【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2のように面ファスナーにより背部の閉じ合わせを行えば、紐を結び合わせるよりも容易にガウンを着用することが可能となる。しかしながら、着用介助なしにこれを着用しようとすれば、着用者が自身の背部で面ファスナーを留め合わせる作業を行う必要があり、その様な着用法は清潔性保持の観点からは安全とは言い難い。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の衛生衣は、首回り後部が伸縮部材でつながっており、衛生衣を頬被りして着用した後、身体の前方から閉じ合わせ操作を可能に工夫したスライド
ファスナーによって、背部を閉じ合わせるものであるため、着用者の背面での作業は不要になる。しかしながら、このような構成であると、頬被りして衛生衣を着用する際に着用者の手などの清潔領域が、頭部などの不潔領域に触れる危険性が比較的大きい。また、スライドファスナーがスムーズに閉じない等の不具合が生じた場合には、衛生衣の着用に時間を要するか、着用そのものが不可能になるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、従来着用介助を行っていた者の負担を軽減し、かつ、着用者の負担を増大させることなく着用が可能な滅菌ガウンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため、本発明に係る滅菌ガウンは、前身頃と、該前身頃につながる左側後身頃および右側後身頃を含む身頃本体とを有する背開き型の滅菌ガウンであって、
前記身頃本体に形成された襟ぐり部には、有端環状の弾性体が設けられており、
前記弾性体は、非変形時においては、該滅菌ガウンの前記襟ぐり部を着用者の首部を囲う環状形状に維持可能であり、変形時には背中側が開口し前記着用者の首部が前記襟ぐり部の背中側を通過可能とすることを特徴とするものとした。
【0012】
滅菌ガウンの構成を上記のようにすることで、着用時には前記弾性体を変形させて着用者の首部を前記弾性体の環状形状の中に入れ、さらに弾性体を復元させることによって、ガウンを纏うだけでガウンの襟ぐり部が着用者の首部を囲い、その状態が維持されるようにすることができる。このため、ガウンの首回りがはだけるのを防止するために従来用いられていたような紐等の結合手段が不要となり、着用者の背面で首回りの留め合わせのために紐を結ぶ等の、従来介助者が行っていた作業を省略することができる。また、本発明においては、着用状態における姿勢に対応して適度に弾性体が変形するために、ガウン形状の自由度が増加し長時間着用したとしても着用者への負担を軽減することが可能である。さらに、ガウンの襟ぐり部と着用者の首部及び肩との間に適度な隙間を形成することが可能となり、通気性を向上させることが可能である。
【0013】
ここで、前記弾性体は、前記環状形状を記憶させたワイヤであっても良いし、直線形状と捲線形状に可逆変形可能な板バネであっても良い。さらに、前記ワイヤは、金属製、例えばステンレス製であっても良いし、樹脂製であっても良い。また、前記弾性体を襟ぐり部に固定する方法としては、例えば、前記襟ぐり部にパイピング加工を施し、該パイピング部に弾性体を封入するようにしても良いし、襟ぐり部周囲の内側或いは外側に弾性体を縫い付けたり接着することで固定しても良い。
【0014】
また、前記弾性体は、非変形時においては、その両端が互いに周方向に重なっているようにしても良い。弾性体形状をこのようにすることで、隙間を生ずることなく襟ぐり部の閉じ合わせを行うことができ、ガウンの着用時の清潔性、安全性をより高めることができる。
【0015】
前記弾性体は、非変形時において、その両端が周方向に重なる際に内側になる端部における曲率半径が、その他の部分の曲率半径より小さくなるように形成されてもよい。弾性体の形状をこのようにすることで、非変形時において、その両端が周方向に重なる際に内側になる側の端部は、外側になる側の端部に対して、より環状の内側に配置されるようになる。そうすれば、前記弾性体を広げて変形させた後に形状を復元する際に、互いに重なる端部の内側と外側が逆になったり、互いに衝突して復元を妨げたりすることを防止できる。
【0016】
さらに、上記の滅菌ガウンは、胸回りから下の前記左側後身頃および前記右側後身頃の幅を合わせた寸法が、前記前身頃の身幅よりも大きい寸法となるように形成されており、前記弾性体の非変形時において、前記左側後身頃又は前記右側後身頃のいずれか一方が他方に重なることで、背中側に所定の重なり幅を形成するものであっても良い。
【0017】
上記のような構成とすることで、前身頃の幅よりも大きい寸法に形成された後身頃が、襟ぐり部の弾性体によって所定の幅重なった状態で維持されることになる。このため、ガウンの背中側の合わせを維持するために腰部の内紐等の結合手段を用いることなく、着用者の背面におけるガウンの閉じ合わせが可能となる。その結果、従来着用介助者が行っていた、着用者の背面で腰部の留め合わせを行うという動作も無くすことができる。
【0018】
また、上述までの滅菌ガウンは、前記左側後身頃および前記右側後身頃のうち、着用時に外側となる方の端部に設けられた腰紐と、前記腰紐の遠位端を着用者から離れた場所に固定するために、該腰紐に直接又は別体を介して設けられた腰紐固定手段と、該腰紐固定手段を前記腰紐の基端又は前記腰紐から分離するための分離手段と、をさらに有しても良い。なお、本明細書において、腰紐の遠位端とは、ガウンに連結されているのとは反対側の端をいう。
【0019】
ここで、前記腰紐は、前身頃と後身頃にそれぞれ紐が設けられるものであっても良いし、前身頃又は後身頃に長尺の紐が一つだけ設けられているものであっても良い。
【0020】
また、前記腰紐固定手段は、例えば前記腰紐の遠位端近傍に備えられた両面テープであっても良いし、前記腰紐の遠位端を、何かに引っ掛け得るように円環状にしたものであっても良い。また、これらを備えた別体を前記腰紐に結合させたものであっても良い。
【0021】
さらに、ここでいう分離手段とは、例えば前記腰紐の遠位端から所定の位置に設けられるミシン目のようなパーフォレーションであっても良いし、切れ込みであっても良い。また、前記腰紐固定手段が前記腰紐に結合された別体である場合には、これを容易に剥離できるようにした結合手段、例えば面ファスナーなどであっても良い。
【0022】
前記の腰紐固定手段により、腰紐の遠位端を任意の場所、例えば手術室の器械台等に留めると、腰紐を張り渡した状態にすることができる。そうすれば、着用者がその場で回転して腰紐を身体に巻き付け、任意の場所で結び合わせることが可能となる。そして、当該作業のために腰紐の遠位端近傍を不潔領域に接触させたとしても、前記分離手段によって腰紐の遠位端部分を分離してから腰紐を結べば、着用者の手や、ガウンのその他の部分が汚染されることはない。
【0023】
これによって、腰紐を着用者から受け取って保持し、更にそれを着用者に手渡すという、介助者が従来行っていた動作を無くすことができ、介助を要することなく着用者一人でも腰紐を結ぶことが可能となる。
【0024】
また、上記の滅菌ガウンは、前記腰紐に連結される腰紐ホルダをさらに有し、該腰紐ホルダに、前記腰紐固定手段が設けられている構成としても良い。
【0025】
このように、前記腰紐固定手段を前記腰紐ホルダに設けることによって、着用者の手が不潔領域に触れてしまう危険性を低くすることができる。
【0026】
即ち、腰紐の遠位端を任意の場所に留める作業を行う際に、腰紐自体を直接把持して行うよりも、腰紐が保持された腰紐ホルダを把持して、例えばこれに備えられた両面テープを器械台等に貼着する等した方が、より着用者の手が不潔領域に触れにくくすることがで
きる。
【0027】
さらに、上述までの滅菌ガウンは、ガウン着用者が既に装着したマスクを覆う、マスクカバーをさらに有し、該マスクカバーの内側に、該マスクカバーを前記マスクに固着する固着手段が設けられた構成としても良い。
【0028】
ここで、固着手段とは、例えば面ファスナーであっても良いし、両面テープであっても良い。
【0029】
従来、ガウンにマスクカバーが設けられている場合は、介助者が着用者の背面で該マスクカバーを固定するための紐を結んでいたが、マスクカバーの構成を上記のようにすることによって、従来介助者が行っていた作業を無くすことができる。
【0030】
即ち、着用者は清潔領域である前記マスクカバーの外側から固着手段のある部位を押さえつけることで、前記マスクカバーを既に装着しているマスクの上に固着することが可能となる。これによって、介助を要することなくマスクカバーの装着を行うことが可能になる。
【0031】
また、上記のマスクカバーには、上端部を外側に折り返して形成され、着用者が指の先端を差し入れることが可能な折り返し部がさらに設けられていても良い。
【0032】
これによれば、前記のマスクカバーの固着動作を行う際に、着用者は指を前記折り返し部の中に入れておくことで、誤って自身の顔面、即ち不潔領域に触れることを防止することができる。