グレードが、例えば、BASF、Marabu、Proll、Sericol、Hartmann、Gebr.Schmidt、Sicpa、Aarberg、Siegberg、GSB−Wahl、Follmann、RucoまたはCoates Screen INKS GmbHから市販されているものが適切である。この印刷インキは、水ベースまたは溶剤ベースでよい。更に、本発明によるエフェクト顔料は、紙およびプラスチックのレーザーマーキング用に、ならびに農業セクターの用途、例えば温室シート用に、およびターポリン着色用にも適している。
【0046】
本発明によるエフェクト顔料は、着色ラッカー、印刷インキ、プラスチック、農業用シート、種子粉衣、食品着色、ボタンペースト、医薬コーティング、または口紅、マニキュア液、コンパクトパウダー、シャンプー、石ケン、ルースパウダーおよびゲル等の化粧品配合物を着色するのに使用することができる。着色すべき適用系中の顔料の濃度は、一般的にその系の合計固形分に対して、0.1および70重量%の間、好ましくは0.1および50重量%および特には0.5および10重量%の間である。これは、一般的に個々の用途による。
【0047】
本発明による銀白色エフェクト顔料を含むプラスチックにおいては、好ましくは0.01から50重量%、特には0.1から7重量%の量で、とりわけ顕著な銀白色エフェクトを達成することができる。
【0048】
表面コーティングセクター、特には自動車用塗料においては、エフェクト顔料は、3コートシステムを含めて、0.1〜20重量%、特には1から10重量%の量で使用される。
【0049】
表面コーティングにおいては、本発明によるエフェクト顔料は、目標の光沢が単一層の仕上げ(1コートシステムまたは2コートシステムの下塗り)によって達成されるという利点を有する。例えば、雲母ベースの多層顔料、または本発明によるエフェクト顔料の代わりに、広い厚さ分布を有する基材ベースの従来の真珠光沢顔料を含むラッカーと比較して、本発明による顔料を含む仕上げは、より澄んだ深みの効果およびより顕著な白色および光沢の効果を示す。
【0050】
本発明によるエフェクト顔料は、装飾的化粧品およびケア化粧品にも有利に使用することができる。使用濃度は、シャンプーにおける0.01重量%からルースパウダーの場合の100%にわたる。本発明による顔料と、充填剤、好ましくは例えばSiO
2等の球形充填剤の混合物の場合においては、配合物中の濃度は0.01〜70重量%であってよい。例えば、マニキュア液、コンパクトパウダー、シャンプー、ルースパウダーおよびゲル等の化粧品は、特に興味深い色の効果および高光沢によって特徴付けられる。
【0051】
更に、本発明による顔料は、入浴剤、練り歯磨き、および、例えば、飴玉、例えば、ゼリーベイビー(jelly baby)、プラリーヌ、リコリス等のワインガム、菓子類、スティックスオブロック(sticks of rock)、ブラマンジェ、発泡性清涼飲料、ソーダ水等の原料着色およびコーティング等の食品の仕上げ用、または、例えば、医薬セクターの糖衣丸および錠剤におけるコーティングとして使用することができる。
【0052】
本発明による顔料は、更に市販の充填剤と混合することができる。言及しうる充填剤は、例えば、天然および合成雲母、ナイロン粉末、純粋もしくは充填されたメラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウムの酸化物もしくは水酸化物、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボン、ならびにこれらの物質の物理的もしくは化学的組合せである。充填剤の粒子形状に関する制限はない。それは、例えば、必要によりフレーク形態、球形または針状であってよい。
【0053】
本発明による銀白色エフェクト顔料を、任意のタイプの化粧材料および助剤と配合物中で組み合わせることは当然ながら可能である。これらには、とりわけ、一般的に用途性質を決定する油、脂肪、ワックス、塗膜形成剤、保存料および助剤、例えば増粘剤およびレオロジー添加剤等、例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭水化物および/または界面活性助剤等が含まれる。
【0054】
本発明によるエフェクト顔料を含む配合物は、親油性、親水性または疎水性タイプに属しうる。別々の水性相および非水性相を有する混成の配合物の場合において、本発明によるエフェクト顔料は各場合、2相の1つだけに存在するか、または代わりに両方の相にわたって配分されるかのいずれでもよい。
【0055】
これらの配合物のpH値は、1および14の間、好ましくは2および11の間および特に好ましくは5および8の間でよい。
【0056】
この配合物における本発明による銀白色エフェクト顔料の濃度に制限は設定されない。それらは、用途に応じて、0.001(水で洗い流せる製品、例えばシャワー用ジェル)および100%(例えば特定用途の光沢効果品目)の間であってよい。
【0057】
本発明によるエフェクト顔料は、更に化粧用活性成分とも組み合わせることができる。適切な活性成分は、例えば、防虫剤、UV A/BC保護フィルタ(例えば、OMC、B3およびMBC)、老化防止活性成分、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンA、C、E等)、セルフタンニング剤(例えば、とりわけDHA、エリトルロース)、および、例えば、ビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、バイオフラボノイド等の更なる化粧用活性成分ならびにそれらの誘導体である。
【0058】
例えばペイントおよびグラビア印刷、オフセット印刷もしくはスクリーン印刷用の印刷インキ用の、または印刷インキの前駆体としてのバインダー系の着色においては、高度に着色したペースト、顆粒、ペレット等の形態の本発明によるエフェクト顔料の使用は、とりわけ適していることを示した。エフェクト顔料は、一般的に2〜35重量%、好ましくは5〜25重量%および特には8〜20重量%の量で印刷インキに組み込まれる。オフセット印刷インキは、最大40重量%までまたはより多く顔料を含むことができる。印刷インキの前駆体は、例えばペレット、ブリケット等の顆粒の形態で、バインダーおよび添加剤に加えて、98重量%までの本発明の顔料を含む。本発明による顔料を含む印刷インキは、従来のエフェクト顔料を含むものに比べてより純粋な色合いを示す。本発明によるエフェクト顔料の粒子の厚さは、比較的小さく、それゆえ特に良好な印刷適正を生ずる。
【0059】
本発明によるエフェクト顔料は、特に1種または複数の本発明による顔料、バインダーおよび場合によっては1種または複数の添加剤を含む印刷インキ用の、流動性顔料組成物および乾燥調合物の調製用に、更に適している。
【0060】
従って、本発明は、本発明による銀白色エフェクト顔料を含む配合物にも関係する。
【0061】
本発明は、とりわけ、本発明によるエフェクト顔料以外に、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、制汗剤、消泡剤、ふけ防止活性成分、静電防止剤、バインダー、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、皮膚軟化薬、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、塗膜形成剤、充填剤、香気物質、香味物質、防虫剤、保存料、耐食剤、整髪油、溶剤、オキシダント、植物成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、推進剤ガス、不透明剤、UVフィルタおよび紫外線吸収剤、変性剤、粘度調節剤、香料およびビタミンの群から選択される少なくとも1種の成分を含む配合物に関する。
【0062】
次の実施例は、本発明を制限することなく本発明を説明するものである。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
2〜40μmの相当直径分布を有する100gの合成フッ素金雲母を、脱イオン化水中に懸濁した。ここでの使用濃度は50g/lであった。pHを2.0に調節し、この懸濁液を、75℃に加熱した。最初に、2%四塩化スズ溶液100mlを添加した。pHを、32%水酸化ナトリウム溶液での逆滴定によって2.0に一定に保った。続いて、pHを塩酸の添加によって1.8に調節した。次いで、30%四塩化チタン溶液240mlを、1.8に一定に保たれたpHにおいて計量添加した。
【0064】
TiO
2水和物層の終点は、溶液の前もって指定した体積の消費によって与えられた。次いで、pHを32%水酸化ナトリウム溶液の添加によって9.0に調節した。続いて、CaCl
2、塩化チタンおよび過酸化水素の水溶液50ml(水で希釈して50mlとした7.2gのCaCl
2×2H
2O、0.08molのTiCl
4、6mlの30%過酸化水素溶液)を、pHを一定に保ちながら、30分かけて75℃で計量添加した。この反応生成物を、ろ過し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、非常に高い白色度(ポリプロピレン小板における、視覚、および、ドイツ、Darmstadt市、Merck KGaAからのIriodin(登録商標)103での比色分析比較)を有し耐黄変性(視覚的、および没食子酸プロピル試験により比色分析的に測定して)である銀白色エフェクト顔料を得た。
【0065】
使用例
(実施例A) シャワージェル
A相
【0066】
【表1】
【0067】
B相
【0068】
【表2】
【0069】
C相
【0070】
【表3】
【0071】
調製:
A相については、上記干渉顔料を水に入れ撹拌した。Keltrol Tを撹拌しながらゆっくりと拡散させて添加し、溶解するまで撹拌した。B相およびC相をゆっくりと撹拌しながら連続的に添加して、すべてを均一に分散させた。pHを6.0から6.4までに調節した。
【0072】
(実施例B) マニキュア液
【0073】
【表4】
【0074】
調製:
上記干渉顔料を、マニキュア液ベースと共に計量して取り、へらを用いて手でよく混合し、続いて1000rpmで10分間撹拌した。
【0075】
(実施例C) ラッカー系
90重量% Hydroglasur BG/S無色(Ernst Diegel GmbHからの水性コーティング)
10重量% 実施例1からの銀白色エフェクト顔料
80℃で噴霧によりコーティング
80℃で5分間前乾燥
180℃で20分間ベーキング。
【0076】
(実施例D) プラスチック
1kgのポリスチレン顆粒を、タンブルミキサー中で5gの接着剤で均一にぬらした。次いで、実施例1からの新しい干渉顔料42gを添加し、これらの顆粒を2分間混合した。これらの顆粒を、射出成形機で通常の条件下で4×3×0.5cmの段付きの小板に加工した。段付きの小板は、著しい光沢効果で特徴付けられた。
【0077】
(実施例E) 糖菓の着色
原材料:発泡性糖菓、白色
散布液
Kaulからのセラックアルコール溶液94%
実施例1からの銀白色エフェクト顔料6%
発泡性糖菓に、所望の着色が達成されるまで、干渉顔料/セラック溶液を噴霧した。続いて冷風乾燥が可能であった。
【0078】
実施例A〜Eからの生成物は、高光沢、純粋な色および高い光安定性によって特徴付けられた。